ロシアとトルコの関係2(トルコ危機?1)

トルコのエルドアンは強権政治(権力維持)の代償として、国是であった欧米依存から、宿敵ロシアにすり寄ってしまった事になります。
トルコとしては、十字軍遠征以来の敵役であった西洋が産業革命以降圧倒的力を持つようになるとその力を借りないとロシアの攻勢から国を守れなくなった象徴がクリミヤ戦争でしょう。
この因縁の地をロシアがウクライナから奪ったのが、この2014年のことです。
この侵略行為に対して欧米は対露経済制裁しているのですが、エルドアンは狂犬支持批判を受け入れたくないために制裁で困っているロシアと手を組んで欧米に背を向けようとしていることになります。
オスマントルコ時代末期から現在に至るまで欧米寄りの姿勢を国是にしてきたのは、国力衰退の現実に合わせて、国家(民族)の存立を図るには格下と思っていた西洋列強に頼るしかないと判断した結果でした。
その行き着くところ、第二次世界対戦以降は対露大規模相互防衛条約であるナトーへの正式参加を許されるなど、対露防衛を盤石化してきたのがトルコでした。
NATO・北大西洋条約機構に関する本日現在のウイキペデイアです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%A4%A7%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84%E6%A9%9F%E6%A7%8B

2017年時点で29カ国[1]
加盟した年 国 1949年 アイスランド、 アメリカ合衆国、 イギリス、 イタリア、 オランダ、 カナダ、 デンマーク、 ノルウェー、 フランス、 ベルギー、 ポルトガル、 ルクセンブルク 1952年 ギリシャ、 トルコ 1955年 ドイツ

その後西欧ではEUが結成されたので、単なる軍事同盟だけではなく共同体の一員となることを求めていくら擦り寄っても擦り寄っても西欧(キリスト教社会)の仲間に入れてもらえない差別意識・屈辱感に苛まれることになります。
対露防衛を目的とするNATOという軍事同盟に早くから入れてもらっているが、運命共同体と認めるべきEU参加申請にあれこれと注文をつけられて一向に加盟が認められない現実・・運命共同体になるのは嫌だが、お互いの利を持って軍事面だけで協力関係を築くという露骨な西欧の態度・・これがエルドアンがさじを投げるようになった下地でしょう。
エルドアン個人の意見ではなく(屈辱的関係はゴメンだという)トルコ民族全般に流れる不満が背景と見るべきでしょう。
しかし、運命共同体にまではなれないとしても、どうせ支配下・あるいは他人づきあいするにしても、ロシアの支配下あるいは服従関係に入るよりは、西欧の方が優しいというのが、歴代トルコ指導者や民族の判断だったのではないでしょうか?
実際ロシア支配下に入ったクリミヤ半島などではトルコ系というか、中央アジア系原住民の多くはシベリヤ等へ集団強制移住させられて現地にいなくなっていると言われます。
バルト3国その他でもロシア支配下に入った地域では、ロシア系人口の急増・原住民の激減が見られます→人為的強制移住政策・・シベリア送りが言われてきた・・うろ覚えの記憶ですが、詳細根拠までチェックしていませんので正確性は?と思ってください。
欧米に従うのとソ連・ロシア民族に従うのとどちらが良いか・・第二次世界大戦後の結果・・東独と西独の発展の差・・ソ連軍支配地となった東独では鉄道線路まで剥がして持って行ったと言われています。
日本の場合、北海道がもしも戦後ソ連支配下に入っていれば北海道住民の日本人の大方がシベリア送りになっていて(その多くは反共思想嫌疑対象にされて粛清され極寒の地で死亡してしまい、人種的には消滅?)北海道住民の大方はロシア人に入れ替わっていた可能性が高いでしょう。
60年安保騒動の頃に、メデイアでは公式報道はありませんでしたが、・我々世代は「アメリカがひどいからといって、ソ連支配・服従関係に入るのとどちらがひどいかの選択の問題」だという意見を聞いて育ちました。
満州駐在の関東軍将兵がシベリヤに連行され抑留された過酷な経験もあって(不可侵条約を破って満州侵攻してきた連軍の残虐さ、腕時計など見つかると身ぐるみ剥がれされるような経験、婦女子の暴行など)メデイアが報道しなくとも日本をソ連侵略から守らないと大変なことになるという選択のテーマ・・口コミの恐怖感の方が強かったのです。
実際その時の国民の選択・欧米よりいわゆる西側・・日米安保体制選択が正しかったことは、今や歴史的事実でしょう。
戦後思想界・メデイアを席巻していた左翼・・ソ連系思想界の失敗・・が白日の下にさらされ始めましたが、この批判論台頭に恐れをなしたのか?最近左翼系思想界からの巻返し運動・・60年台から70年初頭にかけての思想あるいは芸術界の過激な動き・吹き荒れた学生運動等の回顧展が宣伝されていますが・・これは批判のうねりに対する最後の反撃のつもりでしょうか。
日経新聞1週間前の文化書評?に高坂正嶤に関して誰かが書いた書物の書評が出ていました。
論壇では左翼系信奉者の多い丸山真男論ばかりで高坂正堯氏に関する評伝が少ない・・安保騒動が歴史になった今になると、高坂正堯氏の思想意見の通りの歴史展開になっているので彼の功績が見直されるべきで時宜を得た書物だというというような書評が出ていました。
文献では60年安保でも表向きの議論ばかりですので後世の人は誤解しますが、現実に生きている当時の人は占領政治に気持ちの良い人はいない・・米軍人による強姦事件多発や日米戦争開始に関する日本側の言い分が100%封じられてしまう不満などいくらでもありますが、(GHQ司令部跡を22日に見てきた感想をクリスマスのコラムで書きますが、せっかくの文化遺産をペンキで塗りたくるのがアメリカの文化度です)「じゃソ連だったらどうなのかの比較が庶民間では行われていた・・メデイアで論じられない重要な価値判断があったのです。
現実生活者の目はしたたかですが、メデイア界の寵児・思想家評論家は(共産社会は貧富の差がない理想の社会という)青臭い議論ばかりで社会体験のない青年を煽っていたのです。
学生運動家上がりの文政権の「最低賃金さえあげれば皆幸せ」という書生論が韓国経済を苦しめているようですが「韓国のアメリカ離れ」中国寄りの動きもトルコの動きと似ていますが、要は選択の問題でしょう。
擦り寄るといえば、ロシアの西欧崇拝も相当なものです。
フランス宮廷風文化取り入れに歴代皇帝は熱心でしたし、今もできれば西欧の仲間に入りたいのに西欧から見ればどう猛な野人扱いで本当の仲間に入れてもらえない悔しさで、今やプイッと横を向いて嫌な中国のご機嫌伺いするしかない状態です。
地理的に見ればトルコもロシアも西欧世界から見れば辺境の地という点で共通的・ひいては粗暴なイメージですから、社会意識・文化的に遠くなるのは仕方がないことでしょう。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃2

日本政府はオーストラリアなどのように名指しして禁止しないが、事実上この5社製品が採用されない方針のようですが、これでは法的効果が不明瞭になりますし、(契約に〇〇製部品限定」と書いているのに、中国製部品を組み込んでいても民事契約違反でしかなく、)規制違反でないので刑事処罰対象にはなりません。
こうして企業から調達する製品に中国5社製品が紛れ込んで(今の電子技術では、機器にこっそりと組み込んでおくと自動的に情報を抜き取れる仕組みのようですから、)国防情報や企業秘密が事実上筒抜けになっても違法ではないことになります。
時あたかも12月15日の日経新聞第1面には、フェイスブックでスマホに掲載する手続きする前の原稿段階の多数の写真を外部関係者が閲覧できる仕組みになっていたことが判明し、大ニュースになっています。
フェイスブックは意図的に特定政治的グループに見せたのではないでしょうが、こういうことが政治的に利用されていてもわからないのでは困ります。
スマホ利用者は、相手に見せて良いと思う写真や動画だけ送信しているつもりですが、現地で撮影した時点で実はフェイスブックに(もしかして送信予定原稿も)全部届いていて、その中で指定した写真等(完成稿)だけが送信されているのではなく、撮影や原稿下書き段階で全部フェイスブックに届いていて、その中の指定原稿や写真だけが、指定した相手に送信される仕組みのようです。
前提として全部の情報が事前にフェイスブックに届いていて、そのうちの指定情報だけを指定された人にフェイスブックが送信する役割のようですが、電話で言えば混信して別の人に電話がかかるようなミスが起きる場合もあれば、事前に送信されている膨大な情報(その他下書きや送りたくない写真等)がヘフェイスブックにそのまま残っている・・誰かが見られることになっている現実を多くの人は知らないか、気にしていない(私だけかな)でしょう。
このように企業側で(特定の者しか見られない)遮断装置がちょっとしたミスで特定外のものに解除になると世界中に拡散する脆弱なものですから、この装置に侵入したり解除機器を極秘に仕組んでおけば企業機密・最新技術情報や、国防機密、政府首脳の会話記録など筒抜けです。
例えばこのコラムの原稿もグーグルサービスを使っていて、自分で独自に保存していませんからアップデート前の原稿がグーグルの「気分次第で?」誰が見る資格があるかが決まっているのは当たり前です。
気分次第ではなく、普通は機器の管理補修等のため以外に開くのは許されないルールがあるはずですが、ミスであろうと意図的であろうと、無制約に個人情報が外部に流れたりあるいはいつでも特定政治勢力が秘密裏に収集できるのでは困ります。
中国政府による世界的機密情報抜き取り・・サイバーテロ行為が疑われるようになったのは、中国にとって大打撃です。
いわば泥棒するような人を仲間に入れたくないような心境が世界に広がっています。
日本では直接的採用禁止をしないようですから、せいぜいアメリカの逆鱗に触れて日本国内企業はファーウエイみたいにアメリカに行った時に検挙されるのが怖いので事実上自粛するのを期待するしかないことになります。
(日本国内法違反で日本自身が規制できない)
このように事実上の規制と法的規制とでは、強力さがまるで違いますので産経の主張は日本も直接禁止すべきと言うのでしょう。
確かに法的効果は劇的な違いがありますが、日本の社会は何でも刑事罰で脅すのではなく、モラルの定着によって、国民が皆で守る社会です。
中韓のように不買運動などしなくと慰安婦騒動や尖閣諸島問題以降国民は黙って、中韓への旅行が激減し韓国製品と聞いただけでそっぽを向く習慣になっています。
国民あげて中国は怖いという印象が定着していますので、ファーウエイ製をコッソリ使っていたとバレたらその企業の国内販売が危うくなるでしょう。
(もともとソフトバンクは何となく中韓贔屓で怪しい!というわさがそれとなく広まっていましたが、)ファーウエイ事件をきっかけに日本の通信業界では、ソフトバンクのみが中国製を組み込んでいると言うネット上の噂が広まると、次期企画の5Gのみならず4Gの既存設備も急遽北欧製に取り替えると発表せざるをなくなったのは、国民意識を無視できないからです。
https://www.sankei.com/economy/news/181212/ecn1812120026-n1.html

日本でもソフトバンクが携帯大手で唯一、現行の4Gでファーウェイ製の基地局を、同じ中国の中興通訊(ZTE)製とともに採用。5Gでも共同開発を行う。
調査会社のMCA(東京都千代田区)によると、ソフトバンク向けの出荷は年々増え、17年度はソフトバンクの調達額の6割弱を占めたとみられる。ソフトバンクはファーウェイ製品を排除する方針で、MCAの天野浩徳代表は「ソフトバンクにとっても打撃だ」としている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38878170T11C18A2MM8000/

ソフトバンク、既存基地局もファーウェイ製排除
2018/12/13 14:00
日本経済新聞 電子版
ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(ファーウェイ)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。北欧の通信機器大手エリクソンとノキアの製品に順次置き換える。次世代通信「5G」でも中国製を排除し、北欧2社に発注する。世界で広がる中国製通信機器排除の動きが、日本企業の設備投資に影響を及ぼし始めた。

中国贔屓とみられていたソフトバンクも正面切って、違法行為をしているという証拠もない以上は、「アクまで中国製を使う」と開き直れないと判断したのでしょう・・。
世界中が中国製締め出しに走るようになると中国経済はガタガタです。
習近平政府としては反米で国民を煽ることもできず、困り切っている状態でしょう。
今になると中国が米国と親密な安倍政権に助け(打開策のアドバイスや仲介)を求めることはあっても対日攻撃の戦端をみづから開くなどの冒険は不可能な状態でしょう。
このシリーズ原稿は15〜6年頃に書いておいたものですが、まさに安倍政権はこのための布石を打ってきた成果が今になって明白に出てきた事になります。
安易な攻撃を誘発するような無防備・・ウクライナのように即日占領されるような弱さでは困りますが、一定の守りをするとともにその先は国際政治力学を構築しておくことが重要です。
中国にとって日本には近代の歴史上1回も勝ったことのない強国ですから、日本が一定の守りさえ固めた上で、国際的応援団を用意しておけばロシアによるクリミヤ併合のように短期間で決着が着きません・・。
中国が機会を見て日本侵略をしたい時に世界から少しでも悪く見られている方が良いので、そのための反日宣伝を陰に陽に日頃から国際的に進め、いざという時には日本の守りが弱い方が良いので、この下準備として反日活動家を日本国内に潜伏させておく「草」として利用しているのでしょうか。

EU弱体化とフランスの混迷2

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000910/?P=4
怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか

2018年12月11日(火)
米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、その実効性が疑問視されている。マクロン大統領はそのトランプ大統領の説得役を買って出ているのだ。
「私は絶対に諦めない。それが自分の使命だと思う」とまで話している。皮肉なことにそのマクロン大統領のお膝元であるパリで、温暖化対策のための燃料税に反対するデモが広がり、パリ協定の存在が揺らいでしまっている。
マクロン大統領は温暖化対策だけでなく、様々な改革を進めてきた。
特に力を入れてきたのが、フランスの構造改革だ。フランスは他の先進諸国に比べて公務員の比率が高く労働組合が強い。そのため雇用の流動性に乏しく、低成長の状況が続いている。
こうしたフランスの積年の課題にメスを入れたのがマクロン大統領だった。
公務員を削減し、労働者を解雇しやすくする法改正を実施する一方、法人税を減税し、社会保障費の負担を高めた。
経済成長などの成果が出ていたら、改革に対する不満はさほど顕在化しなかったかもしれない。
しかし、成果が出るまでの時間がかかっている間に、低所得者などの不満のマグマがたまり、これが今回の燃料税の引き上げで、爆発した。

国内の痛みを伴う矢継ぎ早の改革だけでも国民の限界が来ているのに、地球温暖化対策のために、(国民には痛みを強いるだけで・・悪く言えばマクロン氏の格好つけだけ?・・なんら恩恵がない燃料税アップの追い討ちは、我慢の限界に火をつけるに格好の標的だったでしょう。
http://news.livedoor.com/article/detail/15717313/

トランプ大統領の投稿にフランス外相が不快感「口を出さないで」
2018年12月10日 10時32
燃料税の増税を巡るフランスのデモについて、トランプ米大統領が言及した
Twitterに「パリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻すときだ」と書き込み
フランスの外相は9日、テレビ番組で「口を出さないでほしい」と語った
フランスでは環境に配慮した経済への移行を目指し、燃料税を引き上げることを巡ってデモが続いています。アメリカのトランプ大統領は、ツイッターに「馬鹿馬鹿しいパリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻す時だ」と書き込みました。フランス政府を批判し、地球温暖化対策に取り組むパリ協定からの離脱を表明したトランプ政権の決定を正当化する狙いがあります。これに対してフランスのルドリアン外相は9日、テレビ番組で「我々はアメリカ国内の問題に口を出していない。アメリカも口を出さないでほしい」と不快感を示しました。

何か“滑稽な”やりとりになるのがフランス流というべきでしょうか?
原油高→ガソリン値上げで庶民が困っているところで、温暖化対策のために燃料税をあげるというのは我慢の限界に来ている点にきづかなかった・・センスが悪すぎますが、(功を焦ったのかな?)これが発火点になったところで、1年間の矢継ぎ早の改革はどちらかといえば富裕層に対する優遇措置が多く低所得層に厳しい内容でしたから、これに対する不満が吹き出して、燃料税アップの中止だけではすまなくなってきたようです。
11日のニュースでは、最低賃金引き上げも発表するなど、過去1年間の改革の巻き戻しになってきました。
富裕層に対する不満の強いフランスではゴーン氏の日本での「高額所得隠し検挙」を好意的見ている人の方が多いというネット評論があったようですが、今回の騒動によって高額所得者優遇改革に対するフランス国民の反発の強さを見ると、意外にそのようなネット指摘が当っていたのかな?と感心しています。
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/ゴーン被告の支援、仏政府動かず-エリート主義の印象払拭に躍起/ar-BBQRyhT#page=2
Ania Nussbaum

2018/12/13 03:59
「黄色いベスト運動」のデモが吹き荒れるフランスで、ゴーン被告の窮状という問題は脇へ追いやられている。デモ参加者が訴えているのは富の不平等に対する憤りであり、エリート主義に対する強烈な嫌悪だ。
ノッティンガム・トレント大学でフランス研究を専門とするクリス・レイノルズ教授は、「ある意味、カルロス・ゴーン氏は黄色いベストの参加者が嫌悪する全てを体現している」と指摘。「所得上位1%に入るゴーン氏は、経済改革に必要との名目で政府が強いるあらゆる犠牲から完全に保護されている」と述べた。
ゴーン被告の支援に動かないのはフランスの政治家だけではなく、幅広い層からも同情が見られない。
ハッシュタグ「#FreeCarlos(ゴーン氏を自由に)」のツイッターは全く広がらず、著名な実業界幹部や業界団体もほぼ口をつぐんだままだ。
ルノーの筆頭株主として、ゴーン被告の苦境に最大の経済的利害を持つのはフランス政府だ。だがマクロン大統領は、同被告について直接コメントすることを控えている。ルメール財務相はゴーン被告が推定無罪であり不正の証拠を要求するなどと主張してはいるものの、言及は最小限にとどめている。

このような国内情勢ではゴーン氏の逮捕に対して、フラン政府も日本に対して表向き異を唱えられない半端な状態になっていることがわかります。
燃料税アップ以外はやっていることは真っ当な感じですが、国民の方はこの真っ当すぎる荒療治に耐えられず暴発しているということでしょうか?
病人の体力が弱り過ぎた時に大規模な手術をしたら、却って病人の命を縮めることがあります。
フランス経済は長年の社会主義的政策による弊害に慣れすぎて・・治療開始が遅すぎて、すでに不治の病いにかかっているかのようにも見えます。

 EUの中国離れ→(EU弱体化と対日EPA・フランス混迷)2

対EUEPAに関する政府発表は以下の通りです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ie/page22_003091.html

(参考)
日本のEPA・FTAこれまで21か国・地域と18の経済連携協定(EPA)が発効済・署名
済(2018年7月現在)。
EUの最近のEPA・FTA・韓国:2010年10月署名・カナダ:2016年10月署名
日・EU経済連携協定
背景
<経緯>
2013年 3月 交渉開始決定
2017年 7月 大枠合意
2017年 12月 交渉妥結
2018年 7月 署名
本協定はアベノミクスの成長戦略の重要な柱(総理施政方針演説等)。
日本の実質GDPを約1%(約5兆円)押し上げ,雇用は約0.5%(約29万人)増加の見込み。
(内閣官房TPP等政府対策本部による試算)
自由で公正なルールに基づく,21世紀の経済秩序のモデル
(国有企業,知的財産,規制協力等)。
世界GDPの約3割,世界貿易の約4割を占める世界最大級の自由な先進経済圏が誕生。
(EUのGDPは17.3兆ドル(世界GDPの21.7%)。日本のGDPは4.9兆ドル(世界GDPの6.1%)。)
⇒ 早期締結は,日EUが引き続き貿易自由化の旗手として世界に範を示し続けるとの力
強いメッセージ。
⇒ 日EU双方の経済界には早期締結への期待あり。日EU首脳間でも早期発効を目指すことを繰り返し確認している。EU側は,12月13日に欧州議会,20日に理事会の承認を得られる見込み。
(カタイネン欧州委員会副委員長による10月23日の記者会見での発言)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181208/k10011739531000.html

日本とEUの経済連携協定 国会で承認 来年2月発効へ
2018年12月8日 6時04分
協定の発効に向けて国会承認を求める議案は、6日の参議院外交防衛委員会で可決され、8日未明開かれた参議院本会議で採決が行われました。
その結果、自民・公明両党と日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決・承認されました。
EU側は今月下旬に承認手続きを終える見通しで、協定は、来年2月に発効されることになります。

立憲民主などの野党はいつも何かと「この点がはっきりしないと賛同できない」と不満を言って(ケチをつけては?)は日本にメリットのアリそうな政治は結果的いつも反対であり、少しでも先送りしたい姿勢です。
働き方改革であれ、外国人労働者拡大であれ、法律段階では一定の方向へ踏み切るかどうかを決めるのが中心テーマであり、方向性・大綱を決めるのが政治家・政党の論じるべき争点です。
このために多くの法律では施行後数〜5年程度で運用実績をみて再考する規定が置かれているのが普通です。
ですから細かいデータが違っていることは法案反対の理由にはなりません。
神様のような予測できないのですから、枝葉末節のデータの粗探し・・そのデータが整うまでは議論できないとして審議拒否する・・そんなことを言っている・・百年河清を待つような議論・反対のための反対・・ケチをつける類ではないでしょうか。
最後はいつも決まりの不信任決議案提出等での時間稼ぎですから、そんなことをするために国会議員がいるのか不思議に思う人の方が多いでしょう。
これではどこの国のための運動なのか?という疑念が起きて国民の支持が減る一方でしょう。
EUの混迷に戻ります。
フランスではこの10日間ほどマクロン下ろしの大騒動が連日報道されている状態です。
https://news.nifty.com/article/item/neta/12189-20161909025/
2018年12月08日 15時00分

閣僚は次々と辞任し、パリでは激しい大規模デモ 低支持率に悩むマクロン大統領の行く末
昨年の5月に39歳の若さでフランス大統領に就いたフランスのエマニュエル=マクロン氏が燃料税増税方針を先月、発表した。それに端を発して抗議デモが全国各地で勃発し、、パリで一部が暴徒化し、建物が破壊され車両が炎上する事態にまで発展した。
マクロン氏は減税などで大企業や富裕層を優遇してきた。マクロン氏は「金持ち大統領」と批判されてきた。庶民の怒りは頂点に達し、社会の不平等に対する不満が爆発。支持率は発足一年半年で66%あった支持率が12月4日の調査では23%まで落ちた。

この騒動を受けて、数日前マクロン政府は来年1月1日から始まる予定だった燃料税アップ撤回発表していますが、それでも騒動が収まらず12月8日の週末デモが強行されたとニュースになっています。
https://www.asahi.co.jp/webnews/ann_i_000142645.html

フランス 政権へ不満爆発でデモ再び 1300人超拘束
12/9 06:20
燃料税の増税をきっかけに始まったデモは、政府が増税の見送りを発表しても暴動が収まる気配はなく、事態収束の見通しは全く立っていません。

地方自治と国家利益(民族一体性)2

与那国島の自衛隊基地設置可否の住民投票権についてOctober 24, 2016「自治体の意思決定3(エゴだけで良いか?2)」で少し書いたことがありますが、その後自治体とは何かのテーマに入っていき(アメリカの自治体の紹介に入り、その後さらに横に行き、最近(18年11月23日まで・・アメリカの自治体テーマに戻ったばかりですが、この機会に)その時の原稿がそのままになっていたので、今日はその続きに戻ります。
ダムのために村が水没し、原発など子孫に関係する問題・・先祖伝来の家屋敷田畑を失い100年以上先まで影響することについて、ダム工事準備の現場労働のために数ヶ月や1年前から来ている人や転勤族が、(仮に永住する気があるとしても)口出しするのはおかしいと思うのが普通ではないでしょうか。
まして数年後には本社に戻ったりして出て行く予定の人たちに先祖代々住んでいる人と同じ発言権や投票権を与えるのは合理的ではありません。
ゴミ捨て方法や保育所の設置数など身近な問題だけ決める制度設計の自治体の場合には住民参加・(国籍を問わない)居住者中心・・2〜3年しか住まない転勤族でもどこに信号機があれば良いか、この路地は一方通行にしてほしいなどの意見を言う権利がある方が合理的でしょう。
アメリカの自治体はこのような目的で設置されて来たものです。
しかし、国防や原発立地・首都圏の水源地やダム設置など全国的または広域的影響のある問題まで、山間〜過疎地の自治体住民のエゴ・損得だけで決めてしまう・・拒否権があるのは行き過ぎです。
身体で言えば生命体全体維持の必要があって検体検査のために一部切り取る・あるいは血液検査する必要なトキに身体の一部が犠牲になるのは痛いから嫌だと言えるのは馬鹿げています。
影響を受ける都や国にはまるで決定権がない我が国の制度と一緒にする意見自体が論理のすり替えにならないでしょうか?
トランプ氏の移民排斥(再入国禁止)基準をどこに置くかのテーマと同じで難しいですが、選挙権の場合には居住(転居してくることを)自体を禁止するのではなく、その自治体での政治に参加するための保留期間にすぎませんし、その間は元の居住地での選挙権を行使できるのとセットですから選挙権がなくなるわけではありません。
異動後の遠隔地で投票しやすくすればすむことです。
特定政治テーマ実現のための運動員潜入を阻止するためには、少なくとも5年以上継続居住条件くらいはつけるべきでしょう。
公職選挙法では居住要件が僅か3ケ月しかないので、選挙目的の転入が公然と行われる(という噂)が広がっている状態になっています。
公職選挙法

(昭和二十五年四月十五日法律第百号)
(選挙権)
第九条  日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2  日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」

引っ越して3ヶ月やそこらでその自治体の抱えるテーマについて利害や識見をもっている人は(元々の住民が転勤から帰ってきたような場合や選挙目的で住民票を動かした人は別として)稀有でしょうし、何のために短期間に投票権を与える必要があるか不明です。
例えば都議会選挙の選挙時期に関する公明党の本音が公然と語られていること・・(選挙向けに住民票移動が行われているからではないか?と昔から言われていましたが、真相不明です)最近沖縄基地周辺で専従的運動員がいるらしい・・・・本土から移住者や韓国語・中国系言語が飛び交っていると言う指摘が多い所以です。http://www.sankei.com/politics/news/161004/plt1610040038-n1.htmlからの引用です。

「北部訓練場の暴行で逮捕 容疑者は社民・福島瑞穂議員らと接点」
「沖縄県の米軍北部訓練場(東村など)の過半の返還に向けたヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に対する妨害活動で、防衛省沖縄防衛局職員にけがを負わせたとして、沖縄県警は4日、傷害の疑いで、工事反対派で住所・職業不詳の添田充啓容疑者(43)を逮捕した。添田容疑者は8月ごろから北部訓練場の妨害活動に参加。社民党の福島瑞穂参院議員が現地を訪れた際には行動をともにしていたという。」

上記産経報道によると基地の過半を返還・縮小するための工事を妨害しているのですから、これでは何のための反対運動をしているのか意味不明(詳しい人にはそれなりの理屈があるのでしょうが・・)な印象です。
訓練基地の過半を返してもらうための工事妨害ですから、沖縄県民の基地負担縮小を名分とする反対運動していたのとは方向性が違っています。
どこかおかしいと言えば、辺野古基地移転騒動も基地周辺の負担が大きすぎる問題解決・負担を減らすために一部海上へ移転しようとしたらこの騒ぎになったものです。
http://critic20.exblog.jp/26053008/

「先週(10月4日)、沖縄の米軍北部演習場でしばき隊の男が逮捕された。ヘリパッド工事に反対する抗議行動の最中に、防衛局職員を突き飛ばして転倒させ、頭部打撲など2週間のけがを負わせた傷害の容疑である。男の名前は添田充啓(本名記載→私が抹消)。しばき隊の戦闘部門である男組の組長を名乗っている。前科三犯。過去3年間、男組の活動中に3度逮捕され、いずれも暴行・脅迫で有罪になっていて、今回で4度目の逮捕となる。」

彼は16年7月以来沖縄に張り付いて運動していたようですから、生活費を含めてその資金背景に関心が行きます。
紹介した16年の記事を見ると、地元住民と関係のない活動家が入り込んでいること・地元住民と関係のない全学連が住み着いていた成田空港反対運動が再来したような印象です。
マスコミ・文化人は何かと言うと自己意見の正統性を立証するためにか?「諸外国では・・」と言う紹介が普通です。
ロシアやアメリカで軍事基地の設置やオスプレイなど各種兵器の配備に付いて、地元の町や市の同意を要する仕組みになっているでしょうか?
新兵器開発の都度地元自治体の同意がないと新規配備ができないのでは、軍の機能が維持できません。
地元自治体の危険性判断のためには、兵器の性能詳細・・機密開示を要求できるとすればそれ自体が不合理です。
自治体が高度兵器の性能判断できる専門家を日常的に擁しているはずがないので、臨時の外注・民間に頼るのでしょうが、そういう先端技術に精通した暇なプロがいっぱいいるの?という他に、そうなると軍事機密がどうなるの?となります。

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