地球温暖化とCO2原因(懐疑論の困難性1)

政治家の発言の影響力は甚大ですから放言しっぱなしでは困るので、政治責任があるように、個々人がどんな不合理な信仰を持とうと勝手・天動説を信じ神が作ったもの=進化論を否定しようと、個人が神の創造を信じて堕胎しないのは自由勝手としても、堕胎を刑事処罰すべし」「進化論を教える教師を処罰しろ」となってくると宗教が政治の世界に踏み込み過ぎです。
自由奔放な想像力発表にとどめるべき宗教や学問が自由を保障されるにはその限界・分際(守るべき境界)があります。
古来から知られる宗教弾圧は、その分際をわきまえず、宗教(思い込み)の押し付けが過ぎるようになって放置できなくなって始まるのが普通です。
日蓮聖人も宗教論を言っている分には勝手だったでしょうが、具体的政治を批判する以上はその政策の是非を問う政争の当事者となるのですから、政争に負けても「僧侶なら無責任」という特権を主張する方がおかしいでしょう。
(今のように選挙で負けない限り、失脚しない仕組みではないので)その時代に応じた政治責任(戦国時代に合戦で負ければ腹を切る覚悟)をとるべきでしたし、本来宗教弾圧とは違います。
上杉謙信や信玄が(どちらも負けずに一生を終えましたが・・)仮に戦で負けたとすれば、頭を丸めているから、腹を切らなくて良いとは誰も思わないでしょう。
日露戦争のポーツマス講和条約に反対した帝大7博士意見書に関して書いたことがありますが、学問上の意見を言うことが自由なのと、特定の政治決定に口出しして激しい政治運動して置きながら学者だから(なにをしても良いかのように)「学問の自由」を振りかざすのは権利の濫用です。
何を信じようと構わない・信仰の自由と、信仰する結果を実現するために徒党を組んで行う政治活動の自由と同じではありません。
信者数十人の教祖が何を発言しようとオーム真理教のように実力行使を企図していない限り影響力が小さいので、大したことがありませんが、規模が大きくなる・・ローマ法王になると影響力が大きいので一国の政治リーダー並みに慎重な発言が要請されるようになります。
専門家に対して失礼ですが、大方の学問というものは、「未知な部分が99%で、ほんの少し分かっている限度に過ぎない」としても、いろんな意見を公表するのは社会にいろんな意見を呼び起こす刺激にもなり意味があるから言論・表現の自由や学問の自由が認められているのです。
自己の意見が唯一正しいとして他者を排斥する(政治運動)権利まであると思うのは学問の自由論自体のよって立つ基盤に矛盾しています。
地球温暖化論に対しても考古学や地震学や火山学同様に学問としてそれが絶対正しい基準であるかのように現実政治を規定し強制(補助金を与えるということは補助金を出し方が圧迫される)するようになると、学問発表の範囲を超えた政治運動というべきでしょう。
特定宗教を信じ流布するのは自由ですが、それが現実政治に影響を及ぼし積極的に扇動し介入(強制し国民から資金を徴収)するようになると「そういう考えも面白いな」という程度に多めに見られない・・放置できなくなります。
キリスト神学が地動説を禁圧し、堕胎を禁止してきたのは宗教の害悪というよりは、全体のホンの一部しかわかっていない「学問をそのまま強制基準にする」のは「無理がある」という事例を示しており、原発訴訟に関して書いてきた私の立場です。
エコノミストの経済予測同様に・・学問は「部分的にわかっている限度でいえばこうなる筈」程度のことでしかないのですから、「何もわかりませんがあえて言えば、こんな可能性が言えるかも?」という程度の謙虚さがあるべきです
ところがいつの間にか毎年2兆円以上も国民に負担させる(30年には年間4兆円になる予定)ような具体的な国民負担を強制する上に他の産業(火力系発電業界)を事実上抑圧するような強制力を持つ意見を言うようになると、(法律家として気になります)学問の領域を踏み外していないか?あるいは学問を政治利用している勢力があるのではないかが気になってきて、今 地球温暖化プラスCO2原因説に疑問を感じてしまいました。
天気予報に合わせて衣服の着用、所持品(傘を持って出かけるかなど)を個人個人が変えるのは自由ですが、天気予報を超えて傘を持つのを強制される(晴れていても雨が降るという天気予報通りに傘を買えば補助金が出る?その補助金の原資は国民負担)になるとすれば??気象学者ってそんなに権威があるの??と思う人が多くなるでしょう。
その日の雨の予報すらあてにならないのに、気温変化の原因を判定できるの・・・。
地球温暖化やCO2原因論を見ていると、懐疑論者の方で、「温暖化が進んでいない」か「CO2以外の要因がある」ということを立証する必要があるかのような倒錯した傾向が垣間見えます。
そもそも素人の学問に対する信用度から見て、氷河期や温暖期の繰り返しの原因でさえまだ夢物語・憶測や手探りの域、あるいは部分的に関係のありそうな原因を探ってみたら(「群盲象を撫でてそれぞれ想像をたくましくしている類」で)思う通りのデータが集まった程度に見えるのに、たまたま誰か発言力のある権威者グループ?がCO2原因説を唱えただけでしかないように直感的に見えます。
こんな程度のことで、「違うと言うなら違う論証をせよ」と迫るのは、「無茶を要求している」と言うべきでしょう
元々地球のことは何一つはっきりしない・・目先の天気さえ外れるのがしょっちゅうであり、地震も火山噴火のメカニズムもはっきりとはわかっていませんから、もともと「何もわからないのではないですか?」という人に「わからないことを論証せよ」という方がおかしいでしょう。
多くの温暖化懐疑議論では、この議論方法のマジックに引っかかっているような印象を受けます。
法律家の目で見れば立証責任がどちらにあるかの方法論が重要です。
私のような不信感を持つ人が多いからか、ネット上では懐疑論も紹介されるようになってきましたが、その道の大家が唱え(その弟子が多数)、国連条約になって久しい関係上、異論を唱える方が立証しなければならいかのような無茶な論法に迷い込んでいるように見えます。
以下は、懐疑論からの引用です。
http://www.sukawa.jp/kankyou/ondan3.htmlに引用されている以下の論文のまた引きです。

二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より
[ホーム][環境問題][二酸化炭素地球温暖化脅威説批判]     [前頁][次頁]
・・・・・・
確かに二酸化炭素は温室効果ガスの一つであることは間違いない。しかしだからといって大気中の二酸化炭素濃度の上昇が近年観測されている気温上昇の主因だとする考えは短絡的に過ぎる。
前セクションでも触れたとおり、気温変動の短期的な変動機構は全くと言ってよいほど解明されておらず、考えられるだけでも気温の変動要因はいくつもある。
現在の地球大気の温室効果で、既に地球放射の 90~95%が捕捉されていると言われる。
そのうち、水蒸気が8~9割、二酸化炭素を含むその他の気体が残りの1~2割を吸収している。
温室効果において、圧倒的に影響力を持っているのは水蒸気であることがわかる。大気中の二酸化炭素濃度が上昇しても、二酸化炭素の吸収帯における地球放射の吸収量の増加はわずかである。
石川氏のHPでは、二酸化炭素濃度が現在の2倍になった場合の気温上昇は1.2℃と見積もっている。

地球温暖化の影響1(水位上昇)

気温変化を見ておきましょう。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/26-27.pdf

温暖化への疑問にお答えします!
・・・ここ100年程度の温度上昇は0.7度という大きさです・・・

2008年頃作成らしい今後のシュミレーションのグラフが続くのですがうまく取り込めませんので引用省略しますが、グラフによると(本当にそうなるかどうか分かりませんが)これによると2040年ころには、2000年比1℃ほど上がるようなグラフです。
グラフの見間違いがあるかも知れませんので正確性については上記引用先のグラフで確認して下さい。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/08-09.pdfはいかにも大変なことになりそうな意見の文章ですが、具体的数字を見ると、以下の通りです。

世界平均海面水位は、21世紀末までに、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会(B1シナリオ)では0.18~0.38m、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会(A1FIシナリオ)では0.26~0.59m、上昇すると予測されています

あちこちが水没すると(私の感想では大げさな扇動的に)言うのですが、最悪シナリオでも100年間で0.26~0.59mしか水位が上昇しないならば、素人的に考えてどうってことがないはずです。
例えば九十九里浜でいえば、波打ち際からマツ林のところまでは急勾配の砂浜が広がっていて、ざっと目にメートル単位の高低差があります。
砂浜がないところは(伊豆半島など)海辺まで岩山等が迫っているのが普通ですから、数十センチの水位上昇があってもその岬等にほとんど影響がないでしょう。
狭い入り江にへばりついた漁村が影響を受けるでしょうが、100年単位の間に小さな入り江から出漁する従事者が減って行く(もともと過疎化進行地域)ので影響を受ける人の比率は大幅に減るでしょう。
都会=多くは低地では数十センチでも大変かもしれませんが、その代わり土地評価(利用効率)が高いので、相応の堤防等のかさ上げコスト負担が可能です。
千葉市でいえば、京葉線千葉港駅から先の埋立地を20年ほどかけて俗称?「宅盤底上げ工事」を行っていて約2メートル(散歩がてら見ていただけで正確な数字は不明ですが)ほど嵩上げ工事をしていました・これが15〜20年ほど前に完成しています。ー
100年で30センチ前後の水位上昇でも津波等の場合の被害は大きい(素人にはわからないと言うのかな?)と言うことでしょうが、それにしても津波の時には、1〜2メートル程度の津波でも押し寄せる力で10数メートルの高さくらいまで遡上しますので、津波の高さが2倍違うと大変なエネルギー差ですが、元々の水位が数十センチ高いとどう言う意味があるか不明です。
100年も期間があればいわゆるゼロメートル地帯でも、道路舗装工事の都度、家やアパート等の建て替えの都度少し土盛りしたら済む程度のことです。
そもそそも江東区等のゼロメートル地帯が有名ですが、この100年間に甚大な水害被害があったでしょうか?
1℃の変化によって仮に少しの場所が水没しても、もともと身近なところでも千葉の関係する東京湾の水位は縄文海進と言われるように関宿の辺りまで海があったりその後干上がったりですし(「上野のお山」といっても当時は陸地部分という程度でしたし、不忍池は当時の海が閉じ込められたように見えます)日本海の水位も上がったり下がったりしていますし、この変動に合わせて人類や動物も植物も住環境を変えていくしかないし、そうしてきたことです。
房総から茨城方面では、見るからに元海底だったかと思えるような真っ平らな陸地が多くなっているのは寒冷化と言うよりは地盤隆起に(逆に北陸方面では地盤沈下の結果勧進帳で有名な安宅の関所跡を訪れると関所跡は海の見える崖の上に史跡としてあるのですが、タクシー運転手さんの説明では、これは後で作ったもので、「本当の関所はあの海のなかです」と教えられたことがあります・・数百メートル沖合の荒波になっているのに「桑田変じて滄海となる」とはこういうことか!と感慨を覚えたものですが)によるものでしょうが、こうした多様な変数の方が影響が大きいのです。
勧進帳の頃からまだ千年足らずですが、このような激しい変化に人々は黙って適応してきました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/110/5/110_5_650/_pdf

地学雑誌JournalofGeography110(5)650-664 2001
房総半島九十九里浜平野の海浜堆積物から求めた過去6000年間の相対的海水準変動と地震隆起
増田富士雄*藤原治**酒井哲弥*荒谷忠
・・・海浜堆積物の年代は含まれる貝殻などの14C年代値から,分布高度は測量から決めることができる。
この相対的海水準変動を求める新しい方法は堆積物を利用するので,その標高が,すなわち過去の海面高度が正確に決まるという利点がある。ここではこの新しい方法を千葉県九十九里浜平野の真亀川流域で採取された海浜堆積物に適用して,過去6000年間の相対的海水準変動を高精度で復元した成果を示し,その結果から,この地域では1回に40~120cmも急激に隆起した出来事が少なくとも4回はあったことを述べる
・・・・・
2)地盤の隆起時期と隆起量
九十九里浜平野で認められた300年以内,おそらくはもっと短時間に相対的水準が40cmから1.2mも下るという現象は,変化の規模と速度から考えるとユースタシーの変動ではなく,また,堆積相が変わっていないことから考えると堆積物供給量の変動に由来するものではない。
それはテクトニックな地盤隆起が原因と考えられる。こうした考えの背景には,九十九里浜平野が,関東造盆地動の東側の隆起帯,あるいは下末吉期以降の地盤変動としての鹿島一房総隆起帯の一部に位置づけられる(貝塚,1974)ことがある。
・・・・・・・地点01/02問(現在~250年前)での約40cmの隆起は,歴史記録が残っている期間に発生している。この期問,南関東で知られている大きな地殻変動を伴った地震は,1703年の元禄(関東)地震と1923年の大正地震である。どちらの地震でも隆起は房総半島では南部に限られ,九十九里浜平野が隆起した証拠はないとされる(松田ほ
か,1974;宍倉・宮内,2000)。40cmの変動量は解析法からして有意なので,今後,ほかの地震による起の可能性をも含めて検討したい。
・・・・・・以下椿海(現在の干潟)の淡水化現象と隆起の関係を書いていますが省略します。

上記の通り氷河期(温度が下がって)で干上がったのではなく、私が景色を見ての直感通り地盤隆起が原因であることを示す専門家の論文があることがわかりましたが、根拠を示すために検索して初めて専門家の論文があるのを知っただけですが、こんな程度は地元の景色を見ていれば誰でも分かっていることでしょう。
素人の直感力をバカにしてはいけません。

太陽光発電の補助金?1

今後石油の時代だからといって、国内でほんのちょっとしか取れない以上国内石油生産を応援しても仕方がないし、小麦トウモロコシが家畜を含めた食料に必要といっても国内で(大規模補助金を出して)山の上まで開墾して大増産してアメリカと生産量やコストで競争しても意味がありません。
15年ほど前に日本の耕地整理事業に関して、農地の大規模化でアメリカやオーストラリア等と競争しても100対1の競争が80対1に変わる程度では量産競争で勝てないので、日本人の得意な手間暇かけた農産物・・少量でも味の良いトマト、和牛などを作る方が良いと書いたことがあり、その後日本の農業は少量でも良いものを作る方向になって国民の支持を受けています。
再生エネも同じで、中東や西欧でうまくいっているからといって、気候地形風土の違う日本が無駄に資金を垂れ流すような投資をすべきではありません。
熱帯の植物を北国でお金持ちが屋敷に温室を作って楽しんだりするのは自由ですが、国内でバナナ等のトロピカルフルートを作るために年間何兆円も補助金を際限なくつぎ込む必要があるでしょうか?
砂漠の国で莫大な補助金で日本の気候風土を人工的に作って、日本でしかできない食品等を作る必要がないのと同じです。
これを証明しているのが古代から始まっている物々交換であり遠隔地との交易システムです。
電気の場合輸入していないから分かりにくいものの、どのエネルギー源を使っても食物のように旨味が違うわけではないので、コスト効率の良いエネルギー源を使うのが合理的です。
資源大国アメリカでさえ、シェールガス・オイル等の採掘は採算がとれるようになるまで放置していました。
その間赤字でも費用をつぎ込んで頑張ったのではなく、他分野の科学技術発展の技術応用で採算がとれるようになったものです。
中国の誇るレアアースも中国だけで取れるのではなく中国は公害も気にしないし、人件費も安い、大量採掘可能等の総合条件で世界中の競合する生産国を価格面で蹴落としたにすぎません。
だからこそ反日攻勢のために生産を絞り価格を引き上げると、すぐに他の国での生産が復活したのです。
このように不得手なものに手を出さないのが世界の共通原則です。
日本は雨が多く多方面に向かった曲がりくねった谷川沿いの斜面が多い・この特徴が微妙な陰影を作り湿気の多さが酵母菌類利用発達を招来し、日本の酵母菌利用の基礎を作っています。
多方面に向いた斜面の多さが、カンカン照りの日でも一定の時間ですぐ日陰になるので、過ごしやすさにつながっていますし、ほんの数時間で日向と日陰が入れ替わる関係で植物が種類豊富になりこれに対応して生物種類が豊富です。
日本では四季の移ろいがあると習いますが、それどころか、100メート先の向かい側の斜面とこちら側では太陽光の当たる時間も風のあたり方も違う・同じ場所でも数時間で日の当たり方が違う・環境が変わって行く特徴こそ重視すべきです。
晴れた日でさえ数時間で陰影が変わる微妙さが、日本人の勤勉さや感度を磨いたので感謝すべきですし日本列島隅々まで植物が繁茂し植物の生えていない見渡す限りの荒野などどこにもないのが日本列島の特徴です。
(せいぜい鳥取砂丘くらいでそれが名物になるおめでたい国です)
いわば土地が利用され尽くしているので何か新たなことをしようとすれば既存植物系・生態系破壊→既存の人間利用の妨害などを引き起こし、保障コスト・原発で顕著ですが、立地計画段階で地元交渉政治家対策・地元にどれだけ雇用を増やすかなど総合コストがかかる上に、稼働後も定期改修停止後の再稼働に地元同意がいるなど地元交渉に膨大なコスト)が必要です。
斜面の多さが、棚田などの入り組んだ農地になり斜面利用のみかん畑や茶畑などになったのですが、同じ山の麓でもアルプスのような巨大な山地を基礎にした一方向への単純斜面ではなく、くねくねと曲がった谷川に沿って東向き北向きなど多様な斜面に棚田が広がり、人家もあります。
ドバイの大規模効率的太陽光発電の例を紹介しましたが、平板な砂漠にヘクタール規模の大規模ソーラパネルを敷き詰められる中東地域と日本の戸建住宅の小さな屋根屋根にパネルを敷き詰める作業とでは、飛行機でタネを撒くアメリカの農場と、棚田に田植えしていく農場とで農産物生産量の競争をしているようなものです。
戸建の屋根上よりも効率の良い耕作放棄地に立地するにしても、元の農地が世界規模で見れば狭いので、国際比較では効率が悪いし地主との交渉や農地の転換にかかるコスト(湿地系ですので腐食等の維持費)もバカになりません。
コストに占める技術力差小さいので、時間経過で設置コストが下がるどころか、逆に立地適地から先に物色されていくので、時間経過で効率の良い大規模空き地がどんどんなくなっていく、消費地から遠くなり太陽角度の悪い斜面や、小規模の農地や空き地に絞られて行き、より一層コストアップになりつつあるようです。
コスト高の原因を日本人の人件費が高いことを理由の1していますが、人件費が高いのは生活水準が後進国より高い以上当然であり、これを問題にするのは無意味・・生活水準を下げたら同等になるでしょうがそれでは本末転倒です。
設置コストの高さは、人件費の高さだけでなく戸建住宅の屋根の上に取り付けるのは原野等での設置と違い複雑な工程になるので、設置コストアップや維持管理費の高さの方が問題でしょう。
再生エネに関する高額買取強制政策は、衣料品やテレビその他の工業製品を作る数人規模の家内工業保護のために大手メーカーに対して市場相場の何倍もの価格での買い上げを強制しているような政策です。
(昔から小麦輸入品の政府による強制販売価格制度が知られています)
太陽光発電装置を高コストでやっと設置しても屋根に斜面がある関係で快晴でもすぐに影になってしまい日照時間全部を利用できません。
東向きの屋根の場合午前中だけ、西向きの場合、午後からだけです。
その上日本の気候はその日のうちに晴れたり雲ったりの変化が激しく安定性がありません。
規模で言えば耕地整理して少し農地を大きくしても、同じ品質のものを作って価格で勝負する限り米豪の大規模農業に叶う訳がないのと同じ構図です。
農産物や果実では日本人の手間ヒマかける特性を活かした小規模生産で高品質・・味の良さで勝負することによって和牛やサクランボのように、生き残りができていますが、電気は手間ヒマかけても品質の差が出ません・コストが上がるマイナス要素だけです。
石油燃料に製品に比べて3倍も高い太陽光燃料を使っても品質が同じどころか劣る・電気そのもの品質は同じでも火力系に比べて供給安定性がありません。
数日前に風力発電について少し書きましたが、風力発電設備をみるとお遊びのかざ車のように全方向性ではなく、一方向への固定制のように見えますが、(この辺は技術革新によって自在に方向を変えられるようになるかも知れませんが)日本の場合、強風の時に限って風向きがその日のうちにくるくると変わる特性があります。
強風の日に傘をさすと一定方向ばかりではなくいきなり横や斜めから吹いてきて苦労するので誰でも経験済みでしょう。
日本の強風は西欧の偏西風と違い台風その他気圧の関係で風向きが変わるのと海辺でも多くは山が接近していることが多いので、山にぶつかって方向性がめまぐるしく変わります。
山がなくとも強風の代表である台風の例で言えば「台風の目」の移動に伴い刻々と風向きが変わりますが、多くの強風はこの小型版ですから大変です。

原油相場上昇と再稼働の必要性?(代替エネルギーの現状)1

15年以降の国際収支・・14年4兆円弱の経常収支黒字から15年にはひと桁違いの16兆5000億円の黒字復活は、この危急存亡の直前に14年夏ころからの原油相場下落を起爆剤にして急速に救われたことになります。
福島原発事故も、首都を巻き込んでもおかしくないほどの大事故に発展する事故でしたが、(これを見込んでドイツは大使館の臨時移転をしました)吉田所長らの決死の奮闘により首の皮一枚で大惨事を免れ、経済面で見れば日本も恒常的赤字国転落か?瀬戸際で助かった天佑でした。
(個々人は一人残らず、電力節約に努めましたし、供給側では省エネ技術革新に取り組み、被災工場やプライチエーンの必死の復旧努力により一日も早い生産再開・これが一方で輸出激減を抑え、石炭火力の復旧による原油輸入を一滴でも減らす努力・文字通り不眠不休で日夜励みました)
単に天佑を祈っていたのではなく、国民一丸となって頑張ったことに対する神の恩寵です。
https://eneken.ieej.or.jp/data/5474.pdfによると発電電力→消費量は以下の通りです。
震災以後3カ年の火力発電投入燃料推移
計量分析ユニット需給分析・予測グループ 研究員吉岡 孝之

電気事業者の発電電力量2は2010年度比で震災直後の2011年度に7%減、2012
年度に10%減、2013年度も10%減となった。
・・・・節電努力等の継続もありさらに大幅に増加することはなかった。

二度にわたる蒙古襲来時と同じで、天佑を待っていて天佑があったのではなく、供給側も消費側も国民一人残らず持ち場持ち場で国のために必死になって持ち応えているうちに
「神の嘉するところとなって」
原油情勢が好転したものです。
14年の原油相場下落によって日本は一息つけましたが、1昨年から原油相場の反騰により風向きが変わってきました。
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h18/h4a0606j5.pdf
【我が国の原油輸入と対中東貿易】

世界的な需要の拡大を背景として、ここ数年間、原油価格は高騰を続けている。
昨年後半、米国で発生した大型ハリケーンの影響もあり、さらなる上昇となった原油価格は、今年に入って一時的に落ち着きをみせたものの、産油国の政情不安などから再び上昇の兆しを強めている。
15年末には約 32 ドル/バレルであったWTI原油先物価格(期近物)は、16年末には約 43 ドル/バレル、17年末には約 59 ドル/バレルに達し、18年4月には 70ドル/バレルを超える値を付けるにいたった(第II-3-8図)。
消費する原油のほとんど全てを輸入に頼る我が国にとって、原油価格の高騰は看過できない問題であり、今後もその動向には引き続き注視が必要である。
原油の輸入金額が増加している最大の要因は輸入単価が上昇しているためである。
国際市場での価格の高騰を受けて、日本への輸入単価も15年末の約 30 ドル/バレル
から17年末には 60 ドル/バレル近くにまで上昇している(第II-3-10図)。実際、原油の輸入金額の伸びを要因分解すると、16年半ば以降、前年同月比で二桁以上の伸びを示しているが、輸入数量の寄与分は小さく、ほとんどが輸入単価上昇による寄与であることがわかる(第II-3-11図)。原油の輸入金額は、我が国の貿易収支に匹敵する水準まで増加しており、黒字額を大きく押し下げる要因となっている(第II-3-12図)。
中東からの輸入金額の総計をみると、17年には約9兆7,000億円と10年間で3倍程度にまで拡大している。輸入金額の8割以上は原油で占められており、原油以外の鉱物資源の輸入金額も増加しているものの、原油の輸入金額の伸び幅が大きく、輸入金額に占める割合は上昇傾向にある(第II-3-15図)。

以上文中引用の各図省略

上記の通り、原油相場の持ち直しにより、昨年では、原油輸入額だけで日本の貿易収支黒字に匹敵する数字に戻っている・原発事故直後と似た関係に戻っています。
脱原発に踏み切るための代替電力の研究開発進捗を総合的に見るには、原油相場が重要です。
代替エネルギー予定増加が予定の半分しか進んでいなくとも、原油が半値になれば、原油依存度が2割上がっても痛みをある程度吸収できますが、逆に相場が2倍になると原油依存度を半分に減らさないとやっていけない計算です。
たまたま、14年からの原油相場半値前後への下落と石炭火力増加によって、日本経済は首の皮一枚でつながっていたに過ぎませんから、原油相場が持ち直してきた以上代替エネルギーがどうなったかは重要です。
海渡氏が今まで何とかなったというだけの根拠で即時全面停止を求めているとすれば、(そんな無責任主張とは思われませんが・・)困ります。
ちなみにコスト関係は21日に紹介した通りですが、再生エネルギーの場合、立地環境が限定される上に安定供給ができないのでその面でも難があります。
もしもこれまで綱渡り運営で何とかなってきたからそのツナ渡りを今後もやれば良いと言うならば、おかしなな意見ですが、余裕電力がなくて大きな事故が起きたらどうするか?一定の安全保障のためには一定の余裕がいるのではないか?国家運営として許されることなのかの詰めた議論が見当たりません。
事故直後の原発事故による電力不足の急場を凌げたのはもともと安定供給用に余剰電力を確保していた石油火力発電があったから休止中の(余剰・最大ピーク用の温存設備)石油火力を一斉稼働できた・・だから直後には原油輸入が106%も伸びたことによります。
ただ、フル稼働状態でいつまでも続くわけがありません・・急場は不眠不休で働けますが、いつかまとまった休憩が必要なように発電設備も交代用の設備を使い切って何年も(小刻み回収・・騙しだまし使い続けるわけにはいきません。
石炭火力は機動的運用になじまないのでもともとほぼ100%稼働状態で、しかも被災した石炭火力があったので、すぐには石炭輸入増にはなりませんでしたが、被災後2〜3年で石油火力よりもコストの安い石炭火力の復旧が終わり新増設も進んでいるようです。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/sho_ene/karyoku/pdf/h29_01_04_00.pdf

我が国の電源構成の推移
総発電電力量

 
2030年度

出典:資源エネルギー庁 総合エネルギー統計等 11

ぜかグラフ画像の転写がうまくいきませんので、総発電量の数字だけ転記すると以下の通りで、石油ショック時に「ほぼ100輸入に頼る日本経済はおしまいか」と大騒ぎになった石油ショック時と同様に国を挙げて省エネに邁進している実態が見えます。

10年→11408億kwh

13年→10584億kwh

15年→10181億kwh

電源構成比の変化は以下の通りです。

      電源種別    原子力        石油     石炭     LNG    再生

10年      → 25%            10%    26%    29%   10%

13年         → 0                17%    31%    41%   11%

15年(足元)     → 0                12%    22%    40%   15%

 

 

脱原発と貿易赤字1

原発停止分の代替燃料原油等輸入が年間10兆円多く必要とした場合、民生と産業界で平等分担すれば(仮に電気使用量が5分5分と仮定すれば)産業界5兆円だけがコストアップですが、民生分をも負担すると、産業界の負担が10兆円の高コストになってその分、国際競争力が落ちてギリギリの競争をしている多くの輸出産業が負けて失業者が増え、一方で輸入品が増えて長期的には購買力低下・結果的に生活レベルを下げるしかなくなります。
原発停止によってコストが割高になっても火力〜再生エネルギーで補充する=割高になった分国際収支悪化→赤字になってもどんどん原油輸入してその他支出を切り詰める=生活水準低下を我慢するかの問題です。
簡単に言えば、原発廃止によって原油石炭等の輸入が年間10兆円(仮定数字)増えるとすれば、原発運転継続に比べて毎年10兆円支出(国外流出)が増える・永久に赤字を続けられないので先送りの結果、いつかは電力消費を国際収支均衡するまで減らす覚悟・減らしっぱなしでは産業界がまともな国際競争ができなくなり産業空洞化が起きます。
どの程度の産業収縮→先進国から中進国への地位低下に耐える覚悟があるかこそ、民意で決めるべきことです。
10万年に1回の大地震が心配で今から毎年10兆円(仮の数字)ずつ生活費を切り詰め産業縮小するのかどうかは民意で決めるべきでしょう。
数百年に1回の津波が心配だから漁業関係者が海辺の作業をやめて高台まで魚介類を運んで作業したり(高コスト化して海外からの輸入に負ける)自宅だけ高台に移転し二重生活するか(生活コスト倍増=生活水準半分に低下またはその分魚介類の販売価格上げ?)、10万年に1回のリスクなど考えてられないから今まで通り海辺に住み着くか、「人里離れた一軒家は100年に1回は強盗の心配→用心が悪いからガードマン程度の仕事しかなく収入が半分以下に減っても都会に移る」かどうかは、本人が決めることです。
仮に年間10兆円の支出増とすれば、そのコストアップをどれだけ減らせるかの省エネ革新能力・代替エネルギーの低コスト化の進捗に合わせるかの見通し・判断も必要です。
さしあたり原発停止でどれだけ原油等の輸入が増えて国際収支悪化するかが重要です。
その前提として電力コストの比較を見ておきましょう。

資源エネルギー庁

http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.htmlによる発電コスト比較です。

  2017-10-31            

原発のコストを考える

原発、石炭火力、LNG火力、風力、地熱、水力、石油火力、太陽光の発電コストのグラフです。

上記の通り、電力を原油や石炭輸入に頼るとコストパフォーマンスが悪い・・ひいては各種産業のコストアップに連なり、国際競争力が低下します。
原発廃止の代替対電力として石油原料に切り替えることによって10兆円出費が増えるだけではなく、生活費や産業コスト全般で年間10兆円を負担するために生産コストが10兆円上がる・・その分輸出競争力・輸入品に対する国内産業の競争力が落ちてしまいます。
世界中同じ電源構成ならば負担率が同じで構わないですが、日本と競合する韓国を例にすれば、原発事故をチャンスとばかりに原発増設とこれを背景にした輸出競争に励んでいます。href=”https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_jigyo/korea/detail/1231605%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8C%E3%81%B0%E4%BB%A5%E4%B8%8B%E3%81%AE%E9%80%9A%E3%82%8A%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82″>https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_jigyo/korea/detail/1231605によれば以下の通りです。

韓国は今後も原子力開発を推進してゆく方針である。
政府の「第1次・国家エネルギー基本計画」(2008~2030年)では、2030年の総発電設備容量に占める原発の比率を41%に、総発電電力量に占める比率を59%に引き上げることが目標になっている。このため、今後、100万kWや140万kW級の原発を各地に建設することが計画されている。

また、政府は原発事業を輸出産業に発展させる方針であり、次世代型原子炉(140万kW級APR+)の技術開発を進めている。なお、2009年にはアラブ首長国連邦から原発プロジェクト(APR14000を4基建設)を受注している。

韓国は日本の原発被害を煽りながら、一方で自国の原発比率を引き上げて日本との価格競争を優位に運ぼうとしていることがわかります。
韓国にとっては日本に追いつき追い越す千載一遇の大チャンスですから、日本国内のシンパを利用して1日でも長く原発再開妨害・先送りさせる戦略のように見えます。

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