公約から実務能力へ4

話が為替政策にずれてしまったので、公約の意義に戻ります。
安倍自民党の円安政策発言がそのまま実現しているように見えるのは、わが国にとって不幸なことに貿易収支赤字の定着傾向とタマタマタイミングがあったに過ぎません。
まさか安倍氏が我が国の貿易赤字を実現した・・安倍氏の功績だとその取り巻きも言うつもりはないでしょう。
とすれば公約とは関係なく、大震災以降我が国のファンダメンタルズが悪化して来た結果・・その効果・・貿易赤字恒常化の傾向が統計上も出て来て・・「さすがに日本も参って来たか!」という国際認識の結果、円が安くなったことを誰もが認めるしかない筈です。
円安とは、国力低下に応じて市場がハンデイを下げてくれたに過ぎず、決して目出たいことではありません。
1月10日に書いたように為替介入は短期的には行き過ぎた相場の是正作用はありますが、その程度の効果では、企業が海外進出するか、国内で増産するかどうかの長期判断には関係しません。
長期的な為替相場は貿易の長期的トレンド・国力評価によるものですから、政治家が公約として円安にするとか円高にすると主張するのは太陽の運行を早くする・あるいは来年は猛暑にするというのと同じで政治で決められることではないので公約には馴染みません。
安倍自民党は本来公約になり得ないものを掲げてあたかも自分の手柄のようにしていますが、貿易赤字が定着しつつある昨年秋ころからは、赤字傾向になって来たので円が安くなるしかない地合でこれを先取りしたに過ぎません。
公約の意義に戻りますが、国民政党時代に社会が来ている以上は、結果的に矛盾した国民の要望をどのように取り込んで決断し、実現して行くかしかありません。
本来的意味での公約が無理だとすれば、公約としては「貿易立国」や「国民の生活第一」みたいに抽象的にしておくと政党を選ぶ基準がなくなります。
結局は人格者に委ねる・・あるいは実務能力が必要になったと時代と言えるのかも知れません。
公約があまりにも総花的になって意味をなさなくなったので、人格+実務能力時代に戻ったのでしょうか?
実務能力重視と言えば、地方首長が副知事や助役経験者ばかりだったころを思い出しますが、その頃の説明では、地方自治体では革新だ保守だと言ってもやれる範囲が狭いので関係がない、むしろ実務能力こそ重要だということでした。
言わば国政も冷戦構造が終わって、保守革新の区別が意味をなさなくなると、地方自治体のような関係になります。
今後は国際経済競争にどうやって勝ち抜いて行くか、どの辺で折り合いを付けて行くかの競争です。
保守革新の区別ではなく、予めどうすると公約していた事態ではなく、原発事故のような個別事案が起きるたびにその処理能力、官僚掌握術・結局は人格の高潔さ・懐の大きさが勝負になってきました。
アジア通貨危機やバブル処理でも実証されましたが、アメリカのエリート学者の集まりであるIMFの言うとおりしないで、一見もたもたしていた我が国のやり方が正解でした。
最先端・・世界でどこも経験のしたこともない難しいことは、じっくり時間をかけて日本流の総意・・ボトムアップ方式で進めて行くのが良い結果に繋がります。
指導者不足と嘆くマスコミ論調が多いのですが、日本人は一人一人のレベルが高いので、少数のエリートに一任する諸外国のやり方・アメリカの真似をしたがるのは却って危険です。
日本社会はこれからも前人未到の最先端社会を切り開いて行くしかないのですから、お勉強・・いつも書きますが過去の経験を学ぶのに秀でた人たち・・単純回路中心のハーバード流(プリンストン大学でも同じですが・・)学者の言うとおりしていてもうまく行きません。
誰もどこも経験したことのない最先端事象を解決して行くには、国民の総意を総合して行くしかない・・もたもたしているように見えても、これが1番副作用の少ない良い結果を生み出します。
幸い我が国の国民一人一人のレベルが高いので、一握りのエリートに委ねるのではなくみんなで智恵を出し合って行けば、必ず良い解決が生まれる筈です。
強力な指導者による号令一下突進するのではないので時間がかかりますが、愚直にモタモタしながら、国民みんなで努力し、もがきながら良い(GDPのことではなく国民生活の高レベル維持)結果を出せればいいのです。

政権担当能力4(公約1)

アメリカの対日基本スタンスは、戦後一貫していて日本を支配下に置く・・支配下におけないまでもその弱体化が究極の目的だったと思われます。
周辺諸国もこれに同調しているので、日本は米中韓による悪意の包囲網下にあると考えていいでしょう。
極東だけで見れば中韓の言うとおりに、日本は戦後ずっと孤立して来ました。
・・最近は東南アジアやインドなどが強くなって来たので大分日本に有利な局面になってきましたが、米中韓包囲網から抜け出す気配のある日本に対して、米中韓が焦り始めたのが最近の日中・日韓緊張激化の根本原因かも知れません。
米中韓の包囲網からすれば日本の「政治の迷走は思う壷」ということで、能力のありそうな政治家に対してはアラ探しをしてこの対応に終始させて、他方で残った小者に対しては政権担当能力のなさをマスコミ・進歩的?学者を通じて煽って来たように思われます。
民主主義国家においては政策によって競うべきであって、政権担当実務能力をマスコミが煽ること自体、(野党には実務経験がないのは当然ですからこんな基準が幅を利かすと政権交代が出来ません)選挙による政権交代を前提とする民主主義政体をぶちこわす行為です。
実務能力基準と言い出したら20年前ころまで普通だった地方自治体首長が助役や副知事上がりの時代に戻り・選挙は儀式でしかなくなります。
石原前都知事が殆ど登庁しなくとも成り立っていたのは、(有能な副知事がいたとも言えますが・・)本来政治家は大所高所からの方向を決めれば良いのであって実務は官僚に委ねるべきでしょう。
実務能力を言い出したら官僚上がりが一番ですから、政治家不要論・民主政体が成立しません。
民主政体が良いと言う以上は政治家が決める方針に併せて官僚機構が責任を持って準備して、且つフォローして行くべきでしょう。
政治家は官僚のようには実務経験がないのが当然ですから、民主政体を選択している以上は、実務処理能力を基準に議論する最近のマスコミ傾向は間違っています。
防衛大臣で言えばシビリアンコントロール・軍事のプロではありません・・に矛盾することが明らかでしょう。
実務処理能力不足問題は、与野党が変わったときに官僚が充分に下準備して補佐すべきことです。
ただし、 官僚機構がいくら準備しても出来ないことは出来ませんから、公約発表には与野党を問わずに実際に可能かどうかの官僚機構との事前擦り合わせが必要です。
野党が法案提出するには、条文にするにはどうするか、他の条文との整合性はどうかなど専門家とのすり合わせが必要なのと同じやり方です。
ただし、Dec 1, 2012「民主主義と正義9(選出母体の支持獲得1)」に書いたように、現在では国民政党化している・・支持母体が錯綜しているので、どの政党も公約に責任を持つとすれば、独自色・特色を出せずに「よりよい日本を作る」「日本を元気に」という程度の抽象的公約しか出せません。
国内企業立地が国際競争上不利になっても良いという意見は、労働者であれ資本家であれ誰もいないでしょうから、争点はもっと具体的な企業保護政策・逆から見ればどこかがその分しわ寄せを受けるかに論点が下がっていますが、これは裾野が広過ぎて公約には書き切れません。
書けるとすれば、政策選択基準を開放経済中心で行くのか国内企業保護で行くのか、農家保護中心で後はおかまいなしか企業保護中心か労働者中心に軸足をおくのか、高齢者中心か若者中心か程度は自分の立ち位置を明らかにすべきでしょう。
ところが、上記12月11日に書いたようにどの政党も労働者からも企業からも農民票も高齢者票も若者からも総体からの票が欲しい・八方美人のために政党色が表面に出ていません。
当選したら何をするのからない状態での投票勧誘・公約ですから、困ったものです。
農家保護子供手当その他諸々細かい項目ごとの賛否を公開質問しているのですが、これらを見ると個別項目と他の項目が相容れない場合が多くあります。
どちらを優先するかの質問がないから、どの項目にも賛成の大そうな選挙に有利になりそうな回答を選んで気楽に答えているのでしょう。
たとえば国際競争力の維持向上政策の必要性は誰も反対しませんが、それと原発維持拡大しあるいは縮小とどのように整合性をつけるのかの立ち入った質問も回答もありません。
都市政策に関して何回も書いていますが、旧市街地街の再開発と郊外の新市街地開発とは高度成長期には両立していたので政治家は気楽に主張していました。
今はどちらかをやめないで両方に投資して行くのでは、財政が持たないし人口減少地域は無理があります。
原発即時廃棄と燃料輸入増による電力料金の値上がりや貿易赤字をどうするのか、福祉充実と増税反対など、いろんな矛盾項目(実際には2項対立どころかもっと複雑です)をセットで考える必要があります。
一人の人間・・政党は同時にいろんなことを決めなければらないのですから、優先順位を付けて質問をし、回答を求めないと意味がありません。

全否定・プロパガンダ文化と交際の仕方4

陰で悪口ばかり子供に教え込んでいるような狡い隣の人・・国々とつき合うのは出来るだけやめる・・時候のあいさつ程度にどどめる・・つき合っていればロクなことがないので縮小して行くのが合理的です。
第二次世界大戦も日本が中国にかかわり過ぎたこと・・アメリカによる対中国機会均等要求から始まったものでした。
日本が中国と関わりを強めるとその邪魔をしたくなるのが、100年来のアメリカの基本的立場ではないでしょうか?
触らぬ神に祟りなしとも言います。
中国への企業進出は、中国政府支援による暴動リスクによるだけではなく、妬み深いアメリカの意向もあるし、深入りせずにいい加減なところでとどめておくのが賢明です。
有り難いことにネット発達によって、日本孤立化を策して来た米英支配の世界メデイアの世論形成力が低下することが見込まれています。
今後は中韓のように人の陰口ばかり教育したり、日本その他の国のマスコミを裏で買収して虚偽宣伝をしている国の方が、長い間には世界で孤立して行くことになるでしょう。
虚偽の教育ばかりしていると、上が上ならば、下も下というワケで国民が以心伝心でいろんな方面で嘘八嘘でも繰り返しを言いつのれば良い・・良いものがあれば盗めば良いという日常生活態度になりがちです。
最近の例で言えば韓国の楽曲等のネットのヒット数で世界有数・・何億ヒットにもなるそうですが、CDの売上では僅か数万枚という例がいくらでも出ています。
ワンタッチで数十万単位のヒット数を記録出来るような装置を利用して、いろんな分野で世界で人気ナンバーワンをあちこちで偽装している韓国系の策謀が今や世界の常識になっています。
CDその他の実売数が、(これも自分たちで大量入手して安く頒布しているようですが、このやり方は限度があるので結果が知れています)本当の人気でしょう。
あらゆる分野でこう言う操作をしては、世界のヒット数ナンバーワンと自己満足している不思議な国です。
ただし、ブランドイメージ・虚偽のイメージ植え付け成功によって家電製品等の広告に有名化した韓国俳優を起用したり出来るので、結果的に売り込みに成功している面もあるようです。
最近アメリカで判明した現代自動車の燃費偽装表示問題は、こうした思考回路・行動様式で成功して来たものの、いつかは虚偽はバレル・虚偽は続かない結果が出た・・氷山の一角と言うべきでしょう。
中国のGDPの操作疑惑では電力の増減傾向と合わないことが4〜5年前に批判されたので、一時的に統計発表をやめていましたが、最近では政府発表に合うように操作されたと思われる統計を再度出すようになっているようです。
最近では電力統計等が操作されているので、当てにならなくなりましたが、政府統計ではない物流(・・港湾在庫の積み上がりなど目に見えます)が前年比大幅減なのに何故7%も成長していることになるのだ?と疑問が出ています。
このように嘘はどこからかバレるものですが、韓国の場合はネットの悪用が既に世界的に評判になっています。
どんな商売でも同じですが、1回良い思い・・楽して儲けることを覚えると企業精神が蝕まれてしまい結果的にマイナスになるのが普通です。
ここ2〜30年グロ−バル化の波に乗って韓国を具体体に知らない世界中に対して、政府挙げてのイメージ戦略・・と言えば聞こえが良いですが、虚偽報道のしまくり・・マスコミの作り上げたイメージで成功してきましたが、今後は世界中で個々人と直接接する機会が増えて来ると、身近で見聞きする具体的な人格が重要になります。
その結果、マスコミの作り上げたイメージではなく韓国人や中国人の具体的人間像が知られるようにになって、人の物を簡単に盗む・嘘ばっかり・怒りっぽい・汚い・うるさい等々のマイナスイメージが、現実に作られつつあります。
中国政府は浅ましくも国連の場でさえも日本が尖閣諸島を盗んだと口を極めて非難していますが、こう言う浅ましく野蛮な態度自体が世界中で嫌われる材料になり始めていることにまだ気づいていないのです。
英米メデイアが牛耳る時代が終わり、具体的人間観察・商品比較となって来る時代が来れば、世界中の人が日本人と中国人や韓国人のどちらを信じるかで見れば勝負は明らかです。
自分で努力しないで人の成果を盗んでいるのはどこの国が多いか、世界中で泥棒の多い国は日本と中国どちらですか?と問えば、あるいは歴史認識と威張っているが自国歴史を想像で語っている人が多いのはどこの国か?と言えば、日本は中国や韓国を引き離して圧倒的に信用されていることが明白です。
グローバル・ネット時代では、米英系マスメデイアが作り上げた虚像(米英の真似をして虚偽宣伝に熱を上げて来た中韓の日本批判)よりも、具体的な国民個々人が世界各国で作り上げていく人格像が重要になるでしょう。
 これで今年の社会問題等に関するコラムは終わりです。
明日からは大晦日と正月のコラムになります。
正月明けには、中韓との交際の仕方・・度し難く見える中韓ではあるけれども、我が国とは違い中韓においては政府と国民は別ではないかという・・10月25日に少し書き掛けてそのままになっている別の視点から考えて行きたいと思っています。

悪しき隣人との交際4

クリスマス・イヴとその関連コラムで観光立国批判・国境問題に話題が移って来たので、中断していた2012-12-23「 悪しき隣人との交際3」の続きに戻ります。
中国としては、甘く見ている日本だけを標的に攻撃してみて、失敗しても何とでもなると思ってやったつもりでしょう。
全世界の外国資本を攻撃したのでは世界を敵に回すことになるので、これを避けて一点集中攻撃から始めるのが合理的ですが、相手が日本なら戦前の仕返しだと言えばどうにでもなるし、アメリカや西欧も黙認・・背後で応援するという冷徹な読みが中国にはあると思われます。
これまで書いて来たように戦前の機会均等要求→世界大戦の要因になったように・・最近では中国市場で一人勝ち的な様相になっている日本の存在を欧米は苦々しく思っている筈です。
実は日本攻撃から始める準備は、江沢民が主席に就任して以来周到に準備して来たことです。
江沢民が就任後のアメリカ訪問時にアメリカの戦勝記念碑か何かに献花して対日戦争協力関係を忘れないという演説をしたことがあります。
このときに江沢民は日本の中国進出に対しては、今は必要だから投資させているがその内に投資した資産を投げ出して逃げざるを得ないように、叩き出してやるから・・とアメリカに約束していた可能性があります。
これまで中国と蜜月状態で協力して来た日本は、この突然の演説には非常に驚きましたが、そのとき以来中国では江沢民による日本非難の国内教育を着々と始めていて、今ではこの教育で育った世代が成人しています。
当時直ぐに日本を叩き出すには、中国の経済力がひ弱なために政治と経済は別と使い分けて日本に対して投資を呼びかけて深入りさせて来ました。
深入りすればするほど日本に対する攻撃の効果が高くなる・・レアアース供給の9割を中国に頼っていた日本を狙い撃ちに、レアアースの禁輸をイキナリ始めたのはその手始めでした。
江沢民の演説は、アメリカに対する戦時中と戦後の「密約を忘れるな」という意思表示であり、アメリカは多分今も忘れていないというエールの交換をしたことを公式に表明するための重要な転換点であり、セレモニーだったことになります。
中国が開放政策採用によって共産主義を事実上放棄したので、(名目上の共産主義温存とは政治的には独裁を維持するだけの意味でしかないでしょう)戦後共産主義封じ込め政策で米中が敵対していたことをやめて、戦前の協力関係に戻ることの確認でした。
・・裏返せば伸び過ぎた日本を叩くために戦前同様に再び対日共同戦線に戻ると言うアメリカのメッセージとして米中両国で演出をしたものでした。
日本はこれには驚いたものの、誠実に協力していれば悪いようにならないという日本流の解釈でその後もなおも経済協力を惜しまないで来ました。
中国としては日本の投資残高が大きくなればなるほど日本の撤退は巨額損失になる(自国にとっては技術移転になるメリットが大きい)ので、イザとなれば脅かし易くなる取引材料ですから、いくらでも奨励します。
江沢民→胡政権はこれ以来何十年もかけて反日教育に精出しているのに、日本はこれをやめてくれるように申し出を全くしないまま・・中止と引き換えに経済協力するという程度の要求もしないまま、無償で植林事業をするなど言われるままに資金や技術協力だけして来ました。
今回の尖閣諸島問題で紛争中にもかかわらず、何らの要求もなしに今年も中国向け円借款を中止しないで援助することに決めたと大分前に報道されていました。
こう言う政府の弱腰態度は韓国に対しても同じで、今回の竹島騒動でも仲直りするならば、「既成事実そのまま認めるのではない」(韓国側による何らかの譲歩・・構築した施設の撤去)「反日教育をやめさせることを条件にすべきだ」という以前からの私の主張になっています。
日本は中韓との仲直りをするならば、少なくとも「反日教育をやめろ」くらいの主張はすべきです。
反日教育をそのまま黙認していて表面だけ仲直りしても、反日教育で次世代〜更に次の世代までが育ってしまうのでは、両国の親善にとって取り返しがつきません。
その場だけ仲直りすれば良いとして来た歴代自民党政権の対応が、相手が悪過ぎて大失敗だったと思います。
今の中国人や韓国人の大半が反日教育で育っていますので、心から日本のありもしない残虐行為を刷り込まれた人ばかりになっています。
こんな教育をしている所でいくら日本人が現地で献身的無償協力をしても、その裏で反日教育に精出しているのでは何にもならない筈です。
ただし、12月22日に書いたように日本にとっては民族感情問題を中心に政治をして行くのは無駄です。
安倍自民党総裁が選挙前公約にかかわらず、大勝後に中韓を刺激しない政策を選択しているのは正しいことですが、これ以上深入りするための弱腰外交では国民感情が許せないでしょう。
悪しき隣人とは深入りすれば仲良くなるのではなく、むしろ関係悪化の禍根を拡大するだけですから、日本古来からの法に従って、(喧嘩で勝つよりも)悪しき隣人とはなるべく交際を減らして行く方が合理的です。
だからと言って右翼のようにいきり立つのでは子供の喧嘩レベルですから、投資の段階的縮小・・関係縮小のためには、主張はきちんとして行きながら「まあまあ・・」といって宥めておく大人の外交が必要です。

観光立国と生活レベルの低下4

企業本社があれば、全世界の収益の集中したものが税として国や自治体に入りますが、宗教団体の場合、上納金や拝観料は税にはならず、(古都税だったか大論争がありました)周辺の飲食店や切符きり等で働く人の個人所得を基準にした住民税しか入りませんが、個々人が学生アルバイト・非正規雇用中心の場合彼らからの税・・社会保険負担はあまり期待出来ません。
12月21日の日経夕刊には三菱商事の中核事業である4割の売上を占める金属事業部門を別会社にして、その本社をシンガポールに設立すると書いてあったことを、22日のコラムで紹介しました。
本社部門約400人らしいですが、法人税や400人分の所得税等が日本に追々入らなくなるだけではなく、400人の高額雇用が失われる・これを目当てにする間接雇用も大きく損なわれる大事件です。
12月21日に中国高官の裸官などを書きましたが、個人と違い経済的利益を目的とする企業が立地上有利な国の国籍を選ぶのを非難出来ません。
これまで本社・本部の取り合いは都道府県間の競争でしかなく、東京1極集中の弊害は地方交付税・地方優先の公共工事などの形で再分配が行われていました。
国際間になると再分配が期待出来ないので、本社の奪い合いは壮絶な国際競争・・辺境の離島や国境地域の領土分取り合戦以上に重要な現在の戦争です。
戦時でいえば、精鋭部隊一個連隊が敵軍に引き抜かれた(敵に寝返った)ような打撃がありますが、これに対する政治の反応はあまり報じられていません。
国境付近は概して僻地で何もない所・・経済価値の乏しいところが殆どですから、足で歩く時代の安全保障には1kmでも2kmでも国境が遠いに越したことがありませんでしたが、ミサイルや航空機中心の時代にはそれほどの意味がありません。
尖閣諸島周辺に資源があると言っても、日本からは遠過ぎて採算が取れないからどこの企業も及び腰になっていたのですから、その資源で何人の労務者等を養える(コスト上マイナスでは意味がありません)かという冷静な計算が必要です。
右翼がいきり立っているのは、4〜500年前の古い陣取り合戦の郷愁によるものです。
ちなみに、足で歩く日本の戦国時代でも支配領域境界から本拠地までの距離は援軍が来るまでの時間稼ぎ・・・・あるいは本拠地や準本拠地が奇襲攻撃を受けないようにする一種の情報伝達基地・捨てコマでしかありませんでした。
本軍自体に大きな戦力差があるときには、武田家の滅亡時や後北条氏の滅亡あるいは明治維新時の会津鶴ヶ城の落城を見れば分るように、領域境に援軍を送ることも出来ず、本拠地に迫る敵の大軍(織田徳川連合軍の攻撃や豊臣・徳川勢の小田原攻め自体は早くから武田側や北条側に伝わっていたし、戊辰戦争での官軍の攻撃も前から分っていました)を数時間や1日〜数日単位で引き延ばすだけの意味しかありませんでした。
戦力差が大きい場合、途中の小さな拠点など無視して進んでも背後を脅かされる心配がないので、順番に攻略する必要すらなく、時間稼ぎにもなりません。
今では国際紛争激化が数年前から進んで来た上での実力行使ですから、その前から報道その他であらかた戦端が開かれる予定が分る上に、戦闘開始直前・・国交断絶後でも敵の動きは人工衛星その他で予め十分に分ります。
奇襲攻撃があるとしても、今はロケット・ミサイル・航空機中心ですから、国境線から順に・・例えば尖閣諸島から順に占領して沖縄に攻め寄せて来る訳ではありません。
国際紛争に勝つには、国力を維持し高めることが先決であって国境地帯を寸土も譲れないと息巻いていても、イザというときには何の役にも立ちません。
むしろ遠隔地に小さな防衛拠点(数十人規模)を作るとイザというときに敵の大規模攻撃を受けるとその守備隊(程度では守り切れないので)の全滅を予定することになり、被害が甚大になるリスクがあります。
緊急時には全滅を避けて敵の攻撃前に引き上げることになると、何のために平常時から経費を掛けて守備隊をおいて来たのか?お笑いとなり兼ねません。
平常時から長期的施設を作って常駐するとなれば、維持経費として無駄な出費が長期的に垂れ流しとなり国力が消耗するマイナスの方が大きいでしょう。

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