アメリカ式移民モデルの破綻4

過去に異民族大量流入によって、うまく行った社会があるでしょうか?
今のギリシャ、イタリア人は古代ギリシャ、ローマ人と関係がないと言われますし、古代エジプトやメソポタミや地方の現在居住者もメソポタミア文明の担い手と関係がないと言われています。
アメリカが、元々自分たちが元の住民を追い出して住み着いた移民である原住のインデイアン社会を壊滅させてしまったから、移民の害を知らない・知りたくないだけです。
アメリカインデアンや中南米の原住民達も、西欧の移民が入った後の方がずっと過酷な生活を強いられている・・西欧から移民が来る前の方が電化製品がなかったとしても心豊かな生活が出来ていたことは確かでしょう。
最初に漂流に近いような形で流れ着いた西欧人に親切に水を与え食糧を与えてやったことが、その後民族根絶やしになるほどの迫害を受ける元になっているのです。
中国も絶え間なく辺境の地・異民族を吸収して言わば権力的に異民族吸収・・同化によって人口を増やして来たから今の民度になっているのです。
アメリカで移民社会・・低レベル化進行の負の資産を何とか見えなくして来たのは、巨大資源や広大な農地、牧場の存在だったでしょう。
世界でモノ不足の時代には、粗放農業による農産物でも世界中が喜んで受入れ感謝しました。
クルマもブリキを組み立てたようないわゆる「アメ車」でもクルマのな足りない世界では(安い方が良いので)有り難く受入れてきました。
アメリカが流れ作業によって未熟連動者でも参加出来る方式を考案して大量生産による大雑把なクルマを安さを武器に大量に作って世界市場を席巻していたのです。
日本の例で言えば、戦後食糧難の時代にアメリカから届いた粉ミルクの学校給食を喜んで飲んだものです。
高校時代にワシントンハイツ(今の代々木公園)にあったアメリカ軍将校のアパートに招かれて行ったときに、ビフテキをごちそうになって多いに感激したものです。
今時アメリカ産の牛ステーキを喜んで食べる人は滅多にいないでしょう。
クルマも日本で作るようになって来ると、粗雑なアメリカ車は全く売れなくなりました。
粗放生産品・・汎用品は後進国で作れる=低賃金化が進み従事者は高度な生活を維持出来ません。
この状態でなお大量生産にこだわって移民を受入れて中国の人件費に負けないと豪語してもどうなるものでもありません。
汎用品・・量で勝負する限り、後進国並みの収益しかありません。
汎用品生産用の人口が増えれば増えるほど実力以上の生活費を補填すべき人数が増えるマイナスが増えるだけです。
アメリカンドリーム・・個人の大成功に社会みんながぶら下がるのは無理があります。
ましてやアップルの例を見ても分るように次々と新製品企画が当たる保障がありません。
アメリカンドリームは自分もそうなれるかも?と言う期待感でみんなが前向きになれる時代精神ですが、汎用品工場やストアーで働き夜はフードスタンプに並ぶのでは精神が屈折します。
民族一体感のない国では成功した方は自分の働きを高率の税でフードスタンプ資金に取られてしまうのは面白くない・・海外逃避したくなりますし、他方で庶民から見ると金融商品の転がし・・トレーダーがぼろ儲けしている場合、どこか胡散臭いイメージ・・制度に問題があるんじゃないかと言う不満が出て来ます。
金融規制強化論が唱えられ、タックスヘイブンが槍玉に挙がるのは、こうした不満の結果です。
日本の場合成功者とは部品を夜も昼もなしに磨きに磨いてナノ単位の精密製品を作り上げるような人(ノーベル賞を受賞した田中氏もそのような一人です)が中心ですから、企業で大事にされてもだれも不満を言いません。
2ヶ月程前まで日経新聞に連載していた京都大学の類人猿の研究生活をしていた松沢氏の連載を見ても「えらいなあ!」「良い人生を送っているな!」と感嘆するばかりで、うらやましいとかの不満を抱く人はいないでしょう。
EPS細胞の中山教授に関しても同じです。
我が国はそのような価値観の国ですから、こう言う人が報われるのは別におかしなことではありません。
成功した本人も皆様の御陰で・・と感謝し、法外な報酬を欲しがらない・・民族全体の利益になれば良いのが普通です。
日本は民族全体のために努力する意識の社会なのに、縁もゆかりもない人が勝手に入って来て(移民)同じ率で分配を要求されるようになると成功者も自分独り占めしたくなるし、努力する気持ちが失せてしまいます。
日本人は日本人のためにみんなで力を合わせて頑張って来た縄文時代からの歴史があります。
今は国際化時代ですから相応の国際負担は必要ですが、これは個人で言えば近所付き合いとして町内会費を払い公共負担するのと同じであって、親しく交際することと他人が自宅にズカズカ入って来るだけではなく更に長期間同居を容認する義務があるかとは別次元です。
日本国内に入って来たばかりの人に何世代も前から環境保護に協力して来た人と同じように分け前を(晩ご飯を一緒に食べる権利)要求されるほどのものではありません。
会社のために努力して収益が上がり、この成果を全社で享受する・・同僚の給与がアップし会社の将来の備えも図れるのは嬉しいですが、その儲けを関係ない人にも平等に払うしかない制度だと努力する意欲がわかなくなり,稼ぐと隠したくなる・・タックスヘイブンが流行する所以です。

アメリカ式移民モデルの破綻3(朝鮮人学校2)

言葉の通じない国へ移住した場合行く先々で何か寄る辺が欲しくなるのは当然です。
たとえばアラブ系の場合、モスクが出来ると危険な印象を持つ人が多いでしょうが、バラバラに放っておいて孤立させて犯罪・テロ組織に入って行くのを放置するよりは、ある程度自分達で教育してくれて如何に日本社会と仲良くやるかの自主的教育をしてくれる組織があった方が合理的です。
それでも100人に一人はグル−プから離れて過激思想にかぶれる人が出るとしても、こう言う組織がなく、移民2世の半分がドロップアウトする人が出るよりは有り難いことです。
自主組織が必要と言う私の意見は、テロかぶれを減らすために必要と言うだけであって、組織さえあれば根絶できるとは思っていません・・。
こう言う基本意見ですから移民を入れることは、朝鮮人どころか2世以降になると社会の安定に極めて危険と言う逆意見で書いています。
朝鮮人学校など民族別組織の存在は、反日の温床にもなれば、その逆に日本社会からのドロップアウト率を下げる効果があり、しかもかなり効率よく(全小中学校にイラン語やフィリッピン語の教師を配置して相談に乗るよりは)成功していると思っていますので、この存在自体を批判するのは間違いであるように思っているだけです。
先の大戦中に朝鮮人の多くは良き皇国臣民として日本人と一緒に戦ったことも良く知られています。
大戦中に反日活動していたと言う記録を知りません。
外国人系としては、日本人と親和するのに成功している民族と言うか、日本人も彼らをうまく包摂して来たと思います。
ここで彼らを根拠なく誹謗中傷して、反日に追い込むのは安全第一の日本社会のために得策ではありません。
現在の嫌韓感情は韓国政府の行為によって触発された在日に対する悪感情に飛び火して敗戦直後の乱暴狼藉が言われますが,日本人の戦前の行為(仮にあったしても)を戦後70年も日本が謝り続ける必要があるか!と言う議論同様に、少なくとも現在の在日の具体的悪行によるものではありません。
在日組織(民団や朝鮮人学校)が反日を煽っているかどうかについて考えると、彼らはもはや韓国へ帰るメリットが皆無ですから、日本社会と対立して何の得もない立場です。
出来るだけ日本人に嫌われないように「こう言う点に気を付けましょう」と日本人より日本人らしく生きるための教養を教える立場であって、朝鮮人学校で積極的に反日を煽っているとは到底思えません。
7月1日にバングラデシュで日本人のテロ被害が起きると、バングラデシュ人が非常に恐縮しているし、異郷に住むものは自分たちに悪感情をもたれないかとその国に対してもの凄く気を使っているのが伝わってきます。
在日も大地震があると民団が率先して支援に動くなど積極的に日本社会への貢献をアッピールすべきでしょうが、日本社会が困っているとき何もしない・拉致事件の手先だったのではないかと言う疑いをもたれているのに、釈明あるいは潔く謝ってしまう度胸がないので黙殺・・開き直り行為が日本人に嫌われているのです。
昨日書いた在日の犯罪率に戻りますと、同じ日本人の犯罪率でも大手企業従業員や公務員になっている人と日雇い人夫や現場系・・風俗系従業員とでは大きな違いがあるように、在日全部と日本人全部とで見れば在日の方が犯罪率が仮に高いとしても大手企業等従事率が極端に低い点を無視出来ません・・。
正確に見るには、職業別あるいは所得階層別犯罪率の高さで比較しないと日本人あるいはフィリッピン,タイ人と比べて在日の犯罪率が有意に高いかどうかは分りません。
慰安婦騒動以来在日に対する批判論が高くなっていますが、韓国政府の反日教育や政治活動に対する不満があってもそれは国際交渉で解決すべきことであって、「居候的立場」の弱い人を苛めているような疑いをもたれるようなことをするのは恥ずかしいし、大人の取るべき態度ではありません。
韓国ともめ事のないときに在日特権の有無・あるとしたらその合理性について、冷静に議論しておくべき純粋国内問題であるべきです。
朝鮮人学校問題も煽られると感情的になり易いでしょうが、上記のように民族別受け皿があってそこで日本社会同化教育をしてくれることは結果的に不良化防止・・日本の公益に役立っているように思います。
日本人がフランスやその他の国に赴任した場合、そこでの生活習慣の勉強会を日本人社会でやってくれれば、助かる筈です。
外国人を砂粒のようにシャッフルしないで、フィリッピン、イラン、パキスタン人会等がある程度まとめて教育してくれた方が効率がいいので、そこにある程度の援助・・土地を貸すのはトクケンとは言えません。
100%税投入・・公立小学校よりも安く済みます。
話題が飛びましたが、ここで言いたいことは在日の応援ではなく、移民は何世代にわたって適応上の不利があって、(在日に限らずフィッリッピン人でもタイ人でも風俗系や現場労働で入って来た場合、数世代にわたって大手企業に就職するための高学歴化するのは困難・・高学歴化しても大手企業は朝鮮人など外国人を簡単に雇用しないのではないでしょうか?)長期にその社会のお荷物になる傾向が高いと言うことです。
お荷物に対するフォロ−は無理がある・コストがかかり過ぎるので手が回らない・・イキオイ過激思想によるテロの温床になり兼ねません・・その例がフランス社会でしょう。
アメリカのように多様な移民が入り乱れている場合、相互理解困難のマイナス・・きめ細かな洞察が出来ず粗雑な文化?が育つでしょうが、数世紀にわたって社会負担がづづくと思われます。
ローマの衰退原因として民族大移動や傭兵に頼ったことなどを学校で習いますが、ゴート族の移動は単なる自然現象ではなく、その前提として日常的に移民に頼る生活・・ローマ市民が自ら手を汚さない安逸な生活で、民族の基礎力が蝕まれていたことが前提です。

欧米と日本の対応6(欧米の移民受入れ3)

移民の推移については以下の記事から引用します。
グラフをそのまま引用し難いので解説文字だけの引用です。
グラフなどご覧になりたい方は如何に直截あたって下さい。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1171.html
「人口動態の推移から、近年、ヨーロッパ先進国で移民流入が増加していると見られる点について図録1172でふれた。先進国全体では図録1171bで見た通り1990年頃を境に増加テンポが早まっている。ここでは、直接各国の移民人口の比率がどのように推移しているかの図録を作成した。」
「図を見れば、いずれの国でも移民人口の比率は上昇傾向にあることがよく分かる。欧米の多くの国で10%以上の高い水準に達していることが分かる(図以外の国を含めて最新年の移民人口比率については図録1170a参照)。」
上記図によれば、イギリスなどでは、移民比率が12〜3%に達していますが、移民して来るのが、男女共に働き盛り若年層が多いので、(元々の国民の場合、人口の過半が小さな子供や老人,家庭内の主婦層ですから)実際に町中で見かける人口比では、2〜3倍以上ですし、その上異民族の場合生活態度や発音から目立ち易い印象になっているでしょうから大変なインパクトです。
日本でも(住宅街で)中国人数人が自転車等で大きな声で話しながら通ると言語からして違うので、実人口比以上に非常に目立ちます。
京都など観光地に行くと(実際には日本人の方が圧倒的に多くとも)中国人ばかりかと間違うほど賑やかです。
欧米の移民受入れ急増時期を年代的に見れば、欧米で進行した少子高齢化進行の緩和目的もあったでしょうが、90年代以降ですから、まさに中国による低賃金競争の影響が出て来た頃と同時期に移民受け入れが急テンポになったことが読み取れます。
若年層を増やして若年労働力が人口比の見かけだけ一時的に増えても、問題解決を先送りしているだけであって、低技能労働者が高齢化し始めると(底辺層は高齢化してからの生活費・・最低の年金掛け金・・貯蓄が不足するのが普通です)増えると社会保障負担が増えてその次の世代が経済的に困窮して行きます。
20世紀に入って以降の欧米の歴史をみると、外部環境の変化に対し日本人のように適応努力しないで、外部環境を整備し直せばいいと言う対応であったように見えます。
テストのカンニングがバレたら、今度バレないように工夫する対応です。
日本では万年以上前の縄文遺跡・文化の延長上に現在日本があり、有史以来古い文物をそのまま大事に修復して継承してきましたが、日本以外の世界文明発祥の地がいずれも荒れ果てた砂漠になっていてその継承者達は今でも環境を破壊し尽くせばゴーストタウンにして移住する習慣で来たのとの違いです。
現在中国も飲料水がのめなくなるとこれを解決するよりは首都移転や長江から水を引っ張って来るなど外部環境整備が計画されています。
日本が台頭すれば日本を叩き潰せば良いし、資源が枯渇すれば資源国を支配すれば良い(イラク戦争など)・・普通の英国人が植民地に行けば多数の現地人を奴隷のように使える状態・・植民地を失えばその代わりに自分が働くようにならず、旧植民地の人民を超低賃金でベビーシッター等として本国に取り込んで使う・植民地支配の内部化です。オリンピックなどで「どうだこんなスポーツ出来ないだろう」と威張っていたら日本が参加して来て負け始めるとルールを変える・・それでも間に合わなくなって来るとアフリカ人などを自国選手に登録して自国の金メダル獲得数を誇る・・移民に働かせる製造業のハシリです。
自分が強いときには「自由競争が良いぞ!と主張しておきながら、戦前日本に負け始めるとイキナリ植民地を利用した経済グロック化したり、ブロック化がイケナイとなるとEUと言う疑似国家的組織を作り、内外格差障壁を人工的に作り人件費競争に負けると低賃金の移民を入れるなどやってきました。
米欧のやり方の共通項として言えることは、自分自身が改善努力をする気持ちがあまりない・・もしかしたら改善する能力がないのを知っているから外部環境を変える方向へ努力して来た歴史と見えます。

欧米と日本の対応3(EU→求心力低下)

トルコが自立したいのは当然ですが、これを表面化した手始めは難民急増に対する取り扱いに関するEUとの対等な(強気)交渉でした。
以下は日経新聞記事です。
http://www.nikkei.com/article/DG 2016/4/4 21:39
「2015年にシリアなどからトルコを経由してギリシャに渡った難民・移民の数は85万人に達する。最大経由地のトルコとEUは、今年3月、トルコが ギリシャに渡った難民・移民の送還に応じる一方、EU各国がトルコ国内の難民キャンプからシリア難民を直接受け入れることで合意した。
送還に応じる見返りに、EUはトルコに対する資金支援を60億ユーロ(約7600億円)に倍増させるほか、トルコ国民がEUに渡航する際の査証(ビザ)免除措置の導入を6月へ前倒しし、トルコのEU加盟交渉も加速させることを決めた。」
大手新聞はなおトルコのEU加盟希望に脈があるかのように書いています・・大手はうっかりしたことを書けないのは仕方がないですが・・、トルコの本音が変わって来たと読むべきでしょう。
ましてイギリスの離脱方向が出た今となっては、無理してEUに入れてもらう必要性が減じたことは確かです。
トルコはクリミヤ戦争で西欧列強の応援を受けて以来西欧列強に従属しっぱなしの屈辱の歴史でしたが、ここに来て正面の敵であるロシアとの関係修復・・ロシアの背後にいて日露戦争で勝ったことのある大国日本との関係強化など、中東の混迷もあって、地域大国としての復活・・独立志向が明白化してきました。
ロシアも国内のトルコ系民族の不服従(勇猛で知られるチェチェンその他中央アジアに広がる少数民族はトルコ系です)に苦しんでいるので、トルコとの修復は望むところです。
この動きに面白くない国々による、歴史的仇敵であるロシアとの仲違いを引き起こす陰謀(・・ロシア軍機の撃墜事件は何故起きたか闇の中でしたが、賢明にも双方感情的にならずにうまく修復してしまいました)だけでなく周辺国からも引き放す陰謀画策が激しくなり、昨年からイキナリトルコ国内でテロが頻発し、エルドアン大統領批判が大きく報道されるようになって来た原因とも言われます。
唆しがあれば直ぐに乗る中韓とは違い・・ロシアもトルコも冷静なので、欧米の陰謀や唆しに簡単に乗らないので、今のところトルコ、ロシアの関係悪化は見られません。
応酬の一致団結による対外政治力発揮効果を見てみると、確かにサミット7カ国首脳会議に西欧から、6人も出席出来るので数の上で有利になっていますが、加入者にとって見るとメリットがあるかと言う視点が必要です。
加入国が27カ国の場合、自国意見は27分の1しか反映しない上に小国は国力比例してもっと発言力が低く・・言わば独仏の官僚主導になってしまいます。
その代わり小国・・生活水準の低い中東欧やバルカン等諸国にとっては、文化度の高い英仏独に自由に出入り出来るメリットは大きなモノがありますので、自分の意見があまりとおらなくとも不満はそれほど大きくはありません。
日本にアジア諸国の人が出稼ぎに来るのは、政治意見を言えず言葉が不自由でもそれ以上のメリットがあるからです。
イギリスにとっては独仏とは対等者間であるのに文化基盤の違う(大陸と海洋民族の大きな生活習慣のが違い・・独仏とポーランドとの違いより大きいでしょう)独仏主導で自国の生活ルールの端々まで口出しされる不愉快と引き換えに独仏と自由に往来出来ることによる生活水準向上メリットは多くありません。
イギリスの発言力は大国なので27分の1ではなく2〜3倍の27分の3あったとしても独仏連合に多数決で負ける点は同じです。
イギリス以外は皆大陸諸国・・大陸的画一的処理方式が海洋国イギリスの生活方式にあわないのに、いつも多数で押しきられてしまう・・この状況にイギリス人の不満がたまっていたと見られます。
イギリス国民投票の結果は、トルコの加盟意欲にも大きな影響を与え・・EUの拡張主義・画一処理が曲がり角に来たことを世界に示した大事件であるからこそEU・・マスコミが焦っているのでしょう。
EUの設立理念が自由貿易促進ならば、・・・「民族の個性を残したまま関税さえ下げて行けば良いのでないか?」と言うのが、イギリス国民の思考方式でしょうから、何故何もかも1つの国になる・・民族移動の自由まで認める必要があるのか?と言う疑問です。
この辺が大陸の観念論・・中央集権的的画一処理優先発想とイギリスの経験論・・必要が生じてから(つぎはぎ的に?)考えて行けば良いという意識・・私たちも海洋民族として共感出来るところです。

フラット化対応3(日本の場合1)

EU離脱論に逸れましたが、所得収支大幅黒字下にある日本のフラット化に戻ります。
世界一潤沢な資金を投じて介護や保育所その他の予算を増やす→市場コストより安く利用出来る人が増える=利用者にとっては10万払うべきところを5〜6万円ですめば4〜5万円余計収入があったのと結果同じです。
日本では、社会保障の充実によって所得修正がおこわなれている外、高額所得率も低い・・ソフトバンク社長と副社長の巨額報酬に驚いた人が多いですが、孫氏自身は在日系と言われていますし・生え抜き日本企業ではトヨタ社長でも社長報酬は大したことがありません。
成功者出現を排除しないどころか期待する格差反対論は、論理の行き着くところ従来からの分配率の修正・・成功者の取り分を減らせ→社会保障強化論の焼き直しだったのでしょうか?
日本ではアメリカの真似をして「格差反対」スロ−ガンでは反応する人が殆どいないので民進党の「保育所落ちた、日本死ね!」の主張に落ち着いたのかも知れません。
日本企業の場合事業成功しても、「国民の皆様の応援の御陰さまで・・」と言う精神・・自分一人の働きではないと言う意識ですから報酬取得も程々にとどめますが、(発光ダイオードの中村氏の訴訟が国民支持を受入れられていない原因・・母校に寄付したりいろいろ修正していますが・・)アメリカでは、国民のための企業ではないので経営者は儲ければ儲けの範囲内でいくら報酬をとろうと儲けた人の勝手と言う意識です。
賃金も国際相場との差額を企業が利益を削ってまで支給する発想・・25日まで書いて来た本来の働き以上に上乗せして(例えば10〜20ポイント上乗せ給与を払う気持ち)がありません。
こう言う社会では移民をドンドン入れて結果的に国内賃金水準低下・・国民総体生活水準低下を図って、企業利益最大を図れば経営者報酬が最大化する仕組みですから、従業員や国民全般の生活水準が下がろうともあまり気になりません・・これに対する不満が昨日まで書いて来たEu離脱論の基礎です。
昨年あたりからアメリカが中国工場と国内工場とでは賃金競争力が変わらないと自慢出来るようになった基礎状況ですが、低賃金を自慢されるようでは国民には溜まりません。
アメリカの場合成功も失敗も自己責任を強調する社会のために、いまだに全国民対象とする日本の国民健康保険制度のようなものを作れない状態・・オバマケアーで揉めていることから分るように基本的に社会保障政策は低調です。
自己責任主義の結果、儲けた方はいくら巨額報酬を得ても良いし企業経営者も国際相場以上の上乗せ賃金支給する動機もない結果、格差拡大が半端でなくなりました。
アップルのように大成功する企業あるいは、金融・資源メジャーで大儲けする企業がなければ、格差も生じない普通の低賃金国・・等しく貧しいのですが、なまじ成功者が出る社会だからこそ格差が気になります。
イギリスの場合世界の資本市場として成功したので却って金融関係者との格差が目について不満が噴き出したと言えます。
※イギリスでも金融取引関係者の多いロンドンでは残留派が多かった所以です。
さすがのアメリカも、格差拡大不満・反ウオール街意識の高まりに危機感を抱いた結果、国際相場に合わせた低賃金化進行による生活水準の急低下を修正するために、フードタンプの配給になっていることになります。
食糧券の配給に深夜12時に並ばせられるのではあまりにも国民が惨めですし、それとなく給与水準を上げて行く日本の優しさに比べて政策的に拙劣です。
ところでフラット化の追求・・従来60の技術者しか出来なかった仕事をロボットの補助等で20点の人でも出来る時代・・結果平等を模索するのは良いことですが、他方で努力する楽しみを持てる社会が必要です。
フラット化・平等化達成に反対するよりは、達成されれば達成された平等化の中で少しでも周囲に差をつける努力や意欲の能力差(制服着用下でもアクセサリーなどちょっとした工夫でオシャレする能力)がその社会での格差反対論の強弱に比例します。
江戸時代に奢侈禁止令が出るとそれで美術・文化が衰退するのではなく、着物の裏地で勝負したり言論の自由がないと落首で挑戦したようにその範囲内での挑戦能力の有無によります。
命じられた以上の仕事をしたら損だと言う意識の民族では、50点の人が25点の努力でできる仕事を与えられると楽出来るのは良いが、収入が減るのが不満でしょうが、日本人の場合、5〜60点の人が25点の仕事を与えられると能力が余るので、余った時間で与えられた仕事の改良などに努力工夫する人が多く出てきます。
身分格差の激しかった古代に於いて、地下人から自己実現努力によって武士団が抜け出て来たし、その内武士自身が信長など見ても分るように高度な文化の担い手になって行く・・・・江戸時代には町人やムラの名主階層まで俳諧等の高度な文化をたしなむ・・江戸時代初期から市民が文化の担い手になっています。
生き方として仕事させられていると考えるか仕事をしたいからしているかの違いですが、捲まず撓まず努力するのがスキでない社会では格差反対論で騒ぐしかないのでしょうが、格差反対論が支持される社会かどうかは、時間が余って工夫する時間が取れて嬉しいと感じる社会か否かの違いです。
日本で欧米の流行を取り入れて「格差反対」と文化人(欧米の真似すれば良いと思っていて日本の実態を知らない人が多いように見えますが・・)が叫んでも同調する人が少ないのはこの違いです。
日本は古代から一握りのエリートの指示に従って盲目的に動く社会ではなく、一人一人の納得で動く社会ボトムアップ社会であることを繰り返し書いてきました。
その前提としてどの分野の人の仕事にも神が宿っている・・便所掃除でも皿洗いでも何でも自分の職分には誇りを持って行なう精神が強固です。
大量生産社会到来後も各分野の仕事をしている人は自分自分の持ち場に愛着を持っていて、流れ作業に身を任せていれば良いと言う怠け者は例外で、同じ流れ作業でもこれを如何に良い物にするかの工夫に精進している人が普通です。
その中から多能工が生まれていて、最近ではその方が効率がいいと言われています。
零細規模の現場系でも20年くらい前ではちょっとした機械(例えば自販機)を数十センチ動かすのに、これは電気工の免許がないと出来ないとか水道の許可業者でないと出来ないとかタイルはタイル工が来ないと出来ないとか、いろんな職人が来て頼んだ方はびっくりする・・巨額請求に対するもめ事がありました。
最近ではこんなことでは客が納得しないので、窓枠のちょっとした交換その他リフォーム工事では、多能工独りで大方こなすのが普通になっているようです。
幕末の外国使節の日記などでも、下働きの女性でも諸外国では一々指示しないと働かないが日本人は指示しないことまで気を利かせてやって来ると驚く記述があります。

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