過去100年〜千年かかって築き上げたインフラを後から来たものによる無償使用に対する民族益の保護の精神の外延・外国投資した民族資産や在外邦人保護はどうなるのでしょうか?
経済進出されている方の対応策はスエズ動乱のように露骨な接収・国有化はできないで、今は最大でも反日運動やボイコット運動くらいですので、国外進出企業はその程度のリスク覚悟で進出すべきというのが国民・国際合意であり、軍を動員して自国企業を守るなどの報復などは想定できません。
外国で日本人標的の犯罪名目の検挙が続けば、どのように現地法人や在外法人を保護するかですが、今の国際常識では軍の進出は認められず、他の政治上の駆け引き・・援助停止〜工場進出計画実施の先送り〜企業進出にブレーキがかかるなどや輸出入実務のサボタージュ程度しかできないのが原則です。
現在の韓国による反日不買運動に対しては、日本も紳士的にお返しをする程度のことで国民もそれ以上望んでいません。
「この機会に却ってどんどん疎遠になればいい」という受け止め方の人が多い印象です。
中国企業ファーウエイ幹部が米政府の要請でカナダで逮捕されたときのカナダ政府と中国の綱引き(中国政府はすかさず、在中国のカナダ人を何かの容疑で拘束しました)や、イアラン向けタンカーをジブラルたる政府が拿捕?したことに対してイランが英国籍タンカーを報復的に拿捕しましたが、こういうやり方が現在社会における最強行策の限界です。
この場合の民族精神はどうなるのかが数日前から気になっていましたが、歴博から送付されたばかりのNO216号、「異郷で暮らす日本人」をたまたま数日前の土曜日に自宅で読んでいると偶然?私の関心のあるテーマの研究資料でしたので、以下それを読んだ受け売りも含んで書いて行きます。
上記資料では境界人?だったかの表現ですが、遺伝子的には混血したハーフとは違うとしても、経済利害・これを受けた心情的にはハーフ的立場になるようです。
12年頃の中国の反日運動時には、日系製品不買運動が盛んでしたしトヨタ車に乗っているだけで民衆に襲撃される報道もありましたし、今回の嫌韓騒動では韓国のユニクロなど真っ先に不買運動の標的になっています。
こういう場合に境界人ともいうべき関係者(在中日本人と日系企業従業員である中国人等)の意識はどういうものかの研究のようです。
マイナスを懸念する企業の声が本国政治に影響するものの、実際に本国国民感情に影響を与えていたのはメデイアの報道であり、その企業の現地駐在員の方は本国ほど反中意識が強くなかったとの報告です。
ただし、上記歴博文書を見るときっちりした論文形式でないからかもしれませんが、客観調査したのか?しないでちょっとした聞き取り調査しただけか不明ですが、質問された方は綺麗事を語った可能性もあるので、事実かどうかは歴史評価によるでしょう。
民俗学的フィールドワーク手法・・原住民部落に一定期間住み着いての民俗学的報告では、生活スタイル等の客観的報告は報告者の調査能力を信用するかどうかだけとしても、日本と利害のある内面的聴き取り調査では仮にロコンが残っていて事実としての信用力があっても聴く方に迎合する傾向が生じるバイアスを否定できないでしょう。
反日暴動時の心理調査をするならば、質問する内容は反日運動に率先して参加した中国人従業員が何%いたのかいないか?
工場内備品が何者かに荒らされたことがあるかなどの客観調査をすべきでしょう。
当時のサボタージュの有無程度などの客観資料調査を十分した上での補充的質問であるべきでしょう。
この種の客観調査をすること自体、現地従業員に対しては社内極秘事項でしょうし、日本人駐在員に心理状態を質問しても本心では中国人従業員に対して不信感や不快感を持っていて、「現地人はいざとなれば信用できない」と思っても、今後も現地生産を続ける以上は企業人がそんなことを口外するわけがないでしょう。
100人に一人でも健気に企業のために尽くした人がいたら、その人を思い出して中国人の良い面ばかり説明するのが普通ではないでしょうか?
以上のような疑問がある点を前提に歴博文書の紹介や感想書きますので、以下そのつもりでお読みください。
上記資料では日系企業に勤める店員や工場勤務者も、日本語学校に通う生徒も反日運動が激しくなると中国社会で肩身がせまいので早く終息してほしいし、教えている日本人教師も中国人生徒(多くは10台でしょう?)の困惑した気持ちに寄り添いケアーして面倒見てきたようで、相互に日本人でも中国人でもない境界的共同体意識が形成される印象の記述です。
残留孤児が帰国した当時中国との親和性からか(今ならそういう報道が洪水のように出ないでしょうが)敗戦時満州にソ連軍が侵入した時に多くの日本人が現地中国人に匿ってもらったり(学校の先生の家族が、教え子の家に匿ってもらうなど)乳幼児を育ててもらった残留孤児の物語が報道されていましたが・・。
上記歴博の冊子の中でハワイ移民に関する研究資料部分によると日米戦争時の教訓からして戦後日系人は各地で民族色をできるだけ表にださない方向で身を守っているようです。
現在トヨタなど日系企業が多く進出している米国中西部では、親日機運が強いとも言われますが、日系企業人は多分露骨な日本色を出さないように控えめな存在になっているのでしょう。
現地でイデオロギー的運動をしようとしまいと現地で日系人が信頼されていればその効果があるし、移住先や企業進出先で現地人に嫌われていると却って民族色強調・・本国擁護の運動をしたくなるのでしょうが、そういう場合普通は逆効果です。
実際私自身、韓国籍とみられる人と職業上関係しますが、要は「人格的にいい奴かどうか」であって日常的に国籍や出身地などを全く気にしていません。
交流が多くなると在外邦人も在日外国人も皆一人一人が民族代表であって、その人らが気持ち良い人であるかどうかで出身国への好感度や悪感情も影響します。
この点は現在中国や韓国進出企業も現地では同じような関係でしょう。
国民同士の直(ジカ)の交流と関係のないメデイア報道が対立を煽る傾向が強いのは彼らが「嘘つき」というのではなく表面上に出ない相手国の本音を掴み取る能力が高いからそうなり易いかもしれません。
(悪気はないとしても)結果的に、その国や国民と直接関係を持たない人がメデイアの特定国に対する鋭い批判?に煽られて国際紛争を激化させるリスクを高くしているように見えます。