欧米と日本の対応5(欧米の移民受入れ2)

間にいろいろ書いてしまいましたが、7月2日に書いた北海油田による西欧復権との関係のデータを紹介します。
北海油田に関する7月2日現在のウイキペデイアの記事によれば以下のとおりです。
「原油推定埋蔵量は130億バレル。日産約600万バレル。1960年にイギリスが開発開始。次いでノルウェーが開発に乗り出す。ノルウェー南西沿岸のスタヴァンゲルとイギリスのアバディーンは石油産業で発展し、イギリスは1980年代から石油輸出国となった。イギリスは2014年現在でもEU加盟国最大の原油生産国ならびに原油輸出国であり[1]、ノルウェーはロシアを除く欧州最大の原油生産国・輸出国で、原油生産量は2013年現在で世界第16位[2]、石油輸出量は2010年現在で世界9位である[3]。」
「イギリスの鉱区では、石油生産量が1990年代後半にピークを迎え、その後は既存油田の成熟化に新油田の発見が追いつかず徐々に減少している。 1981年~2005年の間、原油の純輸出国であったが、2005年以降は純輸入国となっている」
上記のとおり、イギリスは約25年間資源輸出国として潤ったことが復権に繋がったのですが、北海油田の枯渇(2005年以降イギリスが原油輸入国に転落・・輸入代金を払う立場に変化)が始まりこのボーナス効果が徐々に減ってきました。
資源特需による場合製造業等の一般産業の実力以上に国際収支が良くなるためにポンドが割高になり却ってその他産業が蝕まれて行き・・若者の職場が奪われて行きます。
まして同時期に中国の改革開放・市場参加が進み始めた頃です。
上記原油輸出最盛期にあたる1992〜3年頃に1週間ほど家族でロンドンへ行ったときの光景では、日本とはまるで違う活気のない都会・日本で言えば地方都市レベルのイメ−ジでした。
他方で中国の改革開放以来始まった超低賃金競争(原油輸出でポンド相場が上がるとイギリスの賃銀が国際的に割高になります)対応(その他高齢化対策その他)のために移民導入策が続きました。
移民導入+ポーランド等の低賃金国のEU取り込み政策(EU東方拡大)は、アメリカの移民導入による絶え間ない労働者供給策とも一致しています。
アメリカが物量作戦で2度の大戦で存在感を発揮したことから、戦後ずうっと農地に始まって・資源力+大量生産大量消費(人口大国化)・・「大きいことは良いことだ」と言う間違った思想が世界中ではびこっていたことが分ります。
この辺の意見は、この後で日本の対応として書いて行く予定の
「アメリカ式資源+大量生産の挑戦に同じ土俵で競争するのではなく逆に量が少なくともおいしいトマトや果物、牛肉・その他を作るのが良い」
と言う基礎的意見を前提に書いています。
安物の絵を1000枚積み上げておくよりは、心に響く一枚の絵を飾った方が良いと言えば分りよいでしょうか?
以前書きましたが、中学生の頃のアメリカの人口は2億以下の人口でしたが今では三億3500万人(以下のデータとちょっとあいませんがどかでこう書いていましたが・・)にも増えているのは、アメリカ自身も中国に負けない大規模市場を維持するために移民導入で対応して来たことが分ります。
世界ネタ帳http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=US&c2=JP
によると1980年には227.62(日本116.77)→2016年には324.33(日本126.54)となっていますので、対日本比の増加率の差は半端ではありません・・この差は移民流入によるものです。
日本のように60歳前後でなくなっていた人が90代まで生きるようになって・死ぬ人が減って人口が増えているだけですと、せいぜい1割くらいしか増えませんので、同期間に約1、5倍になっているアメリカの場合には社会増によることが明らかです。
日本の高齢化進行が世界一早いと一般に言われていますが、高齢化は社会の豊かさの進行に比例するのがふつうですから、欧米の方が日本よりも早くから少子高齢化が進行して来た筈です。
グリンスパーン元議長やキッシンジャーあるいはジョージソロス氏などみんな超高齢者であって高齢化は日本の専売特許ではありません。
実際私の中学生の頃には、フランスが人口減に悩まされていると言う報道が頻りにされていました。
アメリカでも早くからフロリダあたりに高齢者が移住する現象が知られていました。
西欧の少子高齢化がマスコミで言われなくなったのは,主に旧植民地であるアフリカや中東からの移民を受入れるようになってからです。
欧米に比べて日本の長寿が目立つのは、日本の食生活・公衆衛生環境が良いだけではなく、健康管理能力が低く先進国に住むようになっても1世代目には長寿社会の恩恵を受けられない若年移民の比率が少ない面も大きいでしょう。
アメリカの場合以前から移民受入れ大国だったので移民が増えていることが目立たなかっただけで、実際にはベトナム戦争以来アジアから移民を大量に受入れてきたので、急速にアジア系移民が増えています。
以下https://ja.wikipedia.org/国勢調査の結果からアジア系移民比率部分だけコピーします
 人種   2010年      2000年          増減 
     人口   割合    人口   割合     人口  率

アジアン  14.7  4.8%   10.2   3.6%      4.4  43.3%

僅か10年間でアジア系比率が4、5%も上がっていることが分ります。
欧米では、賃銀の国際平準化に対抗するために移民を入れて低賃金競争をしたのと同様に、少子高齢化問題にも日本のように正面から向き合うことなく、移民=若年層中心ですし、しかも出生率の高い移民流入で人口減を補う政策で誤摩化して来たことが分ります。

欧米と日本の対応2(EU→一体化・対外障壁)

今回のイギリスの国民投票結果によるEU離脱騒動・・マスコミ報道によれば、EUはグローバリズムの本家みたいな印象を受けます。
しかし、EU結成〜拡大の流れを見ると、グループに入った各国別の貿易障壁を低くする努力・・低くした結果を他の国にも解放する努力をやめる方向へ努力して来たことが分ります。
EU参加のメリットを周辺国に強調することは、結果的に参加しない国との差を強化することに繋がって来たからです。
吸収合併の繰り返しによる大規模市場メリット強化=域内外差の強化をして来たのですから、その目的は、内外格差・・外堀的国境の拡大政策(戦前のブロック経済の強化政策)・・帝政ロシアの版図拡大・・東進〜南進政策の焼き直しです。
19世紀ロシア南進の衝突・限界点がいわゆるクリミア戦争でしたが、今回西欧による東進の衝突・限界点がウクライナであり、ロシアによるクリミア編入事件でした。
以前ロシアのクリミヤ編入に関してどこかに書きましたが、ウクライナはロシア民族の故地・・発祥の地ですからこの地をEUに取り込まれることは現在でもロシアにとって、譲れない境界線と言うことでしょう。
西欧諸国が世界の共通市場化・グローバル化を目指しているのであれば、国の合体ではなくWTOの進行を図れば良いのです。
国境の壁を低くするよりは、自分の市場規模を大きくする・・内部自由化に邁進するのは、国の内外の障壁を低くする運動とは矛盾します。
EU結成進行と同時にWTO交渉が意図的にサボタージュ・停滞してしまった原因ですし、他方で自己市場規模拡大=EU拡大を続け、EUに入っているかどうかで大きな差を設ける・・戦前植民地ごとのブロック化の焼き直し・・ブロック経済拡大強化こそがEUの目標であったことになります。
(June 16, 2016「国際政治力学流動化5(ウルグアイラウンド中断→FTA)」で、ウルグアイラウンドの失敗・・その後の停滞はEU拡大促進と裏腹の関係にあることを書きました)
バルカン諸国で言えば、巨大市場のアメリカも日本も中国も遠過ぎる・・隣国がEUに入って自国が入らないままですと陸続きの対西欧貿易で大きな格差・不利が生じます・・この脅しを利用して隣接の中東欧諸国の加入希望を煽り・・当然国際政治問題でも、西欧の主張に反対出来ないので国際政治力発揮戦略にもなります。
古来から強国や豊かな国が誕生すると周辺国は競って使節団を送って来た所以ですが、多くは「交際しましょう」と言う程度の引力であって、吸収合併まで強制するものではありませんでした。
TPPは通商条約参加であって,アメリカ国内の州の1つになれと言うものではありません。
EU加盟勧誘は、武力による強制ではありませんが、貿易交渉の不利益を餌に事実上吸収合併を強制したものです。
使節を送って文化影響を受けるのと吸収されて支配が直截及ぶのとでは、周辺民族に対する衝撃度がまるで違いますが、EUは核となる英独仏等が予め決めた先進国ルールをそのまま受入れない限り加入を認めない強硬な仕組みです。
言わば軍事占領よりも(古来から民族支配の場合総督を於いて支配地の文化に応じた別の法制度を執行するのが普通でした)強力な強制でした。
私的理解によればこれは大陸的・・仏独的中央集権支配の理解でことが進んだものと想定されます。
EU離脱騒動が始まって以来ちょこちょこと書いていますが、海洋民族・・経験主義の(ある程度ルーズに決めて行きたい)イギリスが何でもキチキチと決めて行く独仏的官僚主導政治に我慢出来なくなったのではないかと言う理解です。
軍事行動出来る限りの周辺国を際限なく吸収合併して来て属国的併存を許さなかったのは、アジアでは秦の始皇帝の統一国家であり、その次にはモンゴルです。
その後の清朝も中共政権もこの系譜を引いていて、軍事力の及ぶ限り出来れば直截支配・・最大限勢力拡大したいことから、少しでも力をつけた思うと対外膨張策に出たくなるのです。
我が国では古来から生物に多様性があることを前提にそれぞれを大切にする「八百万の神」の精神でやってきましたし、封建制と言われる徳川政権に限らず古来から基本は中央集権よりも地域にそれぞれの神がいる・・間接統治社会です。
西欧の人道主義もその基本は民族にも多様性があり、併存しながら共存して行くのが良いとされて来た筈です。
多様な民族の共存のあり方としての国際ルール・・グローバル化のあり方に関する議論で多様な意見を尊重しつつ決めて行くためにガット→WTOが運営されて来たのです。
EU結成は多様性を前提にするWTO交渉・・粘り強く交渉する努力を放棄して、日々の生活ルールまで一体運営に参加・・吸収合併に応じる国だけの小宇宙を作里、加盟しない国を不利益に扱う思想でやって来たように見えます。
イギリス国民が離脱の意思表示をすると激しくその不利益を強調するのはその対の関係です。
単なる貿易協定ではなく、準国内扱いする以上は時間の経過で日常的生活ルールまで干渉するようになって行きます。
この不満を回避するために最低基準を「キリスト教国」と言う枠をつけたつもりでしょうから、トルコに対しては理由なき理由をつけては加入を長年認めませんでした。
・・この1年程度の動きによれば、トルコは熱望していたEU加盟を諦めて・・見切りを付けて?EUとは(ぺこぺこするのをやめて)是是非の交渉相手として行くことに方針を決めた可能性があります。

フラット化対応4(日本の場合2)

幕末に来た欧米人の報告にもあるように末端庶民まで読み書きが出来、好奇心が高い国民性・・、基礎的能力の高い国であり、しかもみんなの力で研究して仕上げて行く(擦り合わせ)社会であることが今になると有利になっています.
みんながチーム参加する社会にするには、最底辺も一定以上のレベルが必要です。
外国人研究者が日本に来てみると、都心の一流大学の学生も地方の新設大学の学生もそんなに研究能力差がないことに驚いています。
極論すれば、言わば65点と70点の間にコンマ以下での差でひしめいているだけのことではないかと言うレベルであって、2〜30点の仕事しか出来ない人は実は少ないのです。
日本では現場力が高いので、戦後農協の指導でアメリカ方式に規模拡大・粗放農業(個々人の技術劣化推進)を真似しましたが、今では農協など当てにしていない・・個々人の工夫努力でおいしい果物や野菜を作るなどして新しい農業のあり方を提案しています。
学位もない田中氏がノーベル賞受賞したことに世界は驚きましたが、地方大学→地方企業での青色発光ダイオード発明の中村氏もそうですが・・こう言う人材はいくらでも現場・地方にゴロゴロいるのが日本です。
15〜25点の人がゴロゴロいてベルトコンベエア−式工場で漸く1人前に働けるようになったに過ぎない他所の世界とは大分景色が違っています。
ヨドバシカメラやコンビニ等に行けば分りますが、今や日本の末端店員レベルはものすごく高くなっています。
昭和50年前後の光景を思い出すと,電気屋さんはメーカー品を並べておいているだけで、その構造性能など詳しく説明する気持ちや能力が全くない状態でした。
その頃から見ると末端店員の基礎レベル向上は著しいものがあります。
農業もアメリカの真似をして粗放農業・・粗雑化に進んだものは失敗していますが、与えられた環境下でもこつこつとおいしいもの作る努力して来た農家は国民から支持されています。
社会の平均をどこに置くかですが、単純労務ばかりにして平均点15〜20点の人でもできる仕事ばかりにしてしまい、5〜6〜70点の人をそこに縛り付ける社会よりは、社会の基礎レベルを上げて、底辺層でも30点くらいの仕事を出来る社会にすることが第1に必要です。
その上で個々人の努力を尊重する社会・・35点の人が努力して36点の仕事をすれば、少しでも報われる社会にすれば、生き甲斐を感じてみんなが切磋琢磨して行きます。
日本では古代から微妙な差でもあれば、それを認めて報われるようにして来たから最末端・アルバイトのコンビニ店員でさえも商品知識を磨く習慣があってドンドン進化して行くのです。
ガラパゴス化とバカにする意見が幅を利かしますが、これは欧米の画一基準、工夫することを知らない社会をモデルとする軽薄な意見に過ぎません。
日本人は殺傷武器でさえ種子島や日本刀を工芸品に変えてしまうし、庭木を盆栽に仕上げるなど独自の世界を作り上げて行く天才集団です。
日本人の基礎レベルの高さは、縄文の昔から母親による丁寧な哺育教育力によるところが大きいと思われるので、保育所・他人任せで子育てするように誘導するのは、長期的にはニッポン民族の劣化政策にならないかの立場から反対してきました。
国際正義・国際的に同一労働同一賃金が実現した場合・・日本社会の能力平均が、30点台を基礎にしていて他国のレベルが20点平均であれば、汎用品でも日本の製品競争力があり、ひいては日本の労働者者が10ポイントよい生活が出来ることになります。
Eu離脱論以来グローバル化、反グローバル化の論争が起きると思われますが、仮に反グローバル化が優勢になって行くとしても長期的にみれば、同一労働同一賃金化の流れは進む一方であると思われます。
人間の移民の自由と流通の拡大とは必ずしも同じではありません。

イギリスEU離脱2(マスコミの中立性違反1)

EU首脳がイギリス国民投票の結果に責任を負わずにイギリス国民の要求が非常識だと開き直りに徹するとこの後の交渉がこじれてしまい、ドイツ30年戦争のように何十年にわたる紛争の幕開けになる・・妥協を知らないアラブ諸国のように次第に相手に対する非難をエスカレートさせて移民対反移民グループ間でテロの応酬に陥る懸念があります。
昨日まで書いて来たように遺産や海外収益を移民に分配する政策に怒っているのはイギリス国民に限りませんので、イギリスのわがままを許さないと言う対応ではことを誤ります。
移民に過去の遺産を食いつぶされそうになっている不満がイギリスで保守、労働党の党派・思想の垣根を越えた横断的不満になっているように、イギリス1国に留まらずEU全域の水平的問題ですので(移民の多寡と経済力によりますが・・)EUの内部分裂騒動に発展する可能性を書いています。
社会保障給付水準だけ差別(例えば医療費負担率を上げる?)を認めると言ってもゼロにしないし、移民はなお公園や図書館・教育を受ける権利などの各種インフラ整備や維持費を負担しないでただで使えます。
賃金面で見ても、海外からの送金による上乗せ賃金を地元民と同じように移民も貰えるので出身国で同じ工員として働く(汎用品製造工場の場合同一労働性が高く比較が簡単です)のに比べて何倍もの賃金になる(出身国だと高額所得者として税負担が大きいのに先進国だと最低階層として税負担が殆どないばかりか逆にいろんな補助金が貰えたり料金免除・割引対象になる)ので、キャメロンとEUの談合では移民流入圧力はなくなりません。
キャメロン氏は社会保障負担さえ少なくすれば国民投票しても勝算があると思ったのでしょうが、国民はその程度では納得しなかった・・いろんな分野での移民のただ乗り自体を許せない・・「この程度の制限だと移民圧力が下がらない」と言う冷静な認識が基礎にあるようです。
マスコミは残留派に肩入れするために移民排斥と言う感情論は良くないとか、白人底辺層の主張としてバカにする・・貶めるキャンペインを張るのに熱心ですが、昨日書いたように経済合理性のある主張をマスコミが敢えて無視して感情論にすり替えて来たように見えます。
もしかしてマスコミが肩入れしているのではなく、マスコミが必死に守るべき何かがあって、それに肩入れさせられているのが政治家であり、学者・評論家ではないでしょうか?
開票後の常軌を逸したり脱批判論・・世界経済が大変なことになると言う過剰反応には驚いている人が多いのではないでしょうか?
株の乱高下はマスコミが危機感を煽っている結果であって、その内にマスコミの空騒ぎの威力は収まると思います。
開票から一夜明けた25日日経新朝刊「春秋」では「世界史の中でナチスほど国民投票を多用した政権はなかった」と書き出していて、何でも自分の意見にあわないとナチスとごっちゃにする主張には驚きましたが、マスコミも中韓政府同様にいよいよヤキが回って来たのでしょうか?
日経新聞26日朝刊9p「日曜に考える」と言う論壇では、前財務官山崎氏の意見と言うか国民投票の是非に関する誘導的質問には、「憲法改正を超越するような重大な話を簡単にやってしまった」と批判させています。
マスコミは日頃民意重視と言いながら、マスコミの主張に都合の悪い結果が出ると「ポピュリズム」とすり替えるなどまるで魔法使いのようです。
健全な民意とポピュリズムの区別基準を聞いたことがありません。
日本の消費税増税先送り決定もマスコミでは、ポピュリズム批判を展開していましたが、今回のEU大混乱を見れば、世界経済危機可能性を見込んだ政治決断の方が正しかったように見えますが・・。
上記論壇で如何にも対立意見のように並んで書いているエコノミスト岸田氏の意見では、「世界が経済の時代から政治の時代になりかねない」「経済合理性が第一ではなく人々の不満が政治を動かし経済が引っ張り回される世界だ」
と書いていて、一見賛否両論の紹介のように見えながら実際には、いずれも離脱派は非合理感情的主張でしかないと言うトーンで一貫しています・・中立性=両論併記義務に反していませんか?
私に言わせれば、離脱派の方には学者の味方がないので論理的主張になっていないかも知れませんが、「生活を守りたい言う必死の訴え」=経済論理中心であって,人道的きれいごとを言って・移民排斥論と言う感情論にすり替えているのはマスコミや学者の方ではないでしょうか?
「金持ち喧嘩せず」と言いますが経済弱者は、余裕が無いので「難民が可哀相」などとキレイごとを言ってられない状態になったと見るべき・・むしろ離脱派こそが経済合理性中心主張です。
(赤ちゃんがむずかるのは非合理ではなくおむつが汚れているなど客観状態を表現出来ないだけ・これを察する母親の役割の必要性・移民反対論もこれを合理的に言い換えてやる専門家がいないだけです)
移民排斥は可哀相と訴えている残留派の方こそ感情論ですから、中韓がよく使う自分のあくどい行為を日本がやっているとすり替える得意のすり替え論理を離脱派に当てはめてマスコミが応用しているように見えます。
そもそも離脱派に対する非合理な感情論と言うイメージ広告や欧州で極右とマスコミにレッテル貼りされている勢力は、「これ以上の移民は困る」と言うのが当面の中心主張であって今いる移民を排斥しようと言う感情論ではない筈です。
マスコミが移民反対=ヘイトスピーチ論というレッテル貼りして行くと,自分の意志を曲解されることに対する不満で感情的になる人が増えて却ってこじれて行きテロの応酬になって行くとマスコミの期待するようなヘイトスピーチ・移民排斥などが盛んになるでしょうが・・。
移民排斥の感情論は困ったものだと言う中韓政府顔負けのすり替え報道がいつの間にか幅を利かせていますが、これは日本マスコミだけの現象なのか欧米でもそうなのか?
先日川崎で行なわれた日韓断交を訴えるデモがヘイトスピーチ扱いされていたようですが、どこの国と仲良くすべきかは政治論ですが、マスコミの気に入った国と断交しようと主張するとヘイトになると言う論理根拠が不明です。
マスコミの気に入らない主張を全てヘイトとか、極右扱いして行き、そのデモや表現を妨害することが許されると言う風潮が広がると、マスコミって言論弾圧目的の組織なの?と言う疑問が起きてきます。
移民問題に戻りますと、マスコミの期待する方向へ誘導するために滅多にいない赤ちゃんの写真を大々的報道して感情に訴えて世論を動かそうとして来た難民報道のいかがわしさに欧州の人たちも気が付いてしまった状況です。
難民問題の本質はすぐれて経済問題である事は、難民がアフリカ等の貧困国へ向かわない・・EUに入ってもEU内の高賃金国へ向かう実態が証明しています。
難民や移民自体が経済動機で移動している現実があれば、受け入れる方も人道面の配慮をしながらも経済側面重視の議論であるべきです。
これを赤ちゃんや幼児の犠牲を大々的に報道するマスコミの姿勢は本質から目を逸らす狡いやり方です。
イギリス国民投票結果については、事前世論調査の結果の大外れと言い、その後数日の報道姿勢だけ見ても報道の偏り方が顕著ですから報道信用のがた落ち進行中ではないでしょうか?

フラット化対応2(イギリスEU離脱論)

イギリスのEU離脱国民投票結果が6月24日に出ましたが、(イギリスの国際収支の内容を知りませんがもしかしたら?所得収支トントン〜日立など進出してるので配当金など海外に送金する方の国になっている?)マスコミを通じたイギリスの議論を見るとまさに労賃の国際相場との差額補填資金不足モードに入った現象と言うべきです。
海外からの収入が減って来ている国=資金不足に陥っている西欧諸国・・特に南欧諸国では、補填資金が不足しますので、従来20ポイントの補填していた場合に、これを18〜15〜10ポイントと順次下げて行くしかありません。
財政の苦しい街に入ると道路舗装が痛んだままになっていることや個人で言えば庭の手入れが悪くなって行く状態で、最悪の場合モロに海外市場相場の水準近くまで賃金を引き下げるしか解決の方法がありません。
これを怠っていると南欧諸国のようにいつかは大幅赤字→決済不能・・債権国に大幅カットしてもらうなど悲惨な状況になります。
イギリスは南欧諸国のようにまだ、社会サービスや賃金引き下げまでは必要がないとしても、補填資金不足が近づいている〜現実化しているのかも知れません。
減って来た補填資金を有効に使うには補填対象数の極小化・・人口減が合理的ですから移民で入って来た人たちにまで補填するのでは、先祖の遺産を他人と一緒に食いつぶして早くなくなってしまうのを傍観していられない・・納得しないのは当然です。
移民受入れによって労働者が増えれば良いと言っても,下層に入って来ると需給の関係で賃金アップ圧力を緩和出来るだけのことでしかなく、移民だからと特別安い給与に出来ないので、比喩的に言えば国際市場賃金に仮に一人当たり10〜20ポイント海外収益から所得補填している国では、移民であれ労働者が増えれば増える程補填対象人口が増える→独りあたり補填額が減少します。
世界的サッカー選手のような高額収入の移民だと税を多く払ってくれる(シンガポールはモロにこれに特化した移民受入れ策)ので歓迎ですが、移民の多くは下層労働者ですから税を払うどころか受け入れ国の持ち出しになります・・逆から言えば、母国と同じ組立工で働いても母国の何倍もの賃金がもらえるのが魅力で(言葉が通じないなどの不利益があっても)出稼ぎ労働者が増えるのですカラ利害対立関係です。
いわゆる経済難民増加→拒否論が広がっている理由です。
資源や海外収益に頼る国では、下層人口を増やすと分配を受ける人が増えて一人当たり受益が減るので元々の住民にとっては不利になるのは当然です。
日本でも東北大震災以降は原則として貿易収支が赤字・・すなわち国民の働き以上に国内消費している状態で、不足分を海外での企業収益に頼るようになっているのですから、海外収益が月1兆円〜2兆円あっても配給対象が1億人で分配するよりは5000万人で使う方が一人当たり2倍使える計算になります。
ワザワザ外国人を招き入れて分配する必要性を感じません。
過去何万年も一家の働き手が多い方が豊かな生活が出来てきたので労働者が多い方が良いと今も思う人が多いようですが、(いわゆる人口ボーナス論)資源や貯蓄の取り崩しあるいは海外収益や金融取引収益を労働者に分配している社会になると消費人口の少ない方が豊かな生活が出来ます。
比喩的に言えば、健康な労働者でも生活費不足で半分生活保護を受けているような労働者は、多ければ多いほど社会にとって負担になります。
キャメロン政権が移民に対する社会保障水準差別容認を真っ先にEUに要求したことから分るよう、イギリスに限らず西欧の元大国は原則としては既に海外収益または過去の遺産の取り崩しによる補填社会に入っていてるので、移民受入れによる受益の目減りに対する不満が大きくなって我慢出来ない状態に入っていると見るべきでしょう。
補填分野としては大まかに言えば、①広場や公園道路・水道などのインフラ維持費や②社会保障分野と③働き以上の賃金給付の3分野が想定されますが、日本を含めて先進国のインフラが充実しているのは、単年度労働による収入よりは過去の蓄積(植民地時代の海外利権・・古都奈良の大仏・京都の庭園など)世界中からの本国送金が多いからコソ可能になっているのです。
東京が他の自治体に比べて突出して豊か・・インフラが充実しているのは、東京人の労働収入によるのではなく、資本収益が東京に集まる仕組みになっていることによります・・。
東京への人口流入が続くのは(移民同様に)東京の住民は住民税以上の資本収益によって立派な本社ビル街やインフラを整備してくれる・社会保障負担もしてくれるなどで、居住者は自己負担以上の高度インフラを享受出来るメリットがあるからです。
東京に限らず人口の大都会集中が世界的に進むのは、東京ほどではないもののある程度の大都市にはその地域に地盤のある企業本社があって資本収益等が集中する関係があるからです。
賃金と社会負担の関係に入りますと、その社会の労働者が自己の労働に見合った(国際賃銀市場相場・・大規模工場の組み立てライン場合、同一労働・同一賃銀の市場価値が分り易い)以上の賃金を得ている場合、給与請求権は自己の働きよるように見えていて、その実その企業の海外からの事業収益・金融収益や原油輸出代金等で補填されていることになります。
海外収益に頼る場合、企業で言えば本社部門が小さいほど(国家で言えば小さな政府)労働者が少ない方が資本効率が良くなります。
キャメロン政権は上記補填3分野の内「社会保障水準だけ移民に差別を認めろ」と言う緩やかな要求ですから、EUもこの程度は仕方がないか!とイギリス特例として承諾した点では大人の対応でした。
この程度の妥協で不満が収まるだろうという読み・・キャメロンだけではなく、EU首脳も読み違えたのですから、キャメロンだけではなく、EU首脳も責任を負うべきです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC