(フェイク?)報道と信用失墜3(国連特別報告2)

これまでザッと書いてきた朝日新聞の現状では、慰安婦報道のミスでは内心何も悪いことをしていない・うるさすぎるので仕方なしに謝罪会見したのかな?程度の意識で今も社内運営している実態が出ています。
その後何かいうとすぐにネット批判が飛んできて肩身がせまいのが納得出来ない・・実質賃金や労働分配率低下の記事でいえばすぐにネットが噛み付いてきて何もいえない・・「言論の自由度が下がった」と苦情を国外に宣伝したい気持ちがわかります。
メデイア界による市場独占の時には「自由市場だ」規制はおかしいと嘯いていたのに、メデイアの独占発信が崩れイェ批判に晒されるようになると言論の自由度が下がったとかオポチュニスト論などが幅を利かすようになりました。
6月14日に書き始めていた国連特別報告者派遣問題の続きですが、それを日本批判に利用したい外国がすぐに取り上げる連携プレーのようです。
日本政府は実態無視の勧告は受け入れられない態度です。
https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00m/030/056000c

「報道の自由」勧告拒否 日本政府
【ジュネーブ共同】国連人権理事会による日本の人権状況の審査について、日本政府は7日までに、特定秘密保護法などで萎縮が指摘される「報道の自由」に関する勧告を拒否…
会員限定有料記事 毎日新聞2018年3月8日 10時26分(最終更新 3月8日 10時45分
昨年11月の作業部会で各国から出された217項目の勧告を受諾するかどうか項目ごとに見解を公表した。145項目を受け入れたが、死刑廃止要求など34項目を拒否、38項目は一部受け入れや留意と…以下有料
5〜6日前にアメリカ国連人権委員会を脱退宣言を出して、大ニュースになっていました・・。
国連人権理事会
米国脱退に人権団体など懸念や遺憾
【ニューヨーク國枝すみれ】トランプ米政権が国連人権理事会(本部スイス・ジュネーブ)からの脱退を19日発表した。国際機関や国際協定に背を向け、孤立主義をさらに強…
(2018年06月20日 19:14

アメリカの不満はイスラエル関係の不満で日本とは違いますが、それとは別に国連は賄賂等にまみれている疑いが強く正義の場でなくなっている現実を直視する必要があるでしょう。
再審事件に戻りますと、朝日新聞や文化人(という自称も不思議ですが)は人権擁護目的さえ標榜すれば、どのようなこじつけ報道も許されるかのような思い上がりがあるのではないでしょうか?
どんどん国民レベルが上がってくるとメデイアが思う方向へ簡単に誤導できない・・そこで難解そうな熟語を持ってきてイメージ操作する誘惑が高まったのでしょう。
(実質賃金や労働分配率とか・直感的な語感とは違う熟語があるとこれを探し出して大規模報道する・・「好景気というが実質賃金が下がっている」「労働分配率が下がっている」「百貨店売上報道では高額ブランド品の売れ行きや外国人の爆買いばかりの報道・・・庶民には関係がない」というイメージ報道があると、俺の収入は上がったが全体統計では下がっているのか?と誤解する熟語の解説なしの大規模報道.・・説明がないと漢字だけ見ると、結果的に国民が誤解する・・実質賃金下落も労働分配率低下も虚偽ではないですが、国民の多くが受ける意味が違うのを利用する意図が濃厚です。
そもそも「好景気を実感できない庶民」「株価上昇→高額ブランド品売り上げ増加」という主張をあちこちに散りばめた上で、実質賃金や労働分配率下落の統計発表を毎月のようにすれば、いかにも誤解させたい報道意図が濃厚です。
ブランド品や5〜6千万円の車販売が伸びているのが事実であっても、これに対応する庶民向け汎用品消費が減っているか横ばいかのペアの報道がない・.そちらも伸びている事実報道がない→特定イメージを広げる報道姿勢が強いのが最近のパターンです。
再審事件報道に戻りますと、人権保障は重要ですが、被害者の人権を無視した被告人の利益ばかりに重きを置いている印象です。
社会ある限り、人権といっても限界がある・・社会有る限り人権はお互いに譲り合うしかないのですが、その辺の理解が難しい人が一定数いるように見えます。
理解できないというよりは、A人権とB人権の衝突・その利害調整が政治ですが、それも1対1の調整ではなく、ABCDE対FGHIの入り乱れた利害調整になってくると単純思考レベルの人にはお手上げです。
そこで「あちら立てればこちら立たずの」複雑な利害調整のいらない単純な「世界平和主義」とか「人権を守れ」とか、なんでも「政府批判」をしている方が安全・・破綻しないと言うことでしょう。
普通の人にいちゃもんばかりつけているといつ反撃されるか怖いですが、政府や大企業批判の場合、反撃されないので安全地帯で騒ぐ印象です。
ロシアや中国で政府批判するには勇気がいりますが、民主国家ではストレス発散先として政府や大企業・強者に対するクレーマーになるのが最も安全なストレス発散相手になります。
何か言うときにいつも「我々庶民には・」と弱者ぶって・「弱いものいじめするな!」と騒いでいれば、自分は安全地帯に居られる仕組みです。
刑事罰に触れる行為(殺人・傷害窃盗行為その他)が処罰される刑事制度は、一方に被害者がいる=人権被害を減らすための人権擁護目的の制度です。
道路交通法も金融商品取引法もすべての法は、対等な人権と人権の調整のためのルールです。
各種取引規制法は、消費者や国民の安全を守るためにあるのですし、いろんな規制法規は全てなんらかの人権保護の目的があります。
例えば6月18日の高槻市の地震でブロック塀が倒れて小学生が死亡しましたが、ブロック塀などの設置規制でさえ人命・人権を守るためにあることが実感できたでしょう。
このブロック設置に法令違反であったとして、その処罰や責任追求の段階を今の袴田再審事件に当てはめればわかりますが、朝日新聞的主張によれば、死亡した児童の人権を忘れて違反者の人権の方が重要として「市民感覚が許さない」と言って検察批判を繰り広げるのでしょうか?
被告人の人権保護は本当に犯人か、違法行為をしたのかの事実を厳密な究明をすることであって、事実の有無にかかわらず被告人を無罪にすることではありません。
事実確認の合理性チェックをないがしろにして、先ずは「無罪にしろ」と言わんばかりの大合唱では刑事制度は成り立ちません。
刑事制度が成り立たなければ、弱者の刑事被害・人権侵害が増える一方になります。
刑事制度は法を守らない人(強者)による弱者に対する人権被害が起きないための制度です。
朝日新聞や革新系野党あるいは人権派は、この辺の「複雑系の理」が理解できないか、理解できるが、そんなことは苦手というグループ・一方の人権だけ理解可能な一定率の支持者に支えられているように見えます。
平和主義といっていれば平和がくるような思考と似ています。
目の前の被告人が「何をしたか」?「何をしたという証拠の有無に関わらず」処罰するはかわいそう・無罪放免されることが人権擁護になるという立場(刑事制度否定論かな?)で一方的な報道をしたければ、中立的な立場を装わずに特定思想集団の立場での主張であると明らかにすべきです。
刑事制度否定論は無政府主義につながるし、非武装平和論にも繋がりやすいような印象ですが、それはそれで一つの主張です。
こうした意見の亜流が加害者側だけの人道論に立脚した死刑廃止論でしょうか?

メデイアの事実理解能力3

事務所にきた人に事実関係を聞くときに「意見ではなく事実を教えて欲しい」と言っても、なかなか事実を説明できないので、こちらから一問一答的な質問をすることがあります。
質問に事実ではなく意見・・自分なりに理解した熟語を言いたがるので、生の事実がさっぱり出てこないので別の角度から聞きなおすことがよくあります。
この数日間でも給与差押え→債務整理事件の相談で、事件の推移からして債権者の同意が無理そうな話のために「給与再生手続き」しかできないかも?と(相談者もその希望できたので)方向が決まった結果、職種(今何をしているのか?」)を聞いたところを「正社員です」というので支給総額年収の説明を基準に大雑把な手取りを推定して給与再生の場合の支払い総額(可処分所得の2年分基準)について大まかな想定を説明していたところ、翌日紹介者からの説明では保険外交員で別に確定申告しているという情報を得て驚いたばかりです。
それならば、源泉徴収票基準でなく、確定申告の収入(経費を引いた課税対象額)が基準になるので可処分所得が大幅に減ることになってまるで違ってくるし、収入の変動率が重要になるなど検討課題・出してもらう資料がまるで違ってきます。
例えば、いろんな事件で何をしているのかを聞くと会社員、役員、自営などと言い切ってしまう人が結構います。
具体的事件では、統計上の区分は意味がない・・会社員や公務員でも現場系もあれば、大手のホワイトカラーもあるし、役員といっても5〜6人の従業員の不動産屋や蕎麦屋も、数人の土木会社、蕎麦屋もあるなど・・これでは離婚事件等で必要な具体的な仕事や生活状況がさっぱり不明ですが、その単語が今相談しようとしている事件状況説明に意味のある単語かどうかの区分けが出来ないというよりは、(実態を知られたくない?)格好つけたい心理の方が強い印象です。
メデイアが平均賃金と言わずに「実質賃金」と言ったり、労働分配率が下がったと言って誤ったイメージを刷り込もうとしているのと同じ傾向です。
メデイアの場合イメージだけ振り撒けばその方向に刷り込み可能なレベルの人だけでも信じ込んでくれれば、(低レベル裾野の方が人口が多いので)政治的影響力としてはそれで成功です。
個々人でもちょっとした挨拶ならば「当たり障りのない」自己紹介で良いのですが、特定事件の弁護士相談の場合に、当たり障りのない=意味のない事実?「会社員です」と説明されても時間の無駄です。
要するにTPOが分からないということでしょう。
債務整理の場合には、全部関連資料を持って来てもらい、こちらで資料・事実記載を直接見て質問した方が効率が良いのですが、これを持ってこないで半端に格好つけて説明しようとする人は、間違いのまま途中まで進んでしまって途中で修正するなどのリスクが高まります。
医療でいえば、医師の直接診断や検査を受けないで自分の知っている知識で状況説明して、どういう手術が必要かどうかの診断を求める患者のようです。
統計レベルの大雑把なくくりでは正規か非正規かの区別で良いのですが、給与再生相談であれば、収入の安定性と支払額を決める基準として可処分所得が重要なのでその関係の分類が重要になります。
相談者としては、給与所得者再生手続きのために「正社員扱い」だという点を強調したかったのでしょうが、一方で可処分所得計算上会社からの支給額で計算すると債務全額払う結果になるのと、どうしてそんな巨額の可処分所得のある人が「いま一文無し」というのか不自然なので事件をやるには債務発生原因をじっくり聞く必要があるとは思っていました。
相談者は「全額払ってもいい」と言うのですが何か裏がありそうで、もうちょっと資料を見ないと「分からない」個人再生、給与再生どちらをやるにしても「その方向の準備はほぼ共通です」ということでその日は終わったら、翌日の電話で保険外交員とわかったので、たちまち表向きの年収とは違い苦しい実態が理解できたのです。
そうなると源泉徴収票も必要としてもまずは確定申告控えの方が先決的に必須です。
同じ単語でも使う場面によって違います/事案解決に必要な概念は「正社員」=「会社から払われる名目の金額」ではなく、経費自分持ちの「保険外交員」という具体的職種であり税務申告上の所得だったのです。
債務整理に必須の家計収支の具体的記載を出してもらえば、自ずから経費自分持ちの実態も見えてくる・医師ならば、患者のいう独自病名より検査すればすぐにわかるのですが、こうした資料を見てもらう段階に入る前に結論を知りたいというせっかちな意識がこうさせるのでしょうか。
事件によって、何が必要な事実か不明のまま、自己判断の定義(上記例で「正社員で源泉徴収票もあります。」で質問されると、(熟語には内容に幅があるので話す人によって使う意味が違います)処理が却って複雑になります。
今でもこういう例がなくなったわけではありませんが、平成に入ってからは国民のレベルが上がったらしく、言語能力の低い人がグッと減ってきました。
特に40台以下(私の子供世代)では人種が変わったかのように優秀というか、論理説明できるし理解能力もよくなってきました。
朝日新聞と日経の比較については、昭和61年に購読を切り替えた頃の感想を6月20日に書きましたが・・それから30年以上経過で今では日経新聞も一般人のレベルアップについていけない・・事実分析能力あるいは語彙の定義ではイマイチになってきたようです。
日経のレベルが下がったというよりは、国民の経済情報に求めるレベルが上がっているのに、いまだに半端な熟語(を知ったかぶり)で煽れば読者をごまかせると思い込んでいる点が不信感を煽るようになった原因です。
報道は事実報道に徹して国民を誤魔化そうとしなければ良いことですが、悪意で曲げて報道しているのではなく、もしかしたら昭和年代の生き残り?の事実把握能力の低い人たちが、メデイア界の主流になっているのではないか?の疑問で書いています。
理解力レベルの低い人たちがメデイア界に就職する時代が続き社会のレベルアップについて行けていない印象です。
ただし文化欄は専門家が直接執筆しているらしく、レベルが高く、家族みんなで気に入っています・念のため・・。
(ただし、今のところ、私のレベルが低くてちょうど日経の編集者のレベルにマッチして満足しているだけのことですから・・数年すれば同じレベルの繰り返しでは満足しなくなるでしょう)
袴田再審事件に関してメデイア報道と6月17日引用した郷原氏のhttp://agora-web.jp/archives/2033195.htmlの紹介との比較に戻ります。
筆者は自己紹介によると権力寄りというよりは、これまで数々の冤罪事件を手がけてきた反権力?弁護士による解説らしいです。
※ただし、ウイキペデイアで見ると元検察官で弁護士になってからも政府の委員などになっているらしいですので念のため・・。
こういう人権派?弁護士からまで、無茶なこじつけ?結論と批判を受けるようになったのでは、朝日新聞も終わりに近くなった印象です。
こういう無理なこじつけに酔っている人は、社会の中で(社民党支持層プラス立憲民主支持層レベル?)10%あるかないかでしょうから、これでは全国紙としての役を果たせなくなる日が近いでしょう。

メデイアの事実報道能力5(実質賃金低下論のマヤかし3)

ついでに、物価変動について書きますと、高額ブランド品の価格変動は景気動向の末端現象としては意味があるでしょうが、中間層以下の生活感指数としてごっちゃに報道する意味がないでしょう。
庶民には・・・という視点で報道するならば、そんな論説の垂れ流しよりは、コンビニ単価やコンビニバイト時給単価の変動率、保育士や介護士の時給・・業種別推移などを具体的に報道した方が合理的です。
低賃金者の新規参入が止まり平均賃金が下げ止まり、生産性向上以上の賃上げ後→その分物価上昇の場合には、論理的にはプラマイゼロですが、賃上げが前年で終わったのに、物価上昇が翌年以降になるとそのタイムラグで次年度以降は賃上げなき物価上昇になり実質賃金マイナスになります。
タイムラグ・業種間で景気変動の影響を受ける時期がずれるのと同様に、個人でも生産性以上の賃金をもらえるようになる時期が違います。
好景気初期には8〜6〜4割しか役立たない人でも1人前の人と同じ時給で雇用されるのは(一人前の能力者にとっては逆差別ですらからその是正圧力が賃上げ圧力へ)、それ自体論理的には商品サービス単価の値上がり要因(レストラン等の客にとっては、サービスレベル低下で同じ料金)ですが、非効率による損害は初期には企業負担→値上げやサービス縮小に走る順序も企業体力差によります。
賃上げ分だけの物価上昇の場合には論理的には双方のアップ率は同率ですが、好景気敏感反応業種=非正規雇用の多い職種と公務員やホワイトカラー層では影響の速度が違います。
同じ飲食関連でも、高級料亭では非正規人件費の比重が低いので、パート人件費相場が1割上がっても数万円以上の単価への(食材等の値上がりなど間接的)その影響が遅れます。
非正規の時給が2割上がって、その影響を受けやすい居酒屋牛丼店等日用品分野で1割単価が上がった場合、その階層レベルでは実質賃金低下がありませんが、年収数千万のサラリーマンや公務員の人件費が簡単に2割も上がらないので日本総平均賃上げ率としては微々たるものとなり、総平均ではマイナス化し易いように思われます。
高額所得者にとっては、コンビニ等の単価が1割あがっても生活費が1割上がるわけでありません。
このように職種業種によるばらつきが大きいのですから、コンピューターの発達した現在、手書きそろばん方式時代の日本中の総平均で平均賃金を出す大雑把な発表方式を改めるべきです。
業種職種別統計を政府がだしているかもしれませんが、メデイアが新聞等に印刷しきれないとすれば、ネット等で業種別データへのアクセス方法を紹介すべきでしょう。
物価上昇の結果、実質賃金が低下した場合には、黒田日銀総裁の物価上昇を目指す金融政策が徐々に効果が出始めたという意味であり、政策効果がない・・(私はインフレ期待論には組みしていませんが)無能だと批判すべき記事にはなりません。
しかも実質賃金変化による購買力影響力は、高額所得者よりは、中底辺層に大きな影響力があるので、実質賃金と言う大括りの概念比率では意味不明になります。
例えば夫月収40万の家庭で月収ゼロの専業主婦が働きに出て月収20万家計収入が増えると家計収入では5割増ですが、(ただし、昨日書いたように月収2000万クラスと合算平均すると家計収入平均アップ率も大きく低下しますのでどの階層と合算平均するかは重要です)平均賃金となるとこの家計だけでも平均賃金=実質賃金では月収30万→25%低下します。
好景気1〜2年経過で時給単価や年収2000万の夫の収入が1割上がって、2〜3年後にコンビニ商品単価等が1割上がっても高額収入者はびくともしません。
高額所得者は不景気でも給与削減がない代わりに好景気でもすぐには給与が上がりませんし、重役の奥さまが居酒屋のバイトに出ることもなく物価上昇の圧力だけ受けますが、その代わり投資収益アップで賄う人が多いでしょう。
メデイは政府におもねるばかりは困りますが、政府に落ち度のないことまで落ち度のように批判するのも困ります。
政権に中立で社会の実態を報道する心がけならば、非正規や高齢就労が増えて平均賃金が下がったと言えば良いのですが、それでは当たり前すぎてニュース価値がない上に、「なんでも政府批判」の特定立場を活かせないから実質賃金が下がっていると言い出したような印象を受けます。
「実質賃金が下がり続けているとか横ばい」などの批判的イメージ報道であれば事実であり、虚偽報道にはならないのでギリギリセーフ!・・これは便利だと飛びついたように見えます。
ギリギリセーフの報道ばかり続くと信用をなくします。
単純に平均賃金が下がっているといえばスッキリするものを、如何にも専門用語らしく「実質賃金」という言い換えて、愚昧な国民を誤魔化せば良いという思い上がりもあったでしょうか。
学術・難解用語→「立憲主義違反」「近代法の法理を守れ」「平和憲法を守れ」とかのスローガンを掲げて読者・・私レベルの思考停止を誘う傾向と根が同じです。
あたりまえのことをそのまま報道しないで難しい言葉に置き換えてあたかも意味ありそうにメデイアは連載していたのです。
メデイアが実質賃金の定義を虚偽解説したことはないし、厚労省の発表も事実ですが、前後の文脈で誤解するようなイメージを流布していたのが問題です。
これについては4〜5年前に書いた記憶ですがどこに書いたか忘れましたが、最近では2017/12/14/にも、数年前のこととして再論したことがあります。
好景気になれば企業はまず非正規や新人採用から雇用をふやすのが普通です(人手不足で失業者や主婦、高齢者雇用すれば平均賃金が下がる)から、労働人口をトータルして指数化すれば実質賃金(平均賃金)が下がるのは好景気の証です。
逆に不景気になれば期間工や非正規からへらし、新人採用を絞るので社員の年齢構成が上がる→高給取りの比率が上がり平均賃金が上がる仕組みです。
不景気になれば腕の悪い職人から仕事がなくなり、役立つ人材が企業に残ります。
好景気の最初は残業手当が増えるがその次には収入ゼロだった人が1日4〜5時間の仕事に付けるようになり、フルタイム非正規などの労働チャンスが広がり最後は正規雇用採用が増える順序です。
今は、まさに新卒採用を最大化(新卒の就職率99%?報道されています)、非正規の正規雇用化が進み始め単価上昇がはじまった段階でしょう。
この段階で正規雇用者だけの平均賃金を持ち出すと(中高年中心だった企業に給与の低い新卒が一人でも入ると)正規雇用の平均賃金が5年前に比べて大幅低下となります。
高級官僚や部課長クラスは景気が悪くても給与は減りもしないし好景気で(残業手当がない)もそれほど上がらないので平均賃金に影響がありません。
好景気の影響は庶民が真っ先に恩恵を受ける関係ですから、(ゼロ収入が15〜20万に増えるのは生活に与える比率が大きい)庶民に実感がないというのは、根拠なく「市民感覚が〜」というのと同じ決めつけです。
実質賃金は名目平均賃金をインフレ率で調整するものですから、インフレ昂進時に給与所得者の購買力の変動率を見る必要があってできた指標ですが、いまのように物価が上がらずに困っている・日銀がインフレ率2%の目標を掲げねならないほどの時代には、社会の現状を見るのに有用な概念ではありません。
社会の変化に合わせて、旧来の指標を廃止し新たな指標開発が必須であるとこのコラムで書き始めていたのですが、途中話題が横道にそれて先送りになっていますが、時代に合わせた指標廃止・開発が必要な一例です。

メデイアの事実報道能力3(実質賃金低下論のマヤかし1)

これからの防災対策は、夜間帰宅難民だけではなく昼間の滞留人口を含めてどう捌くか・・ターミナル駅周辺に遊水池みたいなゆとりのある施設をどうやって準備しておくかの工夫・都市計画が必要でしょう。
病院に限らず駅などの拠点では、(発電機より今後は蓄電池の方が合理的?)緊急電源準備も必須です。
千葉駅ですら電車が一斉に1〜2時間でも止まったらどうなるかですが、幸いここ5〜6年かけて駅ビル再開発によって容量がアップしている・・・改札の内外で従来の何倍ものゆとりのある広場ができていてベンチも数多く設置されているほか、駅ビル内のショッピング街周遊でもかなりの滞留人口が収容されるようになったはずです。
私は公の施設の民間への管理委託の選定委員会委員として制度発足当初から関与していますが、東北大震災の翌年の審査では駅近くで音楽ホール等を擁する施設では、帰宅困難者に対してどのような収容努力したかの報告項目もありました。
その他ホテル等は一般的に駅近くですから、駅周辺ホテルや各種ホール等の協力を得られれば、エントランスホール等が大きければそこの解放だけでもかなり役に立ちます。
市としては災害時にこういう所との協力協定を進めるなど地道な努力が始まっています。
最近都心付近の超高層ビルでは概ね1階部分は全面的にホール仕様で公共的空間化していますので、いざという時には、企業の社会貢献の一環として(企業秘密/保安上の問題があるので)一階部分に限って滞在を受け入れる・一定量の毛布等の提供協定に応じているようになっていると思われます。
こういう意味では、京都駅と大阪駅のホテルグランビアにそれぞれ泊まったことがありますが、どちらもホテル受け付けロビーの狭さには驚いたものですが、これではイザという時の受け皿になりません。
メデイアに限らず政党も、何かあれば内容如何にかかわらず、政府批判の決まり文句・表層的批判を言ってればもてはやされるような態度ではなく、もう1〜2段の掘り下げ能力が求められている時代に入っているのではないでしょうか?
熊本地震ではみのもんた氏が、決まり文句・自衛隊批判のツイートしてすぐに大反論を受けましたが、メデイア界では従来型決まり文句の強調・思考停止状況が見られます。
情緒的・表層的報道だけで信じ込むおめでたい階層が減ってきたことが、何でも反対の社会党がダメになった原因です。
ところで、メデイアに事実をカチッと掘り下げられる人材がいるかの疑問です。
「次郎物語」の時代〜戦後の「24の瞳」(それでも小学校の女性教師が主役で新時代の到来を告げる程度)の時代までは、小学校の教師が村の指導者クラス〜憧れる対象でしたが、今もそう思っている人が何%いるでしょうか?
そのころは、なんとなくではなくきちっと文字が読めて数学もある程度分かっていればエリートだったし、海外文献(論文まで理解できなくとも英語やドイツ語の新聞程度)を読めれば国家のエリートでした。
今では、高校教師度どころか大学教師さえその分野で何かの専門かな!(企業で製品開発している人と同)程度の認識でしかなく、一般的な意味の指導者と思っている人はあまりいないでしょう。
端的に言えば、メデイア人材レベルが小中高教師(早くから「でもしか先生」と言われるようになっているのと)同様に国民のレベルアップについて行けていないので、国民の求めるレベルまでの掘り下げ能力がないまま、情報・ニュースに飛びつき浅い理解のままマイナス思考で「社の意向に合わせて」決まり文句で批判報道している状態にみえます。
本来社会の落ちこぼれ人材で小さくなっていたのが、ヤクザになるとみんな避けてくれて大きな顔をして街中を歩ける・昭和50年代のヤクザについて書いたことがあります。
新聞〜メデイア界は明治から大正までは一定の高学歴で文筆能力のある人材のつく分野でエリートでしたが、今や社会のエリートでも何でもないのにメデイア=情報に近い場所にいる→操作できる場所にいるために、社会の指導者ブルことができていた弊害・.実力とあっていない弊害が出てきたと思われます。
事実報道の重要性を軽視し、自社意見に有利な事実しか報道しないのでは、メデイアの役割放棄ですが・・メデイア界の人材では民度のレベルアップに合わせた事実分析能力がついていけないとすれば仕方がないですが・・。
事実といっても言葉・単語により記述するのですが、その単語の理解力にかかってきます。
このコラムでは、日経批判をしょっちゅうしていますが、記憶に残っているところでは、アベノミクスの始まり(13〜4年?頃)に、「好景気といっても実質賃金が逆に下がっている」「庶民には実感がない」という意見が続いたので、実質賃金の誤用でないかという批判・反論を書いたことがあります。
統計発表の都度今月も実質賃金が下がったと大規模報道が続き、「国民に好景気の実感がない→アベノミクスは失敗だ」という批判論が盛んでしたが、粗忽な私は何気なく「へ〜こんなに景気よくても賃金が下がるのかな?」程度の不思議感?で読んでいました。
しかし、あまり続くので「実質賃金」ってどうやって計算しているのかが気になって調べたら単語の「実質」と言う語感による錯覚効果を利用していることがわかったのです。
例えば人口減を煽るために?「合計特殊出生率」あるいは経済用語で「季節調整後」という専門用語がしょっちゅう出てきますが、その計算根拠を確認する暇のある人はいないでしょう。
・・「何か難しい計算をしているのだろう」とそこで一旦思考停止して、正しい数字なのだと自分をなだめて、その前提でメデイアの主張する意見を読んでいくのが普通です。
これと同じで反アベノミクス論の中で(国民消費が増えていないとは言わないものの)中国人の爆買いやインバウンド消費でデパート等が潤っているのを強調し、爆買いやインバウンド消費に乗り遅れた個人商店や地方百貨店には恩恵がないことや、地方に景気の実感がない・・等々の報道と実質賃金が今月も下がったという毎月の記事と噛み合わせれば、私のような粗忽人間あるいは純朴な人間は、難しい計算はわからないが、実質的に見れば購買力が下がっているのかな?日本人の国内消費が落ちてるのかな?という印象を受けます。
メデイアによる景気悪化のイメージ報道と私の実感が合わないので、「実質賃金って」なんだろう?と自分で考えるようになったのがこの疑問の最初です。
私の素朴な経験値・管理職になって基礎賃金がアップしたが、そのかわりゴツく稼いでいた残業手当や成績優秀な営業マンの歩合給がなくなって実質的に手取りが減るようなイメージで受け止めていたので、こういう個々人の変化ってどうやってエコノミストが調査できるのかな?という疑問から始まったのです。
あるいは、バイト時給が800円から1000円にあがると2割以上のアップですが、一方で年収2000万の人の給与は年1回しか上がらないが、どうやって平均しているのだろうか?
2000万円の人の給与が1割・・200万上がった場合、時給200円上がった人何人分と合算して平均するのかなど疑問が尽きません。
ある公共施設でアンケートをとっていて、回答者の属性・・・年齢やどこから来ているか、利用頻度など聞いて集計して%を出しているのですが、サークルなどの利用が多い(ほとんど)のに、集団利用者と個人の区別なくアンケートしているので、回答者合計で何%がどこから来ている高齢者率何%などとしていても、それが、十数人のグループの代表者や幹事役の意見を一人に数えていて、個人で来ていて個々人全員が回答(率100%近い)する場合、個人で来ていた人の比率が大きく出すぎないかの質問をしたことがありました。
集団員全員にアンケート依頼しても全員が書いてくれる団体と、代表者が書けばいい(その他は受け付けに普段から顔を出さないのが普通)グループもあるでしょう。
この辺は受け付け実務をしている人は詳しいでしょうが・・ある会議で質問してみると、事務局の方は施設運営者に聞いていないので分からないという回答でした。

袴田再審事件5(メデイア対応4)

「事実」とは「迷走」という意味不明な主張ではなく、高裁決定過程に現れた訴訟での論争経過を分析紹介した上で、この経過自体についてどう評価するかは、文字通り受け手が判断すべきことです。
なんら経過事実も示さずに市民に代わって「迷走」評価を下すのは僭越すぎます。
迷走の原因が、弁護側提出証拠・本田鑑定の合理的裏付け記録の提出を弁護側が渋り続けたことに原因があるとしたら、本田鑑定の論理が記録裏付けなくとも公知の論理なのかどうかの吟味が必須です。
袴田再審事件は郷原氏の意見をちょっと見た印象から書き始めたのですが、どんどん具体的に書くようになると、誰かが都合よくまとめたかもしれない決定内容をもとにして意見を書いているのでは(私自身)不安になってきましたので、この辺で遅ればせながら「高裁決定要旨」を引用しておきます。
要約では読解力や関心の方向の違いでメデイアによる編集誤差がありうるでしょうが、最近の裁判所はニュース性のある事件では裁判所の作成した要旨を配布していますので、意見としてではなく「決定要旨」と銘打って掲載している以上は自分好みに「 要約」したものではなく高裁配布資料そのままの引用と信じるしかないので、・・客観性がある前提(信用できないと思う方は独自検索お願いします)で以下書いていきます。
一字一句修正のない正確な決定文は、判例時報等に印刷物として出てくるまで部外者は入手できません。
ちなみに、日経朝日毎日等の大手を検索してみると、決定要旨は有料会員しか入れない仕組みですので引用できません。
大手メデイアは自社の意見を報道したいが、自社意見の前提になる事実開示のハードル(これを職業にしている人は別としてネットに出ている要旨の正確性比較のためだけに有料会員になる一般読者は滅多にいない)を高くしているのでしょうか?
不当決定と主張する弁護側の方で、不当という集会を開いて報道機関に公開し、これを報道機関がこぞって大規模報道している以上は、不当とされている決定要旨と決定全文をネットや新聞等で公開すべきではないでしょうか?
弁護側で国民に決定全文を見られるとまずいから公開しない判断とすれば、「不当決定」という主張自体眉唾になります。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018061100992&g=socによる高裁決定要旨です。

確定判決で犯行時の着衣と認められた半袖シャツと袴田さんのDNA型が一致しないとする鑑定で用いられた手法は、基礎となる科学的原理の信頼性が十分ではなく、複数の専門家から科学技術として確立した手法ではなく原理に関しても疑問があるとの意見が出されていた。
それにもかかわらず、地裁決定は十分な検証ができない資料を根拠としてその証拠価値を高く評価しており、慎重さを欠いている。
また、一般的に実用化されている抽出法ではなく研究途上の段階である上、使用された試薬「レクチン」はDNA型鑑定に必要な白血球を選択する作用がなく、DNA分解酵素を含んでいることも明らかになった。
手法の科学的原理や有用性に深刻な疑問が存在しており、鑑定を信用できるとした静岡地裁決定は不合理で是認できない。
地裁決定は、半袖シャツなど確定判決で犯行時の着衣と認定された衣類5点の発見から近い時期に撮影された写真を基に、衣類や血痕の色合いと類似した衣類をみそに漬ける再現実験の結果を比較し、衣類が長期間みその中に入れられていたことをうかがわせるものではないと判断した。
しかし、写真は劣化や撮影の露光の問題、当時の技術水準などにより、衣類5点の色合いが正確に表現されたものではないことは明らかで、大まかな色合いの傾向を把握するにも不適当な資料と言わざるを得ない。衣類5点が見つかったみそタンク内のみそと実験で使われたみその色が異なっていたことからも、地裁の判断は不合理だ。
よって、鑑定結果やみそに漬ける再現実験の報告書の証拠価値は低く、袴田さんに無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとは言えない。
このほか、第2次再審請求審で提出された新証拠には、確定判決で認定された犯人性に合理的な疑いを生じさせるような証拠価値のあるものは存在しない。
地裁が再審開始とともに決定した刑の執行停止を職権で取り消すかどうかは、事案の重大性や有罪を言い渡された人の生活状況、心身の状況などを踏まえた身柄拘束の必要性、上訴の見込みの有無などを考慮に入れた合理的な裁量権に委ねられている。
袴田さんに対し、確定判決で死刑が言い渡されていることを踏まえても、現在の年齢や生活状況、健康状態などに照らせば再審開始決定を取り消したことにより逃走の恐れが高まるなどして、刑の執行が困難になるような危険性は乏しいと判断される。特別抗告における抗告理由の制限などを考慮しても、再審請求棄却の決定が確定する前に刑の執行停止を取り消すのが相当であるとまでは言い難い。
従って、職権を発動して直ちに死刑と拘置の執行停止を取り消すことはしない。(2018/06/11-19:55)
上記だけ読めば(要旨なので詳細は決定書自体を見る必要があります)メデイアが上記決定について合理的な批判能力がなく、(地裁段階で50年以上前の資料ではDNA 鑑定不能として他の鑑定人は鑑定辞退していた状況らしいです)非合理な感情的批判しかできない「窮地にある」ことがわかります。
「味噌漬けにして実験してみたら一目瞭然の色の差が出ているのに高裁は無視している」と感情的意見がネットに出ているので参考のために紹介します。
http://president.jp/articles/-/25430
「袴田事件」再審棄却は明らかに間違いだ
「5点の衣類」を捏造したのは誰か
高裁決定が出る前の応援主張ならば想像力で書くのも自由ですが、高裁決定批判の題名で書く以上は、決定で否定されたことを繰り返しても意味がありません。
そういう主張を十分してきたのに対して高裁で50年前の写真機やフィルムの性能と今の写真技術は違うから今の写真で比較しても無理があると否定されたのですから、「高裁の否定論拠のここがおかしい」と言ってこそ合理的批判になりますが、一切触れないで従来主張の繰り返しのようです。
最後は、
「・・・いずれにせよ、いたずらに延期せず、潔く、一刻も早く再審を認めるべきである。」
というのですが、「いずれにせよ・・・再審を認めるべき」という願望だけの批判論です。
高裁決定要旨を読めば弁護側の主張に対して丁寧に検証されていることがわかりますが、こういう事実関係をメデイアが(有料登録すれば見えるようですが・・こういうのって公開になるのでしょうか)全く伝えていません。
巷の応援団の主張の是非も含めて訴訟ではさらに掘り下げる議論が戦わされてきたことを公開記事にしないのはメデイア界が理解できないかしたくないからです。
(弁護側は一方の立場である以上何か言わねばならないので、合理的反論できない「腹いせ」に「不当決定」と感情表現しかできないのは理解可能ですが、(それでも本来感情表現は紳士のすることではありません)メデイアが一方に肩入れしない中立の立場であれば、批判する内容がなければ高裁決定の通り淡々と報道すれば足りるのであって「窮地に陥る」必要がありません。
高裁決定要旨は上記の通りで全文公開してもわずかな文字数です。
不当決定糾弾集会の模様を延々と動画編集報道する人件費等のコストに比べれば、高裁でもらった決定要旨引用するだけの瞬時の手間暇で足りて、動画作成に比べればコストはホンの0、00何%の以下のコストでしょうが、この程度のコストを惜しんで有料にする意図が不明朗です。

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