マイナス金利の限界(三菱の資格返上の波紋2)

国債市場特別参加者制度を見ると、元々、特定グループを作って一定量の買い受けを約束をさせるのは、日銀のマイナス金利政策は市場実勢を反映出来なくなるリスク回避目的があったこと・・買い手がつかなくなってからでは間に合わないので早めにこう言う制度を作っておいたことがあきらかです。
日本は純債権国で資金余剰ですから、市場原理に任せておいても国際的に最低金利になるのは必然と言えば必然です。
しかし、国民はリスクがあっても他国の高金利債券等を選ぶ自由があります。
昨日外貨建債券発行が多くなっている現状を紹介しましたが、外貨建債券と国内債の金利差は、資金余剰国かどうかで決まるのはなく主として為替相場観によって決まります。
100%貿易自由化になっても物品やサービスの場合運賃やその後のアフターサビスの問題があって市場との距離が重要で、このため現地生産化が必須化しているのですが、金融商品の場合、物品と違って現物輸送がなくコンピューター処理するだけですから、日本との距離(野菜が古くなる)運賃の関係なく・瞬時に南アランドであれユーロであれ換金出来る・・両替コストだけです。
判断要素は為替リスクヘッジ程度ですから、物品や労賃に比べて国際平準化がすぐに達成出来ています。
以上の結果、資金余剰国だから金利が安くしても良いと言うのは国際化を無視した意見になります。
すなわち、トヨタ社債の場合どこの通貨建てであっても企業リスクは同じですから・・購入者が例えば3年程度で手放そうと思っている場合には3年先の為替リスクを考えて購入を決める・その間に円が発行国通貨に比べて3%上昇する読みの場合、金利が国内債より3%以上高くないと買わない・・為替相場観(個人の場合為替変動リスク回避のためのヘッジ能力がほとんどないので)に収束して行きます。
物品も純債権国・輸入資金が潤沢である限りその国の物価が上昇すれば、利を求めて安い国から物品・サービスが輸入されるので、日本だけが一方的に物価上昇し続けることはあり得ない・・輸入が増えることを繰り返し(安定的物価上昇目標はナンセンス)書いてきました。
逆に言えば中国から低賃金による安い製品(・・農作物から石化製品や鋼材に至るまで)が入ると日本国内物価が下落します。
中国の国際市場参加以来恒常的デフレ圧力に悩まされて来たのが我が国です。
原油相場を見れば分るように商品価格は、国際相場によって決まって行く時代ですから、1国あるいは数カ国の政策で、物価を上げ下げするのは論理的に不可能(我が国だけ物価を2%アップさせると言う日銀は素人の私が言うのは気が引けますが・・アタマがおかしいのか・・)と言うべきです。
資本・金融自由化が進んで来ると金融商品・債権株式相場も同じで、日本国内の金利を下げれば株式配当率が低くても株式を買うだろうと期待するのは、一時的な効果でしかありません。
金利安→配当率の低さ→国内資金が海外に逃避・投資するようになるのは必然・・金利も時間の経過で国際的に平準化して行かざるを得ません。
国内で日銀にゼロ金利近傍で社債発行しても国内投資家はそれならば国内で買わないで海外で買うようになる・・その結果日本企業のトヨタその他世界的日本企業が何%か上乗せ金利で海外通貨建てで社債発行するしかなくなっていることを昨日紹介しました。
日本企業が日銀に気兼ねして低利回り国内発行にこだわっていると日本投資家は日本企業の社債を買わない・・海外企業の高利回り社債を買うしかなくなってしまう・・日本企業が国内市場で資金を得られなくなります。
政府が金融に介入し過ぎた結果、国内金融機関が商売にならなくって来たようです。
金利低下が金融機関の営業利益を損なっていると一般に言いますが、利ざや縮小の問題よりは、公定価格になると民間活力がなくなって行く原理の現れです。
トランプ旋風その他金融関連に対する風当たりが強くなってきましたが、既に頂点を越えて下り坂・・地位喪失が始まっている後追いでしかありません。
この点でも日本社会は世界最先端を走っています。
日銀・官製相場に関連して株式相場についてちょっと書きますと、金利低下だけでは株式相場を維持出来ないので日銀が(国債だけではなく)上場投信(ETF)を直截購入していたのですが、7月29日にこの買入額を倍増して6兆円に増やすと発表していました。
(年金資金の株式購入比率アップもその一種ですが・・銘柄を特定していません)
これらの買い支え効果・・いわゆる年金・日銀相場・・官製相場に乗れば・・長期的買い支えは無理と分っていますが、短期的には損がないとばかりに投資家がトピックス構成株を売って、日経平均構成銘柄を買う歪んだ相場形成が始まっていると言われます。(今朝の日経新聞朝刊16p)
消費税から、国債や株式、金利政策と実勢相場に話題がそれましたが、ここで言いたいことはこれ全ての事柄は政府が国民からどうやって資金を吸収するかにアタマを悩ましている問題と関連しているからです。
私は、政府が資金を国民から吸い上げ(て頭の良い政府が使ってやら)ねばならないと言う政府・官僚や学者らの基本的視座が間違っていると言う意見でこのシリーズを書いています。
国民を豊かにするのが政府の目的であるとすれば、資金を国民から吸い上げるよりは国民の自由意思で使いたい消費を増やす方向へ政策の舵を切り替えるべきです。
資金をバラまいて国内生産を誘発するために政府が選別的に資金を使い、一方で日銀や年金資金を投入して株価維持するのは間違いです。
政府の力で市場操作することは、短期には出来てもすぐにメッキが剥げて大損してしまいます・・これは国民のお金です。

消費力アップと消費税増税論の矛盾2

金融政策で言えば金融引き締めは全産業の水面を公平にアップさせて国内産業全般(輸出用工業製品も含めて)に重荷を負わせ、金融緩和はその逆に水面を下げて活動し易くする政策ですが、消費税増税は国内消費材にのみ重荷を負わせる・・国内消費抑制策になります。
しかし20世紀末頃から、世界の工場から現地生産に移行中で国内産業の顧客は主として国内需要用にあるとすれば、国内消費だけ減る事はあり得ない・・結果的に国内生産の縮小をもたらします。
国際収支赤字で困っている国=輸入超過の場合には消費抑制策は生活費を切り詰めさせ国際収支改善効果がありますが、何十年も国際収支黒字が続いている豊か国でこれをやる必要があるかと言うことです。
先進国・・あるいは純債権国では、政策の目標は民の消費力アップ・生活水準向上にある・・金融緩和は消費底上げ目的・・ひいては国内生産力上昇を計るべき・・消費力アップこそが国力や民の幸福の指標であるとする、このシリーズで書いている意見からすれば、金融緩和しながら消費抑制策である消費税率アップするのは政策混乱あるいは矛盾です。
金融緩和をしながら消費税を上げるベシと言う財務省やマスコミに出て来る経済学者は、金融緩和は国内生産力増を目的にしているが、消費の増減とは関係なく成立すると言う切り離し論を前提にしている・・すなわち消費抑制して倹約した資金を生産力増強に回すということでしょうか?
これならば金融緩和と消費抑制策は一貫します。
そう言うやり方は、スターリンが約2000万人も餓死させながら小麦を輸出していた実績がありますし、現在中国が出血輸出で外貨を稼ぐのも国民犠牲の点で同じです。
何回も書きますが後進国の場合、スター企業を育てるのも一方法ですが、先進国の世界で競争出来る企業は現地生産主流の時代ですから、財政資金投入して成功してもすぐに海外に出てしまい国内生産力の増加は一定で終わり・・(ジャパンでスプレイのように?)衰退産業分野で輸入攻勢に曝されている企業の延命に資する程度です。
※輸出成功すれば自信を持てるので、現地事務所→現地進出でもやれると決断するのが普通の企業ですから、世界の工場再現を夢見るのは時代遅れです。
消費税増税=消費抑制しながら、増税によって得た資金を生産力増強のために補助しても仕方がありません。
ところで、消費税アップ論者は頻りに財政赤字が問題と言いますが、政府資金が不足していることを「財政赤字」と言い換えているに過ぎません。
税収が一定とした場合、福祉予算や生活レベルアップ資金需要が新たに起きたならば、その分時代の役割を終えた殖産興業型従来型予算を減らして入れ替えて行くべきです。
毎年北海道に旅行していた家庭が今年は沖縄にも行ってみたいと言う場合、北海道旅行をやめるのが普通の判断です。
旧来型支出を減らさないママ、社会保障やインフラレベルアップ予算を増やそうとするから増税が必要になっているに過ぎません。
消費税は財政投資に使わない・・福祉目的税と言いますが、一方で増税必要性理由として財政赤字補填を主張しています。
増税が赤字解消もしくは縮小目的ならば、増税分は赤字国債縮小(借換債をその分発行しない)に使うのがスジですから、福祉政策に新たに支出増加させるのでは赤字解消にならないのですから、主張自体が矛盾です。
紙幣には色がつかないので税収増加分がある御陰で無駄な(成長目的の投資継続は無理があることを書いてきました)財政投資を減らさずに済ます・・あるいは減らし方の速度を緩めようとしているのが明らかです。
この辺で政府が資金不足=財政赤字に陥った原因を振り返ってみましょう。
明治維新以降戦後の高度成長期まで恒常的資金不足であった我が国は、庶民から資金を吸収する特定郵便局郵貯制度を全国通津浦々までの完備したことによって資金を集めては(財投資金として)殖産興業に励んで来ました。
この資金吸収政策の成功が明治維新以降の日本の大躍進・殖産興業の成功に繋がったと言われています。
前島密が讃えられている所以です。
庶民の自発的上納・・郵貯資金貯金に頼れなくなって、これを直截庶民から小銭を取り立てようとしているのが消費税になります。
日本は純債権国で世界一の金あまり国ですから、資金需要が諸外国よりも低いので、余剰資金量に応じて金利が諸外国より低くなるのは自然です。
郵政改革によるだけはなく金融の国際化が進んで海外金融商品を庶民も自由に選択取得出来るようになったので金利低下の結果、国民は利回りの良い外貨建て預金や外債購入など流れる・・郵貯も銀行も資金獲得の国際競争力を失います。
政府が税以外に民間資金吸収する方法は郵貯と国債発行(金融機関に入札させて金融機関が国民に小売りする)がありますが、この辺は国債金利低下に伴って国内最終需要が消えてしまった・・国民は買わない・・消化に不安になって日銀が国債を市中から一種の買い戻しをするようになったのと軌を一にしています。
日銀の国債買い戻しは、将来のデフォルトや金融緩和リスクばかりをマスコミで報道しますが、内容実質は末端国民・・エンドユーザーの買い手がつかなく(国民からの資金吸い上げが出来なく)なりつつあって、その打開策として一定量の買い戻しを約束して金融機関に入札させる仕組みにしたと見るべきです。

韓国のミニバブル4(家計負債の増加2)

消費のための借金に走る人が多いのは、成長の果実が公平に分配されていないことや、近代的モラルが定着していないだけではなくサムスンなど大手では大多数が新卒就職後3年前後で約25%離職する・・せざるを得ない?と言われている現実・・構造的要因があるようです。
就職浪人が当たり前と言う社会でやっと大手に就職出来ても僅か3年で25%が離職せざるを得ない厳しい選別が待っている悲惨・・(3年の壁を乗り越えても30〜40歳になっても日々厳しい選別・離職が待っています)超一流企業に就職出来たと自慢して来た手前,格好つけるために見込みもないのに、何か商売を始めるしかないようです。
ソモソモ大手企業への就職は非常に難しいと言われています。
サムスンなど財閥系に就職出来るエリートは一握りですが財閥系と一般企業との格差が大き過ぎることから、中小企業へ就職するよりは浪人する人が増えると言ういびつな意識構造になっていると紹介されています。
李強固氏朝鮮以来の長期のヤンパン支配による階級意識の残滓の結果、社会需要を無視した突出した進学率になっていると言われていますし、折角無理(借金)して大学まで出た以上はエリートであるべきであって、中小零細企業で「額に汗して働くことは沽券に拘る」という意識が強いために就職出来ないで浪人している(海外に売春に出たり日本でコンビニで働いても分らないから良いのかな?)と言われています。
無理して進学させる→過大家計債務の原因・・就職出来ずにオヤが返せない場合、取り立てに耐えられず海外売春婦に出ていると言うのがもっぱらの噂です。
こうした意見は当然のことながら統計等の客観資料がないので、韓国社会を見た人の主観によりますが、海外で売春婦と言えば韓国人と言う定説が広がっていること自体・就職難・・韓国の経済困窮を表しています。
韓国では、公式求職活動をしない大卒は失業者にカウントされていないとので、実質的若年失業率が半端ではないようですが真実は不明です。
(日本でも職安に登録しない人はカウントされていませんから内実が重要です・・韓国大卒は階級意識が災いして中小企業への就職を始めっから希望しないのに対して日本学生は零細企業でも何でも就職する違いが大きいようです)
国際比較するには年代別就労率の推移を見るのが結果的公平ですが、この場合にも日本のように専業主婦率の高い国では専業主婦をそのまま失業者にカウント出来ないように、民族意識の差も重要です。
国際的な差の低い男性の就労率の推移で見るのがその国の活力として分りよいと思われますが、就労率のデータがすぐに見つかりませんので以下大卒就職率で見ましょう。
以下http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160126/Recordchina_20160126012.htmlからの引用です。
2016年1月21日、韓国経済新聞は、日本の文部科学省・厚生労働省の発表を参照し、今年3月卒業予定の日本の大学生の就職内定率が昨年12月1日の時点で80.4%となり、前年同期比で0.1%上昇したと伝えた。
日本の大学生の就職内定率は5年連続で上昇しており、世界金融危機の影響が本格化する前の2008年12月1日(80.5%)に迫る勢いだ。韓国経済新聞 は、日本の大企業が今春卒業予定者を対象に、昨年8月から採用活動に入っており、昨年12月には多くの企業が採用を確定していることなど、日本の好調な労 働市場の現状を伝えた。一方、若年(15~29歳)失業率(9.2%)が史上最高を記録した韓国では、大卒の就職率が56%(2015年基準)に留まって おり、若年層の厳しい就職状況を表している。」

上記記事は年末段階ですから3月卒業時には日本の大卒は95%前後の就職率と言われています。
ちなみに韓国の大卒就職率と言うのは実質はまやかしで、就職浪人・・卒業しないでいる人や給食を諦めた人を含んでいません(日本でも病気等で出席日数が足りないで卒業出来なかった人をカウントしない点同じですが・要は実質です)ので実際に就職したいのに就職出来ているのは3割程度ではないかと言われています。
社会的に見るべきは(病人や突発的故障者の数は毎年大きな変化がない筈ですから)総卒業予定者の何%が就職出来ているかでしょう。
日本で言えば、「年金未納者が減ったと言う政府発表の内実は、未納者の多くを免除したからに過ぎない」と言う報道があるように統計だけは実態が分りません。
(余談ですが、未納者には生活困窮等が多いのですが安易に免除すると払わなくなる人が増えるので、粘り強く集金して行く方法・・年に2〜3回でも払ってもらった方が良いとする運用でしたが、未納率が高いとマスコミが批判するので回収率を高める努力よりはこれらを免除に切り替えた・却って年金財政悪化しますが、批判の矛先が狂うと本末転倒になります・・公営住宅の家賃未納についても同じようなことが起きています。
ただし以下に書くように韓国政府発表の卒業者数自体にも数字の操作があるようです。
以下はhttp://blog.livedoor.jp/kanedashoji70/archives/39170025.htmlからの引用です。
「南朝鮮の場合、36%、およそ3人に1人が卒業浪人をします。この卒業浪人者は単位取得は終えているという事で在学証明書は発行されない、学籍だけがある人たちなんですね。で、当然ながら初年度に就職に失敗した人だから次年度も失敗する。そういった事もあり、大卒就職率から外される事になる。
南朝鮮の就職率56.2%(2014年度)といいますが、卒業浪人はどこにいったんでしょうかね。信用されていない統計庁の「学校・産業別卒業者現況」によると、2014年に大学を卒業した人数が26万758人(!)。ついでに無職は8万6333人。
2014年大学を卒業というの多くは1990年前後に生まれた事を意味します。そして、この年に生まれた人はおよそ65万人。2008年の大学進学率は83.8%でしたから、約54万5000人が大学に入学したはずです。それなのに卒業者が半分以下っていう事は、就職浪人以外に中退が多いという事ですね。」

上記意見は以下の通り論理が荒過ぎて必ずしも同調来ませんが、こう言う意見が普通に出ていると言う程度の紹介です。
すなわち、細かく言えば、生まれた人が21歳ころまで100%生きている筈がないのに21年間もの期間を利用する上記比率計算はおかしいし、日本だって学費が続かなかったり病気休学など一定数いるでしょうが、韓国の中退者を何故大卒の就職浪人と同視するのかの説明がありません。
比率で意見を書くならば、・・もっと近い期間比率・・・入学者数と卒業者の比率を出せば4年間の生存率の差は微々たるものですし、その間に経済・気候情勢も大きな変化がありませんので同時期の減少率を国際比較した上での意見にするのが合理的です。
諸外国と比べて入学者数に比べて卒業者数が極端に少ない場合に、諸外国平均比率で計算する実質就職浪人が何%いると言う意見が合理化されます。
上記記事は、主観的過ぎて客観性がないとしても、韓国政府発表でも学卒の5割程度しか就職出来ない実体はまぎれもない事実と言えます。

金融政策の限界6(韓国のミニバブル2)

マスメデイアでは中国バブル崩壊を懸念する声が漸く大きくなってきましたが、韓国の場合世界経済や日本への影響が小さいからか殆ど注目されていません。
以下はhttp://seoul123.seesaa.net/article/121402277.htmlからの引用です。
「6月13日韓国銀行によると、韓国人の個人負債は、昨年末基準で1650万ウォン、アメリカは5795万ウォン、日本は3626万ヲン(260万円)、オーストラリアは5150万ウォンと集計されました。
一方、個人金融財産はアメリカ1億6557万ウォン、韓国3451万ウォン、日本1億5617万ウォン(1120万円)で、韓国と経済規模が同じオーストラリアは8254万ウォンです。
韓国銀行は、個人の負債を判断する時、単純に負債の増加だけを注視するのではなく、金融財産の増加を含めて考え、個人の財産健全性と負債償還能力を判断しなければならない。また、個人の負債が増えるのは経済成長に伴う自然な現象なので、それ自体を否定的に見てはいけないと指摘しています。
金融財産を金融負債で割った比率で見ると、昨年末の時点で、日本が一番高く4.31、アメリカ2.86、韓国2.09、オーストラリア1.60になり、日本が一番安定した経済状況にあることが解ります。」
(ただし何年のことか分らない書き方です・・2009年頃に書いたものかも?・・韓国の個人負債激増が問題になり始めたのはここ数年のことですから今のテーマとしてはちょっとモノ頼りないですが・・・。)
上記のとおり急激な個人負債の膨張の心配に対して金融資産も増えているから心配するな?と韓国銀行が言い訳しています。
しかし、GDP比の増加率を昨日紹介した「日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)」の記事(これは新しいデータです)から見れば以下のとおりです。
「韓国の家計負債は、2015年末に1,200兆ウォンに達していて、負債の規模もさることながら、増加スピードが速いことで懸念されている。韓国の家計負債は04年に494兆ウォンであったが、15年には1,200兆ウォンに膨らんでおり、年平均8%ほどで増加をしたという計算になる。同じ期間中に、韓国の経済の実質成長率が3.6%前後であったことを考えると、経済成長に比べて負債は2倍以上のペースで増加したことがわかる。」
これによればGDPの拡大の2倍のスピードで個人負債が増加していることが分り、韓国銀行の説明に無理があることが分ります。
上記記事は全国民をごっちゃにした統計数字で見た場合でも負債率が2倍にふえていると言う指摘ですが、韓国の場合、いわゆる財閥一族に富みが集中し・勤労者も大手企業・公務員とその他零細企業従業員との二極化が激しい・・ヤンパン支配再現のような同様の大きな格差があると言われている社会構造を直視すべきです。
アメリカの格差拡大不満同様に財閥オーナーとその周辺だけがGDP拡大の恩恵を受けている不満が大きい・・これがイギリスのEU離脱論の根底にある世界の潮流ですが、財閥社会の韓国ではその矛盾がもっと大きくなっている筈です。
ただ韓国は前近代意識が強いと言うか庶民が弱い社会ですから、どんなに不満があっても意思表示出来ない・・精々移民や売春婦になって海外に逃げる算段しか出来ない点(北朝鮮でもあれだけ貧困で苦しんでいても誰も反抗しません)が欧米との大きな違いです。
格差の大きい社会では国全体の統計を平均するのでは意味をなさない・・末端庶民の苦しみを見るには、負債比率をGDPで割るとしても、その何倍かの倍率をかけないと本当の意味が分からない状態です。
消費者金融が拡大し続ける社会構造=庶民の方は金融資産など殆ど持っていない・・老後資金がないばかりか国レベルでも年金制度が充実していない現実こそが重要です。
金融資産を持っている人・・例えば500万の預金を持っている人がサラ金やヤクザから10〜30万借りることはあり得ない・・あるいは借りても預金を崩せば返せるのに娘の身売り・・海外売春に追い込まれる人はいない筈です。
借りる人は金融資産など元々持っていない・・(サラ金の顧客も通信料金など引き落とし用に預金口座を持っていますが)金融資産といえるほどのものを持っている人と持っていない人に厳然と別れているのが普通です。
(いつも書きますが一定の例外はありますが原則で書いています)
国民の苦しみ・程度を見るのに、財閥の持つ巨額資産+消費者金融を全く利用していない中間層(年収数千万円以上の階層)の金融資産合計と負債の比率を見ても意味がないことは確かです。
金融資産とのバランス論は、対外でフォルト可能性・・国内資金で賄えているかが分る程度・・国家のデフォルトリスクが多いか少ないかの基準にはなりますが、2極化された国民不満・・国内治安リスクは読めません。
日本の財政赤字リスクの判断には、国内金融資産残高と国債残高の関係が重要ですが、財政赤字の議論になると何故かエコノミスト・マスコミは個人金融資産残高との比較を報道したがりません。
いつも書いていますが統計はどの場面で切り出すかが重要です。
以下はhttp://www.sankei.com/west/news/141118/wst1411180004-n1.htmlからの引用です。
1000兆! アジア最悪の個人負債 2014.12.31 17:00
 リーマンショック以降、金融危機の恐ろしさが身に染みた多くの国では、金融機関が個人向け融資に慎重になっているが、韓国ではむしろ国内総生産(GdP)に占める個人負債の割合が増す現象が起きているのだ。
 韓国メディアの毎日経済新聞(電子版)が伝えたドイツ金融会社アリアンツが発表したデータによると、昨年末時点の世界主要53カ国のGDPの個人負債比率は65・1%で、09年に比べて6・4ポイント下落した。
 ところが、韓国はアジアで最も高い92・9%で08年比で10%上昇。負債規模は08年からの5年間で、1・4倍に急増したという。」

金融政策の限界2

金融・資本支配が重要になって来ると回収の他に金融・資本政策をどうするかが、世界経済の基本的枠組みとなります。
野放図に与信が膨らむとサブプライムローン〜リーマンショックみたいな事件が起きて世界の実体経済に大影響を及ぼすので、その歯止めをどうするかの議論がリーマンショック後の金融規制強化論でしょう。
一方でリーマンショック以降需要蒸発に対応するためにアメリカ発信で異次元の金融緩和・・・金利低下+紙幣大量発行競争?が盛んになっている・・これは結果的に信用供与拡大競争をしていることになります。
信用拡大の後押しをして応援する代わりに、金融関係者の暴走を防ぐために規制強化しようと言うことで金融資本に対する批判が高まっている世論と折り合いを付けるつもりでしょう。
この辺は急速に高まって来たタックスヘイブン批判も(ガス抜きを図っている印象がある点では)根っこは同じです。紙幣大量発行・・マイナス金利まで進んで来るとパラドックス的ですが、逆に金融業者・・金融政策の機能低下が進みます。
どこかで書いたことがありますが、紙幣が足りないから金利を払ってでも借りるのであって膨大な貨幣発行し、必要以上に紙幣が供給されればその他商品同様にダブつけばリース料が下がるのは当然です。
紙幣も商品である以上・・供給過剰になれば、金利・リース料が下がり最後は金利を払ってまで借りる必要がなくなる・・日銀が決めなくとも実勢相場が下がる(日銀は現状追認機能に下がる)のは、当然の原理です。
アシカのショーでも京都大学の類人猿の研究でも餌(果物)を与えながら知能の動きを探り、訓練していますが餌をふんだんにおいて置けば餌で釣るテストや訓練は不可能になります。
借りたい人が少ないから2%から1%に下げても借り手が少ないので、更にゼロ→マイナスに下げても量的緩和しても理屈は同じです。
いろんな商売を見ていると分りますが、(技術・品質・提案力の進歩が止まって)価格(値下げ)競争に入るとその業界は終わりです。
資金余裕のある企業は、・・供給不足している国相手ならば投資出来るが、供給過剰の国内で設備増強することはありません。
まして金利が安いくらいで何故国内投資するの?と海外投資に資金が逃げて行くばかりです。
デイズニーランドの例で言えば、いくらお金があっても勝ち目もないのに競合するレジャーランドを直ぐ隣接地に作る人・企業はいないでしょう。
採算取れるからこそ、事業を買収したりするものであって、企業内にいくら蓄積があっても儲けられそうもない企業の株を買わないのと同じです。
腹一杯になった人に食事を勧めても半値でも要らない→9割引きでも要らない→更に満腹になるとこれ以上はお金をもらっても要らないと言います。
もっと要求すると棄て賃(マイナス金利)をもらわないと受け取れないと言うでしょう。
ゲップ状態(有り余っている)だからこそ、マイナス金利になっているのですから金利をいくら下げても「需要がなければ需要は増えません」
金利が需要を作るのではなく、需要があって供給が足りないときに金利が安ければ借りてでも設備投資するのですが、需要がない・・供給過剰で設備廃棄しなければならないときに、金を持っていても国内投資する企業はありません。
経済専門家は、過去の供給不足・資金不足時に有効だった政策を今でも有効であると誤解しているのです。
この辺は紙幣大量発行とインフレ可能性のテーマで、モノ不足のときに紙幣を2倍発行すれば、物価も2倍になりますが、モノが余っているときに紙幣が2倍供給されても2倍の量を買わない・・紙幣(預貯金)が滞留するだけであると書いたことがあります。
何千万の月収のある人あるいは億単位の預金のある人が、あるトキ月収が10万円増えたからと行ってその分そっくりどころかその何%も消費を増やすことはありません。
豊かな社会に於いては金利の上下や紙幣発行量の重要性はとっくに終わっているのに、未だに国を挙げて金利の上下や量的緩和のレベルを議論していること自体が滑稽なことです。

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