イギリスEU離脱3(冷静対応とマスコミ・識者の役割)

観光客はその都度食費や交通費その他対価を払っているとしても、国民の負担で作った良好なインフラを無償利用している・・綺麗な街は税金で道路掃除したり植木の維持などしています・・千葉市美術館で言えば維持運営資金として巨額市税を投入しています・・入場料さえ払えば良いと言う関係ではありません。
移民や観光客に入国税(会員制の入会金)を課すべきですが、逆に消費税を免税すると言う変な習慣があります。
私はただ乗りの観光客誘致論はおかしい・・結果的に日本経済が細って行くばかりだと言う観光立国論を繰り返し批判して来ましたが、移民に対しても社会保障などの現物給付さえ減らせば良いのではなく、インフラ負担が重くなっている先進国では、インフラただ乗りも許さないと言う(マスコミには出ませんがイギリス国民の意思はこの)段階に来ていると理解すべきです。
これまで書いて来たのは格差論に関連して移民に対する不満について想像を逞しくしているだけであって、その他何が実際に不満になっていたのか(マスコミは残留派の言い分しか報道していないので)私にはよく分っていません。
イギリス国民の不満が仮に具体論になっていなくとも、大陸と海洋国の価値観の違いが数の力で押しきられていくことが多かったり、EU拡大によってEUの組織が大きくなり過ぎて官僚主導で合理的に割り切れない微妙な国民意識の吸い上げが出来なくなっていることなどの複合要因でしょう。
規模拡大やグローバリズムの不都合を分析して研究することこそ学問の自由を保障された学者の仕事ですが、金融資本を中核とするグローバリストがマスコミ支配しているため、金になる仕事=マスコミ主流に迎合するしかない実態があります。
結果的に・・最近の学者の意見は、左右を問わずマスコミ意見にオモネているだけ・・マスコミに反する意見は発信出来ない・・幅広く出られなくなっていますし、マスコミを敵に回せない政治家の場合なおさら太鼓持ちするしかない状態が長年続いています。
イギリス国民投票結果で驚くのは、与野党共に離脱を主張していない・・国民過半の意志を代弁する政党がまったく知られていない(英国独立党あるらしいですが全く報道されていません・これも日本マスコミの偏頗性の象徴?)事自体が、国民意思を無視した政治が普通に行なわれている・・エリート社会・「マスコミさえ支配すれば勝負あり」みたいな社会の限界を表しています。
独仏では、国民の過半数支持に遠く及ばないのに反EUやグローバリズム反対を標榜する政党(日本マスコミは彼らを極右と翻訳していますが・・)があることからみると、国際的に知られる政党すら育たないイギリスの方が金融・マスコミ支配が強い・・言論の不自由な状態になっている現実を表しています。
金融資本の強いイギリスの場合、政党も学者も全てグローバリズムに表立って反対出来なくなっている結果、マトモな批判論(移民が増えることに対する庶民の不満を吸収する意見)を展開するプロがいないから、投票者の多数を占めている幅広い不満を社会が合理化出来ず、結果的に折角国民投票で国民意思を表現してもマスコミによってナチスになぞらえたり感情論だと非難されても黙っているしかない状態であることが分ります。
今の時代に左右対立・保守党か労働党かの2大政党制など殆ど意味がない・・今はグローバル化進行が良いかどうかのテーマこそが世界的な重大テーマですが、グローバル化反対意見を代表する政党すら存在が殆ど許されない状態になっている・・問題提起することすらを人道主義違反・ヘイトとして許さない・・パッシングして葬る運動をしている中心勢力が言論の自由を主張するマスコミでは矛盾が激化する一方です。
ところで、西欧かぶれがフランス革命を賞讃し学校教育でも賛美していますが、革命が起きるまで矛盾・不満を放置する社会こそ遅れた社会の象徴であると繰り返し批判してきましたが、日頃から弱者の気持ちを汲み上げる政治風土が育ってないから今回も国民投票で「革命的に」ひっくり返ったと言えます。
欧米の民主主義とか人道主義と言うのは底の浅いものです。
日本は古代から庶民意思を汲めない政治をしているのは「恥」「支配者失格」と言う基礎意識でやって来たので革命まで行く必要がない社会です。
赤ちゃんが泣きわめく前におむつを取り替えてやる母親は良い母親です。
グロ−バリスとが握っているマスコミがこぞって「移民は良いぞ!」と囃し立てても裸の王様みたいなもので、言語表現能力のない国民は生活実感で寒がっているのです。
フランス革命の流れを封じ込めるためにオーストリアを中心とする介入がありましたが、離脱を決めたイギリス国民をバカにして封じ込める動き・・マスコミの煽動に乗って厳しい条件を突きつけると大変です。
マスコミ論調は相変わらず「離脱するとこう言うリスクがある」と言う脅しの強調ばかりですが、これは「王様が裸」と本当のことを言うと「どんなひどい目にあうか知っているのか」と脅しているのと同じで逆効果リスクがあります。
移民増加に対する不満ががEU域内に広がっているにも拘らずイギリス国民だけの特殊性として強気で圧して行く・・EUが謙虚に自戒しないでマスコミ支配さえすればどうにでもなると離脱派をバカにし、合理的代弁者が育つのを阻止してバカにして脅迫していると移民反対運動が過激化して行く・・移民迫害の実力行使に走るようになるでしょう。
逆から言えばマスコミがグローバリズム進行を止めたくないために、EU首脳や独仏等の政治家に「ここで譲るな強行突破しろ」と厳命しているのかも知れません。
マスコミがグローバリズム進行・停滞阻止に何故必死になるのかですが、それは憶測に留まるのでまたの機会にします。
政党や学者の応援がないのでどのように自己を合理的に表現して良いかよく分らないイギリス国民・・政治家が国民意思を代弁してくれない状態のイギリス人が大陸諸国・・しかも官僚の多数決で決められるのは「兎も角イヤ!と言う程度しかないのが今のところの意思表示でしょうが、人生は言葉やスローガンだけで表現し切れないことが多いのですから、これを合理的に理解する努力を怠り「不合理だ・底辺層の感情論」だとバカにするのは間違いです。
庶民と国家意思の間に代議士が介在するだけの間接民主制ならばまだしも、国家意思の上に君臨するEU官僚の「合理的』決定でドンドン進むようになると庶民意思との乖離が半端ではなくなります。
これに対するもやもやした庶民の不満を代弁する政党・学者がいないのが、イギリスだけでなくフランスその他あちこちで不満が広がって来た原因です。
勿論アメリカのトランプ現象もその一つです。
成熟した社会であると思っていたイギリスが過激?(赤ちゃんがいきなり泣くように見えても実は合理的な理由があるように、政治家が無視して来たから突然の意思表示に見えるだけですから穏健な主張かも知れません)な反応をしたことを驚き、バカにする意見が(今の日本マスコミで見る限り)大方ですが、成熟した民主主義社会とは日本のように民意をスムースに汲み上げられる社会のことです。
イギリスの決断は逆に民主社会の老舗として民主主義の形骸化(2大政党が2派に分かれている国民利害を代表していない)に対する草の根の不満・・現在の「マグナカルタ」の創設として世界史に残る偉業の始まりになるかも知れません。
混乱の始まりになるかは、今後の動き次第です・・この辺は元ロンドン市長の落ち着いた発言「離脱を急ぐ必要がない」が期待を持たせます。
双方感情的にならずにしたたかにやって行ければ・・EUの抜本的改革(急進的統合進化に対するブレーキ・・1歩後退2歩前進)になり、これを評価した上で結果的にもう一度国民投票して離脱をやめる方向に持って行ければ、それこそ老舗の貫禄です。
また中島嶼国とは違う西欧社会の成熟度を示すことになるでしょうが、EUが強気一点張りで対応すると混乱が待っています。
マスコミ意見にあわない選挙結果が出ると「ポピュリズム」は困ったものだとマスコミ人は形式的評価に終始していますが、EUがいわゆるグローバリストの言いなりに下手な出方をすればイギリス国民が硬化してしまうだけではなく独仏国内の離脱派を勢いづかせて、低レベル応酬になって行くと世界の不幸です。
キャメロン氏は責任をとって辞意表明しましたが、この後を引き継いだ政権が単に不満を煽るだけではなく国民のはっきりしない不満(私流に言えば、インフラただ乗り論に整理して行く)をうまく吸収して合理的テーマ化して行き解決の道筋を示せるかにイギリスとEU再生の成否がかかってきます。
相手を批判だけして行く方式・・相互に不満だけ高まり相互不信を募らせて行くだけならばシリア等アラブ諸国の混乱とあまり変わらない状態になり、EUとイギリス双方にとってマイナスの結果・・衰退の始まりになるでしょう。
外野から見れば、「植民地支配の果実で実力以上の生活をして来たのだから本来のレベルに戻るだけ・・」と言う冷めた見方も当然あり得ます。

国際政治力学の流動化3

元々慰安婦や南京虐殺騒動の大もとはアメリカのでっち上げ資料に基づく・・東京裁判の正当化のために中韓に対する唆しで始まったことは世界の常識になっているでしょうが、その手足として動いたのは中韓両国でした。
これのタイミングを見計らって決定打を与える目的で如何にも中立っぽくアメリカによる慰安婦の実証調査(アメリカは日本敗戦時に軍関係資料を収集していて手元に持っています・・)が反日に凝り固まっていたクリントン政権時代から開始してていました。
タイミングを見計らって、日本不利の決定打となる調査報告を出して日本に全面謝罪させるスケジュールで動いていた筈でしたが、途中でアメリカの反日方針が変わったからか?あるいはいくら探しても慰安婦関連証拠が出て来なかったからか?
調査報告は逆に日本政府関与証拠が全くないと言う結果になってしまいました。
調査担当の高官だったかが資料が見つからないことに「失望した」と言う表現をしたことが日本で評判になりましたが・・。
慰安婦問題を大きくしたいからか、日本マスコミは殆どこれを報道していませんが、報道の公平性・中立性に疑問があります。
そもそもマスコミの中立性とは国内の論争に対する中立であって、日本と外国との対立に日本マスコミ・・とくに国営?のNHKが対外的に中立などと言うことが、想定されているのでしょうか?
日中,日韓紛争に関して政府官僚は中立ですと宣言しているようなものです。
官僚やマスコミは国内論争に中立を守ってより良き国論の発展阻害しないことが大切ですが、相手国との中立を主張する官僚など許されません。
慰安婦の強制性の有無は日本国民共通の利害であって、強制性があったと言う主張する事自体国益に反することが明らかです。
以下は産經新聞ニュースからです。
http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270003-n1.html
「米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的 な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。戦時の米軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の単なる延長とみていたという。調査結果は、日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される。」
アフガンゲリラを育てると、今度はアメリカに向かって来るなどアメリカの戦略?は目先の見え透いた行動が基本ですから、10〜20年周期で今まで協力して来た国々を敵に着回してしまうようなことばかりでは、その咎めがあちこちで出て来るのは当然で、アメリカの国際戦略・信用がぐらついてきました。
スパーンの短さは最近だけのことではなく対日戦争目的も同じです。
当時の世界史的争点は資本主義対共産主義体制の争いだったのですが、(民主主義か否かの争いはありませんでした)アメリカはこれを対日人種戦争目的で理解して日本を戦争に追い込んで行ったのです。
アメリカは対日戦争開始は民主主義を守る戦いであったと虚偽宣伝していますが、ピカソのゲルニカで知られるように超右翼であり残虐な弾圧を返したスペインのフランコ政権が戦争対象になっていない上に、ソ連や中共が民主主義政権でないのにこれらの応援をしたことからみれば、アメリカの戦争目的はこじつけに過ぎないことは誰の目にも明らかです。
戦争が終わってみればソ連が中東欧を支配下に収めアジアではモンゴルや中国北朝鮮やベトナムなど共産主義化して実質勝者をソ連にしてしまいました。
戦後直ぐの朝鮮戦争を経て漸く共産主義の浸透が問題であると気が付いて米ソ対決に変化しますが、中東で言えばアメリカはイランのパーレビ体制を支持してきましたが、あるとき(カーターのときに)イキナリ人権を言い出してイラン革命を引き起こしたかと思うと(革命政権それまでアメリカがパーレビ体制を支持的たことの怨恨もあって、反アメリカ的である上に暴徒が大使館に乱入したことなどを理由に)革命政権を敵視してここと30年ほど何やかやと理由を付けては封じ込めをしてきましたが、ここに来てIS対策でイランの協力が必要になるとイキナリ制裁解除に動き、アメリカの手先になって来たサウジやイスラエルを怒らせています。
先の読みが悪過ぎると言うか、目先の利害に追われ過ぎる傾向があります。
世界中が日本並みに数百年・千年単位とまでは行かないまでも、長寿社会になってある程度のスパーンでものごとを考える人が増えて来ると20年周期で失敗がはっきりしてその都度敵・標的を取っ替え=それまで利用して来た味方が敵に入れ替わるオセロゲーム的アメリカ戦略の底の浅さが浮かび上がってきました。
過去の忠実な部下が役に立たなくなってもそれまでの功績を大事にする日本社会・・将棋の駒的利用法とオセロゲームしか知らない社会との大きな違いです。
こんな馬鹿げたことばかりを繰り返していても破綻せずに来られた(イキナリ方向を変えては、それまで協力して来た国を切り捨てて「今度はお前を味方にしてやるぞ!」とこれまで敵視していた国味方に入れ替える・・御都合主義でもみんながついて来た)のは、豊富な資源(量)があったに過ぎません。
今後大量消費的資源(鉄鉱石や石炭石油など)の比重が下がると、アメリカ1強時代が終わる可能性があります。
食料品でさえも量で勝負する時代からおいしいトマトや豚肉など品質で勝負する時代に変わりつつあります。

西欧と中国接近の終焉3

中国による目に見えない優遇を受けて漸く存続出来ている(と言うのは言い過ぎとしてもかなり恩恵を受けている)独仏等西欧系の企業群は、今後中国の外貨準備に限界が来てしかも中国企業レベルが独仏企業に追いついて来て競合関係になると韓国企業のように細かな嫌がらせを受けるようになって、一気に惆落するリスクが分って来たようです。
韓国のようになって良いのか!と言う脅かしが利いていて中国の気に入らない発言が出来ない状態になっていたのかも知れませんが,中国による韓国の切り離し以降この脅しが逆に利かなくなって来た印象です。
中国が改革解放直後右も左も分からない時点での日本べったりから手のひら返しの反日、次いで利用価値のなくなった韓国の切り放しとなれば、西欧だって次は自分か?と不安を抱くのが普通の智恵です。
中国のゲンキンな態度には西欧も驚いたでしょうし、大言壮語に(半信半疑で?)期待していたものの、中国の底力の程度を知ってしまった・これ以上中国寄りの姿勢をとるのはメリットが少なく逆にリスクが大き過ぎると西欧諸国も方針を変え始めたように見えます。
ウクライナ問題で孤立していたロシアも中国寄りになっていて韓国同様に軍事パレードに出席しましたが、大言壮語の割に何らの見返りもなかったので、中国離れに動き始めています。
習近平の昨年の英国訪問時の無礼な態度を今更言い立てるイギリスに象徴されるように年末頃から、潮目が変わり、伊勢志摩サミットでは、「海洋秩序を守れ」と言う日米主導のサミット声明発表に肝腎の西欧首脳が反対してくれない・・日米の主張に西欧が同調する事態が生じました。
今回のサミットでは対中国批判宣言がいくつも出てしまった・サミット首脳9人中西欧首脳6人も占めているのに、中国支持の発言を出来なかった事実・・中国の札ビラ外交・・非公式優遇による勢力圏引き止め工作の影響力が落ちて来た証拠です。
独仏等に中国支持の発言をさせなかった安倍総理の価値観外交の勝利かも知れません。
日経新聞5月28日朝刊5pには、「フランス政府当局者はこう言い切る」「南シナ海問題で航行の自由を書くのは良いが中国名指しは困る」日本は欧州の空気を踏まえ首脳宣言で名指ししなかった。」と書いています。
ただし今回のサミット首脳宣言には、海洋秩序とサイバーテロや鉄鋼過剰生産問題など名指しこそないものの内容から見て中国批判が4個もはいっていてもう1つは北朝鮮問題です。
名指しさえしなければ西欧諸国が同意するようになったのは、英国訪問時の習近平の無礼が最近大騒ぎになって来たように、中国の魅力が(資金枯渇)薄れて来た現れでしょうか?
この基本記事はサミット直後の28日に書いておいたものですが、その後更に国際情勢が進展し6月5日にはフランス国防大臣が以下の通り踏み込んだ発言をするようになっています。
産經新聞ニュースからです。
http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050017-n1.html
「フランスのルドリアン国防相は5日、欧州連合(EU)各国に対し、南シナ海の公海に海軍艦艇を派遣し、定期的に航行するよう近く呼び掛ける考えを明らかにした。シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で述べた。」
サミットでは名指し声明に反対していたフランスが僅か1週間後には、EU各国の軍艦まで出すベシと自分から主張する・・推進側になっているのですから、大変な変わりようです。
もしかして伊勢志摩サミットで日本の主張に反対しなかったことで(韓国製電池利用車だけ補助金対象から外したような)すぐさま中国から明からさまな仕返しを受けたので、アタマに来たのかも知れません。
中韓はすぐに仕返しする文化ですし、西欧もすぐに反応するので分りよいレベルです。
国際社会は中国の落ち目を明白に意識し始めた・・伊勢志摩サミットから僅か1週間でこの変わりようです・・「金の切れ目が縁の切れ目」と言うゲンキンな低レベル社会です。
これに対して昨日午前2時頃には尖閣諸島接続水域に、ロシア艦艇数隻がはいったのに乗じて中国のフリゲート艦が侵入したニュースが昨日夕刊に出ています。
今まで軍の払い下げと称して海艦と称する公艦が事実上領海侵犯を繰り返していましたが、現役の海軍艦艇が接続水域に侵入したのは初めてのようです。
軍が領海侵入の前触れとして行動を始めたすれば非常に危険なことですが、ここまで国際的に追い込まれるとこの時点で何かしないと中国のメンツがたたなくなって来たのでこんなことしているのでしょうか?

西欧の長期的衰退3と中国接近5

ちなみにホンハイの買収資金は日本の銀行が出すと言う報道でした。
シャープに貸していた日本の銀行業界が若干の債権放棄して損を出す代わりに残り何割かをホンハイに借り換えてもらった結果です。
シャープ経営危機騒動をもしも放置すれば、大幅赤字→倒産・・その結果は、金融資本家の大損+解雇・・雇用不安が一般的ですが、実際には能力のある技術者を同業他社が虎視眈々と狙っているので給料分働ける人の雇用不安は起きません。
この段階で給料分働いていなかった労働者が再選別されるだけのことで、社会のスクラップ&ビルド・・活性化に資するから整理淘汰は速やかにした方が良いと言うのが私の持論です。
この辺の理は10/19/02(2002年)「会社更生法と日本経済 1(大手ゼネコン倒産の場合)」10/21/02「会社更生法と日本経済3(金融機関の倒産 2)」01/28/09「公的資金投入と自国産業保護1」に書いたことがあります。
シャープを放っておけば、金融界や資本を出した人は損をしたでしょうが、有能な技術者は遠慮なく他社に移籍出来るので、まとまった技術流出がほとんどなかったことになりますので国益としてどちらが良かったかの吟味が必要です。
(相手が友好「国」?である台湾なので国民は問題視していませんが、これが韓国・中国企業が買収に名乗りを上げていたらどう言う反応になっていたかを考えれば・金融資本救済と技術流出のどちらを選択すべきだったかの本質が分ります・・ホンハイはダミーで裏に中国企業がいるのでないかの憶測もあります)
ただし、シャープ買収が決まると日立などで早速7000人とかの大量募集を始めたので、シャープから優秀な技術者の流出が予定されますので、ホンハイは他所に逃げられないクズだけを確保する結果(ただし設備.研究のやり方などシステムをセットで入手出来るメリットは大きいでしょう)になり兼ねません。
ロンドン金融界も原発受注に対して中国企業には融資出来るが、自国企業には融資出来ないと言うことでしょうから同じ構図です。
中国は外貨準備枯渇進行(手元不如意)にも拘らず、世界中での企業買収やイギリスでの原発工事など猛烈な攻勢をかけていますが、買収資金は市場原理に合う限り国際金融市場等で調達出来るので(ユダヤ系を中心とする金融界は国益よりも取引拡大は大歓迎ですし)外貨準備が流出する訳ではない・・懐具合に影響がありません。
政治力発揮のための不採算工事受注=工事代金全額を中国政府が貸し付けたり長期採算保証する場合、国内で不採算鉄道などを無茶に施工してきたのと同じ発想です。
受注金額が相場よりバカ安くても・・新幹線の損失が出ても全部中国が負担する契約、中国が貸す金・・回収不能を見越した援助の場合・貸す額面が減るだけで実質お金の動きが変わりません・・赤字受注企業には別の補助金で補填すれば同じですから鉄鋼製品ダンピング輸出と同じ原理でやっているのですから日本がインフラ輸出競争では勝てません。
ただし赤字受注・・インドネシア,中米・アフリカ等での政治目的の無理な赤字受注は、元々市場で資金調達を予定していない→中国の自己資金を予定しますので国外の場合紙幣をすればいいのではなく、外貨準備の制約があり、外貨準備枯渇進行で自己資金をこれ以上出せなくなっていろんなところで中断しています。
自己資金で政治目的の無茶な受注が出来なくなったので、他人の金利用なのに自己資金による政治思惑投資と同じ影響力維持を狙って・・都合が良過ぎます・・始めたのがAIIB設立です。
自己資金でない以上は、誰が出すの?市場の信認がないと誰も出資しませんので、結局ポシャったままですが・・。
成長途上の先端企業買収の場合、世界市場で資金調達できるので世界先端企業を買収して先端技術がただ(他人の金で)で手に入ります。
どんなに巨額買収資金を掛けてもどうせ他国の金ですから、・・自国外貨準備が損なわれる心配がないし、技術さえ入手してしまえばその後その企業をデフォルトさせても入手した技術を返したり差押さえられる心配がないので中国に取っては技術の取り得です。
ここまではどこが最後に損しようとも金融業者にとっては仕事が増えてうれしいばかりですが、こう言うのって国益・民族益に合っているかの疑問が起きて来たのが最近世界のうねりです。
西欧で民族主義的主張が増えて来たのは、あまりにも最近のグローバル化の動き・・裏で動いている金融資本家の動きによって民族利益が損なわれ過ぎていないかの疑問が基礎ですし、アメリカ大統領選のトランプ旋風や・反ウオール街気分の盛り上がり→パナマ文書公開などグローバル資本の動きに対する反発の原因です。
いずれにせよ中期的に見れば、バブル崩壊を先送りするためにゾンビ企業の債務を無制約に拡大し、債権者を世界に広げて移し替えて行く(AIIBはその嚆矢です)中国の動きはその内行き詰まるでしょうから、誰が中国負債を引き受けて最後のババを引くかの関心になります。

西欧の長期的衰退1と中国接近3

EU離脱に関するマスコミ論評を見るとイギリスが西欧の金融センターとしての機能を失うマイナス中心報道が多いのですが、イギリスが金融に生き残りをかけても、金融では多くの国民を養えませんので、(マスコミ支配しているユダヤ系には関心があるでしょうが・・)EU離脱で雇用に直結する製造業がどうなるかの方が、国民の関心事でしょう。
南欧の競争力のなさ・・貿易赤字ばかりにマスコミの焦点が当たっていますが、EUの大国である英国もフランスも各種の製造業の衰退化現象は大変な状態です。
日本で言えば新日鉄のようなイギリスの象徴的製鉄会社コーラスをインドのタタ製鉄が2007年買収していたのですが、赤字が拡大するばかりで維持出来なくなって売却に入っているが買い手がつかずに困っている状態が大分前に日経新聞に報道されていました。
・・企業城下町にとっては大変な事態です。
大分前なのでいつ読んだかはっきりしませんし引用出来ませんが、ネット検索すると以下の記事が見つかりました。
象徴的産業であるクルマ製造や製鉄の場合大きな新聞記事になりますが、細かな産業の動きは出ません。
以下を見ると西欧諸国では大手基幹産業だけではなく関連産業が徐々に衰退している・・しょっ中後進国から資本を入れて生きながらえて来たことが分ります。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/eu-17.php
インドの鉄鋼大手タタ・スティールがイギリスからの全面撤退を検討していることが明らかになり、衝撃が広がっている。何千人もの従業員の解雇が予想され、イギリスの鉄鋼業界全体が大打撃を受けかねない。
ポート・タルボットの再建断念は、ロザラム、コービー、ショットンなどイギリス各地にあるタタのプラントにも影響を及ぼすだろう。タタが全面撤退すれば、 ざっと1万5000人分の雇用が失われ、工場のあった町の景気も冷え込みかねない。昨秋にはタイの鉄鋼大手サハウィリアがイギリス北東部ティーズサイドの プラントを閉鎖、2200人分の雇用が失われたばかりだ。
フランス製造業の動向はあまり報道されませんが、昨年ルノーの危機?雇用を守るための政府出資に絡んで日産の投資計画にも政府が介入出来るのか?と日本でも大騒ぎになったので記憶している方が多いでしょう・・私もその一人でしたので、「いつだったかな?」と検索してみました。
(元々ルノー危機・・工場閉鎖の動き・雇用を守るために政府資金投入になったと記憶していますが・・今になるとおぼろげな記憶でしかありません)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9581
2015.05.04
フランス政府の持つ、仏自動車大手ルノーの議決権が2倍になった。これにより、ルノーへの仏政府の関与が強化される可能性が高まった。2日付各紙が報じた。
フランスは昨年、「2年以上保有する株主の議決権を2倍にする」法案を通し、株主が拒否しない限り、原則適用されることに決まった。今回、ルノーCEOのカルロス・ゴーン氏は同法に反対する動きを取ったが、仏政府が株を買い増しし、その動きを阻止した。
仏政府はこの議決権を利用して、ルノーがフランスでリストラを行いにくくなるよう、圧力をかけると見られている。
きっかけは、インド企業が買収したフランスの鉄鋼所を2012年に操業停止した際、失業者が仏政府に対策を講じるよう訴えたことだった。
フランスでは2009年から2013年に、1000人以上の従業員を擁する事業所が700カ所以上閉鎖され、新しく作られる事業所の数を越えた。プジョー と中国企業の提携や、ボルドーの葡萄園の購入など、フランスへの中国資本の流入も急激に増える中で、仏政府の警戒心は当然のものとも言える。」

上記のように、西欧は南欧諸国に限らず(ドイツを除けば)どこもいろんな製造業の長期衰退に直面していて雇用を守るのに四苦八苦の状態です。
タマタマ世界企業ルノー関連・・(ルノーが大株主なので)日産の経営にフランス政府の口出しあるのか?と言う点で影響があるから日本に知られるようになっただけです。
ルノー騒ぎがなければこんな細かいニュースは日本に来なかったでしょう。
上記を見るとインドやタイ中国などの西欧への資本進出が盛んなのに驚きます。
元々Euは市場共通化目的=域外との差別=競争から守るために発展したもので、主目的が当時勃興して来た日本からの防衛・ブロック化政策でした。
これが影響していると思われます。

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