海外進出と国内生産過剰3(人口過剰2)

物を作る能力はなくとも、ニーズをつかんだ方(アップルやサムスンなど)が注文すれば優秀な部品会社はどこでも納品してくれます。
日本がアップルやサムスンに負けているのは、品質差ではなく、ガラパゴス化と言われているようにニーズ把握力・・商品化力十その早さです。
東京本社で研究開発して指令していたのでは、現地ニーズをつかみ損なうほか反映力の早さにも負けます。
「アップルやサムスンと言っても日本部品がないと作れないんだ」と言う強がりは、グローバル化時代=製品競争からニーズ把握競争時代への変化を理解しない強がりの域を出ません。
近代戦争時代に入っても刀を振り回して「剣術なら負けないのだが・・」と言って・「そうよそうよ!あんなへなちょこには内のお父さん負けないよ!」とはやし立てているようなものです。
車の場合はまだコモデテイー化が難しいので何とかなっていますが、これが電気自動車になると家電製品のようにちょっとした経験があれば、どこでも普及品を作れる時代が来ると言われています。
品質差が大きいときには現地ごとの細かいニーズを(左ハンドルのまま)無視しても、品質差が決め手になりますが、どこでも、そこそこのものが作れる場合、顧客ニーズにあったものを作った方が有利になります。
現地企業の方が現地人のニーズに合わせ易いのは当然です。
東南アジア市場では西洋企業よりは、アジア人である日本の方が有利ですし日本人よりは、マレーやタイ人そのものの方がなお有利です。
最初は接客ソフトの未発達な中国人は日本のサービス業の教えを受けるしかないでしょうが、コンビニ等で接客技術を身につければ、独立した中国人の店舗の方が日本人経営店舗より有利になってきます。
中国人の味や色柄好みその他全て、現地ニーズを取り込んだ方が勝ちとなれば、現地に5年や10年駐在している日本人より、何世代も住んでいる中国人の方が有利に決まっています。
ニーズ把握・商品化能力を重視するならば、現地人の感性・・現地人採用が必須になります。
このために工場進出・海外生産移管を進めても研究開発は国内に・・と主張していたのを改めて、海外・・各現地ごとに開発研究拠点を設けるしかなくなって行きます。
こうして進出企業は一定期間経過で(数十年〜50年かかるのもあるでしょうが・・いつかは)部品も現地トップもデザイナーもみんな現地化され現地企業に飲み込まれて行くのが歴史の流れです。
部品も現地化が進む一方ですし、研究開発要員やデザイナー等もみんな現地化して行くと国内に何が残るか・・国内需要用の生産研究要員・自給自足に必要な労働力しかいらない時代が近いうちにやってきます。
コモデテイー化の罠から逃れるためには、レーヨンから炭素繊維に切り替えたように、大変身するしかないのですが、ある業界で同業者が数十社あるときに、大変身に成功するのは各業界5〜6社(膨大に存在した繊維業界で世界的企業として生き残っているのはトーレ、クラレなど僅かです)あれば良い方でしょうから、残りの90%以上の同業者が輸出減による廃業や規模縮小して来たのですから大変でした。
海外進出が継続的に行なわれて来たこの20年間製造業では、過剰雇用・過剰生産能力に苦しんで来たのは当然です。
この間・・企業は社会責任として社内失業を大量に抱え込んで来たし、これが失われた20年と言われる企業苦境・・株価低迷の原因でした。
この間に製造業従事者がかなり減りましたが、一斉に減らさないで年数をかけて少しずつ減らして行く日本的経営が、日本企業や社会全体にお腹に痛みを抱えたような状態を続けさせたことになります。
参考までにバブル崩壊後の製造業従事者数の減少を見ておきましょう。

以下は日経新聞の電子版?データです。
7月2日に紹介した新聞記事より1年半前のデータですから、車の生産台数などが少し違っています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0100L_R00C13A2MM0000
2013/2/1 11:19
「製造業の就業者はピークだった1992年10月の1603万人からほぼ一貫して減少してきた。1000万人を割るのは61年6月以来。就業者全体に占める製造業の割合が最も高かったのは70年代前半の27%超で、これが昨年12月には16%まで落ち込んだ。特に2008年の米リーマン危機以降は世界景気の減速を受けた輸出の冷え込みで就業者の減少が加速した。」
「アジアは市場拡大が見込めるほか、人件費が安いため、各社は経営資源を現地生産の拡大に投じるほうが効率的と判断している。自動車の国内生産台数はピークだった90年(1348万台)から近年は3割程度減少して推移している。」

上記記事では「人件費が安いから」と書いていますが、世界企業がこぞって中国等で現地生産を始めると人件費の安さは同じですし、品質差がちょっとしかない場合、現地ニーズを如何に早くつかむかが・・結局現地トップから中堅〜デザイナー等の開発要員まで現地化の進んだ企業が製品販売に迅速対応できるので・・販売競争の勝敗を決める点にまだ気が付いていない記事です。

海外進出と国内生産過剰2(人口過剰1)

日本は長年国内需要の何倍も作って輸出して外貨を稼いで蓄積して来たのですが、国際化の進展で現地生産に切り替わる時代が来た以上は、国内にこだわって現地生産に切り替えて行かないと将来的にはジリ貧になります。
現地進出競争が盛んですから、行く行くは世界中で普及品に関してはどこでも似たようなものを作れる時代が来ます。
高級特殊部材はどこでも作れないので輸出・・貿易対象に残って行くでしょうが、この種生産に携われる人口は僅かですし、数量価格的にも国の人口を支えるほどの輸出代金を稼げません。
輸出品が限定されて行くと、輸出代金では食糧や資源輸入代金全部を賄えなくなるので、過剰人口が解消されるまでは不足分は過去の蓄積食いつぶしと海外工場からの利益送金で賄うようにして行くしかありません。
国内雇用を守るためと言って進出を怠っていると、競合国に市場をさらわれてしまい、海外足場を失うリスクの方が大きいので、現地化競争に遅れを取る訳に行きません。
7月1日の日経新聞朝刊経済教室に出ていましたが、日本企業の自動車生産数は世界で2500万台にのぼっていますが、国内生産に限ると1990年から13年までの間に日本は1356万台から963万台へ30%減少し、同じ期間ドイツは国内生産15%、米国は14%、韓国は89%増となっているとのことです。
これらは円高に対する各通貨安によるもので、(グラフがついています)ドイツは単体ならばマルク高になるべきところEU全体の不景気によるユーロ通貨安によって交易条件が有利になっていることによるようです。
要するにユーロ経済システムは比較優位のドイツ一国に有利になる一方でその他は割を食う関係・・格差が広がるばかりです。
今や安倍政権による円安リベンジが始まっていますが、通貨安(の効能は頓服のような一時的効果しかなく)に頼っていると通貨安の恩恵がなくなったときにイキナリ海外進出しようとしても、先行進出企業にがっちり市場支配されているとそこヘ後から食い込むのは大変なことになります。
この意味では、日本が先駆けて世界へ打って出ていたのは(今は苦しいけれども)後で効果が利いて来ると思います。
ただし、この切り替え中のミスマッチで生産力過剰・雇用減に苦しんでいるのは、店舗建て替え中の収入減と同じです。
不景気の場合循環するので、受注が減ってもすぐに解雇しないで余剰人員を抱え込んで次の波を待てば良いのですが、海外進出による輸出用国内生産縮小の場合、循環性がないのでじっと待っていても国内生産回復は見込めません。
何しろ進出先の競争相手が自社の子会社ですから、同一製品で競争すること自体が許されないので挽回の余地がありません。
この間に部品供給等でお茶を濁していましたが、時間の経過で部品も現地調達率が上がる一方ですからこれもいつまでも続きません。
まだ海外進出していない高級分野での技術力を磨いて新たな製品を創出(企業自体変身)して輸出に活路を見出すしかなかったのがこの20年でした。
この大変身に成功して来たのが日立(インフラへ)や東芝(原発)でありトーレ(炭素繊維)やクラレであり、キャノンやオリンパス(内視鏡)等の精密分野でしょうし、同一製品の技術力アップで現地生産で作れないようなものを従来どおり輸出して稼ぐ・・国内雇用維持をして来たのがトヨタであったと言えるでしょうか。
ソニー・パナソニックその他家電業界は技術力アップして海外展開工場や現地企業と差異化しても、コモデテイー化が早過ぎてすぐに追いつかれるので、現地で成長した現地企業・・ニーズの先取りには現地企業が優れています・・に遅れをとってしまったのです。
(真偽不明ですが良く言われているように、サムスンのように技術者を引き抜いて真似をする後発の方が、巨額研究開発費を負担しない分有利でした・・しかも研究開発に注ぐエネルギーをニーズに応じた開発をする方に注力する意味でも有利でした)
世界中どこでも似たようなものを作れる時代に入ると、ニーズを逸早くつかんだ方が勝ちです。

外資導入と特区制度2

中国の特区制度は、古代の都市国家経営の経験によるだけではなく戦前日本を含めた列強が中国の上海や南京で租界地を確保していたことが、ヒントになったかも知れません。
租界の場合、治外法権で列強の軍隊が駐屯していましたから、文字どおり未開地に進出した古代都市国家そのものですが、改革解放後の特区は、中国の支配権力内のママですから、法的意味が大分違っています。
中国の統治下・・外資進出企業向けの制度に自主的に合わせた点が違うものの、結果から見れば外資・先進国ルールにした特別な地域を作ったのですから、自主的か否かの違いだけで、商業団が未開地・進出先に作った砦・・自分のルール適用地である古代都市国家と機能的に同じです。
明治日本が開国時に条約改正実現のために、日本全体の法制度完備を待たずに特区を作って、ココだけでは欧米並みの法律制度を完備した(1国2制度)ようなものですが、日本の場合国民の一体感が強いので一部だけ別の法制度にする二重基準には抵抗が強いので、日本全体の法制度整備まで待つしかありませんでしたし、現在の安倍政権の特区構想も難航しているのは同じ民族意識の結果です。
中国では、元々支配者と非支配民族分離が常でしたから、特区制度が簡単にできるのでしょうが、中国を除けば特区制度を作っていない後進国が普通です。
特区がなくとも外資の進出地域では(日本で言えば麻布周辺)自然発生的に外資の要望に合う商店やホテルが集積した町造りになるので、結果的に特定地域だけが飛び抜けて外人向け街区になって行く点は同じです。
(日本では外人は「柄が悪い」イメージが強いので、在日の多い場所や外人の多い麻布六本木周辺は犯罪集積地イメージ?)
江戸時代の長崎出島制度もこのように、外人は道徳的・宗教上に問題があると言う視点で善良の風俗を守るために伝染病の隔離施設同様の発想で隔離したものでした。
アメリカなどでも、特区制度がなくとも中国人の多いチャイナタウンや韓国人居留地・コリアタウンには、中国人や韓国人向けの店や風俗が定着します。
一般論として言えば、後進国から来た人の集積する場所は逆に町が汚くなるし、先進国から来た人の多い町はあか抜けた感じになると言えます。
外資が国内企業の大半を牛耳るようになると、外資の関心のある分野だけ投資されて行き関心のない路地裏の整備・教育投資・社会保障などには資金が回って行かなくなります。
特区や租界でなくとも、外資中心に勃興している新興国では外資の集積した地域・メーンストリートだけが先進国並み水準(外資に伴って駐在する高級サラリーマン向け飲食店ホテルなど林立し)になり、その他は旧来型スラム街と言う格差社会が外観上も生じてきます。
外資(主に先進国)にとっては、生産効率化のためのインフラ投資等には理解がありますが、関係の遠い地元教育投資・・路地裏整備・衛生等に協力するよりは、人件費が安く、法人税が安い→1株あたり配当が多いに越したことがありません。
政府がこう言う勢力の代弁をするようになってくると、国民のための政府か外資の傀儡政権になっているのかの区別がつかなくなります。
韓国の場合、アジア通貨危機以降外資の牛耳る社会・・経済植民地化進展の結果、非正規雇用の拡大・配当優先政策で国民が貧しくなる結果、内需寄与分が減少し続けているようです。
貿易依存率が100%近いいびつな経済構造になってしまっていると言われますが、依存率が高いとどう言う弊害があるのか勉強不足で今のところ私には消化不良です。
印象的に言えば内需が乏しい状態ですから、見せかけの規模の大きさに比べて国民が良い思いをしていないという批判でしょうか?
以下は、http://blog.jul22.net/article/61675354.htmlからの引用です。

日本の国内総生産に占める貿易依存率は10%あまりに過ぎず内需国家と言われています。
2011年末の日中両国の輸出依存度(純輸出のGDPに占める割合)を見てみよう。

日本:14%
中国:26%

ちなみにアメリカは10%、韓国は50%である。日本は貿易立国と言われるが、実際には内需大国だ。韓国は貿易が滞ればたちまち国が干上がるが、日本はそうではない。
中国のほうがよほど貿易に依存している。

法人税減税2と補助金削減

ちゃんと儲かっている企業の株を何故税優遇までして外資に買って貰って経営を委ね支配してもらう必要があるのでしょうか?
ちゃんと経営しているトヨタの株主の外資比率を引き上げる必要があるのでしょうか?
外資比率が上がれば、トヨタが日本国内生産にこだわる方針を変えることになっていくでしょうが、こういう結果になることを日本の政治家が何故望んでいるのでしょうか?
愛国心のある企業は幕藩体制時代の意識を基に株主配当よりは、出来るだけ多くの雇用を維持し利益を実質的に国内に還元する(いろんな分野での社会貢献活動をして)使命を持って頑張っています。
配当率が低くてゼロ近辺ですと、外資は投資対象から外すでしょうが、外資の買収対象にはならなくとも、地域にとっては企業組織(従業員千人の工場があるとした場合)が維持さえ出来てればそれで有り難いのです。
法人税を払う分と同額を従業員の給与アップ(所得税や住民税が多くなるし地元消費が増えるメリットがあります)や福利厚生費に掛けてくれれば、その地域にとっては同じです。
税制中立と称して法人税を下げる分と同額の企業補助金を下げることが必要と言う意見が一般的です。
法人税を1兆円下げてその代わり1兆円の企業補助金を下げると効果が同じではありません。
1兆円の補助金は100%国内企業に還元され新製品開発に利用されていますが、法人税を下げた分の何割かは外資に持って行かれてしまいます。
もっと重要なことは法人税引き下げによって産業政策にあわせてメリハリを付けられる補助金比率が下がると、政策の自由度がなくなります。
しょっ中マスコミを賑わしているように、先端技術研究費や普及のための(エコカーなど)補助金など枚挙にイトマがありませんが、法人税を一律に引き下げるためにこれをなくして行く政策採用などは愚の骨頂です。
税を払うのはイヤだと言ってドンドン減税して行って、道路や公共施設等の投資を減らして行くのと同じです。
補助金や公共工事の箇所付けには汚職や政治家の暗躍の臭いがつきまとうからイヤだと言う人もいるでしょうが、それは制度の透明性を高める方向へ努力すべきであって、無税にして公共工事をしなくて良い訳ではありません。
法人税を払ってくれればなおいいですが、かりに法人税を払わなくとも、企業が存在すること自体でいろんな税負担をしてくれます。
(企業・工場本体の各種設備や従業員の居住用の家や車保有などに関連する業者・飲食業が存在できますし、固定資産税や従業員の所得税、住民税等も入ります)
地元での雇用確保・・技術伝承の基礎ができ、地域社会も維持できるし「その志や良し」というべきではないでしょうか?
ROE・・資本に対する配当率が日本企業が低く外資に魅力がないことをマスコミが批判します。
日本企業は幕藩体制時代以降の構成員第一・従業員第一主義の国ですので、株主利益実現ばかり目的としている国の基準を持ち込む必要がありません。
あるとき高配当して次は倒産と言うのでは従業員が路頭に迷って困るので、多くの企業は長期的視点で内部留保を厚くしている結果、(使わないで持っている資金が多い分)資金効率が下がります。
原油で言えばイザというときのために大量に備蓄していますが、・・使ってないで死蔵しているのですから、運用効率は下がります・・日本企業は原油備蓄のような経営をしているので、短期利益目的のプロ投資家の希望とは合わない面があるのは仕方がないように見えます。
日本企業のやり方は、リーダーや株主が大金をとって国民を搾取対象とする社会とは違い、民族的責任感による1つの生き方ですから、これはこれで価値のある流儀です。
株主配当を重視する国籍無視の欧米(ユダヤ資本の好む流儀)の真似をする必要がないでしょう。

豊かさ指数とGDP

韓国では、国民には製品を高値で売って海外では安く売るのは国際競争を有利にするための国策という大義名分があったでしょうが、賃金や福利厚生を出来るだけ低く抑えて企業利益を生み出す株主迎合・・法人税を安くし外資への配当増加政策は、まさに国民に犠牲を強いる政策でした。
国際競争力強化の名分で結局は大企業は大株主=外資の言いなりで、外国人株主還元を重視していて、国民は搾取対象?低賃金(不安定な非正規雇用)で働かされ、他方で他人には高く売れないので、身内だから協力してと言われて割高な製品を買わされていたことになります。
(この精神は米韓FTA後の今も基本姿勢が変わりません。
韓国が貿易競争条件を有利にするためにウオン安政策・・為替介入を続けていることについてアメリカ政府から、警告され続けています。
ウオン安政策とは国民の労力を対外的に安売りするだけではなく、為替が安いと輸入物価が上がるので国内価格が上がりますから、国民は二重の搾取を受ける結果、国内消費が低迷し国民を疲弊させる政策の総合的表現です。
(失われた20年と言いますが、日本の円高にはこの逆のメリットがあったことを繰り返し書いてきました)
それでも企業の儲けが日本のように国内分配されるならばそこで救われますが、韓国の場合、昨日紹介したように外資が牛耳っているので、利益の大半が外資に吸い上げられっぱなしですから、言わば新たな形式の植民地(IMF)支配を受ける国になってしまったのです。
この辺の意見は、「経済植民地化1」April 10, 2014前後のコラムで連載しています。
ちなみに国民一人当たり総生産の基準を算定しても、国民多くの豊かさ指標としては何の役にも立ちません。
付加価値・総生産を国民一人当たりで割って産出していますが、付加価値の多くは企業の産出したものですから、企業の生んだ付加価値がどのように分配される社会であるかが重要です。
株主や社債からうける配当や金融収入は(全部国民が保有している場合には)個人金融資産合計に収斂されるのですが、外資占有率の高い社会では、国外に流出してしまい国民の収入にはなりません。
国内還流分もサムスンオーナーのように天文学的資産家が一杯いますので(財閥系社会の弊害です)彼ら財閥オーナーの取り分や外資への配当分を合計したGDPを人口で割って平均しても、一般国民の生活水準の指標としては意味がありません。
個人金融資産合計では負債の大きさが言われている社会ですから、金融商品関連を除くフロー収入がどうなっているかが重要です。
外資比重の多い韓国での庶民生活水準を知るには、株式配当や利子金融商品売買益等を除いた労働分配率こそが重要です。
労働分配率が低くともその代わり個人から税を取らずに、法人税と利子配当金融商品売買益課税ばかりで国家運営し、その資金で子供手当や家賃補助、医療費等を無料にするなど充実すれば国民が潤います。
ところが韓国の場合、法人税率が日本と違い20%台と低い(外資にとっては韓国内で使うための税金など払うよりは、配当が多い方が良いに決まっています)のですから、日本より法人税率が低い・社会保障の企業負担が低い・少ない分国民サービス用の資金は一般国民から日本より多く徴収していることになります。
日本での法人税軽減の主張が強くなってきましたが、これは外資導入期待論者・・または既存外資の代弁主張になります。
法人税減税論は国際競争力には関係がないのですから、国家運営に必要な一定資金が外資に持って行かれる結果を何故期待しているのかの議論こそが重要です。
外資にとっては法人税が安くないと株式配当がその分減るので丸損で・・単純明快です。
国民株主にとっては、法人税率が高くて配当が減る代わりに個人の所得税や消費税が少なくて済むメリットとのバーター関係になりますから、一方的にどちらが損か得とは言い切れない関係です。

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