国内格差と国際間格差1

米国では外出制限解除要求デモ等がニュースになっていましたが、具体的に見ておきます。
https://www.cnn.co.jp/usa/35154127.html

新型コロナ対策規制、全米50州で部分解除 リスク再発の恐れも
2020.05.21 Thu posted at 12:18 JST

5月19日〜5月26日1週間の日米等主要国の感染数・死亡者増加を厚労省公式発表で比較しましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00086.html

4.国外の発生状況について
・海外の国・地域の政府公式発表に基づくと、5月19日12:00現在、日本国外で新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり。

国・地域 感染者 死亡者
中国 82,960 4,634
日本 16,365 763
米国 1,506,840 90,309
カナダ 78,061 5,842
フランス 142,903 28,239
ドイツ 176,551 8,003
インド 96,169 3,029DD
イタリア 225,886 32,007
英国 246,406 34,796
ロシア 290,258 2,718
スウェーデン 30,377 3,698
スペイン 231,606 27,709
イラン 122,492 7,057

4.国外の発生状況について
・海外の国・地域の政府公式発表に基づくと、5月26日12:00現在、日本国外で新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり

国・地域 感染者 死亡者
中国 82,992 4,634
日本 16,623 846
米国 1,662,250 98,218
カナダ 85,092 6,453
フランス 145,279 28,432
ドイツ 180,600 8,309
インド 138,845 4,021
イタリア 230,158 32,877
英国 261,184 36,914
ロシア 352,930 3,627
スウェーデン 33,843 4,029
スペイン 235,400 26,834
イラン 137,724 7,451

上記表から1週間の変化計算すると以下の通りです。
国別  種別     5月26日   5月19日   差
日本  死 者      846       763              = 83
日本  感染者     16,623      16,365       = 258

米国  死者      98,218      90,309   = 7909
米国  感染者     1,662,250    1,506,84   = 151566

英国  死者      36,914       34,796   = 2118
英国  感染者     261,184      246,406   = 14778

ドイツ 死者       8,309      8,003        = 306
ドイツ 感染者     180,600         176,551   = 4049

この1週間で比較すると日本の死者82名に対して米国約7900人、英国2100人ドイツ300人と桁違いの数字が出ているのに、経済失速・失業者増大に耐えかねて事業再開に走らざるを得なくなっていることがわかります。
インドもこの1週間で4,021ー3,029=約千人死亡ですが、10日以上前から外出制限緩和している様子です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200518/k10012435161000.html

外出制限 緩和したけど… 具体的指針なく混乱も インド コロナ
2020年5月18日 19時05分
・・・長引く外出制限で経済に深刻な影響が出ていることから、感染が抑えられている地域では各州などの判断で制限を緩和するとしています。
首都ニューデリーの中心部では多くの人が車やバイクで通勤していたほか、市民の足として親しまれる三輪タクシーの「リキシャ」も営業を再開していました。

今朝の日経新聞11pに「ドバイ、貿易観光に打撃」の見出しの中にUAE(アラブ首長国連邦)では

「経済を支える外国人労働者は仕事だけでなく航空便の停止で行き場を失っている。UAEでは20万人以上のインド人が帰国希望者に登録している」

との記事です。
世界中から大量の出稼ぎ労働者が帰ってくるとインドに限らず出稼ぎ送出国は大変です。

新型コロナの実害比較(序盤採点6・ゴードン意見1)

https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/

ソフトな緊急事態宣言を聞き入れた日本人の不思議/アンドルー・ゴードン 2020/05/16 08:00
(アンドルー・ゴードン:歴史学者、ハーバード大学歴史学部教授)
この報告書ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の発生とその対応策について以下3つの視点から考察する。
(1)リーダーシップの問題(リーダーシップはCOVID-19への対応策を形作り、その効果にも影響する)
(2)(社会、政治、経済の) 構造的な要因
(3)文化的・歴史的な要因
アクセスできるデータが国によってどれほど異っていたとしても、米国・イギリス・イタリア・スペイン・フランスなどの感染状況は、日本・韓国・台湾そして中国などの状況と比べてより深刻と見て間違いないだろう。
現時点で、米国や主な欧州諸国のCOVID-19による死者数は人口100万人あたり200名~500名に達している。欧州の主要国の中で唯一低い死亡者数を維持しているのはドイツだ(100万人あたりの死者数は約80名)。アジア諸国(日本・韓国・中国・マレーシアなど)の死者数は100万人あたり3名~5名である。じつに2桁、100倍の開きがある。この違いをどのように説明できるだろう。

このような基本理解(細かい数字は国によって違いがあるので人口比死亡率や超過死亡数で大まかに見るべきという基本姿勢・ただし日本の場合まだ超過死亡統計が出ていません)も従来書いてきた私見同様です。
引用を続けます。

ある者は生理学的な要因にその答えを求める。たとえば、欧米で蔓延しているCOVID-19はアジアのものと「型が違う」という説だ。またある者は結核の予防接種(BCGワクチン)が影響している可能性を指摘する。私自身はこれらの仮説の評価を行うことはできない。なので以降の分析ではこのような可能性は捨象して話を進める。

上記意見も私見同様で、今のところ科学的意見は、どれも根拠薄弱で不明なので(個人の思いつき感想は自由ですが)専門家の間で確定説が出るまでは正式な議論対象にすべきでないという点も同じです。

(1)リーダーシップの問題
・・・仮に「最悪のリーダーシップ」を競う五輪競技があったなら、米国、イギリス、イタリアがそれぞれ金、銀、銅メダルを獲得するだろう。日本や他のアジア諸国は(中国を除き)競技の参加資格さえ得られないはずだ。
・・・対照的に日本政府は、首相をはじめ、主要な閣僚、与党、野党、そして都道府県知事と、それぞれ比較的早い時点からCOVID-19の危険性を認識していた。たしかに一斉休校の要請は唐突だったのかもしれない。
しかし、その決断も、またその数日前から行われていた大規模な集会に対する自粛要請も、重要かつ賢明な判断だったといえる。
初期の段階で検査をクラスターに集中させたことも理解できる。
政府は専門家からの意見に注意を払った。このことは一般の国民に対し一貫して明確なメッセージを伝える効果を持ったと考えられる。これは他のアジア諸国やアンゲラ・メルケル首相の率いるドイツにも共通していた点だと思われる。

上記は新型コロナの特質が十分解明されていない段階では、無責任な決断をするのではなく、台風の気象情報のごとく、時事刻々の正確な情報(少しづつコロナの特質が明らかになる専門家の意見)を国民に知らせる努力こそが最重要だったという23日に書いていた私の意見と同様です。

(2)構造的要因
・・・・「公衆衛生」についていえば、特に米国は日本・台湾・韓国などのアジア諸地域と比べて劣っているのだ。これは「公衆衛生」の概念が19世紀後半に西洋(主にドイツなど)からアジアに伝えられたという経緯を思うと、皮肉なことである。
・・米国では数十年間にわたり慢性的に、公衆衛生分野への支出が不足している。これは一部の幸運な人々に向けた高度専門医療に資金が集まっていることとは対照的だ。
医療費が高額になる恐れがあったために、米国ではすでに感染が拡大していた2月になっても多くの人々が治療を躊躇したと見られている。
・・・「雇用の不安定さ」が人々の行動に影響したという仮説も成り立つ。
雇用が不安定な人々の間では、多少体調が悪くとも、家の中に留まるより仕事に出かけようという誘因があったと考えられる。社会的・経済的な格差の広がりは今回のウイルスの拡大にも関係しているようだ。実際に米国の都市部でも、特に貧困が深刻な地域でCOVID-19が猛威を振るっている。

この意見は世界の現状にあっています。
南アジア、アフリカでは欧米や日本等に遅れて感染が始まったので今後ピークがくる様相ですが、コロナの拡大期にも関わらず貧困層はその日暮らしで蓄積がないので働きに出ないと食うにも困るので、外出禁止施策を続けきれない弱点が表面化しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200504/k10012417421000.html

インド 外出制限を段階的緩和 一部店舗で営業再開 新型コロナ2020年5月4日 17時58分
・・・・インドではここ数日、1日の新たな感染者が2000人を超えるなど、感染の拡大が抑えられていない状況ですが、外出制限によって大量の失業者が出ていることから経済活動の再開を余儀なくされた形で、今後、感染がさらに広がらないか懸念も出ています。

新型コロナによる諸外国の実害比較(序盤採点3・池田意見1)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200519-00629583-shincho-soci&p=1

日本のコロナ対策は奇妙に成功」と米外交誌、日本のメディアもようやく気づき始めて……5/19(火) 11:31配信
デイリー新潮
記事は安倍政権に嫌味
共同通信(電子版)は5月15日、「日本のコロナ対策『奇妙な成功』 低い死亡率、米外交誌が論評」との記事を配信した。冒頭部分を引用させていただく。
《米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ」と伝えた》
▼日本の新型コロナウイルス対策は、何から何まで間違っているように思える。ウイルス検査を受けた人は人口の0・185%、ソーシャル・ディスタンシングも中途半端。国民の過半数が、政府の対応に批判的だ。

▼だが日本は、感染死亡率が世界で最も低い部類だ。直接死者数は5月14日現在で687人。100万人あたりの死者数は、日本が5人、アメリカは258人、スペインは584人。防疫政策が評価されたドイツでさえ94人だ。これは日本がラッキーなだけなのか、政策の成果なのか、見極めるのは難しい。
以下中略

以上は外国の意見ですが、21日紹介した集団免疫論同様に安倍政策に対する間接的嫌味になっている点は同じようです。
引用中略後続きです。

評論家で「アゴラ研究所」所長の池田信夫氏は、5月9日に「アゴラ」に掲載した「日本人が新型コロナに感染しにくいのはなぜか」で、この記事に異議を唱えた。
《このウィングフィールド=ヘイズ記者はドイツや韓国の検査件数を調べたのかもしれないが、普通の人は検査件数なんか知らない。大事なのは何人死んだかである。彼が「先進国」として日本が見習うよう求めているイギリスのコロナ死亡率は日本の100倍なのだ》
《ところが、この記事にはそれがまったく出てこない。日本の検査体制は不十分かもしれないが、たくさん検査して3万人も死んでいるイギリスと、検査は少なくても死者が550人の日本のどっちがいいのか。答は明らかだろう》
「喩えて言えば、学校のクラスで1番成績の悪い生徒が、オール5の優等生に『もっと勉強をしろ』と説教をするようなものです。一時期、『日本も2週間後は、アメリカのニューヨークのようになる』という予測が、まことしやかに語られていました。しかし、あれから1か月以上が経ちましたが、日本国内で感染爆発は起きていません」

池田氏の現状認識は私と同じというか言い得て妙です。

同氏は続けて
「無為無策」が最高の政策
4月7日の宣言発出は理解できるが、池田氏は「その後の自粛継続や、5月4日に安倍首相が表明した宣言の延長は全く無意味でした」と厳しく批判する。

この表題だけ見ると池田氏が安倍政権の無為無策批判しているように見えますが、内容を見ると無為無策で良かったのに緊急事態宣言や延長が間違いと批判するようです。
私の素人感想では無為=無策とは限らない、状況によってはジタバタせずに「無為」が最高の決断であったことがあります。(登山者が道に迷った場合、歩き回らないのが鉄則と言われます。
これと言った合理的手段不明のときに・・信頼する部下、国民に恵まれているときにはジタバタせずに情報提供だけで警戒してくださいと通報だけに止めるのが最高の政治ではないか?
日本民族は信頼して任せれば、それぞれに工夫して解決能力を発揮する民族ではないでしょうか?
国民の能力が高くとも正確な情報がないと判断を誤るので、台風が来る場合に正確な気象情報が必要なのと同じで「台風がきますよ!」という警戒報道とほぼ同様の役割・・緊急事態宣言は「こういう状態です警戒して下さい」というアナウンスの意味です。
日本は個人個人がしっかりしてるので当時の先端見解(まだ学問的にどれが正しいか不明である以上・コロナに関するいろんな見解や刻々と変わる情報)を紹介してそれをどう解釈して行動するか・近づく台風にどのように備えるかは個々人の自宅や勤務先との通勤経路等の実情に応じて柔軟判断に委ねる・外出自粛を求める程度の政策発信が民族的能力に適合していたと思います。
もちろん以上は素人の思いつき着想です。
池田氏の意見内容を読む気がなかったのですが読んで見ると「無為が良い」という点では私と同意見のようです。
無為が良いと言っても無為=無策ではなく、必要な手は打つ必要があります。
方向性なくジタバタしない方が良いだけであって、どのような台風がどこまで近づいているかに類する国民に対する未知の敵コロナに対する日々刻々の情報発信は必要です。
緊急事態宣言は、政府が知っている情報についての緊急度の宣言であって、気象庁の暴風雨警報発令と同じ意味があり無意味ではありません。
メデイア系の人たちは政府の役割を権力行為・強制することに限定しているのではないでしょうか?
米山氏は自粛要請は事実上強制力を持つとして憲法違反論を展開していた記憶ですが、物事には強制だけでなくお願いや情報発信があります。
その後の引用省略しますが、池田氏は日本等の損害僅少国にはBCG接種国が多いという噂さを利用したBCG接種効果によるというようですが、BCG接種効果論は、もしかして?と言う着想段階でしかなく、まだ学問的にはっきりしていないので、私のような素人が「こうじゃないの!」という感想意見を言うのは別としてプロ評論家の公式意見としては戴けません。

新型コロナによる諸外国の実害(序盤採点1)

まだ治療薬もなく収束への流れ不明の結果、現在序盤の終盤にさしかかったかどうかすらわからない段階ですが、収束しているように見える中国韓国はもとより、日々千人〜数百人単位の死者が出ている米欧でもロックダウン一部解除〜緩和の動きが始まりました。
この辺で序盤における諸外国の実害相違を比較して総括的感想を書いておきたいと思います。
データは後日の訂正があり得るので3〜4日単位で細かく見ても切りがないのですが、4ヶ月以上経過して大方の傾向が見えてきたように思われます。
世界的な流れを見ると、感染の激しかった中国武漢では新規感染者数が激減し、ついで韓国の場合も当初激しかったのに比例して急速に収束しているのを見ると、(中国のことだから統計操作があると見る人が多かったのですが、数字上の統計と違い現実に多くの人が次々と死ぬ事態を隠しきれるものではありません)人間=生物の適応力として感染者周辺で免疫獲得運動が起きて生き物としての適応力獲得に成功した事によると推測可能です。
中国でも武漢から離れた地域・黒竜江省などで感染者が増えた例など見ると適応するチャンスのあった地域となかった地域の違いのように見えます。
感染者や死者急増の欧米でも一定の頭打ち傾向が見えてきたのは何か医学的あるいは画期的政策成功があったからではありません。
単にやり過ごしてきただけです。
ロックダウンしようとしまいと、一定期間経過で感染者数が増減して行くのが普通とすれば、以下のようなド素人の私のような超能力的理解想像が可能です。
周辺で感染症が猖獗を極める場合、それを見ている別の生物が自分が体内に取り込まないまでも一定の適応・抵抗能力を身につけて行くのではないかと言う仮説まで行かない仮の思いつきです。
生物としての適合能力・・体内での応戦体制が整うまで新型ウイルスに席巻されっぱなしになっていた時間・個々の人間の適応というよりも襲ってくる敵に対して一つの生き物のように行動する魚群集団と同様に民族集団として全体で学習し各人の体内で抵抗力を高めうる作業をしていた結果と見ることが可能です。
中南米の原住民がほぼ絶滅したのはスペインの残虐性によるばかりでなく、旧大陸で経験済みの各種病原菌に対する民族的耐性がほとんどなかったことによると言われることの逆バージョンです。
21世紀に入ってからの新型ウイルス・・香港風邪やサース等は全て中国発祥であり中東症候群マースでも中韓香港台湾シンガポールなどはいずれもひどい目に遭っているので、防疫システムも整えていただけでなく、生物としての適応力もその間に準備して来たと思われます。
日本はいずれの新型ウイルス禍にも対岸の火事程度で(国民のほとんどで記憶がない程度で)終わったのでまともなシステム整備まで行なっていなかっただけでなく、国民個々人の体内準備もしていなかったので、上記中韓香港台湾等の過去事例勉強でやるべきことが頭で分かっていても現場の準備がなかったことから、その場しのぎ対応に終始するしかなかったと言われます。
以上が合理化された説明ですが、香港やシンガポールに限らずその他周辺アジア諸国の剣尖社数や死亡率が欧米に比べて大幅に少ないのです。
北朝鮮の実数は不明としても鎖国していないモンゴルだって感染数、死者が少ない点は同じです。
指導力がない場当たり的と批判されながらも、日本人の被害が現在欧米に比べて大幅に少ないのは、中国に地理的に近い事が重要ではないでしょうか?
近いので、知らず識らずのうちに中韓人との接触が多いので、新型ウイルスに対する迎撃体制を日本人の身体がいつの間にか(ウイルスに感染して免疫ができたというよりは、)魚群のように以心伝心で適合訓練していたからでしょう。
中国語や韓国語を習わなくとも、ちょっと会話を聞けば、中国人か韓国人か区別がつくようになっているのですが、接触チャンスの少ないアフリカ系の場合どこの国の人か全く区別がつかないのと同じです。
今回のウイルス対応力の差は震源地中国との関係が近い順に、政治家、学者国民個々人の物言わぬ体内細胞に至るまで、新型ウイルスに対する予備知識・抵抗力を身につけてきた違いによるような印象です。
米国が防疫専門の巨大組織を作っていたものの、欧米の場合、地球の果ての災害程度の距離感で他人事だったし生物的接触率も低いので、結果的に最大規模の被害になりました。
結局は置かれた民族関係の距離差による対応差によると見るのが合理的で、立場の違う他民族の真似をしても仕方ないということでしょう。
以上は「素人の直感による想像を膨らませた感想であって、世間に主張できるような意見」ではありませんが・・。
結果から見ると日本民族の対応は見事だったというのが序盤の成果ではないでしょうか?
いかに日本政府対応がお粗末かの批判論調中心だったメデイアもついに以下の意見が出てきました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00000000-ykf-soci

新型コロナ、日本人の低死亡率に新仮説…すでに“集団免疫”が確立されている!? 識者「入国制限の遅れが結果的に奏功か」
5/11(月) 16:56配信 夕刊フジ

「2週間後はニューヨークのようになる」など悲観的な予測もあった東京都、そして日本の新型コロナ感染だが、別表のように現時点ではニューヨークにもロンドンにもなっていない。中国や韓国、表にはないが台湾など東アジアが総じて欧米よりも死者数や死亡率が抑えられている

外出規制緩和10(韓国の実験と監視社会化3)

専制支配体制が長く続く社会の人民は、自主的価値判断で動くのはリスクが高いので、専制君主のご機嫌を損ねないことが優先順位となり最悪の場合処罰されるかどうかの外部基準に頼る社会になっています。
専制君主に直接接点のない末端人民に至るまで、人民は処罰さえ受けなければ(法網をくぐる技術重視)良いという正義とは何かを考える余地のない社会になり、正義とはなにか?自発的価値観を育む経験がないまま、千年単位過ごしてきたと専制支配社会の特質を書いてきました。
政治世界では世の中を良くするための知恵をしぼるよりも保身・権謀術数に勝ち抜く訓練が優先順位になります。
個々人は社会貢献よりも私腹をどうやって肥やすかの金儲けだけが基準となり、自粛と言われてもどの程度自粛すべきかを考える訓練機会が子供の頃からないので、自主判断能力が育たない社会になっています。
日本でも成績優秀者・・模範解答を勉強するのや忖度に特化したひとは政府の方で早く自粛基準を示してくれないと困るという大阪府知事のような変な要求が出てくる点では似ています。
自治を守れと声高に主張しながら具体論になると指導基準を示してほしいという人が少なくありません。
自主判断・自由行動禁止になっている社会と自主行動推奨社会でありながらどうして良いか分からない・・一定基準に達しない人のために、参考基準・・マニュアルが必要なのは似ていますが出発点の方向が違います。
人が自主的にどこまでやれるかを年齢順で見ると小中高校、大学〜社会人と順次レベルが上がっていくのが普通です。
同じ年齢でも能力差がありますので、マニュアルがあった方が低レベルの人も一定水準まで真似できます。
特措法では、政府が緊急事態を宣言すれば都道府県が地域の実情に合わせて対策を決める仕組みですが、大阪府の要求を見ると政府指示待ちの習慣が出てきたようです。
感染率の上昇や縮小といっても地域差が大きい上に、地域の産業構造も違うので緊急事態かどうかの判断権は中央政府にあるとしても個別施策は地域の実情に合わせてやって下さいというのが特措法の精神です。
韓国のコロナ関係統計を見ていると韓国のコロナ政策がうまくいっているようなのにメデイアによるこれといった紹介がないのを不思議に思っていましたが、韓国が外出規制解除に動いてから一気に韓国のコロナ政策内容が公開されるようになってきました。
韓国の政策特徴は、日本の微温的政策と違い監視社会化を大きく進めていたことが大きな違いのようです。
メデイアが韓国でこんなことしているから日本も学んだら!という報道をしないのは、何もかも中央政府が国民一人一人を監視し指示し、地方や国民が政府指示通りに動く社会を理想化する意見が日本人には少ないと判断したからでしょうか。
能力が低くて指示待ちになるのは個人の問題ですが、能力の有無に関わらず政府が前もって指示してくる仕組みになる・・能力ある人の日々の日常行動まで自主判断が許されない社会になると民主主義の本質が破壊されるように思われます。
専制支配に慣れた社会では、自由は重たすぎるので恐怖感利用による指示政治の方になじみが良いのでしょうか?
韓国の規制緩和の結果を見ると中国の真似をした監視網構築であるものの、中国ほど徹底できない・・半端さでウイルスの報復を受けたような印象です。
国際政治力学的に見れば、中国の台頭と歩調を合わせた慰安婦騒動以来の韓国民の行動を通じた心情をみると自由主義陣営に属しながらも本当は自由より専制支配されていた昔が恋しい意図がアリアリの印象でした。
表向き米国中心の自由主義陣営に属しているものの、内心では自由は辛い・・99%中国の属国に戻った気分になっているように見えていましたが、今回の韓国のコロナ対策の具体化が徐々に報道されるようになってみると、表面上自由主義社会の一員にかろうじて留まっているとは言え、社会の実情としてはいわゆる監視社会化を中国パターンにあと一歩まで近付いた極限社会になっていた印象です。
人権(個人情報保護)にうるさい西欧諸国でも対コロナ禍では緊急事態下で相応の厳しい規制をしていますが、1律の外出制限等にとどまっているののたいし、韓国の個人監視運用を見ると民主主義社会の一線を超えている印象です。
韓国民にとっては歴史始まって以来専制支配下にあってもともと専制支配体制に服する方が気持ち的にピッタリして落ち付きの良い民族性の上に、北朝鮮の専制支配に憧れる文政権成立でこれをチャンスに?急激に監視社会化が進んだということでしょう。
日本では安倍政権が休校自粛要請するだけで、教育の中立性侵害という批判論が朝日新聞で紹介される社会とは大違いです。
コロナ禍をダシにしてなし崩し的に何でも決まって行く・軍靴の音が聞こえてくる式の政権批判論がメデイアの基本姿勢ですが、一方で安倍政権は右往左往していて指導力がないという政権批判論を煽っていますが、「韓国がうまくいっているのに」という喉まで出かかっている単語を持ち出せないのは、休校要請や自粛要請批判と韓国の強制力の激しさと矛盾してしまうからでしょう。
そこでやむなくドイツがいかにうまくいっているかの宣伝が激しくしていたので、このシリーズで国際比較の一環としてドイツのデータも一緒に表を引用して紹介してきましたが、ずっと日本の10倍以上も死亡発生していますので、これまたなぜ「ドイツがこんなに成功している!」と安倍政策失敗の比較例になるのか不明になっています。
誰もが国際統計をネットで見る時代に、結果比較でおかしすぎるので恥ずかしくなったのか?最近ドイツを賞賛する根拠不明の記事が減りました。

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