日本では砂川事件大法廷判決でアメリカで発達していた統治行為理論が採用されたことが知られていましたが、この統治行為論自体・・憲法分野でも司法の限界をきっちり議論していたことになります。
日本では裁判を受ける権利があると言えば一般的には天下御免の印象ですが、これにも司法権に内在する限界があるのです。
砂川事件後50年ほども経過した今、アメリカ式の厳格な司法の限界論「戒律」的理解・・統治行為論があやふやになってきた印象です。
労働事件で顕著なように「管理職」にすれば労働法の規制適用対象外になるのではなく、具体的な業務内容によるので「本質は細部に宿る」時代です。
部分社会論は、司法審査の限界をいうのに初期的には便利な概念でしたが、今や具体的争訟内容によって司法審査の及ぶ範囲を決めていくべき時代に入っているのでしょう。
日本では社会常識的・・政治的に支持を受けられない少数者が「訴訟に訴えれば何とかなる」というか、ともかく納得していない意思表明のための願望的訴訟が伝統的に行われてきた傾向があります。
現在の「違憲の安保法を許すな1」と言う大合唱も同じ流れの印象です。
社会全体がそうなのなか、そういう(往生際の悪い)人は極く少数なのに反体制派が極く少数者を炊きつけて訴訟を起こして来ただけか分かりませんが・イサギ良くない・印象・・いわば甘えの構造です。
一神教原理の厳しい社会構造のアメリカでは、政治は政治の場で争うべきであって、政治の場で負けた以上は潔くすべきであって、訴訟の場で蒸し返し的争いは許さない価値観がはっきりしているようです。
潔いと言えば、大統領選挙で息子のブッシュに負けたゴア元副大統領が選挙開票作業の不正?がとり沙汰されていましたが、勝敗が決まるとこれを争わず潔よい姿に感銘を受けた記憶があります。
16年の大統領選の敗者クリントン氏も、ロシアの選挙介入疑惑について自らは一切発言しないのはアメリカのこうした価値観を踏まえたものです。
また日本に対して歴史修正主義ということがよく聞かれましたが、アメリカにすれば戦争の勝敗が決まった以上、(日本人は嘘で固められた東京裁判は許せないという気持ちですが)それを蒸し返すのは狡いという意味でしょう。
日本政府も蒸し返すのではなく、勝負がつき降伏した以上は潔く敗者に甘んじてきました。
数年前の日韓合意にアメリカを立会人と決めたのは、安倍総理がアメリカのこうした性格・価値観を利用したものと見るべきでしょう。
「権利の乱用は許されない」という当然の限界が、日本では忘れられていろんな分野で権利だけあえて強調されている印象が最近強くなっています。
クレーマーやモンスター保護者も同じで、客である以上は何を言っても食い下がってもいいという乱用形態がこの10数年以上一般化してきました。
「裁判を受ける権利」という名で政治分野で勝負がついた問題の蒸し返し的訴訟をしょっちゅう行っている訴訟マニアっぽい行動形式もこれに似ていますが、これは昨日まで紹介したアメリカ式ルールによればスラップ訴訟にかなり近いことが分かります。
韓国では一旦被害者になるととてつもなく横暴になる傾向があり、弱者ビジネスという言われ方もされていますが、日本でも被害者ビジネス・・古くは同和を名乗りさえすればなんでも通る時代がありました。
今では生活保護受給者などの窓口で「弱者をバカにしている」などと騒げばなんとかなる・・クレーマーやモンスター保護者というのはこの範疇です。
韓国のニュースを見る限り一旦弱者になるとその強引さ驚きますが、権利があることとその限界を弁えない点で、原理が同じです。
訴訟での蒸し返しと言う点では意外に日本左翼系の訴訟好き(ただし個人相手の場合にはスラップ訴訟として日本でも賠償金支払いを命じられることが多くなっていますが政府相手ならば、乱用しても良いというイメージです)と似ていてその共通項は「権利」主張という言葉に陶酔している点でしょうか。
昨日紹介した通り、スラップ訴訟の対象は強者が個人を訴える類型ですが、原発や行政訴訟は弱い個人が損をするものではないですが、(全国一斉原発訴訟などを見ると)大手企業だって訴訟対応コストは大変なものですし、あるいは政府もむやみに訴訟されると国民の税金で訴訟対応しなければならないのですから、一般国民の立場としてもいい加減にしてくれという声が起きてくるでしょう。
ただし反原発の政治闘争をしているという一般的イメージ理解とは違い、個別具体的危険性・・許可基準に違反していないかの争いとすれば全国各地別々に訴訟するしかないので、嫌がらせ訴訟とはいえません・・念のため
何故政治闘争というイメージが広がっているのかですが、弁護団などが「裁判闘争」と名打つからではないでしょうか?
裁判闘争に触発されて左翼とは逆の立場による昨年から発生しているのが、各地弁護士会宛の大量の懲戒請求・・乱用行為でしょうか?
左翼の各地原発訴訟やいろんな反対のための裁判闘争は?一応大義がありますが、右翼系による大量懲戒申し立ては、主義主張に反するという一種の業務妨害目的性が顕著な印象です。
公的団体である弁護士会としては損害賠償請求までは政治的判断(大阪弁護士会の橋下弁護士に関する最高裁判決で厳しく制限されています)で?出来ませんが、今回対象にされた個人弁護士の一部は、損害賠償請求の訴え提起したと報道されています。
11月24日現在のウイキペデイアの懲戒請求に関する記事からです。
特定の弁護士への大量懲戒請求
「ネット右翼#インターネットのデマ」も参照
東京弁護士会が2016年4月に出した「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」に賛同したとみなされた複数の弁護士(佐々木亮や嶋崎量など朝鮮学校の訴訟に対し関わっていない弁護士もデマでターゲットにされた[13])に対し、2017年以降約13万件の懲戒請求があったことが明らかになっている。
・・・この大量懲戒請求に対して神奈川弁護士会所属の神原元ら二人の弁護士[20][21][22]、東京弁護士会の弁護士一人が訴訟を起こした[23][24]。
大量懲戒請求がメディアに取り上げられた発端の佐々木亮、北周人は900人を超える請求者に対して訴訟を起こすことを決めた。
東京弁護士会に所属する在日コリアンの弁護士が起こした裁判では原告側の主張が認められ人種差別的な理由による懲戒は違法であるとの判決が出され、33万円の慰謝料の支払いが命じられた。またこの裁判には被告となった男性は欠席、答弁書を提出しなかった[25]。
懲戒請求を行った者の年齢は1番若くて43歳であり40代後半から50代後半が多く60代、70代もいるという[26]。NHKの調査では懲戒請求した人物の平均年齢は55歳で6割が男性という。
高齢者が、ネット弱者=左翼系マスメデイアの支持者と言われていたのですが、上記NHKの調査によれば実態は違っているようで驚きました。
ただし、弁護士会が懲戒請求者のプライバシー(氏名等)を開示するとは思えない上に、誰かがリークしたとしても懲戒請求には生年月日記載不要(例えば千葉県の弁護士会会規を見ると生年月日を記載するとあるのですが、請求書に生年月日を書いてくる人がいないのですが、うるさいことを言わずにそのま受理していることが多い)ですから、リークする前提資料がないのでNHKがどうやって13万件に及ぶ請求者の年齢調査できたのか、根拠・客観性不明です。
NHKが根拠ない記事を発表しているのか、NHKが報道していないのにウイキペデイアの憶測記事かも不明です。