戦力比較の基礎技術は日進月歩なので、半年もするとパワーバランスの方向性(現役稼働するには、5〜10年単位の関連施設整備や要員育成などが必要なので実は約10年先の戦力比予想になります)が変わっているかも知れませんのでこのくらいにします。
素人の印象として結論的に言えば、中国が自前の技術ではなく知財の剽窃・スパイに頼っている限り、整備技術が向上しない・・稼働率アップできても大したことがない結果、ザルから水が漏れるような無駄遣いに悩まされ続けるでしょう。
中国は改革開放路線に舵を切った時に大幅に遅れてしまった技術について自主開発を進めるか、模倣によっていち早く先端品を作るかの岐路にあった時に、自主開発では時間がかかり資金負担も膨大だしうまくいく保障もない・・合弁形式で工場誘致し技術導入・模倣すればすぐに立ち挙げられて有利だという論が制したと言われます。
これが奏功して急速な生産拡大につながり、製鉄〜鉄道船舶、家電や車などの生産急増になりましたが、この結果さしたる努力工夫もしないで、他人の努力した結果を模倣・盗めば良いという気風がみなぎり、若者の受験ではネット利用によるカンニングが普通になるなど、すべての分野で他人の努力した成果を盗むことが良い(利口な生き方?)ことだという体質が行き渡ってしまいました。
これが国際的問題になったのが知財剽窃行為ですが、国内でも受験であれ就職であれ、カンニングや汚職/買収によるのであれでっちあげによる競争相手の蹴落としであれ、結果さえ奪い取れば「奪い取った方の勝ち」と言うおそるべき非道徳的社会が完成に近づいています。
もともと約2000年に及ぶ専制支配体制下でこの種権力闘争が最有効手段として定着していた下地が、これをあと押ししている面があることを繰り返し書いてきました。
合弁生産によって技術指導を受けるのでは飽き足らず、合弁していない先進国の無関係企業の先端技術までも盗むのを悪事と思わない独特の道義社会・・破廉恥道義国家になってしまった(本質的性状が露呈した?)のです。
知財剽窃が国際批判されると、この1〜2年ほど前から中国進出企業に知財提供を義務づける体制構築を始めていますが、これは知財提供の強制=従来の窃取を政府が合法化する仕組みですから、いわば強盗みたいでこれにはさすがにアメリカも怒り始めたところです。
この怒りの蓄積はトランプ氏個人特性によるものではありません。
これに対する習近平氏の回答は、南シナ海での強引な埋め立てに対する国際司法裁判所の判決に対して「紙切れだ」と言い放ち、昨年秋の党大会での演説では「中国には独自の価値基準がある・これに今後世界が従うことになるだろう・・この基本は今後示していく」という趣旨の長広舌を振るったものでした。
ただし、ここは中国の非道徳性を批判するために書いているのではないので、話題を元に戻します。
ここでの関心は、中国は高度技術の模倣期間がすでに30年前後に及んでかなりの模倣ができた以上は、今後は自前技術開発に切り替えるべき段階ですが、この数年の中国の動きはさらなる模倣すべき対象の拡大深化・・しかも犯罪として遠慮していたのに逆に開き直って提供を権力で強いる・・強制力を用いる段階になってきた現状を書いています。
模倣に頼る限り模倣すべき相手の上を行くことは不可能ですし、特に知財等の核心的設計図書とは違い、現場力のウエートの高い部品製造や整備調整分野では、今後日本の機体等の整備力との格差が縮小するどころかさらに開いていく可能性を書いています。
以上の結果、模倣に精出している中国が20年程度では中国が通常戦力による限り、日本領土を武力占領するほどの実力にはならないと思われます。
今後約20年間では、中国は実力アップを目指しながらその間尖閣ではサラミを薄く削いで行くように一歩一歩侵蝕して来る・・それがニュースにならない程度に常態化の既成事実化して行く(最初は大量の仮装漁船でしたが、次第にエスカレートして1月11日に起きた接続水域内の攻撃型原潜潜行事件がその例ですが・・)、インド洋や南シナ海等での国籍不明船での航行妨害から手を着けてくると見るべきでしょう。
いわば農家が隣地と境界を数センチずつ削って行くようなコス辛い手口ですが、そんな程度か?と少しでも気を緩めるとサラミどころか、ハムの厚切りをしてくる・・思い切ったことをしてくるので油断はできません。
しかし、自衛隊の戦力は侮るべからざるものを持っているので当面中国はロシアによるクリミア侵攻のような露骨な対日実力行使にはおいそれとは踏み切れないと思われます。
ただし世の中はどうなるかは不明ですから、いつまでたっても通常兵器では日本に追いつけなくて日本を脅せないとなれば、中国が国内対策上核兵器による脅しを始めない保障はありません。
今は核兵器保有国でない相手に核兵器使用が許されない事実上の雰囲気ですが、これがいつまで続くかの問題です。
通常兵器戦で大負けになって自国領内がどんどん爆撃などされるようになった場合、最後最後の手段として完全敗北を免れるための選択肢として考えうるパターンです。
最後とはどういう段階をいうのかは当事国に任せられているので、中国の場合、日本攻撃のための爆撃機や戦闘機出撃基地や日本本土向けの長距離ミサイル発射基地を叩かれたら核兵器を報復のために使うという言い方もあり得ます。
こうなってくると日本は自衛の反撃をしないで手を拱いて爆撃や長距離砲による通常爆弾投下を待っているしかないのでは、通常戦でも負けるしかなくなります。
本当に自衛するには、将来的には核の脅しに対する抑止力程度の核兵器導入が必須です。
そこまで中国がすぐには実行しない場合に、大規模にやるとすれば台湾侵攻作戦からでしょうが、これが成功すると日本にとっては通商路の合法的妨害リスクになるので最大脅威というべきでしょう。
これの帰趨は台湾の自衛力保持=アメリカの後方支援次第・・すなわち米中の力関係変化・・・米国の応援の腰がどの程度引けてくるか次第になります。
日本の防衛力も米軍による供給次第とも言えますが、日本の場合米国が日本への武器供給を絞れば、却って自主防衛品製造の道が開かれる・・日本の場合禁止さえされなければ、自分で高級品を作る能力があるので困らないし・多分その方が割高な米装備品を買わなくて済むので経済的にも有利でしょう・アメリカは高額な軍需品の最大販路を失うだけですので、中国への遠慮だけでは簡単には日本への供給を絞ることができません。)
中国は当面時間をかけて基礎技術力のアップ・・その基礎になるべき総合経済力の涵養につとめるしかない状況ですが、これでは今にも日本を侵略できるかのように大言壮語してきた結果、国内的に格好がつかなくなっているのが現状です。
このままでも徐々に水準を引き上げて行けばいいのですが、これまでの大言壮語から見れば手詰まりなので習近平氏は、5年に一度の昨年秋の党大会で30年にはアメリカに追いつき、50年には世界に君臨支配するという夢物語・・長広舌を振るうしかなかったように見えます。
本来、政治家としてはそんなことをおくびにも出さないのがプロの道ですから、こう言う明白な主張をするしかないほど国内的に追い詰められていたと読むべきです。
中国の国内実態は多くのエコノミストが認めるように中国経済の危機・破綻を先送りしているに過ぎないのですから、10数年後には先送りの限界がきて逆に惨憺たる状態になっている可能性の方が高いと思われます。
その間プーチンのように対外強硬策・・強引な直接的実力行使が無理とすれば、世界世論・正義の観念を全く無視できないと思われます。
その場合には国際世論や応援団の必要性が高まります。