第三者委員会の役割2(朝日新聞慰安婦報道1)

慰安婦報道と池上氏コラム掲載拒否問題については、別の第三者委員会の検証対象になっています。
以下第三者委員会見解の紹介です。
この委員会では慰安婦強連行に関する吉田氏の著書や講演が虚偽であったこと自体については後に吉田氏自身が認めていることなどから、委員会意見は(最高裁判決で言えば法廷意見?)約30年間も訂正・取り消ししなかったことの是非に焦点が当たっています。
発表当初に裏付け取材を一切しないまま発表した経緯とその後修正・取り消しが遅れた経緯・・トップの責任追及的視点・・その後の処理対応が悪い点に力点を置いていて、(どうせやめるに決まっている人に責任を取らせる図式です)国民が知りたい朝日の基本的体質・・日本民族非難目的的報道体質そのものの掘り下げは緩い感じを否めません。
原発吉田調書同様に、事実経過報告とどめて主観的意図の判断は、読者に委ねると言う姿勢でしょうか。
事実羅列の中で注目すべきことは、報道前に吉田氏に面会したところ、慰安婦連行に関する吉田清治氏から根拠になる資料すら「焼却した」などと言う、如何にも怪しい応答されているのに、疑いもせずに独自取材せずに真実であるかのように大規模報道していたことが分りました。
こんな大事件報道をするのに言い出しっぺの調査研究発表者・吉田清治氏が取材時点で取材資料を既に焼却してしまっていることなどあり得ないことですから、検証委員会にはこの点をもっとツッコンで追及して欲しかったと突っ込み不足に不満を抱く人が多いでしょう。
しかし、仮に突っ込んでも「そのころはそう言う判断でした」と言う答えしか却って来ないと言うことも十分想定されます。
以下のとおり重大記事の最初の執筆者さえ分らないと言うこと自体、怪しい朝日新聞の対応ですが、委員会が家捜しすることも出来ないので、これも読者判断と言うことでしょうか。(怪しいと思うかは読者の判断に委ねるのも1方法です)
以下原文からの引用です。

(1)1982年9月2日付記事

(1)吉田証言について
朝日新聞は、同社記者が執筆した1982年9月2日付朝刊紙面に「朝鮮の女性/ 私も連行/元動員指揮者が証言/暴行加え無理やり」の見出しの記事において、同社 として初めて、吉田証言を紹介した。
同記事は、前日の1日に大阪市内で行われた集会において吉田氏が述べた内容を紹介す る。当初この記事の執筆者と目された清田治史は記事掲載の時点では韓国に語学留学中で あって執筆は不可能であることが判明し、当委員会において調査を尽くしたが、執筆者は 判明せず、執筆意図や講演内容の裏付け取材の有無は判明しなかった。
(2)1983年10月19日、同年11月10日及び同年12月24日付記事
これらの記事は、大阪社会部デスクの意向で、ソウル支局ではなく当時大阪社会部管内 の岸和田通信局長をしていた清田により強制連行の全体像を意識した企画として進められた。清田は、吉田氏宅を訪問し数時間にわたりインタビューをした。裏付け資料の有無を 尋ねたが焼却したとのことで確認できなかった。吉田氏の経歴等についても十分な裏付け 取材をせず、証言内容が生々しく詳細であったことから、これを事実と判断し記事を書いた。」

科学発明発表の記者会見で、実験データを全て焼却したので再現出来ないと言う説明をした場合、その論文の価値を認める人が一人もいないでしょう。
こんなずさんな説明で第三者(検証)委員会が「あ、そうですか」と安易に?矛を収めているのでは、何のための検証かと疑問を抱く人が多いのではないでしょうか?
第三者委員会の認定事実によれば、朝日新聞は、「焼却してしまった」と言う吉田氏の不思議な説明で裏付けをとったことにして?日韓関係を揺るがし世界に日本の蛮行を大宣伝する大記事にしたことになります。
これに対する意見書の評価は以下のとおりです。

「吉田証言は、戦時中の朝鮮における行動に関するものであり、取材時点で少なくとも35年以上が経過していたことを考えると、裏付け調査が容易ではない分野におけるものである。すると、吉田氏の講演や韓国における石碑建立という吉田氏の 言動に対応しての報道と見る余地のある1980年代の記事については、その時点では吉田氏の言動のみによって信用性判断を行ったとしてもやむを得ない面もある。
しかし、韓国事情に精通した記者を中心にそのような証言事実はあり得るとの先入観がまず存在し、その先入観が裏付け調査を怠ったことに影響を与えたとすれば、 テーマの重要性に鑑みると、問題である。
そして、吉田証言に関する記事は、事件事故報道ほどの速報性は要求されないこと、裏付け調査がないまま相応の紙面を割いた記事が繰り返し紙面に掲載され、執筆者も複数にわたることを考え合わせると、後年の記事になればなるほど裏付け調 査を怠ったことを指摘せざるを得ない。特に、1991年5月22日及び同年10 月10日付の「女たちの太平洋戦争」の一連の記事は、時期的にも後に位置し、慰安婦問題が社会の関心事となってきている状況下の報道で、朝日新聞自身が「調査 報道」(1994年1月25日付記事参照)と位置付けているにもかかわらず、吉田氏へのインタビュー以外に裏付け調査が行われた事実あるいは行おうとした事実がうかがえないことは、問題である。

上記によれば、当時としては焼却したと言われてそのまま信用して、裏付け取材しなくとも(その後の対応が悪いだけで)「やむを得ない面もある。」と言い切っているのですが、35年前のことではっきりしないならば「朝鮮の女性/ 私も連行/元動員指揮者が証言/暴行加え無理やり」の大見出しで書かなければ良いことです。
新聞記事と言うのは根拠があってこそ書くべきですし、ましてや国家の命運に関わるよう大問題を「根拠が不明だから書いても仕方が無い」と言うのでは、マトモな論理的説明になっていません。
朝日新聞のように世界中に拠点を持たない1個人が現地取材して事実がないと言う報告をしていることから見ても、韓国内の拠点・ソール支局もある大組織の朝日が何故簡単な現地調査をしたり、吉田氏の経歴調査・・主張の時期に主張する職にあったのか、その当時の職ム内容など公式記録にあたるなど、するべきことが一杯あった筈ですが、(委員会も認定しているように急いで発表する必要がないのでゆっくり事実調査してから記事にして良かったことですが)全く調査する気もなかったのを不思議に思うのが普通の国民感情ではないでしょうか?
(これだけ慰安婦報道が大問題になっているサナカの2014年5月20日に発表された原発吉田所長調書事件も肝腎の東電職員一人にも取材しないままの大スクープ?記事でしたが、急ぐ必要もないのに、取材しないで想像で書くのが朝日の基本的体質でしょうか?)
次の段以降の「しかし」付きとは言え、先ず前段で「やむを得ない面もある。」とまで言い切るのは、根拠のない正当化ではないでしょうか?
「やむを得ないかどうか」の検証のために第三者委員会が選任されたと国民は期待していた筈なのに、委員会は35年経過していることだけを根拠に「やむを得ない面もある」と断言しているのでは多くの国民は驚いたのではないでしょうか?
「面もある」と言う半端な表現ではありますが、基本姿勢としては朝日の行動を肯定したことになるのでしょう。
後の文章はその後の行動に力点を置いていて、取材なしでセンセーショナルな記事発表した当初の姿勢に関する国民の疑問に答えていません。

朝日新聞吉田調書3(見出しの重要性)

昨日書いたように、報道と人権委員会「見解」の書きぶりに対して基本的に良く出来ていると評価していますが、気になる書き方がありますので一部だけ紹介しておきます。
大見出し等はそのままでも?記事内容に書いてあれば、印象は和らいだろうと言う趣旨の期待的意見が書かれている点です。
(この部分は本音と言うよりは、厳しく事実認定したので朝日に対するリップサービス程度の意味かも知れませんが、念のため批判しておきます)
26年12月30日「マスコミの情報操作1(羊頭狗肉)」以来書いているように、大見出しは何を書いていても内容で矛盾していることさえ書いておけば(は言わないまでも?悪質性が軽減出来たと言う程度か?)良かったかのように誤解しかねない部分です。
確かにないよりは少しは良かったと言う見方も出来るでしょうが、海外向け英字報道の大見出しに「所員の9割が命令に(公然と)拒否して逃亡」と出されていた場合、先ずその見出しのコピーが大量に出回るのが普通ですから、記事内容にややこしいやり取りを記載さえすれば良かった・・と言うのでは、意図的な「角度をつけた」報道がはびこる一方です。
まして今回は「見解」によれば、「A4版400ページ」に及ぶ専門用語中心の難解で膨大な資料と言うのです。
前後の記載を羅列的に記載しただけでは、表題記事と矛盾する可能性があることが読者に分った可能性があると言ってもちょっと斜め読みして理解するのは容易ではありません。(ほぼ不可能でしょう)
「見解」によれば、専門用語が多くて専門家でないとわかり難いことを理由に原発取材プロの朝日の記者2名だけが読み込んで記事にしたと言う認定ですが、関連資料を1読して素人が「表題と違って職員の9割が逃げた訳ではない」と分るくらい単純ものならば、そのプロが何故読み間違ったと言えるのか・・朝日の主張と明白に矛盾するでしょう。
・・99%の素人は、仕事や家事その他で忙しいので、ニュースがあってもその都度資料まで読み込む時間もないので、見出し等で判断するのが普通です。
私もニュースの見出し程度しか見る暇がないのが日常ですが、今回は正月休みがあったので、「見解」原文に当たる時間がありましたが、多くの人はニュースで「こう言う見解」が出たらしいと言う誰かのまとめ記事くらいしか読まないでしょう。
(余談ですが、長距離電車通勤をしていないので駅頭などで週刊誌を買って読む暇もないので、新聞に掲載されている週刊誌の広告を見て、こういうことが今の話題になっているのか?程度の情報収集が普通になっています・・詳細に読み比べるプロと違って、一般人に対する影響力としては、このように「見出し」の書きぶりが大部分を決めていると言うべきでしょう)
委員会見解(3)では、原発取材資料の専門性の結果・社内で「専門的知識を持つ人材でも2〜3日は必要」と認定しています。
まして私のような部外者は、仕事に出る前や寝る前に新聞やネットの見出し程度読むのがやっとであって400ページもの資料自体を1週間もかけて読んでいられません。
以下は報道と人権委員会(PRC)の見解全文(2)の一部引用です。

 (1)本件記事には「所長命令に違反 原発撤退」の横見出しに関わる吉田氏の証言のうち、割愛された部分がある。前述の「伝言ゲーム」について述べた部分(〈1〉)と、「よく考えれば2F(第二原発)に行った方がはるかに正しいと思った」と述べた部分(〈2〉)である。
 これらについて、取材記者たちと担当次長らは、意図的に掲載しなかったわけではないとし、連動していた朝日新聞デジタルには、いずれの部分も載っていると説明している。
 (2)仮に掲載していれば、それだけ読者の判断材料も増え、記事の印象も随分、違ったものになっていただろう。「所長命令に違反 原発撤退」との主見出しに対しても、組み日当日、社内で疑問が広がった可能性もある。

以下は「見解」(3)の文書です。
「専門的な知識、用語の多いテーマであることから、記事内容や見出しの適否を検討するには、担当記者以外の専門的知識を有する記者にも、2、3日の余裕を持って閲覧させるべきであり、部長、担当次長もそのように指示すべきであった。少なくとも、初報記事の関連部分は開示すべきであった。
さらに、特報部が科学医療部、政治部と打ち合わせた18日の会議には、朝日新聞デジタルの特集サイト用のプロローグ部分の予定原稿及び2本目の「フクシマ・フィフティーの真相」の予定原稿が示されていた。後者には、その後に引用されなかったことが問題となる証言部分が載っていた。しかし、19日当日の紙面作りの過程において、デジタル紙面の予定原稿は編集者や他の記者たちに示されなかった。20日付紙面に対応する吉田調書の記載部分やデジタルの2本目の予定原稿が社内で一定程度、共有されていたら、見出しと記事内容は異なったものとなった可能性がある。朝日新聞デジタルでは4月ごろから複数のスタッフも加わって、予定原稿づくりの作業が進められていた。しかし、本紙の編集センターでは、組み込み日当日になっても秘密保持を理由として情報の共有がなされていなかった。行き過ぎというほかない。」
第2に、19日時点でも、見出しや記事内容について多くの疑義が社内の各方面から出されていた。しかし、これらの問題提起はほとんど取り上げられることなく終わった。担当次長は、大阪本社からのデスク会前後での指摘は認識しているが、他からの指摘は認識していないと述べている。紙面の最終責任者はGEであり、当日の責任者は当番編集長だが、これら責任者には伝わっていない。なぜなのか、その原因を点検する必要がある。」

第三者委員会の役割1(朝日新聞吉田調書2)

報告(見解)を見ると、発表前の内部チェック体制不備や吉田調書の誤報が分った以後における対応の不手際解明が中心ですが、国民が知りたかったのは、事実報道に見せかけながら、偏った一定方向へ誘導していたマスコミ全般の日常的体質そのものではなかったでしょうか?
朝日新聞はその特化程度が激しいので、批判を浴び易いだけです。
組織暴力団事件も末端殺し屋が動いて、トップが知らなかったでは済まないのが昨今の風潮(少なくとも民事賠償事件では)です。
いつも一定方向にしか発言出来ない状態で運営している社風の場合、問題点は社内決済システム不備ではなく日頃からの社風・体質のあらわれであって、個々の決定にトップが関与する必要すらなくなっている・・、どうせやめる予定のトップ責任ばかり検証しても仕方がないように思えます。
第三者委員会が2つになっているのでややこしいですが、両見解を読むと吉田調書事件では部門任せだった社内総合評価システムの不備を指摘しながら、慰安婦事件の第三者委員会では社長ら上層部が池上彰氏掲載記事に介入した点を強く批判しているなど、ちぐはぐな印象です。
ただ結果から見ると、吉田調書では総合関与がなかった点を批判し、池上報道では上層部意見が通った点を批判しているので、それぞれの委員会では結論から見解を出していることになるようです。
社の基本思想にあえば、わずかに現場記者2人しか資料を読み込まないままニッッポン民族の大汚点・・世界ニュースになるような記事をそのまま出せる仕組み・・暴走出来るし(大社会問題になってからでも広報部が資料すら見ないで弱い個人相手に法的手続すると脅かしています)、社風にあわないとなれば社長まで乗り出して池上記事を没にする決断をする・・この一貫した体質こそが暴かれるべきです。
そうとすれば後に紹介する第三者委員会の岡田個人意見のように委員会全体見解でもストレートに「角度に重きを置く」社風を指摘するのが王道だったように見えますが、政治的配慮から公式意見としてそこまで踏み込めなかった(本音は個人意見で理解して欲しい)と言うことでしょうか?
近年流行の第三者委員会設置の役割ついて、ここで少し見ておきましょう。
朝日新聞で言えば、国民は連続虚偽?誤報道が何故起きたのか?個人が思いつきで出来ることではないので、その体質に疑惑を持たれて世論が沸騰していました。
その大きな疑惑を放置出来ないために第三者委員会を設置するから、個々の質問に答えられないと称して、社長自身に対する厳しい質問等をさせない・・釈明をしないでうやむやにしたものでした。
その結果厳しかった世論の熱がサメた頃になって、出て来たのは「今後内部統制システムをしっかりする」と言う国民の関心とは直接的な関係のない結果公表で幕引きの印象・・肩すかしを食ったような印象を受けた人も多いでしょう。
これをどう読むかですが、淡々と事実経過を書くことにとどめて、読者による冷静な解釈判断に委ねる・・朝日新聞自身に対しても反省するチャンスを与えるのは手堅い方法です。
一定の立場に肩入れするような特定評価をしない・・・国内の感情的対立をあおるようなことを慎むのも大人の処方箋です。
煽るだけ煽って韓国のように感情的熱狂のウズに巻き込むのは、民族の一体的発展のために得策ではありません。
正月休み中で時間があったので慰安婦・池上氏関係に関する第三者委員会と原発吉田調書に関する「報道と人権委員会」の双方意見書を読む時間がありましたので一部紹介しながら書いてい来ます。
以下「報道と人権委員会」報告(11月12日)(朝日新聞社「吉田調書」報道「報道と人権委員会(PRC)の見解全文」)から見て行きます。
同見解では、原発吉田調書については事実関係・読み方そのものに争いがあったので、事実関係を克明に記載・検証しているのは当然ですが、結果的に内部チェック体制を見るために時間をかけた印象で、韓国でセウオール号事件報道(乗組員が乗客を放置して逃げた)政府非難が過熱している最中に、この発表をぶっつけた政治的意図については何ら触れるところもありません。
元々このセウオール号事件で過熱していた政府非難を冷ます目的と日本民族を貶める両目的があったのじゃないか?と言う疑惑から、大政治問題に発展して第三者検証が必要になった出発点に触れない点に不満を持つ人も多いでしょう。
しかし、淡々とした時系列的記述(調査結果)自体から問題性を読み取りたい人は読み取れば良いと言うのも1つの見識です。
関係者が原資料を読みもしないで「法的措置をとる」ような文書を発行している事実を淡々と公表することから、1月6日に私が書いたように読むことも可能ですし、そこから何を読み取るかは読者の自由です。
また記事発表前の緊迫した状況が克明に記載されていますが、元々3年以上前に発生した事故対応として「東電職員の9割が逃げたかどうか」を発表するのに、社内関係者が2〜3日かけて議論する時間的余裕がなかったとは思えません。
同見解で
「 専門的な知識、用語の多いテーマであることから、記事内容や見出しの適否を検討するには、担当記者以外の専門的知識を有する記者にも、2、3日の余裕を持って閲覧させるべきであり、部長、担当次長もそのように指示すべきであった。少なくとも、初報記事の関連部分は開示すべきであった。」

と指摘されているように2〜3日どころか、ホンの短時間の会議でさえ、そこで原調書を見せられていない関係者から、いろんな指摘や危惧が示されていたことも認定されていますが、調書を関係者誰にも見せないで短時間でこれを押しきって強行したのは、異常な進行ぶりです。
緊急速報性のない記事について社内関係者に十分な読み込み検討する時間を与えず急いで発表・・記事にしたのか・・緊急発表の必要性をだれが何の目的で決めたのかも疑問ですが、こう言うことには全く触れずに、時系列中心記述にとどめて読者の読み解き次第に委ねる姿勢といえます。
委員会が韓国スウオール号事件にぶっつける緊急性があったのか?と質問してもまともに答える筈がないから無駄ですし、委員会は国内対立を煽るのが目的ではありません。
事実検証の結果、国内向けには「撤退」と報道していたのに、海外向け英語表記では反抗して逃亡とどぎつく表現していたことが分りました。

「本件5月20日付記事の見出しを「90% of TEPCO workers defied orders, fled Fukushima plant」にして、20日夕方に発信した。直訳すれば、「東電の所員の9割は命令を無視して、福島原発から逃げた」との表現となった。公然と反抗するなどを意味する「defy」の過去形を使った。」

国民としては「命令に反して撤退」(「反して」の場合陰で言うことを聞かない場合を含みます)だけでも怒りの抗議が殺到していたのですが、海外向けには何故「反して」ではなく、強固な目の前で反抗を意味する「defy」にしたのか、「撤退」を「逃亡」に強調したのか知りたいところです。
これも国民の受け取り方に委ねると言うことでしょう。
(国民には反発を受けないように優しく表現して海外に誇張宣伝するのが元々の主たる目的だったのではないかという穿った解釈も成り立つでしょう。)
報道と人権委員会の「見解」は、全体として事実を丹念に拾っていることが評価出来ますし、丹念な事実認定の結果、無理に踏み込んだ見解を書かなくとも、明らかにした事実を基に国民の健全な判断に委ねる収め方は、法律家的手堅い「見解」と評価出来ます。

マスコミの情報操作3(非正規雇用の増加と格差拡大論2)

株式相場と実体経済の関係について考えてみますと、ある事業についての新製品開発成功・・数年先の展望が明るいとなれば、まだ儲かっていなくとも、将来を見越して、その段階で株価が上がります。
株価は言わば景気・企業業績の先行指標ですから、円安や新製品発表と同時に株は上がっても、企業はその時点で即時に残業や雇用を増やすところまで行きません。
円相場の高下によって即時に株価が上下するのは、半年〜一年先の売上が伸びたり減ったりする期待からであって、その日のうちに輸出品の現地売上が増えたり減ったりするものではありません。
(輸入ブランド品の店頭価格等が、その日の円相場で上下しないのを見ても分るでしょう・・ブランド品の輸入業者の事件では、・・春夏もの仕入れ交渉は前年度中に手当てしていると言うことですから、春先に円が上がってもそのトシの輸入品は安くなりません。)
実体経済に影響を与えるのは、新製品開発発表してもそれが顧客に浸透して売れるようになってからですし、円相場で言えば現地販売相場に影響するのは、半年〜1年単位先の平均値でしかありませんから、時間差があるのは当然です。
円安や画期的新製品発表がその日の国民経済に直接影響がなくとも先に明るい見通しがあることによって、納入関連企業も明るい見通しを持てるし、そのまた先の企業〜そのまた先の企業へと次々と連鎖して行き、最後は雇用増(非正規増の後で新卒採用増)に結びつくことが重要です。
ですから、株式相場が上がることが前向きの始まりであって、国民には影響がないかのようなイメージを振りまき、非正規雇用→格差拡大が進んでいると言うイメージを振りまくのはまちがいです。
景気上昇期には、年収1000万〜600万円前後の正規雇用者の給与はすぐにアップしませんし、このクラスの新規雇用は増えません。
(新卒雇用を増やしても新卒の給与は、中堅社員よりも低いのが普通です)
さしあたり一日数時間や週2〜3日勤務だった人の勤務時間・日数増加や残業が始まり、それでも不足すると無職だった主婦や若者が求人増によって15〜20万円前後の仕事に就けるようになります。
平成27年1月2日に書いたように、庶民の家計収入アップ率でみれば、一日数時間勤務が5〜6時間勤務になり、週に数日勤務が毎日勤務になる方がアップ率では大幅な恩恵があることが明らかです。
それでも人手不足気味になると、時間給が上がりますので庶民にはダブルの恩恵があります。(正規雇用の賃金単価は年一回しか変わりません)
まして新規就業者の増加まで行けば、庶民層の家計収入アップ率は半端ではありません。
(ただし夫婦2人で既に働いている人にとっては労働時間増と単価アップになるまで恩恵がありません・・このように経済はマダラに変化して行くものですから、恩恵の届かない人ばかり特集しても社会全体の動向が見えません。)
1月2日紹介した平成26年12月27日付け日経記事によれば46万人増加=新たに職についていることになりますから、46万所帯の家計収入が大幅増になったことになります・・収入ゼロだった場合、生活保護から脱却出来た人もいるでしょう。
・・この面でも増税よりは景気上昇政策の方が税収が上がり社会保障費も少なくて済むと言う意見が正しいことになります。
非正規雇用が増えて「格差拡大」と約半年くらい前から頻りにイメージ宣伝されていましたが、家計収入単位では急激に格差が収縮していることになります。
年収1000万単位の階層では景気が良くなっても主婦がパート等で働きに出ることが少ないので、庶民層と家計収入格差が縮まったことになります。
景気が良くなると臨時雇用関係から時給単価が上がるのが経済の原理であって、正規雇用の給与は日々変動していません。
ですから正規給与の上昇率が低いと言う批判も、現実的ではありません。
(管理職の勤務時間が増えても残業手当はありません)
上記のとおり景気上昇初期には、底辺層ほど恩恵が先に行き渡るし恩恵比率も高くなるのが普通ですが、非正規雇用が増えたと言う大見出しで・・格差拡大が進んでいるかのような印象を振りまき、大分前の別の記事では非正規雇用が増えたことを言わないで、平均給与を出して景気がいいと言うけれども「平均給与が上がっていない」と主張するなど、マスコミは恣意的なデータのキリ貼り報道している疑いがあります。
(年収1000万円単位の人材の新規採用は滅多にないでしょうが、新卒給与はその何分の一でしかも数量が多い・・当面非正規・アルバイターから増えれば、一人当たり平均給与が下がるのは当然です・・重要なのは就労率の変動です)

12月14日総選挙と戦後政策の総決算2

米ソ冷戦が終わり中国の台頭→従来の保守=アメリカべったり、革新=中ソべったりの棲み分けがずれて来ました。
第二次世界大戦の戦後処理に関して元々底流に澱んでいた占領軍アメリカに対する不満が次第に顕在化して来て、日本では保守層でも中国寄り政治家が増えていました。
中国がこの10年前後「こっちの水は甘いぞ!と対日懐柔策を採用していれば、日本民族は1も2もなく中国寄りに軸足を移していたでしょう。
人種差別意識の強いアメリカにとっては、アジア連合ができると困るので、背後で中韓に対する陰陽のささやき・教唆があって、「今のうちに日本批判や攻撃したらアメリカは背後で応援するから・・」とささやいて中韓に日本批判を巧みに示唆した可能性が大です。
(この辺の揣摩憶測(ユダヤの陰謀のたぐいと言われるかも知れません)を繰り返し書いてきました)
中韓政府にとっては、政権維持のためにはアジア民族の欧米からの自立達成よりは、日本に対する劣等感の克服こそが優先順位・大事ですから、この示唆によって、チャンスとばかりに(アメリカの後押しもあって)中韓が日本に無理難題を仕掛けて来たのが、ここ5〜6年来の東アジアの国際情勢です。
中韓両国が「日本が孤立している」とやけに自信を持ってやって来たのには、それだけの理由(密約ないしアメリカの後押し)があったことになるでしょう。
しかし、アメリカは日本を完全敵対関係に持って行く必要がない点が戦前の日米・米中関係とは事情が違います。
戦前は日本を主敵に定めて対日戦争をしかける口実を探しているときだったので、中国はアメリカの手先で動き回ればうまくやれていましたが、アメリカの今回の主敵は中国ですから、日本が中韓と仲違いさえしてくれれば良い・・最後まで敵に回す予定がありません。
中国との騒動の結果、日本人が「やはり中国よりはアメリカ大事」と思うようになれば目的達成ですから、適当なところで仲裁役っぽく行動し恩を着せるためにギリギリのところで、日本に対する防衛協力を表明します。
22日冒頭と25日最後に書いたとおり、アメリカによる戦後支配が揺らいでいること(裏でアメリカが糸を引いていること)を前提に安倍総理はアメリカだけを頼らずにアジア諸国との協力関係・・中韓包囲網を築き上げました。
タマタマ経済状況的にも反日暴動に懲りた日本企業は東南アジアやインドへの投資を増やして、いわゆる脱中国に動いていたことも幸運でした。
第二次世界大戦は日本が東南アジア解放戦争の結果を招いた事実が実績として残っているので、アジア諸国では、欧米が何と宣伝しようとも日本軍が解放者であった事実は変わりません。
日本敵視政策をやってしまった中韓は、アメリカに日本応援・・尖閣諸島は日米同盟の防衛対象と公式発表されてしまい、はしごを外された状況に陥りました。
アジア諸国では、中韓の方こそ孤立状況になって来たのですが、国内的に後に引けずに困っているのが現状です。
日本では、もともと中韓がアメリカの犬として動き回っていた事は知っていたものの、今回の行動は露骨過ぎたことから、日本人の多くが心底怒ってしまったので、最早簡単には中韓と仲良くしたい国民は殆どいなくなったと言っても過言ではないでしょう。
中韓キライの世論調査比率が高率になっている結果が報道されています。
以下ニュース引用ですが、中韓に対する国民意識がハッキリしている状況です。
・・中韓による圧力・事実上の侵略行為が恒常化していて、アメリカの態度がはっきりしない状況下では、自国防衛のために集団自衛権行使・友好国と協力関係を作ろうとする動き・政策変更が、民意に反する(集団防衛とは孤立しないための協力関係のことですが、この政策が世界で孤立する?・戦争する国・軍国主義復活)と言うマスコミ宣伝は、中韓主張のおうむ返しになっていて、以下のニュースから見ても民意に反していたことが明らかです。
この1週間ほど大問題になっているソニーに対するサイバーテロを見ても分るように、秘密保護法関連の必要性も待ったなしですから、今やこれに反対しているのは、「日本の高度技術漏洩・持ち出しを中韓に良いようにやらせろ」と言う主張とほぼ同じと見ている国民が多いでしょう。
産経ニュース
2014.12.20 17:37

「中韓に「親しみ感じない」過去最高 米好印象続く 印は伯仲 内閣府世論調査」
「内閣府が20日に公表した外交に関する世論調査によると、中国に「親しみを感じない」との回答が83・1%、韓国に対しては66・4%となり、昭和53年の調査開始以来、いずれも最高となった。特に対韓国では前年比8・4ポイント急増しており、慰安婦問題や産経新聞前ソウル支局長の訴追などをめぐり反日的な言動を繰り返す朴(パク)槿恵(クネ)政権や韓国社会への不信感が如実に表れたようだ。」

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