弱みにつけ込むことと市場原理の違い

相手が必要とする度合いが大きければ大きいほど、協力するよりは反対運動した方が目先獲るモノが多くなる。
これが市場原理の基礎です。
性能が良くて性能の割に安いとかサービスが良いから需要が多い・需給の結果価格が上がるのは正常ですが、自然災害や突然の傷病病等や遭難の場合も、相手の弱みにつけ込んで・需要があるのだからいくらふっかけても良い・救急車を呼んで欲しいならば電話代10万円払えというのは許されません。
日本人は独創的工夫で良いものができるとそれを国内に広めて皆のため役立てたいと思う人が原則で、独り占めして大儲けしたい人は例外です。
ですから今でも日本人の場合、人類に役立つ発明をした人が特許をとらずに世界中に教えて歩く人・医術でいえば世界から習いに来るのをまたずに自分で世界へ無償出張して教えて歩く人がいるのです。
特許で独り占めしてぼろ儲けする精神は今でも日本人の伝統的価値観には馴染みません。
ちょっと話題が飛びますが、今日土曜日だったので休日を利用して家族で佐倉の歴博へ行って漆の企画展を見てきましたが、漆の採取がものすごい労力を要し大変貴重なものであったことがわかりました。
漆の樹種同定技術が進み2004年から可能になった結果、1990年発掘出土木材が2012年の放射性炭素年代測定調査で1万2600年前の漆材とわかったとのことです。
日本で自生しなかった漆材の輸入?植林の利用が縄文早期(1万2600年前頃?)から、日本に根付いていた関係がわかって来そうになってきたようです。
(私の素人的前のめり希望判断では既に原木輸入して植林していたのか?)
今のところ北海道から出たベンガラ塗漆製品が約九千年前・・・これはまだ年代測定が確定していないようですが・・その次のは七千二百年前・これははっきりしているようです。
これまで遺跡といえば石器や陶器など腐らないものしかなかったのですが、日本列島で多用されている木工品、竹細工、布製品等が、漆の保存作用により7〜8千年まえの漆塗り製品が出て来るようになったようです。
その前から漆塗りしない繊維製品やカゴなどの工作品があったことになります。
以前から我が家では、縄文土器では煮炊きには使えるが、川から水を汲んだり運搬には重すぎる・・貝塚などの集積を見るとその運搬道具が別にあったのではないか?などが話題になっていました。
今日行って見ると、まさに草か木の皮などを材料にしたカゴなどが先に発達していてそれを漆で塗り込めて遅くとも7〜8000年前から容器に使っていたことが(私の素人推測では)分かりました。
これが漆で塗り固めていたために、腐らないで残ったのです。
採取した漆の急激乾燥を防ぐために今でも古紙・・新聞紙などの使い古しで蓋をするようですが、古代から使い古しの紙で蓋をしていたことから古紙に漆がべったり付いていて結果的に千年単位でそのまま紙資料残っている・日常的情報が大量に残っていることが、歴博の平川南教授(のちに館長)の業績(千葉の場合地元サービス・・彼が若い頃・先端で活躍中の最新成果を講演等で教えてくれたので千葉人はその恩恵に浴しています)で(千葉人には)知られていましたが、縄文時代の情報発掘にも魅力を発揮していることを今日初めて知りました。
上記の通り日本列島では1万2600年前の漆材が出て来たことから・・その頃から漆に親しんで来たかどうかは別として、日本人にとって古くからの必需品でしたので、漆に関するいろんな言い伝えが紹介されていましたが、その中に、大量の漆を水底深く隠して一人占めしようとしてそれを取りに行くと龍に襲われる伝承がありました。
要は、貴重なものを独り占めにすべきではない・・今ふにいえば特許で儲けを独り占めするのを潔しとしない気風が・民族の教えが古くからあったことがわかりました。
これを言いたくて前置きが長くなリました。
日本では災害時には助け合うのが普通ですが、アメリカ等日本以外では警察力の届かない弱みにつけ込んだ略奪が普通です。
息子ブッシュの時の洪水被害対応で日本とのあまりの違いにネットで比較されて恥ずかしい思いをしたので、最近少し良くなったと思われますが、今年8月25日頃から始まったテキサス〜ルイジアナ州でのハリケーン〜熱帯性低気圧では被災者100万人とも言われますが、まだ雨が降り続いていると言われます。
今はまだ移動しながら雨が降り続いているようで一面1メートル余りの水浸しで略奪どころではありませんが、水が引き回復に向かう過程でどうなるかです。
沖縄では・・「反対運動は激しければ激しいほど多くの援助を引き出せる」相手の足もとを見た過激な反対運動をやっている印象が強くなってきたのと新潟県民の被害者意識強調が二重写しになってきます。
トランプ大統領の取引外交同様で1対1の目先取引ではこれが正解でしょうが、我が国の特徴である長期的多角的視野で行動する伝統的価値観からすれば、こういう露骨な行動はマイナスでしかありません。
蒙古襲来時で言えば、先に恩賞をくれないと命がけで戦えない・応援に駆けつけた武士団への兵糧供給や野営陣地構築に協力すると戦場になる危険があるからと、敵・蒙古軍が迫っている危機下で応援武士団受け入れ反対運動しているようなものです。
卑近な例で言えば葬儀や病気お見舞いに行くのは目先で見れば時間とコストの無駄ですが、これを欠かさないのが大人の知恵です。
沖縄の激しい基地反対運動は主体が県民かどうか不明・本土から入り込んだ暴力的組織が中心とも言われますので、蒙古襲来時に当てはめればあらかじめ入り込んだモンゴル系が反対運動しているような印象がないとは言えませんが、県民の支持を受けているはず?の知事自身が自分たちが日本の多数民族とは違う前提の「先住民保護」を国連で訴えたりするのを見ると、そこまで言うのか?と思う人増えたでしょう。
ヤクザ者が自分から「イザとなれば何をするか分からない怖い人たちだ」ということを周辺に知らしめる・・「ナメられない」ために時々街頭で乱暴なことをするのと似ています。
そんなことをすれば日本全体から嫌われることが分からない人たち・・県民意思を代表する県知事が先頭に立って、「自分たちは先住民族だ」と国外でとことさらに強調するのは、「沖縄の人は日本人大方と価値観を共有していない」と自己宣伝したいのでしょうか?
県知事が国連に出向いて言って「沖縄人は日本の先住民族」だと演説し(沖縄支配を狙っている)「中国側についてもいいのだ」と言わんばかりのことを言い出したのは、蒙古襲来時に防御最先端位置する博多周辺武士団が、「俺たちは元々日本人ではない・元々モンゴル系だ」と言い出したようなものです。
沖縄人は知恵を絞って?日本政府との交渉で有利な条件獲得を目指しているのでしょうが・・・ここまでいうとエゴむき出しです。
目先その方が得るものが多いとしても、イザという時にそういう主張する人たちだという評価が定着し、将来数百年以上にわたるマイナス効果が分からない・・目先の利益の方がいいので、分かりたくないのでしょう。
忠告を受けても分かりたくないこと自体が日本的同じ価値観を共有していない・・「日本人ではなかったのか?」という意識が日本全土に定着していくしかあません。
病人を見舞うのではなく、その弱みにつけ込むような人は日本では嫌われます・・それが分かりたくない以上は、翁長知事の言うように民族が元々違っていたのか?と思うしかないでしょう。
沖縄も新潟県も足元を見る相手は日本国民全部ですから、足元を見られて損を被るのはその他日本国民全部です・・・。     
こういうエゴイズムが日本全土に広がっていくと、日本民族の一体感が失われて行きます。

稼働停止/廃炉の影響1(反対運動の論理)

蓮舫氏の国会質問〜フェイクニュースなどが挟まりましたが、原子力発電稼働停止や廃止と地域経済の影響に戻ります。
http://blogos.com/article/93288
記事
宇佐美典也
2014年08月27日 20:35
原発が止まった原発の街「柏崎」の現状
先日とある人のご案内で久しぶりに柏崎に行ってきました。柏崎刈羽原発を見学に行った後に諸々観光地ご案内して、帰ってきたのですが、彼の地の厳しい現状を改めて感じました。
まずは柏崎市の現状についてなのですが、近年なかなか厳しい状況が続いておりまして、1995年の10.1万人をピークに人口は減り続けており2014年7月現在では87928人となっております。タダでさえ苦境が会ったところに柏崎刈羽原発の稼働停止も重なり、人口減少のペースがやや加速しています。では柏崎の産業が原発に依存しているかというと決してそうでは無く、ブルボン(菓子)やリケン(自動車部品)といった全国ブランドの会社が今でも柏崎で活躍しています。原発は稼働してしまうと基本的にはスタンドアローンで稼働し続けるので、直接の恩恵を受けているのは実際に雇用されている職員や、地元の建設・メンテナンスメーカーなど一部に限られています。
柏崎における原発の恩恵の多くは間接的なもので <①原発立地 ➡②立地対策交付金、使用済核燃料税、固定資産税、法人市民税などの税収増 ➡③市民に還元>という具合になっています。
では柏崎の税収のいかほどが原発がらみなのかということで同市の平成26年度の予算を見てみますと、歳入の484億円のうち、原発関連交付金が26.0億円、使用済核燃料税が5.7億円、その他市の固定資産税90億円の内の2/3程度(50億〜60億円程度)は東電からのもの思われ、総計で毎年合計で80億円〜90億円程度と思われます。
そう考えると市税156億円の内の約半分、歳入484億円のうちの約15%弱が原発からの収入ということになります。こうみると「原発無しでも柏崎はやっていける」というのは市の財務面では無茶な主張ではありますが、市民の生活面では十分可能な話なのかもしれません。
実際一般の柏崎の市民の方が「原発再稼働に必死」と感じたことはありません。
なお固定資産税は「原発がいつか稼働する見込み」である限りは、赤字でも当面は入ってくるので柏崎刈羽原発の地震・津波対策が進んだ結果固定資産税は皮肉にも近年は増収しています。本来ならこれにプラスα(5億円〜10億円)の法人市民税が入ることになるわけですが、累損が膨らんだ東電からは当面法人税は期待できないため、短期的には柏崎市に取って原発が稼働しようがしまいが税収は変わらないということになりますが、やはり長期的には稼働してもらわないと100億円近い税収減に見舞われることになります。」
上記記事は当面の税収だけを問題にしていて、労働者がいなくなることによる市内業者の売上減や住民税その他の税収減を書いていません。
原発関連労働者がどれだけいるかですが、原発の場合それがある限り稼働してもしなくともそれほどの差がないようにも見えます。
再稼働に反対しているだけならば、固定資産税等は無くならない上に、維持管理用の労働力投入がなくなりません。
原発の運転自体がほぼ自動操業で多くは計器類の監視業務中心・・稼働停止中も維持管理労力は必要ですから労働者の激減もありません。
一般的製造業の場合仮に全自動化していても製造中には原材料の搬入・製品・廃棄物搬出等の動きがありますが、原発の場合ウランの搬入搬出がしょっちゅう必要がない上に製品は送電線によるので、一般製造業のように生産休止か否かによる活動量の差異は殆どありません。
結果的に一旦稼働してまった原発工場の場合、工場がある限り操業してもしていなくとも地元に落ちる金がほぼ同じ=企業にとって稼働してもしなくともランニングコストがあまり変わらないとなれば、稼働停止だけ続けば地元経済にはほとんどマイナス効果がない・・蛇の生殺しのようで電力業界が維持管理コストとばかりかかって疲弊する一方です。
「稼働に同意してほしいならばもっと好条件を出せ」というヤクザみたいな政治手法が可能になっています。
被害救済と言えば聞こえがいいですが、一種の被害者ビジネス・・ゴネ得(いう表現自体も頭から否定的な表現という批判があるかと思いますが)に徹するとその帳尻は電力料金に反映します。
結果的に電力会社が全部倒産しても良いと言えない結果、回り回って国民全部の負担になります。
廃止に決まっても完全廃止までに数十年かかり、その間に廃止に向けた新規労働力投入が増えて逆に活気が出る(福島原発では事故前よりも多くの労働量が投入されている)ので10〜20年は「地域経済・税収には関係がない」しかも反原発運動をしている方が自治体懐柔のため、あのてこの手の好条件提案を期待でき、政府投資を獲得しやすいという戦略でエゴを煽るポピュリズムが地域政治の世界を制しているのでしょう。
「釣った魚に餌をやらないのはあたり前」という論理で中国が進出企業いじめするのと同じ手法です。
一般製造業の場合には、あまりひどい要求をされれば投資資金を無駄にしても撤退する道がありますが、原発の場合今の技術では「稼働反対ならばすぐに撤退します」と言えない・相手の足元を見た卑劣なやり方です。
廃止を決めたら数年で解体撤去出来て跡形もなくなるような技術革新が進めば、先行投資を捨てる覚悟さえ出来ればいいので、原発立地自治体の無茶な主張はその限度内で治ります。
中国による先進国からの進出企業への(知財解放せよ技術移転せよ等の)一見無茶な要求は、世界企業に撤退決意させない限度内で行われていることになります。
16年の新潟知事選は以下の通りです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/101700460/
2016年10月18日(火)
任期満了に伴う新潟県知事選は10月16日投開票され、無所属で新人の米山隆一氏(共産、自由、社民推薦)が前長岡市長の森民夫氏(自民、公明推薦)らを破り、初当選を果たした。
 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が主要争点になったうえ、選挙戦の途中から実質的に与野党対決の構図となっていた。」
新潟県民にとってはすぐに撤退されると困るが、稼働停止だけならば地域経済に与える影響が運転中と殆ど変わらないから加津反対を主張する政治家に票が集まる構図です。
電力会社側から見れば稼働停止が続けば、停止中のコストが稼働中とほとんど変わらないで収入だけゼロですから、現地自治体の(「あれをやれこれをやれ」受入れないと同意しないという)無理難題でも受け容れるしかなくなります。
この結果現地では、現地要望を受け容れるための各種大規模補強工事が花盛り・・結果的に特需景気に沸いていることになります。
沖縄県民が基地反対の大義?によって反対運動が過激化する一方になってきたのは、
「いくら過激な主張をしてもアメリカ軍が撤退出来る訳がない」という思惑で反対運動をしてきた結果→冷戦終結に伴い米軍がフィリピンから完全撤退し、日本でも沖縄基地縮小→グアムへの集約化の方向が出てきたので一時大人しくなっていた印象でした。
2010年頃からこれを引き止めるために?北朝鮮が活発化し、中国による沖縄諸島全体への侵略意図を前提にした尖閣諸島に対する攻勢をかけ始めたことによって、今度は日本政府(日本人全体)が沖縄基地縮小どころではない状態・逆に防衛力強化必須化に追い込まれたことによって、俄然反対運動が勢いを持ってきた印象です。

世界の原子力発電状況1

この辺でメデイアによる洗脳目的のムード報道ではなく、原子力発電に関する事実としての世界の趨勢を見ておきましょう。
世界の原子力発電に対する趨勢は以下の通りです。
http://blogos.com/article/231650/
記事
石川和男
2017年06月29日 11:13
世界全体の原子力 〜 低下傾向が近年反転し、4年連続増加・
World Nuclear Association が今月28日付けで公表した “World Nuclear Performance Report 2017” によると、2011年から2012年にかけて著しく落ち込んだ原子力発電電力量〔Figure 1.〕と原子力発電設備容量〔Figure 2.〕は、2012年以降4年連続で増加傾向となった。
2016年には、9GWeを超える新しい原子力発電所が稼働を開始し、過去25年以上で年間最大の増加率だった。」
メデイアによって「原発廃止縮小が世界の流れ」というイメージが刷り込まれていますが、データで見ると違っていることがわかります。
蓮舫民進党執行部は、いくら早く全廃しても「配置転換や手厚い一時金支給などの補償のある正規雇用の労組には関係がない」まさか連合が反対しないだろうというと言う乱暴な見通し?で、地域世論無視の意見を発表してしまったのではないでしょうか?
ただしこのあとで書いていきますが、もっと詳しく見れば稼働停止や廃止決定しても地元経済は10年単位で見れば(全国民の犠牲によって)もっと潤うようですから、廃止や稼働反対運動はごね得で損をする国民との一体感破壊に働きます。
災害等で本当に困っている人を助けるのは納得ですが、「ごね得」のようになると負担させられるその他国民との一体感が破壊されていきます。
蓮舫氏の・国民分断につながるエゴ主張を日本のための全国民的ビジョンで正気の連合が受け入れなかったと見るべきでしょう。
ところで全国で多数展開している原発の急速な廃止となれば、配置転換や自然減もそうはうまくいかないので大多数は一時金での解雇になるしかない上に、「地域経済への影響」が半端ではありません。
地域経済というと地域限定のような響きですが、急速全廃となればほぼ全国一斉になる・・一箇所ではないので配置転換すべき受けザラがないので日本全体としての急激な雇用吸収ができない→社会問題が起きてきます。
ちなみに原発の全国立地を見ると以下の通りです。
日本全国の原発
2012010101.jpg

地域経済だけではなく、代替エネルギー開発の工程・・見通し策定すらできないのに稼働停止や廃止だけ先行すると、日本経済全体が立ち行かなくなるばかりか市民生活にもモロに影響が出ます。
その点を蓮舫氏はどう考えてどのように国民に説明するつもりだったのでしょうか?
政党代表が国会で政府に質問する以上は、どのような立ち位置があって、その主張があって、そのために政府に質問してその矛盾等を質問するという流れ・・政府に質問する前に自分の立ち位置を明らかにすべきだったでしょう。
森友・加計学園問題の追及もそうでしたが、民進党が予算審議を止めてまで続ける質問で国政のために何を言いたいのかさっぱりわからなかったのが、メデイアによる安倍政権の支持率下落・日本政府弱体化の目論見は奏功しているのに対抗勢力であるべき民進党支持率が低下してしまった原因です。

独の国家補助金による電力輸出と独禁法の不公正競争政策1

ドイツの高額買取で生産された製品が合理的生産コスト以下で国際市場に出回り、いくら下がっても怖くない・成り行きで売れる値段までコスト無視で何年でも価格を下げ続けられる仕組み(高額買取制度というのはもともとコスト無視・市場価格との差額補填制度です)・・政府補助している点では中国の出血輸出とどこが違うのか?という疑問です。
国際相場よりドイツの電力料金が高いと言う意見を1昨日紹介しましたが、それなのにドイツが電力の輸出大国に何故なっているかと言えば、高額買取した再生エネルギーを国内電力会社に引き取らせずに国際送電網にそのまま放出させて成り行き相場でタレ流しているからです。
簡単に言えば、国内価格ではなく国際価格以下(「成り行きで売る」と言うことは、価格がいくら下がっても売り注文を下げない売り方ですから、国際市場では相場下落圧力になります・・)で売っていることになります。
日本や韓国のように一国閉鎖送電システムの中でいくらで高額買取しても概ね国内問題ですからいわば勝手です。
・・韓国も国際競争力維持のために国内電気料金を政策的に低く抑えていますが、その分どこかで歪みが出てトータル競争力では結果的に大差ないかも知れませんので、国際的には直接的問題が少なかったのです。
水道料金、道路港湾鉄道その他何でも、国民生活の基礎的コストを市場相場に委ねるかどうかは国内政治の問題で直接国際貿易に関係しません。
しかし鉄鋼製品その他国際取引商品まで国費投入で補助するとなると不公正貿易のパターンになってきます。
欧州のように送電網が共同化していて国際市況に連動している場合に、一国が桁違いの高額買取制度を実施して国際市場に市場価格で放出するようになると補助金の多い国がいくらでも値下げしていけますので結果的に市場独占してしまえます。
昨日見た論文では。おかげで周辺国が安い電力を享受できていると喜ばしいことのように書いていますが、ノーテンキで無責任な意見です。
アフリカが見るも無残な貧困状態に陥ったのは、欧米の偽善的無償食料援助が原因で地元の第一次産業が業が壊滅させられたことが原因です。
安ければ安いほどいい・無償ならばなお良いというものではありません。
生活保護に一度ハマると抜けられなくなるというのも同じです。
国家規模で大規模な無償食料援助されると無償に勝てる産業はないので、たちまち前近代的な焼畑的農業や狩猟その他の伝統的・古代型現地産業が壊滅してしまいます。
日本の敗戦時にどんなに食料に困っていても、アメリカの過剰農産物の捨て場にされ農業が壊滅しなかったのは美味しい産物に恵まれ国民の舌が肥えていたからです。
戦後直後に育った我々世代でさえも輸入米は「外米」とか「黄変米」とか言われて危険・不味いものの代名詞のイメージし残っていません・・。
豊葦原瑞穂の国に生れたありがたさで、アメリカが余剰農産物の捨て場に日本を利用し、日本の非効率な農業を壊滅させようとしてもうまくいきませんでした。
今や、日本のお米や果物に限らず牛肉さえもうまいので高級品として輸出されてますが、狭い国土で非効率だ(農業保護批判がメデイアの基本姿勢でした)関税撤廃解放して早く農業をやめた方がいいと言う宣伝・アメリカ式農業がいかに素晴らしいかばかり聞かされて育ちました。
現在のTPP交渉でも敗戦直後と変わらず、「農業保護のために近代産業が被害を受けている」という大合唱です。
洋画がいかに素晴らしいかを学校で教えても、自分のお金を出して買うのは日本画ばかり・公的美術館しか洋画をめったに買わないのに似ています。
話題が飛びましたが、ドイツ周辺国がドイツの財政負担によって安い電力を利用できるのは良いこと・メリットだというイメージの24日紹介の論文「オランダなど価格水準が高い国や供給力が弱い国は有利な価格で調達することができる。」という一見有り難そうな表現はまちがっています。
安い電力流入のためにフランスでは原発の出力を落とさねばらなくなっているというのですから、すでに弊害が出ているのです。
国家が資金補填した製品を国際市場に出すこと自体が民間の競争で言えば、自由市場制度破り政策・独禁法で言う公正競争違反政策です。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)
(定義)第二条
(1)〜(8)省略
(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一〜二省略
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」
昨日紹介した通りドイツが高額買取=市場価格以上で買取した再生エネルギーが市場にコスト無視で安く入ってくるフランスなどでは、既存原子力発電所などが出力を落として操業するしかないというのですから大変です。
特定エネルギーだけ補助金漬けになると正常なコスト負担するその他電力業界は価格競争でやっていけません。
ドイツは国内市場で再生エネルギーを市場相場で大量に放出すれば、国内電力料金が下落して褐炭等によるに電力生産が成り立たなくなるのでこれをしないで、国内相場は高いままで国際送電網の市場にだけに「なり行きで」放出しているとすれば・・外国だけが超安値電力が入ってきて参ってしまう・・ずるいやり方です。
フランスも負けずに原発電力を高額買取して国外には安く売ればいいのですが、この競争が始まると体力勝負になります。
こういう不公正な競争を野放しにすると、技術力がなくとも強いものが市場を席巻してしまう・技術革新で安く売って競争に勝つなら社会の進歩を期待できますが、体力に任せてコスト以下で販売を仕掛けるのではより多く国の援助を受けた企業が勝ち残る結果、効率の良い企業が負けてしまいます。
ですからこれを「不公正取り引き」として日本だけはなく国際的に同様の国内法が世界中で制定されてきたのです。
国内での不公正競争ならば、独禁法の取り締まり対象ですし、一旦この処罰を受けると諸々の社会的不利益を受けますが、国家間になるとWTOでも、これのルールを定めていますがこれがうまくいきません。
フランスは悔しくとも補助金競争を仕掛けるには国力差がありすぎるのと「原発は危ない」というメデイアのイメージ操作で負けているので、WTO違反でも全く反撃できていないというところでしょう。
ドイツは国内電力会社に再生エネルギーを高く買わせるのではなく、国際送電線網を通じてリアルタイムの市場相場で売却してしまう・・高額買取組織は差額を負担するのではやっていけないはずですから、その差額を国家負担にしているのでしょう。
このやり方は、中国国有企業の鉄鋼ダンピング輸出とどういう違いがあるか?ということですが、周辺国はドイツのご威光に逆らえず黙ったままのようです。
ドイツの再生エネルギー買取制度は、風力・太陽光発電等需要無視で生産させてこれを周辺国の犠牲にして自国でまず発展させようとする事実上の国策ダンピングです。
こんな身勝手な行動に周辺国がいつまでも我慢出るのでしょうか?
自分だけ良ければ・・という政策はいつかは反動がおきます。
蓮舫氏が国会で質問に使ったデータが実質フェイク的なものだったのと同様に、メデイアがドイツを賞賛するについては、欧州の電力市場制度の存在や隣国フランスがどうなっているかや各国の置かれた資源や電力供給構成などの背景事情を同時に報道しないと片手落ちです。
メルケル氏が日本訪問時に(ドイツは隣国とうまく修復できているのに)「日本が隣国ととうまく行かないのは、日本の真摯な謝罪が足りないからだ」と言わんばかりの韓国よりメデイアの質問に対して「良き隣人に恵まれたので・・・」と答えたことが知られていますが、何事も周辺状況・環境条件を総合してから意見を言うべきです。

独仏の原子力政策と環境条件1

まずは、日本同様に電力資源の大方を輸入に頼っているフランスがどうしているかを見て行きましょう。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
先月17日のIEA(国際エネルギー機関)の発表では、
「フランスは、IEA加盟国の中でも低炭素エネルギー構成を実現している先進国。2015年でのエネルギー全体に占める化石燃料比率は47%に過ぎないが、エネルギー全体に占める原子力比率は46%(資料1)、電力分野での原子力比率は78%(資料2、資料3)となっている。」
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
「電力量当たりのCO2排出量の推移(資料10)やGDP当たりの化石燃料由来CO2排出量の推移(資料11)を見ると、原子力大国フランスが常に低位安定であることがわかる。
日本で2011年以降に上昇しているのは、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で日本国内の原子力発電が、一部では再稼働し始めているものの、実質的にほぼ全面停止状態に置かれているからである。」
上記を見るとフランスでは今でも原発依存度が78%もあり、原発比率の低いドイツでは電気コストが高くなっていることがわかります。
ところが、安いはずのフランスが電力輸入国でありドイツが輸出超過になっているのですから分かりにくいのは、西欧のほとんどが加入している送電線共通システムによって、電力の市場売買が成立している結果によると思われます。
http://www.renewable-ei.org/column_g/column_20150907.php
ドイツなしには成り立たないフランスの電力
2015年9月7日 林佑志 在独コンサル会社 欧州環境政策調査員
「ドイツの再エネが拡大し、脱原発も順調に進んでいると聞けば必ず出てくるのが「でもドイツはフランスの電力を輸入しており、原発の電力を使っているではないか」という反論だ。
フランスとの関係を見る前にドイツだけを見れば、物理的な電力フローではドイツは35.7TWhの輸出超過であり 、発電容量もピーク時をゆうに上回る設備を抱えており、あえてフランスから電力を輸入する必要はない。」
フランスの高圧送電系統の運営会社RTEが公表しているデータでは、実際の商業取引ベースで見た場合、2014年にはフランスはドイツから13.2TWhの電力を輸入している一方、輸出はわずかに7.3TWhであり、純粋な電力輸入国となっている ⅲ 。」
http://www.de-info.net/kiso/atomdata16.html
ドイツのエネルギー関係データ
ドイツにおける2015年の褐炭
産出量は約1億7,800万トンで、中国を上回り、世界第1位である。
産出量の約90%が国内の発電および地域暖房に消費される。それ以外は産業内自家消費およびブリケットに加工して販売される
巨大な掘削機で採掘された褐炭はそのまま近接する大型発電所に送られ、微粉化されて高効率の発電がおこなわれる。
褐炭による発電量は1,550億KWhで、全体の約23%を占める(2015年)。CO2排出量が多いこともあって、削減される方向にある。」
「ドイツのエネルギー資源 - 自給率、輸入依存度、輸入先
「ドイツのエネルギー自給率は原子力をゼロとしても約30%で、比較的高い。
一次エネルギー消費の12%を占める褐炭および11%余りを占める再生可能エネルギーが100%国内産であるほか、石炭や天然ガスも国内産が10%を超える。」

下の2つのグラフのうち、上はそれぞれの国との国境を通過した物理的電力量、下はそれぞれの国との間の商業的取引量である。
  データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値

 

5. 追 記
ドイツではエネルギー転換に伴ってさまざま問題も生じている。しかし、それらの問題は長期的な目標を達成していく過程でのことである。目標とは輸入燃料に依存しない、確実で安定したエネルギー供給、安全で安心、環境にやさしいエネルギー供給であり、ドイツを世界で最もエネルギー効率の高い、豊かな国のひとつとすることである(エネルギー・コンセプト)。再生可能エネルギーへの転換に伴うさまざまな問題を克服するために、発電、蓄電、エネルギー効率、環境などの面で技術開発やノーハウ蓄積が進められているが、それは将来にわたってドイツの国際競争力の維持・拡大にも寄与していくとみられている。(参考:「エネルギー転換に関するドイツ産業界の基本的考え方」)

上記の通り、ドイツと日本とではエネルギー資源・・基礎的体力条件が違うのですから、日本の場合、輸入代金の急拡大にどう備える事が可能かの研究・議論の蓄積先行が不可欠です。
ちなみにドイツは総合的に見て電力輸出超の国らしいです。
日本のように1国閉鎖電力社会の場合、最大需要期が(夜間電力も休日も同じ)ほぼ同時的ですから、設備を最大需要に合わせるしかないのですが、西欧諸国では送電網が行き渡っているのでドイツは冬に暖房用需要期が最大であるのに対し、夏は電力不需要期・・南欧諸国は最大需要期になっているなど、欧州の電力相互供給体制は合理化されているようです。
ただ、ドイツの電力が国際競争力があるのか?というとそうではなくてドイツは自国資源である褐炭などの自国資源利用中心のために、(一旦止めると再稼働に膨大なエネルギーが必要)需給に合わせて稼働率調整できない無理があるから、不需要期に赤字輸出している事が原因らしいです。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
に戻ります。
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
電気料金の高いドイツからの電力輸出がなぜ多く・輸出超になるのでしょうか?
これには一種のダンピング輸出のカラクリがあるようです。

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