5月5日の日経朝刊4ページによると、過剰投資の結果、多くの分野で約3割の過剰設備を抱えていると書かれています。
(以下括弧内は私の意見ですが、過剰投資は生産設備ばかりではなく鬼城・ゴーストタウンで有名なように住宅や鉄道その他あらゆる固定資産投資に当てはまるでしょう)
過剰設備約3割をあらゆる分野で抱えている状態では、新規投資が停滞する・前年比マイナスになるのが普通ですが、中国政府はなお今春の成長率が前年比7,45%もプラスであったと(虚偽)発表しています。
国内景気の実態は国民が肌で知っているので虚偽発表しても誤摩化せないのですが、それでも権力の力で虚偽を強制して(ネットチェックして)批判を許さない状態です。
専制支配の経験しかない中国では、目の前の現実でさえ虚偽を強制できるのですから、忘却の彼方の歴史などはどのようにでっち上げようと権力の自由自在という思想で約2000年間やって来たことが、最近では架空の南京大虐殺の宣伝工作に猛進している行動原理となります。
日本の投資が東南アジアに向かうようになると、中国はローエンド製品・低賃金競争では後発の東南アジア諸国に叶いませんから、輸出用国内生産が落ち込む一方とならざるを得ません。
5月6日(今朝)の日経朝刊ページには、「中国輸出失速一段と」という見出しで5月5日に終了した春の広州交易会の成約率が昨年同期比12、6%減であったと報じています。
特に新興国向け/東南アジア向けが18、3%減ブリックス向けが13%減、欧州向け9、4%減、日本向けは4、7%減となっています。
貿易統計上(政府発表)では1〜3月の実績が前年同期比3、4%減だったので(政府発表は誰も信用していないことを前提に)「実勢がどの程度か注目されていた」と書いています。
大手マスメデイアは政府発表を正面から批判できないものの、最近では事実上信用していない姿勢を上記のように表すようになってきました。
輸出産業の生産低迷・縮小分のメッキがはげ落ち始めたのが、成長鈍化どころか(政府はなお7、5%前後のプラス成長発表を続けていますが)実質マイナス成長に陥っている原因です。
中国の過剰設備→赤字操業→出血輸出をする結果、世界中の製品価格の値下げ・デフレの元凶となってます。
同記事では、アルミの例として3年前には1トンあたり2600ドルが今では1700ドル台に下がっていると書かれています。
2600ドルの売値を基準に原料や人件費その他コスト計算していたとすれば、大赤字になります。
数日前の別の記事では、日本にも中韓からの低価格の鉄鋼製品輸出が増えていると報道されています。
日本の製鉄業は高品質品中心ですのであまり影響を受けていないが、韓国ポスコなどでは大変な影響・・値崩れ損害が生じていると報じられています。
中国は鉄鋼に限らずいろんな分野で赤字輸出強行しているのに、今春の交易会では上記のように大幅減ですから今後もっとダンピングが強化されるでしょう。
そうすれば、貿易収支としては黒字がまだ続くのでしょうが、内容が悪過ぎます。
100で売る予定の製品原料輸入額が半分の5割で国内付加価値が50の場合、この輸出額を60に下げるとまだ10の黒字が残りますが、国内に保留されるべき40が10に減りますので、国内経済は疲弊します。
中国にも知財規制や公害規制や労働環境規制はあるでしょうが、緩い取締で事実上違法操業容認をしてきたのですが、この場合マイナス効果が大分先に出て来るので、目先の出血輸出奨励に繋がっています。
個人で言えば、寝る間も惜しんで若い頃にしゃにむに働くと4〜50代で病気が出て来るのと似ています。