暴動と政権維持1(同胞意識2)

流民化・暴動が次々と起きても政権が崩壊するか否かは別問題です。
大躍進政策の大失敗で数千万人〜5000万人も餓死していた事実が改革解放後に分かってきましたが、(その何倍もの飢餓線上の人が出ていたことになります)この反省から改革開放に方針転換になった訳ですが、それでもソ連と違って政権が崩壊しませんでした。
近代兵器が出来るまでは正規軍の武器と言っても、弓矢や槍や刀しかない場合、庶民がある程度もっているなまくらの刀や竹槍等と大差ないので暴動・・大量・・数の力には叶いませんでした。
剣術の腕が優れていても、あるいは切れ味の良い刀を持っていても一人で斬り殺せる数は知れているので、(漫画のように一人で何十人も切れる訳ではありません)正規軍の何十〜何百倍もの数が参加する暴動になると手に負えなくなったので大量の流民が発生するとその都度王朝が崩壊して来ました。
ところが戦車や大砲、機関銃等の近代兵器で装備している近代軍隊になると、暴動参加者の数がいくら多くても、マトモに戦えば政府軍が負けることはありません。
最近の例で言えば、シリア政権が如何に国際批判があろうと(武器援助があるでしょうが・・・)外国軍の介入がない限りしぶとく反政府軍と戦えていることを想起しても良いでしょう。
政権崩壊があり得るのは、武器のない素手に近い自国民を皆殺しにするのをためらう軍の離反等があるかないか、外国の介入(武器援助を含めて)があるか否か次第にかかっています。
軍が国民に発砲するのにためらうのを心配したのがリビアのカダフィ政権で、外国人傭兵(それもアラブ人ではないブラックアフリカ諸国からの)に頼っていた・・彼らは異民族ですので国民に向かって容赦ない発砲を出来ますが、欧米軍の介入・軍事援助があったので負けてしまったのです。
もしも欧米の軍事援助がなければ、素手に近い民衆がいくらデモをしてもカダフィ政権が倒れなかったでしょうし、それを信じて中国は最後までカダフィ政権に肩入れしていたことになります。
中国の場合、異民族支配が多かったこともあって、戦いに勝ちさえすれば相手の数がいくら多くても人民を皆殺しをすることに何のためらいもない傾向があります。
秦の名将軍章邯の降伏時に項羽が降伏した将兵20万人の穴埋めを実行するなど、大量殺戮は中国の歴史には古代から枚挙にイトマがないほどです。
ただし、この20万人という数字は当時の人口数からして眉唾(中国政府の統計数字が今でも当てにならないのと同じこと)ですが、ここでは大量処刑に躊躇のない体質・民族のDMAを書いています。
「どうせ餓死するならば・・」ということで命知らずになって暴動参加した国民に対してでも、武器さえ優越していれば皆殺しにすることに何のためらいもないし・兵士もためらわない傾向があるのが歴代中国王朝時代でした。
この延長でマスメデイアの発達した国際社会白日監視の下でも、臆面もなく実行したのが、天安門事件の殺戮でした。
(オリンピック直前まで猫や犬を殺して普通に食べていたのが国際的批判されるようになって急いでやめたのと同じで・・大躍進時の弾圧に比べればどうってことのない小規模弾圧だったのに国際社会から批判されて中国政府は驚いたでしょう・・。)
餓死死者数(30000〜5000万人)の何倍もの餓死線上の人がいるのが当然ですが、死を目前にした人が多くなればこれに比例する抵抗運動が起きるのが普通ですが、それを押さえ込んで政権が維持出来ていたこと・・膨大な弾圧・殺戮があった筈・・に驚きを禁じ得ません。
南京虐殺問題は自分達が国内で政敵を倒すときにしょっ中していることを、当然日本もしていただろうという想像による産物です。
現在の北朝鮮でも同様に餓死者数が時々マスコミ報道されますが、それでも政権維持に問題が起きないのは収容所大国と言われる容赦ない弾圧組織が機能している外に、外国軍の介入がないからです。
唯一影響力行使出来る中国自身が、弾圧大国であるからこの面に関する注文・介入が皆無であることによります。

最先端社会に生きる7(中間層の重要性2)

日本より後発の韓国では日本とは違い中間層の形成期間が短くこれと言った蓄積を出来ないうちにアジア通貨危機に見舞われてしまい、中間層がナケナシの貯蓄を失い、その後国民の多くが非正規雇用の時代に突入しています。
漢江の奇跡と言われる高成長は、日韓条約による巨額円借款によるものがスタート台ですが、スタートから数えてもアジア危機までは僅か30年しかありません。
まして円借款と同時に経済成長したのではなく、この借款でインフラ整備してこれがそろってから日本企業の進出があって成長軌道に乗ったのですから、年収1万ドルになった時期から見ればホンの僅かです。
なにしろ、1人前の収入になったと認められてOECDE加盟(96年)の翌年には、アジア危機に見舞われてIMF管理に入っています。
僅か1年たらずのアジア危機で再び1万ドル割れして最近漸く2万ドル前後・・日本の約半分になっているところです。
以下のグラフで見ればアジア危機後1万ドルになったのはおよそ2000年過ぎのことですから、現在時点で漸く約10年経過したところに過ぎず、蓄積の薄さが分ります。
一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳
出典元URL
http://ecodb.net/exec/trans_weo.php?type=WEO&d=NGDPDPC&c1=KR&c2=JP

アジア危機以降上記のとおり、GDPこそ上昇していますが、アジア危機によって殆どの企業が欧米資本に買収されてしまった結果、利益・金融収益の殆どを海外に吸い上げられていることから、韓国では、GDPを一人頭で割っても実際の生活水準を計れません。
韓国や中国の貿易依存率が無茶に高いのは、国内消費水準が低い・・国民の購買力の低さ・・GDP上昇の恩恵が正当に国民に還元されていないで海外流出していることに原因があります。
(中国の場合、外資による収益の海外流出のみならず裸官・ラカンと言って政府高官・富裕層が保身のために海外へ不正蓄財資金流出させていることにより加速されています)
これが現在韓国で大財閥のみ栄えて、国民が悲惨な状態にある原因です。
日本の場合、企業の海外生産比率が上昇する一方です・・ここ10年以上貿易収支の黒字よりも海外収益の還流の方が大きかった原因です。
日本のような高齢化社会では労働収入よりも金融資産(年金を含めて)家賃等の収入の方が多くなっていますから、労働収入比で貧困率を計っても意味がありません。
この逆張りで中国や韓国では逆に外資に持って行かれるばかりですから、GDP・企業利益を基準にしても国民の福利状態・豊かさの指標にはなりません。
国際化時代には、GDPは1つの指標にしか過ぎなくなっています。
例えば中国の生産の半分〜3分の1を日本企業が担っているとすれば、その収益が日本に持って行かれるし、しかも日本企業が他所の国に立地変更すれば中国は困ってしまうので、GDPと国力との関連性は薄まっています・・時代遅れの指標です。
中国は反日暴動で底力を見せ付けたつもりですが、中国国内の売上が半分以下に減ったトヨタが皮肉にも昨年世界一の販売量を奪還して好調に沸いています。
日本は中国の成長が頭打ちならば好調な東南アジアや、北アメリカにシフトすれば済みます。

最先端社会に生きる2

アメリカ流単細胞的政治学・経済学で単純運営すればどうなるか・・今のメキシコの例を見ても分ります。
経済成長の数値だけは目覚ましいものの、警察そのものが犯罪組織に狙われるような・・いくら命があっても足りないような最低治安生活に陥っているのがメキシコです。
アメリカ流儀の政治経済運営が戦後中南米諸国を最貧国・・何回もデフォルトして治安最低国に陥れて来たのですが、これをアジアにも及ぼした結果が今の韓国経済・社会になります。
韓国もサムスンなどの大手財閥系企業だけがうまい汁を吸っている一方で、国民は疲弊の一途・・犯罪率も半端ではありません。
そして大手企業の大株主は主に欧米資本になっていて、実質は19世紀型の植民地支配を受けているのと殆ど変わりません。
世界中で日本だけがアメリカ流儀の経済運営に従わないばかりか、この流儀の輸出を東南アジア諸国にしているので、東南アジアの民生は豊かになっています。
米英系マスコミの息のかかった学者が、日本は外資に魅力がないのは問題だと言って必死になって外資導入の必要性を宣伝しています。
如何に日本経済は外資に魅力がないか・・国債・日本企業の買収・・その他をもっと外資に買って貰った方が良いということの繰り返しです。
しかし国民の福利・・最大多数の最大幸福を目指すのが政治の目標であって、外見的なGDPばかりカサ上げしても国外に利益が流出する仕組みでは、何のために政治があるのかと言う根本からの問い直しが必要です。
アメリカの言いなりで、欧米資本の支配下で国内企業を大きくして行っても・・まさに植民地支配下の現地王族が豪華な屋敷を建てて贅沢しているのと同じで国民には関係がありません。
欧米資本企業がいくら繁盛していても植民支配当時の現地の王族が宗主国・アメリカ政府や学者の受けは良かった・・・みたいな役割に堕してしまいます。
民主政治を主張するミャンマーのスーチー氏は欧米の信頼が極めて厚いですが、実質的植民地的支配復活を目指す欧米の息がかかっているように見えるところに、せっかく独立を果たしたばかりの政権にとっては民族的に大きなリスクを感じたことは周知のとおりです。
欧米の言うままに政権運営して来た結果が、戦後何十年に亘る中南米諸国の疲弊進行の根源です。
ところで我が国庶民レベルが何故高いのかということですが、世界で日本が最初に庶民文化・・大衆文化が花開いていたことに先ず着目すべき(庶民レベルが高いから開いたとも言えますし・・)です。
西洋文化は19世紀に至っても王侯貴族やその周辺で彼らに奉仕するべき文化でしかありませんでしたが、我が国では、既に江戸時代初期ころから浄瑠璃や歌舞伎が発達し中期以降浮世絵・錦絵あるいは音楽(都々逸・三味線・端唄小唄・踊り等々)、俳句などの文芸も庶民が楽しむ大衆相手のものでした。
中世(鎌倉〜室町)以降発達した田楽や薪能その他神社仏閣で催すものには、庶民も人だかりして楽しんでいました。
もっと古代には、万葉集にも地方庶民の歌がいくらも取り上げられています。
ねぶた絵の例で分るように、我が国では江戸時代以前から文芸・絵を描くことは宮廷と結びついた特定芸術家の独占物ではなく、地方でも誰でも参加出来る性質のものでした。
ジョン万次郎のように普通の漁師の子供が、漂流してアメリカに渡ると直ぐにその社会の制度文物を理解したように、庶民レベルの識字率・理解度は他所の国に比べて半端なものではありません。
ロシアに渡ってエカテリーナ女帝に謁見した大黒屋光太夫(松平定信の時代に帰ってきました)もいます。
庶民レベルが高いからこそ、世界中でも稀なように政権が天皇家から大貴族(蘇我氏物部の争い〜摂関家)〜高級武家(源平政権)〜中級武家(織豊〜徳川)〜最下層武士(薩長土肥下級武士)による明治維新へと順序よく行われて来ました。

密室外交と情報開示2

アメリカのような強い国・・まして中国に圧力を掛けさせて日本が困るのを待って始まった同盟強化交渉では、安倍政権がアメリカに表向き譲る方が多くなるのは当然であって、これといった土産なしに赫々たる成果を期待するのは無理です。
(日本はかなり不利な条件をのんだようでも、1月5日に書いたように愛国心が強いのと適応力が高いのでその内何とか出来るのでそんなに心配要りませんから、一見不利なようでも譲るべきは譲っても良いのですからこれを交渉担当者が隠す必要がありません)
むしろ、密室取引で外見上の大成果を上げたことにして、裏で国益上のマイナスを約束している方法だと国民が知らないために対応するチャンスを失うので、国益上大きなマイナスです。
何を(どの分野で)どの程度譲るべきかを国民が知った上で、どうしたら良いかを冷静に判断する必要があります。
不利・不当な要求だから日本はイヤだと言っても、アメリカと仲違いすればこれをチャンスと見る中国からもっと不当な要求をされる可能性が高いのですから、どちらかの不当要求を受入れるしかないという冷徹な判断が必要です。
第二次大戦後に勝者のアメリカにいろいろ不当(極東軍事裁判を筆頭に・・)な要求をされたことがあったとしても、ソ連に支配されていたのとどちらが良かったかというような議論が必要です。
同じ民族資質を持っていても東ドイツと西ドイツとではまるで国民の生活水準が違っていたことをちょっと考えれば分ります。
国際政治の現実を国民に開示してその上で国民が仕方ないと判断したことに従うことこそ、民主主義の価値観を共有する国家間の交渉です。
もしも交渉経過を公開しないで右翼の納得するような成果があったとすれば、その裏で何倍もの国益を国民の了解なしに売り渡していると推測した方が良いでしょう。
何倍もの国益を売り渡しても尖閣諸島を守ってもらう必要があるかどうかこそ・・放棄すればいよいよ中国が図に乗って来るかどうかを含めて、国民が冷静に判断すべきことですし、中国に良いようにされるくらいならここまでアメリカに譲った方が良いと言うのも国民の判断です。
要は中国の圧力に屈して中国に何を譲歩するか、中国からの圧力を跳ね返すためにアメリカに何を譲歩するかの比較考量の問題です。
情報開示によってこそ、比較考量すべき対象を国民が合理的に判断出来ます。
秘密裏に何をいくら譲っても良いから領土だけ守れというのが右翼とすれば、右翼とはそもそもなんでしょうか?
長期的な国益はどうでも良い・・愛国心などかけらもなく、子供じみた陣取り合戦にうつつを抜かすグループ・・ゲーム機愛好者のことでしょうか?
疑念を招かないために対米交渉は密室で行うのではなく、何を譲るように要求されているのかあるいは自主的に何を譲る予定なのかを明らかにして国民の判断権を尊重してこそ、民主主義国家です。
交渉内容を公開するのは国益に反するという言い訳が一般的ですが、コチラの今後の戦術を公開するのは問題ですが、相手が何を要求して来ているか、この時点でこちらがどこまで妥協の提案をしたかの開示は、既に過去にあったことですから、これを国民に知らせて何が悪いのでしょう?
既に提案したことは相手も知っていることですから、これを国民に秘密にする必要はありません。
にも拘らず担当者・政権が秘密にしたがるのは、自分のした提案が国民利益に反している・・国民の支持を得られないことの自覚があるから隠したい・不正な動機があるとしか考えられません。
「国民は馬鹿だから知らせない方が良いのだ」という旧来のやり方は民主制度を根底から否定する思想です。
良く知られる例で、独仏露の三国干渉に対する国民の不満・あるいは日露戦争後の講話交渉に対する不満・デモを歴史で習います。
だから国民には交渉に関与させないのが良いかのように・・教育されます。
しかし、これはその前提となる国際情勢・・正確な国力比較を国民に隠していたから国民が誤って不満を持ったに過ぎず、結局は情報開示不足が原因でした。
中国国民や韓国国民の非常識な反日行動は中国政府が日本からの円借款等の援助による恩恵を隠して自力で産業を興したかのように宣伝していることから起きていることです。
政権担当者が実際以上に自己の成果を強調すると、後で咎めが出て来て却って相手国との友好阻害要因になります。
我々弁護士で言えば、交渉内容や裁判の見通しを依頼者に説明しないでやっているようなもので背任行為を前提にしているのです。
100円の物を100円で買って来るのは当たり前で、100億円の商品・権益を手に入れたという自慢は良いのですが、その対価としていくら払ったのか・何を対価に提供したのかこそが、その人の交渉力を知るのに重要です。
安倍政権が対米交渉を秘密裏に行い成功したと宣伝している場合、提供した対価を公開出来ない以上は、マトモな交渉が出来なかったことを自分で証明していることになります。
会社に内緒で大幅値引きやサービスを顧客に約束して営業成績を上げていて、後に発覚して会社を困らせる営業マンがいます。
密室交渉にこだわる政治家はこうした営業マン同様で国・国民にとっては困った政治家です。

マスコミの影響力2と低下

権力誇示が露骨すぎると反発が起きるので剥き出しの権力行使をしないのがどんな分野でも(課長でも社長でも)普通の智恵ですが、マスコミがここまで露骨になったのは何故でしょうか?
マスコミ背後権力者が、なりふり構わずにマスコミの影響力を行使をするしかなくなるほど焦っているとしか見えません。
中立性の仮面をかなぐり捨てた露骨なマスコミ報道が続いた結果、これに反発するネット発信・マスコミ批判報道が却って発達してしまい、世論形成力としてはマスコミの方が負け始めていることを、2012年12月20日「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」あたりから書いてきました。
奔流のような韓流報道の始まりとマスコミによる政権攻撃の露骨化とが時期的に合致しているのですが、どう言う関連があったのか・・偶然時期が一致しただけだったのか不明ですが、外見上中立を装うべきマスコミが自制心を欠くようになった点が共通でしょう。
民主党政権獲得時の小沢氏は民主党内の最大実力者且つ実務能力があるので自民党も彼を最も恐れていましたので、アメリカの陰謀であろうとなかろうとどんなことでも小沢氏批判であれば飛びつく状態でした。
そもそも小沢氏批判の実体は何なのか?次第に分って来たことは汚職でもなければ何でもないせいぜい記帳義務違反というだけの疑惑で、しかもそれですら蓋を開ければ無罪・・事実無根と言うのですから、こんな微々たる疑いを大々的報道して一国の総理になる資格を問うこと自体マスコミ(ネトウヨはまだ許されるとしても・・)の暴走です。
今になると右翼ネットでは、負け惜しみからか、小沢氏は在日2世だというデマまで流布し始めました。
アメリカは有力政治家が出れば直ぐにスキャンダル報道で追い落として行く・・日本政治家はアメリカの言うとおりになる・・小粒政治家ばかりになるのをずっと狙ってきました。
今後も与野党間や各党内での権力闘争にアメリカのマスコミ支配力を利用する人が出て来るでしょうが、こうした動きは明治維新時に外国勢力の介入を避けるために徳川慶喜が示した無抵抗方針を想起すれば分るように国賊ものです。
(マスコミを利用した勢力はマスコミに対するアメリカ支配維持の支持者になります・・この結果戦後60年以上もアメリカによるマスコミ支配が続いてきたのです)
アメリカにすれば小沢氏の刑事事件化はいつでも出来るし、その他民主党幹部は実務能力がないことが誰でも知っていることですから、民主党がアメリカの怖さを知らないで反抗すれば、この基準で直ぐに追い落とせると踏んで1回民主党にやらせたと思われます。
本来アメリカ寄りであるべき自民党が中国にすり寄り始めたので「アメリカの言うとおりしないと下野することになるぞ」という見せしめのために一回だけ民主党を勝たせる選択をしたと思われます。
中韓寄りの民主党政権に対しては、政権担当能力がないというマスコミ批判を起こさせると共に外からは中国や韓国を唆かせていくらでも領海侵犯をエスカレートさせる・・ゆすりの手法です。
民主党政権は最初はアメリカに対して強気でしたが、小沢氏へのマスコミ・検察による追及・鳩山・菅政権に対する実務能力不足の宣伝攻勢・・アメリカの示唆に応じた中国による尖閣諸島波状攻勢、ロシアの現役大臣の北方領土視察、韓国による竹島問題で揺すられてどうにもならなくなって、菅〜野田政権では露骨にアメリカにすり寄り始めました。
(菅・野田政権がイキナリTPP参加を言い出したのは・・普天間の失敗でアメリカを怒らせている償いも含めて・・この圧力によると言われています)
安倍自民党総裁はこれを受けて「日米同盟重視」(日本はアメリカの言うとおりします)というメッセージで選挙に臨みました。
安倍氏は前回はアメリカのご機嫌を損じて・・アメリカの意を受けたマスコミの集中攻撃を受けて失敗したので、(アメリカの思惑どおり)日米同盟の堅守を主張して一番最初の訪問先としてアメリカを発表しています。
しかし、アメリカは軍事同盟維持・列島線の維持自体には日本で喧伝されているほどにはあまり関心がないと私は思います。
何事もビジネス基準のアメリカは中国の拝金主義とルール重視(と言ってもアメリカに都合良く出来たルールだけですが・・・)有無の点で違いがあると December 5, 2012「民主主義と正義12(政治資金3)」で書いたことがありますが、逆から言えば経済メリット次第という点では価値判断基準が中国と同じです。
日本と同盟するメリットをビジネスライクに秤にかけているのがアメリカです。
資本主義国・民主主義国というだけで無償で日本を守る必要は全くないので、ミカジメ料を払わないとヤクザが守ってくれないのと、軍事同盟の本質は変わりません。
(中国も既に経済的には悪しき資本主義国であって、共産主義の看板は独裁を維持するための方便に過ぎないことを以前書きました・・またアメリカはこれまで民主主義国家かどうかはまるで問題視せず都合さえ良ければ独裁国家を支援して来たことも何回も書いてきました)
アメリカが同盟して犠牲を払ってまで防衛するメリットがある国かどうかは、アメリカ経済にメリットを与える国かどうかと米英中ソの策定した戦後体制(パックスアメリカーナ)に刃向かう方向化かどうかだけが基準です。
(安倍氏の標榜するアメリカが作った戦後価値観の見直しは日米関係重視と矛盾するのでとても無理でしょう)
中東でもどこでもアメリカに経済利害があってこそアメリカは関与して行きますが、シェールガス・オイル等が復活して中東原油の重要性が薄まれば、露骨に関心を失って行くのがアメリカです。
リビアやシリアの騒乱(どんな人道違反があっても)を見れば分るように、自国でオイルが採れるようになるとそれまでの米軍の過剰介入が嘘のように無関心になっています。
日本は口先だけ「守る」と言ってもらうために、大きな代償を払わされるでしょう。

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