革新系野党は政権をとっても共産主義化=計画経済に移行すれば上からの計画経済の貫徹=共産主義ならば利害調整が不要と誤解して軽視しているのかも知れませんが、独裁国家・共産政権の中国でも、周知のとおり内部抗争が熾烈です。
この抗争は背後のグループ上海閥→石油閥などの利害を反映したり、環境破壊を防ごうとすれば石炭利用勢力と利害が対立します。
シャドーバンキング問題の解決には地方政府や金融機関の利害と対立します。
共産主義政権ならば内部利害調整が不要という単純なものではありません。
表向き汚職追放とか反党分子という形式を採用しているだけのことです。
内部調整の重要性を理解できない民主党政権では、政権を取った直後にヤンバダム工事廃止決定を前原大臣が唐突に打ち出しましたが、関係者の反対が強くて結果的に撤回に追い込まれました。
王権であれ武家政権であれ、政権担当者は(足利政権と後醍醐政権との違いで紹介しましたように)昔から内部利害調整能力がないと政権維持が出来ませんでした。
政権党になるには、種々雑多な対立業界から支持を受けるしかないのですが、そうなると理屈で割り切れないので、利害調整→秘密交渉がつきものになります。
初めからの対立業界ではなく、ある目的では大同団結出来た業界が自民党・政権党を支持していても、リニアーの誘致目的になると地域間で対立状態になるなど後で違った面で対立したり離合集散が起きるのを防ぐことが出来ません。
消費税軽減税率問題も後発的に起きた点では同様です。
現実政治を担当していると(法人税減税すると特定補助金削減問題が浮上し,削減対象になる特定業界が反発するなど)後発的な利害対立はしょっ中起きるので、その都度損をした業界や企業を敵に回していたのでは政党を維持できません。
密室での根回しやこの先の(借りを返す約束・・守れるかが不明ながら)約束などで何とか宥めるやり方がとられています。
外交交渉の場合、法案提案時にアメリカとの密約で犠牲になってくれというのではなく、それ相応の別のもっともらしい理由で提案するのでしょうが、それが事前にバレたら業界が収まらない・・ひいては交渉がまとまらないことから、秘密交渉が一般的に合理的であるとされています。
特定利害集団の意に反しても総合的に見て国の利益になると決断してやったことならば、その政治家も政党も後でバレても良い覚悟で決断した筈ですから、事前公開が出来ないまでも、永久的に秘密にする合理性がありません。
一定期間経過で必ず国益に資すると信じて行動しているならば、一定期間経過で公開しても良い筈です。
その政治家は特定業界から恨まれても「国士」として総合的支持が増えることになるので、その政治家は歴史に名を残せます。
(読みが狂えば売国奴という汚名が残ります)
TPPで言えば、農業を犠牲にして輸出産業の利益を守った方が国益かと言う基準だけではなく、この際農業を徐々に国際競争に曝す方が長期的に農業にとって良い結果になると言う信念の政治家もいるでしょう。
一部業界の反対を恐れて何も決められないのでは政治家とは言えませんし、内部利害対立の調整を抜きにして何でも公開討論→多数決で決めて行くといわゆる党内純化は進むでしょうが、これでは多種多様な利害集団を包摂するべきが責任政党の姿勢とも言えません。
党内決定手続きを多数決・・強行採決ばかりでやっていると党内少数派の切り捨てになり,切り捨てられたグループが反党的行動に走り勝ち・・除名や分裂を助長することになり、政権党を維持できません。
10日ほど前に維新の会の石原慎太郎氏が原発輸出問題を多数決で決めるのはバカなことだと噛み付いていたことが大きなニュースになりました。
ニュースでは党の決定に反対している・・結果的に彼が党議に反しても国会で政府案に賛成票を投じるかどうかに焦点が当たっていましたが、利害対立する分野を透明性と称して多数決で切り捨てていると責任政党を維持できなくなることを彼が長年の経験で主張しているのではないでしょうか?