アメリカの対日政策5(日本孤立化政策2)

マスコミは韓国のように外資が入らない・・外資支配下に入らないのは日本経済に魅力がないからだ・外資の入り易い仕組みにすべきだと(法人税減税を含めて)しきりに宣伝しますが、これも朝日新聞同様の外資利益代弁の一態様です。
車で言えば国内市場が一定とした場合、外資・GM・ベンツ等が進出して国内生産を始めれば国内自動車会社の生産規模がその分縮小するしかないのですが、何故これが日本民族の利益になるのか考えれば分ります。
ある産業が、井の中の蛙で国際競争力がないのに関税で守られているならばジリ貧ですから、輸入増大→外資参入で活性化(農業で言えば外資以前に国内他業種の参入障壁撤廃)すべきですが、車その他多くの先端分野で国際競争に勝っていて世界中に進出している状況ですから、外資の方が、恐れをなして日本進出出来ないのは当然です。
競争する力がなくて尻込みしている外資に補助金までつけて進出させる必要がありません。
負けている分野でこそ他業種や外資の進出が起きるのであって、妨害さえしなければ(我が国は関税障壁が世界一低い)敢えて優遇しなくともドンドン入ってきます。
日本企業も同様で、現地企業に負けずに進出してやって行けると思う国にだけ進出するものです。
日本の大企業が何故欧米資本の傘下に入る必要があるのかについて、マスコミの説明がなく外資に見放される・孤立すると言うばかりです。
欧米の傘下に入れば、アメリカその他で嫌がらせを受けずに活動し易くなると言うことでしょうか?
殆どの大企業が欧米資本の傘下に入った韓国は、欧米の支援で超円高ウオン安の仕掛けをして貰って、日本企業キラーぶりを発揮して来たのは周知のとおりです。
韓国は、アメリカの期待に応じて忠実な役割を果たして来たことになります。
米英は昔から現地住民・近隣異民族や異宗派同士の敵対競争を利用するのが植民地支配の基本政策であり、その応用編でした。
約20年間以上にわたる日本たたき・孤立化政策(欧米の好きな「失われた日本の20年」と言うキャッチフレーズと同じ期間です)は実際には成功しなかったと思っています。
欧米の手先として韓国企業を競争相手に仕立てた政策は、曾ての輸出花形産業であった家電業界では松下やサンヨーその他が最終製品ではそのとおりになりました。
韓国は部品等を作る中小企業が育てないまま、財閥系の大工場が日本から基礎部品を輸入して組み立てるだけのために効率よく成長出来ましたが、いつまでたっても日本から基幹部品を輸入しているのでは、日本企業の支配下に事実上おかれてしまうことになりました。
日本の場合、海外工場進出によって完成品輸出が減りますが、基幹部品輸出が残るので、空洞化が緩和されています。
今後グローバル化が進むと完成品は現地生産比率アップしかないのですから、部品輸出能力が国運の成否を分けるようになって来ます。
日本が東南アジアに工場移転すると、韓国も中国も進出するしかないのですが、日本に比べて本社工場からの基幹部品輸出が少ないので、その分国内空洞化が急進展してしまいます。
今になるとアメリカの意向をカサに来て中韓両国が威張って来た結果、アジアで孤立してしまっているのは中韓2国の方であって、(しかも経済植民地化を進めた結果国民への所得分配が少なく国民は疲弊しています・・)中韓を手先として日本批判を煽動していた米国もその間にアジアでの存在感を下げてしまいました・・。
昔から植民地支配に中国人やインド人(アフリカ支配)を使って彼らに汚れ役をやらせるのが欧米の流儀でした。
植民地支配の終わった後なのに、韓国はベトナム戦争でこの役割を果たして、ベトナム人に対するマイナス遺産を残しています。
中国人が華僑として東南アジアの植民支配の下請けをしていたことが、東南アジアで中国人が忌み嫌われているマイナスの無形遺産になっているのを未だに気が付かないのです。
アジア危機で親身にアジア諸国の世話した日本は、その後東南アジアで確固たる地位を築いて来たことは知っての通りです。
(インドネシア、タイなどで日本製車が9割前後のシェアーを有している状態です)
中韓によるいわれなき日本批判に噓と知りながら同調する国は、アジア諸国では1国もないと言って良い状態です。
慰安婦像設置に協力しているのはアメリカだけです。
しかも敗戦直後に占領軍が慰安婦調査した・・慰安婦が自由に休暇をとったり巨額の貯蓄をもっていたことやどうやって応募したかなどの原資料を持っているのはアメリカであって、もっとも真実を良く知っています。
もっとも良く知っているアメリカだけが、言論の自由と称して韓国の宣伝どおりに虚偽慰安婦像の設置に協力しているのは、偶然の一致ではないでしょう。
90年代に日本に経済面で挑戦されていた米国の焦り・・これが、江沢民による公然たる日本敵視政策・・・1997年10月、江沢民はアメリカ訪問時に対日戦勝記念演説したことに繋がって行きます。

国民主権と護憲論の矛盾5

憲法に明記されている国民主権尊重の観点から言えば、日本の国民にとって不都合な部分があれば日本国民が自由に議論してその結果、仮に現行規定が不都合だとなれば、改廃することをアメリカが表向き反対出来ないことになります。
(政治的リアクションの考慮の必要性・汚職リークやマスコミ動員による影響力行使を考慮すべきは別ですが・・)
左翼・文化人の護憲論は、「内容を議論せずに問答無用式に現憲法を守れ」と言うこととすれば、国民主権論と矛盾しますが、今でも日本の支配権力がアメリカにあるべきだ・アメリカ支配意思の守護者・・悪く言えば手先と言う立場なら一貫します。
他民族支配継続を前提にする憲法擁護論は、日本民族のための議論とは言えません。
護憲論は議論自体許さない性質のものですから、アメリカの非合法な力をバックにした非論理的主張・・言わば言論暴力そのものです。
アメリカでさえ正面から改正手続きを憲法に書き込むことに反対出来なかった→手続き法の制定にも反対出来なかったものを、日本人と言う理由だけで、正面から反対運動をしている・・国民主権論と矛盾行為をしていることを誰も問題にしない・・出来ない程アメリカの陰に怯えているからでしょう。
アメリカは直接暴力を振るえないのですが、マスコミから干される暴力を言論人や政治家が恐れているのです。
あるいはマスコミをアメリカが支配しているので、真っ当な意見があってもマスコミに現れないだけかも知れません。
日本独立後アメリカが直接支配出来ないので、日本人の皮をかぶった文化人やマスコミを利用してアメリカの権益を代弁させています。
日本人だから国民主権と矛盾する主張しても良いとなれば、彼らは(日本人ではあるが)日本国内での民族意思の抑圧者=民主主義否定論者となります。
彼らはアメリカの言う民主主義は尊重し、しょっ中アメリカではどうだとか、国連の人権勧告がどうだと言いますが、日本国内の民主主義・・国民のための議論は抑止すべきだと言う矛盾した主張をしています。
外国の手先と言うのはいつもどこの国でもそう言う性質のものです。
自分たちは前衛で意識が進んでいるが国民が愚昧であるから、その意見などマトモニ聞いていられないと言う立場かも知れません。
私が弁護士になったばかりの頃には、共産党関係者のこの種の話をイヤっと言うほど聞かされていました。
後進国では民度が低いから開発独裁が良いと言う政治スタイルをそのまま日本に持ち込んで(自分はエリートだから理解出来るが・・と言う特権意識を前提にしています)いることになります。
今でも韓国や中国関係者の話では、「先生のように良く理解されている人の場合は良いのですが、一般ではそうではないので、・・」と言うエリート意識をくすぐる方法が流行しています。
先進国アメリカの作った政治手法・・憲法を、愚昧な日本国民がいじらない方が良いということでしょう。
高名デザイナーが設計した店舗の陳列や、自宅の間取りを勝手にいじるとぐちゃぐちゃになってしまうと言うのと同じ発想です。
左翼進歩派?の主張が独裁国家の旧ソ連や中国の代弁者とすれば一貫していますが、日本で文化人と称して民意尊重・庶民の味方と称して人権擁護運動をしているのですから、矛盾行為(・・・日本人の皮をかぶって入るが内容は外国人)ではないでしょうか?
こういう矛盾行為が許されていて誰も批判出来なかったのは、これを利用する背後勢力(アメリカに限らず中韓も利用勢力です)が大きすぎるからです。
日本が非武装のままであれば、利益のあるのは半永久的属国状態を期待しているアメリカはもちろんのこと、中韓両国にとって利益があって、非武装論は彼らの応援を受けているからではないでしょうか?
外国にとって利益で日本にも利益と言う関係もありますが、周辺国が軍事力の増強一本槍の状態下にあるのに、我が国だけ非武装のママにしておくのは、逆から言えば、日本民族にとっては不利益と言うことになりませんか?
軍縮は望ましいものですが、相互削減してこそウインウインの関係ですが、一方が軍備増強を続けているのにその敵国視化されている国が一方的に非武装化→一種の武装解除して行くのでは、合理的ではありません。
言論の自由とは言っても、相手国が軍備増強中に自国だけ削減して行くどころか非武装化して行くのが良いと言う意見を支持する意見・・実際に実行して来た国や民族は、国際的(同じ時間軸)または歴史的(縦の時間軸)に全く存在しないのではないでしょうか?
もしも中韓両国政府や文化人あるいはアメリカ人がこれを支持している・・正しいことだと言うならば、先ず自国軍の非武装化から始めるべきであって、日本の方だけ先に非武装化するのが正しいと言うのでは矛盾していることになります。

個人金融資産の重要性5(ユダヤ系の表面化)

以前韓国企業の外資比率のシリーズで書きましたが、サムスンの外資比率が50何%と言われていますが、残り5割の韓国内企業の保有株の内、例えば韓国の銀行が3割持っているとした場合、その韓国銀行の外資率が10割であれば、その3割も外資比率に加える必要がありますし、3割ならば9分の1を加える必要があります。
銀行の民族資本比が仮に7割の場合でも、民族資本7割の保有企業・機関投資家・ファンドの外資比率を見なければなりません。
我が国の場合でも外資系ファンドに日本国民が投資している場合が多くあります。
企業の資本家(金融商品保有者)は、年金や生保、銀行・投資信託その他複雑に絡まりあっていますので、究極の民族資本比率を知るには各種金融商品発行総額の時価評価に対して個人金融資産が何割を占めているかに帰着すると思われます。
個人保有資産も外債や外国の株式を買うなど入り組んでいますので、国内金融商品の国民保有比率を知るには、余程精密なデータが発表されないと分りません。
私のような門外漢が実質的な日本や韓国の国際的地位・・個人の豊かさを大雑把に知るには、個人金融資産保有額の国際順位を見ると世界全体での保有比率が分ります。
このために2014/08/14「個人金融資産の重要性4」で「個人金融資産 国別ランキング統計・推移」を紹介しました。
ところで、その国に本社のある企業資本が如何に多くとも外資が大方を占めている・・極端な場合タックスヘイブンであれば国民の豊かさと直接関係がありません。
国内個人金融資産保有額がどれだけあるかこそが、国民全体の豊かさや国際的発言力の強弱に実質的関係があります。
(ただし、中国のように裸官と言って国外逃避している資金が多いと国民のための資金にはならないでしょう。)
もの言う外資とか言ってファンドなどの運用者の意見が幅を利かしていますが、環境向けファンドなどファンド運用者に対する究極の影響力を持つのは出資者です。
各種機関投資家の資金出し手は究極的には個人金融資産保有者となりますので、国単位で見れば、国別個人金融資産保有額の大きい方が発言力があることになります。
個人金融資産の規模こそが国力の源泉だと言う視点から、8月14日に紹介した国別データを見るとアメリカの個人金融資産は今なおずば抜けていますので、まだまだアメリカの世界支配力が強いことが分ります。
しかし日本の3倍強しかありませんから、人口比やGDP比にすれば大したことがないとも言えます。
実際にはもの言う株主・個人が少ない・個人にはよく分らないこともあって、ファンド組成能力のある米英(実質ユダヤ系が牛耳っていると言われていますが・・)の金融プロにお任せになり易いことが、米英の経済実力(保有金融資産)の何倍もの支配力・・発言力を発揮しているのです。
米英(ユダヤ系資本)は、自己の資本力の少なさ=発言力の低下をカバーするためにファンド等の他人の金を集めた「仮の力」を利用して米英の都合を押し付ける傾向がある(金融運用の仕方が政治に直結することが多い)ので、これがユダヤ系の力を過大視してユダヤ系の陰謀と言われるようになっている原因かもしれません。
日本的価値観で言えば、会社を経営している経営者・スポーツの選手や監督が偉いのであって、資本の出し手が偉いのではありません。
幕末に活躍した高杉晋作など志士達のバックにスポンサーがいたのですが、彼らは飽くまで黒子であり、表に出たり直接的利益を求めたことはありません。
ユダヤ系機関投資家は、配当益の最大化を露骨に求めて、税の安い国に本社を移すなど法人税の引き下げ圧力を強める(彼らの本質は無国籍主義ですから、存在する地域社会に報いる気持ち・・相応の負担をする気持ちがありません)外、法人の内部留保を認めず自社株買い→株価上昇まで求めている時代で、これが流行になっています。
ちなみに法人税減税政策実現の見返りに研究開発に対する減税あるいは日本が進めて行くべき分野の促進税制・・電気自動車開発など補助金などの縮小・・増税策が普通に・・疑問もなく議論されていますが、これでは政治としてどこに重点をおくかのメリハリをなくして、薄く広くバラまき政治となるだけです。
むしろ基礎的税金を多めにかけてその資金で重点分野に補助金を支給したり、減税したりして成長を促進させるのが政治のありようです。

貿易黒字(依存率)と内需5

15日引用したグラフ解説者の意見を敷衍すると、まだ貿易社会に参入できない最貧国等は別として、近代化離陸中の国は貿易依存度が高くなるの逆から言えば依存傾向がある・・依存度の高い順に国内経済はまだ未成熟な離陸開始直後に近いと言えます。
(ドイツの貿易依存率の高さは異常ですが、この点については別に書きます)
近代社会に参入したばかりの国では、先ず外貨を稼ぐことが最重要ですし、国内購買力が低いので、自国民相手に物を作ったりサービスするよりは、輸出基地として投資を呼び込み先進国で受入れられるものやサービスに特化して売り込みに励むしかありません。
結果的に自国民相手の経済ではなく、目の前の国民を顧客として大事にしないで、遠くの国への輸出品製造基地として投資を呼び込み、輸出に精出しているのが発展段階の初歩と言うべきでしょう。
中国が輸出基地として深圳特区など作って外資を呼び込み、貿易黒字に精出して黒字を溜め込んでいたのは、この意味で参入当初の行動としては当然の行為であり、立ち上がりに成功したと言う程度のどこにでもある結果です。
商人・産業界が国民を客として重視しない社会では、政治制度だけ国民主権と言っても建前に過ぎず、実際には無理・・国民不在政治になりガチですので、開発独裁と言われるように新興国では独裁政治の方が似合っています。
キャッチアップ型社会では先進国の真似をしていれば良いので、国内で試行錯誤的議論する必要もなく独裁の方が効率的ですから独裁が向いていると言われてきましたが、政治だけではなく、民間経営者にとっても輸出先である外国の顧客志向ですから足下の顧客をあまり意識しない経営体質になっていて、・・社会全般に国民の意向軽視社会で済む点も独裁の下支えになっているのです。
まだ中国が解放直後の立ち上がり段階では、(自由経済参入する以上は共産主義とは矛盾していますが・・)1党独裁のままであったことについては、社会的妥当性がありました。
新興国を卒業してOECDに仲間入りした筈の韓国が、新興国顔負けの貿易依存率100%と言う突出ぶりを示しているのは、外形的高成長にかかわらず、輸出基地として発展開始したばかりの後進国同様に国内経済がなお未成熟であることを証明しています。
韓国は国内経済が未熟なまま無理して軍事独裁政権から民主政権に移行しましたが、経済内実が伴っていないで王朝時代の搾取構造(専制支配の民間版である財閥支配)のままなので、民主政体と噛み合ない結果、政権維持に苦労していることになります。
中国の場合政体と内実が一致しているので、この面では国民の意見を聞くと言う格好を付ける必要がなく情け容赦のない少数民族弾圧を繰り返していますが、韓国の場合表面上民主政体になってしまっているので、内外共に二重に虚偽性を発揮しなくてはならないのが苦しいところです。
北朝鮮や中国と一体化して民主主義国家社会から訣別して開き直った方が楽でしょう。
韓国の大統領制については、実質期間限定の独裁体制であると言う説明を「民意に基づく政治2(大統領制と議院内閣制1)」July 14, 前後のシリーズで書いたことがあります。
民度が熟していない後進国の場合、本当の民主主義政体・・完全な言論自由化にすると、言いたい放題・利害調整能力の欠如からまとめる力がない・・混乱になってしまう点をアラブの春に関して連載したことがあります。
期間限定の独裁体制にすれば、その間政権から引き摺り落とす政治行動が出来ないので、政争から逃れられるのでその間だけでも政権が安定するから後進国向けメニューです。
朝日新聞の30年近い慰安婦報道が虚偽報道だったことが朝日の記事訂正・自白によって明らかになって大騒ぎですが、この意趣返しのためか?朝日の報道を長年批判して来た産經新聞ソウル支局長が大統領の動静を朝鮮日報の記事を引用する形でネットで報じたことが虚偽報道だとして検察への出頭要請されたことがニュースになっています。
民主化したとは言っても、内実は言論の自由・政治家の行動批判すら許されない程度の民主国家だと言うことです。
ルーマニアその他独裁政権が倒れると直後に必ずその復讐があるように、韓国では任期中政権打倒の運動を出来ない代わりにその間の不満の蓄積があるので、(これも上記引用コラムで書きました)これまで政権交代の度に前大統領とその周辺が粛清?されて来ました。

一般人の生活水準5(韓国)

ストックの大きい国では、フロー収入だけで社会構造を見ていると、金融資本その他ストック格差による修正がある点を無視する議論になってしまい、実態を直視しない・・ずれた意見になります。
要はストックのある社会か、ない社会かによって統計の意味を変える必要があると言うことでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101124/217255/?rt=nocntの(日経新聞電子版)「韓国は「非正規大国」って本当?
高安 雄一
>>バックナンバー2010年11月29日(月)1/4ページ
「雇用者の非正規化によるコスト削減が成長の理由か」

の意見では、日韓共に非正規雇用率は大差ない・・どちらも30%台後半で統計の取り方の違いだという趣旨を書いています。
現在ではどこの国でも社会構造が似ていますので、どこの国もホワイトカラーや正規社員は減り、非正規雇用が増えて行く・・似たような構成率になる趨勢です。
とすれば、意外にこの日経電子版の意見が正しくて、韓国庶民・・・非正規雇用労働者や老人の苦しみは、非正規雇用率の差ではなく、親世代の蓄積差である可能性が高いように思われます。
以前都市住民2〜3世と地方から出て来たばかりの1世とでは、同じ20万円の収入でも(親の家から通える場合と自分でアパートを借りる場合)生活格差が半端ではないと言う意見をOctober 6, 2012「最低賃金制度と社会保障2」前後で書いたことがあります。
日本の若者は親世代の巨大な蓄積があって、2〜30万円の非正規収入でも、親の家に住んでいる場合、食費程度入れれば残りは全部小遣いに使えるので、豊かな生活が出来るから幸せです。
高齢化すれば少子化の結果、親の家や金融資産を少人数で相続できるので老後の心配もありません。
少子化で次世代の負担が大きいとマスコミが煽りますが、少子の方が相続で得るものが多くなります。
日本の老人は自分の働いていたときの蓄積が大きい・・1600兆円の個人金融資産の大方を老人が持っていますので、老後の不安どころか、非正規率が上がって生活力のない現役世代を助けてやっているのが実情です。
この実態を直視して、孫の教育費や子供世代の自宅取得等に対する贈与税等を次から次へと非課税化する政策が進んでいます。
政府負債の相続よりは1600兆円の金融資産と自宅との資産を相続できる方が大きいのに、マスコミが次世代が損すると長年キャンペインを張っていますが、誰も呼応しないのはマスコミが実態に反した主張をしているからです。
韓国では、若者も老人も苦しいのは、日本のように長年の蓄積(年金積み立て)がないうちにフロー収入の少ない非正規雇用時代や高齢化時代が来てしまったからであって、非正規雇用によって格差社会が進んでいるからではありません。
韓国は中国よりもっと近代化=高度成長期に入るのが早かったのですが、通貨危機で一旦ご破算になったので、このとき社会の蓄積がほぼゼロになってしまい、蓄積が2000年ころから始まった点は中国とほぼ同じです。
中国の場合当時まさに高度成長真っ盛りでしたが、韓国の場合は通貨危機以降高度成長が終わって中成長になっていましたので、フロー収入アップ率(蓄積できる儲け)が中国よりも低かったし、国の基幹産業を外資に抑えられている点では、基幹産業を国有企業としている中国より基盤が脆弱かも知れません。
我が国の外貨準備がほぼ真水であることを書こうとしていて、25日以来韓国の個人金融資産にそれてしまいました。
ストックの重要性と言う意味で中国の外貨準備に戻りますと、我が国と違い外貨準備の内実は外資の付け替え部分が大きいので、経済失速して外資の資金流出が始まると外貨準備の水マシ部分がはげ落ちます。
賃金上昇で競争力低下が始まると一人っ子政策を改めたり、金融引き締めでバブル拡大を防ぐかと思えば無駄な工事を再開して、だぶついている鉄鋼在庫に困っている業界を救済したりするなど、客観的に見れば「場当たり政策の典型」・・政府の体をなしていない・・(軍の統制を含めて)収拾不能な状態に陥っていると解釈することも可能です。
逆に中国贔屓スジから見れば、深謀遠慮・柔軟対応で素晴らしい国とも言えます。

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