格差社会4(サービス無償意識1)

格差社会に戻りますと個人投資家でも海外債券投資比率の高い人と低い人あるいは内需関連企業とで円安の恩恵が違う・・この分野でも投資先相違による明暗・格差が発生します。
株価好調でも消費がそれほど増えないのは、海外収益中心・投資利益の場合、株価が上がったからと言って、(配当の入る預金残高1500万前後の人が数十万円増えたからと言って)あるいは昨年より配当金が数%増えても喜んで食事に行くような人があまりいないから当たり前です。
サービス業従事者が増えると平均賃金が下がる傾向がありますが、この分野の賃金引き上げには「電気釜や冷蔵庫などの物品よりも、生身の人間のサ−ビスの方が高い」ものだと言う意識変革が必要でしょう。
介護・保育その他各種サービス分野は女性中心職場であったこと・・元々家庭サービスから始まっているので、無償奉仕が前提になっている点が問題です。
このため男性中心職場であった製造業に比べてサービス関連は基礎賃金が低過ぎるのを容認して来たことに対する意識変革が必要です。
それをしないで徒らに製造業の維持拡大・・従事者数の復活を主張しても時代錯誤にしかなりません。
我々弁護士業界ででも、訴訟になれば大金でも払う気がするが、相談するくらいはただという伝統的意識が強く、この払拭に苦労してきました。
せっかくこの数十年の努力である程度の相談料を払う意識が定着したものの、最近若手の経営難の結果、1回目相談無料みたいな広告がはびこるようになってきましたので、元の木阿弥に戻りそうです。
米国と違いヤミクモな訴訟を回避したいのは合理的傾向ですが、その回避や円満解決に重要な役割を果たす相談料が無償または1時間1万円程度では、アマチュアやボランテイアなら別ですが、事務所家賃やスタッフ給与その他のコスト負担のある弁護士の「業」としては成り立ちません。
弁護士業界の経営難が弁護士増員によるだけではなく、訴訟より事前相談比率が多くなっている現状に即した収入形態になっていない点が、大きな原因になっているように思えます。
実際の訴訟数の変化は本日現在の司法統計年報によれば以下の通りです。
http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/list?filter%5Btype%5D=3&filter%5ByYear%5D=&filter%5ByCategory%5D=&filter%5BmYear%5D=&filter%5BmMonth%5D=&filter%5BmCategory%5D=1
第1-1 全新受事件の最近5年間の推移
【全裁判所】年 次
     全事件 民事・行政事件 刑事事件等 家事事件 少年事件
23年 4 059 782 1 985 305   1 105 826  815 523 153 128
24年 3 798 126 1 707 715   1 098 989  857 237 134 185
25年 3 614 236 1 524 023   1 050 716  916 409 123 088
26年 3 494 100 1 455 716   1 018 673  910 687 109 024
27年 3 529 977 1 432 279   1 032 791  970 018 94 889
上記の通りですが、弁護士の主たる収入源である民事事件数が、この5年間だけでもほぼ25%も減っているのに弁護士数が逆に約2割増えている,・・この10年間で見ると約8割増の矛盾です。
以下は日弁連の発表数字です。http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2015/1-1-1_danjo_nenrei_suii_2015.pdf
 年   正会員総数(内女性数)   女性割合
1994   14,809 (938)      6.3%     
1995   15,108 (996)      6.6%
1996   15,456 (1,070)     6.9%
1997   15,866 (1,176)     7.4%
1998   16,305 (1,295)     7.9%
1999   16,731 (1,398)     8.4%
2000   17,126 (1,530)     8.9%
2001   18,243 (1,849)     10.1%
2002   18,838 (2,063)     11.0%
2003   19,508 (2,273)     11.7%
2004   20,224 (2,448)     12.1%
2005   21,185 (2,648)     12.5%
2006   22,021 (2,859)     13.0%
2007   23,119 (3,152)     13.6%
2008   25,041 (3,599)     14.4%
2009   26,930 (4,127)     15.3%
2010   28,789 (4,660)     16.2%
2011   30,485 (5,115)     16.8%
2012 32,088 (5,595)     17.4%
2013  33,624 (5,936)     17.7%
2014  35,045 (6,336)     18.1%
2015  36,415 (6,618)     18.2%
この表を見ると日弁連執行部は女性比率に重大な関心を持っているようですが、弁護士業界にとって焦眉の急・最重要な増加率には全く関心がなさそうな表の作成には驚きます。
刑事少年事件では、当番弁護や被疑者国選がこの5〜10年ほど前から始まっているので私選の刑事事件受任がほぼ壊滅・・ゼロになっていて、言わば弁護士業界の収入源の半分が官業による民業圧迫でなくなっている勘定です。
少年事件もほぼ同様です。
離婚事件等は増えていますが、弁護士に相談する程度で自分で調停などにでかけるのが圧倒的比率です。
このために若手弁護士が生活保護基準すれすれのような低報酬目当てに(昼間だけでは食べて行けないので夜9時ころまで遠くの警察まで接見に行く状態)国選事件や少年事件受任を競っている惨憺たる状態に陥っています。
この結果若手弁護士の多くが年収300万円以下という状態になってきた様子ですので、法科大学院の応募数が激減..ひいては応募者の劣化が始まっていると言われます。
このママでは、司法界崩壊目前ですから、偏った運動ばかりする?弁護士業界潰しの政策意図があるかどうかは別として、国家における司法(判事検事の供給源のあり方を含めて)に関する基本戦略の策定が必要な段階に来ています。
この時にあたり、千葉県弁護士会新会長が4月1日就任直後に従来同様に大量合格を続ける場合、「一定数以上の修習生受け入れ 拒否 も有りうる」という趣旨の通知を発したことが大激震になりました。
(会内的にはしかるべき会内手続きなしに、会長が一方的に対外外通知をして良いのかが5月総会の大テーマになりました)
多くの見方は「一種のフライングである」と言うことでしょうが、時機にあっていた・・放置できない状態・発火点に近づいていたことは相違ないでしょう。
これが逆に判検事と弁護士の別立て試験になっていくリスクを開いた結果になった・・単なる暴発の結果になるかは別ですが・・。

労働分配率の指標性低下2(省力化投資と海外収益増加)

6月24日の日経新聞「大機小機」の主張を引用しておきましょう。
「・・・第二次安倍政権誕生と同時に始まった今回の景気は拡大56ヶ月を迎え、経常利益は史上最高を更新し、産業界は好況を享受している。雇用報酬は横ばいで民の暮らしは豊かになっていない。今回の景気は[産高民低]だ。・・「消費低迷の背景として人口減少や社会保障の将来の不安、デフレマインドの定着などが上げられている。だが、注目すべきは労働分配率が今回の景気回復局面で急低下し・・・たことだ」「労働分配率の低下は先進国共通の傾向の現象だ」「・・労働分配率が変わらなければ・・消費も多いに盛り上がっていた筈だ・・昨今の先進国の消費低迷と低成長の背景ではないか」
と書いています。
労働分配率は国内総生産に寄与した関係者間の分配の問題であり、企業の好況は海外収益を含めた概念ですから、この比較するのはすり替え的で論法です。
労働分配率については、以下に簡潔に解説されています。
http://www.shimoyama-office.jp/zeimukaikei/keieisihyou/keiei7.htm
労働分配率とは、付加価値のうち人件費の占める割合をいいます。
労働分配率=人件費÷付加価値
付加価値とは、企業が生産、販売等の活動により、新らしく生み出した価値をいいます。 簡単にいえば、材料を1,000万円購入し、工場で製品を製造し、その製品を5,000万円で販売した場合、付加価値は5,000万円-1,000万円=4,000万円となります。
付加価値の計算方法は、主に次の2つがあります。


このように、付加価値とは言わば粗利であって加工するための間接・直接のコストが入っています。
中国がGDPアップのために需要無視でドンドン公共工事していてもGDPだけは増える関係です。
上記の通り控除方式では、製品にするための工場設備等の経費が控除されていませんから、付加価値には昨日書いたように機械設備の費用が含まれている・・設備費用が多くなればなる程付加価値に占める労働分配率が下がる関係です。
加算方式の場合にも、機械設備等のコスト等は金融費用や減価償却費等として加算されますから同じです。
先進国であれば機械設備投入比率が上がり労働力投入量を減らすのが普通→付加価値に占める労働寄与率が下がる→労働分配率が下がります。
また豊かな先進国では企業の海外展開に比例して個々人も金融資産が増えているので、消費力は個々人の金融資産や知財収入等を含めて総合的に考えるべきです。
労働分配率は国内で付加価値を創造した分・・GDPの分配率の問題であって、海外収益どころか国内収益・企業収益とすら直截リンクしていません。
GDPは利益と関係がない・・中国で言えば需要無視の鉄道や道路マンションをいくら造ってもGDPそのものは増えます。
GDPが重視されたのは、無駄な投資をする企業や国はないと言う暗黙の前提があったからです。
自由市場で競争する企業でも見通しを誤って無駄な投資になる場合がありますが、その代わり市場から手痛い報復を受けます。
中国の場合市場競争がないので政権が続く限りソ連と同じで無駄ワオ強制できますが、長期的に見れば、「無駄なものは無駄」・・国民の損失になるでしょう。
国際比較の知能テストや学力テストでも、予め生徒に問題を練習させておくような不正をする国がない信頼で成り立っていますが、これをやる国が増えると国際比較が成り立ちません。
労働分配率に戻しますと利益ではなく設備等のコストを含めた概念ですから、喩えば、IT化やロボットや機械設備投資の結果生産量が5倍になっても労働者の寄与率は下がることはあっても上がることは滅多にありません。
設備の合理化で生産量が5倍になった結果支払う相手の大方はロボットや設備投資代金であって、労賃をこれに比例して増やすのは無理があります。
「労働分配率低下が先進国共通の現象」と言うのは当たっているでしょうが、設備投資等が増えれば付加価値に人件費率が下がるのは当たり前・・それと消費停滞とは直截関連しません。
コストが人件費だけの労賃がほぼ100%の社会(極端な場合、いくら働いても海外から収奪される植民地社会)と国内生産は機械化が進み、国内生産が減ってもその代わり海外収益に頼る割合が高くなる・個人金融資産の蓄積の大きい先進国社会との違いを無視しています。
共産党系のスキな搾取論を言うならば、国際的比較では今でも成り立つ議論のような気がします。
先進国が自国内労働・国内生産以上の生活を出来ているのは、その差額分を(知財・金融その他の名目で)「後進国から搾取している」からと言う論拠の1つとしては意味があるでしょうが・先進国内の所得分配論としては、時代錯誤論です。
先進国では、産業間(業種内の業態) 格差こそが問題でしょう。
古くは1次産業〜2次産業〜3次産業への移行(場所的には都市から農村への所得移転策がその1形態です)が重視されましたが、今は同じ2次産業でも重厚長大から軽薄短小へ程度の大まかな振り分けから、部品系の消長に移っていますし電子機器からIT関連へともっと細かな分類が必要な時代です。
ロボット産業と言っても分野別にいろいろです。
部品と言ってもどんどん進化して行くので電池のように元は機械等の構成品に過ぎなかったものが、今や電池の中の細かな部品を作る企業が部品業界であって、電池は完成品扱いではないでしょうか。

中韓・・中進国の罠4(苦し紛れと威嚇1)

中国の造船業界も大変な状態にあることはMarch 22, 2017,「中韓バブルの行方2(外資依存社会)」に掲載しましたが、中韓共に人件費の安さで勝負する時代は終わりを告げつつあります。
中韓共に生き残り策に必死・・中韓間では造船その他クルマよりも早くいろんな分野で競合関係が始まっていますが、韓国は次々と挑戦される分野で日本並みに独自技術開発しない限り・・模倣社会のままでは勝ち目がないでしょう。
韓国産業界がこの4〜5年で唯一中進国レベルからの抜け出しに成功したのが、サムスンのスマホくらいと言うところでしょうか?
このサムスンの先端技術もアップルとの特許訴訟で明らかになったところによれば、実は双方ともソニーの技術を盗んで競争していたことが報道されていた記憶です。
日本だって独自性を発揮したのは最初はソニー程度でその他は欧米の模倣と言われている時代がありましたから、イチガイに将来性を否定するのは間違いですが現状はこんなところでしょう。
従来中進国脱皮成功例が少ないのは、追い上げて来る国がなくて中進国で満足していたからですが、今回は中国の追い上げが厳しいので安住していると中進国からアップどころか脱落してしまう危機感があるのが韓国に取って救いです。
危機感をバネにして「ここ一番奮起」して独創性のある企業が出て来るかどうかで、中進国脱皮または後進国再転落の成否が分かれます。
しかし危機感だけでは急激な国全体・民度底上げは難しい・・イキナリ高度術開発が出来ないので、先ず自助努力よりは日本からの更なる高度技術導入に必死になったのでしょうが、懇願の代わりに日本批判で脅して来たので却って関係悪化させてしまい裏目に出てしまいました。
最も苦しいときにこそ古くから頼りにして来た日本に助けを求めるべきでしたが、逆張りで「嫌がらせをすれば日本が驚いて技術を出すか!」と思ったらしく日本包囲網・・中ロと謀って慰安婦騒動に持ち込んだのが失敗の元です。
ロシアは列島周回飛行し中国は尖閣諸島領海侵犯・・李明朴の竹島上陸と天皇侮辱発言と慰安婦層で国際的日本批判の挑発・・その最中に「高度技術移転しろ」と言う強迫でした。
いわばヤクザの手口・・日本人の最も嫌うやり方でしたので・・そう言えば・・日本ヤクザの大半が在日であると言う方向へ嫌韓感情が広がってしまいました。
「国を挙げてヤクザモラルの民族とは付き合いたくない」と言う方向へ日本が進んでしまったので、驚いて?親韓派議員を動員してヘイトピーチ禁止法制定をさせるのに成功しましたが、黙らせただけでは国民に浸透してしまった朝鮮人=ヤクザ気質論は簡単になくなりません。
ガリレオが、「それでも地球は動いている」と言ったのと同じです。
韓国経済の現況を続けます。
japan.hani.co.kr/arti/economy/26105.html
韓国、2年連続で輸出減少…貿易額はかろうじて9000億ドル超え
 登録 : 2017.01.02 00:48 修正2017.01.02 11:58
2016年輸出は前年比5.9%減の4955億ドル 2年連続の減少は1957~58年以来初めて 6年ぶりに5千億ドル以下…貿易額は2014年より1969億ドル減少 今年の環境も不透明…貿易収支黒字減少の見通し続く輸出が2年連続で減ったのは1957~58年以来58年ぶりだ。
また、輸出額が5000億ドル以下に落ちたのは2010年以来6年ぶりだ。輸出と輸入を合計した貿易規模は9012億ドル(約105兆円)であり、9000億ドルをかろうじて超えた。韓国の貿易規模は2011年に初めて突破した1兆ドル規模を4年間維持してきた。史上最大を記録した2014年(1兆981億ドル)に比べると、昨年の韓国の貿易規模は2000億ドル近く減少(1969億ドル)した。」
上記記事によると11年以降1兆ドルを超えていた貿易額(輸出入合計)が、約2割以上も縮小していることが分ります。
貿易額が2割減少の影響力ですが、いわゆる貿易依存度によって影響度合いが違って来ます。
韓国と日本の依存度の違いについてhttps://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/edit#からの再・・抜粋引用です。
1香港337.04、2シンガポール233.25、4ベトナム162.63、・・・60韓国72.05、64ドイツ70.54、178中国33.33、189日本28.11、197米国21.12、・・・202キューバ16.85、205スーダン12.718、206ベネズエラ6.91
上記は15年の統計ですが、これによると1位が香港で韓国が世界ランキング60位で依存度72,05%、日本は189位で依存度が28、11%で韓国の半分以下です。
ちなみにキューバやスーダン北朝鮮など最貧国で貿易まで行かない国やアメリカのようないろんな資源の有り余る国はもともと貿易依存度が低いのは当然ですが、・・これら特殊国グループを除けば、日本の2〜3割と言うのは無資源国としてはかなり良好なレベルです。
貿易依存度が高いと言うことは、国民の消費生活が貧しい・・内需が乏しいと言う意味でもあるでしょう。
商人で言えば分りますが、大きなお金が動く割に自分の家族の消費する分が少ないと言うことです。
https://kotobank.jp/word/%E8%B2%BF%E6%98%93%E4%BE%9D%E5%AD%98%E5%BA%A6-183454によれば、
「一国の国内総生産(GDP)または国民所得に対する輸出入額の比率(輸出依存度、輸入依存度)をいう。一般にGDPの小さい国ほど、貿易依存度は大きい。」
と言われています。
韓国のGDPに占める貿易依存度が日本の2、563倍ですから、貿易額が2割減れば、国内経済に与える影響が日本の2、563倍・・日本で5割減ったのと同じインパクトあります。
ところで独が大国の割に依存度が高くなっているのは、EU域内貿易が経済実質では国内並みの関係になっているのに統計上では、対外貿易になっていることによります。
ドイツは貿易面では国内並みの流通制度で、無関税で輸出出来るのに、政治的には国外なので赤字国の面倒を見なくても良いと言う良いとこ取りをしていることが貿易依存でも現れて来ます。
以下は12年までのものでかなり古いですが、http://www.mri.co.jp/opinion/mreview/indicator/201205-2.htmlでドイツ経済の概況を見ます。
「・・一方、対EUの黒字幅は、欧州債務危機による経済低迷を受けてピーク時(07年)の半分程度まで縮小し、対EU域外の黒字幅を下回っている。輸出全体に占めるEU向け比率も64%(08年)から58%(12年1月)に低下した。
輸出の内訳をやや詳しくみると、全体の60%弱を占める機械・輸送用機器、15%を占める化学が全体を牽引している。
国別では、米国と中国向けが伸びており、とくに対中国では自動車輸出額がこの3年間で3.4倍と、日本の対中自動車輸出額の1.3倍を大きく上回った。この間、通貨ユーロは対ドルで約1割下落した。また、中国市場における日本企業との競争の観点から重要なユーロの対円レートは約4割下落しており、ドイツの対EU域外向けの輸出増には為替相場も影響をおよぼしたとみられる。
上記は12年のデータで古いですが、「輸出全体に占めるEU向け比率も64%(08年)から58%(12年1月)に低下した」とあるようにドイツの貿易依存度からEU分を控除すれば(5年後の17年のデータが出て来ませんのおよそで言うと)貿易依存度が約半分になります。
半分とすれば、無茶に貿易依存度が高いとは言えない・・日本とちょっとした違いでしかない・・食べるものも大したものがない・・日常の消費水準の単調さから見ればそんなところでしょうか。

中韓バブルの行方3

メデイアは格差を強調するため(いわゆる角度付け報道の一例です)に僅か何%の富裕層が富みの50%を握っているなどと強調しますが、何%の富裕層と言うときには全人口を前提にしているとすれば・・その家族やその周辺で恩恵を受ける人皆貧困層の分母に数えていることになりそうです。
大手企業社長夫人などの多くは無職ですが・・その人たちが貧困層に計算されることになるのでしょうか?
「層」と言うからには、実際にその収入で消費出来る人など一族を富裕「層」の人数に加えるべきではないでしょうか?
大金持ちであればあるほど比例的に恩恵を受ける取り巻きが増える関係ですが、これを富裕層に加えると・・例えば数%の富裕層が富みの半分を握っていると言う表現が10数%の富裕層が・・と変わります。
これを消費の場面で見ると、一人で食べたり旅行しても楽しくないので家族4〜5人で食事し、旅行し観劇するのが普通ですから、クルマやパソコンなども子供に買い与えるので、消費の量から逆算すると4〜5倍の富裕層がいるような計算になります。
旅行者数やクルマ購入数からの逆算が本来の分布でしょう。
中国の富裕層0、1%で140万人しかいないとしても、その家族で高額旅行し飲食し、クルマを買うのが普通ですから、統計数字の何倍もの人が富裕「層」の生活をしていることになります。
裸官一人に群がる周辺が10人前後いてもおかしくありません。
富裕名義本人は権力抗争に命がけ・・忙しいので楽しむ暇がなく、その奥さんや子供らがスポーツカ−を乗り回し、海外留学したりし食事し観劇し旅行したり良い思いをしているのが普通です。
消費量が大量だから底辺底上げが進んでいるとは限らない・・の旅行者数やクルマ販売量等が、同数の富裕層(者)がいるとは限らない・・極端な格差社会でも結果はそれほど変わらないことを前提にする必要があるでしょう。
格差社会でもその国のトータル経済力にある程度消費が比例する・要は自分の稼ぎで遊べるか、親や雇い主・お金持ちのお相伴でゴルフしたり・・あるいは寄付などで遊べるかの違いです。
大分前に書きましたが、金融・知財等の特殊一握りの巨額稼ぎをする人から税で取り上げて(アップルの巨額利益・・株式時価総額を例にするとその恩恵は株主にしか及びません・・労働現場は中国です)生活水準平準化を図るためにフードスタンプや生活保護レベルの引き上げをして貰うよりは、自分の稼ぎで楽しみたいのであってそのための職場の提供こそが重要です。
ところで、韓国の場合も、海外旅行熱が盛んで15年には日本を追い抜いたと報道されています。
http://www.recordchina.co.jp/b146929-s0-c30.html
配信日時:2016年8月8日(月) 9時20分
「韓国観光公社、韓国統計庁、日本の法務省などによると、15年の韓国人の海外旅行者は1931万人で、前年より20.1%増加した。一方、日本は4.1%減の1621万人に留まった。」
ビールでもピアノでも普及し始めると上昇率がすごいですが、一旦普及すると安定するのと同じで日本の場合は既に「海外旅行熱は10数年前に一巡しているから」と言うのが私の意見ですが、いずれにせよ、今のところ台湾・中韓〜新興国の海外旅行熱が盛んであることが分ります。
内需奨励・・消費者社会になると不足品の供給入手優先を卒業し、より高度な楽しみを身に付けたい階層が増えると先進地域へ行きたくなる・・しかもリピータになる傾向があります。
海外旅行者数を日本と比較することに意味があるのではなく、ここでは中韓の観光客がへらない・・世上中韓経済が大変と言われている割に、一定の安定階層の存在が認められる点が重要です。
個々人が非正規雇用化の増大で大変なのと、国全体が大変なのとは違います。
本当に生活が苦しくて大変ならば、海外旅行する人は滅多(ただし不法就労・・売春・窃盗集団が旅行名目的で日本に入って来る・こう言う人は貴金属強盗や窃取などするとその日のうちに出国するなど超短期に出入りを繰り返すのでその分統計数字としては大きく出ます)にいない筈だからです。
無職無収入でも親の余録で何回も日本に来て高級ホテルに泊まる人が一杯いるでしょう。
この階層の存在が先進国の低金利で借りた借金や投資資金流入が回り回って潤っているとすれば、金利が上がると・・どうなるか?・・底が浅いことになります。
平成27年分ですが、韓国人の日本での消費額を見ておきましょう。
訪日韓国人観光客かどこから日本に入国しているのかも特徴的です。
日本へ入国の際には自国からより近い空港、福岡空港や関西国際空港の利用率が他の国と比較して高く、特に福岡空港は各国からの観光客全体の平均が7.8%に対して訪日韓国人観光客は19.7%です。

訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額:観光庁 訪日外国人消費動向調査より引用
訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額:観光庁 訪日外国人消費動向調査より引用

韓国の場合、日本との関係が深く気楽に往来しているリピーターが多い関係・割安系を自分で選ベルようになっている点が考慮されるべきですが・・。
韓国内需拡大を見ておきます。
韓国は反日運動以降外需に頼る経済がうまく行かなくなっています。
基幹産業とも言うべき造船事業の受注ゼロ化に始まって韓信海運の倒産・・現代自動車の減益・サムスンスマホの爆発など弱り目に祟り目とはこのことです。
ただし、この数十年に及ぶ日本企業模倣の産業スタイル・・俗にいうところのコバンザメ商法が壁に打ち当たったことによる脱皮の苦しみですから、うまく行けば、次のステージに上がれます。
これをチャンスとして独立国らしい自前の産業構造に転換出来るかどうかがこの先の明暗を分けることになります。

中国経済対策の成否(内需拡大の限界)4

韓国も漢江の奇跡と言われるように高成長を経てある程度中間層が育っていたのですが、アジア通貨危機の打撃を受けて以降非正規労働者化が極端に進んでしまった結果、アメリカの格差どころではない・・国内不満が充満するようになったようにみえます。
セウオール号事件や朴大統領疑惑でも、何か切っ掛けさえあれば国民中が狂ったようになるのは、元来の国民性もさることながら、日頃からの不満が発火点に達しているからではないでしょうか。
中国は漸く工場労働者の生活がマシになって元気が出たばかりですが、これを謳歌する期間が韓国よりもさらに短く・2〜3年の連続賃上げと同時に製造業の中国離れが始まってしまいました。
この結果生き残りをかけて中国企業はサービス経済への変身と省力化投資に邁進していることを紹介して来ましたが、その変化が成功すれば製造業の縮小あるいは省力化転換→大量の労働者の仕事をどうするかが大問題になって来ます。
アメリカがその典型ですが、省力化投資と海外展開で職場を失って多くはサービス業従事者に転落し、非正規化した労働者の不満が渦巻いています。(差−ビス社会化すると賃金が低下して行くことはこの後で書く予定です)
これが格差問題ですが、この格差不満がグローバル化の進展によっては、国際紛争の火種になる時代が来るでしょう。
中国の場合には、外貨取り崩しによる追い貸しや公共投資続行で・無駄な鉄道を造る外にマンションバブルを政策的に誘導して・庶民から資金を吸い上げて建設関連産業(製鐵セメントその他関連産業の裾野が広い)の崩壊を食い止めて来たのがこの4〜5年の政策ですが、無駄な投資でも何でも良いからと言うヤミクモな内需拡大・・財政出動には財政の壁・長期的には国際収支上の資本の限界があります。
金あまり・・過剰流動性が発生すると専門知識不要で誰でも手を出せるし、供給制約がある不動産バブルになり易いのが世界的基本ですが、中国には土地所有制度がないので、中国政府は不動産バブルの代わりにマンションバブルを煽って来ました。
マンションバブルの場合、建築工事の需要・・セメント製鐵その他裾野が広いので景気対策をかねて便利だったからです。
さすがに2戸め3戸めを投機用に買っても・エンドユーザーがいない・・販売増加に限界が来たらしく昨年からの報道では従来のスケルトン渡しの商習慣を改めて、内装を仕上げてから引き渡す商取引が増え始めたと出ています。
こうすれば、同じ1戸のマンションでも付加価値が多くつく・・内装業者等も潤います。
今朝の日経朝刊9pでは、中国の鉄鋼生産が内需目当てにこの3.4月に最高水準にアップしていると言う報道が出ています。
他方で少しでもマンション価格下落を引き延ばしたい苦肉の策なのでしょう。
その代わり内装をすれば好みの合う客層が限定される結果、汎用性がなくなる・・エンドユーザーの顧客の好みに合わないと売れないので床面積の違いだけの規格品としての転がし・・投機目的購入に向かなくなります。
投機目的で5年も6年も使用しないで転がしているだけでも内装設備が陳腐化してしまいますし、内装済みにすると転売目的・・投機目的取得と少しずれて来ます。
投機目的販売に無理が出た・・逆から言えば実需顧客が増えてきたからでしょうか。
ところで、中国では巨額賄賂が報道されるので所得格差が大きいような印象ですが、その割に投機目的とは言え、マンションなどの投機向き商品に限らず・クルマ(年間2800万台以上)であれスマホであれ需要が堅調ですし、海外旅行者数が衰えない(・・これらは投機目的とは言えないでしょう)のを見ると一定の消費が出来、あるいは投機資金の余裕がある中間層が着実に厚みを増していることは確かでしょう。
これが、自己資金によるのか政府のじゃぶじゃぶのマネーサプライ大量供給の恩恵によるのかどうかです。

中国人の海外旅行者数が1億人超に、29歳以下のミレニアル世代が5割に成長 -GFKマーケティング


「GFKマーケティングサービスジャパンは、2015年の中国人の海外旅行者数が1億900万人に上ったとの調査結果を発表した。消費額は2290億米ドルになり、旅行者数、消費金額の両面で、世界のトップレベルであるとしている。」
何やかやと言っても1億人(リピーター率2〜3回とすれば約3000万人)以上も海外旅行出来る人口を抱えている上に、一回当たり消費力も高い事実を直視する必要があるでしょう。
延べ人数としても2290億ドル÷1億人→一人当たり(あるいは1回あたり)約2290ドル消費ですから近隣・日本、韓国、台湾、フィリッピン旅行中心で、一人1回の旅行で約25万円程度使うのですから、まあまあの消費力です。
この海外旅行を支える階層に製造業従事者がなっているかについてみると、中国の製造業工場労働者の賃金水準は以下のとおりです。 http://www.recordchina.co.jp/b170728-s0-c20.html
2017年27日、英紙フィナンシャル・タイムズはこのほど、中国の製造業部門の平均賃金は、2005年当時の約3倍水準まで上昇しており、すでにブラジルやメキシコを追い抜き、10年後にはギリシャやポルトガルに追い付こうとしていると伝えている。写真は中国の自動車工場。
ユーロモニターによると、中国の製造業部門の平均時給は、05年から16年までの間に3倍増加し3.60ドル(約403円)に達している。一方、ブラジルは同期間に2.90ドルから2.70ドルに、メキシコは2.20ドルから2.10ドルに、南アフリカは4.30ドルから3.60ドルにそれぞれ減少している。
中国経済は全体的に賃金水準が上昇しており、すべての部門の中国の平均賃金は、05年の1.50ドルから昨年の3.30ドルに増加している。これは、ブラジル、メキシコ、コロンビア、タイ、フィリピンよりも高い水準だ。 」
年収と言っても非正規と正規では大きく違う外に、工場労働でも職種(金属加工系と家電系では)によって大きく違うなど、イチガイに言えませんが、17年の記事→16年のデータとしても時給400円程度とすれば、月収約12〜3万円と言うところでしょうか?
上記によると、海外旅行で一人平均25万円も消費出来る階層・・ましてリピーターになるには、労働者では無理でしょうし、ホワイトカラー系でも、管理職クラスになっても、家族で来るには無理な印象です。
GDPに占める消費率をhttp://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12276054471.htmlみると以下のとおりです。
「個人消費の対GDP比は、中所得国の平均で54.2%である。日本は6割、米国は7割である。ところが、中国の場合は37.1%に過ぎない。」
とありますように国全体では中所得国平均の約6割しか消費力がない・・、まだ、まだ全般的に消費レベルが低いことは確かです。
中国の場合、一部富裕層・・14億の1%でも1400万人もいますからこの更に上澄みの富裕層が1割とすれば、140万人が年に何回も旅行すると延べ700〜1000万前後になります。
メデイアの言う富裕層の定義がはっきりしませんが、孫正義氏を例にすると彼の家族数を知りませんが、例えば彼に未成年の子供ら3人がいる場合、その子供ら家族全員が富裕層の数に入っていないとすれば、孫正義氏が家族4人で海外旅行すると一行のうち3人は貧困層の旅行者になってしまいます。
実は億万長者自身は忙しくてグルメ巡りや温泉に行っている暇がない・無収入の家族が高級ホテルを利用しゆったり満喫するのが普通です。

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