世界平準化後の世界ランキング6(民度2)

仮に国民を10段階のレベルに分類すれば、世界中どこの国でも最下位層の人材がいる・しかも最下位者のレベルも同じです。
(脳挫傷等で意識が戻らず寝たきりの場合や手術中の昏睡者の能力は世界中同じでしょう・・最下位のレベルは世界共通です。)
中〜上位者レベルもそのレベルの置き方によって世界共通基準で妥当するレベルの人が存在するでしょうが、最上位者レベルになると、誰一人もそこまで到達できない国が出てきます。
10段階にそれぞれの人材がいるとしてもそれぞれの段階ごとの構成比率も国によって違います。
これが民度差を表す指標です。
10段階の階層があるとすれば、最終国力・民度を測るには各階層にどのような比率で分布しているかあるいは分布させるか、そして上位者のレベルが重要です。
同じ学校一番の成績でも、ノーベル賞クラスの輩出する学校とその他の違いみたいなものです。
(ある学校あるいはスポーツその他の団体の最上位者がある学校またはその他の団体の3〜4番手どころか最下位と同じ程度という格差はいくらもあります)
上記のとおり、最上位者に関しては国や組織によってレベル差があることは明らかですから、最上位者のレベルその層の厚さは国のレベル・品位の指標となるので重要です。
数学その他のレベルアップは努力さえすれば良いので簡単ですが、品位のアップはその更に番外・格上の基準になるので、国力を傾けて特定分野に集中してもレベルアップ出来るものではありません。
品位こそ人間格付けの最上位に来るべき指標です。
2チャンネル的誹謗合戦はそれぞれどこの国にも存在する低レベル者同士の言い合いですから問題になりませんが、国の代表者や一定の立場にある良識のあるべき大人がする行動が、品性卑しい表現になって来るとどうでしょう?
国家元首あるいは政府公式発表や大手マスコミの表現となると、その国の最上位の文化度・品位を一応表していると見るべきでしょう。
中国に至っては国連での公式の場でさえ、「盗んだ」という品性の卑しい演説・主張を繰り返しているのですから、中国自身の品性の低さ・卑しさが世界中に発信されてしまいました。
日本政府が同じように品性の低い言葉で韓国や中国に応酬するのは同じ野蛮人と言うか非文化人の仲間に堕してしまいますから、それをしないのは賢明です。
中国は日本を目一杯非難しているつもりでしょうが、言い過ぎることによって自分の品性の低さを世界に発信している不利に気づかないほどレベルが低い・・まだ「善人」レベルに留まっていることになります。
竹島上陸時の韓国大統領の低レベルな発言(発言の真意について(日本は昨年の大地震で)国力低下しているから(叩くのは今だ)・・という発言をしています)や政府対応と言い、驚くべき低品性ではないでしょうか?
災害発生直後には同情するよりも世界市場で日本を押しのけるチャンス、日本への輸出のチャンスとする韓国マスコミの報道が目立ちましたが、この文明時代に他国の大災害を同情するよりも「やっつけるべきチャンス」だから今やったとして大統領が堂々と発言しているのです。
サッカーの試合で韓国選手だったかサポーターだったかが「福島」という文字を掲げて日本チームを侮辱したことがニュースになりましたが、(スポーツ大会でのこの種の不祥事が続いています)韓国民は上から下までこの程度のレベルです。
中国政府自身も低レベルな暴動・破壊行動を奨励して満足している状態を見ると、中韓両国は(日本が震災で困っているのにつけ込んで)上から下まで礼儀をわきまえない文化レベルの低い国である・・文明国同士としての大人の交際が出来ない国であることを世界に証明してしまいました。
同じ東洋文化圏であると言われて来たのに、我が国と両国とではこんなに大きな文化度・品性の違いが何故生じたのでしょうか?

世界平準化後の世界ランキング4(大学進学率の陥穽2)

日本と韓国、中国の人間的資質が全く同じだと仮定したうえで、以下比喩的に分類して考えて行きます。
日本では階層別に上から2番までが大学に行き、3番目から現場で働いているのに対し、韓国(中国はまだそこまで言ってませんが、その内一定の資金が出来ればそうなるでしょう)では上から5番目まで大学に行き、6番目から現場に出ている社会であるとした場合、国際平準化の結果同能力→同賃金となっても日本は韓国に比べて、なお上から3〜5ランクの人たちがより多く現場で働いている分だけ多くの人が能力に応じた高賃金で製造業その他の高レベル現場で働けることになります。
日本を追い越すという偏狭な観点が中心で社会の必要性を考えないばかりか、勤労を尊ぶ歴史土壌が元々ないことから、国民もお金が少しでも出来れば大学へ殺到する土壌があって、しゃにむに大学を作り過ぎた咎めが出ているのです。
上位から1〜2割しか指導者やホワイトカラーが不要なのに、それ以上の数が進学してしまうと、現場系労働者不足で人件費アップの傍らで大卒の就職難・・中国ではネズミ族がウヨウヨの社会になっている原因です。
韓国でも大卒や院卒が増え過ぎていて(大学進学率は世界屈指になっていますが、李氏朝鮮以来の両班制・・両班でなければ人間扱いされなかった歴史が反映していると思われます)その就職難は(約半分の就職率に過ぎないとも言われていますし、就職してもそのまた何割かは中途退職を余儀なくされて)半端ではありません。
元々勤労を卑しむ価値観の社会ですから、失業しているのが性に合っているのかも知れません・・。
ちなみに韓流のストーリーは現場で働く人が出て来る頻度が極めて少なく、みんなありもしない大金持ちの子息・令嬢という物語が殆どです。
現在欧州危機下でも一人気を吐いているドイツの場合では、今でも職人気質が守られていて?大学進学率はそれほど急激に伸びていないらしいです。
進学率の低さが優秀な現場力維持・補給に役立っているから、生産活動堅調の原因ではないでしょうか?
民族の総体的レベルを引き上げるのは必要ですが、その見せかけのために一点集中で力を入れることがソ連その他共産圏諸国では流行っていました。
民生から順に科学力がつく方法ではなく、ロケットだけ(これも実はソ連がアメリカから情報を盗んで作っていたことが今になると分ってきましたが・・)あるいはノーベル賞だけあるいはスポーツで言えばオリンピック選手養成だけに集中する・・国民スポーツとしては全く裾野が発展していない状態が今でも新興国では見かけます。
学校の試験は膨大な学習内容から、これとこれが分っているならばその他も身に付いている筈だという論理からいくつかの点を取り出して試すものですが、(米などの抜き取り検査と同じ原理です)アトランダムに取り出す箇所・・試験問題が予め分っていると、全体の理解がなくともその点だけ勉強しておけば良いので本当の学力が分りません。
韓国や中国はこうした偏頗なやり方で一点豪華主義で日本を追い越したつもりで強がっているのですが、特定分野に集中していくら「何とか賞」を取っても、国民平均レベルを引き上げることは簡単には出来ません。
中国のGDPも同様で、直ぐに壊れる鉄道やマンションや橋梁、がら空きのマンションでも何でも作れば、数字上GDPがアップするので日本を数字上追い越すことばかりに目がくらんで数字の嵩上げに必死の状態です。
GDPは各地方政府の中央への報告数字の合計によっているのですが、地方責任者としては、計画未達の報告が出来ないので、水増し報告が一般的になっていることは世界的常識になっています。
民意による反日デモと称しながら、実際は政府・官制デモであるのと同様に、政府も水増し発表したいので地方の水増し報告をそのまま統計に利用しているのです。
「電力消費量が減少していて、あるいはその伸び率以上に何故経済成長していることになるのだ?」という指摘を受けた4〜5年前から、中央政府は電力消費量の統計発表をしなくなっていると言われています。
(ただし、こうした批判が効いたのか、最近では電力消費量が出るようになっていますが、これも本当の数字かどうかはまるで分りません)
昨年からの欧州危機による経済失調では、現場では仕入れ商品・・原料・部品輸入・が前年比何%減になっているのが世界中に知られています(これは誤摩化せません)ので、実際にはマイナス成長になっていることは明らかです。
原材料の仕入れ量が減っていて生産だけが何故前年比8%近い増加になるの?と言う当然の疑問をマスコミは書きません。
8%成長から少し切ることになりそうだという政府発表に世界は大騒ぎしてるのですが、(真実は)実質マイナス成長になっていることを世界中が知っているからです。
諸外国政府や大手マスコミとしては(個人のネット意見とは違い)政府発表を無視(まさか嘘でしょうとは言えない)出来ないので、政府発表による虚偽数字を元に経済見通しや経済評論を書いていますが虚構の議論になっていて世界中に迷惑なことです。
世界中が「裸の王様」の寓話を実践させられているのが現在です。
裸の王様の話は言論の自由がない・・それほど権力が強いことを表していますから、中国人は統計の嘘を知りながら今から世界中の言論を牛耳っていることを証明しているとして一人悦に入ってるのかも知れません。
「バカ」の語源の故事として有名なことですが、秦の趙高が自分の権勢を明らかにするために狩りに出たときに目の前の鹿を馬と言ったので皇帝が「何を言ってるあれは鹿だろうが・・」と言ったところ、居並ぶ臣下の多くが趙高の権勢を虞れて趙高に会わせて皇帝に恥をかかせた(馬と鹿の区別もつかない暗愚の皇帝だ)故事によるものです。
(若い頃に読んだ漢文の知識でうろ覚えですので、鹿を馬と言ったのか馬を鹿と言ったのかどちらか今ははっきりしません)
ちなみに硬骨漢が一人いて、敢えて趙高の意見に反して皇帝と同じように言い張った高官はその後処刑されました。
子供っぽいことで権勢を誇示したいのが中国人の古代からのレベルですが、古代から意識があまり進歩していない・・王朝が変わる都度ゼロからやり直しになって来た歴史については、この後のコラムで書いて行きます。

世界平準化後の世界ランキング2

2012年10月4日に書き始めていた 「世界平準化後の世界ランキング1」に話題を戻します。
国民の最低ランクの能力レベルが後進国や新興国の最低レベルと同じだとすれば、これまで書いて来たような上乗せ手当が必要になるのであって、最低レベルの人材を減らして中くらいに底上げ出来ればその分だけ差額補填が不要になります。
例えば器用さに10段階のランキンキングがあって、それぞれのランクごとに世界中同一レベルとした場合、新興国の低賃金攻勢にかかわらず新興国と同一賃金に引き下げられないとすれば、新興国では下から順に近代工業化して行きます(先進国と同じ生産性になる)ので、先進国では下から順に1階層づつ切り離されて失業して行くことになります。
(純粋論理的に賃金を国際相場に会わせることは実際には不可能です・・昨日まで書いて来た意見は論理的には国債相場に賃金が収斂して行くのを政治が妨害すべきではないというだけであって、即、対応出来るという意味で書いているのではありません。)
これを防ぐために低賃金外国人労働者を導入しても、国内労働者と同じ待遇しか先進国では出来ないので(人権概念上差別待遇を出来ないでしょう)、最低賃金制で高止まりさせれば結果は同じです。
最低技能ランクに頼る産業から順次衰退しその分野の労働者から失業して行くしかないとしたら、どの段階(下から2〜3段階?)でこれを止められるかに国際平準化完成時の国力・世界ランキングがかかっています。
日本の最低ランクが新興国の下から3番目のランクと同じであれば、そこまで新興国が到達するまでは失業が生まれない理屈です。
一流高校の成績ビリと3流高校のトップが同じ水準とした場合を想定すれば良いでしょう。
実際には、どこの国でも最下位層のレベルは同じですから、(どんな先進国でも読み書きの出来ない魯鈍級の人材を皆無には出来ません)上記のような都合のい結果になり得ません。
違いがあるとすれば最下位層から順に人口の何割がいるかの人口比率こそが重要です。
各種業界別に見れば、国力維持のためには製造業を死守すべきという論調は、正しいと思いますが製造業に最下位技能レベル人材が多いことが問題です。
製造業(農業も含める概念としては生産業かな)が如何に高度化(器用さと一定の応用力のミックスした人材だけ)しても、国際競争に勝ち残っている限り雇用吸収力・・大量人員を要する点が、研究者・学者・芸術・知財や金融等の比ではないからです。
韓国や中国の追い上げに対して日本の製造業がどの段階で踏みとどまれるかは、中国・韓国に比較した日本人の器用さ・勤勉さ・現場工夫能力レベル・・・これらの人口構成比率にかかっています。
日本と他国で器用さのレベルとして、上から順に下に向かって10のレベルで区分けしたときに上から順に仮に1割ずつ人口が増えて行く(どの国も同じ比率)とした場合を考えて見ましょう。
ピラミッド型比率が1割ずつ下へ向かって多いのが世界平均のときに、我が国だけは3〜5%ずつしか増えて行かない・・上の層が比較的に厚いと下から3段階まで浸食されても1階層下に行くと1割ずつ人口が多い社会よりは失業する人口が少なくて済みます。
下の階層が少ない方が昨日まで書いて来た政府が差額補填するとした場合、差額補填する対象人口が少なくて済みます。
国際平準化後の国力差は、結局は国民の資質・能力差(レベルの低い人の比率の差)に比例することになるでしょう。
世界中同じような機械で生産する時代が来れば、人材の下層比率を引き下げる・・生まれて来る子供を出来るだけ有能にして行くことが必須です。
有能な人材を増やすには少子化がもっとも有効であって、レベルの低い子供を多く生んだ後にいくら(整形美容的)後付け教育しても結果が知れています。
外国人下層労働者を大量に受入れてその次世代教育に日本人の何倍もお金を掛けても、それほどの効果が期待出来ない実態を考えても、直ぐに分るでしょう。
能力適性のない人を教育するのは効率が悪く、教育費に多くの資金が必要になるばかりです。

外国人労働者2とインフラ負担

私は外国人観光客は膨大なインフラを無償利用し、安い交通費、公衆便所・公的施設など無償で利用して行くばかりで却って損だという「観光立国」に反対の意見を何回も書いていますが、観光客には入国税を課してこれらの負担金を徴収するならば反対しません。
例えば観光客誘致用に地元政府が(税金や市債で)100億円かけて大規模な施設を作ったとした場合、その前で土産物を売る店や飲食店を外国人が開店して儲けている場合を想定すれば、100億円の分担をしている地元民からすれば納得出来ないことが直ぐに分ります。
マラソンや花火大会その他は地域の楽しみとしての意味があるが、地域経済とては実際は持ち出しではないかと言う観光立国反対論を何回も書いて来ました。
最近では、November 3, 2011「ギリシャ危機と観光亡国4」October 31, 観光2011「国際競争力低下7と観光亡国1」などで書いています。
新興国が近代産業に参入して来た(所謂グローバル化)以降には正当な労働対価が新興国相場に引き寄せられるので賃金が下がる一方となります。
先進国だけが近代産業化の恩恵を受けて来た時代には高賃金も適正な対価だったでしょうが、新興国の台頭によって適正賃金が下落して行くと日本を含めた先進国が高賃金を前提に到達していた文化的な生活が出来ない人が増えてきます。
新興国との競争によって賃金相場が下がったならば、連動して貧しくなれば良いと言って放置出来ないのが政治です。
これまでの膨大な蓄積があるので、その取り崩しによってソフトランデイングしようとしているのが現在先進国社会の姿です。
イギリスが戦後「ゆりかごから墓場まで」という有名な標語で社会保障して来たのは、ドイツやアメリカの台頭によって(戦後は植民地も殆ど失ったこともあって)イギリスが過去の栄光に寄りかかった高賃金に堪えれなくなったことによるものですから、今の日本がここ20年ばかり置かれている状況と似ています。
この結果イギリスは次第に国際収支の赤字が広がって、ポンド防衛が戦後世界経済の大きなテーマになり続けて来たのです。
ビートルズが出現したころのイギリスの風景としては、仕事がなく所在なげな若者が街路にたむろする光景ばかり報道されていたものでした。
その後、所謂サッチャーリズムで漸く長い低迷を脱して息を吹き返しましたが・・・これも金融に偏っているようで、(アメリカも同様)その咎めが出て世界経済を揺るがすようになっています。
日本も諸外国との賃金格差差額分を社会保障資金で賄い続けていると、行く行くは戦後のイギリス同様に国際収支赤字になるリスクがあることは10月6日に書いたとおりです。
社会保障の資金が、過去の蓄積による以上は過去の蓄積に関与して来た民族国家の構成員だけに保障する方が合理的・・外国人労働者問題はこの段階で区別すべきだと考えます。
適正な賃金は内外平等とし、社会保障は別とすることは許されるでしょう。
社会保障部分を殺ぎ落として賃金が新興国・後進国と同じ対価になれば、能力以上の高額賃金を求めて、出稼ぎに来る単純労働向け外国人はいなくなります。
民族の混在は決していい結果を生まないことは歴史が証明しているところです。
例えば中国深圳での工場労働者の月給が約2〜3万円であるとすれば、(これが正しい数字とすれば)国際的な人権問題となれば日本国内の賃金も同じであるべきで、これでは現在日本で一般的な文化的な生活が出来ない分は社会保障分野の問題です。
現在は社会保障分まで賃金に含ませて2〜30万円以上も払っているので外国人が出稼ぎに来るメリットがあることになり・・この差額分を企業・国民が払わされていることになります。
外国人出稼ぎ労働者には差額分の保障がなく中国で働くのと同じ給与水準しか払ってくれないとなれば、日本にわざわざ出稼ぎに来ても旨味がなくなるでしょう。
社会保障分まで給与名目で払うから外国人労働者が世界中の先進国に溢れ、文化摩擦を起こしているのです。
過去の蓄積利用で一定の保障をする理は企業社会にも通用する原理で、儲けの蓄積のある会社とない会社では赤字になったときの対応が違う・・ストレートに整理解雇あるいは労働条件の低下になるか少しの赤字は企業が補填しながら様子を見るかなど対応が違って来ます。
その差は過去の蓄積によるのであって過去の蓄積に貢献したか否かによることですから、企業間格差をなくすことは出来ません。
南欧危機・・EU内の格差は、まさに過去の蓄積の格差によるところが大きいのです。
過去の蓄積に何ら貢献をしていない他所から来たばかりの人(外国人)にまで、過去の蓄積を取り崩してあるいは対外負債を増やして彼らの働き以上の社会保障をするのは不合理です。

最低賃金制度と社会保障2

次世代が苦しいとは言っても、親の家に居候していたり親から家賃・ローン援助してもらったり車を買って貰ったりしているなど、孫の学費等を親世代が出すなど生活費がそれほどかかっていない次世代が多いので、(次世代が損をしているどころの話ではありません)統計で見るほど生活が苦しい人が多い訳ではありません。
都市住民2〜3世と1世(地方出身者)との格差問題については、これまで何回か書いてきましたが、最近では、November 7, 2011「利子・配当収入(鉱物資源)で生活する社会1」で都市住民2世3世の格差問題をテーマに書いたことがあります。
ジニ係数・相対的貧困率のコラムで書いたことがありますが、彼らはアルバイト収入等で10万円あまりしかなくとも親の家に居候していて生活費もマトモに入れないでほぼ全額小遣いになっている場合、貧困どころではありません。
あるいは別居していてもアパート代金を親に払ってもらったり、渋谷近くのマンションを買い与えてもらっている若者も結構います。
大分前から2所帯住宅の建設が盛んですし、投資用兼息子や娘用の都内マンションの売り込み(勧誘)がしょっ中あるのは、こうした実態を表しています。
5〜6年前に渋谷近辺のマンションを購入したところ、事前説明に反して殆ど日が当たらないということで裁判したことがありますが、その事件は千葉に住む経営者が都内勤務の娘用に購入したものでした。
都市住民2世〜3世だけに限定せずに社会保障として(親の援助の少ない)1世も含めた政策としては、住居、教育、衣料・医療その他の基礎生活コストを(国費で負担して)下げてやり、その代わり賃金を新興国と競争出来るように下げるかどうかは市場に委ねた方が合理的です。
日本人が日本人であると言うだけで労働能力如何によらずに新興国の人たちの10倍の生活水準を維持するためには、給与を新興国と同額になるまで市場原理に任せて差額の9倍分は国民全員の過去の蓄積(利子配当等)による収入で賄うかどうかは民意(政治)で決めれば良いことです。
日本の利子配当収入(国際収支で言えば所得収支・個人で言えば家賃収入等)から上記差額を賄う資金として10倍分以上あるならば差額9倍まで面倒見れば良いし、仮に8倍分しかないのとすれば、その範囲で生活保障・支給するしかありません。
利子配当収入以上補助すると国際収支・・個人で言えば利子配当や家賃収入以上の生活をすれば家計が赤字になりますので、収支トントンを限度に支給基準を決めて行くのが健全です。
中国と比較して約10倍の給与水準をそのままに(現状を前提に)国家が賃金決定を強制していると企業の海外転出が進む一方ですが、これを放置して失業者を増やして生活保障している現在の政策は愚策そのものです。
給与が新興国並みに下がるかどうかについては市場原理に委ねて、その代わり市場原理の結果生活費不足分については体力(国際収支の黒字あるいは対外純債権)のあるうちに社会保障給付して行けば日本経済の持続性が期待できます。
給与を例えば中国の10倍のママで放置し、あるいは国際競争による市場原理で給与が下がるのを最低賃金等政治の力で縛って高止まりさせていると、国内産業がジリ貧の結果、貿易赤字国になってしまい(既に始まっています)、対外純債権の取り崩しが始まる結果、海外展開加速による雇用減→失業給付や生活保障金さえ出す体力がなくなって行きます。
国際相場より高い賃金=その差額を国民に保障してやるべきだと政治が決めるならば、その資金は企業負担にさせないで、企業の問題は企業の競争力に任せる・・政府が差額資金を負担べきです。
差額資金の出所を国債に頼ると財政赤字が膨らんでしまうのをどうするかの議論になります。
財政赤字はそれ自体に意味がなく、上記のとおり国際収支の範囲内であればコップの中の嵐でしかなく、何の問題もないことを2012/08/05「マインドコントロール4(財政赤字→増税論)」その他で書きました。
社会保障負担の充実によって企業が新興国との賃金格差に悩むことがなくなれば、企業の国際競争力がついて、輸出産業が海外転出しないで済むでしょうから、国内雇用の維持・技術力の維持が図れます。
国際賃金水準との差額を生活保障によって賃金面での国際競争力が回復すれば、海外進出が止まり貿易赤字体質から脱却出来るし、税収も上がるのでその内財政赤字も解消に向かうでしょうし、万々歳というところです。
何らかの不合理な政治圧力がない限り市場原理に委ねれば国際相場に下がる筈ですから、賃金を下げても国際競争力がつかないことは論理的にはあり得ない事態ですが、そこに至るまでの間ジリジリと国際収支が赤字になって行きますので、対等な人件費になるまでの注入資金が必要です。
注入すべき資金蓄積のある間に賃金面での競争力回復をしないと大変なことになりますが、蓄積が足りなくなれば生活保護基準を中国の10倍から8〜6倍と下げて行くしかないでしょう。
その視点から言えば、国際収支の黒字(貿易収支は昨年から赤字基調に転じていますが、過去の蓄積による利子配当所得等で経常収支は黒字です)のある間に賃金の国際平準化への努力を一日も早く始める必要があります。
繰り返しになりますが、生活保障の基準は国際収支トントンの範囲内で行う・・マスコミ推奨の増税の可否に関係ない・・財政赤字かどうかの問題ではありません。

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