金融政策の限界9

先進国で必要とされているのは、生活レベルアップ向けの投資や研究開発ですが、これは投資乗数が低いのが原則です。
運転を快適にするために道路補修を4年1回から2年に1回にしたところで、その社会の産業効率・生産性は殆ど上がりません。
豊かになれば経営者も自宅の内装.備品をグレードアップしますが、それによって経営効率が目に見えて良くなる訳が有りません。
自宅の文化レベルが上がると文化系次世代が育つ可能性を期待出来る程度でしょう。
景気対策としての財政出動・・凸凹道を舗装し曲がりくねった道を直線にするのは投資乗数が大きいのですが、こうした投資はキャッチアップ型後進国経済には有効ですが、(開発独裁が有効な所以です)先進国では後進国への生産移管が始まって以降、規模拡大型よりは、生産力過剰→整理統合縮小が主たるテーマですから、投資誘発効果を求めるのは無理があります。
利用の減った山間僻地の道路や電線水道設備を閉鎖して行く決断の方が求められていて、他方で都市のトイレや道路美化(植栽の手入れや電柱地中化など)などの投資が求められています。
景気対策としての財政出等は特定分野狙い打ちの需要創出(長野オリンピックあるいは、映画舞台化による一時的観光ブーム=地域限定バブル・・エコ減税や地デジ切り替えなどの場合特定産業バブル)にしかならず、その期間が終わると却って後遺症に苦しみます。
ジャパンデスプレイの例で分るように一種のゾンビ(企業ではなく日本が棄てて行かねばらない)生産品の延命策も、いくら資金を補充しても切りがありません。
8月6日経新聞では革新機構からジャパンデスプレイに資本注入予定と出ていましたが,市場採算の取れない特定物の生産にこだわるのが無理になって来たのではないでしょうか?
ところで後ろ向きの応援をする革新機構って意味があるでしょうか?
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05759850W6A800C1MM8000からの引用です。
「スマートフォン向け液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)が筆頭株主の官民ファンド、産業革新機構に金融支援を要請したことが分かった。液晶パ ネルの販売が振るわず資金繰りが悪化していた。革新機構による債務保証や融資などが浮上している。数百億円規模の支援を得て財務の健全性を高める。(関連記事企業総合面に)」
後進国・・キャッチアップ型の場合業界結集しあるいは財政資金投入してモデルケ事業育成するのは意味がありますが、先進国では既存産業技術は日々陳腐化に曝されてるので革新脱皮していく・・「リストラクチャリングして行く」のは個別企業の責務です・・。
トヨタでもトーレでもコマツでも1企業の中身を見れば、日々革新に励んでいる→新製品開発に挑戦してこそ生き残れる・・裏から見れば陳腐化した旧製造設備はしょっ中廃棄しているから生きのこって行けるのです。
世界の工場の地位を失いつつあって規模縮小予定の先進国では何を廃棄して行くべきか、その間の経営をどうするかは市場原理に委ねるが原則ですから、国策策定は無理があるので、業界総意による出資と言う形にしてこれに一部財政投融資するのも緩やかな国策・・お茶を濁してるのですが、ジャパンデスプレイの例を見ると、業界のどこの企業も維持出来ない(市場性のない)製品を業界上げて生産力維持するのは無理があることがわかります。
中国では全体的な経済低迷にも拘らずエコカー減税等の(国産優遇の部品指定?)テコ入れ策によって中国国産の新車販売が伸びているようですが、これは需要の先取りでしかありません。
・・優遇期間が終われば・・あるいは優遇(減税)をそのまま続けても数年分の需要を先食いしている以上は、数年でメッキがはがれ、反動減が来ることが明らかです。
先進国では反動減が怖いので、特定産業や地域限定プッシュ型をやめて日米欧で社会全般の消費力アップを図る金融緩和論が政策の中心課題になって来たのは、当然の流れです。
ただ中国では緩和をテコに直ぐにマンション需要に火がつく・・これもバブルの再燃再拡大が議論されていますが、その外に需要の先取りと在庫が増える点で需要減問題を先に送って行きます。
中国では、この10年間ほどマンションその他焦点を絞っての優遇策でその分野ごとのバブルを煽っては損をさせて(例えば1昨年暮れ頃から政府推奨の「株は儲かるぞ!」式のバブルを煽って於いて昨夏の株式暴落)は、別のターゲットを決めてまたバブル化させることの繰り返しでしたが、もはや、再転嫁すべき対象がなくなって来た・・国民資金の底が尽き始めた印象です。
中国や韓国の場合、モラルハザードになり易い(と言いますがまだモラルが出来ていない)社会では緩和さえすれば良い訳ではありませんが、先送り政策に頼っていることになります。
これでも・・目先の経済停滞を誤摩化すことは可能ですが、カンフル同様で問題解決を先に送っているだけですから、いつかは行き詰まるだけはなく先に送る都度おまけが膨らむ傾向があるので最後は大変なことになります。
例えば100万円借りて返せないときに借り換えると金利や紹介手数料を含めて120万借りる・・120万返すために150万借りる〜200万円などと繰り返しているうち瞬く間に最初に借りた100万が1000万になるのと同じです。
金融緩和(金融調政策)の役割が先進国・純債権国・豊かな社会では終わっていることをここでは書いています。
億単位の預貯金を持っている人は、銀行金利が下がっても消費を増やしたりすることはありません。
政府の号令一下・・金利をちょっと下げれば設備投資が増え、住宅や各種ローン購入者が増える・・国民が政府の思うように消費を増やしたり減らしたりする単純反応する時代は終わっています。
先進国である筈のアメリカが金融政策に単純反応する社会・・ここ数年の異次元金融緩和によってクルマローン安によるクルマ購入の拡大はサブプライムローンの再現と言われているのは、新興国・・から絶え間なく流入する移民の存在と貧民層が多いからではないかと思われます。
アメリカとしては、異次元緩和を早くやめたい状況ですが、中国の破綻・・世界経済混乱を恐れて政策変更出来ずに困っています・・日本とは状況が違っています。

国際政治力学の流動化9(IMFのSDR採用)

経済政策を抜きにしてみると、日本孤立化政策の締めくくりとも言うべき最後仕上げであったTPPに日本を招き入れることになったのは,過去約30年来の対日包囲網をやめる意思表示ですから、大方針転換・・従来アメリカの御先棒担ぎをして来た国々にとっては大変な事態です。
アメリカの悪質な反日デマを守るために「戦後秩序改変を許さない」と新撰組みたいに頑張って来た韓国の立場はどうにもならなくなってきました。
幕府・徳川慶喜は大政奉還・自分だけ恭順の意を表して、新撰組切り捨て→鳥羽伏見の役になったのと同じ構図です。
アメリカは今なお強い立場ですから方針さえ変えれば、自分の本陣・連邦議会へ安倍総理を迎え入れて拍手喝采をし、「方針を変えました」と言って,その証しとしてTPP参加を認める・・広島訪問程度でことが済みますが、世界戦略のお先棒を担いで来たサウジやイスラエル、アジアでは韓国・中国が2階に上がってはしごを外された状態で戸惑っているのは当然です。
アメリカの対イラン制裁解除にサウジは怒って原油増産→相場下落攻勢でアメリカのシェールオイル生産の妨害をしていますが,この我慢比べの結果、サウジ自身の外貨準備が急速に枯渇し始めているとも言われています。
韓国は怒ってもアメリカに挑戦する力がない・・暴発して単独で日本を攻める力もないので、米中のハザマで漂流するしかない状態です。
今更スワップ協定お願いや?TPPの仲間に入れて下さいと日本に頼むみたくとも格好がつかない状態です。
西欧諸国は、アメリカにやられっぱなしの点で肚に含むところがありますので、従来からアメリカの意に反する親中路線をとってきました。
今回(5月26〜27)の伊勢志摩サミットを見れば分るように7カ国サミットなのに、会合人数9人で西欧人が(英仏独伊+EU委員長と議長?)6人を占めています。
このように多くの国際会議(理事数)では、伝統の力と言うべきか人数的に西欧諸国は圧倒的多数を占める仕組みになっています。
IMF(結局は西欧諸国多数の理事会になっています)は、中国の発展を囃して日米の反対を圧して強引に昨年末に国際通貨として人民元をSDRに採用してしまいました。
英国財務大臣は、これからは中国の時代として親中政策採用に熱心な動きをして来た等々を見ると、西欧諸国は中国経済に関する客観情報を敢えて無視して中国贔屓を来たように見えます。 
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151214-OYT8T50024.html
015年12月14日 14時28分みずほ総合研究所 長谷川 克之
IMFが11月30日に人民元をSDR構成通貨として採用することを正式に決定すると、中国国営新華社は即座に速報を打ち、「歴史的な一歩」と歓迎した。李克強首相も中国の改革・開放の成果を国際社会が認めたものとして高く評価した。

IMFは昨年11月30日にSDR採用を認めたのですが、今年に入ると世界の銀行の集まりである国際金融協会(金融プロの集まり)が以下のとおりの発表をしています。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20160509.html勝又氏の経済時評5月9日の一部から引用です。
『ロイター』(4月25日付)は、次のように報じた。
①「国際金融協会(IIF)は4月25日、中国から今年流出する資本額は5380億ドルになると見通した。昨年の資本流出額は6740億ドルだったため、流出ペースは鈍化する。IIFは最新の報告で『人民元の急激な下落が、中国との貿易関係が密接な国々など、他の新興国市場国も、競争的(通貨)引き下げを行う事態につながる恐れもある』と警告する」。
②「中国の外貨準備にも懸念が広がる。外貨準備がどの水準を下回れば、中国当局が懸念を持つようになるのかが分かっていない。外貨準備は、2014年6月の約4兆ドルから今年2月の3兆2000億ドル前後に減少した。大半の国と比べると、なお高水準だ。一方、国際通貨基金(IMF)が開発した別の算出方法を用いると、実際の準備高と必要となる可能性がある水準の間に存在する、緩衝の厚さは約2年前の50%から15%に縮小している。IIFは、『この観点でいえば、多額の資本が流出する事態が続く場合、資本規制を厳しく強化しなければ、国の公的準備が不十分とみなされる水準にまで縮小する恐れもある』と指摘した」。
「公的準備の不十分」な通貨とは言わば、ちょっとしたことで通貨危機に陥る通貨と言う意味です。
緩衝保有額・・ゆとりが15%しかないと(平均的決済必要額が85%)・・家計で言えば100万円の預金があるが、毎月85万円の収支で均衡していると言うのでは、ホンの1〜2割の臨時支出があると余裕ゼロ・・ちょっとした誤差でデフォルトになってしまう水準です。
サラリーマンの場合月収が安定してい上に病気や失業に備えた各種保険・災害保険制度がありますが、それでも多くの人が年収程度の預貯金をしているのが普通です。
40歳以上の家庭持ちで年収の1〜1、5割しか預貯金のない人の方が少ないでしょう。
収支の安定しない商売人であればすごくリスキーな資金繰り経営です。
商人の場合には銀行との当座貸越契約で一定枠の補填が予約されているので、目一杯現金制預金を持っていなくとも良いし、国の場合にはスワップ協定制度があります。
中国の場合どことスワップ協定をしているかですが,反日騒動に関連して韓国とスワップ協定をしましたが、国力規模が違い過ぎて中国が1000億ドル単位で資金不足に見舞われた場合とてもその補填能力はありません。
国の場合ギリギリ間に合えば良いのではなく、ギリギリとなれば通貨や株の狼狽売りが起きるし、そうでなくともジョージソロスのようなプロによる先物売りが膨らみ売りが売りを呼んで大暴落・・支払不能になってしまいます。
上記ロイターによればIMF基準によれば中国外貨準備は危機的状況に陥るすれすれの範囲に入っていますが、このようなリスキーな通貨を危機時のアンカー通貨の1つとしてSDRに採用した(日米以外の)IMF理事達は、自己の設定した価値基準を無視していた疑いが生じます。
IMF理事会が自己の決めた基準では、通貨危機が間近に迫っている国の通貨を安定通貨としてSDRに何故採用したかの疑問です。
中国寄りになってからの西欧諸国は従来の価値基準を棄てて、人権侵害に目をつむる、独裁運用する予定のAIIBに参加するなど従来の価値基準に反する行動が続いていました。
人民元のSDR採用決定には裏でかなり不純な政治動機が働いた可能性が否定出来ません。

量的資源に頼るアメリカ

西欧は産業革命→植民地支配によって自分の働き以上の何倍もの良い生活していた結果、収入源の植民地を失った後で本来の能力に応じた生活に戻る・・軟着陸するのに苦労しています。
日本による欧米の植民地支配批判を黙らせるために,ABCD包囲網・・更には植民地ごとのブロック経済化によって、日本を締め上げた結果、日本を戦争に引きずり込み叩き潰すのには成功しましたが、西欧は植民地をあっという間に日本に占領されて赤恥を掻いた(非支配民族が自身を取り戻した)結果、戦後植民地支配を復活出来ませんでした。
これに対する日本に対する西欧の恨みの深さが分ります。
アメリカは牧畜であれ、農業(綿花栽培も含めて)であれ、資源採掘であれ、広大な原野を切り開いた大規模運営が特徴ですが、当初これに対応する目に大規模な奴隷「仕入れ」」工業化後はドイツアイルランド等の移民に頼り、移民・・多くは未熟練者ですからこの適正に応じたベルトコンベアー式大量生産時代の幕を開けたものです。
ついでに書きますと,南北戦争は北部工業地帯の発達で奴隷労働では採算が取れなくなったことによるそうです。
奴隷とは、労働契約的に見れば、日本江戸時代の遊郭の前金制度みたいなものですから、一生分の代金前払いになり,途中でいらなくなったからと言って前金を返してもらえないし、今で言う終身雇用であるばかりか死ぬまで面倒見る義務があります。
綿花栽培労働と違って工場生産要員になると(生産して全部売れるとは限らないし)景気変動があるので、一種のリース・・働いて欲しいときだけ働いてくれる・・給金制の方が合理的です。
他方で工場労働的習慣性となるとアフリカ育ちの奴隷は(綿花摘みクライは適応しまししたが・・)そう言う習慣がないし5大湖周辺は寒くて気候的にあわないでしょうから、ドイツ系・アイルランド系の方がきちんと働けることから、この頃からドイツ系移民が急増しています。
奴隷解放の結果、奴隷の生活を見る義務がなくなった結果?巷に放り出されてしまうなど、元奴隷が解放前よりも悲惨な状態になったと言われています。
大量の人手に頼る生産方式に話を戻します。
農業や畜産に限らず資源採掘でも、この圧倒的大量生産方式と一体化して世界制覇の基礎を作りましたが、資源保有の有利さが領土拡張競争に拍車をかけて来たことをどこかに書いてきました。
アメリカの13州独立以来の領土拡張の勢いはすごいものでした。
ちなみにドイツの強国化は、産業革命の基礎となる鉄鉱石と石炭の双方を手に入れた・・領内にあったことが大きな要因でした。
鉄鉱石の出るアルザスロレーヌ地方をプロシャが普仏戦争で奪った経緯は、ドーデの「最後授業」で有名になっています。
その結果・・近くのルール地方炭田と一体化した独逸重工業化発展の基礎を得たのです。
この地域の鉄鉱石・石炭の資源争奪は普仏戦争〜第1次〜第2次世界大戦に続く独仏間の領土争いのテーマになっていましたが現在は最後に勝った?仏領になっていると思います。
EUは元々欧州石炭鉄鋼共同体で始まったことを7月2日に紹介しましたが、産業革命後必要となった資源を巡る怨恨の歴史経緯があるからです。
ロシアがアメリカにアラスカを売ったときには、まだ資源の重要性が認識されていなかった・あるいは極寒の地での採掘技術がなかったことによります。
以下はhttp://matome.naver.jp/odai/2139674489665795001からの引用です。
「1867年に帝政ロシアからアラスカを買ったときの値段はさらに安く、わずか720万ドルである」
豊富な資源力・広大な国土に見合った流れ作業方式・・大量生産時代を切り開いたアメリカは、労働者の実力以上の収入を得て来たのですが、今では先進国の収入源は汎用品から知財やソフト・文化力・・精巧な手作り品・工芸品などの重要性に移っています。
汎用品生産量で勝負する時代が終われば、人口の多さよりは資質が重要ですし、量産系資源力の相対化によってアメリカの優位性が失われて行くのは目に見えています。
物量を運び生産するには10人よりは100人(トラックや機械の量に比例)の方が有利ですが、デザインや知財や美術・金融取引等になると下手な人が百人いても優秀なデザイナーや絵描き一人に叶いません。
とりわけ大量生産系・汎用品組み立ては低賃金単純労働向けの新興国の産業となっていて、これに対応する石炭・鉄鉱石・原油等の量で勝負する資源力が国力そのものではなくなった・・相対化して来た事は明らかでしょう。
ある国単位で考えれば分りますが石炭石油・レアアース等の採掘現場が、大都会や首都あるいは高級住宅街にありますか?と言う比較です。
ロシアであれアメリカであれ、どこの国でも資源採掘現場は、人里離れた荒野あるいは禿げ山にあるものです。
国単位になると資源があると自慢しているようですが、過去佐渡の金採掘作業が囚人の仕事であったように近代の炭坑夫も過酷な労働でした。
最近コマツの重機が無人運転出来るようになっているようですが、資源採掘従事者は泥にまみれ汚い現場で、最低生活層が従事しています。
彼らが作業着のママ都会に出て来てホテルで食事しません。
採掘現場を走り回るような重機や巨大ダンプが住宅街や都会を走ることはありません。
国の果てにある資源を利用する遠くの資本家が良い思いをしているだけであって、資源そのものに従事するグループが良い思いを出来ません。
これがタマタマ同じ国内にあると言うだけであって、シベリアが別の国であってモスクワ経由で売りさばいている場合も結果は同じです。
この理を用いてアメリカは中東の石油利権の獲得に動き、いわゆる「メジャー」支配をして来たのです。
アメリカのシェールガスやサンドオイル回帰は、アラブの民族意識の高まりを背景に現地政府の力が強くなって来て、メジャー支配の旨味がなくなって来たところで、国内資源利用に変更したに過ぎません。
19末〜20世紀に成功したモデル・・量的資源(人的資源も量を求める)に頼る政策そのままです。

西欧の長期的衰退7と中国接近9

EUで言えば、共同体設立など囲い込み拡大ばかりに精出していた(・・戦前の植民地単位でやったブロック経済の再構築・・)結果、→日本企業の進出阻止に成功したとも言えますが、内容の悪い国(企業)同士合併を繰り返して規模の大きさを誇っていたような印象です。
EU成立後世界規模の関税引き下げ交渉が停滞し(ウルグアイランド失敗)、FTAなどの日本外しの個別交渉に移って行ったのはこの結果必然です。
以下年号的に並べてみますと、日本が超円高を強制された結果急激な輸出停滞→内需刺激→モガキにモガイた挙げ句にバブルに突入し、失われた20年(ただし私は酷い目に遭わされたとしても結果的に力をためるチャンスだったと解釈していますが・・)に突入するロケット発射台になったのが「プラザ合意」でした。
中国は開放にあたって、これを研究し尽くしていると言うか日本のアドバイスで?日本の轍は絶対に践まない・・為替自由化には応じない国是?になっているとの報道解説が行なわれていました。
アメリカは自由貿易の旗手と自慢しながら実際には、じぶんの弱い分野では日米繊維交渉・電気その他自由貿易原理に反する(スーパー◯◯条)輸入規制の連続でしたが個別分野の規制では間に合わない(・・自由貿易・自由主義国の看板に傷がつく)ほど日米競争力格差が開いて(欧州とはもっと開いて)来たので、日本の基礎的競争力低下を目指したのが為替の急激な引き揚げ・・日本にハンデイを負わせる仕組みの考案でした。
各種スポーツで日本選手が勝ち進むと直ぐにルール変更が相次いでいましたが、為替の強制は個別ルール変更しない代わりに日本人は片足または左手だけで戦えと言うような仕組みです。
プラザ「合意」と言われますが、会議に行くと欧米首脳間でお膳立てが決まっていて(承諾しないならもっと急激な円高誘導し輸入制規制する・・合意すればこの程度の段階期的円高で許してやると言う脅し)合意するしかなかった状況(欧米包囲網・・戦前理不尽な多数決の横暴に反発して国連を脱退したような孤立の道を歩む選択肢はもはや日本にはありません)が当時の交渉経過として知られています・・。
この前後は中国の改革開放政策の開始・ソ連崩壊前夜などが相次いでいて、欧米には主敵がなくなり日本だけが正面の敵であり、その側面攻撃に中韓を利用する世界戦略が進んでいたのです。
排日基本方針の欧米基準を知らされていた中韓がこの頃から(「もう日本は駄目だと言う宣伝を強め)自信を持って反日攻勢を強めるようになった原因です
  1984年 欧州連合設立条約草案を欧州議会可決
  1985年9月22日、G5プラザ合意(超円高開始・失われた?20年開始の基礎構造)
  1985年 シェンゲン協定が調印(人の自由化→どこかで移民を入れればその後の移動は自由)
  1986年 単一欧州議定書調印

元々EUは、経済一体化=内部自由化=対外防壁の目的で設定されていたことを隠していませんが、経済防壁である以上は守るべき相手があり・・より強い競争相手=日米に対するものでした。
日米のうちで特に勃興して来た対日競争意識で作られているので、成立直後から日本には何かと関税その他で厳しくあたってきました。
元々対日輸入規制のためのEU結成ですから、FTA交渉でも対韓国等では気楽に応じますが対日では厳しい条件をつけてそもそも締結したがりません。
放射能その他何かあると対日では、世界に率先して規制し、規制解除も最後まで応じない傾向です。
しかし弱者連合で競争の激しくない社会では域外輸出ではジリ貧・・資本不足になって来て、中国韓国系企業の資本や商品輸出には比較的規制が緩い政策運用が続いてきました・・昨日まで紹介したようにフランスに中国やインドタイなどの資本進出が意外に多いフランスがどの大統領になっても日系企業への非関税障壁がきつい・・日系企業はEUへの進出も輸出も振るわない原因です。
アメリカは何系だろうと効率の良い企業が国内にあることは良いことだとして一応自由貿易の原理を曲げない・・日系企業を受入れてきましたので、今や日米の経済一体化が欧米間よりも進んでいるようになりました。
これが→日米同盟強化の基礎ですが、本来競争力のある日系企業に学ぶよりは日本を敵視し、日系進出や輸入をEUが排斥して来たことが逆にEUの発展を阻害した・・惆落の原因のように見えます。

司法権の限界9(法と良心とは?1)

テロとは国家秩序を短時間でも矛盾混乱させるのが目的ですが、たった1つの裁判所でも勝てば今回の仮処分のように全国的影響がある・・大逆転のチャンスがあるので「司法闘争」が合法的テロを仕掛けるような役割を果たしています。
テロとは国家秩序を短時間でも矛盾混乱させるのが本質的目的ですが、たった1つの裁判所でも勝てば今回の仮処分のように全国的影響がある・・大逆転のチャンスがあるので「司法闘争」が合法的テロを仕掛けるような役割を果たしています。
政治で既に負けているので、裁判で負けて元々・・40回に1〜2回でも勝てば儲けモノ的訴訟が増えます。
ちなみに脱原発弁護団全国会議(全国脱原発訴訟一覧2016年3月15日現在)によれば、現在の原発訴訟の数は以下のとおりです。
表が大き過ぎてコピペしきれません(何日分のコラムになってしまいます)ので要約しますと、(青字のみ現在係争中とのことです)全体で41事件あって青字の部分は29件です。(数え間違いがあるかも知れませんが大方こんなものです)
都道府県の数からすれば、原発・関連施設のあるところ殆ど全てで裁判していることが分ります。
裁判官が自己の政治信条によって判断することが許されると地域ごとに変わった判決・・千葉と埼玉では同じ国政選挙が有効だったり無効だったりする矛盾した国家意思になってしまいます。
こうなると裁判官が個人的政治信条に従った裁判をして良いか・・政治に介入することが許されるかの議論の重要性が分るでしょう。
公務員の中立性の要請もその基礎は同じです。
ここで裁判官に求められている判断基準が何かが重要になってきます。
この後で書くつもりでしたがここでちょっと書いておきますと、裁判官は「法・憲法と良心のみに拘束される」のが近代法の原理ですが、主観的政治信条に(忠実に?)従った裁判をするのは「法と良心」に関するはき違えです。

憲法
第七十六条  すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
○2  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
○3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

個人の主観的信条を裁判官の「良心」とは言いません・主観的意見とはちがっていても確定判例や通説に従うのが「法や良心」に従うことです。
ただしこのままでは判例変更出来ませんから、従来の判例通説が間違っている・・社会実態の変化にあっていないので改正すべきだとの確信があれば、堂々と新判例を出して上級審の判定を待ち、最高裁の場合判例評論等の批判に委ねるべきです。
例えば特定宗教に凝っていても共産主義を信奉していても裁判官になるのは自由ですが、その教義や主義に従って憲法を無視してたとえばイスラム法に従った判決や決定・・喩えば、不貞行為の主張に対してイスラム法を引いて「男は何人妻を持っても良い」と言う判決をすることは許されません。
自分の意見は司法界の通説判例(あるいは、司法界で通用している経験則)に反していて上級審ではすぐに否定されると分っていながら敢えて主観的意見による判決や決定を出すのは(裁判官が知っている法解釈に反した行為ですから)「裁判官の良心や法に従った」判断ではありません。
本来の訴訟による判決の場合不服のある場合には、すぐに控訴出来てその場合1審判決の執行力もありませんが、仮処分の場合異議申し立てしか出来ず直ぐに控訴出来ない仕組みですから、この仕組みを悪用すれば、申立人の意見が政治意見に共鳴する裁判官にあたって主張が偶然通るとしてもそれは異端説・・一般的解釈に反していることを見越しての訴訟提起です。
上級審では直ぐにも覆ることを知っていながら申し立てする場合、申立人は、本来本案訴訟でやるべき事件をすぐに上級審に移行出来ないように敢えて仮処分制度を悪用?することも可能です。

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