総選挙と民度3(合流の奇策→愚策2)

小池氏旗揚げ時の支持母体を見ていきます。
http://www.sankei.com/politics/news/171006/plt1710060114-n1.html

希望の党から衆院選比例代表九州ブロックに立候補する中山成彬元文部科学相は6日、宮崎県庁内で記者会見し、首相に望ましい人物について「小池百合子代表が(衆院選に)出ないなら、安倍晋三さんがいい」と述べた。希望の党は「安倍政権打倒」を掲げているが、中山氏は、小池氏が安倍首相の交代を求めている点にも触れ「そこまで(党内で)意思統一ができていない」と語った。希望の党で出馬の中山成彬元文科相「安倍晋三首相がいい」・・中山氏は、希望の党に参加した中山恭子・日本のこころ前代表(参院議員)の夫で、自民党衆院議員として文科相や国土交通相を歴任。

中山恭子氏は保守論壇の寵児であり、自民党内超保守系のホープとして有名です。
ウィキペデイアによる中山恭子の経歴は以下の通りで、麻生内閣で拉致担当相をはずされると批判殺到で拉致問題担当補佐官として復活した経緯からも保守系の人気ぶりが分かる経歴です。

2007年(平成19年)7月に第21回参議院議員通常選挙へ自由民主党から比例区で立候補し、385,909票を獲得して党内得票数第3位で初当選した。同年8月27日に発足した第1次安倍改造内閣で留任、同年9月7日に拉致問題対策本部事務局長職を離任した。同年9月26日に発足した福田内閣でも内閣総理大臣補佐官(北朝鮮による拉致問題担当)に再任。11月15日、町村派に入会。
2008年(平成20年)、福田康夫改造内閣にて、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画担当)として初入閣を果たした。さらに、福田康夫改造内閣では、特命事項として拉致問題担当と公文書管理担当が発令され、国務大臣として同時に兼任した。しかしおよそ1ヶ月後の内閣総辞職に伴い内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画担当)および拉致問題担当、公文書管理担当を退任。
同年9月24日に発足した麻生内閣では中山の入閣は見送られ、拉致問題担当の特命事項は内閣官房長官の河村建夫が兼任することになった。拉致問題担当の国務大臣に中山を任命しなかったことに対して総理大臣官邸に批判が殺到したため[7]、中山は内閣総理大臣補佐官(北朝鮮による拉致問題担当)に再任。
2010年(平成22年)6月18日、夫・成彬が同年7月の第22回参議院議員通常選挙にたちあがれ日本から出馬することが確実になったことを受け、「夫を支援するため」として、自民党に離党届を提出し[8][9][10]、6月21日、夫と共にたちあがれ日本へ入党した[11
2015年(平成27年)10月1日に次世代の党代表に就任[12]。12月21日、党名を「日本のこころを大切にする党」と改称。2017年(平成29年)2月7日、日本のこころに党名を変更した[13]。
2016年(平成28年)9月、党代表のまま党政策調査会長を兼任[14]。
2017年(平成29年)9月、無投票で党代表に再選[15]。同月24日、夫と共に希望の党へ参加する意向を示し[16]、翌25日、日本のこころに離党届を提出し受理された[17]。同月27日、小池百合子東京都知事を代表とする新党「希望の党」設立会見に、結党メンバーとなる国会議員14人の一人として参加した。

中山恭子氏の希望の党参加でわかるように、もともと小池氏の都知事立候補は中山氏を教祖のように信奉する保守系運動家が中心になって動き出し超保守にとどまらず幅広く保守浮動票に広がって成功したものです。
小池氏の都政への挑戦は、もともとメデイアの支持を受けた左翼系鳥越俊太郎氏に対する対抗馬として始まったもので、左翼系の支持を標的にして拡大したものです。
都知事選で対する鳥越俊太郎氏はもともと民主党系のメデイアの寵児としての著名人で、彼に関するウィキペデイアの記事は以下の通りです。

2014年8月15日にNHKで放映された「戦後69年 いま“ニッポンの平和”を考える」で、集団的自衛権について政治家や有識者と公開討論している。その番組内で、現在皆さんの安全が脅かされているという前提でお話されておりますが、そんなの虚構ですと述べ、北朝鮮ミサイル問題や尖閣問題がありますとの意見に対して、「どこの国が日本に攻めてくるんですか?必要ないでしょ」として、集団的自衛権や米軍は不要であるとの考えを示している。
日本未来の党が解党した後は民進党を支援しており、2016年には、4月の衆議院北海道第5区補欠選挙で敗れた池田真紀の応援演説や、7月の参議院選挙長野県選挙区で当選した杉尾秀哉の応援演説を行うとともに、民進党のポスターにも登場している[25][26]。
2005年4月5日、呼びかけ人の一人として『マスコミ九条の会』結成に参加[3]。
2007年2月、民主党が東京都知事候補としての擁立を打診するも、自身が依然として癌療養中であるため、「(任期の)4年間に責任を持てない」として打診を断る[4]
2016年7月12日、東京都知事選挙への立候補を表明する
都知事選立候補者に関するウィキぺデアの記事中鳥越俊太郎氏関する記事からです。
鳥越俊太郎
(とりごえ しゅんたろう) 76 無所属
(民進党・日本共産党・社会民主党・生活の党と山本太郎となかまたち・新社会党・緑の党グリーンズジャパン・東京・生活者ネットワーク 推薦)

都知事選での小池フィーバーの基礎票・主役は、反メデイア+保守系の中でも右寄り勢力だったのに、民進党が丸ごと合流した場合小池氏の都知事選立候補時から協力してきた右翼系グループの意見と相容れないことが明白です。
ここで小池氏が目先の候補者と資金と運動員ほしさに民進党の全面受け入れを決めた時点で、都知事選立候補に際して中山氏らに協力を求めたときの政治理念の変質を前提にしていた・・中山氏ら(結党メンバー14人自体が民進党離党したメンバーがすでに多数を占めるようになっています)が選挙後は圧倒的少数派に転落し党内孤立・居心地が悪ければ離党していけば良い・切り捨て方針を明白にしたことになります。
都知事選開始当時はっきり小池氏を支持していたネット発信者の意見が、都議選の頃から「用済み扱い」されている雰囲気に微妙に変わってきていました。
都議選後自信を持った小池氏が国政に出るには「大量立候補者と資金・運動員が必須」という現実が待っていました。
そこで表向き当初から支持さになっていた有名人である中山氏ら既存政治家の比例上位優遇を示しながらも、彼ら数人程度選挙後党に残っても圧倒的多数の民進党系の主張に黙るしかない・離党すれば比例候補だから代議士の地位を失う・次順位民進党系候補に継承されるだけという結果が待っています。
小池氏はメデイア界で有名なだけで政治家同士では個人的に信奉する人が皆無・あまりにも露骨に切り捨てすぎる評価が言われていますが、あまりにも短期間にどんどん切り捨てていくやり方が露骨すぎました。
小池氏は民進党内極左グループ「排除の論理」発表以前にその日まで一生懸命に自分を盛り上げてくれていた仲間を切り捨てる方針を先に示していたのです。

総選挙と民度2(民進党支持率低下1)

いわゆる森友・加計問題に限らずこの数年の民進党の国会活動は、陸自レポート問題その他揚げ足取り的追求ばかりで、その先、政策にどう結びつけようとしているのか見えない・・国民は飽き飽きしている状態が、支持率低下にあらわれているとみるべきでしょう。
国会審議の中心テーマとしてこういう揚げ足取り国会戦術を選択をすること自体に党代表/執行部の責任が一定程度あるとしても、民進党自体の政策立案・政治能力・姿勢が問われているのですから、「代表・看板さえすげ変えればいい」という安直な姿勢では党再生は無理でしょう。
この点は希望の党への全面合流という名目での看板書き替え戦略が選挙で通用せずに失敗に終わったこととも共通しています。
希望への合流といえば希望の党に吸収合併されるかのような響きですが、希望の党には現役議員がいるとしてもそのほとんど全部が民進党から離党し早めに移籍した議員が中心ですし、立ち上げて数日しかないのですからまともな事務局体制もないので事務部門を含めて実質的には民進党が希望の党を飲み込んでしまうものの「代表だけを小池氏に据え置く」だけのカラクリ・・看板付け替えの一種です。
解散前民進党支持率に戻しますと、前原代表執行部成立後幹事長に内定していた「日本死ね」で知られる山尾志桜里氏の不倫騒動は「山尾志桜里」で出るウィキペデイアの記事によれば以下の通りです。

「2017年民進党代表選挙にて代表に就任した前原の下、一時は幹事長に内定し本人も受諾したが、起用は取りやめとなった[15]。その一因として、党内からの経験不足との批判に加えて、2017年9月7日発売の週刊文春が弁護士の倉持麟太郎との交際疑惑を報道したことが影響したとされる[16][15][17][18][16][19]。幹事長には大島敦が就任し執行部入りは見送られた[20]。また、山尾は疑惑を否定した[21]。過去に自民党の宮崎謙介が不倫騒動を引き起こした際にテレビ番組で批判していたことも顰蹙を買う要因に繋がった(宮崎は後に議員辞職)。
一方で、「党や支援者に迷惑をかけることになると判断した」等と述べて同日、離党届を大島に提出した[22]。民進党はこの離党届けを翌8日に受理した[23]。」

船出したばかりの民進党前原執行部にとって山尾氏の離党騒動のダメージは計り知れないものがありました。
これを受けた後の世論調査は以下の通りです。
http://www.sankei.com/politics/news/170918/plt1709180014-n2.html

2017.9.18 11:36更新
産経・FNN合同世論調査】
自民党を除く政党支持率は、民進党が6・4%で0・5%下落した。以下、共産党4・5%、公明党3・6%、日本維新の会2・6%と続いた

この状態で9月中旬頃には、安倍総理による臨時国会冒頭・28日解散が急浮上して民進党は大慌てになりました。
前回(平成26年11月解散で出てくるウィキペデイアによると「民主党は元職や元参議院議員を当選させ73議席を獲得し、党勢を若干回復させた。」とあります)民進党当選者が73名でその後日本維新との合併を経て・・維新系の一部は大阪維新の会に移るなどしていたので、衆議院定数465名中民進党議員は今年始め頃には約80名あまりの記憶ではっきりしませんが、(泥舟から逃げて予定されている小池新党結成創立に関わろうとする離党者が続々出ていたので、どの時点を抑えるかで数字も変わりますが)とすれば、わずか6〜7%の支持では、大幅減が避けられない情勢でした。
慌てたのは来年の総選挙を前提に新党立候補者を決めてから新党を立ち上げて内部組織や全国組織の準備して国政に打って出ようとしていた小池氏も同じです。
10月27日日経新聞長朝刊4p「小池劇場の議員心理」には以下の通り記載されています。
記事では曖昧に支持率1桁台(2〜3%も9%台もある幅の広い書き方です)と書いていますが、その前数ヶ月ほど繰り返された世論調査では上記の通り7%以下で沈んでいたので、これを精一杯膨らませた新聞の書き方です。

「・・泥舟から降りて救命ボートに乗りたいーこれに民進党議員が飛びつかない選択肢はなかった。報道各社の世論調査で民進党の支持率が1桁台。惨敗した7月都議選に続き『このままではジリ貧』との悲鳴が上がったが・・・小池氏の登場で期待に変わった」「選挙を前に離党した前議員が続出。・・相次ぐ離党者を受けて民進党前原誠司代表は9月28日の両院議員総会で希望への合流方針を1任を取り付ける形で決定。1時間足らずの会合で理念や政策はほとんど議論されず前原氏が『全員が立候補できるよう全力を尽くす』と述べると拍手で了承した」
「だがほどなくしてその方針が小池氏によってほごにされる。・・リベラル系らを念頭に『排除する』と明言」・・・「不思議にも議員からの反発の声は限定的だった」・・「自分は排除されるのだろうか」と「多くの議員はみづからの処遇を心配するのが精一杯」・・・『立憲民主を立ち上げた枝野氏でさえ相当悩んでいた』と枝野氏に近い議員もこう明かす」

いわゆる満場一致採択でしたが、理念の違う保守系の支持で成立している小池新党への合流に対する疑念は一切出なかった様子です。
わずか7%前後の支持率では465人の衆議院定数のうち民進党系議員が80人前後も占めていること自体が国民意思を反映していません。
「安保法制反対・・大多数の国民意思を無視するな!」と主張する張本人・運動体の主力政党が国民の6〜7%しか支持されていないのですから、いわばギャグみたいな主張です。
しかも小選挙区では理論的には最多得票でない限り当選できないのですから、7〜8%の支持率では壊滅的でしょうから、十数人あるかないかの党幹部等の大物(前回選挙では菅元総理や海江田党代表が小選挙区で落選しているくらいです)以外にはせいぜい比例代表でしか生き残れない見込みでした。
比例代表が仮に支持率をそのまま反映してもタカが知れています。
ウィキペデイアによれば、26年の第47回選挙での民主党の当選者数と内容は以下の通りです。

小選挙区
g      得票数       得票率      議席   議席率    合計議席  議席率
民主党  11,916,849.274        22.51%        38     12.88%
比例区
民主党  9,775,991        18.33%            35     19.44%          73    15.37%

上記の通り個人要因を除いた比例・・党の支持率約18%の得票率で議席35ですから、6〜7%の支持で選挙に臨めば比例当選者が3分の1前後になります。
上記日経新聞の記事では民進党の看板を希望の党に付け替えることによって一人でも多くの議員が生き残る方法を模索していた状態が炙りだされています。
あとで「排除」されそうになってから立憲民主党を立ち上げたグループも、小池氏に「排除」さえされなければ合流するつもりであったことが上記記事の経過で明らかです。
今になって合流を提案した前原代表を難詰するのは(全員が「渡りに船」とばかり諸手を挙げて賛成していたのに)自分勝手です。
前原氏が小池氏の真意を読み違えた(騙された)というより民進党全員が、臨時に雇われマダム・小池氏を看板にして選挙時だけ支持率を上げてから「希望の党を乗っ取ればいい」と安易に考えて、その場合世論がどう反応するかを読み違えた点では同罪です。
立憲民主を結成したグループは「節を曲げなかった人の集まり」というイメージ戦略に成功していますが、実態は希望の党への入党を拒否されそうになって慌てて立ち上げたと見るのが実態でしょう。
立憲民主党のことは別に論じるとして「民進党が希望の党へ合流」という名目での看板付け替え戦略の左翼系のメリットは以下の通り推測されました。
左翼系政党全体で見れば、人気のある小池新党に合流して同党の公認とすれば、小池氏支持層である保守系あるいは浮動票が大きく取り込めるので当選率が上がるメリットがありました。
大量落選の予想に怯えていた(上記引用の通り前回選挙では18%の支持でも元総理や現職の党代表まで落選しました)大多数の民進党議員は、・・小池新党の政治理念の吟味をあえてせずに・うやむやにして恥も外聞もなく満場一致でこれを歓迎した背景でした。

総選挙と民度1

都民ファーストとは言うものの、希望の党の名称や「しがらみをリセットする」という内実なしのキャッチフレーズと同じで具体的に何をどうするのか見えない・トランプ氏のフレーズをあんちょこに借用している印象がぬぐえません。
東京都民の稼いだ富が地方に投資されて使われ、都民が汗を流して稼いだ富が地方に収奪されているのかと言えば、逆でしょう。
これ以上東京都が富を独り占めすべきか?富の東京集中の方向性こそを、このままで良いのか論じなければならない段階です。
地方収奪・地方の工場生産による企業利益や地方支店売り上げ等が本社所在地の大都会の収益になってしまう・・富が集中する社会システム全体こそ長期的視点で議論されるべきです。
2003年10/02に「地方自治と人材3(憲法38)」前後のシリーズで地方疲弊の仕組みの一つとして、地方の親が大金を投じて次世代を養育してようやく一人前にすると都会に就職して人材を奪われてしまう・・親が死ねば相続で地方のお金を都会に持って行ってしまう・・肥料をやらないで農地から食料を収穫し、樹木から果樹をとっている一方的関係に似ていて(肥料を補充しないと)土地が痩せるのと同じで地方が疲弊するに決まっていると書いたことがあります。
この肥料に相当するのが地方交付税その他繰り替えし行われている地方振興策です。
いくら振興策を繰り返しても効果がないという尤もらし批判が多いですが、果樹園や農地から毎年収穫する以上は、収穫に見合った肥料や種まきも土地を耕すのも毎年(際限なく)必要なのは当然です。
地方工場出荷・販売代金を本社経理部で管理する以上は、現地工場経費・資材購入費も本社から送金・払うのは当たり前でしょう。
小池氏の都民ファーストのフレーズは・・地方の営みの成果が大都会に集中するのを今以上に地方から富を都に吸収して良いかの大きなテーマを検討した上のフレーズとは到底思えません。
こうした実質変革の内容を伴わない流行語に軽く便乗する「都民ファースト」ではなく、日本列島全体の首都・王者として列島全体の指導者として振舞ってもらわないと困るのですから、「都民ファースト」の標語は心無い都民のエゴに訴えたかも知れれませんが、我が国民族一体感の実態に反したもの・・イメージ誤流用の誤った戦略と受け止めた人が多いでしょう。
マスメデイアは、「安倍政権の支持率を下げられれば大喜び」という立ち位置なのか?この党こそ「希望がある」とばかりにしきりに小池氏の立ち上げた「希望の党」を持ち上げていましたが、10月22日投開票の衆議院選挙の結果を見ると一般庶民はメデイアの宣伝に乗らずに冷静に見ていたようです。
護憲・革新という矛盾概念を標榜する超保守勢力を囃し立てるメデイア界では、総選挙で小池氏が国政に打って出れば、保守系として知事戦を戦った小池新党が都議選並みに保守票を何割か食うに違いない・・保守分裂選挙で自民党が大負けするとの読みでした。
安倍政権が倒れる前提で大喜びのシュミレーション・小池氏を軸にしたいく通りかの連立政権の組み合わせ議論がメデイア会では一色になっていました。
そのためには小池氏地盤の東京都内だけではなく、自民党議員大幅減にならないので希望の党が全国的に立候補させることが必要という議論が進んでいました。
・・ただ小池新党が各地の自民票を食うために全国的に候補者を立てるには資金力がないし組織もない・・(二百人以上の立候補になると供託金だけでも巨大です)・・・これがネックでした。
安倍氏による想定外の?奇襲攻撃的解散のために慌てて立ち上げた急ごしらえ政党のために全国で200名もの候補者を発掘する作業が間に合わない・候補者すらいないばかりか手足になるべき地方組織・・足腰も資金もありません。
そこでまず資金供給源として編み出されたのが民進党公認予定の候補をそっくり受け入れてそのまま希望の党の公認と切り替える・連合の運動員(組合員)もそのまま引き継げる「見え透いた』奇策でした。
この合流決定は連合も交えた三者協議だったといわれるのは、選挙に必須の手足となるべき運動員確保のためでもあったでしょう。
一般に政党で公認すると選挙資金・公認候補者に供託金程度・数百万円以上出すのが普通らしいですが、「希望の党」の場合逆に、公認条件として巨額資金を提出させる報道が出ていました。
その手順として、希望の党へ公認申請/民進党員脱退直前に、民進党は民進党各支部長(原則として公認予定者)宛に一人当たり2000万円配布したという報道がありました。
その資金を希望の党公認御礼として希望の党に拠出する手順です。
この種情報が漏れ始めて民進党の資金を希望の党へ事実上移し替える脱法行為?の裏工作が、合流発表の舞台裏で行われていたイメージが浸透し始めました。
全て民進党に頼るのでは、民進党党首の顔を選挙の時だけ臨時に「雇われマダム・小池氏」にしたのとどのように違うのか?と国民多くが疑問を持ったのがこの奇策の弱点でした。
マスメデイアが表面上「小池よいしょ」的記事を洪水のように流している裏で、こういう裏情報も客観情報として並行して報道されていた事実を見ると、メデイアが一方に偏っていたという批判が当たらないのかもしれません。
あるいは大見出し等では小池人気を煽っているものの、内部でこれを不満な中堅がいて小さな情報としてそれとなくパラパラと流す反骨人士がいただけかもしれません。
民度レベル・表題等のイメージに左右される層が厚ければ、大手メデイアの動向・芸能人をスター化するようにメデイアが作り上げる虚像が人気投票・・世論を決めて行きますが、民度が上がってくると虚像だけでは動かない・・内容をじっくり読む・・ネットの方が詳しいのでこれを読み比べる人が多くなると実際の行動を見て自分で総合判断する人が増えてきます。
メデイアの評価(イメージづくり)を知りたいのではなく、国民はデータさえ提供してくれれば自分でどう言う人か政党かを判断する時代です。
民進党の両院議員総会では前原代表は「全員合流できるように努力します」表明したということで(民進党立候補予定者全員合流を期待して)満場一致で合流方針支持したのは(その他の党員はそのまま民進党に残して)まず希望の党へ合流する意味は、希望の党の公認候補になりたい「だけ」と言うやり方です。
(選挙となればそのノウハウ・問い合わせに対する指導などのバックアップが必要ですが、希望の党は9月25日に立党宣言をしたばかりで党組織・代表選定過程やとか幹事長やその他各種決定手続きや機関そのものすら決まっていない・「排除論理」もどういう機関決定を経たのかすら不明・小池氏の思いつきでコロコロ変わって行くイメージです)そもそもバックアップするほどの能力のある党組織や事務局というものがありません。
民進党の党組織がそのまま残って立候補者だけ移籍するということは、喧嘩別れの離党ではなく満場一致の全員合流目標ですから、事実上彼ら立候補者のために後方部隊として動く意味があるのでしょう。
民進党が希望の党に資金協力や運動員で協力するメリットは、民進党は党勢の激しい落ち込みを理由に蓮舫代表が辞任したばかりで党勢はジリ貧の一途でしたから、このまま選挙戦突入では大規模落選?解党的結果になるリスクが予想されていました・・・。
直前民進党の支持率はhttps://matome.naver.jp/odai/2149310737439254701からの引用です。

支持層の高齢化が進んでいるのが民進党だ。今年12月の調査で、民進党支持層の60歳以上の占める割合は、62・0%に達した。共産党の60・5%も上回っている。旧民主党政権時代は50%前後で自民党と大差なかったが、徐々に増加。
出典【政治デスクノート】自民党に異変 “シルバー政党”化が進む民進党を尻目に若者の支持を獲得(3/3ページ) – 産経ニュース
政党支持率は、民進党が6・6%(同1・8ポイント減)で、昨年3月の結党後、最低となった。
出典世論調査で民進党の支持率「大きく下落」に皮肉続出「森友頑張ったのに」「審議拒否と騒いだのに」 | BuzzNews.JP

このままで選挙になると現職続々落選?大変だという恐怖感から、蓮舫氏が代表を辞任せざるを得なくなり、17年9月1日代表選が実施されたのですが、前原代表選出後の支持率は以下の通りです。

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%
毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。
1日の民進党代表選で選ばれた前原誠司代表に「期待しない」との回答は39%で、「期待する」の31%を上回り、「関心がない」も24%あった。
上記の通り同党の支持率は5%と低迷したままで、代表交代による浮揚効果は今のところ出ていない。」

アメリカンファーストと都民ファーストの違い

以上見てきたように内政重視・・正攻法の政治をするには政治家に利害調整能力が必要であるほか国民の方も妥協できる能力・よほど民度が高くないと難しいことが分かります。
日本は奈良〜平安〜江戸時代を通じて外敵を求めずに内部完結政治をして国民も満足してモラルを高め独自文化を発展させてきましたが、このような真似をできる国はそれほど多くありません。
アメリカは世界最強のイギリスを退けた独立戦争直後から今の中国のようにアメリカの強引な行動が目立つようになり(うまく行かないとモンロー宣言でアメリカ大陸に引きこもる)事実上どこの国も文句言えない状態が続きました。
第二次世界戦後西側諸国では名実ともに一強になり、さらにソ連崩壊で世界の一強になりましたので第一次イラク戦争を初め国外でやりたい放題でしたが、IT~AI技術の発展に象徴されるように大規模設備不要の少数者の威力・・ネット発信力を無視できなくなってきました。
日本で言えば、マスメデイアの情報独占が崩れ個々人のネット発信力が強まりましたが、これが物理的側面に出たのがテロの威力増大です。
サイバーテロが象徴的ですが、正規軍の強大さだけでは対抗できなくなりました。
言論世界でもマスメデイアさえ押さえれば、好きなように世論誘導できる社会ではなく個々人のツイッターその他ネット発信威力を無視できません。
世界政治が軍事力や資金力だけを背景に自己主張を押し通せるような単純なものではなくなってきました。
国際政治も内政並みの複雑さになると、内政経験の蓄積がないまま・複雑な利害調整不要な単純社会であるからこそ図体が大きくなれているという面もあります・・超大国になったアメリカ〜ロシア〜中国など領域の大きさに頼る大国政治家には手に負えなくなってきました。
地形を見ても複雑な地形では大きな国になりにくいし、大平原地帯等では利害が単純ですから広大な領域支配が可能です。
中国が数千年単位の大国経営の経験があると思う人が多いでしょうが、日本のように自然に出来上がった集落が近隣集落と意見のすり合わせ・利害調整を経て大きくなったのではありません。
中国大陸の政治支配の内実は点々とした飛び地に出先砦を作り上げた飛び地経営・都市国家連合形態ですから、砦と砦の間の広大な空間に住む原住民の攻撃を防ぐための城壁に守られた都市国家・点と点を支配して来たにすぎません。
これが現在の「都市戸籍」と「農村戸籍」二分の源流と見れば歴史を無視できないことが分かるでしょう。
日本の城下町は地元住民の出入りが自由な仕組みですが、中国の場合には都市そのものが都市外の地元住民を敵視して大規模な城壁で囲まれているし、原住民の襲撃を防ぐために鶏鳴狗盗の故事で知られるように夜間は厳重に閉じられて兵が守るのが原則です。
近代〜現在においても、華僑が人口の大多数を占めるシンガポールでうまくいっているし香港、深セン特区や上海租界などの「点」としての都市を治める政治をしている限りうまくいく社会です。
アメリカの自治体のあり方を紹介している途中ですが、アメリカの場合も広大な空間の広がりの周囲に旗を立てて支配空間を決めただけで、内容がスカスカの状態・・飛び地支配で始まっています。
広域テーマが増えてきて共同して対処するための自治体間協議が全くまとまらない状態についても、Oct 15, 2017「アメリカの自治体4(自然発生的集落の未発達→内政経験未熟1)」に紹介したばかりです。
アメリカの政党・共和党は経済を含めた外交とセットの戦争のためにある政党と言われていますし、民主党・リベラル系は庶民の味方と称してバラマキだけで利害調整型政治はできません。
日本の民主党政権も韓国の文在寅政権も同様で、単純に「無駄を省けばバラマキ資金が出てくる(日本民主党政権)」「仕分け」など韓国文在寅大統領も内部留保を吐き出せとか、公務員を80万人?(正確な数字は忘れました)の大量雇用するとか、最低賃金引き上げなど強権的決定で押し切ろうとするやり方が基本であって、利害調整で何とかしようとする姿勢がありません。
以下は、https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/page-3.htmlから「文在寅大統領」のキーワードで拾った検索データの一部です。

韓国、「最低賃金」大幅引上で零細企業に財政援助の「間違い」
韓国、「原発廃止表明」原理主義と独善で唖然「電力対策」欠く
「社会的大妥協」という強制
『ハンギョレ』(6月11日付)は、「文在寅大統領、働き口解決法として『社会的大妥協』を提示」と題して次のように伝えた。
文氏の選挙公約では、次のような点が上がっていた。
(1)公的機関で81万人、民間で50万人の雇用創出(潜在失業者を除く実数で135万人であるから、これを吸収する人数)
(2)最低賃金を時給1万ウォンに引き上げる(労組の要求通り。現在は約7000ウォンであるから20年までに実現するためには年率15%の引き上げが必要)
(3)4大財閥を中心とする財閥改革(労組の経営への参加)などを掲げた。一言で言えば、韓国経済を成長させ、その果実で分配を改善するのではなく、現在のパイの中で分配を変えるということであろう。」

韓国新大統領の政権運営を見ると平成10年代始めの日本の民主党政権の運営と似ているのに驚くばかりです。
「草の根の意見を大事にして・・」というのが決まり文句ですし、自分たちだけが民意の代表という決めつけをしていますが、実際に政権を取ると国民意見吸い上げ・利害調整能力がないので、八ッ場ダム工事中止決定や強権的にできることばかりに精出していた印象でした。
権力的決定はどうにもならない・権力の及ばない利害調整の必要な沖縄基地移転問題ではアメリカ相手に為すすべもなく大恥を書いたのは、強権決定に頼っている民主党政権の本質的矛盾によるものでした。
文在寅が、就任直後サード配備工事中止を命じたものの、対米関係上無理があって結果的に配備せざるを得なくなったのは鳩山政権の基地移転問題と同じです。
政治家・政党が「〇〇をやる」という以上は、何事も反対意見があることを前提に利害調整を自分ならばうまくやってみせるという意味であって、「アメリカに反対されたのでできません」というのでは、当初からできる見込みもない公約・・虚偽公約になります。
上記原発ゼロが問題視されているのはゼロにした場合に穴埋めの電力をどうするかの総合政策がないまままの発表だからです・中国の大躍進政策のように、決めた以上は権威に関わるので電気不足で国民が困ってもやるというならば別ですが・・。
同様のことは、蓮舫氏の30年までの原発ゼロ政策発表が無責任として民進党内で総スカン受けて引っ込めざるを得なくなったのと同じことを文在寅が繰り返しています。
こういう稚拙な政治家が国内批判もなく5年間もトップに君臨する・・人材不足・引いては民度の低さが韓国の不幸です。
アメリカの自治体紹介を年内から来年初ころに再開したいと思っていますが、アメリカは気がつくと国内政治・利害調整をうまくやる能力がない・・自国内で利害調整能力のない民族が国際政治の利害調整者を務めるのは無理があると気がついた状態です。
国際政治のヘゲモニー争いに執心して国富をつぎ込むのは国民福利に関係のないことだと気がついたのが、トランプ氏の唱える「アメリカンファースト」との意気込みとすれば時宜を得ていることになります。
アメリカも今後はロシア的外延拡張政策より自分達のために・・「内部の充実が重要・・先ずは利害調整できる程度まで民度を引き上げることが先決」という意味の方針転換とすれば歴史必然であり、正しい方向性というべきです。
ちなみに昨春以来の小池都知事の「都民ファースト」のフレーズは、都民無視の対外支出が都政で続けられてきたのならばこれを改めるのは当たっていますが、小池知事は過去の何が都民ファーストでなかったのかについて何も言いません。
小池都知事は都政で前任者がしていたことの何が都民ファーストでなかったのか明らかにしてこれをやめて今後何にファーストの焦点をあてるかの説明がないまま、1年以上過ぎてしまいました。

未成熟社会4(ロシア原油下落)

未成熟社会4(ロシア原油下落)

今後中国の高度成長が低下し賄賂を出せなくなる・・いわゆる都市戸籍と農民戸籍の差別〜一人っ子政策に反しているために生じた無戸籍者など日常的に人間扱いされていなかった層・数億人?にとって、医療その他生活の最低サービスすら賄賂を出せないと受けられなくなるなど大変な状態になると思われます。
結局は、公的サービス水準をどこに置くかによってくるでしょう。
10月19日にロシアの平均年齢のグラフで見たように恐怖政治をやめて国民生活の自由化を進めると却って混乱する社会であることから、エリツインからプーチン(第一次大統領就任・2000年〜2008年)の一強独裁的強面(コワモテ)政治に戻り、治安悪化を止める方向に舵を切って成功しました。
プーチン氏は大統領職連続任期2回限定の憲法を守るため、2008年任期満了とともに部下のメドベージェフ氏に次期大統領を譲り、(その間自分は首相になって事実上実務の全権を握って)同氏の任期満了を待って再び大統領に返り咲き12年から第二次大統領就任〜現在に至っています。
プーチン氏の強権的政策開始と同時頃に運が良くちょうど原油価格の上昇トレンドが始まりと重なったことが彼の強運で長期政権を維持出来ている基礎原因になります。
ちなみにエリツイン氏は、ソ連崩壊後の大混乱を乗り切る最も大変な矢先にアジア通貨危機)98〜99年)の大波乱と原油その他資源安をまともにかぶったことが不運でした。
19日に紹介したソ連平均寿命の最低期は1994〜5年ですが、下記原油相場グラフを見れば底値の頃が、エリ ツインの任期とほぼ重なっています。
本日のウィキペデアによれば以下の通りです。

「ボリス・ニコラエヴィチ・エリツィンロシア語: Борис Николаевич Ельцин、1931年2月1日 2007年4月23日)は、ロシア連邦政治家で、同国の初代大統領(在任: 1991年 1999年)である。ロシア連邦閣僚会議議長(首相)も歴任した。大統領在任中にソ連8月クーデターに対する抵抗を呼びかけロシア連邦の民主化を主導した評価と共に、急速な市場経済移行に伴う市民生活の困窮、ロシアの国際的地位の低下、チェチェン紛争の泥沼化、強権・縁故政治への批判もあった。」

この15年以上のロシアの復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、下記グラフの通り、2013〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのがプーチンには痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせた強面(コワモテ政治)で成功したのであって、プーチンは・複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面が始まっています。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすために?無用なシリア介入やクリミア併合・ロシア伝統の外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合が見え見えです。
原油価格の推移はhttp://ecodb.net/pcp/imf_group_oil.htmlによれば以下の通りです。

この15年以上のロシア経済の復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、上記グラフの通り、13〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのが痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせて登場したプーチン氏が強面で成功したのであって、プーチンは複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面です。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすためにロシア伝統の無用なシリア介入やクリミア併合・外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合・内政困難度合いが見えます。
http://toyokeizai.net/articles/-/180689によれば原油価格とロシア経済との関係は以下の通りです。
ケネス・ロゴフ : ハーバード大学教授
2017年07月27日

「ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。」

こんな苦しい時になぜウクライナ紛争を起こし、クリミヤ併合するのか(純粋経済的に見ても軍事行動は巨額経済負担です)というと、この紛争で愛国・民族主義を煽て目を外に向けるだけではなく、クリミア併合に対する欧米による不当な経済制裁という問題設定をして苦しいのは「欧米の不当制裁」という悲憤慷慨を煽る仕組みに利用しているのです。
・・北朝鮮も不当な経済制裁を煽っていますので、経済制裁ではどうなるものでもありません。

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