婚姻率の低下(共同生活)8

子供が要らない人が増えても文化的で豊かな日常生活をするためには、今後いくら電化が進んでも一人で何もかもするのは無理がある・一定の限界があるとした場合、ルームシェアー・一定人数の共同生活が必要となりますが、子を産まなくても良い単なる生活の利便のためだけとなれば何故男女ペアーの共同生活でなければならないかとなって来ます。
オス同士のルームシェアーで家事が間に合う場合、(家事分担が面倒なヒトは5〜6人で一人の賄い婦を頼む・あるいは賄い付きマンション・寮生活のような方式が発達するでしょう)子育て負担がなくてすみます。
・・性行為の欲求は以下に述べるように子を産む予定のない人にとっては徐々に減退して行くでしょうから、性欲の減退したヒトから同性同士の共同生活でも良くなって行くでしょうし、性欲が減退しているが時にはセックスしたいヒト・・・移行段階の雌雄でも同性同士の共同生活に移行して行くヒトもいるでしょう。
移行期の場合には、たまに外で間に合わせる需要・・受け皿がないと性犯罪が増えてしまいますので、移行期にはまだ男女賃金格差が残ることもあって、その種のビジネスが発達することになります。
そもそも女王蜂タイプの女性しか子を産まないような時代が来れば、これに関係のないオス(オスもケイバ馬の種牡馬=ディープインパクトみたいなエリート以外は関係がなくなります)もメスも双方で発情期が来なくなる可能性があります。
現に男は草食系化し、女性も中性化が進んでいるのは、このための準備が始まっているのかもしれません。
November 15, 2010「高齢結婚の意味」前後で草食系化と子供を産む予定のない夫婦関係を書いたことがあります。
他方で男性の草食系化ほど話題になりませんが、(女性に女性らしさがないと言うと怒られるので・・・)女性も社会進出が進んだからか、あるいは前からそうだったのが最近目立って来ただけなのか不明ですが、中性化がかなり進んでいます。
September 7, 2010「軽い異性関係」September 8、2010「オスの存在意義1」前後で、この辺のことも書きましたが、今のところ歴史的経緯・刷り込みがあるからか、心情では子を産む予定・・セックスを前提としなくとも男女でいると何となく楽しい感じがします。
これは潜在意識に子を産むための可能性があるからこうした心情が芽生えるように仕組まれているだけであって、(何故か若い異性に魅力を感じるのは生殖可能性があるからでしょう)オスは選ばれて種牡馬類似のオスだけ、女王蜂類似の女性だけが子を産む時代が続くとこれに関係のない大多数にとっては異性といること自体で楽しくなるような心情が徐々に減って行くように思われます。
女性にとっても、男女収入差がなくなって来ると「一人で食えないから2〜3人で・・」と言う場合、(子を産まない場合に限らず通い婚で子を産んだとしても)女性同士の助け合いでも同じではないかとなってきます。
夫婦共にコンビニのアルバイトあるいは、トラック運転手や配達要員、工場の現場労働者のような職業の場合、男女ペアーでも同性同士のペアーでも総収入はあまり変わりません。
仮に子供を産んでいても、子供手当・保育所等が充実して来て個人の金銭負担がゼロの時代が来た場合、女性同士の共同生活の方が役に立つでしょう。
July 17, 2011「婚姻率の低下(家庭の消滅)2」の冒頭に書いたように、共働き・家事育児共同作業の場合、男性より格段に優れた文化力・感受性を売りに出来る女性だけに需要が生じ・・当然男性も選ばれた男性だけになり、エリート男女だけが一緒になる資格がある社会になる可能性があります。
競馬界の種牡馬になれる限られたオスと繁殖牝馬の関係が人間社会にも出現するのでしょう。
女性といえども文化力を売りに出来るほどの人材は1000人〜1万人に一人くらいでしょうから、優秀な遺伝子を持つヒトだけが子孫を残して行けるので(少子化が進むでしょうがその代わり)民族の将来が明るくなります。
文化力の乏しい女性の場合、発情期が来て熱のある間だけ一緒にいて、熱が冷めれば(家庭内暴力を招かないうちに)無理に一緒にいないで直ぐに別れる・・子育ては社会インフラに頼る社会にするのも選択肢でしょう。
離婚が簡単に出来て、オスに何らの負担も残らないとき・・公的インフラで子育て全部賄える時代が来れば、オスも出産に同意出来るでしょうが、今のように離婚後無限責任が追求されるままですとオスの方はリスクのある出産には、簡単に協力出来なくなってきます。
コウノトリや朱鷺がせっかく自然繁殖で生んだ卵(人間が期待しているだけですが・・・)を雄が突ついて巣から落としてしまった様子が報道されることがありますが,雄に対するサービス低下が原因でしょうか?
ライオンの場合、餌を取ってくれるのが雌集団ですから食わしてもらっている関係からかも知れませんが、出産後セックスもなくなりサービスが下がっても自分の子供を食い殺すことはありませんし、ムレから出て行くと食べて行けないので出て行きたがりません。
メス集団も狩りをしている間に子供が他の動物に襲われると困るので、その間の保護者としてオスが子供の近くで寝そべっている必要があるので、相互利用関係になっています。

婚姻率の低下(家庭の消滅)5

人間の女性の場合、性的スイッチオンだけではなく、身の回りのサービス業務も付加して出産前後と長期養育期間中の性的受容体制の不足分を補う体制になって来ました。
この重要なサービス業務を放棄して逆にオスに家事サービスの分担要求する時代が来ると、前回末に書いたように他者との差異を付けることの出来る文化力を持つ女性以外は、長期間継続して雌雄一緒にいる無理(動物的には本来無理なことをやっているの)を修正・補完する手段がなくなり、無理が出て来ると思います。
お富・与三郎の「粋な黒塀」の場面で見ても分りますが、究極の商売女性は「粋な文化」を売るものであって、性を売るものではありませんでした。
芸妓とも言いますが、太夫や花魁は、単に踊りを踊り楽器を操れるだけではなく身につけた総合文化力で勝負していたのです。
この精神で昭和30年代末まで我が国では女性教育が行われて来て、戦前農村で男子はまだ義務教育程度のときでも女子にだけは女学校へ通わせる親が多かったのはその価値観によるものでした。
学校に進学出来ない女子工員にも、夜には工員寮にお茶やお花の先生が来て教えたりして、伝統的教養を身につけさせるようにするのが社会全体の風潮でした。
大学進学時代が来ても女性は(良妻賢母を求める)芸術・文化系に進学し、理工系や法経商など実学系学部には進学しない相場になっていたのです。
(課外の付加価値付けも男子は野球やスポーツ中心でしたが、女性はお稽古ごともお茶やお花・お琴・ひいてはピアノ、バイオリンなど文化系中心でした)
昭和40年代頃から女性も法経商など(良妻賢母教育に関係のない)実学系に進学する人が多くなり、「女子大生亡国論」まで出て、マスコミを賑わすことになったのは周知の通りです。
今では、女性が理工系まで進学していても誰も驚かない時代です。
ところで、女性も自活したい(男の経済力に依存したくない)と言う意味では、この傾向・ジェンダー否定は正しいことだと思います。
ただし、この人が自由な選択をした結果、一生独身でいるならば、それで生き方としては完結出来ます。
その女性が実学中心の受験勉強に明け暮れて、これと言った夫に優る文化力を身につけていないにも拘らず、結婚して子を産み育てたいと気が変わった場合、伴侶・オスの子育て協力に対する女性からの見返りは何か?と言う問題に行きあたります。
実学に進出した草分けの女性は後ろ指さされないように(実利に特化している女性には「あれは女ではなくカンナだ」と揶揄されていました)文武両道ならぬ法律など実学で男子に負けないだけではなく、文化力も両立出来る特別優秀な人材だけが結婚も出来たのです。
ですから私が司法試験を受けた頃に合格する女性は平均的男子の合格者よりかなり頭脳の優れた効率よく勉強出来る秀才型が中心に(私からは)見えました。
(長年浪人することも出来ない社会的圧力もあって現役前後の女性合格者が普通でした)
ジェンダー意識が薄れて来て、今では男女合格年齢にそれほど差がなくなってきている(女性かなり高齢まで浪人して受験しています)・・同レベル同士結婚の場合、女性が受験勉強以外に文化力を身につける暇がないと、子育てに協力してもらえる対価を夫に提供する特別なものがありません。
(逆に女性の方がやっと合格して夫の方が余裕で合格している例もあり、この場合、女性の方が家庭に仕事を持ち込んだり帰りが遅くなることが多く、夫の方が家事労働時間が長くなっているヒトもでてきます)
こういう場合にオスにとって結婚するメリットって何かな?と言うのが今回の関心です。
種の維持・存続のために子供が欲しい本能は女性には強いでしょうが、オスにもあるかは別問題です。
子育てに協力させたい女性による教育効果と家の維持、世襲制の発達をテコにして、人為的にオスが教育されて来ただけのように思えます。
世襲する地位・財産もなくなって来た現在では、天皇家(今でも後嗣を生むかどうかは重要テーマです)以外ではこのメッキが剥げている筈です。

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