新型コロナウイルス対応の巧拙5(医療崩壊3)

一般重症患者・ガン患者、脳梗塞や心疾患その他の病気で、急性期脱却後(手術後1週間前後で)一旦退院して、術後のデータチェックのためなどで通院・・自宅療養となり、通院予定外の日でも「急変したらいつでも連絡してください」というのが現在の医療方式です。
こうして一定比率で病院に戻って来り退院する患者比率を前提に、集中治療室の規模や一般病棟や機器医療スタッフ等のローテーションがなり立っているので、ここに一挙に大量の患者が殺到するとどうなるかの問題です。
通常の通行量前提の道路に一斉に避難民が殺到すると生活道路がパンク状態になるのと同じで秩序立って避難した方が結果的に多くの人が早く避難できます。
一般の病気療養中の人が自宅で容態急変してイザ病院に連絡したところ、(大病院の場合一定率で日々こういう人が発生しているからこそ、一定数の看護師や酸素吸入器などの利用率が上りペイしているものです。
電話するとコロナ型患者殺到により病床が満杯で、担当医師も手一杯で往診にいけないと言われるとどうなるかの問題・・これこそが地域医療崩壊と称すべき状態でしょう
大多数の重症患者の急変事態には、バイタルサイン悪化の最後は呼吸困難になる人が多い・・呼吸困難等の集中管理室対応症状が一般的ですが、イタリアの場合人工呼吸器不足で対応できなくなる現象も報告されているなどから分かるように救急医療と機器的に競合する面があります。
コロナ型患者も本当に酸素吸入が必要な患者の場合、一般患者を優先にする必要はないでしょうから、病院としては受付順対応になりますが、不要不急の患者が押しかけて本来の救急患者の救急治療を妨害しているかどうかです。
救急治療室の空きあるいは、酸素吸入機の余裕がある場合、いずれも緊急にするほどでなくとも患者の強い希望があれば、「マアいいでしょう」と拒否しきれない場合も出てきます。
本来の救急患者(と言っても退院後再入院の場合は救急車でなく家族の送迎中心)は、前もって並ぶ余地がないので大挙押し掛けて並んでいる人がいるとこの人たちが事実上優先権を確保してしまいます。
公共施設・・コミュニテイセンターなどの利用申し込みで団体枠とフリー枠を別に設けないと半年〜1年前から予定の決まっている団体が1年先まで全部申込んでしまうので、一般市民がふらっと、ピンポンやテニスなどしたいと思って立ち寄ってもいつも予約済みで利用できないのと同じです。
検査機器の感度と的中率が問題になっていますが、陽性を見落とすリスクよりも陰性を間違って陽性という結果にして念のため丁寧対応しておいて悪いことはないという方向になりがちです。
パニック状況に押されて行う全量検査の場合、本来の機器精度が低い問題だけでなく、擬似陽性を皆陽性扱いする問題と言っても良いかもしれません。
大事を取る分には問題がないという日常の姿勢が医療関係者の気持ちに染み込んでいるので、いわゆる濃厚・過剰診療の問題が競合してきます。
この倫理観というか保身術自体は医療システムのキャパに余裕あるときには合理的ですが、大災害等で一時的に医療施設不足が起きた時点では、悪しき倫理になります。
事故や脳梗塞等で救急で運ばれて来る人あるいは退院後自宅で療養中の人の容体悪化で再入院する人は救急車でなくマイカーでの入院が多いですが、いずれも寸刻を争う本当に緊急治療必要な人たちです。こういう人と、大事をとって三sの吸入しますか?と医師が仕方なしにやる場合が一緒に並べば、医師は本当に緊急性のある方を優先するでしょうが、先に病床を埋めてしまっていると、病室を追い出したり始めたばかりの酸素吸入機を外す勇気まではないでしょう。
昨日紹介した韓国の記事
「・・もともと疾患を持つ高齢者らが自宅で亡くなるケースも続出している。
という報道はまさにコロナ型以外のその地域で日常的に一定率で発生している救急患者等の一般病人が行き場を失って、そのまま自宅で息を引きとることになっている状態・いわゆる医療崩壊現象が出ているようです。
交通事故や脳血栓その他緊急治療すれば助かる人がせっかく救急車に乗っても引き受ける病院がなくなれば落命することになります。
こういうことによる死亡者は新型コロナウイルスによる致死者に含まれませんが、新型コロナ型ウイルスが検出されると重症者限定せずにドシドシ入院させることによる被害です。
コロナ型ウイルス騒動の収束後に、コロナ型ウイルスの出た死亡者に限定せずにその時期の人口比の死亡率がその前後で上がり平均寿命が下がったかなど疫学的統計で国・地域ごとの成績を決めるのが合理的です。
以下によると大邱周辺で医療崩壊が起きているだけで韓国全体平均すると感染率が日本と大差ないという主張か?が出ています。
東北大震災が日本全体で起きていないから問題がないというような意見かな?

井戸端会議・瓦版

2020-03-13
新型コロナウイルス(covid-19)への対応で「積極的な『PCR 検査』の実施」をした韓国で医療崩壊が発生しました。ただ、それはテグ(大邱)での話あり、韓国全土で医療崩壊が起きたのではありません。
しかし、大阪市(人口274万人)や名古屋市(人口232万人)と同規模を人口を持つ都市で医療崩壊が起きたのです。この点は「問題ない」とは言えないでしょう。
「人口100万人あたりの死者数」で見ると、韓国・テグ(大邱)の深刻度が浮き彫りになる

グラフと筆者の解説は明日の引用とします。

任命5と市場競争(是枝監督の政府祝意辞退1)

1月21日「任命の効力4→選択権1」の続きです。
競合権力多数並立の場合、武将や武士、足軽等階層にかかわらずどの豪族〜戦国大名に従うかの選択肢があり、日本の戦国時代の英雄豪傑で言えば島左近や後藤又兵衛や藤堂高虎のように戦国大名を自ら袖にして有力大名家を渡り歩く例が多く見られました。
豊臣秀吉だって、小者の頃には渡り歩いて(今川家の陪臣松下加兵衛に仕えたことが知られています)最後に信長の小者になって落ち着いた遍歴です。
高名な英雄豪傑に見限られた大名は面白くないので、戦国末期で大名間交際が安定してくると黒田家?のように「奉公構」という回状を回して後藤又兵衛の再就職を妨害する例も出てきます。
企業で言えば、楯突いてやめた社員の再就職妨害行動をするようなものです。
のちに黒田家から後藤又兵衛との関係修復を目指して幕府に斡旋依頼したようですが、うまく行かない内に大阪の陣に突入して行くようです。
群雄割拠・並列競合状態が終わって最高権力・国家権力が確立すると、最高権力者=国家からのお召があると、これに応じないのは謀反の疑いがかかるので、契約以前に喜んで参上するようになっていたから契約概念が育たなかったのでしょう。
ところが経済水準が上がり、主食以外の嗜好品や寒さを防ぐだけでなく、おしゃれを楽しむ衣料品、その他文化芸術や娯楽性サービスが発達し、勤め先となる民間企業が発達してくると、国家権力に連なる分野以外の働き先が増えてきます。
今でも景気が良くなると、公務員応募が減るなど民間雇用状況次第の傾向が強まっています。アベノミクスの成果で民間は働き手不足で困っている→公務員に任命してやるありがたいだろう!という優越的関係が薄れてきました。
形式上一方的任命精神同様に叙勲や祝意は、一方的に授けるものでした。
最近国家の叙勲や祝意を辞退する(是枝監督のような)人が出ますが、これの盲点を突くと同時に国家権力の相対性をアピールしたい人がやるものでしょうか。
「公権力と距離を置く」と言うのが趣旨のようですが・・。
任命のように義務を伴わない一方的叙勲や祝意拒否は国家政府などに褒められたりおめでとうと言われたくない」という・・国家権威無視の態度をはっきりさせたものでしょう。
とはいえ、能力発揮・特に文化発露は個人の遺伝的能力のみによるものではなく、長い歴史・文化蓄積を切り離して考え難いものですから、生まれ育った社会を代表する公的な祝意・民主国家においては政府が国民代表です・・政府からの祝意は、生まれ育った、社会そのものからの祝福です。
これを受けられないと言うのは自分を育んでくれた社会や自然を否定したいという意味でしょうか?
よほど自分生い立ちに不満があるのでしょう?・・育った環境に不満があっても逆教を跳ね飛ばし、名を挙げ功を遂げられた以上は、結局感謝するのが凡人の心情ですが、こういう人が出てくると凡人には違和感を感じる人が多いから反響を読んだのでしょう。
いや、自分を育んでくれた友人先輩、環境に感謝しているが、今の政府におめでとうと言われたくないだけ・と言うのでしょうか?
今回のテーマ・・任命と拒否権の関連に戻り大臣就任要請を断るのは、一定の政策目標実現組織である内閣と意見が違う場合当然の権利ですし、政府の文化政策と意見を異にする場合それに協力しないのは映画人当然の権利ですが、是枝監督が映画製作段階で政府が介入したのをはねつけて映画を完成したなどの特別な遺恨があるのでしょうか?
それならばそれを公表すれば良いことですが、武士の情けで公表していないのでしょうか?
https://www.asahi.com/articles/DA3S13532802.html

是枝監督「公権力とは潔く距離保つ」 カンヌ最高賞、文科相の祝意辞退

https://bunshun.jp/articles/-/7743では「万引き家族』是枝裕和監督の「祝意辞退」と「助成金」の関係で「辞退」に対する擁護論らしく、是枝監督の映画が如何に素晴らしいかを書いていますが、最後に以下の引用があります。

文化庁の「日本映画製作支援事業」の定義を確認してみましょう。
「我が国の映画製作活動を奨励し、その振興を図るため、優れた劇映画、記録映画の製作活動を支援する。新たに、日本映画の魅力や多様性を強化し、その基盤を維持するため、中小を含む制作会社や新進映画作家向けの助成枠を設ける」。
助成金は「優れた劇映画」を作るための支援です。カンヌでパルムドール受賞を果たした『万引き家族』は、まさに正しく助成金の目的が達成された例といえるでしょう。

上記意見は、どちらかといえば政府助成金をもらっていても政府の祝意辞退は問題ないという擁護論のようなトーンですですが、その最後に解説なし引用があるので、擁護論の根拠としての引用かな?と予想されますが、読んでみるとこれが何故祝意辞退擁護根拠になるのか不明です。
上記引用部分によれば一党一派の立場からでなく、国民全体・国税を使った助成を受けたので自民党からの祝意を受けなくとも矛盾しないと言外に言いたいのでしょうか?
しかし、文科大臣の資格において祝意を示すのは出身母体はどの党であろうとも国民代表としての祝意です。
政府所管大臣/長官が補助金を出し、その時は自民党大臣だから受け取らないと拒否したなら一貫しますが、自民党政権の大臣あるいは長官から補助金を受けておきながら、祝意辞退の時だけ自民党政権の大臣から受けられない・嫌だというのは矛盾がないのでしょうか?
私の基本的立場は、補助金以前に同じ日本人としての快挙に素直に喝采したい人が多いのではないか・・政府は国民代表として祝意を表したいということではないでしょうか。
大臣個人は主観的にその映画を良いと思ったかどうかは別として、公人としての職務行為をしている以上、大臣の好みを持ち込むこと自体が許されないはずです。
国民の大方の気持ち・・総意を汲み取って国民代表として政府が祝福するのを自民党政権だから嫌だというのであれば自分の方から政治的立場の違いを芸術活動に持ち込み政治化するための発言でしょうか?

プロの判断と司法審査5

従来X病としかわからなくて、X病の中である人にはAの薬が効き、ある人にはBの薬が効気ある人にはCの薬が効くのは不思議なものだという時代にはX病向きのいろんな薬の中から、経験と勘の直感で薬を選んでれば、過失がない・・プロに任せるしかないのですが、
病態解明が進んでABC型に分類できるようになれば、X病と判断して終わりにしないでさらにABCのどの類型の病気かの判定作業に進む必要があります。
その検査をしていれば、C型とすぐわかったのに、C型に必要な治療をしないでAB型向けの治療をすれば、専門家の意見でも正しいのではなく、単純ミスです。
判断時点での学問水準・情報レベルによってプロに委ねるべきレベルがさらに細かくなっていきます。
プロの判断を尊重すべきという論は、その時点での合理的選択肢がわかっていない場合に限って、鍛え抜かれた(同じ肝臓病でもこういうタイプの人にこれまでよく効いた・・一定率で悪化するのを防げた人が多いなどの相応根拠があるが学問的主張まで行かない程度のものです)高度な直感的判断によるしかない場面に限定されます。
プロに委ねるしかない日常的分野で、しかもそのレベルが日進月歩でない分野は政治の世界でしょうか?
政治というのは「あちら立てればこちら立たず」の利害対立を調整して最終決断していくものであり、変数が無数にあるので、このデータがあればこういう判断をすべきというルールが構築できていません。
その先は鍛え抜かれた専門家・政治家の直感力に頼るしかない現状です。
そこで最終決定者を誰にするかを決めるのは昔は天命により、革命=天命あらたまるという思想や西欧の王権神授説でしたし、日本でも古代から天皇家は御稜威を宣り給う唯一人として敬われ、明治以降の日本ではこれを現人神の思想でした。
政府の高度政治判断はその道のプロである政治家の判断ですが、その代わり政治家はどういう想定外のことがあっても言い訳が許されない結果責任を負うことになっています。
どういう予定外のことがあろうとも、景気が悪くなれば人心が離れる運命を受け入れるしかないのが政権担当者の運命です。
合理的判断の及ばない時の決断能力は、古代社会では神の憑依する特殊能力のある巫女の専業でしたが、実務に足場を持つ武家政権になってからは、その役割りを終えましたが、それでもいざとなれば信長は桶狭間の決戦に臨んで熱田神宮で必勝祈願(のフリをして)配下武将の集結を待ち士気高揚してから出陣したものでした。
戦後は神託に変わる総意であり、総意を感得する権限の付託は民意・民選によるのが国民主権国家です。
民意に直接依拠しない司法権は、立法府の判断通りに政府が実行しているかのチェック権はありますが、立法自体憲法違反でない以上は現場が立法の基準を守っているかどうかのチェック権しかありませんので、立法府の定立した基準に介入するのは許されません。
これを現行法的に言えば違憲行為ですが、その実質はプロに委ねるべき分野だからです。
例えば生存権・・健康で文化的生活保障は憲法で決めた責務ですが、これは責務・・宣言であって法的義務ではないと解釈されています。
健康で文化的生活は国力相応の生活水準であり、現在日本の文化水準といわゆる後進国とは大きな違いがあることは公知と言っても良いでしょうが、結局はその国の国力によって平均が決まるのであって他国を基準にしても意味がないし文化的という意味自体その国、その当時平均的生活水準を意味しているはずです。
例えば大飢饉や戦乱(日本の敗戦時)で国民の多くが飢えているときに、戦争・大災害前の基準で憲法違反という判決をした場合、非常識すぎるでしょう。
憲法は大まかな精神規定であるから政府批判派にとっては何でも憲法問題といえば言えますが、その精神を具体化するのは立法府・政権党の役割であり、国家運営の実務を担当しない司法の役割ではありません。
民意によらないばかりか実務経験もない評論家やメデイアが洪水のように垂れ流す報道は民意でも何でもありません。
国家予算トータルに責任を持つ政治主張を出来ない政党は民主主義政党と言えるのでしょうか?
貧しい人の救済が必要だという理念は正しいですが、総論賛成各論反対という言葉があるように、総予算の中で配分をどうするかの問題です。
貧困とは相対的概念ですから、私の子供の頃の生活水準を思い起こせば、お金持ちの部類に入る家でも火鉢に潤沢に火を熾している程度で家庭にはストーブなど滅多にありませんでした。
私が生まれた池袋の家は空襲で焼けてしまい地方に引っ越していたので都会とはだいぶ違うでしょうが、物心ついた頃にはまだランプのホヤを磨く仕事がありました。
もちろん洗濯機等の三種の神器が出てきたのは高校時代からで、」冷房など見たこともない時代です。
今では、冷暖房もない家は最貧困家庭と言うのでしょうが、時間軸をいつにするか?同時期の諸外国に求めるか自国内に求めるか?平均水準をどこに持ってくるかの問題です。
現時点の自国内平均からどの程度低いと健康で文化的水準でないと言うべきか?
北朝鮮のように等しく?極貧生活に落とし込みたい人はいないとすれば、国力維持向上がまず最優先課題で、その上で分配に気をつけようというのが現在社会の総意というべきでしょう。
現状維持で良いと気を緩めればたちまち競争相手に抜き去られて現状維持どころか、落伍してしまう国際競争熾烈な時代です。

ネット意見の信用性2(兵役法改正解説の虚実)

以上のとおり帰化できなくなりそうとか在日2〜3世が兵役に引っ張られるのが原則になったかのようなネット記事は眉唾っぽくなりましたが、兵役義務については特別永住権のない在日への効力に不明な点がありますし、帰化要件も帰化不可能になったのではなくとも二重国籍化は困る・・難しくなりそうという方向自体はある程度理解可能です。
韓国本国人にとっては在日は、日韓双方の国民としての義務を逃れて、双方で権利だけ行使している「いいとこ取り」に対し不満が大きいから「一定期間以上韓国に戻っている場合兵役義務を復活させろ」となったという解釈が可能です。
除外事由に当たる場合、兵役命令→応じない時には本国への引き渡しがあればもちろん犯罪人として収監し刑期満了後も日本への再出国は認めないし、(日本語しかできず公安監視付きで普通の就職不可能で、生活能力がないので最貧生活しか出来ない状態に追い込み危険人物として生涯監視状態に置く)いじめ抜くぞ!と言う恐怖支配の宣言というネットで流布している意見が一応の信用力を持って流布できたようです。
しかし、兵役義務化=韓国滞在期間の長い在日限定・・一定期間韓国に戻っていると兵役義務免除がなくなる制度になったとしても、法で明記された一定期間以上韓国で居住しなければいいので結果的に兵役義務の有無を在日は自分で選べます。
うっかり規定期間以上韓国に行くと兵役免除から除外されますが、それは自己管理責任の問題です。
以上によれば、不本意な兵役義務の生じる在日=韓国滞在期間の長い在日が生じるなどは滅多にありえない制度設計ですから、彼らに対しては在外国民の退路を断った上で本国の利益のために日本で働け(かく乱工作をしろ)という脅迫的アナウンス効果をイメージ化して流布するのは無理筋の想像力拡大によるというべきでしょう。
本当にそんな恐ろしい意図があれば、在日が自己保身のためにも一定期間以上本国へ帰らないように危機管理するのは容易ですから、効果がないでしょう。
在日2〜3世にとって、日本社会で生きていくつもりならば先祖の墓参りや先祖の育ったゆかりの地を訪ねる程度で済むはずで、年単位で居住する必要のある場合など万一の例外現象というべきでしょう。
除外事由に決められた期間を超える長期滞在になれば、(日本にいるより居心地が良いと)韓国社会の一員として復帰する気持ちになったと見るのが原則でしょうから、在外民特例を享受しないで、国民としての義務を果たすのは当然です。
ネットで流布している「兵役法改正で大変なことになっている」という傾向意見は、万に1の例外的可能性を原則であるかのような誇大表現で危機感を煽っていたことになりそうです。
仮に兵役義務が在日にとって最重要関心事であるならば兵役法改正に関する在日の兵役免除除外事由は何かを具体的に紹介し、その適用限界の解説であるべきしょうが、多くのネット記事は肝心の除外事由についてはちょっと曖昧に触れるのみでこれに対する具体的解説が一ほとんどありません。
そもそも条文の紹介すらないのは異常です。
兵役義務化するとどうなるかの不安を煽る意見記述が中心化していくので読む方は、在日は今後本国の意向に縛られそうだ・大変なことになっている・・日韓対立が激化すると在日は怖い・信用できないという印象だけ受けやすくなっています。
在日のための意見ではなく、大変なことになっていることの強調として韓国兵役中のいじめがネット上で大規模拡散されるようになったのもその一環でしょう。
すぐにわかる国内法でさえ、法令検索によってネットの断定的主張に疑問符がついたので、韓国兵役法自体どういう改正があったか具体的に見ないと不安になってきました。
韓国本国人にとっての在日は、日韓双方の国民としての義務を逃れて、双方で権利だけ行使している「いいとこ取り」しているイメージが強くなり不満が大きいから「一定期間以上韓国に戻っている場合兵役義務を復活させろ」となったという解釈推定が可能です。
除外事由に当たる場合、兵役命令→応じない時には犯罪人として本国への引き渡されれば、もちろん犯罪人として収監し刑期満了後も日本への再出国を認めない韓国法があっても不思議ではないでしょう。
在日2〜3世になれば、(ある程度カタコトの韓国語を話せても)日常会話は日本語しかできず普通の就職不可能で、生活能力がないので最貧生活しか出来ない状態に追い込み危険人物として生涯監視状態に置く)いじめ抜くぞ!と言う恐怖支配の宣言的ネットで流布している意見が一応の信用力を持って流布できたようです。
しかし、韓国兵役法改正で在日も兵役義務化→大変なことになっていると言う大筋のネット意見を見ると在日は兵役義務化を逃れられない・・自己選択できない一方的改正があったことを前提した意見のように見えます。
しかし、民団新聞によると言うネットを見ると年齢要件によって自動的に兵役義務が生じて兵役免除・猶予制度がなくなったのではなく、免除制度はそのまま残り特定要件該当の場合だけ免除されなくなると言う例外設計になっていることがわかります。
しかもこれまで見てきた通り、特定要件もそれほど理不尽なものではなさそうです。
韓国滞在期間の長い在日限定・・一定期間韓国に戻っていると兵役義務猶予がなくなる制度になったとしても、法で明記された一定期間以上韓国で居住しなければいいので結果的に兵役義務の有無を在日は自分で選べます。
うっかり規定期間以上韓国に行くと兵役免除猶予から除外されますが、それは自己管理責任の問題です。
以上によれば、兵役義務の生じる在日=韓国滞在期間の長い在日が生じるなどは滅多にありえない制度設計ですから、彼らに対しては在外国民の退路を断った上で本国の利益のために日本で働け(かく乱工作をしろ)という脅迫的アナウンス効果をイメージ化して流布するのは無理筋の想像力拡大によるというべきでしょう。
本当にそんな恐ろしい意図があれば、在日が自己保身のためにも一定期間以上本国へ帰らないように危機管理するのは容易ですから、効果がないでしょう。
在日2〜3世にとって、日本社会で生きていくつもりならば先祖の墓参りや先祖の育ったゆかりの地を訪ねる程度で済むはずで、(ただし兵役法の除外事由自体の条文引用紹介がないので正確には不明)年単位で居住する必要のある場合など万一の例外現象というべきでしょう。

在日韓国人の自由度5(兵役義務違反と本国引渡1)

どういう場合に兵役義務違反になるのでしょうか?https://open.mixi.jp/user/9931310/diary/1964717210

在日の徴兵免除は廃止された!
以下は民団新聞より↓
2014年6月より、在外国民は、「海外旅行者(長期国外旅行者)」です。韓国(朝鮮)籍の在外国民で「帰化(日本国籍の複数国籍者)・2重国籍(両親のどちらかが韓国籍)・特別永住・一般永住」の皆様、全てです。
大韓民国兵役法第70条によると、例えば1988年生まれの大韓民国国籍の男性のうち、24才以前に韓国を出国後、継続して国外に滞在している者は、2013年1月15日までに必ず 兵務庁からの国外旅行許可を得なければならないとのこと。
万が一、許可なしで国外に滞在したり、許可期間内に帰国しない場合は、兵役法第94条によって告発され、旅券発給制限等の行政制裁を受け、外国での滞在を認めないとのこと。つまり、対象者は韓国政府発行のパスポートが発券されなくなり、パスポートがない在日韓国人には、在日特別永住者証明書が無効となる。

上記をまとめると、以下となる。
① 兵役法違反の在日韓国人は、「韓国籍旅券発給制限等の行政制裁で外国での滞在を認めない」。つまり、韓国政府発行のパスポートが発券されず、韓国籍のままで日本国での永住又は滞在は違法扱いになる。
② 韓国の法律では、徴兵に応じないと韓国籍を捨てられない。
③ 日本の法律では、外国籍を捨てられないものは帰化できない。
④ 日本の法律では、軍隊経験者は帰化できない。

ところが、在日韓国人男性の大半は、大韓民国兵役法第70条並び兵役法第94条違反に該当しているとのことだ。
1)改正韓国兵役法 第8章 第60条&第64条で、「長期旅行者」の徴兵免除は廃止。
2)改正韓国兵役法 第14章 第86条で、逃亡・潜匿等をした者は1年以上の禁固刑。
3)日韓犯罪人引渡し条約 第2条で、「どちらかの国で犯罪」であれば引き渡し。
4)兵役忌避の在日は韓国本国に引き渡され、懲役1年以上に加えて兵役2年。合計3年以上韓国に滞在。
5)新在留管理制度のみなし再入国許可による出国なので、1年以内に再入国しないと在留資格を喪失。
追)改正韓国兵役法では「良心的兵役拒否」は認められていない。

上記は民団新聞よりと書いているのですが、何年何月の民団新聞からの引用かも不明で、本当に民団新聞によるのか不明ですが一応引用しました。
従来長期外国滞在者(主に在日でしょう)は兵役免除だったのが、12年法(施行は14年から)でその制度が廃止された結果、在日男子の大半が兵役義務未履行=国籍離脱不能となる仕組みのようです。
在日2〜3世代になっている現在いきなり兵役免除制度を廃止して徴兵に応じなければ懲役刑というのはいかにも乱暴ですが、韓国法については、職務上必要な時には大使館等に問い合わせて取り寄せなどしますが、いつも書くようにこのコラムは手の空いた時に思いつきで書いているのでそういう職務でやるようなことまでしていませんので、韓国法のチェックはできません。
この数十年間日韓関係が悪化の一途になっているのは、在日の日常行動に責任があって生じているのではなく、韓国政府の反日政策シフトに原因があることは明らかです。
右翼系ネットでは、在日の敗戦時の悪行をあげたり現在の在日の多くは朝鮮戦争で逃げて来た人が中心であるなどいろいろ言いますが、要は現在の日韓関係悪化の原因ではなく悪化したので旧悪を掘り起こしている逆の関係です。
日本ではヘイトスピーチが人権保護上の大きなテーマになってきたほど「いつまでも日本に帰化しないで外国人参政権の要求などグダグダ要求ばかりするな!→在日特権を許すな!と大合唱になっている状態です。
この種批判は人道的に問題があるとは言え、もしも右翼がいうほど帰化が容易でないから帰化できないで今になっているとすれば、在日も気の毒です。
本国政府が日本政府に対して帰化の許可運用緩和を申し入れる・交渉ごとにはギブアンドテイク的引換条件提案が筋でしょうが、反日強化一方の状態で同時申し入れしたのではまとまるものも纏まらないでしょう。
そこで反日運動緩和するよりは開き直ったのが、日本右翼に追い込まれている在日の帰化選択という退路を断つ戦略でしょうか。
韓国の表向きの立場は在日の帰化運用緩和など求めていない(日本に弱みを見せられない)という開き直り・・強気政策でもあるでしょうが、兵役法改正や住民登録制度など総合施策を見ると本音は在日に対する影響力強化政策にあると見るべきでしょう。
本国が反日運動中なので、日本での居心地が悪くなると思う在日は早く国に帰れと言われても、2〜3世世代になると言葉も通じず習慣も違ってきているので無理があります。
民族とはもともと文化・生活習慣〜価値観が一体化したものとすれば、もはや2世3世ともなれば現地民族に同化していることになる以上は、「帰ってこい」と強制するのは人道的に無理な要求です。
韓国では兵役中のいじめのすごさが有名ですが、韓国語もまともに話せない在日がいやいや入営した場合のいじめのすごさが想像されて99%の在日が兵役に服すための帰国など考えることもできないのが現状でしょう。
兵役義務免除廃止(が本当とすれば)の酷さは、これは自分の子供が外国居住が長くなり、生活手段もすべて外国にあるのを考えれば親の介護のためであろうとも職を捨ててすぐ帰れというのは無理なのと同様ですぐに分かることです。
同胞保護をするのが本国政府の責務とすれば、在外国民がその地に溶け込み2〜3世になってその国に永住したい人が増えればめでたいことと応援すべきでしょう。
めでたく帰化できれば、滞在国が仲間として受け入れてくれたことに対してお礼の一言があってもいいくらいですが、これまで見てきたように、逆に在日の帰化妨害制度を国内法で新設した上で、反日政策をより一層強化したとすれば文字通り逆張りあるいは開き直り行為です。
帰化するには本国に睨まれて徴兵対象にされないように心がけるしかないとすれば、在日が本国の要求を拒否できないし、本国を見捨てて逃げられないだろうという逆の発想によるとする右翼の曲解的宣伝も一定の合理性がありそうです。
反日政策を露骨に推し進めれば進めるほど、在日の肩身が狭くなり居場所がなくなる・右翼のいうとおり「日本に帰化しようかな!と在日の気持ちが揺らぐのを見越して、「兵役義務未履行者の国籍離脱不許可制度+在日兵役義務免除廃止」→帰化妨害効果になりそうです。

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