都民ファーストの実態1(組織不備・人材不足?)

小池旋風の支持基盤は、もともとメデイア連合の推す鳥越氏に対する反発・・反メデイア連合であって、メデイアの推す民進党支持母体・護憲勢力とはまるで逆方向の運動体でした。
小池旋風の原動力はなんであったかを11月1日に書きましたが、この期待を裏切ると支持・小池旋風のエネルギーを失うのは当然です。
小池フィーバーの原動力を維持するにはこの原動力・支持母体の拡大発展・・これを全国規模に発展させる努力が必須だったのですが、都議選圧勝後せっかくの支持母体の冷遇・逆に動き始めました。
民進党との全面合流→民進党に乗っ取られる不信感が高まってからの極左?排除論表明では遅すぎたし、しかも都議選後わずか2ヶ月で都知事選時小池支持の中核を果たした保守系地方政治家の内部排除が進んでいる実態が漏れ始めました。
今回の総選挙は突然の解散なので選挙準備期間が短かすぎるとしきりにメデイアが報道し、「解散の大義がない」と批判していました。
逆に短期決戦の場合、新党の政策吟味も何もせずにメデイアの圧倒的「よいしょ」報道で「選挙の風」フィーバーを作り出せば(選挙がおわってから「あれは民進党の生き残り策だった」となっても選挙結果は変わりません)その勢いで選挙の方向を決めてしまえる有利さがありました。
短期に小池フィーバーを起こすメデイア+小池氏の思惑・・戦略から今回の騒動が始まったのですが、すでに第一次ラウンドの都知事選〜第二ラウンドの都議選を経ている点でメデイの起こしたフィーバーの結果に対する検証期間があったことが大きな誤算だったと思われます。
都政の運営を始めると小池都知事当選前よりも小池氏独断の密室決定が増えてしまい党内議論さえ許されない状態・・以前よりもひど過ぎないかという批判が起き始めた・・都民ファースト創設メンバーの不満が出たことです。
この種の不満はその都議の元々の支持組織内で公然と言われていたでしょうから、メデイアが報じなくとも徐々に都民浮動層に広がります。
このような不満が蓄積しチョロチョロと漏れ始めている時に民進党全面合流決定が出ました。
合流という名の全面合併ですから、都議会で起きていることの全国版になることは容易に想像がつきます。
今回の総選挙ではメデイアと小池氏の仕掛けたトリックが露骨すぎたので、いかに選挙運動期間が短期間とは言え、多くの国民はすぐに虚構性に気がついてしまいました。
アイドル歌手を売りこむようなメデイアの作り上げる虚像にそのままホイホイと乗る国民がどれだけいるのかと見ていましたが、結果は周知の通りでした。
メデイア宣伝に簡単に乗らない日本国民レベルの高さに感心していますが・・逆から言えばメデイア界の宣伝次第でどうにでもできる時代が終わった印象です。
このシリーズでは小池氏の国政進出に横たわる問題の深さが、「排除の論理」を強調するだけではごまかし切れなくなったことを書いてきました。
小池氏の主張のデタラメさ(流行語さえ器用に使えばいい態度?)の一つである「都民ファースト」に戻りますと、他国の内政にまで手出し、口出ししているアメリカと違い都知事がこれまで他県の県政に介入して都民の税金を使ったこともありません。
どこの知事でも地元のために頑張って来た(・・その方策としてここは国に協力した方が良いか盾ついた方がいいか特定の県と共闘した方が良いかの塩梅はありますが)のですから、都民ファーストと強調する意味が不明・・・結果的に地元のためになろうとなるまいと・是是非ではなく「何でも国や関係他府県の政策に反対する」という政治スタンスぐらいしかイメージできません。
近隣の迷惑を考えずに真っ先に地元利益の主張をするのは、一見勇ましいもののストレートな主張の仕方は日本的政治のイロハからすれば拙劣なやり方ですが、この程度の政治家がふさわしい都民レベルであればそれも民主主義でしょう。
しかし、日本全体をどうするかという国政選挙に出る以上は、都民ファーストの主張は都民以外の国民からすれば、不愉快な標語でしょう。
都民ファーストの対語は端的にいえば「よそがどうなろうとよその面倒まで見たくない」という事ですが、これを唱える政治家が、国全般に目配りする国政担当者になりたいと旗揚げするのは矛盾しています。
都政ファーストで相応の実績を上げてから今度は地方政治の経験を生かして国政の立場で・というならばまだ分かりますが、まだ「リセット」するという掛け声で大混乱を起こした結果があっただけで、いまだに築地の移転時期さえ決まっていない状態です。
都民ファーストの主張は、従来以上に国の政策にノーを言うイメージですが、都知事になったばかりの人間が国家全体の運営者になる名乗りをあげるとその関係はどうなるのか?弁護士で言えば双方代理をするような関係で、全国に目配りしなければならない国政代表と相容れない立場です。
小池氏は、この1年の都政で築地移転問題でいかにも過去の決定過程・・石原元都知事に問題があったかのような思わせぶりな大騒ぎをしたものの結果的に高齢者イジメをしただけに終わり、オリンピックも似たような疑惑らしいもので大騒ぎしていましたが、結果的に何をどうしたいのか不明のまま元の計画通りにやることになった印象で、結果的に移転時期が遅れただけのように見えます。
都政を透明化すると言って立候補したのに都知事就任後は、個人的ブレーンとの密室決定を強行する独善的姿勢・公的決定システムをないがしろ・空洞化する不透明な言動が目立ちます。
これを強行するために7月の選挙で圧倒的議席を得た都議会与党が黙って賛成するだけという無茶な議会運営のイメージが伝わってきます
国政に関しても内部留保に課税するなど掲げる公約は全て素人目に見ても無茶過ぎるというか、素人目にも詰めの甘いその場しのぎ的公約が多すぎました。
いわば実現可能性のない無茶クチャな公約を宣伝した民主党が政権獲得後どうにもならなくなった民主党政権の焼き直しです。
民主党政権より酷いのは、政党を作ったと言いながら党内の組織・役職もはっきりせず、政党説立準備を進めてきた若狭氏をコケにして、小池氏一存で「私が代表になる」というと即時にその通りに決まってしまう・・機関決定なくいきなり小池氏が意見を発表するとそれがそのまま党の公式意見になるなどのイメージが広がりました。
無茶な党運営をしているのは・・組織立ち上げ直後で組織運営経験もなく人材も揃わないし、実務が間に合わないこともわかりますが、会社を作ったばかりで設計部門も下請けも作業員も揃っていませんが、やる気だけありますから私に任せてビルを建てさせてくださいと言ってくる建設会社のようでは国民は困ります。
古来から「勇将の下に弱卒ナシ」と言いますが、勇将一人で大軍と戦えません。
野球でもサッカーでも監督一人で戦えるのではなく、第一線で働く選手その他の人材・・組織でなり立つものです。
政治の場合にも多くの協力者がそれぞれの立ち場で一体感を持って根回しして物事が動いて行くのであって、党首1人の虚像をマスメデイアが作りあげても意味がありません。
そこがアイドルや銀幕のスターの場合、虚像さえ売り込めばいいのとの違いです。

総選挙と民度8(マスメデイアの威力低下2)

希望と民進の合流発表に戻りますと、希望の党はいかにメデイアの作り上げるブームに乗っても、希望の党自体が自力で政権取りに行く(一気に過半数を取る)のは無理としても、連立相手に選ばれることが必須・そのための数字・3桁当選(そのくらい保守票を食ってこそ自民大敗ですから時間がかかっても保守系にウイングを広げる努力をすべきでした。
ところが自民党系以外の一般公募よる発掘では素人中心で2〜3回の講習程度では即戦力にならない上に、既存支持組織がないので目先の選挙に間に合わないし、資金面でも困ってしまいました。
そこで差し迫った候補者不足や資金不足や各地方で立候補するための運動員等の組織を補うのは、民進系がてっとり早いとなったようです。
しかし民進党にウイングを広げても自民党支持者を食うことはありませんし、逆にそれまでの保守系支持者が逃げ出します。
立候補者の思想信条を問わない・誰でもいい・・一定数の手駒が欲しい野心先行の印象が目立ち始めました。
小池氏にはもともと「政界渡り鳥」・・人格的にどのような問題があるのか私にはわかりません・・マイナスイメージが以前から言われていましたが、今回はあまりにも露骨過ぎたことが失敗の大元のように見えます。
この動きは実は今年7月の都議選前から始まっていて、泥舟脱出の民進党離党組が大量に都民ファーストに参加して都民ファースト立候補者として名乗りを上げて大量当選したことに始まります。
ttps://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1499028541/

民進党に離党届を提出し、都民ファから公認を得た8人は全員が当選し“移籍成功”
一方、推薦を得て無所属で出馬した10人は5人の当選にとどまり、明暗が分かれた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170701-00072782/では都議選挙後の人事にかんする意見を書いています。
都民ファーストの原点は「かがやけ」と「7人の侍」だったはず

今回離党に至った選挙まで都議団幹事長であった音喜多氏の処遇について上記の様な大見出しで危惧を書いています。
都議会選後都民ファーストの運営を牛耳る様になり、都知事選旗揚げ以来の草創期支持者がドンドン弾かれていく・使い捨てて行くやり方が露骨になった結果都知事選立候補当初の地元政治家とその支持層が足元から逃げ出しました。
小池氏が以前から言われている弱点・人格批判されている・・どんどん使い捨てる本性をカモフラージュする余裕がなかったのは、時間がなかったことが焦りを誘ったとも言えますが、時間がないならば一回パスすべきだったでしょう。
周到な準備や組織がなくともメデイアさえ味方につければ、空中戦だけで当選まで持って行けるというあんちょこな考えによると思いますが、都知事選の場合一人だけメデイアの脚光を浴びればかなり効果がありますが、衆議院選挙の場合全国展開ですから、地方では地元支政治家に密接な人が多いので選挙の顔だけではなく地元で触れる個々人の人格も重要です。
当落をかけた戦い・・全国展開ですから足腰と一体で頑張る必要があります。
看板さえメデイア露出が多ければいいというものではありません。
総理になるための内心の準備は3年前からだったかもしれませんが、周りの準備には思想信条の一致する人材集めから始まり研修期間中の先輩後輩関係や本部組織や地方組織など順次組織を大きくしていくなどの試行期間が3年程度必要です。
同じ思想に染め上げていき場数を踏ませて育てて行くには自分は(まだ60年代前半と思いますしきっちりオリンピックを成し遂げた実績で打って出ればいいことですが・・)年齢的に間に合わないから・・という意見も散見されました。
組織面で見ても人数に応じて徐々に大きくするに連れて一周りずつ大きく改変して行くべきですし、その都度一定期間の試運転・運営経験が要りますが、都知事立候補・旗揚げからわずか1年では、数年かけて組織運営の試行錯誤をして行く時間もないし、数年かけて能力に応じた配置換えをすべきところを1年足らずで3年分の早送り的回転(1〜2年やって自分には無理とわかってからやめるのと数週間もしないでクビになるのでは)・切り捨てをすると恨みも買います・・立候補すべき人材育成・その人材の各地方での地元浸透その他全て間に合いません。
スポーツでもオリンピックが4年に1回のために自分の最盛期と合わない人もいっぱいいます・・・時間の巡り合わせが合わないのは天命として受け入れるべきでした。
もしかして小池氏自身がムードに頼るだけで独自の見識がない場合、小池塾で「頑張ろう!」という檄を飛ばすだけでは何回も続きません。
時間があれば却って困るタイプの政治家もいますが、地道に信奉者や同志を増やすよりは思想信条抜きに既成政治家をどんどん入れる方が即戦力で簡単・それも個別勧誘・意見すり合わせでは間に合わないから、民進党ごと丸ごと入党させるまでいくと、内容はごった煮どころか都知事選で応援していた一匹狼的政治は少数勢力になっていき有権者にとっても何のための新政党旗揚げか分からなくなります。
ここまでくると小池氏の旗揚げは、我欲が目立つだけで何をしたくて都知事選に出て政党を旗揚げしたかの理念が見えなくなってきました。
元々は「みんなの党」の関係者や「日本の心」の中山恭子氏の夫など自民党よりも右寄り人材を中核にして都知事選立候補したものでしたが・・民進党の引きずり込みを決めると希望の党内の政治力学が180度変わってしまいました。
時系列でいうと党を立ち上げたのが9月25日で数日後の合流決定では結党前から前原氏と通じていて・・内心で都知事選功労者切り捨てを決めていたのではないか?の疑いが出てきました。
さらに結党直後の全員合流ならば、素直に民進党と一緒に新党を立ち上げるべきなのに何故ややこしい「合流」方式になるのか?の疑惑が出てきました。
11月5日現在のウィキペデアによると時系列は以下の通りです。

希望の党(きぼうのとう、英: Party of Hope)は、日本の政党。略称は希望。
東京都議会の地域政党「都民ファーストの会」(東京都知事・小池百合子の支持基盤)が国政進出する形で、小池に近い議員が中心となって2017年(平成29年)9月25日に結成された。
9月28日には民進党と合流をし、第48回衆議院議員総選挙の公認候補の半数以上は同党出身の議員が占める
合流決定はわずか3日後のことです。

選挙後は党内多数意見を無視できない=旧民進党系の支配で希望の党はどういうスタンスになるのか?という国民疑惑が先ず広がりましたが、実は内部的に本来の小池支持で集まった政治家切り捨て(邪魔扱い)や新人養成への熱意がなくなっていたのです。
民進党議員や事務局スタッフ・全国組織まで丸抱えになれば、主導権が民進党議員が握られてしまうことが目に見えています。
都議の音喜多氏らの離党問題で紹介されていますが、都議選後の都民ファーストの会派では議会運営経験のある民進党からの合流者が委員長その他の重要ポストを握っている様子が出ています・・外野的視点で見ると衆議議員選より数ヶ月先行した都議選の結果、都知事選旗揚げのときから支えてきた一匹狼的都議数名は都議会レベル多数派の運営で邪魔になってきた・多数を占める民進党や自民党離脱組等の旧勢力出身都議グループから浮き上がってきた様子が見えます。

総選挙と民度3(合流の奇策→愚策3)

看板だけ希望の党で代表もそのままにしておいて内部を牛耳る民進党の戦略はいわば保守票を護憲派支持かのようにすり替える(ズルすぎる)妙薬です。
10月31日に書いたように民進党と組むことによって(組むだけでなく乗っ取られそうなことか3ら)、反民進党(保守系)票が脱兎のごとく逃げる効果・「国民を馬鹿にしてはいけない」ことを読み誤ったと思われます。
小池氏が民進党の看板(娘?)になってしまう・・民進党による「希望の党」乗っ取り計画があまりにも見え透いていたので小池氏の支持層であった保守系浮動票が早速逃げ始めました。
選挙までの期間が短いから「ごまかしが効く」と想定したのでしょうが、この程度の「見え透いた戦略」は誰でも想定がつくことです。
都知事選以来小池氏を応援していた人々にとっては、政権取りのためには左翼とも組む小池氏の心変わり・内部での風向きが変わったこと(協力の必要な民進出身者細野氏らの厚遇・発言力アップ)を肌で感じていたでしょうから、彼らのマイナス拡散力もバカになりません。
メデイア界では「排除の論理」が一気に支持を失った原因と最大限批判していましたが、それを前面に打ち出さざるを得なくなったほど小池氏自身が政権取り・権力欲実現のためには反安保・違憲論者の支持を得る方向へウイングを広げたことに対する都知事選で支持に回った浮動層に対するショックの方が先に進んでいたのです。
小池氏は、元々の政治スタイルからして無用になった(希望の党立ち上げ後必要な資源は、全国展開に必要な資金力・立候補のタマと組織力です)内部の保守系支持者の使い捨てを気にしなかったでしょうが、これが思わぬ波及・・肝心の浮動票の離反が始まっていたのです。
小池氏としては希望の党が安倍政権を脅かし連立相手にしてもらうには、大量立候補者と資金力が必須でしたが、あくまで保守系に軸足を置いて国政(連立)に参加したいのであって、非武装平和論の左翼系のスターになるつもりはなかったでしょう。
しかし大量立候補者を手早く集めるためには、民進党のコマを使うしかないとすれば、選挙後党内多数派を占める彼らの発言力に影響されるしかないジレンマです。
文字通り魂を敵に売ってでも権力欲の赴くままに突き進むか、ここはじっと我慢・都政で実績を積みながら数年かけて地道に勢力を広げるかの思案どころであったはずです。
小池氏はここで、政治家として必須の魂を売ってしまったのを身近にいた支持者に見抜かれてしまったのだと思われます。
希望の党のフィーバー原動力であった保守系浮動票の大方が、「この人は天下国家のために動く政治家ではなく、我欲だけで動いているのだ」と見抜いてしまい潮が引くように逃げ始めました。
浮動票に逃げられたのでは、浮動票による底上げ期待の民進党員にとっては希望の党に合流する意味がないし・・小池氏にとっても民進党支持者しか投票してくれないのでは立候補者を全国で立てる意味がない・・無意味な旗揚げだったことになり場合によっては政治生命を失いかねない事態になってきました。
メデイアは反安保思想が主流ですから、つい数ヶ月前まで安保法制違憲主張をしていた民進党議員が安保法制強化を主張してきた希望の党への合流させてもらうために節を曲げて安保法制/憲法改正賛成に署名する姿を想定して節操のなさを嘆いていましたが、実は民進党支持者も保守系浮動層も、誓約書などに重きを置かずその後の党内勢力関係に重きを置いていたことが選挙結果でわかります。
選挙結果を見るとhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017102302000252.htmlによると以下の通りです。

希望、東京で1勝22敗 選挙区 自民、首都圏も堅調
小池百合子東京都知事が率いる希望の党は三都県の三議席にとどまり、お膝元の都内は一勝二十二敗だった。
希望は八十選挙区に候補者を立てたが、半数以上が新人で苦戦。都内は前職長島昭久氏(東京21区)が議席を得たが、小池氏側近の前職若狭勝氏(東京10区)は選挙区は届かなかった。

小池氏のお膝元である都内たった一人の当選者は元民進党の有力者長嶋氏ですから、彼ならば無所属でも当選した可能性が高かったでしょう。
この結果によれば、小池フィーバーによる当選者ゼロで元々の民進党支持者の固い票で当選しただけという印象ですから、これでは保守系政党と言える実質がありません。
メデイアは「排除の論理を引き出された失敗が大敗の原因である」とあたかも左翼系の票が逃げてしまったかのように今も吹聴していますが、流れは逆でしょう。
民進党支持者の方が選挙後どうなるかよく知っていて当面表向き安保法制賛成と書いても一時的でしかない・・党内多数を握ればなし崩し的に元民進党系の意見になって行くに違いないと読んでいてトクな取引と考えて長島氏支持を変えなかった様子が見えますし、同様に選挙後乗っ取られるのがわかっている保守系の票がほぼ100%逃げてしまった結果が見えます。
メデイアの宣伝とは違い、排除の論理強調によって左翼系の票が逃げたのではなく、排除の論理強調にもかかわらず排除の論理強調にもかかわらず保守系浮動層の引き止めができなかったのが真相でしょうし、元々の民進党支持層もそれぞれ合流の結果がもたらす実態をよく見ていたのです。
小池氏は政権取りの我欲に負けて民進党の人材と資金力・そして連合の運動員提供の甘言に頼ってしまった・・魂を売ったのですから「いいとこ取り」できない失うべきものを失ったのはあたりまえです。
ただしそこはプロですから、合流発表直後から始まった浮動票離反の風を感じた小池氏も前原氏も焦ったものと思われます。
この焦りが両者会談直後の安保法制・憲法改正賛成とこれに応じる誓約書提出要求・応じない民進党議員の合流拒否・・「排除論理」を強調して表明せざるを得なくなった・・このくらいはっきり言わないと逃げ始めた動きを止められない・・焦りが背景・真相でしょう。
排除発言は小池氏と前原会談直後の記者団に対する表明が最初のようですから、十分な擦り合わせの結果であったと思われます。
このあと希望の党の重鎮になっていたこの夏ころに離党していた民進党の細野豪志だったか(受け入れリスト作り担当?)が、すかさず「三権の長経験者には少なくともご遠慮いただきたい」ような発言をしています。
実力者がいっぱい入ってくると元民主党系同士でも大先輩に主導権を奪われるのを嫌ったからでしょう。

総選挙と民度3(合流の奇策→愚策2)

小池氏旗揚げ時の支持母体を見ていきます。
http://www.sankei.com/politics/news/171006/plt1710060114-n1.html

希望の党から衆院選比例代表九州ブロックに立候補する中山成彬元文部科学相は6日、宮崎県庁内で記者会見し、首相に望ましい人物について「小池百合子代表が(衆院選に)出ないなら、安倍晋三さんがいい」と述べた。希望の党は「安倍政権打倒」を掲げているが、中山氏は、小池氏が安倍首相の交代を求めている点にも触れ「そこまで(党内で)意思統一ができていない」と語った。希望の党で出馬の中山成彬元文科相「安倍晋三首相がいい」・・中山氏は、希望の党に参加した中山恭子・日本のこころ前代表(参院議員)の夫で、自民党衆院議員として文科相や国土交通相を歴任。

中山恭子氏は保守論壇の寵児であり、自民党内超保守系のホープとして有名です。
ウィキペデイアによる中山恭子の経歴は以下の通りで、麻生内閣で拉致担当相をはずされると批判殺到で拉致問題担当補佐官として復活した経緯からも保守系の人気ぶりが分かる経歴です。

2007年(平成19年)7月に第21回参議院議員通常選挙へ自由民主党から比例区で立候補し、385,909票を獲得して党内得票数第3位で初当選した。同年8月27日に発足した第1次安倍改造内閣で留任、同年9月7日に拉致問題対策本部事務局長職を離任した。同年9月26日に発足した福田内閣でも内閣総理大臣補佐官(北朝鮮による拉致問題担当)に再任。11月15日、町村派に入会。
2008年(平成20年)、福田康夫改造内閣にて、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画担当)として初入閣を果たした。さらに、福田康夫改造内閣では、特命事項として拉致問題担当と公文書管理担当が発令され、国務大臣として同時に兼任した。しかしおよそ1ヶ月後の内閣総辞職に伴い内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画担当)および拉致問題担当、公文書管理担当を退任。
同年9月24日に発足した麻生内閣では中山の入閣は見送られ、拉致問題担当の特命事項は内閣官房長官の河村建夫が兼任することになった。拉致問題担当の国務大臣に中山を任命しなかったことに対して総理大臣官邸に批判が殺到したため[7]、中山は内閣総理大臣補佐官(北朝鮮による拉致問題担当)に再任。
2010年(平成22年)6月18日、夫・成彬が同年7月の第22回参議院議員通常選挙にたちあがれ日本から出馬することが確実になったことを受け、「夫を支援するため」として、自民党に離党届を提出し[8][9][10]、6月21日、夫と共にたちあがれ日本へ入党した[11
2015年(平成27年)10月1日に次世代の党代表に就任[12]。12月21日、党名を「日本のこころを大切にする党」と改称。2017年(平成29年)2月7日、日本のこころに党名を変更した[13]。
2016年(平成28年)9月、党代表のまま党政策調査会長を兼任[14]。
2017年(平成29年)9月、無投票で党代表に再選[15]。同月24日、夫と共に希望の党へ参加する意向を示し[16]、翌25日、日本のこころに離党届を提出し受理された[17]。同月27日、小池百合子東京都知事を代表とする新党「希望の党」設立会見に、結党メンバーとなる国会議員14人の一人として参加した。

中山恭子氏の希望の党参加でわかるように、もともと小池氏の都知事立候補は中山氏を教祖のように信奉する保守系運動家が中心になって動き出し超保守にとどまらず幅広く保守浮動票に広がって成功したものです。
小池氏の都政への挑戦は、もともとメデイアの支持を受けた左翼系鳥越俊太郎氏に対する対抗馬として始まったもので、左翼系の支持を標的にして拡大したものです。
都知事選で対する鳥越俊太郎氏はもともと民主党系のメデイアの寵児としての著名人で、彼に関するウィキペデイアの記事は以下の通りです。

2014年8月15日にNHKで放映された「戦後69年 いま“ニッポンの平和”を考える」で、集団的自衛権について政治家や有識者と公開討論している。その番組内で、現在皆さんの安全が脅かされているという前提でお話されておりますが、そんなの虚構ですと述べ、北朝鮮ミサイル問題や尖閣問題がありますとの意見に対して、「どこの国が日本に攻めてくるんですか?必要ないでしょ」として、集団的自衛権や米軍は不要であるとの考えを示している。
日本未来の党が解党した後は民進党を支援しており、2016年には、4月の衆議院北海道第5区補欠選挙で敗れた池田真紀の応援演説や、7月の参議院選挙長野県選挙区で当選した杉尾秀哉の応援演説を行うとともに、民進党のポスターにも登場している[25][26]。
2005年4月5日、呼びかけ人の一人として『マスコミ九条の会』結成に参加[3]。
2007年2月、民主党が東京都知事候補としての擁立を打診するも、自身が依然として癌療養中であるため、「(任期の)4年間に責任を持てない」として打診を断る[4]
2016年7月12日、東京都知事選挙への立候補を表明する
都知事選立候補者に関するウィキぺデアの記事中鳥越俊太郎氏関する記事からです。
鳥越俊太郎
(とりごえ しゅんたろう) 76 無所属
(民進党・日本共産党・社会民主党・生活の党と山本太郎となかまたち・新社会党・緑の党グリーンズジャパン・東京・生活者ネットワーク 推薦)

都知事選での小池フィーバーの基礎票・主役は、反メデイア+保守系の中でも右寄り勢力だったのに、民進党が丸ごと合流した場合小池氏の都知事選立候補時から協力してきた右翼系グループの意見と相容れないことが明白です。
ここで小池氏が目先の候補者と資金と運動員ほしさに民進党の全面受け入れを決めた時点で、都知事選立候補に際して中山氏らに協力を求めたときの政治理念の変質を前提にしていた・・中山氏ら(結党メンバー14人自体が民進党離党したメンバーがすでに多数を占めるようになっています)が選挙後は圧倒的少数派に転落し党内孤立・居心地が悪ければ離党していけば良い・切り捨て方針を明白にしたことになります。
都知事選開始当時はっきり小池氏を支持していたネット発信者の意見が、都議選の頃から「用済み扱い」されている雰囲気に微妙に変わってきていました。
都議選後自信を持った小池氏が国政に出るには「大量立候補者と資金・運動員が必須」という現実が待っていました。
そこで表向き当初から支持さになっていた有名人である中山氏ら既存政治家の比例上位優遇を示しながらも、彼ら数人程度選挙後党に残っても圧倒的多数の民進党系の主張に黙るしかない・離党すれば比例候補だから代議士の地位を失う・次順位民進党系候補に継承されるだけという結果が待っています。
小池氏はメデイア界で有名なだけで政治家同士では個人的に信奉する人が皆無・あまりにも露骨に切り捨てすぎる評価が言われていますが、あまりにも短期間にどんどん切り捨てていくやり方が露骨すぎました。
小池氏は民進党内極左グループ「排除の論理」発表以前にその日まで一生懸命に自分を盛り上げてくれていた仲間を切り捨てる方針を先に示していたのです。

総選挙と民度2(奇策→愚策)

民進党に限らずメデイア等左翼系支持者にとっては、次のような政治効果を期待していたと思われます。
もしも民進党のままで選挙になれば、得票率が6〜7%・・・26年選挙の得票率18%あまりに比較すると約3割しかない・当選者数もこれに概ね比例して大幅減の見込みでしたが、保守・浮動票を取り込む小池新党が立ち上がった結果、都議選の結果を見れば東京だけでも自民党惨敗が予想され、これが全国的立候補になれば、もしかすると大敗どころか過半数割れも夢ではないという予想でした。
大敗しても第1党である限り自民党は簡単に政権を手放さない・・その時の連立組み合わせ候補として小池新党が、最有力の地位を得ることになるシュミレーションが一般的解説でした。
メデイアの多くが小池新党を保守系として(自民党支持者を食う前提)連立組み合わせ想定していた前提から分かるように、希望の党の支持者は民進党支持者と被っていません。
企業合併・買収.提携ならば、同業であるが店舗網が競合しないとか、若者ターゲットの商品に強い企業とミドルに強い企業が提携したり関東に強いが関西に弱いときに地域割り(希望の党と大阪維新の相互協定)すれば、補完作用が期待されます。
民進党で公認した候補が希望の党に合流・希望の党公認で立候補すれば、小池フィーバーの浮動票をいただける・・こんなうまい話はあるのでしょうか?
「下手な考え休むに似たり」と言いますが、左系と右系の政党が合流すれば双方の票が入るのでしょうか?
もしも左右双方から票を得られれば、希望の党の公認で立候補した結果、元民進党公認候補の支持率6〜7%しかないところ3〜40%の得票率になって当選率があっぷするとすれば、保守系プラス浮動票の支持によって当選したことになるのに、民進党系議員の反安保・護憲意見が支持されたとしてすり替え主張することができるメリットがあります。
そして民進党系当選者が希望の党の5〜6割を占めれば、5〜6割の元民進党議員意見が10割の意見・希望の党の公式意見になりますから、仮に希望の党が国会議席の3割をしめる選挙結果になると、もともと7%前後の支持で低迷していた元民進党グループの反安保等の意見を国民3割の意見と主張できる・・錬金術のように膨らませていける勘定です。
「こんなうまい話に乗らない手はない」とばかりに民進党両院議員総会では政策すり合わせの議論もなく「意図的?に素通りして』満場一致で賛成したことになります。
企業の場合、大々的に提携・合併・買収メリットが公表されますが、双方の票をいただきたいという肝心の点を「ほっかむり」しなけれならないところが「後ろめたさ」を表しています。
今回の選挙結果を見ると、以下の通り希望の党50名当選者中45名が民進党出身者というのですから保守系から希望の党に走って当選した中山氏など元々の保守系政治家の意見が希望の党の党議決定でとおる見込みはありません。
上記結果は小池フィーバーが失速した結果によるものですが、仮に小池フィーバーが投票時まで続いて根っからの新人が数十人多く当選していても、その比率で民進党系の落選も減り当選者はも増えるの党内力学はほとんど変わらないでしょう。
都民ファーストに集い希望の党に参加しニワカ研修を受けて選抜される新人はほとんど全部素人・議員経験なしですから、選挙後の党運営は経験のある民進党出身者が党の要職を占めて発言力が高くなる・要は簡単に乗っ取れることが想定されました。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171004/k00/00m/010/174000cには希望の党の第一次公認内訳が出ていますが、これによると民進党出身が110人、希望の党が74人で民進党公認だった候補者が6割以上を占めているほか、その分類説明によると、民進党を先に離党して希望の党に入っているメンバーは・・例えば、細野豪志氏などは希望の党出身と分類されています。
詳しい名簿に関心のある方は上記を直接ご覧ください。
小池フィーバーは元々革新系+メデイアの推す鳥越俊太郎氏に対するアンチ勢力として保守系支持(だからこそ自民党の票が食われる)をコアにして広まったものでしたから、民進党公認候補の丸ごと合流計画はこれを民進党がそっくり乗っ取る戦略表明にほかなりません。
これが鮮明になった結果保守系浮動票がほとんど引いてしまい、希望の党への投票者自体が民進党支持者に限定されていった結果でもあるでしょう。
民進党が共産党と共闘すると共産党支持の投票が増えるが、その分反共系の票が減ると言われるように、希望の党が民進党と合流すると反民進党系の浮動票が逃げます。
小池フィーバーの浮動票が逃げない場合、比喩的に言えばメデイアによる煽り・フィーバーによる得票数が当選に数%不足の場合、浮動票しかない新人より民進党出身者には6%のコア支持者・・下駄を履ける分だけ民進出身者に有利です。
選挙結果・・希望の党当選者50名であったことは周知の通りですが、50名中民進党出身者が45名も占めていることについてはhttp://www.sankei.com/politics/news/171024/plt1710240045-n1.htmlによると以下の通りです。

民進に所属していた前職、衆院解散時に党の公認候補予想者だった元職、新人を民進出身候補者と分類すると、当選者は希望の党が最多の45人で、立憲民主党40人、無所属20人となった。

・・民進党議員総会で政策方向についてのまともな議論もなく(今頃「節を曲げない」と自慢している立憲民主党議員も含め)満場一致で合流を決めた裏には、(議論すると乗っとり作戦が表に出てしまうので、あえて議論しなかった)公然の秘密として選挙後はほぼ100%民進党系が党内ヘゲモニーを握れる読み・小池政治の保守・浮動票を護憲派支持に擦り変える目論見があったと見るべきでしょうし、私はそのように理解しました。
左右の合流で選挙後左右どちらになるのか政策目標をはっきりさせない合流で、左右双方から支持を得られる・・ごまかせると思ったのでしょうか?
ここで都知事選挙での小池氏支持母体の構図を見直しておく必要があります。
そもそも小池氏は自民党国会議員として経歴を積み防衛大臣まで勤めた人ですし、立候補し当選したのちも自民党籍を残したままでした。
小池氏が組織らしきものもなく都知事選立候補を表明した当初は、自民党候補では飽き足らないもっと右寄りの反中韓意見を主張している人物らが当初選挙運動の中核を担っていたもので、いわゆる「熱心保守系」支持を受けて選挙戦を展開する内に日毎に一般保守に支持を広げて圧倒的勝利を得たものでした。

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