日本の対応1(工夫による対処)

日本企業・国民は公害になると言われれば田舎に引っ越すのではなく、脱硫装置や騒音・消臭防止に工夫しますし、川や海の水が汚れたら水源に樹木を植えたり工場や生活排水を規制して、水質浄化に努めます。
江戸時代に幕府は森林伐採を厳しく規制していましたし、火力・・薪炭需要が増えると武蔵野に雑木林を作り、循環型の火力資源を工夫してきました。
資源が枯渇すると言われれば省資源化努力し、労働者不足・低賃金競争になれば自動化・ロボット化工夫、少子高齢化すると言えば高齢者も働けるように工夫して行くのですが、欧米では新たな環境適応よりは外部環境の取り替えに関心が行くようです。
中国が低賃銀で競争して来れば、アメリかもEUも移民を入れて低賃銀競争にする・・言わば移民導入による低賃金競争・高齢化対策は、欧米の事業モデルでしたから、欧米モデルを何でも有り難がる日本の識者・マスコミが同じ政策をすべきと言う合唱になっている原因です。
日本マスコミやインテリは欧米の真似をすることが進歩的・合理的であり、これに異議を唱えるのはポピュリズムと言う烙印を押したがるスタンスです。
移民導入による目先の値下げ競争・高齢化対策等々の限界・・西欧での移民反対論の高まりは移民による誤摩化しが限界に来たことを表しています。
日本は移民導入→低賃金競争に参加しないで、持ち場持ち場ごとに歯を食いしばって部品高度化やロボット化で,あるいは高齢化も凌いで来ました。
実際に私の周囲でも70歳前後でまだまだ元気に働いている人が一杯いるようになってきました。
世界標準が65歳以上を高齢化率とカウントしているようですが、日本ではこの15〜20年の間に多くの人が高齢化に備えて意識変化・・適応していて75歳くらいまでは元気な人の方が多いように見えます。
移民で誤摩化す・・外国人を働かせて自国民を失業させておく・・欧米人は元々怠け者が多いからそうなったとも言えますが・・よりは、日本人がこの仕事はイヤだなどと言わずに持ち場持ち場ごとに身近な道具類をより便利にするための細かな工夫する習慣を利用して最末端の人にまで工夫のチャンスを与える日本のやり方は、大げさに言えば研究環境その他働ける場所を増やす良い対応だったと思います。
日本はプラザ合意以降の環境激変に対して、欧米流に言えば外部環境激変に対して、欧米のように移民を入れたり資源を略奪したりせずに、しかも輸入障壁を儲けるどころか、円高が逆に進んで行ったのでどんどん安いものがはいって来ていました。
言わば二重苦(同時に自由貿易を推進する機運が衰えて日本外しのFTA包囲網もあり)三重苦でしたが、それでも移民や通貨安に頼るよりは国内で力を合わせて何とかしようと頑張って来た成果がこの数年で出て来たと思えます。
おいしければ国産野菜の価格が中国産の何倍しても買い求める人が増えています・・これこそが日本人の努力の成果ですし、中国人よりも高い労賃を貰っても正当化される基礎です。
欧米は(腕力があるのでツイ競争力のある日本排除の誘惑が働くのでしょうが)テストでカンニングがバレれば、監督官変更を要求するようなやり方・・スポーツで負ければルールを直ぐに変えて来ることがはやりました。
欧米は自由競争と唱えながら日本に負けるようになると、EU結成による安易な輸入障壁造りに頼っていたことになります。
・・例えば独仏の貿易で見た場合、EU結成の結果独仏間の貿易は国内扱いで関税がなくなる・・他方で日本からの貿易には国外扱いで高率関税がかかるやり方で差をつけてきました。
一方で移民・低賃金労働者増加によって中国などの低賃金攻勢対応→製品価格下げ競争に対応して来たのですが、製品工夫で競争優位に立つ努力を二の次にして、値下げ競争に入った商店・・従来と同じラーメンやお菓子の味の工夫に注力せずに単純に値下げ競争しているようなもの)同様で将来性がありません。
競合料理屋に負けているからと言って、従来の高給取りの職人を解雇して2流の職人や贖罪に入れ替えて値下げしているともっとだめになります。
日本でもアメリカの真似をして農地の統合で大規模化・品質よりも量産する運動が戦後盛んでしたが、アメリカと同じ土俵で戦うのでは、規模拡大しても(国土が狭いからではなく、河岸段丘平野の特性で農地・水田大規模化に無理がある)知れていて品質が劣化する一方ですので(米で言えばいわゆる標準価格米が席巻したことがありましたが・・まずくて米離れが進みました)、勝ち目がないことが明らかです。
狭い農地でも手塩にかけておいしい牛肉や果物やキュウリ、トマト,サクランボなどを作った方が勝ち目があることに気づいたのが日本の農民です。
大規模化共同仕入れなどにこだわって個の工夫を認めない農協の衰退は当然の結果です。
世界の覇者の歴史あるいは個々人の成功の歴史・・近代で言えば、イギリス海軍力による世界支配、アメリカの資源+中程度の技術+広大な国土=大量生産・大量消費方式、中国の人海戦術・・それぞれ新規挑戦者にはそれぞれの総合条件に適した挑戦スタイルで急成長出来たものです。
野球で言えば王禎治の1本足打法がその典型ですが、持って生まれた筋肉の方向性その他の総合力発揮でそうなっただけであって、違う人が真似してもどうにもなりません。
落語で俳優でも、政治家の語り口でもその人の個性を生かした演技・表現力が決まって来るもので、個性の違う人が成功者の真似をしても二番煎じでうまく行きません。
国家間競争もアメリカは、その条件下で世界覇者になったのであり、中国がいま台風の目になっているのは人海戦術と言う武器です。
中国の挑戦に対応して同じ低賃金競争をするために条件の違う中国の真似をしても失敗する・・中国の下風に立つしかありません。
低賃金国の中国から仮に移民を入れて労働者の半分も入れ変えても中国で作るより安く出来ませんから、当面自国民しか雇っていない競合他社よりも有利と言うだけで対中競争力はつきません。
移民導入反対を01/04/02「外国人労働力の移入1」以下あちこちのコラムで書いてきましたが、100人の従業員のうち10人でも移民を働かせれば、国内同業他社(同じ駅前商店街内の競争相手)より有利になるだけで賃金競争で中国と戦う限り対中競争力がないことは日本でも同じです。

欧米と日本の対応6(欧米の移民受入れ3)

移民の推移については以下の記事から引用します。
グラフをそのまま引用し難いので解説文字だけの引用です。
グラフなどご覧になりたい方は如何に直截あたって下さい。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1171.html
「人口動態の推移から、近年、ヨーロッパ先進国で移民流入が増加していると見られる点について図録1172でふれた。先進国全体では図録1171bで見た通り1990年頃を境に増加テンポが早まっている。ここでは、直接各国の移民人口の比率がどのように推移しているかの図録を作成した。」
「図を見れば、いずれの国でも移民人口の比率は上昇傾向にあることがよく分かる。欧米の多くの国で10%以上の高い水準に達していることが分かる(図以外の国を含めて最新年の移民人口比率については図録1170a参照)。」
上記図によれば、イギリスなどでは、移民比率が12〜3%に達していますが、移民して来るのが、男女共に働き盛り若年層が多いので、(元々の国民の場合、人口の過半が小さな子供や老人,家庭内の主婦層ですから)実際に町中で見かける人口比では、2〜3倍以上ですし、その上異民族の場合生活態度や発音から目立ち易い印象になっているでしょうから大変なインパクトです。
日本でも(住宅街で)中国人数人が自転車等で大きな声で話しながら通ると言語からして違うので、実人口比以上に非常に目立ちます。
京都など観光地に行くと(実際には日本人の方が圧倒的に多くとも)中国人ばかりかと間違うほど賑やかです。
欧米の移民受入れ急増時期を年代的に見れば、欧米で進行した少子高齢化進行の緩和目的もあったでしょうが、90年代以降ですから、まさに中国による低賃金競争の影響が出て来た頃と同時期に移民受け入れが急テンポになったことが読み取れます。
若年層を増やして若年労働力が人口比の見かけだけ一時的に増えても、問題解決を先送りしているだけであって、低技能労働者が高齢化し始めると(底辺層は高齢化してからの生活費・・最低の年金掛け金・・貯蓄が不足するのが普通です)増えると社会保障負担が増えてその次の世代が経済的に困窮して行きます。
20世紀に入って以降の欧米の歴史をみると、外部環境の変化に対し日本人のように適応努力しないで、外部環境を整備し直せばいいと言う対応であったように見えます。
テストのカンニングがバレたら、今度バレないように工夫する対応です。
日本では万年以上前の縄文遺跡・文化の延長上に現在日本があり、有史以来古い文物をそのまま大事に修復して継承してきましたが、日本以外の世界文明発祥の地がいずれも荒れ果てた砂漠になっていてその継承者達は今でも環境を破壊し尽くせばゴーストタウンにして移住する習慣で来たのとの違いです。
現在中国も飲料水がのめなくなるとこれを解決するよりは首都移転や長江から水を引っ張って来るなど外部環境整備が計画されています。
日本が台頭すれば日本を叩き潰せば良いし、資源が枯渇すれば資源国を支配すれば良い(イラク戦争など)・・普通の英国人が植民地に行けば多数の現地人を奴隷のように使える状態・・植民地を失えばその代わりに自分が働くようにならず、旧植民地の人民を超低賃金でベビーシッター等として本国に取り込んで使う・植民地支配の内部化です。オリンピックなどで「どうだこんなスポーツ出来ないだろう」と威張っていたら日本が参加して来て負け始めるとルールを変える・・それでも間に合わなくなって来るとアフリカ人などを自国選手に登録して自国の金メダル獲得数を誇る・・移民に働かせる製造業のハシリです。
自分が強いときには「自由競争が良いぞ!と主張しておきながら、戦前日本に負け始めるとイキナリ植民地を利用した経済グロック化したり、ブロック化がイケナイとなるとEUと言う疑似国家的組織を作り、内外格差障壁を人工的に作り人件費競争に負けると低賃金の移民を入れるなどやってきました。
米欧のやり方の共通項として言えることは、自分自身が改善努力をする気持ちがあまりない・・もしかしたら改善する能力がないのを知っているから外部環境を変える方向へ努力して来た歴史と見えます。

国際政治力学の流動化6(FTA→TPPヘ1)

日本は、円高誘導とFTA包囲網に対して円高を利用した海外資本進出による迂回輸出と高度部品輸出で包囲網をくぐり抜けてきましたが、(EUの障壁をくぐるためにイギリスに工場を設けたり、アメリカの防壁をくぐるためにメキシコに工場を設けるなど)日本の部品輸出・・小さな穴からの輸出・・BtoBで凌いで来ました。
Tppは結果的にこの穴まで目詰まりを起こさせる試み・・包括的に日本の輸出を閉め出す目論み(部品まで規制の対象にする)がTPP推進の狙いだったかどうかは別として、結果はそうなります。
TPPの約束は、部品まで原産国基準になってTPP加盟国からの輸出でも組み入れ部品がTPP外からの輸入であれば、その分原産地規制によって高関税になる仕組みと言われています。
TPPは言わば西欧の関税同盟EECと並列していたヨーロッパ自由貿易連合(正式名称を忘れましたが・・こう言うものがありました)みたいなものですが、中韓がTPPに入っていない場合を例にすると、例えばタイがttp加盟している場合にタイからアメリカへの輸出製品に、韓国部品を組み込むとその分関税が高くなるので、同じ価格ならばTPP加盟国の日本製品を組込むようになって行きます。
上記のように、加盟していない中韓が蚊帳の外におかれるマイナスをマスコミが今になって議論していますが、実はこのTPPに参加表明していなかった日本に当てはめるとどうなっていたかのシュミレーションこそが必要です。
TPPの最低基準・・知財保護など・・要求レベルが高過ぎるので、中国が参加したくとも出来ないハードルを設けていることから、中国寄りにシフトしている韓国が中国に気兼ねして日本が参加表明しても韓国は、「元々米韓FTAで優遇を受けているのでTPP参加メリットが少ない」(知財等が共通政策に加わっただけでは)「元々米韓FTAで優遇を受けているのでTPP参加メリットが少ない」として、参加しないと表明していたのです。
と言うことは、TPP不参加による最も大きな影響を受けるのは日米FTA締結が出来ていない日本だったことになります。
安倍政権になってから、数年前に「今からで間に合うか?」と言う段階で,大騒ぎして打診し、(アメリカが同意しないと元々参加出来ない仕組みになっていました)して始まったのですが、当初日本は蚊帳の外におかれていた..あるいは日本が判断を誤って参加表明していなかったことが重要です。
そもそもニュージーランドなどアジアの仲間としてはどうかな?と思うような国々主導でこのような大規模な仕組みを提唱して始まっていたこと自体が異例で(日本の判断を誤らせる意図があった?)奇異な感じを受ける人が多いでしょう。
16年5月17日現在のウイキペデイアによると以下のとおりです。
原協定
環太平洋戦略的経済連携協定の原協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月に署名され2006年5月に発効となった。
2010年3月から、原加盟4か国にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国を加えた拡大交渉が開始された。2011年時点では、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっていた。9カ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指していた[6]。
またTPPは原則非公開とされ全文の閲覧が行えるのは、この協定に関わる各国の3名ずつのみとなっている。
2011年11月12日、ホノルルでの2011年アメリカAPECの会合で、交渉は大枠合意に至り、米大統領バラク・オバマは今後1年間での最終妥結を目指すことを明らかにした[6]。
2012年11月12日の会合からカナダとメキシコも正式な加盟交渉国に加わった[30]。

TPPが当初日本の金城湯池の東南アジア諸国の市場を奪う結果になることが分らないように、ニュージーランドやブルネイなど数カ国で始め、ある程度まで進むと周辺国を増やして、東南アジア全体のイメージにするまでアメリカやカナダの参加予定を隠す「衣の下の鎧隠し」の長期計画であった可能性が高いことが重要です。
結果から見るとこうなりますが、アメリカから言えば、2010年3月のアメリカ参加のときに事前に日本にも参加呼びかけをしていたのに農産物保護を名目に(日本も韓国同様に中国に気兼ねしていたのか?)・・アメリカやカナダなどから貿易閉め出しの結果になるのが分っていながら、これに応じて来なかった当時の日本政府の自己責任だったとも言えます。
ちなみに2009年7月21日衆議院解散後民主党政権が成立し、2011年暮れの安倍政権成立までが民主党政権でした。
政治と言うのは、単純ではなくどうにでも解釈出来るように進めて行くのが原則です。

西欧の長期的衰退6と中国接近8(排日の起源2)

創業時の資金調達は自己の貯蓄や親族友人の援助等で始めるとしても軌道に乗って上場出来るようになれば、社債等市場調達力が出ます。
上場直前新興企業でも成長性のある最先端企業がサラなる発展投資するためにウーバーに対するトヨタの出資のように、成長の芽に敏感な大手が放っておきません。新規投資内容さえ合理的であれば、老舗大手企業の場合社債発行など自己資本調達力があります。
シャ−プなど大手が社債発行等による市場調達が出来ず資本参加を求める場合には、市場調達出来ない原因がある・・競争力がない場合です。
ウーバー等の成長企業系と違い老舗企業が被買収企業になる場合には、手持ちまたは開発予定技術の時代不適合による赤字累積の結果市場で資金調達出来ず買収されたのですから、その企業の経営不振は技術不適合の結果資本不足になったものですから、当面の決済のために資本注入が必要としても本当に必要としているのは競争力回復に必要な新技術開発です。
これをしないで人件費削減策に頼っても→優秀な人材から順に逃げて行くので技術劣化が進行し国際競争力が低下する一方ですし、得意の人件費削減も思うようには行きません。
上記の結果買収した企業経営権を維持するためには絶えず資金(技術移転料?)をつぎ込むしかありません。
経営不振企業の買収は、金融的側面で見ればいわゆるゾンビ企業救済融資と結果が同じですが、後進企業による資本注入の場合金融的回収を目的にしていない・・なお使える技術入手に着目しているので、言わば解体予定の中古車を買って2〜3年使いながらその間に部品取りするようなものです。
古過ぎるクルマの場合修理・車検コストや見栄え等で新車に買い替えるのですが、修理屋が買う場合には、部品取りその他特別な技術があるからこれを買うのです。
新興国資本買収側にとっては自国で成功した低賃金モデルは通用しないので、買収企業の赤字が続き吸収すべき技術がなくなったら、これ以上資金をつぎ込む理由がないので、手放したくなるのは当然です。
買収された企業は再び経営危機になりますが、(タタ製鐵の例で言えば)8〜9年前の買収時以降技術流出ばかりであれば7〜8年前よりも技術がもっと劣化しているので、(中古車を使い尽くしてもう一度売り出すようなものですから、)その技術が欲しくて資本再投下する後進国企業は滅多にありません。
この段階に来ているのがイギリスの製鉄所を買収したタタ製鉄が7〜8年前に買収した製鉄所再売却先探し難航の現状ですし、5月31日紹介した再売却段階に来ているフランスの工場閉鎖続出・防止のために政府が出資するしかなくなって来た現状です。
移民労働力の雇用維持のために政府が出資して(税金で)工場維持を強制するのってゾンビ企業温存そののものですし、ネイテイブフランス人にとってどう言う意味があるの?となりませんか?
かと言って移民労働者を失業の危機に曝してしておくと社会不安・・テロの温床になってしまいます。
移民さえ入れれば低賃金で勝負出来ると言う西欧式解決法は無理が証明されてきました。
マスコミ報道では、金融市場運営(人民元取扱に意欲・・中国の御機嫌取りの原因になっている)に「国運」を賭けているのは一見イギリスだけのように見えますが、欧州勢は早くから物造りで世界市場で敗退を続けているのではないかの関心で書いています。
西欧製造業ではドイツだけが一見良いようですが、内容を見るとEUの防壁・・域内貿易で独占的地位を得ている内弁慶に過ぎず、域外で市場競争力があるか?となると疑問があります。
リーマンショック後既に8年も経過しているのに、未だに南欧諸国で危機が頻発するのは、相対的に強いドイツが弱い部分にしわ寄せしている矛盾がときどき表面化しているに過ぎないと見るべきであり、欧州全体として基礎体力の長期低落傾向は否めません。
細かな各種産業の統計まで見ている余裕がないので、クルマ産業を参考代表指標として見る・・アメリカ市場でのクルマ販売比率で見るとドイツ・フランスその他欧州系自動車の存在感がもの凄く低くなっています。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2016をみると16年4月販売で見ると日米系(ただしクライスラーを米系にカウントしました)の合計約81%を占めていて、韓国系が約8%ですからその他全部を欧州系としても約10%しかない・・欧州の物造り能力凋落ぶりは明らかです。
企業別詳細は上記に直截おあたり下さい。
5月30日冒頭に書いたように欧米は自己を筋肉質にする努力を怠ったことが原因です。
対日政策として円高誘導やブロック化で競争制限策に出たところ、日本は東南アジアや米国内に工場進出してこれをクリアーしてしまいました。

西欧の長期的衰退4と中国接近6(排日の起源)

イギリスやフランスが技術競争に負けている日本等に受注させれば最先端技術で施行するので現場職人も最先端技術を学べますが、何故これをしないで中国等の資本参入に頼るのでしょうか?
台湾企業だったのでシャープ買収に寛容であったのでないかと昨日冒頭に書いた国民感情が参考になります。
欧米の基本が何故反日(ミッテラン仏大統領の日本キライは有名ですが、彼に限らずEU全体の風潮として何かと対日輸入規制に熱心で中韓に優しいその結果、日本の対EU貿易額は相互経済力の割に低くなっている)かですが、遡れば第二次世界大戦の原因・・第一次世界大戦後日本の人種平等主張が欧米優位の基礎を崩す危険があって、その逆鱗に触れたことに行き着きます。
(アメリカは日本の人種差別批判に対応してすぐに【オレンジ計画」と言う対日戦想定訓練を始めています)
欧米世界支配の経済基礎は植民地支配による富みの収奪ですが、これを合理化するために白人の優越性思想が基礎にあって、劣った民族を保護してやっていると言う思想刷り込みがありました。
アジア人は西欧人に劣っていて到底対抗出来ないと言う思想教育を植民地では徹底し,他方でこの教育に反抗するものを人道的に想像を絶するような拷問・酷い牢獄も用意していました。
この教育の結果、「生まれつき自分たちは白人には叶わないと思い込んでいたのを破壊してくれたのが日本軍の進攻であった」とシンガポール創設者リークアンユー氏が【私の履歴書」に詳しく書かれています。
アジア人である日本の台頭だけでも苦々しいところへ日本が人種差別を厳しく批判し始めたので、これを放置すると欧米の世界支配を突き崩す原因になるのが早くから分っていたので、欧米が日本潰しの必要性で一致していたのです。
多勢に無勢の関係ですから、何かとイチャモンをつけて我慢出来なくなった日本を国連脱退に持ち込み、国際孤立させてから孤立を良いことにいじめ抜いて最後に死ぬ買い切る下と言うところまで追い込めで、自ら飛び出すのを待ち構えて【奇襲攻撃」と非難した上で完膚なきまで叩きのめしたのが太平洋戦争の真相です。
日米開戦前にABCD包囲網が結成されなければ日本は決死の戦争に突き進む必要がなかった・・日米戦争ではなく対欧米戦争だったのです。
欧米諸国はせっかく邪魔な日本を叩き潰したのに戦後再び台頭して来たことが、如何に腹立たしかったか・・この認識が必要です。
欧州が背後で期待する米国の占領政策は、日本の工業生産を認めず、農業国にしてしまうこと・・このために続々と工場機械を梱包して中国へ搬出していたことをOctober 27, 2013,「アメリカの神道敵視政策5(日本人奴隷化1)」のコラムで以下の記事を引用しながら紹介しました。
「1946年11月、ポーレーは最終報告として「我々は日本の真珠湾攻撃を決して忘れない」と報復的性格を前文で明言し、「日本に対する許容工業力は、日本による被侵略国の生活水準以下を維持するに足るものとする。右水準以上の施設は撤去して有権国側に移す」とした。軍需産業と指定されたすべてと平和産業の約 30%が賠償施設に指定され、戦災をかろうじて免れた工業設備をも、中間賠償としてアジアへ次々と強制移転させた。」
植民地支配に反対する日本を叩きのめして普通の植民地より酷い目に遭わせたいというのが、欧米の対日戦争の目的だったのです。
今後続々と対日開戦に向けた準備資料が出て来るでしょうが、欧米が結託して如何にして日本を奴隷国家に落としてしまうかについて綿密に計算して日本を戦争に引きずり込んだことがもうすぐ全容とまで行かないまでもかなり分る時代が近づいています。
日本にとって幸いなことに、偶然起きた朝鮮戦争によって米軍が日本を利用するために補給基地としての役割・・工業生産を認めるしかなくなったのは運命の皮肉でした。
この結果【永久に」再軍備も禁止されて千年単位で奴隷的に支配される予定だった日本が再び欧米に対する挑戦者になって生き帰って来たのですから西欧に取っては許せない状態です。
オランダでは、未だにオランダの植民地支配を崩壊させた日本軍を恨んでいる人が多いと良く言われましたが、西欧は衰退進行を免れないとしてもその原因を作った日本だけには資本参入させたくない感情論が強固であるからでしょう。
日本を潰すために(後白河が源氏を牽制するのに平家を利用したように)アジア人の中韓を利用するのは、(現地人同士を憎しみ合わせるのは欧米植民地支配の常套手段です)先の大戦時にまず張作霖等の軍閥や蒋介石を利用して中国て泥沼戦に引きずり込んだのと同様の戦略ですし、欧米の走狗となるのに何の痛みも感じない彼らの気質も当時と変わりません。
それに後進国による買収の場合、(インド等旧被支配民族にとっては、旧宗主国の仰ぎ見るような存在だった大手企業買収には特別な思い入れもあったでしょう)技術入手目的の買収ですから、レストランであれ葡萄園などの農園であれ、何であれ技術上位の職人が「教えてやる」と威張れる・優位に立てるので白人優位の誇りに傷つかなかったのでしょう。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC