言論の自由(国家民族や集団のため1)

国内企業の場合、支持されない偏った意見は新聞等の売れ行きが落ちるので自然に修正されますが、国外から資金提供を受けている組織や個人の場合国内支持者が皆無でもその活動を続けられるのが難点です。
国外から資金を獲ている場合には、自国のためにする言論とはいえないので、言論の自由がなくなるという制度設計が必要かも知れませんが、その実現は実際には難しいでしょう。
アメリカでロシアによる大統領選挙介入が大問題になっていますが、介入とは言うものの報道を見ると、ロシア政府からいくつかの資金洗浄を経た資金でクリントンの病気情報その他を繰り返しユーチューブなどに流して世論を誘導したと言う程度のことです。
「2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉」のテーマによるウィキペデア記事からです。

 「フェイスブック社は2017年9月6日、ロシア国内から運営されていた約470件のアカウントを閉鎖したと明らかにし、ロシアによる選挙干渉疑惑を捜査するアメリカ政府当局に報告した。大統領選挙やそこでの候補者、投票について直接言及はしていなかったものの、銃規制などでアメリカ社会を分断するような政治広告を2017年5月までの2年間で約3000件掲載したという[10]。」

言論の自由のその他自由主義の本家とは言うものの、アメリカの場合不正な言論・不正な事業活動に対する感度が高い点が日本とは違います。
この辺は自由主義・人権保障の本家であるからこそ、却って行き過ぎに対するブレーキも用意している・・独占禁止法や不正競争禁止関連が発達し、資本取引金融取引が活発化するとこれの行き過ぎ規制も発達している・・人権保障の進んだ社会の方が却って厳しい規制が発達しているのと同じで、自由な企業活動が何のためにあるかを基礎にしていることがわかります。
表現言論の自由の保証が国家民族社会の発展に資するからこれを保証しているのであって、自国や自民族の発展を阻害し他国を有利にする目的に思想表現の自由を保障しているのではありません。
これを端的に示しているのがロシアの選挙介入疑惑です。
ここではロシアの介入があったかどうかの事実認定の議論をしているのではなく、アメリカの自由主義とは国家のためになる意見や行動の自由であること・・他国の介入を許さないことが当然の前提になっている点を書いています。
武器類も自国防衛のための開発が必要なのであって、隣国等が自国を攻撃したがっている隣国に供給するために武器を生産する国はないでしょう。
薬も健康維持のために服用するのであって、健康を害する目的で服用する人はいません・薬は使い方によっては毒になるという通りです。
企業活動を自由にするのは創意工夫が社会発展に資するところがあるからですが、野放図な自由を許すと却って不正競争等の弊害が起きるのと同じで各種の人権が何のために必要かの理解が必要です。
自由や人権あるいは平和主義の理念輸入国の日本では・・自由や人権尊重を必要とする意義・・平和をどうやって実現するかの実質議論を嫌がって自由だ人権、平和主義か否かの概念論・・レッテル貼りばかりが横行する傾向があります。
左翼系は平和憲法を守れと叫んでいると平和が来るかのような主張ですし、小池都知事の選挙スローガン・日本をリセットするというのですが、何をしたいか実現するかの内容が見えません。
希望の党の場合には立ち上げたばかりなので追い追い具体化するということでしょうが・・。
派手な宣伝文句ばかりをメデイアが持てはやすのでは、真面目に政策実現に取り組む健全な政治ができません。
プライバシーや肖像権で言えばこれを人権に加えるかどうかの議論が盛んなように(判例等を見ているとこの種の議論が先行していますが、なかなか最高裁は正面から認めないのが不満なようですが)、カテゴリーに入るかどうかの議論に関心がある・・カテゴリーに入りさえすれば、後は天下御免的な発想の議論が多くなっています。
この辺は各種人権運動も同じで、何のための人権かではなく(プライバシーその他あらゆる面で)「人権侵害を許すな」と標語さえ叫んでいれば自分は正義の味方だ・正しいことをしていると自己満足する人が多いのと同じです。
売春婦を性奴隷と言い換えるように、レッテル貼りに精出して満足するグループが(「また言ってらあ!」と相手にしない人を同調者と思い違いして)勢力を張りすぎているのではないでしょうか?
ここでは、実際にこのような観念論で満足している人が多いかどうかではなく、メデイアの動向を書いています。
今回の小池劇場・・希望の党が「憲法改正反対・安保法制反対者や外国人参政権要求論者を公認しない」と排除の論理を表明したのですが、民進党のつい最近までの党の公約と矛盾する公認条件を言われても(名の知られた反安保論者以外には)民進党の大多数がこれに応じている状況がメデイアを賑わしています。
昨日の新聞では希望の党の第一次公認だけで全体の6割・民進党からの合流者が110人を超えていて、(第二次公認待ちの応募者がもっといるでしょう)あくまで反安保や外国人参政権を主張するために枝野氏が作った立憲民主党参加想定は今朝の新聞で50人程度の見込みという報道です。
希望の党への合流決定前の民進党公認は過半数獲得目的でしたから、まさか全員当選が無理・・多少の落ちこぼれを見込むと過半数の当選を狙う以上は、定数の6〜7割を立候補させないと無理があります。
衆議院の定数は465人ですから、その6〜7割の公認となれば300人前後公認していたはずですが、この内あくまで「反安保/改憲阻止の節を曲げない」として枝野氏の立ち上げた立憲党への参加予定がわずか50人では、本気でこの主張で支持されていると信じていたのが全体の6分の1程度の少数者だったことになります。
当選するためにはなりふり構わずに所属政党を変更する醜態が報道されていますが、ここで重要なのは醜態かどうかではなく民進党内でさえ当選するには主義主張を変えるしかない・・本気でこんな観念的主張を国民が支持していると思っている人がこの程度しかいなかったことを事実で証明しています。
いわば6分の1の人たちが党の方針を決めていた・・党の公約や方針を決めるにあたっての民進党の党内民主主義・党内意見吸収力の弱さにまず驚く人が多いでしょう。
弁護士会や日弁連で死刑廃止論や反安保論についてアンケートを一切とらない本音がここにあります。
足元の党内意向の反映すらできない政党が、「民主」党とか「民進」党を名乗り「多くの国民の声を無視した横暴国会を許すな」と騒いでいても、まず自分が国民意向の反映していないのでは空疎な大言壮語にすぎません。
言論表現の自由に戻りますと、海外での中国蛮行が問題になると日本の南京虐殺が持ち出されたり、韓国の売春輸出の目くらましに慰安婦騒動をひき起こし少女売買春が横行していると・すぐに日本で人権を名目にこれに呼応する人々・・日本でもっとひどいことが起きていると呼応する人が一定数います。
1昨年の韓国セウオール号事件で遭難時高校生らの避難誘導しないで関係者が我先に逃げていたことで韓国が騒然となっていた時に、タイミングよく?日本メデイアが「日本の原発事故の時でも東電の現場職員何千人もが職場放棄していたという大規模ニュースをいきなり流して話題騒然となりました。
この騒ぎについてはH29年9月13日「戦後平和→道義批判の有効性」のテーマ内で紹介しましたが、朝日新聞社が、原発事故調書を元にこのような無理な推測記事を発表したので当然大きな反響・反論を呼んだものです。

地方自治とその濫用1

政府や東電は「完全安全」と言っていたしそれを信じていたのに・・と言うならば、そもそも不安料の支払い不要だったことになります。
現実の事故発生によって新たに原発不安が増えた面があるとしても、11年3月の原発事故は電源喪失によって冷却出来なくなったことによって生じたものです。
(それ以外の事由は知られていません)
燃料棒の絶え間ない冷却の必要性は稼働中でも停止中でも、もっと言えば、何十年も前に終わった保管中の燃料棒でも皆同じであることについてはだいぶ前にこのコラムで書きました。
今回の原発大事故で新たに分かったことは「冷却装置が停電等で働かないと大変なことになる」ということだけですから、稼働停止することによっても冷却不要になりません。
原発を停止しても既に使い終わった燃料棒がある限り冷やし続けねば危険がある・冷やし続けねばならない点は同じとすれば、電源喪失の心配があることを理由に定期点検のために一旦休止した原発の再稼働反対するのは理不尽な印象です。
再稼働停止を求める意味・合理性がない・・嫌がらせ・ひいては好条件獲得の思惑以外に合理的想定が不可能です。
電力業界にとって、稼働していなくともコストがほぼ同じで莫大となれば、理不尽な条件・本来県に関係のない・県の同意を要することでない些細なことでも今後同意事項にしないと稼働に同意しないなど要求されると・・理不尽な条件でも受け入れるしかない・まるで奴隷になったような関係が形成されてしまう印象です。
・・次々と不利な条件が追加され増えて行き、将来県知事の政治姿勢次第でどんな難題でも飲まざるを得ないことになっていく・・そのツケは国民全部に回ってくるとなれば、おかしな地域エゴになります。
沖縄基地問題を見ていると地元のご機嫌を取るためにいろんな(不合理な)約束をさせる・次にはこの約束を盾にゴネル・その繰り返しが今日の収拾のつかないを引き起こした原因のような印象(素人なので詳細を知りません)を受けます。
沖縄知事の無茶な要求や態度・・統治機構の一員である県知事ともあろうものが外国に行って沖縄県民が日本で迫害されている少数民族であるかのような主張をするのを見れば・・腹の立つ人が多いでしょうが、そうすると本土と沖縄の離間感情が余計広がる・・沖縄を分離させたい中国の思うツボですから自重するしかありません。
沖縄知事の対外宣伝運動は以下の通りです。
基地移設問題・しかも知事の主張は単純な海岸埋立許可問題→国内問題であるのに、日本統治機構の一部でしかない知事が政府を通り越してアメリカに3回も行き、直接基地問題を訴えること自体が異常・統治機構のルール違反で非礼でしたが、アメリカでも「政府間で決めること」だと相手にされませんでした。
そこで、ついに民族自決権のような主張・沖縄人は先住民族で日本と別民族というかのような主張?をして1線を超えた行動に出てしまいました。
これを応援してオナガ氏に演説時間を提供したのは、国連で活動している日本のNGO「市民外交センター」ですが、以前少女売買春の国連報告で話題になったNGOヒューマンライツナウとは違います。
ただし、背後の応援団が同じ系統かどうかわかりません。
「先住民迫害は欧米だけではない・日本もやっている」という宣伝を世界に広める目的ではなく、NGOは先住民の人権救済が目的というのでしょうが、アメリカインデアンのジェノサイド・抹殺と同列に論じられても日本人にとっては、沖縄県民の何を救済したいのか理解不能です。
よほど丁寧に自己の運動を説明してくれないとNGOとは日本の悪口を(捏造して?)世界に広めるための組織なのかと誤解する人が多くなるでしょう。
慰安婦・売春婦を性奴隷とすり替えて世界に広めた日本人がいるらしいですが、沖縄人を追い出してもいないし本土の人がわがもの顔で沖縄で生活し現地沖縄県民を圧迫している訳でもないのに、先住民性を強調するのはアメリカの先住民迫害と同じようなイメージで世界に印象づけようとする一種のすり替え論です。
慰安婦を性奴隷と言い換えるなどの言語すり替えも言論/表現の自由や編集権の範囲なのか、虚偽主張なのか?歴史が裁くしかないのでしょうか。
彼らNGOは少数民族の人権擁護のために正義を主張しているということでしょうが、どういう根拠で沖縄県民を少数民族と決めているのかも(私の勉強不足だけか?)不明で(特定国におどらされ?)思い込みだけで運動している可能性もあリます。
伊達政宗が地域覇権を握ったときには、すでに天下の帰趨が決まっていた・・支配地で見れば少数でしかないので秀吉に従うしかなかったのですが、彼の支配地民族を少数民族とは言わないし侵略を受けたとは言わないでしょう。
彼ら海外活動家の行う日本批判の主張がまちがっていたときに、どのような責任を取る覚悟・体制があるのか不明です。
朝日新聞は慰安婦報道を世界に拡散することで日本民族の名誉をいたく傷つけましたが、結局なんの責任をとったか不明ですが、メデイア界での地位は急低下しました。
オナガ知事の先住民族演説の報道あるまで、ほとんど誰も知らなかったNGO「市民外交センター」の地位低下(元々どういう地位があったかすら知らない人が多い)など誰も気にしていません。
国外で日本の評判を落とす結果になる活動していてその汚名払拭に莫大な国費のかかる反日運動をしておいて、(慰安婦騒動では現地日本人がいじめにあうなどの被害が起きていると言われます)間違っていれば「忘れ去られる」だけのペナルティーでいいのでしょうか?
心底「日本のために良かれと思って行動している」と言う場合もあるでしょうから、一概に意見相違を理由に非難するのは行きすぎですが、その代わり間違っていた時に責任をどう取るべきかも考えるべきではないでしょうか。
個人で言えばどのような生きかたをするかは個人の勝手ですが、(読書ばかりでスポーツをしないで虚弱な人、スポーツばかりで読書しなかった人など「人それぞれ」です)その代わりその結果の集大成である自分の人生を引き受けることになっています。
個人で引き受けられる範囲ならばそれでいいでしょうが、他人に影響を及ぼす行為・・暴力を振るったり名誉毀損を繰り返す行為はその損害を言ったりやったりした本人でなく多くの他人が引き受けるのではバランスが取れていません。
他人に危害を及ぼす行為は自己責任の範疇を超えています。
現在社会では、言論・表現の自由といえば原則として免責される傾向・いかに多くの被害を引き起こそうとも物理的行為による被害に比べて問題にされないのでよほどの逸脱がないと自己責任の範囲にとどまっています。
慰安婦騒動の元になった吉田氏は、事実に反することを指摘されるようになると「作品」であって事実と一致する必要がないという主張で終わりでした。
以下は、ウィキペデアからの引用です。
「吉田は自著の虚偽を指摘された後も韓国での謝罪行脚や朝日新聞での証言を続けていたが、1995年に「自分の役目は終わった」として著書が自身の創作であったことを認めた[47]。
1996年(平成8年)5月2・9日付の週刊新潮インタビューで吉田は以下のように語った。
まあ、本に真実を書いても何の利益もない。関係者に迷惑をかけてはまずいから、カムフラージュした部分もある。事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやることじゃありませんか。チグハグな部分があってもしようがない。-週刊新潮1996年5月2/9号
と語り、自らの証言を創作(フィクション)を含むものであることをあらためて発言した[83][76]。
1998年9月2日に秦郁彦は、吉田に電話で「著書は小説だった」という声明を出したらどうかと勧めたら、「人権屋に利用された私が悪かった」とは述べたが、「私にもプライドはあるし、八十五歳にもなって今さら……このままにしておきましょう」との返事だったという[84]。」

中国の脅威6(影響力の膨張)

中国の国内外に対する脅迫・威嚇政治の広がりに戻ります。
中国国内でいくら恐怖政治をしようとも外国に関係なければいいのですが、そうはいかないのが不気味です。
日本や西欧にまで巨大市場の吸引力を背景にして諸外国に中国に都合の悪いことを自由に発言させないことによって、いかに中国が偉大であるかと中国人民の自尊心をくすぐり国内言論弾圧の補償作用に使っています。
一方で統計数字をごまかして実態の数倍以上の赫赫タル成長=国力を宣伝する・・国威発揚で自己満足している姿は、実際に自慢するほどの経済力がないのにあるかのように振る舞う結果、国内経済に無理が来る・・・・裸の王様のようでいつか風邪を引き肺炎になる事態も想定されます。
風邪を引かないための風邪薬?・・軍事や国内監視要員・治安警察費に入れ込んで近隣威嚇や日米等での細胞浸透や工作資金を使う・国内では治安警察で国民監視ばかりしていると長期的には、人材.資源の無駄使いの結果国力が低下する一方でソ連崩壊の二の舞になる事態が想定されます。
国民不満を空母や戦闘機で抑えることはできません。
ただし、中国は人民を無理に抱え込まない・・「政府に不満なら過酷な弾圧をする・・国外に逃げて行くのは構わない」(国内にいなくなれば、刑務所に入れる手間が省けるし反対勢力がいなくなる効果はシベリア流刑ど同じということでしょうか)というのがこれまでの政策であったと書いてきましたが、それでは優秀な順に国外移住していき全般的民度が下がる一方になるでしょう。
ただし、国外移住者のうち経済活動や学問その他で成功した(かつ反政府活動しない)人材だけを破格の金額で呼び戻す方が経済的という政策です。
ちょうど数百回数千回の実験失敗の結果ようやく開発成功した新薬その他を成功後にサイバーテロで剽窃したり合法的に買収するのと同じ発想です。
一流大学でも生徒みんなを大科学者に育てられるのではなく、そのうち一粒の人材だけが大きく育つのですが、中国は育てる苦労をしない・無駄玉を打たないでうまく育った人材だけ引き抜けば良いという発想です。
クズの人材は中国で責任を取らずにそのまま移住先のアメリカ等先進国で刑務所に入れられたり、生活保護などを引き受けてもらえば良いのです。
この点がソ連・スターリンの収容所列島政策と違います。
習近平氏が、今は権力確立期の非常時なので自分に「楯突くとどんな目にあう分からないぞ!」という勢力誇示のためにやっているだけであれば、権力が確立すれば国家長期発展のために粛清を緩めて行くことを期待できますが・・。
歴史を見ればどこの国でも政権樹立当初は武力が必須ですが、落ち着けば文治政治に移っていくのが普通です。
中国の場合そのような変化ができるかです。
猜疑心の強い個人資質による粛清の場合には、スターリンのように絶対支配を確立したのちも、権力の基礎が粛清にある以上余計猜疑心の塊になって行く・・この種のことをやりだすと報復が怖くてやめられないのが普通です。
そうなるとソ連型の国家社会の崩壊まで突っ走るしかないでしょうが、フルシチョフやゴルバチョフのような勇気のある人材がでないと簡単に百年単位で専制・恐怖支配が続くだけではなく、北朝鮮と違って国が大きい分周辺諸国まで巻き添えを食う可能性があります。
現在すでに中国市場に参加したいならば、「知財や技術移転しろ」と中国市場参加者限定ですが強要が始まっています。
北朝鮮のような小国でさえ核兵器を持っているとどうにもならないのですから、中国がもっと強くなって、中国市場に参加したくない企業や国に対しても「お前のものは俺のもの式」の強要を始めるようになると世界は大変です。
中国に行った人がスパイ容疑で検挙され始めましたが、この程度の脅しでは収まらず、日本国内にいる日本人にまで中国国内法違反の犯罪容疑をでっち上げて、日本に来た中国軍人や治安要員が我が物顔に闊歩し、白昼公然拉致していく社会の出現になると大変です。
実際に今の香港では、これが公然と行われています。
香港の中国支配のあり方を批判する本を出版していた書店主が次々と失踪した事件です。
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/hongkong_b_10607462.html
2016年06月23日 00時58分 JST | 更新 2017年06月22日 18時12分 JST 新潮社フォーサイト
香港でまた「1国2制度」に対する香港人の「信頼」を揺るがす問題が起きている。香港の書店「銅鑼灣書店」の関係者5人が失踪し、中国国内で長期拘束されていることが明らかになった問題で、釈放されて香港に戻った同店店主の林栄基さん(61)が6月14日、公の場に姿を現して記者会見に応じ、赤裸々に拘束をめぐる実態を語った。
拘束された5人のうち、出版社オーナーの桂敏海さんを除く3人は林さんより先に香港に戻っているが、彼らは口を閉ざして実情を明らかにすることを拒んできたので、当事者の証言は初めてとなる。拘束中に中国のテレビで流された「告白」のビデオの内容は、「脚本があり、監督もいた」として、事実ではなく、強制された演技だったとも語った。」
中国は属国と見なせば、遠慮会釈なく実力行使に入る歴史があります
李氏朝鮮末期には、政治の黒幕であった大院君が清朝の軍閥に拉致されたことを紹介したことがあります。
壬午事変(じんごじへん)1882年7月23日明治15年に関する以下の記事からの引用です。
http://hinode.8718.jp/korea_chronology.html
「興宣大院君らの煽動を受けて、朝鮮の漢城(ソウル)で大規模な兵士の反乱が起こり、政権を担当していた閔妃一族の政府高官や、日本人軍事顧問、日本公使館員らが殺害され、日本公使館が襲撃を受けている。
反乱軍の標的は閔妃に向けられていたが、閔妃は官女に変装し官女に紛れて逃げきり山奥に隠れた。
閔妃は高宗に、国王の名を以て宗主国である清国に軍乱の鎮圧を目的として清国軍の派兵を要請させた。閔妃は権力奪還・大院君にたいする復讐の為に他国の軍隊を国内に招き入れてしまうという、大きな間違いを犯してします。亡国へと導く悪女と言われても仕方がない行為である。
清国の李鴻章により袁世凱が援軍として派遣され、反乱軍は鎮圧された。大院君は清に連行され李鴻章による査問会の後、天津に幽閉され、反乱が失敗に終わる。」
李氏朝鮮の場合にはみづから清朝の介入を求めたからですが、元々属国として身長の事実上にの支配下にあったからこういうことになるのです。
事実上支配下に入ると国内に中国の息のかかった細胞がいっぱい入り組んでいるのが普通ですから、李氏朝鮮の閔妃のように中国軍を導入しようとする勢力が育っているのが普通です。
以下対中関係を背景にした・・工作浸透原発稼働停止運動と地域エゴに戻ります。
9月5日「地域エゴと民族一体感の相反性1」〜9月10日「先住民権運動の背景3(ロシアの領土欲1)」等の続きです。
原発誘致に際しての反対運動もこの種の地域エゴが含まれていましたが(原発事故の頃に連載しました)一応被害を負担してもらう意味で一定の国民理解がありました。
各種交付金はそのための前金でもあったわけですが、福島と違い新潟ではまだ事故も起きていないのに、相手が巨額投資してしまっている段階で「不安だから」と稼働停止を求めるならば、不安を理由に前もってもらっている前金を返すべきではないかという意見も出てきます。
不安料とすれば今も不安がある・福島事故によって安全神話が崩れた・・不安がより一層強まったという論理とすれば、返す必要がないとも言えます。
それならば、・「不安解消策を講じろ・不安料金をもっと上げろ」それまで稼働に反対するのはルール違反ではないという論理でしょう。
そうはいっても、ある程度の危険承知で一旦巨額資金をもらっている以上はある程度の不安はもともと予定していたことじゃないのか?ある程度我慢すべきでないかと思いたい人も多いでしょう。
政府や東電完全安全」と言っていたしそれを信じていたのに・・と言うならば、そもそも不安料の支払い不要だったことになります。

中国の脅威(羅津港租借)1

北朝鮮リスクはまだ遠い先のことですが、当面の危機では中国リスクが第一です。
日本は伝統的に九州から西南諸島方面への防衛線が厚いと17〜18日頃に書きましたが、今も中国による日本侵攻の道筋は最先端に位置する尖閣諸島への攻撃から始まっています。
中国は日本の重厚・縦深防御線をいわば槍の穂先を突ついているような関係でこれを突破するには大変なので、日本の戦力を散らす・・日本海等で陽動作戦をしたい状況です。
昔から、防衛の要諦・・砦への侵入路が少ないほど良い・3〜5人しか通れない一本の細い道しかなければ百人で千人の攻撃を支えるのに有利ですが、10箇所の進入路があると守る方は百人の兵を10箇所に分散する必要がありすぐに陥落します。
中国が日本の10倍の兵力があっても尖閣諸島集中では有効に使えないので、日本の防衛力を分散させる目的になるのは当然です。
日本の防衛戦を2正面作戦に直面させようとする長期戦略が動いています。
上海や福建省から漁船や公船出動では、遠すぎてコスト・時間がかかりすぎて日本に対するいやがらせより自分の方が持たない難点があります。
そこで、満州(今の吉林省)から直接日本海への出入り口確保(通商路)という名目で、北朝鮮の羅津港の租借に2005年に成功しています。
https://ameblo.jp/risingshiningsun/entry-11206253808.htmlによれば以下の通りです。
金正日政権は05年9月には朝鮮半島最北端の不凍港、羅津港の50年間の租借権を中国に渡した。
この港は1932年に日本が満州国と日本本土を結ぶ最短交易港として開港したもので、戦略的に非常に重要な意味を持つ。
65年には旧ソ連が同港を租借してベトナム戦争の軍事物資の輸送拠点とした。
その戦略的拠点の使用権を中国は50年間の長期にわたって確保したのだ。
しかも使用形態は、中国が北朝鮮の国土を借り上げ、そこで中国が行政権を執行するというもので、紛れも無い租借である。
※地図を逆さにすると、羅津港の戦略的重要性がよりよく分かります。
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情報元:ひめのブログ 

以上の地図を見るとわかるように、この港湾稼働後に(細々と稼働しているようですが、今後大規模基地化して)日本の背後をつく陽動作戦基地化に成功(・・北朝鮮が応じればの話です)すると大変です。
ここを航空母艦の寄港地にできると、補給改修のため青島大連あたりまで毎回帰らなくとも良いので、日常的に日本近海をうろつけるようになります。
その上黄海・東シナ海に出るには水深が浅いのが難点で潜水艦が外洋に出る前に日米に逐一探知される弱点があると言われていますが、羅津港を潜水艦基地にできると自由度が飛躍的に増します。
・・日本のワキ腹に位置するここを根拠地にしょっちゅう日本海に出没してあちこちの領海侵犯を繰り返すようになると、日本はこの方面での対応に兵力資源を分散させる必要が生じます。
今は上海や福建省あたりから漁船団が尖閣諸島に出てくるのでコスト的に沖縄周辺が限界ですが、羅津港を基地にすると日本列島の何処へでも簡単に行けるので、好きなところで経済水域侵犯などが簡単にできるようになります。
羅津港は船の港であって空軍基地ではないですが、空母の寄港地にできれば、空母発進機によって新潟近く・・日本海側への示威飛行を繰り返しても大してコストがかからないので今後毎日多数回やれます。
日本は日本海沿岸でも、スクランブル用の自衛隊機や違法操業対応の巡視船の数(乗務員等の兵士数)を増やすコストが今の数倍増になります。
近年中国が執念を燃やしている航空母艦製造〜就役は、将来的に多方面からの接近作戦展開の布石でしょう。
航空母艦発着ならば紛争地の近海からの発着なので現地滞空時間が何倍も長くなります。
上海付近あるいは青島付近から発着戦闘機等が対馬や九州付近を往復飛行するには、九州付近での滞空時間がほんの短時間しかありませんが、近くに待機する航空母艦からの発着ならば少ない飛行機で何倍もの往復可能です。
中国は、この1ヶ月ほど東京空爆用の爆撃訓練を印象付けながら、(公海上限定ではありますが)頻繁に紀伊半島沖まで来ては引き返す爆撃機の飛行訓練実施中ですが、西南諸島方面から北上するパターンの場合航続距離の限界だけではなく、東京までの長距離移動がある結果、途中の長距離区間の制空権を確保してからでないと横から迎撃されるリスクが高くなり現実的ではありません。
これが航空母艦発着になると、開戦前に東京付近に出向いておけば(開戦前に領海外に停泊している限り日本の近くに来ているのはけしからんというだけでは日本は先制攻撃できません)いきなりの東京奇襲攻撃が可能になります。
領土と公海までの距離(領海は昔艦砲射撃の射程距離・3海里の限度で決めた歴史があって)はほんの12海里しかありませんから、領海外にいる母艦から戦闘機や爆撃機が発進すれば1分以内に東京上空に達するでしょう。
ウィキペデアによると以下の通りです。
「領海(りょうかい、英語:territorial sea)とは、基線から最大12海里(約22.2km)までの範囲で国家が設定した帯状の水域であり、沿岸国の主権が及ぶ水域である(右図参照)[1][2][3]。沿岸海(えんがんかい)といわれることもある[1]。領海、領海の上空、領海の海底とその地下には沿岸国の主権が及ぶ」
以上のように中国はできるだけ戦線拡大をはかり、日本の対応力の限界を目指す展開です。
一方で内部工作として沖縄の先住民運動を仕掛け、内部から呼応する勢力を育成するなど多角的戦線拡大を目指していると見るべきです。
対中領土争いは、単なる物的支配欲にとどまらず中国の報復怨念に基づいていることから、尖閣だけを譲れば次は沖縄が元から中国のものだと言い出すなど次々と因縁をつけてきて次は九州占領と際限がない・・最後は満州でのソ連の蛮行・・以上の悲惨な占領結果が待っていると見るべきです。
経済力に関しては日米安保が機能する限り日米合体の経済力になりますが、内部工作防衛はアメリカ頼みでは防げません。

ロシアの脅威12(道義無用1)

ところで19世紀の西欧列強の外交を砲艦外交とは言うものの、ロシアのように裸の武力行使による侵略ではありませんでした。
ペリー来航時の交渉も砲艦は背後にあっとしても、現在のアメリカ軍背景の威力による国際交渉同様に一応西欧の作った価値観による法原理・道理による交渉が可能な相手でした。
※ただし、一方的情報しか知りませんが、これまで日本で教育・報道されている限りでは、アヘン戦争は密輸禁圧に対する攻撃によるものですから、文字どおり仁義なき戦いと言う教育を受けてきました。
密輸であったとすれば、密輸を取り締まるのは、清朝の専権事項ですから・・。
林則徐は密輸入した中国人を処罰するだけではなく、イギリス商人の保管するアヘンを没収処分したことが戦争のきっかけです。
当時の条約では国内取り締まり権の範囲をどう定めていたのかが重要です・・外国人保有資産まで没収する権利があったかどうか不明です。
国内でせっかくアヘンを禁止してもイギリス人が中国国内で持っているものを処罰没収できないのでは国内流通を防げません。
それを決めるのが、いわゆる治外法権制度の問題ですが、イギリスと中国がどのような条約をしていたかによって結論が変わってきます。
日本の江戸時代では、薩長の家臣が違法行為をしても町奉行が捜査検挙する権利はありませんでした。
この不満が嵩じて幕末庄内藩の薩摩屋敷の焼き討ちに発展したのです
坂本龍馬が薩摩屋敷に逃げ込む話があるのは、この権利によります。
米軍基地内の拳銃や武器類が横流しされると国内治安に大きな影響が出るのと同じですし、軍人の犯罪捜査権や裁判権がないのが不都合となっています。
でもそういう場合、外交ルートで解決していくのが国際政治の筋であって、(地位協定の見直しが進んで一定の犯罪について早期に捜査権や裁判権を日本に移すなど・・)国民が納得しないからといっていきなり実力で米軍基地に警察・軍事力行使で踏み込むのは、戦争開始と同じ扱いを受けます。
当時の英中間の条約・ルール関係がどうなっていたかについては、日本では教えられていません。
欧米の法治主義と言っても西欧が勝手に作ったものであっても(今も各種ルールは欧米が事実上主導しています)・・ロシアを除けば一応道義・ルールに基づく交渉可能な相手でした。
世界の覇者であった西欧の都合で国際間ルールをつくって来たとはいえ、作った以上は強者もそれを守らねばなりません・・支配者は支配貫徹のためにはルールが必須ですが今度は自分がそのルールを率先してままらないと示しがつきません。
平和が続き多角交渉時代に入ると、道理の通る割合が増えるので強国の割に思うように振る舞えないことにアメリカのトランプ氏は業を煮やしている・・1対1の取引外交に戻りたいのでしょう。
だいぶ前に書きましたが、アメリカも格好つけていられなくなって、ロシアや中国のように無茶をやりたいという地金が出て来たのです。
これに対して中国やロシアの文化(まだ文化までいかない未開社会?)・・支配のルールは、自分の方が強いか否かの基準しかありません。
強ければ賄賂でも非人道行為でも何をしても良いという実力剥きだしの社会です。
サイバーテロでも知財剽窃でも実際にやれるかどうかが基準で正義の基準・やっていいことかどうかの基準はありません。
サイバーテロが現実化していることについては、某国によるウクライナ攻撃が常態化していて電力施設まで麻痺する事態が起きていることを24日日経新聞朝刊第1面大きな紙面で出ています。
日本で言えば、原発施設その他がサイバーテロによって電源喪失になると大事故に発展します。
自分の方が強いとなれば問答無用で強盗同様の侵略・強奪をためらわないし、知財で言えば今や強い立場を利用してコソコソと剽窃する必要がないと開き直りになってきました。
情報統制に関しては、10年ほど前に情報協力だったかを要求されてグーグルは中国か潔く撤退しましたが、今度はフェイスブックが中国の言いなりの規制情報遮断に協力することで中国に進出したことがだいぶ前から問題になっています。
つい最近ではケンブリッジ大学の出版局が中国に都合の悪い出版しない・検閲協力をしていることが話題になっています。
この辺はケンブリッジ大学やフェイスブックが表現の自由侵害に手を貸しても中国内で協力するだけで世界中の表現を検閲するわけではないのであれば、中国人民が事実を知ることができず損をするだけのことですが、技術移転や知財提供の強制になると意味が違ってきます。
この10年程度では、技術移転・知財提供しないと中国市場参入させないという公然たる国家強制が始まっています。
自分が相手に強要できる力があるかどうかだけ?が基準ですから、違法かどうかどころか、侵略成功すればどんな暴虐行為を平然と行う歴史になっています。
もともと行動基準に道理・人道の基準がないのでどんな非道な行為・「非道」かどうかの基準概念さえも発達していないのでしょう。
ソ連の場合には、スターリン批判後はさすがに恥ずかしい?国際道義を気にするようになったのか?ロシアになってからの2014年のウクライナ侵攻では覆面した兵士の展開が報道されていました。
クリミア併合はウクライナ政府軍を追い出した後での住民投票によるものでしたが、その白々しさに驚きます。
ウクライナ東部侵攻も公式にはロシア軍ではないという鉄面皮な主張ですし、ウクライナに対する大規模なサイバーテロについてもロシアは知らんぷりです。
ロシアがどうしてそんなにまでして国際孤立を恐れずに領土拡張に熱意を燃やしているかの疑問ですが、ここ数年の原油価格下落に象徴される資源価格の全般的下落が、ロシア経済のボディにじわじわと効いてきたことによると思われます。
一般的には体力が弱ればおとなしくなるものですが、ロシアの場合には国力不相応の軍事力維持に執心しています。
北朝鮮や中国、ロシア(韓国も含めて)の場合には国力が劣ると大人しくなるのではなく、体面を保ち国民に対する締め付け強化(地位保全)のために対外要求がより一層激しくなる傾向があります。
こういう国相手では経済制裁は逆効果でしょう。
プーチン政権になってから、ロシア経済が好調になったので勢いが良かったのですが、その内実は生産性が上がったからではなく、資源価格高騰によるところが大きかったに過ぎません。
原油その他資源価格が下がるとロシア経済にとっては強力なダメージでプーチン政権にとっては必死でしょう。
日経新聞によるとロシアの原油依存度は以下のとおりです。
4〜5年前までは1バレル百ドル以上もしていたのですが、この数年で20ドル台に下がってしまいました。
ロシアの原油依存度は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO08485840Y6A011C1ENK001/
ロシアルーブル、下落傾向が一服 原油価格上昇を反映
2016/10/18 14:03
「ロシアは石油に輸出や歳入の半分程度を依存しており、油価は為替や株式相場に大きな影響を与えている。原油価格の国際指標である北海ブレント先物相場は年初に一時、1バレル20ドル台後半に下落したが、4月には同40ドル台に上昇。10月に入って50ドル台に戻した。」

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