民主主義の基礎7信頼関係5(people3)

日本では終身雇用どころか子々孫々まで堅く信頼しあった意識(だからこそ自分の命を棄てても子々孫々への名誉を選びますし、命を惜しんで逃亡するようなことはありません)で千年以上もやって来ました。
明治以降列強の植民地化の緊急事態で対外対抗・挙国一致の必要性から緊急事態としてやむなく秩禄処分をしたに過ぎず、アメリカに負けたことによって強力な外敵がいなくなって「最早戦後ではなくなった頃から、)ゆとりが出たので終身雇用の精神が復活できたと見るべきでしょう。
勿論七五三や立派なおせち料理などの行事は庶民に関係がなかったと言えばそのとおりですが、庶民もやってみたかった憧れの行事が庶民も豊かになって広がったのであって、全くなかったことが始まったものではありません。
豊かになってお祭りその他伝統行事があちこちで復活したのを見て、民族意識とは関係がない・・近年の現象に過ぎないと嘲笑しているのに似ています。
アメリカでは雇用流動性が高いと言われているように、企業が効率第一で従業員をいつでも解雇(古く効率の下がった機械を入れ替えるように)できるのは、ピープルが構成員ではなく商品の一種・支配・管理対象でしかないからです。
仮に簡単にレイオフし、経営陣は社員食堂で食べないアメリカ企業が「社員第一」と言う標語を会社の入り口に掲げていてもむなしい響きしかありません。
the peopleと対置する仕組みのgovernment(統治者)が古くなった機械設備や売れ行きの悪くなった商品のようにthe people・人民を低賃金の移民に入れ替える権利・自由がある社会では、・・for the peopleの標語は何だったのかを考え直すしかないでしょう。
民衆・人民の意味実質は支配機構であるガバメントの性質に規定される・・管理対象程度の庶民・大衆・被支配者層と言うべきでしょうか。
peopleの周辺語を見ても、多くは庶民前提の熟語ばかりです・・パブとかポピュラー、パブリックスク−ルとか・・。
その意味では「支配層に入らない人民」共和国と言う名称は言わば矛盾関係ですから、中国やソ連やロシアでも人民には何らの発言力もありません。
例えばクリミヤ半島に居住していたトルコ系住民の抵抗を抑圧するためにソ連政府はまとめてシベリアに移動させたりしていました。
共産主義と言いながら、幹部だけに富みや政府高官に就く地位が集中していたソ連や現中共政権を数日前に紹介しました。
このままでは、移民、難民に比べて割高な既存住民、先住民化しつつある白人は簡単にレイオフされて失業者〜職業訓練を受けてその中から数%だけ再雇用される繰り返し(昨日書いたようになれた職場実務から離れた機械等の操作訓練を受けても元の就労は不可能・・数ランク下の就労しか出来ないのが普通です)・・路上生活者に転落し〜フードスタンプで漸く生活する・・生き甲斐を失って最終的には麻薬やアルコール中毒の多い先住民族・・インデイアンのような境遇になって行くのでしょうか?
時あたかもアメリカでは、精神障害者や麻薬中毒者の広がりが半端ではない・・取締コストに耐えられない州政府では大麻解禁の風潮が広がっています。
この危機感に目覚めた先住民・白人の危機感をトランプ氏が引きつけたと思われます。
選挙戦中にフリージャーナリスト?の「意外にヒスパニック系などでトランプ氏を支持している人が多い」と言う現場報告がありました。
陳腐な表現ですが、出身民族を問わず大小いろんな段階・分野で既得権の侵蝕に怯えている人がトランプ氏を支持していたのです。
最近の動きは、ナポレオン戦争で戦争するために上から与えられた「民族意識」ではなく、自発的民族意識・・・居住民を大切して欲しい意識が芽生えて来た・あるいは人民が漸く日本国民のようにホンの少し強くなって来たと言うべきでしょうか?
一見アメリカが建国五数百年を経たので、遂に先着移民と後着移民の利害対立が起きて来ただけとも見られますが、西欧では千年単位で居住していたのに居住者の権利が皆無・・エンクロージャームーブメントで追い出されてしまうほど弱かった点を見ると、アメリカでピープルの居住期間が長くなっただけの要因ではないと見るべきです。
ドイツやフランスでも同じような運動が起きたのを見れば、居住期間の長短ではなく、ギリシャローマの昔から(市民権を持つ支配層だけの民主主義でした)支配の対象でしかなかったpeopleの主体性意識の覚醒によるのではないでしょうか?
我田引水で笑われるかも知れませんが、日本で同胞を愛し合う文化がアニメその他で世界に浸透して来た・目の前にはその文化を体現した日系自動車・電気・繊維工場その他いろんな工場が一杯アメリカに出来ていて従業員と一緒に食事し仲間意識を育んで行く・・従業員を大切にする風土が広がっています・・。
この影響がじわじわとり広がって来たことにあると思われます。
トルコのエルドアンやフィッリッピンのドウテルテやロシアプーチン・・世界の異端児がこぞって日本を愛している点も共通です・安倍氏の力もありますが、背景心情が重要です。
「アメリカ第一」その他の最近の民族主義は西欧で戦争に駆り出すために支配者が作り出した好戦的意味ではなく、日本的な郷土愛・・一緒にいる人を大切にしようと言う真っ当な意味です。
中韓の場合にはまだその段階に至らない19世紀型民族主義・・外敵を作って不満を支配者に向けないようにするための民族主義ですから本質が違っています。
アメリカやオーストラリアでは先住民を可愛そうと言う「上から目線」の憐憫意見や運動はありますが、インデイアン等の先住民を代表する政党がない・・白人が追われる立ち場になってみると・・低賃金移民に追われる白人が可哀相と言う政党がないのが現状です。
何回も書きますが、米国大統領選で戦ったトランプもヒラリーも資本代表・・成功者同士の競争です。
せいぜい経営者として労働者が病気せずに働けるようにどの程度医療や福祉を与えるべきかと言う上から目線のサービス競争でしありません。
福祉を受ける立場に追い込まれる立場・・彼らを代弁する政党がないのが可哀相です。
アメリカインデアンに対するひど過ぎる仕打ち・・これが人間の出来ることか・・この世に神も仏もないのかと嘆きたくなる人が多かったと思いますが、遂に白人自身がその立場・・追われる時代が来たと実感する人が多いでしょう。
多数支配=強者支配の原理では、弱者や少数者を代表する政党が政府を握ることはあり得ない・・政府を握った方が党利党略でやりたいようにやれる政府・・せいぜい憐憫の情で先住民を稀少生物のように保護する程度です。
日本のように総合的に意見を吸収して「人間としてやって良いことと悪いことが別にある」と言う政治を行う日本型政府こそが数千年単位で進んだ社会組織です。
親や子が病気すれば精一杯協力するのみであって、そこに功利的精神が先に起きることはありません。
日本の場合日本人のための政府・企業ですから,金儲けのために日本人を羊や移民に入れ替えるなど思いつきません・・。
国際環境が変われば、日本人が日本人のママで新たな環境でやって行けるように必死になって適応出来するように工夫するのみです。
低賃金移民に追われる一方になったアメリカの中間層が、住み良い日本に来て働く場を求める時代が来るかも知れません。
日本には食べ物も人材でも・・工芸品も良い物だけが集まる・・よりよい社会になるでしょうし、アメリカには低賃金でも働きたい・・安物の方が良いと言うクズ?ばかりが集まり、人材が入れ替わって行くのかも知れません。

民主主義の基礎4・信頼関係3(governmentとは?1)

アメリカの場合人種のルツボであって民族主義の情緒に訴えられないので、for the people「人民のための政府」という秀逸レトリックが生まれたのですが、こうなると政府・人民とは何かが気になります。
国民を対外戦争に動員するためには人民による、人民のための政府擬制が必要なので、政府実在を強調するしかないでしょう。
政府・governmentとは何かですが、直訳すれば統治(者)ですから、これを日本の「政府」と翻訳するのは誤訳ではないでしょうか?
governmentの内容実質は、統治する機関・支配者でしかないのでしょうし、the people・ピープルは構成員?ではなく支配・管理対象でしかない、日本で言うところの国民ではなく「烏合の衆であるpeople」民衆がその対象になっています。
governmentに関するギリシャのプラトンから始まって、現在のガバナンス論まで有益な講演・質疑録が以下に載っていますので、関心のある方は参照して下さい。
専門家同士の長いやり取りがあって、これを私が勝手にまとめても間違いがあっても困りますが、運良く?まとめがありましたので、その部分だけ引用しておきます。
http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/gov/research/dp_uno.pdf
DiscussionPaperSeries
全所的プロジェクト研究 ガバナンスを問い直す 政治思想史の観点から
東京大学社会科学研究所
InstituteofSocialScienceUniversityofTo k y o
宇野 重規(東京大学社会科学研究所)
2012年11月
「とりあえずのまとめ
(フーコーが正しいとすれば)本来は私的な財産や従属的立場にある人々を管理す
ることを意味した「統治」が、君主が自らの私的財産である領土と人民を管理する
という趣旨から、近代国家による行政、さらには公的秩序の維持一般を指す用法へ
と拡大した。と同時に、以前はさまざまな主体の実践に用いられていたのが、もっ
ぱら国家に関してのみ使われるようになった。」
欧米思想史では、日本の政府とは違い、governmentは統治、支配機関のあり方論でしかない以上は、ガバメントの特性は支配階層・・・共和党統治などで表現するしかありません。
日本の「政府」はマツリゴトをする府であり、集団員を超越したリーダーや支配者・管理者を予定していません。
古代の卑弥呼その他日本列島でのマツリゴトの本質は「憑依」に頼る点で一見非合理ですが、集団構成員の言葉にならない本音・・集団の総意を体感する儀式だったと見るべきでしょう。
「総意」については日本国憲法で書いている「総意」をどのようにして知ることが出来るかと言う関心で大分前書いたことがあります。
憲法
第一条  天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
大方の納得する総意・落としどころはその場の雰囲気?を読む能力が必要です。
多数意見であっても反対派もいるので総意ではありません・・。
多数意見で押し通すのでは、落ち着かないのである程度反対論者も納得する妥協的現実論は、選挙では知ることが出来ません。
最後まで妥協せずに(不利な判決が出れば不当判決と非難するなど)最後までいがみ合っている社会では民主主義社会は成立しませんので、本当の明主義社会が成立するには、高度な民度が必須です。
どうやって総意を探るかの智恵。民度ですが、口論の末につかみ合いの喧嘩をしているのでは社会の融和が保てないので、我が国古代には憑依に頼って、これに従うルールが出来たのです。
巫女に頼る古代社会は、現在でも冷静な話し合い解決能力がなく際限ない争いをする後進国よりも社会運営方法としては、はるかに進んだ制度です。
喩えば、スポーツ競技で0、何秒まで測定出来る時代と違い目測のときには、測定出来ないときに、判定不能な場合には勝敗をクジやじゃんけんで決めていたのと同じです。今でも相撲やスポーツでは行事や審判の判定は絶対と言う決まりがあります。
測定器あるいはDNAなどの発達によって厳密判定可能化が進んでいますが、政治意見の優劣はいくら議論しても決まらないのが普通ですから、(現在の支配的方法である多数意見だからといって正しいとはかぎりません・・クジで決めると予め決めたのと同様の一種の取り決めです)最後はクジやトランプで決めるのは意外に合理的です。
これと同じことを古代から考え出して内輪もめをやめたのですから、今でも適当なところで論争を終わりにする知恵がなく、内部紛争に明け暮れる社会に比べれば、かなり進んだ制度です。
測定機器発達同様にこれが次第に合理化されて(冷静・論理的な議論が出来るようになって)、朝廷や幕閣での合議制や村落での寄り合いによる民意集約方式に発展したものと見るべきです。
日本では組織と言えば村落集合体が基礎ですが、構成員である自分自身の意思が無下に否定されることがない融和的解決が多い社会の運営は参加人の意思をソンタクした「政(まつりごと)」であり、誰か強い人の意見で統治される対象ではなくみんなの総意、共同作業であることは古代から今も変わっていません。
日本の集団には支配・被支配という2項対立意識はありません。
ちなみに政治の「治」とは、治山治水の治であって、上から命令・支配出来るものではなく、自分より超越的な自然界に「御治め下さい」と受納して頂くものです。
結局は集団総意をルールに従って憑依して(お上の声を)聞き、これを実行しましたので嘉(よみ)して下さいと言うに過ぎないのが我が国の政治です。
「国民」と言う漢字がありますが、これは明治政府が無理に西欧流近代国家概念に当てはめただけであって、元はと言えば「くに」の民です。
「くに」とは何かと言えば、今でもクニ(郷土)に帰るとか邦人と言うように「くにを同じくするひと」「はらから」としてあい助け合う同胞を表す意味です。
郷土を同じくし、何世代にわたって維持して来た相助け合う同胞を国民と漢字表記しているのですから、支配の対象でしかなく共に助け合う存在ではない・砂粒の人達?であるpeopleをクニの民ではない「人民」と翻訳したのは誠に的を射た翻訳と言うべきです。
日本人をも欧米並みに「人民」と定義すれば、社共・文化人勢力のスキな「搾取」される被害者像がフィットする関係になります・・実際彼らは国民と言う言葉より「人民」と言う言葉が好きです。
アメリカの人たちは日本の国民に昇格していない・・工場の機械や工具・牛馬や原材料同様の支配利用の対象。商品でしかないが、タマタマ牛馬ではない「ひと科」に属すると言う意味で「人民」と言うのですが、その状態で今まで来たことになります。
フランス革命後の民主主義と言ってもgouvernement・government・統治機関を構成する支配層間のヘゲモニー争いをpeopleの選挙で決めるようになっただけのことであって、ガバメントは人民の支配(者)機構である点は変わりません。

民主主義の基礎4・信頼関係2

ここまでは今回の選挙報道が、不正確過ぎたと言うだけのことですが、その前提として与野党共に、国民に優しくなかった点が重要です。
そこには民族の一体感がない・・アメリカ居住者は、メリット計算で住んでいるに過ぎない・・お互い利益共同体・ゲゼルシャフト・・利益の合う限度で付き合うゲンキンな関係が政府と国民の関係にもある状態が表面化したことです。
国民を守るために政府があるのではなく、企業・資本家の搾取対象としてみていたことになります。
アメリカの政策は、日本のように国民に優しくない・・同胞意識で運営されていません・・。
日本企業は従業員を食わせるのが第1目標ですからこれがマスコミで批判されていますが、世界の企業は資本家利益最大化が目的です。
利益が1億円で1000人雇っている企業と、利益10億円で10人しか雇っていない企業のどちらが社会貢献しているかと言う考え方の違いです。
そして日本外の国家.政府は、資本家支配ですから旧ソ連と共産中国北朝鮮を除いて企業の最大利益を保障することが最重要です。
その結果法人税減税競争になりますし、企業評価では株主還元率・ROEなどの基準が幅を利かします。
この結果アメリカでは、超高額所得者以外の中高額所得者をドンドン転落するに任せて、セーフテーネット・・概ねフードスタンプ受給者にして行こうとする既存政治家(民主も共和党も同じです)等の基本的コンセプトになっていたように思えます。
低賃金競争に入った2002〜3年以降民主共和両党がこの方向で一致していた結果、貧困者が増える一方・・社会保障に強い民主党が次第に共和党の地盤を崩して強くなって来た理由が分ります。
日本以外の国々・・資本家の支配する欧米はこぞって中国発の低賃金競争に負けないように移民導入策を採用して来ましたが、日本の場合歯を食いしばって産業構造高度化に励んで来ました。
日本は、自国民第一ですから、資源不足・石油ショックには省エネで,公害には公害防除工夫で、低賃金競争にはロボット化で、レアアース禁輸には、レアアースを使わない電池等の開発で・・それぞれ難局を切り開いて来ました。
繰り返す地震には耐震技術の開発で対応し、当面人智で対応出来ないと思われる大津波に対しても殆どの人がその土地から逃げようとせず黙々と復興に励みます。
原発が危険と分っても直ぐに廃棄するのではなく、何とかする方策がないかの知恵を絞るのが我が国精神です。
何か不都合があると何とかしようとしないで、ゴーストタウンにして逃げて行き、古くなったビルを爆破してスクラップ&ビルドして行くアメリカ社会とは心構えが違っています。
法隆寺その他古くなれば部材を入れ替えながら維持し続けて千年以上木造建築物を残し、最近で言えば何百万人も日々利用しながら徐々に内容を入れ替えて爆撃にあった東京駅を復元しています。
高齢化すれば若年移民を入れるのではなく、高齢者も活躍できる社会を目指します。
日本にもアメリカ的思考を信奉して、安直に外国人労働力を入れようとする勢力が一定数いますが、(民族特性・・何事も比率の問題であって皆無とは言っていません)これをやると低賃金競争を国内に持ち込むことになって、(高賃金でも中国にまけないように努力するインセンチブが失われるマイナスがあり)分裂社会になって行きます。
日本でも欧米同様の主張が成り立つと誤解しているのが、欧米かぶれ(と言うよりはニッポン民族内にも一定数いる利己主義者が欧米価値観の応援を受けて遠慮なく出て来ただけでしょう)の野党民進党や社共勢力です。
マスコミや民主党などの野党が、頻りに(戦後は資本家による搾取を煽り)ここ10年あまり格差反対を煽って来たのですが、日本の場合戦後の食うや食わずのときでさえも助け合い社会ですから、アメリカの現状をそのまま日本で主張しても殆どの人がピンと来ていないでしょう。
整理解雇も日本の場合最後の最後の決断・・戦国時代で言えば、落城直前まで行かないとそう言うことはしません・・儲かっているのに企業利潤をもっと上げるための欧米流の解雇など想像も出来ません。
今回のトランプ氏の勝利は、外国のコトで内情不明・・(まちがった?)想像するしかありませんが、国民を利用するだけ・・低賃金移民を入れて高賃金労働者と入れ替えて行けば良いと言う長期的トレンド・・民主共和両党既存政治家に対する中間層の反乱が今回のトランプ氏当選結果と見るべきです。
国家・政府は国民のためにあるのか、企業利益・資本利益最大化のためにあるか?と言う根本が今度の選挙で問われたと見るべきです。
ゲテイスバーグ演説で有名なところですが、government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth
アメリカ人の好きなリンカーンの言うところの「人民のための政府」の精神が地上=アメリカの大地から滅びてしまった・perish from the earthのでしょうか?
ナポレオンが戦うために民族意識を鼓舞したようにリンカーンの演説も南北戦争に際して「国家・政府を愛しましょう」と鼓舞しただけです。
元々政府には国民を愛する精神土壌がなかったから、アメリカ民衆は「for the people」を初めて聞いて感激しただけであって、未だに実現していなかったのではないでしょうか?
トランプ氏が選挙戦で言ったスローガン・公約がそのまま実現出来る訳がないのと同じです。
国家・・専制君主や宗教の聖者・・支配者を敬い大事にする精神は世界中どこでも古代から教育されています。
人民が何故政府・governmentのために戦う必要があるかの動機付けとしてリンカンは「人民のための・・」と付け加えただけです。
近代以降の政府に対する欧米価値観は、王家に対する忠誠心強要が資本家あるいは共産主義者の支配する政府に対する忠誠心に入れ替わっただけです。
欧米の愛国心・民族感情は日本のように元々の同胞意識から自然に出て来る発露ではなく、ナポレオンが戦意高揚のために上から煽ったに過ぎないので、民族主義者=好戦的・偏狭なナショナリストと言う評価になります。
欧米では政府・支配者を大事にする・・これが欧米的愛国心で、(しょっ中「アメリカは偉大」とか国旗の下に集まる戦闘的愛国心・・政府間の競争・・戦うために民衆を戦争に駆り出す愛国心です・・。
アメリカの場合は「人種のルツボ・合衆国」であって「アメリカ民族」を観念出来ませんから、「民族主義擬制」すらも出来なかった・・純粋「政府(支配者)のための愛国心,政府派を鼓舞するしかありません。
日本の愛国心は、同胞を愛し助け合う気持ち・・郷土愛から外敵侵入・郷土を破壊する天災に協同して立ち向かう愛国心であって特定の支配者の利益を守るためのモノではありませんから成り立ちが違っています。
日本人が普通に出て来る「国を愛しています」と言う言葉が欧米では、危険人物と受け取られてしまうリスクがあるのはこうした歴史の違いです。
欧州の民族主義・・これを真似る諸外国の民族主義は、自然発生的に生まれたものではなく、戦争に参加させるために政府の都合で煽って育て上げただけですから、いつでも内政の不都合を誤摩化すために外敵を作り出して民族意識を煽る・・政府に利用される性質を持っています。
諸外国では、政府(支配者)の都合によって民族意識を利用しているだけですから、自民族よりも移民の方が都合良ければドイツ・フランスのようにドンドン移民に入れ替えて行くコトをためらいません。

民主主義の基礎3・情報の正確性1

今回のアメリカ大統領選の事前報道でも同じですが、日本に伝わるマスコミ報道を前提に判断していると本当のアメリカ人の心・・民意を読み間違えます。
韓国がマスコミに出ない日本人の気持ちを読み間違えて取り返しのつかない大失策をしてしまったのと同じで、日本もマスコミ報道に頼ると痛い目にあいます。
マスコミ報道では、安倍総理とクリントン氏との選挙期間中の会談ばかり取り上げていましたが、幸い安倍政権は水面下でトランプ氏にも面会要望を事前に出していてトランプ氏の都合で会えなかっただけだったたらしく、(むしろ貸しがあった結果?)世界で真っ先にトランプ氏との会談予定が入ったと報道されています。
安倍政権は外務省ルートだけに頼らずに独自情報収集に努力していたと言われます。
1両日の株式や円相場の乱高下を見ると、日本のマスコミの予想どおりトランプ氏当選の場合の株式の「売り」「円買い」を仕掛けていた大方のプロ?はみんな大損害を出したようです。
トランプ氏に対する否定評価のマスコミに従って、トランプ氏当選結果で想定どおり即時の売り仕掛けで東証日経平均株価は約1000円も下がり円も急騰しましたが、日本市場終了後に始まったアメリカ市場では逆の動きでしたので、(・・トランプ氏の穏健な発言があったようですが、選挙前からある程度こう言う事態は読み込まれていた筈です・・アメリカのトレーダー・プロはマスコミに踊らされずに冷静に実態を読んでいたことになります)その翌日の日本市場ではあわてて買いに戻り1000円以上値上がりで往復2000円の読み間違いとなって大損の結果に終わったようです。
(それ程の損がないようですが、解説によるとプロは売るときは買い予約を入れ、買うときは売り予約を入れるのが普通ですので、その読み違いで2倍の損になるようです)大損らしいです。
トレーダーが恥をかき、大損をした程度では金銭次元に留まるので、慰安婦騒動で韓国が日本マスコミを信用し過ぎて日本人の奥底の心理を読み間違って受けたダメージほどの大損害ではないにしても、経済界も世界から直接データを仕入れる・・日本マスコミ報道に頼る姿勢を改める必要を感じたでしょう。
大手マスコミの偏向を日頃主張している人を含めた政治経済系評論家も藤井厳喜氏を除いて殆どの人がクリントン有利を前提に、しかもトランプ氏が当選すれば世界経済が大変なことになると言う前提の議論するしかなかった弊害をどうすべきかが重要です。
金融の場合、その日のうちに株式・為替相場に結果が出ますので、成果が分りよくて良いです。
政治の読み間違いの損失は複合的にじんわりと出て来ますので、マスコミが誤った報道をし、評論家がそれを前提に議論を重ねる弊害は大きなモノがあります。
第一次世界大戦後じんわり日本包囲網が始まった世界政治の動きをどう読み解くか・希望的観測と違った結果を見て「欧州情勢は複雑怪奇」と言うしかなかった日本の世界情勢把握力によって日本が戦争に引きずり込まれた教訓を学ぶべきです。
慰安婦騒動での朝日新聞の検証でも「角度付けが過ぎる」と言う批判があったことを紹介しましたが、今回のアメリカ大統領選挙報道では、(これを反省せずに)大手マスコミは客観事実報道をしないで、アメリカの支配的マスコミの偏見(国際秩序や社会のあり方がこうあるべきと言う1つの意見)をそのまま転送するような「事実?」報道をしていたことが今回もよく分りました。
11月13日あたりからトランプ氏の支持者には中高所得層に多いと言う報道がされるようになりましたが、選挙前は移民に職を奪われる白人負け組貧困層が非合理な不満を言っているだけと言う印象的報道ばかりでした。
事前報道では、双方共に低レベル主張ばかりでアメリカ国民の多くがこんなことで満足しているのか?何故支持するようになったか・・聞いていると余程アメリカ人レベルが最低の印象を受けますが、プロたる日本の政治評論家としてはそんな漫画っぽいことが本当にあるのかと言う疑問を持つべきだったでしょう。
我々事件処理でも相手弁護士の主張があまりにもレベルが低いように見える場合・・こちらの方でスジの読み違いがないか・・何か隠し球を持っていないか最悪事態を想定して検討するのが普通です。
これだけ接戦になるにはマスコミ報道にない合理的な主張が隠れていないかという疑問を持った人がいなかったのが不思議です。
選挙前に中間層がトランプ氏を支持していると言う分析報道を、どこのメデイアもあるいは政治評論家も何故一切しなかったのか・・現場報告に読み違いがないかの疑問を言う意見がなかったことの疑問です。
今頃になって、中高所得層が支持していたと報道するのでは、アメリカ支配的メデイアが選挙前に如何にも「トランプ氏を支持するのはみっともない」と言う印象操作をして選挙を特定方向へ誘導しようとしていたのを、みんなで鵜呑みにしていただけではないか?疑問を抱くのが普通でしょう。
日本が敗戦してから、ルーズベルトがコミンテルンに侵蝕されていたと解説してもトキ既に遅しです。
民主党のバラマキ政策が嫌われていると言う噂を私も個人的に聞いていましたが、肝腎の政策論争がマスコミでは報道されず(パラパラとこんな非常識なことを言っていると言う程度のマイナス評価に結びつく情報が出て来ますが・・)個人的中傷合戦ばかり大きく報道されていました。
政策面でヒラリー氏あるいは既成政党全部が批判対象になっていたので、これの論争になるのを避けるためにマスコミとの合作で低レベル中傷合戦に持ち込んでいた疑いがあります。
中高所得層の不満と言う報道を前提に私なりに考えると客観事実とかなり符合して来ます。
すなわちヒラリー氏・・何とか財団が金融街から巨額資金を得ていることから分るように、国際資本・グローバリストを富ませると共にバラマキ強調で貧困層への手当増額する政策です。
如何にも格差救済・・人権重視政党のようですが実質は逆でしょう。
民主党は人道・人権がどうのとキレイごとを言って移民をドンドン入れる→未熟練労働者=(中国に対抗するために)低賃金労働者を増やして行けば低賃金で食えない階層.民主党支持者が増えます。
その代わりフードスタンプ支給基準緩和や増額・・医療費免除〜保健制度完備(オバマケア)など社会保障政策を人権派として約束する・・一種のマッチポンプ政党です。
その財源としては、巨額献金を受けている法人税や資本所得税を上げないで逆に下げる→中高所得者の累進課税のカーブを引き上げ保険料負担増などで補充する政策です。
中国対抗のために2000年代に入って、共和党含めて民主党政権(既存政党が)がやって来たことは、移民受け入れ.低賃金化政策→中高所得者=サラリーマンに対する累進課税の強化=中間層に不利益で、貧困層と累進制が打ち止めになっている超高収入層にとって利益のある政策でした。
累進課税制度は中高所得者に不利に働くことを2003年に書いたことがあります。
累進課税制度は身を粉にして働く人はいくらうまく行っても長島のような人で1〜2億で、サラリーマンでは役員クラスまで言っても数千万円で打ち止めですが、資本所得はその何十〜何百倍も儲けられるが、累進制が課税対象が身体が資本と言う人の最高年収・3000万前後で終わってしまう仕組みがおかしいと言うことです。
サラリーマンが頑張って役員クラスになっても打ち止めになる3000万円が累進税率の最高所得でそれ以上になると税率が上がらない仕組み・・当時の税制・・では才能のある努力するサラリーマンには不利で、資本所得者には有利になること・食べる時間も惜しんで働いたり努力した人に報いるために逆に3000万までは累進税を課さないで、1億以上・・資本所得者に累進課税すべきだと01/18/03「55年体制7(税制2)で書いたことがあります。
トランプ氏支持層必死に働いて一応成功しているサラリーマン層の不満が爆発・・怒り(高学歴で企業内である程度成功していても勤務先の倒産その他で・・直ぐにも路上生活に転落する弱い立場)が(私の推測では)トランプ旋風の基礎らしいです。
日経新聞13日朝刊1面の記事は以下のとおりです。
「2008年リーマンショック以降の回復局面で収入が増えたのは2割でそれ以外は増えていない・・上位1%が全米所得の2割を独占している。
格差は第二次世界大戦前に逆戻りした。
年収20万ドル以上の所得者はクリントン氏よりもトランプ氏に票を投じた」
我が国で言えば、格差拡大反対を唱える野党系が賃金引き上げに熱心ではなく(・・累進カーブ強化に熱心・・労働者仲間同士の妬みを刺激するレベルの低い政党です)安倍政権が賃金引き揚げの音頭を取るようになって久しい・一見逆の関係が起きている原因がこれで分かります。
働く人を増やし、あるいは既存労働者の月収を2〜3万増やす政策は、生活保護費引き揚げや児童手当増額などの運動よりも健全ですが、それでは弱者の味方・・野党の主張が霞んでしまうから面白くないから(人道の立場から?)生活保護基準が低過ぎる、児童手当を上げろとかの主張ばかりです。
失業者が月15万〜20万でも働くようになると、正規雇用を総合した一人あたり全国平均賃金が下がりますが、個々人は生活保護を貰っているよりはその方が幸福ですし、児童手当などを5000円増やしてくれるよりも出勤日数が増え月収が数万増える方が良いでしょう。
働く人が増えると、生活保護支給基準を上げろとか児童手当を増やせと言う野党の出番が減るので、野党とマスコミは安倍政権の賃金アップ努力を冷ややかに見ていました。
アベノミクスでは実質賃金が下がっていると言うキャンペインを張っていましたが、(好景気が来て失業者が20万前後で働き始めパートに出る人が増えれば平均賃金が下がるのは当然です)このコラムで何回も批判を書いている内に最近その主張はマスコミに出なくなりました。
重要なのは平均賃金の上下ではなく、労働者の総収入が増えたか減ったかです。
アメリカ民主党や共和党・・従来政治家は労働者の総収入を減らしてフードスタンプ受給基準を緩和し、(アメリカでは、フードスタンプ利用の買い物客で賑わうウオールマートの従業員の多くがフードスタンプ受給者であると言う報道を見たことがあります)社会保障を引き上げる・・比喩的に言えば総賃金支給を減らして(企業利益は高まります)国民を困らせておいて、その半分ほど還元して社会保障を増やしましょうと言うことですから、国民が怒るのです。
フードスタンプを貰う権利より、自分の働いた賃金で生活したい人の方が多いでしょう。
国民は社会保障費の増額よりは労働収入を増やして欲しいのです。
アメリカでの格差反対論は中高所得者との格差ではなく超高額所得者との格差不満を言っているのに、(上記新聞記事にある上位1%とは数千万程度の所得者ではありません)中高所得に対する課税強化で誤摩化すから中高所得者が怒っている図式が分りました。

司法権の限界15・謙抑性3

法は元々国民主権思想=国民の代表である国会が作るものであって、司法が法を作ることは憲法では予定されていません。
司法の限界・自制の必要性に対する関心で16年3月11日以降このシリーズを書いてきましたが、タマタマ日経新聞3月20日朝刊2pに「縮む政治と膨らむ司法」の大きな囲み記事で重要事項が全て国会ではなく、(選挙制度や沖縄普天間基地訴訟や家族のあり方等々)司法が最終的に決めて行く社会になっていると言うテーマの記事が出ました。
(この辺・・ここから先は3月に書いていた原稿が先送りになっていた分が、今・・8ヶ月遅れになっているので、引用新聞記事が古くなっています)
マスコミは司法に対する批判は控えめですから結論を書いていませんが、司法に対する賞讃記事と言うよりは、最近司法がのさばり過ぎていないか?と言う私と同様の関心が背景にあるように思われます。
マスコミも私にとって批判対象ばかりではなく、意外に評価出来る意見もあります。
有明海の干拓事業も本来政治で決めるべきことを司法権が無自覚に介入して来たことによって、これを利用する勢力の思惑によって、司法判断が区々に分かれてしまい、矛盾関係になって収拾のつかない状態になっています。
司法は当事者が上告しない限り独自に最高裁で統一意見を出せません・・政治勢力の思惑によって、有利な判決を悪用しようと思えば、民主党政権時代の菅元総理のように上告させなければ高裁で確定させてしまえます。
司法と言うのは誰かが訴え出ない限り自分から進んで(職権で)裁けない仕組みですから、いつでも最高裁で統一見解を出せる訳ではありません。
民事では、関係者がいくら困っていても当事者からの申し立てがない限り裁判所が進んで裁判に出来ない仕組みです(民訴246条)し、刑事件でさえも検察官からの公訴提起がない限り裁判所が勝手に裁判(刑訴378条1項3号)出来ません。
同じく高裁も最高裁も当事者から不服申し立てがない限り裁判が始まりません。
民事訴訟法
(判決事項)
第二百四十六条  裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。
刑事訴訟法
第三百七十八条  左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一  不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二  不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三  審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四  判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
たまたま諫早訴訟が矛盾関係で確定してしまったのは、直接的には当事者である政治家(菅政権)の介入で変なところで敢えて確定させてしまったことによるもので、司法に責任がないと言うスタンスですが、ソモソモ、政治問題に司法が乗っかって行くことが間違いだったように私は考えています。
・・裁判所は政治論争の場ではないとして、政治論を相手にしないスタンスで望むべきだったのです。
訴えさえあれば何でも口出しをするのではなく、砂川事件判決のようにこれは「政治の領分に司法は関知しない」と、謙抑性を発揮すべきだったのでないかの反省が必要です。
司法が出しゃばり過ぎていないかの意見を上記新聞記事には書いてはいませんが、マスコミがここまで書くようになったことを司法関係者にとっては心すべき段階に来ています。
介護責任・・家族に鉄道事故の損害賠償義務があると言う名古屋高裁の判断も社会の実態から見ておかしなものでしたが、仮処分ではなかったので、すぐに効力が出ずに最後に最高裁で覆ったので実害がありませんでしたが、ここでは特に仮処分の即時効発生の実害を書いています。
もしも介護責任の裁判も仮処分申請していて認められていれば、即時に効果が出てしまっていたことになりますが、この事件の場合にはまだ金銭支払だけのことですので最後に負ければ鉄道会社には支払能力があるので実害はなかったでしょう。
原発の場合、4年も5年も停止させておいて最後に負けたときに住民側にはその巨額損害賠償能力がないことは明らかです。
こう言う重大な結果の出る事柄について・・算数のように百人いれば百人の意見の一致している自明のことではなく国論の分裂していることについて、仮処分で執行してしまうことに対する間違いの恐れがないと言う自信が何故あるかの疑問です。
話題が変わりますが、隣人訴訟の三重地裁、原発仮処分の出た大津地裁、福井地裁など小規模裁判所では、非常識な裁判が連続する印象を持ちませんか?
何回も書きますが、原発賛成か否定すべきかの結論が非常識と言うのではなく、神様しか分らないようなことは民意・・政治で決めるべきなのに裁判所が神様になったつもりで決めるのが非常識でないかと言うだけです。
民主主義とはそう言うことであって、民意の多数で決めて行くしかないのです。
多数の民意獲得に負けた方が敗者復活戦のように司法を利用するのは邪道ですし、これに便乗して司法が口出しするのも邪道です。
反対派が全国津々浦々で仮処分を仕掛けると、どこか一件でもこれに引っかかって停止の仮処分が出る可能性があります。
しかも仮処分の場合即時効があるので、(僻地立地特性のある原発や自衛隊基地→小さな裁判所が原則)左翼系は色めき立っていますし、(既に全国で裁判闘争?を始めています)大津地裁の決定が出るとこれを嫌気してすぐに電力株下落になっています。
裁判闘争と言う一般に利用されている標語自体から明らかなように,裁判闘争を仕掛ける勢力は、政治問題を司法に持ち込んで「闘争の場」にしようとしていることを自白しています。
以下は、国民救援会「裁判闘争に勝つ」とは何か 」
  第21回裁判勝利をめざす全国交流集会 記念講演からの引用です。
「・・私たちは裁判で必ず市民、国民、労働者に支持署名を求めますが、裁判での法廷闘争ですべてが決せられるのであれば、何も法廷外で汗水垂らして署名集めなんてすることはないです。やはり主戦場は法廷の外なんです。裁判官ほど世論を気にする官僚というのはいないんじゃないでしょうか。そこに支持される判決を自分が書くという勇気が求められるわけです。その勇気は、ビラまき、宣伝、報道、要請、署名などによって、「こんなにもあなたの勇気を支え、支持している国民がいますよ」ということを見える形で裁判所に示すことで培われ、その中で、裁判官が正義と公平を貫く判決というものを模索し、決断していくんだという ことを強調したいと思います。」
上記講演者の貴重な運動が日本社会の人権擁護に役立って来た結果・功績自体を私もある程度敬意を持って認めますが、このような訴訟手続外の「場外闘争」が原則になって来ると、司法判断の名を借りた政治運動そのものになるリスクもあります。
政治と司法のけじめを誰が・・どのような基準でつけるかの問題が起きます。
政治で負けたらそのテーマを司法に持ち込み、司法でも負けそうになると場外のマスコミによって勝負する・・マスコミを牛耳れば良いと言う戦術が多用され、更には国連でロビー活動して、国連調査官を招聘するなど際限がありません。
マスコミに干されると困るので、誰も本当の意見を言えません(マスコミに出る識者はマスコミの振り付けどおりしか発言していません)が国民は真実を知っている・これが明らかになるのがサイレンとマジョリテイー→秘密選挙の醍醐味です。
結局は左翼支配のマスコミによる歴史修正主義者・レイテイストなどなどのレッテル張りが横行しているので、怖くてマスコミの意に反した意見や疑問を一切言えないマスコミ空間・・言論の自由が死んでいる状態を表したのが、9日に判明したアメリカ大統領選の結果です。
大統領選の結果に関しては国益に絡んでの議論が活発ですが、民主主義の動向と言う視点で見るとマスコミの作り上げた虚構民主主義の敗退が大きなテーマになるべきです。
マスコミ主導のグロ−バリズム拡大・・移民増加その他各種人権保護と言う名の下に気に入らない意見をレイシストやネオナチその他のレッテル張りで国民の発言を封じて来たコトに対する不満を抱いていたのに、マスコミはこれを黙殺し続けていた結果、選挙(EUでもマスコミの必死の誘導にも関わらず移民流入反対論が大きくなっています)で覆った点です。
日本ではネット言論ではマスコミに迎合しない人が早くからトランプ氏優勢を論じている人がいましたが、日本を含めて世界中のマスコミ・論者はこぞってクリントン支持の方向で、低レベル報道に如何にもどちらも人気がないかの報道に終始してトランプ氏の正当な正論を取り上げていませんでした。
トランプ氏のイメージ悪化に努力していましたが、米国民の多くの人がトランプ氏を支持していたことを(私の知る限り)全ての世論調査会社が敢えて虚偽報道していたかあるいは見誤っていた・・国民が怖くて本音を言えないほど言論空間が窒息していることを証明しました。
(イギリスのEU離脱国民投票も同様ですが、世論調査会社が虚偽報道していたとは思えませんので・・何故調査能力が落ちているかの点検が必須です)
EU離脱〜EUの難民反対〜今回のアメリカの動きは、選挙で認められなくとも、マスコミを抱き込んで報道を続ければ司法がそれに呼応して修正する図式の構築を目指す人権活動家の運動の行過ぎた結果に国民がノーを突きつけたのではないでしょうか?
反グローバリズム・格差反対とマスコミは宣伝しますが、今の時代完全鎖国は不可能ですから反グローバルと言っても程度問題でしかありませんし、格差反対と言うだけでどうなるものでもありません。
金融資本・ユダヤ支配反対の意味もあったでしょうが、さしあたりの対象は金融資本の手先となっているマスコミに対する反マスコミがテストされる結果の選挙であったと言うのが私の印象です。
正々堂々と論争して政党が国政の場で負けた以上は潔く結果に従うべきであって姑息な土俵外の邪魔・ケチを付けるべきではない・・これが民主主議のルールだと言う意見を11月4日まで書いて来ました。
クリントン氏が有利と言う筋書きのときにマスコミが投票結果を認めるのか?とトランプ氏に畳み掛けていたことをその頃紹介しましたが、トランプ氏が勝つと民主党支持者が認められないと言う抗議?でナチスを模した左翼系得意のレッテル張りをして、頻りにデモを繰り広げている様子が報道されています。
マスコミとしては、負けを認められなくて、トランプ氏には民意の支持がないと言う虚構を強調したいのでしょう。
選挙に負けた方が何の根拠で「認められない」と言うデモをしているのか不思議です。
左翼系・マスコミはじぶんの都合によって「民意」だ「人権」だと言うご都合主義があることをこの数日書いて来ましたが、その本質がアメリカでも出ています。

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