秩序崩壊と騒乱4(稚拙な欧米基準)

北方領土交渉もロシアを経済的に追いつめれば、ロシアの民族感情を刺激するので返して来ることは100%あり得ません・おしておして押しまくって取り返すには問答無用の武力制圧しかないのが明らかです。
欧米は彼らの言う「選挙制度がない限り民主国家ではないし人権がない」と言う誤った思想を持って気に入らない国に対して恣意的に非民主国家と断定してその政権を経済制裁したりしていますが、このコラムで何回も書くように日本は革命を起こさなくとも選挙制度がなくとも民意重視社会でしたし女性重視どころか中心の社会です。
経済政治の表面に出る数で女性の人権を主張しますが、男女差や年齢差よりも、身分差の方が優越する社会・・例えば20歳でも王様や大手企業社長になれる社会は実力主義と社会とはとても言えないでしょう。
女性の地位も同様で、か−スト制など階級差別のきつい社会の方が女性でも大統領や社長になり易い・・社会全体の女性の地位とは関係がありません。
例えばインドでは、早くから女性首相が活躍していましたが、アメリカやフランスにはまだ女性大統領が出ていません・・アメリカに比べインド社会の方が女性の地位が高いと言う人はいないでしょう。
アメリカでは黒人大統領が出たから人種差別がないのか黒人の地位が高いのか?
例を出しているとキリがないのでやめますが、バカみたいな基準を世界に押し付け、マスコミが尤もらしく騒いでいるコトはいくらでも例証出来ます。
女性と男性は本質的に違う・・長所短所が別にあるのですから、違った能力を相互に認めたうえで違った面で活躍出来る・・それを相互に尊重する社会の方が本質的平等を実現する道です。
犬に猫と同じ動作を求めても意味がないし、猫も犬と同じ能力競争しても意味がありません・・こんな簡単な原理を無視しているのが欧米的人権意識です。
女性が男性と同じ仕事をして評価されなければならない社会の方が、女性差別が激しいことになります。
このような社会参加方式を?を逆に男性に求めたら,男性が女性と同じことを出来る訳がない・・直ぐに無理だと分ります。
男性の看護士や介護士、保育士もいますが、内部役割分担をしているから成り立っているのであってきめ細かな手厚い看護能力など男性が女性並みに出来る筈がありません。
日本では家庭内の発言権は、女性中心であって男性は従うしかない社会・・家計・・お金の管理も女性がやるのが普通でずっとやってきました。
欧米は女性蔑視・・結婚後お金・資産は全部夫が握る管理する社会ですから、明治になってフランス法制度を導入して以来法律上は女性の地位が下がりましたが家庭内では従来どおり女性がおしゃもじ権を握ったままで現在に至っています。
夫名義の遺産分割でも、皆女性が中心になって、どうするかの重要判断を決めている・・裁判実務でも生命に拘る病気で医師にかかるときの判断もみな同じです。
話題がそれましたが、欧米の人権意識・民意重視などは千年単位で日本より遅れていたことにちょっと気が付いただけのことを、さも大層な発見のように偉そうに言いふらしているに過ぎない・子供がちょっと社会の仕組みや礼儀を聞きかじって得意になって家に帰ってからオヤに「こう言う仕組みだって」・・と教えているつもりになっているような滑稽さがあります。
革命があったから偉いのではなく革命や禁止の法律がないと人権抑圧・動物虐待を際限なくしてしまう神経の方がおかしい・・日本にない奴隷解放や公民権法が出来たから進んだ社会の証明になるのではなく、19世紀まで奴隷制があり、20世紀末まで法的に黒人差別していたことが異常・・遅れた社会なのです。
英語の授業でリンカーンの(ゲチスバーグ)名演説として得々と自慢げに教えられますが、そんなことは古代から教えれなくとも日本人ならみんな知っていたことです。
欧米基準では軍事政権や独裁政権は非民主国家と言う断定ですが、独裁国家の方が民意が怖いので敏感です・・独裁者は政権が倒れると自分や家族まで命が危ないので民意をどうやって把握するかに必死(我が国では平家の「かむろ」が有名ですし、中国では強権支配が過ぎて民意把握が難しいので、保険的に「裸官」と言って家族を国外へ日常的に逃している状態です。
選挙制度の方が民意が予め分って便利で、しかも下野しても命までとられません。
選挙制度があっても選挙の結果、イキナリ負けるのはリスクが高いので民意を予め知るため世論調査をしょっ中やっている外、政治家は独自調査で選挙区の民意把握→次回選挙に落ちないためにこれに合わせるのに必死です。
高齢化して新たな民意に合わせ切れないと思った場合には、選挙で落ちてやめるよりは見込みなしと分れば次に出馬しない名誉ある撤退も出来ます。
選挙制度のない政権との違いは、ワンマンオーナーが引き際が難しいのと同じで、引き際判断を自分で決められるか暴動でやめるかの違い・・その程度の違い・・選挙制度は民意によって自発的にやめたり出来るので、制度政権担当者にとって便利な制度でしかありません。
我が国の場合元々民意重視ですから、明治維新の結果、欧米の選挙制度を知ると・為政者の苦労が軽減される・・「こりゃ便利な制度だ」と言うことですぐに定着しています。
中共政権では、権力者に便利な選挙制度に何故出来ないかと言えば、中国の支配地では古来から民意を虫けらのごとく扱って来て民意を汲んだ政治をしたことがないからです。
これまでやったことがないのでイキナリ逆転失脚するのが怖くて実施出来ないのです。
民意と政治のズレ・・GDPなどの数字を少しずつ誤摩化し続けると、その差が巨大になってしまって、今更本当の統計を出せないで困っている共産圏の統計と似ています。
中国地域での歴史ではいつも数百年周期で大乱が起きるのは、民意無視の硬直した政体なので、民意とのズレ・誤差の限界が来るからでしょう。
現在の中共政権は樹立後約70年近くなりますが、今は社会変化のスピードが速いのでそろそろ賞味期限が近づいている可能性があり・・これを治安警察力の強化・・恐怖政治でいつまで押さえ込めるかに世界の注目が集まっています。
鉄のカ−テンがあったソ連の収容所列島時代とは異なり、中国は今やWTO加盟によって世界との物流〜金融→人の往来が激しくなっていて、表向き開かれた社会になっています。
国内で情報遮断して好き勝手な政治教育をしていても、数時間かければ日本へ自由に出張し旅行に来られるので如何に反日教育していても、日本社会の実態が多くの国民の目につきます・・国民を閉じ込めておけない分、反日教育の成果は日々溶け出して行きます。
日本が、中国国民向けに飛行機でビラを撒いたり海外放送を強化しなくとも中国人がお金を使って?やって来る結果、どちらの社会が国民に優しいかは自然に浸透して行きます。
正しい方は泰然としていれば、結果がついてきます。

欧米覇権終焉の開始4

マスコミ報道が偏っている例の1つとしてフィリッピン大統領の発言報道を昨日のコラム最後に書きました。
今はネットの発達によって大手マスコミの情報独占に風穴が空いている例の1つですが、今朝の日経朝刊2pには早速修正的記事が大きく出ました。
  ドゥテルテ劇場(1)破壊者か救世主か
「米統治時代に我々の祖先が沢山殺されたなのに何が人権だ」とオバマの目の前でまくしたてた」と言う記事から始まります。
キャンセルになったオバマとの個別首脳会談の次の全体首脳会議でのスピーチらしいです。
大手マスコミが本当のことを伝えないならば、世界中のみんなが見ている前で本当のことを言ってやろうと言うのが、彼の開き直りです。
オバマは首脳会談でこっそり言われた方が格好がついたのかも知れません。
フィリッピン大統領は100年前の米軍によると言われる住民大虐殺の写真を持って来て出席首脳に見せたと言うのですから、一連の発言が計画的だったことが分ります。
フィリッピンでは、アメリカ支配中に何百万人殺されているのにこれをみんな日本軍にすり替える教育をして来たのですが、今の大統領はそれに乗らない意思表示ですから、戦後秩序に明白に応じない点で欧米諸国には大変なショック・欧米支配のマスコミでは世界に報道されたくないから内容を無視して乱暴な言い方ばかり批判していたのでしょう。
こう言う記事が大手マスコミに大きく(私のように情報に疎いものが気が付いたのは1昨日・・これをコラムの流れに合わせて公開したのが昨日の朝)・・素早く今朝の朝刊に出るようになったのは、マスコミの情報独占による世論誘導がネット批判の拡散に耐えられなくなって来たからでしょう。
朝日その他大手マスコミは内部支配をしている?中国やアメリカに都合の悪いコト全て・・人権状況を報道しない(トランプ氏は変わり者程度の報道です)・・勝手に架空の人権(近代法の精神に反するなど)をもっともらしく報道する傾向があります。
特定秘密保護法反対論が秘密保護法は恐怖政治になる主張→そう言う法制度のない先進国があるのか、スパイ防止法のある先進国では恐怖政治になっているのか?NATO体制=集団自衛権ある欧米諸国を軍国主義国家と言うのかと言う意見を書いてきました。
注意深く見ていてもこの種の実証的意見は、戦争法案反対論等には一切出て来ません。
マスコミや左翼系文化人がどのようにして内部増殖し、臆面もない二重基準を主張するのかの疑問でコミンテルンによるアメリカ政府浸透などの面から、9月4日「左翼文化人伸張1」以来このシリーズを書いています。
明後日頃からマスコミ・文化人が何故左翼系がはびこっているかに関する経緯として占領政治に戻りますが、戦後から現在に至るまで、ユダヤ系がアメリカ経済界・政界を裏で操っていると言うのがもっぱらの噂ですから、当時ルーズベルト大統領が裏でユダヤ系と資金面等で繋がっていたとしても・・具体的証拠がないとしても異とするにはあたりません。
現在もユダヤ系のためにアメリカの国益を売り渡しているのではないかと言うアメリカ国内の不満・・こう言うことには証拠がありませんので噂・憶測にとどまるからこそ、却って不満が溜まっているとも言えます。
アメリカ以外の世界ではユダヤ+アメリカを一体視した批判が始まっていますが,アメリカ国民の立場で言えば、ユダや系とまでは言わないまでも金融資本に支配されている不満・・マスコミやグローバル支配・金融支配に対する不満→格差問題が顕在化して来たのがトランプ現象です。
世界中がアメリカ支配に対する不満が溢れ出し、アメリカ国内でさえも金融資本・グロ−バル化に不信を抱くようになった・世界横断的に戦時中のコミンテルン運動の逆張りが始まったことになります。
オバマの今回のアジア歴訪は中国G20では飛行機到着時に赤じゅうたんを敷いてもらえないなど中国の嫌がらせが続き、最後の記念撮影では端っこに追いやられるなど散々でしたが、ASEAN首脳会合ではフィリッピンが対中紛争の結果、アメリカを頼って来る(大筋の国益で一致している)筈だったフィリッピンからまで大勢の面前でアメリカによる植民地支配を罵られてメンツ丸つぶれの外交日程でした。
ところで、フィッリピン大統領の今回の主張は日本にとって重大な意味があります。
戦後秩序・・日本批判の基礎になっている日本軍の東南アジア進出は侵略で現地に苦痛をもたらしたのか?植民地解放戦争だったか・朝鮮支配は何だったのかが、慰安婦騒動の結果問われ始めました。
台湾を筆頭に東南アジアでは、皆親日的なのに、韓国だけが日本支配に関して何故噓の主張をするのかが日本人の大きな関心でした。
この大きな争いではフィリッピンはマッカーサーの足場であり、アメリカの忠実な味方でしたが・・今回の騒ぎでドウテルテ大統領は、今や日本応援団に変わろうとしていることが明らかになってきました。
彼は中国寄りかどうかのマスコミ基準ではなく、民族主義者・・国益を守ろうとする立場なのです。
真実一路に戻れば、日本の方が有利に決まっています。
従軍慰安婦騒動は朝鮮戦争中のアメリカ軍の粗暴行為を日本軍にすり替えて主張されていることは慰安婦だったと言う女性が「ジープに乗せられて行った」などの証言で明白ですが、これほど明白な証言があっても韓国人や韓国政府は日本軍に強制されたと言う世界主張を繰り広げているのです。
韓国の道徳は繰り返し書くように専制支配しか知らない・・権力者が「馬を鹿」と言えばそれに合わせるのが生きて行く智恵・・ルールだったからです。

「軍国主義破壊4」(アメリカの言いなりになる国になること?)

軍国主義破壊のための占領政治がどう言う基準で行なわれていたかについて、アメリカ占領政治の実態に入ります。
占領期間中、軍国主義破壊と称して日本の国体に関する意見、歴史資料の徹底的廃棄処分が実行されました。
全国の書店や図書館資料の廃棄処分が強制されたことが良く知られています。
いわゆる現代の焚書坑儒と言うべき大事件ですが、将来日本が真に独立出来る・・アメリカの鼻息をうかがうような学者ばかりでなくなれば、検証が始まるでしょう。
日本の場合江戸時代から個人向けの出版社会ですし、個人所蔵資料が多いことに気が付かない・・アメリカの民度を前提にしていたので、古文書資料が多く残る幸運がありました。
個人があまり本を読まない・読めない欧米庶民レベルを基準に、占領軍が廃棄を命じたのですが、その延長上で「図書館が日本に少ないから知的レベルが遅れている」と言う文化人の運動が一般的でしたが、国民基礎レベルの違いを知らないか、敢えて無視して、「日本が欧米に比べて如何に劣った民族であるかの宣伝・教育がずっと続いていました。
この種の宣伝・運動が私の子供らが小学生頃にはまだ活動家?が図書館・美術館その他のの公共施設開設署名を求めて回って来ていましたから、昭和50年代まで活発だったことは確かです。
「フランダースの犬」で有名なところですが、絵画らしいものをみるには教会に行かないとみられない・・庶民はそのチャンスすらなく、タマタマ嵐だったかで偶然みられたと言う感動的な設定です。
日本の田舎のお寺は、ムラ中の人が自由に出入りし地元の寄り合いに使ったり、子供が勉強をしたり遊ぶ場所としていつも自由出入り出来る場所・お寺の本堂を見ても分るように四方八方開けっぴろげです・・西洋の教会は、建物自体が閉鎖的で庶民が寄り付ける場所でなかったのです・・この辺を日本人はつい誤解してしまい勝ちです。
日本の場合には浮世絵は元々庶民向けで、その前の絵双紙などでも絵画や文字に親しんでいる社会でした。
国民の知る権利に関しては、アメリカ軍による歴史ねつ造宣伝を繰り返し(この系譜を引くのが中韓のねつ造歴史宣伝です)報道の自由を規制しアメリカ軍による膨大な強姦・略奪行為を一切報道させませんし検閲されていることすら報道させませんでしたが国民はみんな知っていました。
これが報道の自由を自慢するアメリカの異民族に対する実際の政治です。
このように「◯◯主義を許さない」◯◯主義の意味不明のまま・・銃剣の威力でその基準を決めて行くとなると、その範囲が恣意的になってしまい訳の分らない専制支配が可能です。
アメリカの気に入らない方向の表現は全く認められない・・極東軍事裁判批判が許されないことは言わずもがな・・長期占領期間中にアメリカ批判に連なるような報道を一切しない不文律がマスコミ界や大学等教育界を支配してしまいました。
学者・思想・マスコミ界に対するアメリカの支配確立によって将来的にアメリカ批判が起きないと安心したのか、この時点で漸く(6年以上に及ぶ)占領解除・サンフランシスコ講和条約(1951年9月8日 )になりました。
ルーズベルトが仮にまだ生きていたらその頃には日本男子は大部分殺されていた可能性があり・・何しろ米兵による殺人や強姦は全く報道されないヤミの状態が続いていました・・。
多分国際機関には、日本を保護国にしないと2千年単位で劣った人種なので自分で政治をする能力がないと言う名目で占領政治の継続・・奴隷化作戦がドンドン進行するばかり・・完全骨抜きには、まだ50年かかると言う説明だったでしょう。
現実に戻りますと、(アメリカをうまく騙せた結果?マッカ−サ−の遺族は天皇訪米時に墓参りてくれると期待していたくらいです・・)兎も角日本はアメリカのお墨付きを貰って51年になってやっと独立が出来ました。
(戦時条約によれば負けても主権を奪われないルールですから、それまで独立出来なかったこと自体がアメリカによるルール違反です)
それでもなお睨みを聞かすために占領軍と言う名称を駐留軍に変えて米軍がそのまま駐留することになり今なお続いていますし、日本は独立するとすぐに手のひら返しをするような子供っぽい国ではありません。
今でも言論の自由を守り平和主義・・非核3原則堅持などでアメリカを安心させています。
この安心の上でトランプ氏が日本を試すように「日本が自分で核を持つべき」だと放言しています。
日本がアメリカに従属し切っているのは、駐留米軍が怖いからではなく、又警戒されて苛めの標的されるのが怖い・・「過ちは繰り返しません」と言う教訓によるものです。
うっかり日本が喜んで核を持とうと言うとアメリカの対日猜疑心に火をつけて戦前同様に対日敵視政策が始まるリスクが高まります。
日本人は無理無体なことを言われて対米戦に引きずり込まれた経験にこりごりしています。
半端な戦力を持ってもアメリカには対抗出来ないのは明らかですので、アメリカに警戒させないことが戦後政治の優先課題になっています。
アメリカの主張する「軍国主義破壊」とは、「アメリカの国益に反するコト」「アメリカに挑戦するのは許さない」と言うだけの単純基準だと日本人は良く理解しています。
深い考えもいらない・・単純な基準です。
山賊・強盗がが押し入ったときに暴力支配するのとさして変わらない基準だったのです。

文化発信源の多様化4(西欧の限界2)

経済発展と文化の関係に戻ります。
文化で装う能力がないので生産力で追いついてくる競争相手にイチャモンつけて武力抑圧を目指したのが、第1次2次世界大戦でしたが、戦後再び日独の挑戦に敗れてしまったのは、西欧諸国がこの間に新たな価値観創出・文化発信が出来なかったからです。
スポーツ等で言えば、自分のレベルアップ努力しないで負けそうな相手選手の足を引っ張ることに終始していたことになるのかな?
西欧は自己発展出来ない欠点が戦後よりいっそう明白になって、・・日独との競争に負け続け冷戦終了後は現地生産化進行で新興国との競争にも負け、減って行く従来型輸出製品の穴埋めをしきれていないのが英仏等西欧諸国ジリ貧の原因です。
イギリスに限らず西欧諸国がEU結成による障壁造りと移民による人口増や金融業に頼るしかなくなっているのは、新たな需要創出・・新製品開発能力がない・・これは消費者の声・・民のレベルが低いことによります。
生産力+資源に頼って来たアメリカも資源安によって資源保有の旨味に限界が来たので、移民と障壁造りに励むべし・・これがトランプ氏の主張ですが,アメリカ国力衰退・・日本に負けるばかりの状態を背景とすれば、誰が大統領になってもTPP成立は無理があるでしょう。
欧米ジリ貧の原因は、西欧では未だに階級格差がある・・アメリカは言うまでもなく大格差社会です・・まずい食事など客の声、庶民生活レベルが低過ぎることが消費時代について行けない理由です。
ドイツは今のところ黒字国で元気ですが、これはEUの囲い込みによって域内輸出を独占しているからに過ぎず・・しかも生産に偏っている・・内需の低さ・消費・・文化に昇華する能力の低さが今後問題になって行く点ではアングロサクンと同じです。
韓国も同じですが庶民が厳格に支配されていた国では、内需レベルが低く、消費材のきめ細かな発達が期待出来ません。
中国は異民族支配が長かった結果、反語的ですが庶民と政府が無関係で来た・・儒教国家と言いますが支配層・士大夫階層だけの道徳律であって、庶民には道徳規律も何も関係のない野放図なまま放っておかれたことを書いてきましたが、これが今になると野生のママの庶民の強さであり、したたかさの根源です。
政治的には「上に政策あらば下に対策あり」と言われる土壌です。
これを消費者視点で見直せば、・・消費者には元々何のモラル教育もないまま古代から来たので、商品工夫にも制約がありません・・新天地に行って開放感に溢れて自由な発想が出来るようになったアメリカ人同様・思想にモラル枠のない自由さがあります・・下水から食品を作り、プラスチック系から卵を作ってうるなど・・そこまでやるか?と言う驚きがありますが、何のタブーもない工夫が活発・期待・意外な発展性を秘めている可能性があります。
ただし、対策・うまく立ち回る工夫が中心ですから、根気よく物を作って行く能力には欠ける・政府等に対する信頼関係がないのでと次世代のために見を粉にして積みげて行く習慣がない代わりに既存技術の組み合わせ能力が高い・・あんちょこに何でも作ってしまえる点・・高級品は作れないが便利なものをちょこっと作れる点が今後有利に働くと思われます。
今簡易スマホ?利用の決済が席巻しつつあるようですがこれなどもその一種でしょう。
消費レベルの重要性に戻りますと、政府主導の旧ソ連や今のロシアや中国が、人工衛星を作れてもクルマやウオッシュレットやうまく炊ける電気釜1つマトモニ作れない現実が証明しています。
西欧国民の基礎的レベルの低さは気候風土上の問題・・マトモな野菜果物すら出来ない風土的産物の貧しさに由来します。
良い土地から出来るものは全てうまいし、その土地に住む動物も魚も皆うまいし、人間も素質が良いように見えます。
民度も結局は気候風土の制約から逃れられません。
単調な景色からは個性のある芸術も生まれようがないですが、私の子供の頃には、単調な街を「西洋の都市は整然としているのに日本の都市は雑然としていて統一感がない」と頻りに日本批判する有識者が溢れていました。
今になってみると共産主義国家のように単調な表現しか出来ないのが西洋であることが分ります・これは景色・気候が単調なのと軌を一にしているからです。
西欧が個性重視と言い出したのも如何に長い間、個性が無視されて来たか・・その反作用・反省の上に立っているに過ぎないことを理解する必要があります。
信教の自由も深刻な宗教戦争・弾圧を経て生まれた「解」であり、日本のように元々八百万の神が相互を認めあう社会ではありません。
動物愛護も人権も民主主義も皆同じで「民の声など無視し続けて来た」歴史が重要です。
4〜5km先に見えている山を越えれば違った生活習慣のある日本列島・・自ずと相対的思考が進みますが、千km歩いて行っても何の変化もない風景気候が続く平原・単調社会との違いです。
近代が弱肉強食・・何でも武力で解決する砲艦外交・・野蛮な4〜5世紀になってしまったのは、西欧による世界支配に由来します。
大航海時代以降西欧人は世界に乗り出したのですが、西欧の気候風土の貧しさから行く先々で交換すべき土産がない・・その他の世界に行っても交換すべき文物がなかったことに由来します。
元々西欧以外の世界のルールでは、交易・・すなわち何かと交換すること・これが古代から人類共通のルールで世界の交流が成り立っていました。
今でも他人の家を訪問するときには何か手土産を持っていくのは「強盗ではない」と言う証し・・その名残です。

世界的減税潮流の基礎→小さな政府へ4

人口が半分でも3分の1でも各人が4〜5倍高度な演芸・風景などを楽しみ、着たり食べている国民であれば、人口が少なくとも結果的に消費力が大きいのですから低額消費人口ばかり増やすのが能ではありません。
演芸やスポーツ、絵画・料理全ての分野で、下手なものを半値〜3分の1〜10分の1の値段で見るよりは、より良い物に2〜3〜5倍払える社会の方が、より良い物が育ちます。
良いもの(サービスを含めて)が売れる・・評価される社会であれば、それを輸出用にも出来ますが、後記のとおりフードスタンプ食品など安物ばかり楽しんでいるのでは、これを「アメリカで何千万人が食べている」とか「着ている」と言われても?世界の人が買いたがりません。
うまいものを食べ、良い絵を見るのが技術向上に役立つかと言われると、うまいもの食べるのがスキならば良い料理人・絵描きになれる保障はありませんが、良い物を作れば高評価を受ける社会でこそ向上意欲が出て、より良い社会になって行く原動力になります。
国内市場レベルが輸出競争力を決めて行くのですから、内需拡大・贅沢は国際収支を悪化させてしまうのでないかと言う恐怖心は間違っています。
資金不足国・・新興国の多くがそうですが・・の場合、先に贅沢していてはつぶれてしまいますので、先ずはすぐに金になる方法・・先進国の物理的?模倣から入るしかないのは当然です。
労働者の子供個々人で見ればうまいものを食べて礼儀作法を学んでもそれを活かせる保障がないから投資効率が悪過ぎます・・育ちに応じた仕事に就く訓練をした方が合理的です。
今の日本はギリギリに働いてすぐにお金が欲しいような貧しい国ではなく世界一の債権国ですから、国民にゆとりを持たせて生活レベルを上げて、高級食材・デザイン、生活モデルそのものを輸出出来るようにして行くのが正しい選択です。
良いものかどうかより腹一杯にしたい・・先ずは明日食べるお金を稼がないと生きて行けないような新興国の真似をいつまでもしているのは恥ずかしいことです。
琳派で有名な酒井抱一を見ていると、(私は審美眼が弱いので、美術展に行くと主催者の意図しない変な発想に取り憑かれるのが困ったものです・・)彼が育った時代にはまだ名門武家の出身者として「絵を描くのが楽しみ」などと言う軟弱な?生き方は批判の対象だったでしょう。
ところが、代々大老になる家柄・酒井雅楽頭家としては高度な政治には武力腕力よりは人脈形成が重要になっていましたが、酒井抱一が長じて名をなす時代には平和な時代が定着して消費・贈答文化が発達して来ていたので、「絵師」として名をなした弟「抱一」の絵画は格好の引き出物として、重用されたに違いありません。
文化が発達するとトラック1台の小麦・ジャガイモよりは高度美術品の方が価値のある時代になります・・高度美術品や高価な果物や高級食品を作るにはこれを喜ぶ消費者が必要です。
人口統計をみて労働人口が減っている→移民が必要と短絡的に騒ぐのは、環境変化に対応していくニッポン民族の能力を知らない外国基準の主張です。
アメリカや西欧は環境変化に対して底辺労働(多くは若年)の移民を多く入れて中国の低賃金に対抗し、国内市場.消費力を上げるにも人口増がてっとり早いと言う安易な対応をしてきました。
・・日本の場合人口が同じ〜少し減っても消費のレベルアップ対応で国内消費(金額)を増やす方向ですが、日本の学者は欧米の対応が何でも正しいと宗教的に信じている立場ですからこれを参考にして「同じようにやれ」と主張しているのです。
欧米では、移民を入れて生産年齢人口を1割増やすことにより1割成長を図る..底辺層でも何でも人を増やすことによって、比喩的に言えばフードスタンプ用の最低食品や安い衣料などの国内消費が人口比例で増えるでしょうが、これでは新環境に適応していることにはなりません。
移民を増やしていく対応では、国民レベルが下がる傾向になるのが普通です。
※同じ知能レベルの移民であっても言葉や習慣の違いによる壁があるので、彼らに対する教育費が何倍もかかるしその割に教育効果が上がりません・・まして底辺層から入って来ると国民平均レベルがなお下がってしまいます。
そのうえ、先進国国民は過去の蓄積分配の恩恵で現役国民の能力以上の(金融資本蓄積のみならず文化基盤の厚みその他)良い思いをしています・・この分配量が一人当たり減って行く関係・・希薄化という点では民族・道徳意識の希薄化が重要です・・これらを2016/07/17「アメリカ式移民モデルの破綻4」のシリーズで書いてきました。
日本が移民による人口増を拒み、国民レベル引き上げに努力して来たことこそが、石油ショック・レアアース禁輸対応同様に正しいことです。
移民受け入れを拒否して来たのが文化人?には不満でしょうが、国民のレベルアップ努力の結果、労働人口減にも拘らずGDPを減らさず、円相場がプラザ合意後240円になり今は100円前後(昨日の新聞では99、何円)ですから、国際収支黒字が毎年10兆円前後で同じとしてもドル相場にすれば、バブル崩壊後だけで見ても失われた20年どころか飛躍的成長を遂げていた・・これがジリジリと円の評価を挙げて来た原因です。
このコラムで繰り返し書いていますが、我が国の生活水準はこの20年で2倍前後上がっています・・。
過去20年あまりの実質的成功の原因が、政府の成長投資が成功していることによるのか、元々の国民レベルが高い上に豊かな生活を保障したことが新たな視点需要を提供して新たな輸出産業を捲まず撓まず育てているのかの見極めが重要です。
世の中はオセロゲームのようには行かないので多分双方の視点が必要でしょうが、そうとすれば従来型投資資金比重を徐々に減らして生活水準向上方向へ資金シフトして行く必要があります。

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