経済不振と排外行動のツケ4

ゲリラ相手では大国と言えども簡単ではないのは、人間が蚊や細菌等の小さなもの相手では、おいかけ回すことは出来ても完全勝利できないのと同じです。
アメリカはベトナムの経験があるので、どうせ泥沼になることを知っているので始めっから一定のところで撤退する予定で行動していました。
イラクやアフガンのアメリカ軍は負けているとは言えないまでも、どのようにして終わって良いか分らない・・折角存在した現地秩序を無茶苦茶に壊したまま無責任に撤退する様子です。
イラクではフセイン政権が独裁であれ何であれ、国内秩序維持していたことは明白な事実です。
これをアメリカが民主化のためと称して侵略して秩序をぶっ壊しっぱなしで混乱させたまま新たな秩序も作らずに撤退するとなれば、何のための侵攻だったのか?正義の名分が全く見えません。
結果から見ればフセイン体制をぶっ壊してどう言う秩序を作ろうとしたのか不明ですから、事前に言われていた産軍複合体や石油利権獲得の思惑+イスラエルへの脅威の1つを弱体化する・・親米政権を中東のど真ん中に樹立する目的で侵略を始めたのではないかと言う推測が正しかったような結果になりつつあります。
第二次世界大戦は、アジアでの競争相手になって来た日本をぶっつぶす目的で、次々と難題をふっかけては苦し紛れに飛び出して来るニッポンを舌なめずりしながら待ち構えていたアメリカでしたが、今回のイラク戦争も大量破壊兵器を保有していると言う虚偽報道した挙げ句に侵略したものの、どこからも大量破壊兵器は出て来ませんでした。
アメリカの歴史を見ると周辺国(テキサスその他地域)併呑に始まって、米西戦争によってフィリッピンを植民地化するなど侵略のオンパレードである点は、現在中国の歴史と共通項です。
アメリカは戦争をしたくて仕方が無い・・このためには、どんな汚い手も使うと北朝鮮にさえ恐れられている国になっています。
アメリカは頻りに自国をローマになぞらえれるのが好きですが、ローマが難癖つけて戦争を仕掛けたポエニ戦争を彷彿させます。
アメリカも資源輸入しないとやって行けない普通の国になれば、国内企業救済・・資源浪費・無駄な支出目的に言いがかり的な戦争を吹っかけられなくなるでしょう。
ナチスも破竹の進撃を続けている間は、すごい勢いで国内総生産が上昇していました。
2番手3番手がこれをやるには、世界トップが出て来ない程度の段階でやめられない限り最後は負けてしまうので、行き詰まってしまいます。
ヤクザは被害者が警察を呼ばない程度の脅しや嫌がらせで終わりにしないと警察を呼ばれると失敗するのと同じです。
日本は満州建国時点で日米関係を納められれば成功だったのですが、アメリカの方は対日戦争したくてウズウズしている状態・・如何に日本を戦争に引っ張り込むか手ぐすね引いて待っていたのですから、(河野談話が出来レースだったのと同様で、リットン調査団の結果は見えていたのです)収まる訳がなかったのです。
排外行動の成功の秘訣は、自分より強い国の参戦がないうちにやめる見通しを立てて始めること、また際限なく紛争を拡大して行っても負けることがない・・世界一の大国であると言うことでしょう。
中国もロシアも超大国ではないので、欧米が参戦して来ると引っ込まざるを得ません。
これを防ぐために中国は頻りに太平洋2分案を持ちかけて西太平洋にはアメリカが口を出さないようにしてくれと懇願していることになります。
尖閣諸島やフィリッピン、ベトナム等での実力行使は、アメリカの本気度を試すために行なったものと解釈するべきでしょう。
チェンバレン融和策同様に、腰砕けのオバマ大統領がどこまで中国のゴリ押しを黙認するかを試してみたのでしょう。
アメリカはこれに対してコミットすると明言し続けているので、中国は振り上げた拳の持って行き場に困っています。
勿論ロシアのクリミア併合〜ウクライナ介入に対する経済制裁が、どの程度実効性を持って行なえるかも中国はじっと見ている状態です。
日本は対中牽制のためにはロシアとの関係が良好な方が良いのですが、かと言って経済制裁尻抜けの原因になって中国を勢いづかせるだけで困ります。
日本にとってのロシアは、領土問題に限らずシベリア抑留や日ソ不可侵条約違反などの根に持つべき・・簡単に許せないこと柄が山積しています。
対露関係宥和の必要性は、対中関係の備えのための必要性程度の意味でしかないのですから、基本は対中関係にどう言う影響を与えるかの基準で考えるべきでしょう。
日本にとってのロシアは、領土問題に限らずシベリア抑留や日ソ不可侵条約違反などの根に持つべき・・簡単に許せないこと柄が山積しています。
対露関係宥和の必要性は、対中関係の備えのための必要性程度の意味でしかないのですから、基本は対中関係にどう言う影響を与えるかの基準で考えるべきでしょう。

一般人の生活水準4(アメリカ)

7月26日に紹介したようにアメリカの個人金融資産保有額は世界1ですが、これについても、石油王や鉄鋼王など一握りの人が巨万の富を持ち・・利権収入の殆どを得てしまう社会では、これを国民の人数で割って一人当たり所得や金融資産を算出しても国民の本当の姿は見えません。
アメリカでは、フードスタンプに頼る人が急増していると報道されていたことがあります。
フードスタンプとは、日本の生活保護費の内食品購入に限定した券(1か月100ドル)を配給することを言うようです。
以下はhttp://matome.naver.jp/odai/2138189755689271201からの引用です。
更新日: 2013年11月21日

「2012年6月のフードスタンプの利用者が過去最高の4,670万人に上ったと米国農務省が発表。アメリカ人口の約15%
出典
フードスタンプ利用者が過去最高へ 不景気から抜け出せないアメリカ/「戸口」下等市民が急増する中国  墨染
2009年3600万人だから実に3年で1200万人も受給者が増えていることになります。現在は5000万人を超えていると言われています。」

図書館で本を読む人は本を買うお金がないとは限りませんから、ただなら食券を貰っておこうとする人も少しは含まれているでしょう。
それにしてもそんな食券を欲しくなる人は、生活保護すれすれの人でしょうから格差社会判定のための大雑把な傾向としてはとるに足りない誤差になります。
October 28, 2011「格差社会1(アメリカンドリーム)」で、アメリカでは1%の人が所得の4分の1を稼ぎ、富(ストック)の40%を保有していると言う論説を紹介しました。
(この論者がどうやって集計したのかまでは、当時メモしなかったので今になると分りません。・・アメリカの場合早くからマイナンバー制度・・国民番号付与制度)が発達しているから可能なのでしょうか?)
逆に負債の方は、億万長者が借金する必要がないので、債務を人口で割っても意味がなく、金融資産を持たない貧しい人が債務者の大多数を占めている筈です。
個人の場合、ローンなどの負債とプラス財産の差引残が正味財産ですが、国全体になると、金融資産合計から負債合計を差し引いて差額のプラス分またはマイナス分を一人当たりで割れば良いという発想では実態が分りません。
最近流行の論説を見ても、ジニ係数や非正規雇用率がどうのと言うフロー収支が中心でストックの格差は出て来ません。
ジニ係数を見てもフローの収入比率を出しているだけでストックを見ませんから、資産家でも、高齢化してフロー収入がなくなると貧困層に括られる矛盾があります。
「フロー収入と貧困率」Published June 10, 2012のこラムで、資産家でも住民票上だけ世帯分離して無収入として、低負担で特養に入る例を挙げて批判しました・・。
特養ホームの自己負担について、一定以上の資産(1000万だったかな?)がある場合、自己負担率を上げるように改正するような機運が出て来たような報道を1〜2ヶ月前に日経新聞で見た記憶があります。
ストックが少なく、金融商品による収入比率が少ない社会では、現役世代の賃金センサスや地代家賃収入等の年収格差で社会構成が大方そのまま出ます。
金融商品・ストックの比率が上がって来ると、フロー収入比率を見る正規、非正規雇用あるいは賃金格差だけでは社会の貧富格差・・構成比が分りません。
ストック社会では、働いていなくとも親の資産で年収1000万円超の人と同じ生活を出来る人が一杯出て来ます。
韓国の格差社会の象徴として、非正規雇用率が5割を超えたと言う報道が頻りですし、その結果格差社会になっている・貧困率が上がっていると言う推測記事が多く、従来私もそのような一般報道に無意識にしたがった書き方をしてきました。

中国資金不足4(財政赤字)

道路や国営の鉄道工事等インフラ投資は完成まで長期間要する上に、その後の乗客数がどうなるか(・・開業直後は赤字に決まっているので、赤字累積が問題になるのは開業してから10数年先のことですから)経済合理性のない内需喚起用の投資向きです。
日本でも本四架橋工事その他長期を要する工事では需要予測が高め・・殆ど無茶な予測をして工事をした結果、出来上がってみるとまるで需要が少なかったような事例が多いことからも分かりますが・・。
経済不振で追いつめられた中国では、(なりふり構わず外資導入を進めてその資金を利用して)先のことを読めないのに乗じて鉄道建設や不要なインフラ工事に投資するしかなくなっているように見えます。
数年前には乗客もいないのに無茶苦茶に鉄道建設工事をしていて、新幹線事故では現地で埋めてしまい世界の笑い物になっていました。
その後一時工事凍結していましたが、経済の底割れを防ぐために背に腹を代えられので春先から鉄道建設工事を再開したようです。
これによってココ数ヶ月の経済指標が上向いて来たようですが、無駄な工事をいくらやっても中国の勝手ですが、無駄な工事は将来負の遺産にしかならない・・需要のない鉄道を敷設すると工事費の支出(これが内需下支えになります)だけではなく、際限ない赤字の垂れ流しになりますので、資金繰りがいつまで続くかの問題になります。
こうした政策継続は将来の財政赤字問題の種になります。
日本の外貨準備は黒字の蓄積結果ですから、財政赤字と言っても国内資金付け回しの問題に過ぎないことを繰り返し書いてきました。
(「次世代につけを残すのか」とマスコミが言いますが、次世代は債券も相続するので結果はプラスになります・・1000兆円の国債残高に対して個人金融資産が1500兆円あるのですから、実質プラスです)
韓国の場合個人金融資産は以下のとおり貧弱ですから大変です。

2013年12月23日15時17分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
統計庁によれば昨年基準で韓国の家計総資産は平均3億1495万ウォン(約3090万円)だが、このうち金融資産は7855万ウォンに過ぎないということだ。総資産対比の金融資産の比重は24.9%に過ぎない。一方、実物資産は2億3639万ウォンで総資産の75.1%に達した。パク・ジョンサン研究委員は「担保融資や信用融資・賃貸保証金などを合わせた借り入れ総額が家計あたり5291万ウォンで、これを除けば純金融資産は2564万ウォンにすぎず、これに比べて米国は金融資産の比重が68.5%、日本(59.1%)、豪州(38.7%)とやはり韓国に比べて顕著に高い」と話した。

http://www.globalnote.jp/post-10574.htmlからの引用です。

個人金融資産 国別ランキング統計・推移
最新更新日2014年7月16日内訳データあり(1データ)統計期間1995-2012年収納カテゴリGDP・国民経済計算,金融解 説データの解説文を見る詳細機能Login

【単位:mil.US$】
順位 国名   2012年    注
1  アメリカ 59,434,131
2  日本   15,553,936 →今ですと約1555兆円です。
3  イギリス   6,413,696
4  ドイツ   6,236,054
5  フランス  4,928,674
6  イタリア  4,836,495
7  カナダ   3,841,220
8  韓国    2,871,164
9  スペイン  2,569,986
10  オランダ  2,356,153

中央日報の報道によると、一方は家計単位で他方が国単位ですので、実態が分り難いですが、上記国別個人金融資産表を見ると韓国人口が日本の約半分で金融資産は7分の1強ですから、貧弱さが分ります。
以上は平均値ですから、財閥支配の韓国の場合、(もしかして金融資産の大方が財閥のオーナー一族が保有している可能性があります・・このような区分けした統計はないのかな?)庶民レベルで比較すれば実態はもっと悲惨な状態にあることが推測されます。

海外進出と国内生産過剰5(人口過剰4)

グローバル化=消費地またはその近辺での生産→供給が究極の姿・・完成型でしょうから、これが完成するまで=海外進出能力がなくなるときまでの過渡期には、輸出用生産能力の過剰化→縮小圧力が止まりません。
この辺の意見は、05/27/07「現地生産化の進行と加工貿易の運命2(人口減少策3)」前後でグローバル化→所得平準化→現地生産になって行くしかないと書いたことがありますので参照して下さい。
グローバル化による海外進出が完成する=調整が終わるまでは、企業にとっては負担(無理して輸出するので利益率減少)が残りますが、なお少しは輸出代金が稼げます。
日本の場合高級部品(炭素繊維など)を現地生産しないで当面輸出して行けますので、この辺である程度稼いで原油や資源・食糧等の輸入代金の一部を稼ぐことが可能です。
これでも不足する分は、海外進出による利益送金で(所得収支黒字)穴埋めして行く必要があります。
グローバル化=現地生産化の進行自体を否定できない流れですから、貿易収支悪化を危惧して海外進出を怠っていると、(配当収益の送金が期待出来ないので)将来輸出自体がドンドン細って行き最終的には輸出が殆ど出来なくなったときに食糧等の各種資源輸入が出来なくなって大変なことになります。
高齢化に備えて誰もが貯蓄に励む・・利子配当(年金)収入で老後生活費を維持しようとするように、国家も輸出で外貨を稼げなくなる日に備えておく必要があります。
後進国では今のところ制限すると工場進出してくれないので寛容ですが・充分行き渡れば、利子配当の本国送金に規制がかかるようになるのは目に見えていますので、この日に備えるには結局自国資源の範囲内で生きて行けるように長期計画で適正人口にして行く努力が必要です。
人口縮小は数十年単位で時間がかるので、その間の食い扶持として利子配当収入が重要だと言うだけで永久に有効と考えているのではありません。
この辺も大分前から何回か書いています。
マスコミを見ているとFTA等の流れで貿易は自由化→活性化する一方のように見えますが、この動きが完成すると逆に輸出入数量縮小を促進・・国際貿易停滞するための動きにもなって行きます。
貿易とはある地域にないものをある地域から持って行くことが原型ですが、産業革命以降は、工業製品を品質の割に安く作れる国から安く作れない国・あるいは新製品開発した国から新製品のない国への輸出行為が主流になってきました。
グローバル化が進むとどこにでも需要あるところに先進国の先端工場が立地されて行き、どこでも似たようなものが生産される社会になります。
世界中で同じような製品が存在(現地生産)する社会になれば、産業革命以降主流になっていた工業製品の輸出入貿易が主流の地位から転落して、再び資源移動が交易品の中心になる時代が来ます。
(完全になくなる訳ではありませんが・・新製品をどこかの国で先に作ると伝播が早くなると言うだけです・・iPhoneをアメリカで作って50年も独占していれば50年間貿易品ですが、開発発表と同時くらいに中国で生産が始まる時代です)
この辺は先行者利益の期間が短くなっていると言うテーマで、05/26/07「現地生産化の進行と加工貿易の運命1(先行者利益の寿命)」で古代には文明の伝播に数千年かかっていたのが、次第に短期化されて来た経過を紹介しました。
こうなるとそこに存在し(作れ)ない希少品だから売れるのではなく、新製品開発後短期間で世界中どこでも作れる時代が来ますので、国際競争が加速すればするほど僅かのコスト差や現地顧客ニーズキャッチ差が現地販売競争の差になります。
インスタントラーメンで言えば、当初日本の味にちょっと工夫しただけでで輸出できていたでしょうが、時間が経つと現地人の好みに併せて行かないと似たようなものを作り始める現地資本に負けていきます。
工業品も消費地から遠く離れた本国で売れ筋の研究や指令をしていると・・あるいは遠くから部品調達していると時間差で現地進出した競争相手の企業に負けてしまいます。
厳しい競争を勝ち抜くには、現地生産だけではなく、現地密着したデザインや研究開発をするしかありません。

海外進出と国内生産過剰4(人口過剰3)

仮に20年間で600万人減らしたとすれば、1年で一斉に解雇した場合に比べて毎年膨大な社内失業者・・国内潜在失業者を抱えて来たことになります。
これが日本企業の業績低迷の原因でした。
日本の場合、赤字輸出まではしていなかったとしても、利益率が極限まで下がった形でも雇用維持のために社内失業を抱え込んでいるしかなかったとなれば、その他分野を含めた企業全体の利益率を下げてしまうことになります。
日本全体では、毎年膨大な海外投資・・海外進出をしているので、この海外投資分だけこれに遅れて同一製品の輸出用(最近では海外子会社からの逆輸入さえありますので内需分まで食われつつあります)国内生産能力が過剰化し、遅れて雇用需要が縮小し続けています。
海外生産移管の動きがいつ止まるか・・移管してすぐに解雇しないで少しずつ減らして行くので生産移管が止まってから5〜6年間は労働力過剰が続くことになります。
海外生産移管のマイナス影響が止まったところで、労働需給が均衡状態になるのでしょう。
毎年どの程度海外進出しているか・・・その分に比例して輸出が減り国内生産が減っていくので気になるところです。
以下は、http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20140627.html「勝又壽良氏の経済時評」からの引用です。

「中国捨て米国へ向かう
日本の対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー、100万ドル)
   
    2010年  2011年  2012年  2013年

米国  9016  14730  31974  43703
中国  7252  12649  13479   9104
韓国  1085   2439   3996   3296
アセアン8930  19643  10675  23610
資料出所:ジェトロ

上記データによると海外進出が止まるどころか拡大傾向→国内生産縮小→雇用減少が続く状態にあることが分ります。
欧州とアフリカや中南米を除いた分だけでも、日本は2013年には、約800億ドル弱の海外投資をしています。
13年の投資は円安になる前からの計画実行でしょうから、円安効果でどうなるかはまだ分りません。
2010年から見ると毎年ドンドン増えていて、まだまだ終息するどころではありません。
昔はこれがみんな国内再投資に向かっていたので、高度成長が続いたし、国内設備もピカピカで国際競争力があったのですが、こんなに巨額の再投資資金が毎年海外に出て行ってしまうようになると大変です。
個人で言えば稼いだお金をみんな妾宅につぎ込んでいるようなものですから、本宅の母屋が雨漏りがするなど古びてしまうばかりです。
生産工場で言えば、新規工場資金にばかりに売上金をつぎ込んでいたので、本社工場設備が古くなって来たと言うところでしょうか?
後記紹介するホンダメキシコ新工場で言えば、最先端最新鋭工場を造ったとの会社説明が載っています。
日本企業は従来世界最先端設備で世界競争に勝って世界に輸出していたのに、人件費その他が高コストのために最先端機器による歩留まり差くらいでは海外競争に勝てなくなってしまい、最先端機器の工場自体を海外に造るようになって久しいのです。
このような動きが10年ほど前から続いていますので、車に限らず日本国内生産の方が設備が古くなって海外工場製品より効率が悪くなりつつありますから、(人件費が仮に同じでも)輸出競争に負ける・・車の輸入国に転落してしまうのは時間の問題です。
実際に大分前から日産その他いろんな企業がタイ等で作った車やその他製品を日本に逆輸出するようになっています。
海外工場建ち上げによって輸出減→それまで輸出していた国内生産能力過剰の繰り返し→逆輸入の始まりになっていたのですから、国内投資が冷え込むのは当然です。
短期資金=海外株式市場等での株式や債券売買と違って長期投資の海外投資は、工場進出等が中心ですから、3〜5年以上前からの用地買収その他海外進出計画とこれにあわせた国内生産縮小計画が必要です。
2010年ころに投資を始めた資金で(土地買収から始めると)今年当たり竣工完成→稼働と言うところが一杯あるでしょう。
昨年来の円安程度では、イキナリ計画変更できませんので、数年前から動いている現地進出計画がなお進みますので、円安にかかわらず海外進出の動きが止まらない→輸出減少傾向が続くのは仕方のない結果です。
今年になってからでも、ホンダが、アメリカ輸出分を全量海外立地が完成→北米向け国内生産全廃(部品の現地調達率も90何%)が進んでいると報道されています。
ホンダ自体の発表では主要基幹車種と言う表現で分り難いですが、新聞では「北米向けがほぼ全量移管」と報道されていた記憶です。
http://www.honda.co.jp/news/2014/c140224a.html
2014年02月24日
メキシコ新四輪車工場が稼働開始
新工場での新型フィット生産開始により、Hondaはサブコンパクトカーからライトトラックまで、北米で販売する主要クラスの基幹車種を北米地域内で生産することになります。これによって、北米における事業基盤のさらなる強化を図っていきます

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