ここでいよいよホームレス問題に入ります。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755によれば以下の通りです。
ホームレス大国アメリカ」の現実 世界覇権どころではない国内の疲弊
国際2018年1月20日
賃金は減り 住宅価格は暴騰
㊤路上で寝るホームレス(ニューヨーク)、㊦行政が設置したシェルターベッド。入居待ちが続いている(2017年、ロサンゼルス)
・・・西海岸を代表する都市ロサンゼルスは・・・前年比で20%増加した(支援機関「LAHSA」調査)。18歳から24歳までの若年層ホームレスは64%も上昇しており、「ロサンゼルス短大地区の学生の5人に1人はホームレス」という調査結果(ウィスコンシン大学)もある。
・・・昨年11月、シカゴ大学が発表した報告書では、ホームレス状態にある学生が全米で少なくとも420万人にのぼり、そのうち13~17歳は70万人、18~25歳が350万人という衝撃的な数値が物議を醸した。
また、約46万人の学生を擁するカリフォルニア州立大学(全米最大)が委託した調査によると、同大学では10人に1人にあたる約5万人の学生が特定の住所を持たないホームレス状態にあり、さらに5~4人に1人にあたる10万人が食べ物の確保ができていない。
1大学だけで学生5万人もホームレスとは、日本では想像もつかない現状です。
ハングリー精神から新規イノベーションが生まれるとは言われますが・・・???。
・・・ホームレス増加の主な理由は、工業の機械化による解雇や病気による失業の増加、実質賃金は増えず家計収入は減っているのに進む物価上昇、とくにリーマン・ショック以来続く住宅価格と賃貸料の異常な高騰である。
・・・(金融大規模緩和・・稲垣注)それによって住宅金利は下がり、住宅への投資を促進したが、余剰マネーがふたたび不動産市場に投機する流れをつくり、不動産価格はリーマン・ショック以前をしのぐ天井知らずの高騰を見せている。
・・・矛盾が集中したのがIT産業で急成長を遂げたシリコンバレーを抱える西海岸で、全米で進む不動産市場のバブル化に、企業進出や労働人口増加による需要増大という条件が加わり、住宅価格は高いところで年平均20%も上昇。高級住宅に暮らす人人がいる一方で、低価格帯でもワンルームの家賃が3000㌦(約33万円)にもはね上がったため、多くの人人が住居での生活を諦め、路上生活をしながら働いている。
「更新手続きでいきなり家賃が500㌦(5万5000円)も上がった」「年収700万円稼いでも家族を養うのが難しい」というほど異常な高騰が家計を襲い、空き地や川縁にはテント村ができ、道路に連なる宿泊用の車両が急増した。時給15㌦(1650円)程度の所得ではフルタイムで働いても、とても2000~3000㌦もの家賃は支払うことはできない。いまや「ホームレス=失業者」という概念は過去のものとなり、工員やショップ店員、技師、教員までが路上や車上生活をしながら職場に働きに出て、シャワーを浴びるためだけにスポーツジムの会員になっている(AP通信)。
19日にアマゾン第二本社誘致運動を取り上げましたが、以下に続く文章によれば、アマゾンの本拠地では全米最高のホームレス発生という実態が背景にあることが分かり分かります。
グーグルやアップルなどハイテク企業の本社が集中し、国内でもっとも平均収入の高いシリコンバレーの大都市が、米国最大のホームレス地帯となっている。
・・・アマゾンやマイクロソフトが本拠地を置くワシントン州シアトル(人口70万人)では、ホームレスが1万人をこえて過去最大を更新し、ホームレス人口が全米ワースト2位になった2015年には緊急事態宣言を発令した。人口が増えた反面、住宅価格が年平均10%上昇し、賃貸価格も六年間で57%も上昇しており、多くの一般家庭が家を失った。「好景気」によって富が集まり、経済活動が盛んになったのは数%の上流層だけであり、多くの人人は低賃金労働のもとで住む家すら失って社会の枠組みからはじき出されている。
以上によれば、ピッツバーグ等製造工場の盛んであった地域衰退・・ラストベルト地帯ばかりメデイアが取り上げていますが、もっと問題なのは高度成長している成功地域でホームレスがどんどん生み出されている状況です。
昔のラッダイト運動の場合、製造業の発展で農奴に近い小作人が中間層に脱皮できて収束できたのは、先進国がこの技術を囲い込み世界の工場として世界中から富を収奪できていたからです。
先進国がマルクスの御託宣のとおり矛盾激化しないで後発国ロシアや中国で矛盾劇化して共産革命や動乱が起きたのは輸出受け入れ国の地位になっていたからであって偶然ではありません。
先進工業国は、先進技術独占による高賃金・中間層の厚み構築・社会の安定・未来への希望社会を作り上げていたのですが、これが後進国を市場とのみ位置付けてきた収奪の仕組みによっていたにすぎません。