中国の過大投資調整22と個人の弱さ7

中国や韓国でバブルに乗って得をしていた階層・・あるいはこのおこぼれにあずかって自分も儲けようとしていたのはどう言う階層でしょうか?
最初に投資資金を準備出来るようになった階層は、2014-8-26「成長と独裁の限界2」に紹介したとおり、成長のおこぼれにあずかって来た・・私腹を肥やした幹部や高官・・その次には、コネで就職できた高級サラリーマンなど言わば政権周辺階層になりますので、政権支持者に組み込まれた階層です。
この外周が広がれば広がるほど政権基盤が強化されます。
政権幹部は海外に大きな資金を逃していて、国内では目立たないように高級サラリーマンに少し上乗せした程度の贅沢をしていたと想定されます。
令計画氏失脚後のことですが、京都で日本庭園の豪邸を保有していたとの噂が出回っています。
裸官と言うと現金・金融資産を海外に隠しているかのように印象づけられますが、このように中国人による海外資産買いあさりの一形態でもあるのです。
金融資産の場合、政治の絡み次第で、ある日突然(コンピューター処理ですから瞬時です)凍結されて1円もおろせない・使えないリスクがありますが、(アメリカも没収までは出来ません・・凍結するだけです)不動産や高級車の場合、売買禁止は技術的に難しいし、仮に処分禁止が出来てもクルマや豪邸の使用がどうなる訳でもありません。
預金はおろせないと預金通帳だけで持っていても使い道がないのですが、処分禁止されても豪邸はそのまま使えるので、政治環境変化に強いのです。
話を戻しますと、成長の果実分配が減って来たこの数年、民の不満を受けた政権内で・共産党政権維持のために?暗闘が始まりました。
中核的支持層内で、汚職摘発名目で政敵相手に現在強烈な弾圧?が続いています。
1年ほど前ですが、海外逃亡中の裸官数百人の名簿を公開してアメリカその他に摘発要請していると報じられています。
その金額は何と何兆円にのぼると言うのですから、中国政府として(海外に恥をさらす心配など全く気にしませんので)お金も欲しいので政敵を葬るのと一石2鳥のつもりでしょう。
前主席胡錦濤の側近中の側近であった令計画氏が昨年暮れころだったか検挙されましたが、その弟の令完成氏が重要機密書類何千点を持ってアメリカに亡命中と報道されていましたが、同氏の持ち出していた資金は何千億円とも言われています・・9月24日ころから始まった習近平訪米に際して米国との交渉で中国は巨額資金引き渡し請求を放棄する代わりに身柄引き渡しに米国が応じたともネットで出ていました(単なる憶測記事かも知れませんが・・)。
令計画の弟の件は、うろ覚えですのでhttp://www.huffingtonpost.jp/2015/08/10/ling-jihua_n_7963870.htmlによると以下のとおりです。

「中国の胡錦濤・前国家主席の腹心として権勢を誇りながら2014年12月に失脚した令計画(リンチーホワ)・前党統一戦線工作部長(58)の実弟、令完成(リンワンチョン)氏がアメリカに亡命したと、ニューヨーク・タイムズが8月3日伝えた。共産党政権を揺るがす機密を持ち出したとされ、中国国内で大きな波紋を広げている。」
「令完成氏は国営新華社通信の記者だった。
中国指導者の海外での不正蓄財に関する機密資料など約2700点を持ち出したとされており、産経ニュースは、アメリカ中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者による機密暴露の「中国版」に発展しかねない情勢だと伝えている。

逃亡中裸官は今の政権にとって政敵とは言え、直近まで政権中枢に最も近かった関係者ですから、これらの粛清を始めると政権の安定性が大きく揺らぎます。
9月25日ころに書いたように、支配階層と被支配階層が明確に分離している専制社会では、支配階層内で政敵粛清の動きが始まると食うか食われるか・・トコトンやるしかないので、純化が進む・・支配階層内の多様な意見がなくなり、政権運営が硬直化して行くしかありません。
この関係を25日ころにスターリンによる粛清のやり過ぎの結果、硬直化した事例としてちょっと書きました。
日本でもこれまでの経験によると政党が純化路線を採用すると、支持基盤が狭くなる結果凋落して行く運命が待っています。
民主党が党勢退潮傾向に困って共産党との提携路線に舵を切りそうですが、(26日日経朝刊には岡田党首と共産党党首会談が報道されています)「確かな野党」も良いけれども純化に比例して支持母体は純化されて行く・・支持層の幅が狭くなって行くのではないでしょうか?
高官・・トラ退治までやっているのは、習近平政権の強さを表すよりは、むしろ食うか食われるかの瀬戸際の攻防が続いているから、政権の方も支持基盤の幅を削ってでもやれるところまで目一杯やるしかない状態に追い込まれていると解釈出来ます。
最近護衛兵をイキナリ(中隊か小隊規模で)入れ替えたり、身辺警備関係さえ信頼出来ずピリピリしている習近平の必死の様相が伝わってきます。

中国の過大投資調整21と個人の弱さ6

庶民に高値で株式をつかませてしまって(高値で売って利益を得た階層が反対側にいます・・株売買の損得は新規参入者からの所得移転が行なわれたと言うことです)から値下がりして庶民がいくら困っても長期的にボデイーに利いて来る程度ですから、目先の政権維持に必要な権力周辺層の救済に必死の政権は超短期的政策として庶民救済を重視しません。
時々政府資金投入期待でバブル再燃させることによって、投機心の高い個人にまだもっと儲けられると期待させて、在庫(株式)の多くを末端個々人に売り抜けさせる目的のように見えました。(この辺は5月ころに書いてあった原稿です)
実際に今年前半には値上がりした株を元手に多くの不良債権処理できたし、焦げ付き先が減った・・金融機関の業績が良くなっていると言われていました。
一般企業は相場上昇前提に新株発行が出来て巨額資金を吸い上げられたので、不動産相場下落の損失や過剰生産による赤字販売損失を穴埋め出来て延命出来たし、金融機関に対する当面の返済資金になったようです。
要するに、庶民の資金投入によって政権周辺や赤字輸出継続資金を確保したことになります。
個人も一定の資金余力のある階層は、株の儲けでマンションの損失穴埋めできたでしょうが・・マンション購入後、相場下落で困っている人の中で、更に株に投資出来る余裕のある人はごく少数でしょうから、この分、新規参入庶民から企業や富裕層への所得移転が進んだことになります。
(ただし、信用取り引きの場合、少額資金で大きな取引が出来ます・・・上海市場では信用取り引き比率がバカに多いと言われていました・・)
後世、国を挙げて・・庶民まで参加して可哀相な経営不振企業やマンション値下がりで困っている富裕層を助け合ったと言う美談になるかも知れません。
この裏腹の関係で6月以降の株価下落で新株発行(資金吸い上げ)はぴたりと止まっていますから、資金繰りの穴埋めが止まっています。
大企業の大方の株が売買禁止になっているので値下がりしていない・・庶民は売って現金化出来ないものの名目上は下がっていないので、今のところ名目上は大きな損をしていません。
現金化すれば、暴落した結果、信用で買った金額との差額決済が出来ません・・損失現実化の先送り政策ですから、高値づかみした多くの国民に不満はありません。
この逆の取引相手はどうなるかと言うことですが、信用取り引きの決済出来なくても、デフオルト扱いしない通達が出ているらしいですが、・・不足証拠金の積み増しや強制売却させないと言うことでしょうか?
不足証拠金補充要求→強制株売却処理が売りが売りを呼ぶ・・下落が下落を呼ぶ連鎖関係ですから、言わば市場のこの自律運動を強制停止した状態ですが、停止期間6ヶ月過ぎたらどう言う形で再起動出来るのか不思議です。
6ヶ月後に再開して下落幅が今より大きくなっていた場合、証拠金不足が大きくなり過ぎて決済出来ないでしょうから、その時点で証券会社が大きな損失をかぶってしまいます。
そのころの報道を忘れてしまったのですが、証拠金ではなくその他の担保(・・例えば不動産?)でも良いと言う形式だったように思いますが、これではすぐに換金処分出来ないので、即時的決済が必要な株式取引資金には間に合いません・・不動産が売れるまで証券会社がその差額資金拠出を立て替えるしかないとすれば証券会社には資金的に耐え切れないでしょう。
新規の「信用取り引きをするな」と言うのと同じですが、この辺のカラクリは複雑過ぎてよく分りませんが、全面デフォルトならすっきりしますが一部取引停止だと誰かがババを引くしかないので、却って複雑に連鎖して行く筈です。
その内に先送りの咎めが出て来るでしょう。
政府に言わせれば、庶民から資金を吸い上げて助けるべき企業は大方助けたから、この後は淘汰に任せても良いと言うことだったかも知れませんが、このまま大暴落のスパイラル現象を放置・無視出来ないので、何かしている振りをするしかないことと、半年先には何とかなるだろうと言うその場しのぎで一部売買停止にしたのかも知れません。
裾野の広い産業や個人に幅広く(信用取り引きまでさせている・深く)バブルに参加させてから破裂すると、個人は貯蓄を失うだけではなくマイナスになるので、購買力の復活・・国の底力の復活は遠い先のことになります。
ダムが決壊すれば大事件ですが、個々の水田の水が満杯になって周辺水浸しになっても短期的には大したことにはなりませんが、浸水状態が長引けば底力の消耗は大変なことになります。
この辺はAug 23, 2015に紹介した唐成氏の論文によっても、個人は取られる税に匹敵する税サービスを受けていない・・・徴収した税を企業等への配分をしているデータが紹介されているように、個人は救済対象ではなく搾取・食い物対象の社会です。
我が国は個人が企業等から徴収した税による受益の方が多いのですが、中国では全く逆の運営をしているのです。
これを韓国がやり、表面上うまく行っているように見えたので・・ソフトランディングの極意だと中国は理解して真似していると私は思っています。

中国の過大投資調整20と個人の弱さ5

値下がりマンション等のローン支払限度が来るまで社会は何とかなります・・そこで庶民に負担を押しつければ企業と違って先送り出来ますが、一定期間経過で庶民も限界がきます。
この救済も兼ねて株で儲けて下さいとやったのが株式相場の煽り政策だった・・この売却益でマンション購入者の多くが救済された筈です。
今朝の日経朝刊4pには、編集委員名で中国政府が、投資に偏っている経済構造から消費社会に移行させようとしたが、消費するには庶民に金がないので、庶民に豊かになってもらうために政府が株式購入を勧めたに過ぎない・・人民元切り下げ同様に裏目に出て気の毒だと言う例の中国政府擁護の論文が出ています。
しかし、庶民同士が資金を出しあって、金儲けした気持ちになってもその論文で書いているとおり、溺れかけているときに自分の髪の毛を自分で引っ張り上げているようなもので、金持ちから庶民に金が回ることはあり得ない・・逆に困っている中間層や資本家に庶民から金を回す政策・・この論文は無理なこじ付けです。
人民元切り下げは、IMFの要請に従っただけだが、タマタマ株暴落と一緒になったので、世界に誤解されて気の毒だったとか政府による株投機勧誘の言い訳と言い、無理な中国政府擁護論ですが、この株上昇期待に庶民が殺到して爆買いし、(庶民が買った分誰かが売れているのです)これに対して売り逃げ出来た階層がある事実は変わりません。
いつも書くことですが、中国政府はいつも一石二鳥を狙って自己満足しているのですが、(独裁政権下の国民は「大したものだ」と賞讃するしかありませんが・)世界はその本音の部分を嗅ぎ取ってしまうだけのことです。
この錬金術も終わり次の転嫁先がなくなっている・・庶民の懐まで食い尽くしたら最後でしょう・・のが現在ですが、大勢が失業したりする大企業や中堅企業の倒産とは違いますが、社会全体の活力にじんわりと利いてきます・・これが韓国バブル崩壊後の内需貧困・消費減退・売春婦輸出大国になった原因と思われます。
中国の場合、韓国とは違い、・・9月25日書いたように「あんたの言う通りにしたのだから、結果責任をとってもらおうじゃないか」と言う行動に出られる点が違います。
2014年8月28日に紹介したように人民の方も政府を信用していない・韓国に比べて目先が利きますから、政府が開発業者に融資して在庫一掃を目指していて「夢よもう一度!」と煽っていても、買い手が減って来て在庫が膨らんでいる様子です。
中国も韓国に習って個人に少しでも多く売ってしまえば、それだけ企業の破綻が少額になり、派手なバブル崩壊(企業倒産の連鎖→金融機関破綻)は防げます。
中国としては、日韓の例を充分勉強しているので、日本のように下手なことはしない・・(最後は庶民に付け回して)うまくソフトランデイングできると言う自信があるかのように宣伝していました・・日本のマスコミやエコノミストがそう言っているだけだったのかな?
私の方は中国語の報道を読めませんので・・・
25日に書いたように独裁政権は権力・強制力の強さに比例して民意に敏感であるべきですが、危機的状況になって来るとそんな余裕がありません。
開き直って行くしかないので、体制強化・・軍事公安に力を入れることが先決です。
独裁政権の特徴は、苦しくなれば開き直り・・政権内の粛清・・国民に対しては弾圧強化、海外には強面等が普通の行動パターンなる点でしょうか?
外交交渉もロシアの例を見れば分るように国際的に孤立していて苦しくて日本との友好関係樹立が喉から手が出るほど必要になっているのですが、そうなると却って北方領土で挑発行為をしたり、領海侵犯等の挑発行為が激しくなるのですが、韓国も中国も似ています。
中国も困れば困るほど尖閣諸島で強硬に出て来るし、韓国も困っているからこそ日本攻撃をより激しく繰り返しているのです。
数日前には、高校教科書に慰安婦問題を書くように強制することになったと報道されています・・日本人の感覚では、こうなると日本を頼るしかなくなっているのに、何をやっているんだ!と言うところですが、彼らは日本に頼るしかないとなれば余計激しく攻撃して来る政府です。
「つべこべ言うな」「俺に任せておけ」と威張っていると困ったときに本音で相談出来なくるのが普通で、国内向けにはいつも大成功している姿しか見せられず、(でっち上げ統計発表を繰り返すのも国内向けに必須で)空威張りするしかなくなるのです。

中国の資金枯渇24とAII4

輸出基地として投資していた外資にとっては、輸出出来なくなったら資金を寝かせておけませんので、資金流出が激しくなるので資本収支的には二重苦が始まっています。
中国はアジア危機を勉強した結果、いわゆるホットマネー流入を制限しているので資金流出の心配がないと言う立場で反日暴動を仕掛けたのですが、直接投資マネーであっても暴動を仕掛けられるようなところに継続的投資は出来ません。
釣った魚に餌をやる必要がないと言う静的経済を基準に考えていたのが中国ですが、現在は絶えざる投資継続・最新技術による設備更新がないと企業経営が成り立たない時代です。
反日暴動後は後に続くべき(計画中の投資は続けるしかなかったのですが・・)日本の対中投資新規計画はぱたっと止まってしまいました。
反日暴動で酷い目にあったパナソニックは、あれだけ巨額投資した中国から損をしてでも引き上げる決意をしてしまったことが大分前に報道されていました。
日本から中国への投資額が反日暴動以降激減していることをMay 22, 2014「対外紛争の得失2」に、紹介したとおりです。
今朝の日経新聞朝刊7pには、昨年まで激減していた昨年に比べても今年1〜8月の日本の対中投資は前年同月比28、8%減と出ています。
米国からの投資は19、6%減ですが、欧州からは14、4%増となっていて、なお中国への投資を増やして日米の穴埋めに働いている構図ですが、昨日書いたようにドイツ車の売れ行きが急激に落ちて来たので、この先も投資が続くかは危うくなってきました。
ただ、投資額増減の%比較では絶対額が不明ですが、絶対額の大きい日米の穴埋めには、力不足でしょう。
まして、今後中国は、中間層の増加・・消費者向け身近な製品・サービス社会に移行して行くしかないことは否定出来ません。
・・これが訪日客の爆買いの基礎ですが、日常サービスのきめ細かさでは、ドイツ製品はゴツいばかりで、日本の足元にも及ばない状態です。
日本は江戸時代・・その以前から消費者主導社会の蓄積がありますし、今でもドイツでは、消費社会としてみればひどく低調です。
自国のサービス水準の低い国が、消費・・サービスの提供国になれる訳がありません。
今年でも昨年よりも減ったとは言え一定の対中投資が続いている理由・・この点に着目した日本のサービス関連の中国進出が今も続いている理由ですし、消費系に強い伊藤忠の中国進出判断基準であることをどこかに書いたことがあります。
中国は資金不足の実態を知られたくないために、数十年にわたって赫赫たる成長ばかり強調してきましたが、(企業で言えば株価維持のために粉飾決算しているような状態)アメリカ国債保有額減少をアメリカに発表されて馬脚を表した状態です。
日本マスコミは優しいので「最近中国は外貨準備を分散している」と中国に代わって?言い訳していますが・・。
続けてドイツ財務相によって、(6月1〜2日に紹介したように)借入金が27兆ドルも増えていると報道されてしまうなど、目も当てられない状態になってきました。
中国の外貨準備発表は当てにならないので、結局はアメリカ国債の増減率がほぼ正確と思うと以前から書いています。
国威にこだわり且つアメリカ国債を多く持つことがアメリカに対する発言力と考えている中国が外貨準備を取り崩す場合、アメリカ国債を手放すと目立つので出来るだけ最後にする傾向があるからです。
即ちアメリカ国債が2割減っていれば、その他の外貨はもっと減っていると見るべきでしょう。
日本のマスコミは何千万と餓死者が出ていても毛沢東の大躍進政策を大成功していると報道し、文化大革命や毛沢東語録を賞讃し続けて真に受けた若者が毛沢東語録を持ち歩くことが流行になっていましたが、中国を賞讃しないといられない性質・・裏でどう言うつながりがあるのか不明・・があるようです。
今朝の日経新聞29pには、8月11日以降の中国による為替切り下げはIMFの要求に応じた合理的なものである・・株式暴落に狼狽したものではないとする従来チラチラ出ていた中国擁護論を紙面1p殆ど全部使った専門家の論文として掲載しています。
専門家の論文形式をとろうともそんな噓っぽい主張を誰も信じないでしょう・・日本の場合昔から一般国民レベルが高いことを、まだ中国政府関係者は(自国民がそうですから当然ですが・・)もちろんのこと、日本人でも、日本マスコミ・文化人は「庶民はバカだから誘導すれば良い」と言う外国の意見そのまま受入れているので、いつまでたっても、気が付かないのです。

資金枯渇22とAIIB2

もしも中国自身の資金枯渇による危機が迫っていたので、これを隠して新興国のための国際機関だと銘打ってAIIB構想を打ち上げていた・・・日本等の資金豊富な国の資金を取り込んで自国内投資継続のために流用しようと計画していた場合には、言わば、投資勧誘詐欺の国際版っぽくなります。
本部を北京において諸外国の理事は常駐しない・・開発案件の決定は本部の総裁が専決処分または持ち回り決議で行なう?
北京政府の思うままに資金運用する仕組みにこだわったまま発足させました。
4〜5月ころにの多かった日本マスコミの意見は疑念があるならば参加して内部から改革意見を出して行けば良いと言う中国応援の意見でしたが、設立段階で参加をお願いしなければならない弱いときにさえ、相手の意見を1%も聞かない・聞けない(政権が弱いから逆にどんな意見も聞き入れる余裕が無い)中国が、実権を握ってから改革意見を聞くようになることを期待して先ず資金を出すべきだと言うのは矛盾しています。
日本マスコミや文化人は国内では透明性を主張するのに、対中国や韓国になると巨額の資金・税金をつぎ込めと主張する基準が何故こんなに甘いのか二重基準の激しさに驚きます。
AIIBの運営は上記のとおり不透明きわまりないものですが、これら制度設計に対する諸外国の懸念にも全く応えようともしないまま発足させてしまいました。
透明な組織・・合議体運営にするのでは、外国資金を思うままに使いたい中国にとって敢えて新設する意味がなくなるのは当然ですから、国際批判を無視したまま何の修正もしない見切り発車は、中国の露骨な態度表明と理解するしかないでしょう。
「いやなら参加するな、工事発注しないぞ!」「工事発注も(中国式賄賂やコネ次第で)好きなようにする憎まれたら後が怖いぞ!」と言う脅しで乗り切ろうとしているように見えます。
中国政府のご機嫌を損ねないように今から何も言わないで参加するかどうかで「その忠誠度を見るぞ!」と言う専制君主的態度表明です。
そうなると資金力のある国・・日米はそんな機関に金だけ出すようなことはしません。
この脅しにまんまと引っかかったのが事大主義・・中国に隷従して来た歴史の長い韓国政府です。
見切り発車した者の、ホンのちょっとの設立資金を出して工事参加のおこぼれをその何倍も得たい国ばかりが参加して設立して開発機関が動き出しても資金的に成り立ちません。
工事受注の何倍も資金を出せる日米の参加が不可欠なので、日本の参加表明を待つために参加閉め切りを伸ばしたりしてきましたが、日本が求める制度設計修正には頑として応じられません・・民主的運営に修正したら何のために中国主導で国際機関を作るか分らないと言うことでしょう。
そこに中国の設立目的の本音が透けて見えます。
この関心があるので、AIIB参加を熱心に主張する日本マスコミ報道が激しくなったことに関連して4〜5月ころから、中国の資金不足をテーマに書いて来ました。
その間にいろんなことが挟まってしまい、その間に私の心配していたとおり株の暴落になったので中国の資金不足が明らかになって来るとAIIBに参加しないとバスに乗り遅れると、日本人の不安を煽るマスコミ報道も今ではさすがに勢いがなくなりました。
AIIBI参加への煽り宣伝が下火になったとは言え、中国の資金不足→将来性をどう見るかの基礎理解としてその内実を知っておくことは重要ですので、もう少し見て行きます。
粗鉱製品・石化製品など作り過ぎた資材・製品のはけ口の外に鉄道や港湾工事その他のインフラ工事設備も作り過ぎたので・・出血輸出先を次々と探すしかないのが中国の現実です。
・・際限なく拡散して来たものの、国内では限界が来たし、資金的にも限界が来たので、・これを世界大に広げるつもり・・先送りするつもりでしょうが、対象をより大きく広げてもいつかは限界が来る・・世の中に際限のないことはありません。
過大投資の中止を先送りすれば、先送りした分に比例して過大投資した関連業界が増えて行き、破裂した場合の影響が幅広く大きくなって行くしかありません。
出血事業拡大繰り返しの咎めがその内に出そうだ・・出る筈と書いて来たのが5月ころの連載でしたが、国内ではこれ以上転嫁するべき産業がない・・そこで昨年暮れころからは、「庶民の懐まで(庶民に株投機を勧めるようになった人民日報報道を紹介しましたが)当てにし始めたと思われていました。
この動きに「庶民の懐まで当てにし始めたらおしまいだろう」と恐れをなした国際資本が逃げ始めた・・中国としては資金不足が現実化して、なりふり構っていられなくなって来たのが、昨年秋からの中国経済と想定されます。

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