対支21か条と日米疎遠化1

辺境といえばオスマントルコの最盛期も同様で、ロシア顔負けの暴虐ぶりでしたがウイーン攻略失敗以来、ジリ貧の歴史が長いので被害を受けるばかりの弱者のように見えるだけです。
勢力拡大期の行動を見ると粗暴性ではロシアと大差ないイメージですが、この本質が出たのが最近のトルコでしょう。
ロシアは西欧化するためにギリシャ正教を受け入れた結果、一応キリスト教国に入っているのに対して、トルコの場合世俗化に舵を切り、且つ西欧接近を図って来たものの一応イスラム教の国という点が大きな違いです。
「凶暴なロシアに虐められそうなアジアの小国日本を応援する」という欧米=全世界的支援のもとで対ロシア戦争を戦うまでは国際環境は良かったのですが、日本のロシア撃退成功によって西欧世界の最大脅威であったロシアが敗退し、その後革命勃発などで世界膨張圧力が低下するように見えるとロシア脅威を前提にした日本利用メリットが薄れました。
これが第一次世界大戦終了時の世界情勢でした。
一方の日本の方は、対ロ戦勝?の結果に舞い上がって(戦費調達のための国内疲弊があってやむを得なかった面もありますが・・)、自国防衛目的から大陸進出政策に変わっていくと欧米国際世論の目が徐々に変わっていきます。
それでも欧米の親日姿勢が変わらず日本の強引な対中行為に対しても(第一次世界大戦中の有名な対支21ヶ条の要求や後の山東省権益問題に始まり満州事変に至るまで)その都度諸外国の黙認〜日本支援の環境が続いていきます。
一つには第一次世界大戦を戦う都合上、日本を対独戦に協力させる必要があったことによります。
https://www.y-history.net/appendix/wh1501-011.htmlによる第一次世界大戦の記事からです。

日本の参戦 開戦直後の1914年8月、イギリスは日本に対して東シナ海のドイツ艦隊を攻撃してほしい」と要請した。日本は日英同盟にもとづいてただちに出兵を決定したが、日本の中国・太平洋方面への進出を警戒するアメリカがイギリスに要請を中止するよう申し入れたたため、イギリスはそれに従ってドイツ艦隊攻撃要請を取り消した。しかし日本は第一次世界大戦への参戦を強行、8月15日にドイツに対する最後通牒を出し、回答がないとして9月2日に山東半島に上陸、11月までに膠州湾入口のドイツの青島要塞を陥落させた。この時、日本の飛行機が初めて実戦に参加した。さらにドイツ領太平洋諸島のマーシャル、マリアナ、パラオ、カロリン諸島を占領した。
こうしてドイツの中国・太平洋の利権を接収した日本は、1915年1月中華民国の袁世凱政府に対し、二十一カ条要求をつきつけ、欧米諸国が世界大戦で動きが取れない中、中国本土への帝国主義的侵略を開始した。日本の露骨な大陸での利権拡張にはイギリス・アメリカは警戒したが、日本を対ドイツ戦争にとどめておく必要から、その中国に対する要求を黙認し、抗議しなかった。
対支(対華)21カ条要求に関する以下の記事を引用します。
http://www.y-history.net/appendix/wh1503-019.html

第一次世界大戦中の1915年、日本が山東省の利権などドイツ権益の継承を中国に要求した。民衆の反発をうけたが袁世凱政権は最終的には一部を除き受諾した。
日本の帝国主義的大陸進出の第一歩となったが、ヴェルサイユ条約で撤廃されなかったことから五・四運動が勃発し、中国での民族意識が高揚する第一歩ともなった。
第一次世界大戦の勃発の翌年、1915年1月18日、日本の大隈重信内閣は、中国の袁世凱政府に対し、二十一カ条の要求を突きつけた。それは五項と二十一条からなっている。
日本政府(大隈内閣、与党は立憲同志会)は、事前に英、米、仏、露の列強に二十一か条を内示していた。しかし、それは第一から第四項までであり、第五項を秘密にしていた。それは1~4項は列強も戦争の帰結として当然と受け取るであろうが、第5項は日本が中国を保護国化する意図ととられかねず、列強の既得権やアメリカの「門戸開放、機会均等、国土保全」という中国政策の原則にも反することだったからである。
加藤高明外相は中国政府の実力を軽視する傾向があったので、あえて第5項を加えて迫ったのだった。
ところが、中国政府はこのことを知ると、第五項を強調して宣伝した。米英政府は第五項の内容を日本に問い合わせてきたので、外相加藤高明は第五項は「希望条項」にすぎないと弁明し、かえって不信を買った。
そのため政府の予測に反して交渉は難航、2月からはじまり、二十回ほど交渉し、満州・山東などの駐留軍を増強して圧力を加えたが歩み寄りはなく、5月、加藤外相の交渉に不満な元老山県有朋の意見で第五項を削除して最後通牒とした。当時、野党の政友会総裁だった原敬も、中国を侮った外交姿勢を批判している。
列強の反応
日本の要求は過大で高圧的な内容であったが、第5項が秘密にされていた段階では、帝国主義政策をとる列強にとっても日本だけを責めるわけにはいかず、また日本が第1次世界大戦に参戦してドイツとの戦争に加わった見返りの意味もあって黙認、基本的には容認した。
しかし、中国が第5項を暴露すると、アメリカとイギリスは、第5項には中国保護国化の恐れがあるとみて警戒し、中国を擁護し、日本に第5項の取り下げを要求した。5月に日本が第5項を取り下げたことを評価し、アメリカは11月に石井・ランシング協定を締結した。それは、アメリカの主張である中国の領土保全と門戸開放を日本が認める一方で、アメリカに日本の山東省権益を認めさせた。
パリ講和会議と五・四運動
1919年の第一次世界大戦の講和会議であるパリ講和会議において、山東問題は重要課題として交渉され、中国政府は二十一カ条要求の無効を訴えたが、イギリス・フランスは大戦中の日本との密約があるので同調せず、ヴェルサイユ条約には盛り込まれないことになった。それにたいして中国民衆は五・四運動で激しい抗議行動を行い、中国政府もヴェルサイユ条約の調印を拒否した。

日本の山東半島権益放棄
日本は新たに山東半島の権益を獲得したが、大戦後の日本の大陸進出に対する列強の警戒の強まったことと、国際協調外交の進展によって、1922年のワシントン会議において日本は妥協し、九カ国条約で山東省権益を放棄し、二十一カ条の前の状態に戻すことに同意せざるをえなかった。
日英同盟の破棄へ
しかし、イギリスでは一部に日本の中国大陸進出を警戒する意見が強まり、日英同盟の継続に対する反対論も出始めた。日本の中国進出はイギリスの市場を脅かすだけでなく、日米間の対立が激化してイギリスが巻き込まれることを恐れたのだった。
アメリカも日英同盟の継続に反対したため、1921年のワシントン会議で日英同盟の破棄が決定された。

日清戦争後の3国干渉は自分たちにも「分け前をよこせ」と言う横槍でしたが、対華要求に対する対応は、国際風潮が民族自決機運の高まりなど植民支配の見直しの時代に差し掛かっていたので、西欧の世論は自国政府に対しても新規植民地支配に批判的になっていました。
日本では欧米は自分たちは世界中を植民地化しておいて遅れて参入した日本の植民地支配だけ行けないというのは一方的論理だという不満が常識ですが、欧米自身も新規獲得をやめて旧植民地は英連邦に編成し直すなど独立化方向へ進み始めていたのです。
中南米も続々と独立を始めていました。
アメリカでい言えばフィリッピンはその前に獲得したものですが、第1次世界大戦以降新規植民地取得していませんし、日本に対する奄美諸島や沖縄や小笠原など占領も自発的に返して来たことを書きました。
車の排ガス規制も建築基準も皆新たな基準は、遡及せずに今後の適用になるのが法の原則です。
対支21か条要求に対する列強の同意を要したのは不当な横やりに反発すると言うよりは、国際世論受入れのための問題であって、むしろ日本の利益貫徹のために第三者に仲介を頼むイメージです。
朝日新聞の慰安婦報道批判や企業や官庁で不祥事があると第三者者委員会を設置してその結論に従うと言うことで世論の沈静化を図る方法が流行っていますが、その走りです。
昨日(この原稿は5月頃の記事と思うのでその頃のことです)の新聞では財務省次官のセクハラ疑惑について、弁護士を交えた第三者委員会調査結果として減給処分をすることになったと言う報道がありました。
日本は火事場泥棒的に(欲張りすぎて?)最後通牒によって力づくで袁世凱政府に要求を飲ませた上で、講和会議でもその結果が承認されたのですが、国際世論の高まりによって、そのまま条約上得た権益をそのまま貫徹することができず、米英の同意を得て正当化するかなくなっていた・・徐々に国際孤立を深めていくのです。
米英も国内世論に押されると条約でこうなっているというだけでは、国内支持者抑えきれなくなり、次第に日本と疎遠になって行く様子が見えます。
しかし、国内世論と言ってもメデイアはこのような国際世論の変化を理解出来ず、列強に軍縮その他で色々と制限されると却って強硬論が勢いを増して行きます。
以下に見る通り、もともと英国は日本の要求の実現に応援してくれていた関係でしたし、アメリカも結果的に黙認ないし好意的だったのですが、大戦後国際世論の方向がおおきく変わって行ったのに、日本国内世論がついていけなかったことから日本の応援団も徐々に手を引いていって孤立化を招いたのです。
英米の当時の対日態度について、ウイキペデイアによれば、以下の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E8%8F%AF21%E3%82%AB%E6%9D%A1%E8%A6%81%E6%B1%82

日本が中国に特殊利益を有することは、イギリス、フランス、ロシアは、明文あるいは黙示を以って承認していたが、ドイツは不承認でありアメリカの態度は明確でなかった。
3月8日、イギリスのグレイ外相は加藤外相に対し、「自分が非常に懸念しているのは、日中問題から生起すべき政治上の事態進展にある。
ドイツが中国において盛んに陰謀をたくましくしつつあるはもちろん事実であって、中国をそそのかして日本の要求に反抗させるために百方手段を講じつつあるのみならず、これによって日中両国間に衝突を見るようなことがあれば、ドイツの最も本懐とするところであろう。自分は今回の問題について何か質問を受ける場合、できる限り日本の要求を支持して同盟の友好関係を全うしたい精神である」と述べた[12]。
駐日英大使グリーンは加藤外相に、中国側の態度はまことに了解しがたい、駐華英公使は日中両国が不幸な衝突を見るに至らないよう、北京政府に注意しており、袁大総統に直接申しいれてもいる、と語っている。

上記の通り英国はなお対日協力的でしたが、独は自分の奪われた権益ですから、反日運動に邁進している状態が以下の記事で出ています。

ハニトラ→美人局の現代版1

8月末頃からサーバー不具合の関係で、かき溜め消化になっている関係で、5月4〜5日頃から連載していた財務省次官のハニトラ疑惑関連記事の先送り分の復活掲載です。

選挙が自由に行われている日本で解散・総選挙を嫌がる野党の国会追及って?国民支持を受けていないのに、メデイアの応援を受けて国会で空騒ぎしているに過ぎないことを自白しているようなものです。
森かけやセクハラ問題の追及が国民の支持を受けているならば、解散は前回の選挙で負けたやり直しになるので党勢拡大の好機ですから大喜びのはずです。
ところが昨日紹介した日経調査の支持率で内閣総辞職を主張して解散になると、立憲と民主、共産社民、自由をあわせて現議員数121名→議席占有率で計算すれば、26%あまりですが、今の野党合計支持率が仮に15〜6%あまりしかないとすれば大幅減になります。

注 今になると上記、「昨日紹介した日経調査の支持率」の「昨日」とはいつのことか今になると不明です。
5月中旬頃の日経調査を検索しましたがすぐに見つからず、以下の文が出ましたので、参考のために引用しておきます。

2018/6/29付
日本経済新聞 朝刊
野党の支持率が伸び悩んでいる。日本経済新聞社の22~24日の世論調査では、政党支持率は自民党が44%なのに対し、衆院で野党第1党の立憲民主党は9%にとどまる。共産党は4%、日本維新の会は1%ともっと低く、5月に結党した国民民主党に至っては0%だ。野党の支持基盤の薄さが安倍内閣の強さにつながっている面もある。
多分5月調査を引用したのでしょう。
これで野党が解散に追い込む?のか逆に追い込まれたら?壊滅的でしょうから、内閣総辞職を求めている訳ではないと言いだして結局審議再開に応じました。

大手メデイアも選挙近しとなると、昨年のように選挙結果とあまりにも違う世論調査発表では信用をなくすのが心配になったのか、急にまともな結果を出すようになって来た印象です。
大手メデイアも選挙近しとなると、昨年のように選挙結果とあまりにも違う世論調査発表では信用をなくすのが心配になったのか、急にまともな結果を出すようになって来た印象です。
「大手メデイアの世論調査は・・(政治を一定方向へ誘導したい偏りがあって?)信用出来ない」と昨年の総選挙以降言われ出したのを気にしているのでしょうか。
日経の世論調査結果をネットで見ると、なぜか無党派層の64%が審議拒否否定データが出ていません。
なぜメデイア界では「綺麗どころ」ばかりが出世するかの疑問が言われているように、女性が何かの仕事をもらおうとすると性的サービスを要求されるのが普通と言われている・・性風俗の乱れが普通に言われている業界です。
芸能関係者の異性関係・ゴシップ報道がメデイア界にとっては重要ニュース・・定番でしたが、これを政治の世界に拡大した→営業政策の失敗とも評価できます。
・・芸能人のゴシップ記事みたいなことを国政の重要争点・・「あらゆる国政をストップするような事件かよ!」と多くの国民が苦々しく思っているのがわからなかったのです。
この関連で思いされるのは、安倍総理シンパで知られる元TBSの山口氏が安倍総理賛美する書籍出版直前(衆議院解散直前の絶妙のタイミングで)に発表された以下の事件です。
「ホテルに意識不明下で連れ込まれて強姦された」と刑事告訴した女性が記者会見して一時騒ぎになりましたが、結局刑事立件されなかったというネットニュースでした。
男性は女性が同意してホテルに行ったという主張だったと思いましたが、私は先ずは真偽は別として女性が何か仕事をしようとするとすぐにこういう関係になる業界だという印象を受けました。
ただ例によって安倍政権による捜査介入説もネット記事が飛び交っていてどちらが本当かわかりません。
事件の真相に関心があるわけではありませんが、今回のセクハラ事件と流れがひどく似ていますので以下引用しておきましょう。
以下の通り15年の強姦被害だというのに、記者会見が17年の解散がいつあるかというタイミングでした。

私、伊藤詩織が実名でレイプ被害を公表した理由 | 司法と政治の「ブラックボックス」をあばく

2017年、ひとりの女性が日本社会、司法、政治に大きな疑問符を投げかけた。
大物ジャーナリストからレイプされ、刑事告発するが不自然な経緯で不起訴となったため、伊藤詩織と実名を公表し、日本の性犯罪をめぐる「ブラックボックス」の実態を明るみに出した。現在は民事訴訟中だ。
2017年5月下旬、私、伊藤詩織は、東京地裁の司法記者クラブで記者会見を開き、自分のレイプ被害を公表した。
日本では、女性がレイプ被害を公表するなんて考えられないことだ。でも自分がとくべつ勇敢だったとは思わない。それしか選択肢がなかった。
伊藤の行動は、世界の#MeToo運動とも共鳴し、各国メディアから注目された。
本記事は、2018年1月に伊藤自らが「ポリティコ」ヨーロッパ版に寄稿した英文の邦訳である。
2015年4月4日の早朝、気が付くと私は東京のホテルの一室にいて、当時、TBSワシントン支局長だった山口敬之にレイプされていた。山口は安倍晋三首相と親しい関係にあるジャーナリストだ。
前の晩、私は就職の相談をするために山口に会った。その晩の記憶は、鮨屋で気分が悪くなり気を失ったところで途絶えている。私は刑事告発する決意をした。

これだけ極端・明日なトーリーであれば、刑事立件されないとは思えないのですが・・ただ、意識不明の大柄な女性を担ぎ込んだというストーリー自体の無理筋で警察は信用しなかったのでしょうか。
政権批判側のネット主張では彼女を引きずってホテルに連れ込む映像があったかのようにいい、男性側は昨年解散直前の選挙妨害?安倍政権潰しの陰謀に過ぎず、自分でホテルにはいった動画があったので不起訴になったという正反対の主張のようです。
上記は意見ではなく両立できない事実主張ですから、どちらか虚偽主張していることになります。
これに対するここからは私の意見ですが、それだけの客観証拠があれば不起訴とは考え難いところです。
そこで反安倍政権側は、政権の圧力を唱えるのですが、独立性の高い日本検察に政治圧力かけるようなことができるのか?常識的に無理な憶測のようですが、この点はどちらが本当か不明です。
ただ結論として、検察審査会でも不起訴相当になった事実は認めているようですから、
この審査会委員にまで政権の圧力があったとは想像しにくいことです。
検察審査会に対する圧力まで 言うと憶測で書いているのではないか?という印象を受ける人が増えるでしょう。
https://ameblo.jp/don1110/entry-12316396779.html

【Yahoo!ニュース(毎日新聞) 2017.9.29.】 「詩織さん」準強姦を不問に付した検察審査会 「不起訴相当」までの奇怪な経緯
詩織さんの代理人弁護士が言う。

「7月18日頃、第六審査会の伊藤事務局長から、追加の証拠の提出時期を確認されました。詩織さんの陳述書がまだでしたので、“その週のうちに”と回答したのですが」
(中略) 「事務局長から“証拠を追加のうえでの議決を希望されますよね?”と聞かれ、当方が“当然希望します”と述べたところ、“こちらにも都合がありまして”と言われたのです」
詩織さんの代理人弁護士が言う。
というのが検察審査会が政権の圧力を受けていると言う主な根拠のようですが、添付されている決定書を見ると9月29日ですから、2ヶ月もなぜ出さなかったか(申立書に詳細意見を書いているでしょうから新たに出す意見がなかったから?)不思議です。

その他補助審査員を選任しない点を批判していますが、法的判断の必要な時に選任するものであって、ホテル出入り時の動画を見ての判定・・自分で歩いて入ったか引きずられていたかくらいは素人でもわかるから必要がないということでしょう。
審査会でも起訴不相当ということは、外形的に見れば政権の捜査妨害説よりは安倍政権潰し演出説の方が客観性があるような印象ですが、本当を知るには民事訴訟の結果を待つしかないでしょう。
民事も動画次第でしょうから、動画の証拠調べさえすればすぐに方向性の決着がつくはずです。
(もうついているのかな?

定義変更の説明責任(戸塚弁護士インタビュー)1

june 6, 2018,「慰安婦=性奴隷論の説明責任1(言葉のすり替え1)」以降018/06/09/「慰安婦=性奴隷論の説明責任4(独仏の売春制度)」まで連載していましたが、その後横にそれていましたのでその続きです。
言葉の意味を自分の都合に合わせて変えるのって「嘘つき」に近い・・今流行り言葉でいえばフェイクというのではないでしょうか?
文学的レトリックと法の適用とは違います。
戸塚弁護士のインタビュー記事は、法的厳密な事実認定によるのではなく「文学的表現すれば・・」という程度であったことを表しています。
それならば法律学者や弁護士の肩書きで公式運動する以上は、文学的比喩的表現と限定主張すべきだったことになります。
(私も弁護士の肩書きがありますが、このコラムは繰り返し書いているように「仕事を離れた仕事の合間というか自宅に帰ってからホンの短時間ニュース等を見ているだけで丹念に読まずに直感的印象で把握している面があるので誤読もあり得るし・・独自の事実調査したものではない・「思いつき意見に過ぎない」というお断りを折りに触れて書いています。)
その意味では慰安婦騒動の起爆剤になった吉田調書の著者は、もともと法律学者でも弁護士でもないのですから、原則としてフィクションを書いたに過ぎない立場がある点で戸塚弁護士よりも責任が軽いことになります。
戸塚弁護士は弁護士の「業務」として慰安婦問題に取り組んできた成果の発表ですから、その道エキスパートとして慰安婦を定義づけるには、相応の責任があるでしょう。
吉田調書に関しては、メデイアが(裏づけ取材していれば基礎データがない・その場でフィクションに過ぎませんよ!という回答ないし印象理解を得られたはずなのにそれをあえて?省いて)飛びつきたくて?飛びついたに過ぎなかった点で軽率または故意に近いとして朝日新聞の行動は、もしも事実と違った場合には、全面的責任を引き受ける覚悟があったと言うべきでしょう。
これまで引用してきたインタビューでの戸塚弁護士の弁明?はこの時点では事実根拠を上げられず、ムード的当てはめをしたことを認めるかのような表現です。
大学の教員兼弁護士資格で研究成果のごとく発表して世界を誤解させ、国際的に日本批判を展開してきた法律家が、後で根拠を聞かれて?フィクションだったかのような弁明をするのは吉田氏よりも酷くないでしょうか。
フィクションとは明言していませんが、ネットで見る限り以下の要約抜粋しか出てこないので正確には言えませんが、(私のコラムは論文ではなく思いつきコラムなので彼の過去の発言を逐一チェックする暇はありません)印象的理解では、メデイア特有の思わぶりな誘導質問しかせずに(本来「どういう事実調査をして何がわかったのか?」という当然聴くべき質問をしない点は、吉田調書事件での朝日新聞が裏付けをあえて取らなかった対応と同じです)
再々引用ですが、以下のやりとりをもう一度みてください。

岩上「自由もなく、意に反して、強要されて、だまされて連れてこられた人達がいる。それらをトータルで見ると、望まぬことを強要される奴隷状態に置かれた人という定義になるのでしょう」
戸塚氏「奴隷は『所有物』。だから、『所有者』が『所有物』に対して人権を認めていないということ。そういう関係について、他の言い回しがちょっと考えられないので『性奴隷』という言葉を使いました」

「・・・こられた人達がいる」という前提をおく誘導的質問ですが、それをどうやって調べたのか、その比率が何%かの前提もない・・1%でもいたら全員性奴隷になるのか?
そもそも「・・・だまされて連れてこられた人達がいる」前提質問自体、実態調査によったのかそれとも時代小説のイメージで質問しているのかすらわかりません。
岩上氏が憶測的な前提を確定事実のごとく誘導的質問して、それに対してまともに答えられない戸塚氏はいきなり「所有物」観念を持ち出して答えています。
明日書きますが、仮に本意ではなく騙されて連れてこられた人が100%としても、その後その女性が奴隷下に置かれていたかは全く別次元の問題です。
人道上奴隷と定義できるかどうかは連れてこられた慰安婦の実態にかかることですが、この肝心の事実・・実態に言及なくいきなり「所有物」(ですから)「性奴隷」と言うしかなかったという結論が来ています。
慰安婦がもしも所有物扱いされていれば辞書的には奴隷でしょうが、ここのテーマは国語の解説ではなく、慰安婦が売買対象=所有物扱いされていたか否かの事実の有無ですが、それには肯定も否定もしない・答えられないで・国語の意味に逃げ込んでいます。
これは6月6日に紹介した韓国でのインタビューで、明らかになっている通り(いくらお国のためとは言っても)売春したい人がいるわけがない」という思い込みが、岩上氏には知られていたからでしょう。
岩上氏インタビュー引用の続きです。
「・・・強要されて、だまされて連れてこられた人達がいる」という前置き質問に対して、戸塚氏はその内容に入らずにいきなり「所有物」と定義づけした問答ですが、肝腎の「どのような事実があるから慰安婦が所有物と言える」かの説明が一切ありません。
「今日はこういうイベントがあるからおいで」と「騙されて行ってみたらそれほど面白くなかった」という場合、騙された人が奴隷になるでしょうか?
ご馳走してやるというのでついて行ったらラーメンだった場合、騙されたと言っても、奴隷になるわけではありません。
財産犯罪にも泥棒から強盗、恐喝、詐欺横領等いろいろ分かれていますが、騙されてもその結果によって効果はいろいろです。
騙された結果財産上の損害の場合詐欺罪ですが、「子供が泣いてるよ!と嘘を言って持ち場を離れさせたり、仲間が商品説明を求めている隙に別の商品等を持ち去れば詐欺ではなく窃盗です。
「騙された」と言ってもその次の行為や結果によって、言葉の定義が色々に変わることは、戸塚弁護士は法律家として常識のはずです。
騙されて行った先で「監禁されるなど逃げられない状態で反人道的行為を強制されて初めて奴隷的境遇」になるのです。
慰安婦の自由はどうであったかなど肝腎な点について何も検討せずに(騙されて連れてこられた慰安婦が何%いるかも検証していない様子ですが、)仮に「騙された」としても、騙された人間がいきなり誰かの「所有物」になるという超短絡的結論ですが、こういうムチャな論理思考自体単なるミスとは到底思えません。
弁護士でありどこかの大学教授も兼任しているという人物が、国際政治の場で日本政府追及の重要論拠として何年も使ってきた意見ですから「思いつき意見でよく調べていませんでした、ミスです」では済まないでしょう。
「ミスではあり得ない」とすれば、特定政治勢力に利するために「無理なこじつけ」をしたと疑いが濃厚になります。
こういう大胆(=短絡)発言・政治能力?を評価して大学教授にした大学も相当なものです。

ヘイトスピーチ12(わが国憲法論議1)

この辺で感情応酬の現状紹介を離れて、以下わが国の憲法論を見ていきます。
立命館大学の市川教授の意見です。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/15-2/ichikawa.pdf
研究ノート ◇立命館法学 2015年2号(360号)

表現の自由とヘイトスピーチ
市川正人  立命館大学大学院法務研究科教授
1 日本国憲法における表現の自由の保障
2 ヘイトスピーチとその規制
3 ヘイトスピーチ規制と憲法

特定の民族や国籍を有する人々などに対する憎悪を表明し,憎悪を煽る表現であるヘイトスピーチ(hate speech)が深刻な社会問題となっている。
在特会(在日特権を許さない市民の会)などによる在日韓国・朝鮮人を口汚くののしる街宣活動が活発になされ,それが「ネット右翼」によって拡散されており,ヘイトスピーチが日本社会において跋扈している感がある。
「ヘイトスピーチ」が2013年の新語・流行語大賞のトップテンに選ばれたほどである。
こうした事態は国際的にも関心を呼び,昨年7月に自由権規約委員会が,8月には人種差別撤廃委員会が,それぞれヘイトスピーチに対する法的規制を求める勧告を行っている1)。
もっとも,京都朝鮮学校事件については,抗議活動に参加した者の刑事責任,民事責任が認定されている。
このことは,ヘイトピーチに対して現行法によって一定の規制がなされうることを示すものである。
しかし,現行法では不十分であるとして,また,ヘイトスピーチの禁止・処罰が国際的な人権条約の要請であり,既に100ケ国以上の国においてヘイトスピーチを禁止し処罰する法律が制定されているとして,わが国においてもヘイトスピーチを禁止し処罰する法律を制定すべきであるとする意見も強い。
そこで,以下では,ヘイトスピーチを禁止することには,日本国憲法による表現自由の保障との関係でどのような問題があるのか,あるいは,日本国憲法の下でヘイトスピーチの禁止がどこまで許されるのか,について論ずることとしたい。

以下論点ごとにまとまった論説・スッキリした論理展開と思われますが、引用するには長すぎますので、関心のある方は直接上記論文を参照してください。
私が読んだ印象では「思想自由市場に委ねるべきで性急な規制は禍根を残す懸念が強い」という論旨のようです。
以下、結論だけ引用しておきます。

終わりに

以上の私の立場からすれば,人種差別撤廃条約4条abが挙げているものをそのまま禁止・処罰するような法律は日本国憲法の下では認められないが,他方,ブランデンバー
グ判決の基準を満たすような人種集団に対する暴力行為の煽動や,侮辱を自己目的とするような特定の民族に対する特にひどい侮辱的表現を処罰するような,きわめて限定的なヘイトスピーチ処罰法ならば,規定の文言が明確であるかぎり,日本国憲法の下でも許容される可能性があることになる。
しかし,憲法上の許容性と立法することの政策的適否とはまた別の問題である。
後者についても,ヘイトスピーチ処罰法の差別解消にとっての効果23),表現の自由の保障に与える影響を考慮に入れて,慎重に検討すべきである。
こうした拙稿のような立場については,ヘイトスピーチがマイノリティの人々に対して与えている被害についての理解,想像力を欠いたものである,所詮,マジョリティの立場からの立論に過ぎないといった強い批判がある24)
確かに,ヘイトスピーチの問題を考えるにあたりマジョリティに属する者にはマイノリティの人々の被害についての想像力が求められる。
しかしまた,ヘイトスピーチを禁止し処罰する法律を制定した場合,それがわが国における表現の自由の保障に対してどのような影響を与える可能性があるかについての想像力も必要ではないだろうか。

[補足]
本稿は,日本司法書士会連合会(以下,連合会)の機関誌である「月報司法書士」201
5年5月号のために執筆したものであり,校正も終了していたが,ヘイトスピーチの実例が記述されているために不掲載となったものである。
以下中略
その結果,不掲載という結果となったわけである。
月報司法書士は連合会の機関誌であるから,依頼した論稿を掲載しないと連合会が判断したことは,表現の自由行使の結果であり,非難されるべきことではない。ただ,本稿をめぐるやりとりが,ヘイトスピーチの規制の可否を論ずることの難しさを示していることは確かである。

市川氏が「憲法上の許容性と立法することの政策的適否とはまた別の問題である。」と言うように仮に憲法論をクリアーしても規制が先行するとかえって民族間の亀裂を深くするマイナス面の考慮が必要でしょう。
この辺は同感です。
政治は国内分裂を広げるためにあるのではありません。
辛 淑玉氏のウィペディア記載の意見は以下の通りです。

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(いわゆる反ヘイトスピーチ法)について
「保護の対象が限定されるなど十分ではない。ヘイトの被害は米軍基地に反対する沖縄の人々にまで及ぶ。」[2]。
「反ヘイト法ができました。一歩前進するかな、と期待したんですが、全く変わらない。罰則がない。増えたのは、これを作ったことへの逆ギレですよね」

彼女は罰則などを厳しくしていないのが不満なようですが、逆に民族間憎悪の過激化を煽る言動の方こそ問題ではないでしょうか?
ウイキペデイアによれば、以下の通り在日からも批判があるようです。

前田日明(元在日韓国人、1984年に帰化)は、「名前を出して悪いんだけど、辛淑玉さんなんか見てると、情けなくなってくる。差別されたとか、日本は加害者だとか言うだけで、それだけ叫び続けて一生を送るのかなと思うと、とてもおれは共感できない。」と批判した[29]。
鄭大均(在日外国人、韓国系日本人)は、金嬉老事件における辛の発言を引き合いに出して「メディアに登場する在日のなかで、姜尚中と辛淑玉ほど違和感を覚える人間はいない。辛淑玉に関して言えばその歯に衣着せぬ語り口はいいのだが、思いつきやデタラメが多すぎるのではないか」「在日コリアンの被害者性という現実的であるかもしれないが非現実的であるかもしれない状況に、自己を憑依してものを語る傾向がある」「辛淑玉の一見奔放な語り口が、驚くほど古風な被害者的立場や対抗主義的立場との見事な整合性を維持している」と批判した[30]。

過激なことを言ったりやりすぎると「自民族のためにならない」と危惧するまともな意見というべきでしょう。
ヘイト問題も厳しくすれば解決するものではありません。

「不法滞在は信号無視程度」か?3(自然犯と法定犯1)

不法滞在と道交法違反の違いに戻ります。
道路交通法等の取締法規は、類型的な危険行為をあらかじめ規制しておく予防行為でしかない点・・・、技術的規制である道路交通法違反と実害が起きた場合に処罰する場合とは法の本質が違っています。
昔の分類(今ではその区別がはっきりしないので、こういう分類にあまり意味がなくなりましたが、今でも一般の法意識ではまだ厳然たる区別意識があるでしょう。
スピード違反で捕まった程度ならば気楽に人に話しますが、泥棒で捕まったと自分から言う人は滅多にいないでしょう。
社会の道徳意識では、昔からの自然犯(殺人、傷害、窃盗などと)と法定犯(金融取引法・宅建業法や建築基準法などの各種取締法規違反)で大違いと言えるでしょうか。

https://www.bengo4.com/gyosei/1127/d_7169/

法定犯とは、行政上の目的を果たすために定められた刑罰法規に違反するために、犯罪性・反道義性が生じる犯罪を意味する。行政犯ともいう。
法定犯に対して、刑法典に規定されている犯罪のように国民一般にとって当然に反社会的で処罰に値すると考えられている行為を自然犯または刑事犯と呼ぶ。
自然犯を「それ自体の悪」といい、法定犯は「禁じられたがゆえの悪」といわれ、区別される。
しかし、国民の規範意識・道義意識は社会の変化とともに流動するものであり、どの犯罪類型が自然犯かはっきりと区別することは難しくなってきている。
たとえば自然犯である賭博や堕胎の反道義性は薄らぎ、逆に、法定犯である選挙犯罪や税務犯罪に反道義性を感じるようになってきている。

上記例の「賭博や堕胎の反道義性」と言うのは、自然犯としては、歴史が浅い・・もともと全面的違法ではなく、技術的区分けした限度で違法という意味では法定犯の一種です。
例えば車の運転自体が違法ではなくスピード違反や信号無視その他の規制に反する時だけ違法なのと同じです。
賭博でいえば、人間本性として一定の賭け事・人生を賭ける・・一か八かの挑戦をするのも一つの生き方です。
ルビコンを渡り、桶狭間の戦いのような政治決戦に限らず事業でもなんでも、大きな仕事を成し遂げた事例は、皆この種/乾坤一擲の挑戦力によっています。
私の受験したころの司法試験挑戦も、現役合格者を除いて一旦浪人の道を選んで数年挑戦して最終的に合格しなければ通常の就職コースから外れてしまうので人生真っ暗です。
この乾坤一擲の挑戦力・・度胸の有無で多くの人が脱落していく世界でした。
企業であれ国家であれ、あれこれ調査して絶対安全な商売ばかりでは、結果的に人真似→後塵を拝するばかりでその企業はジリ貧です。
賭けることが悪いのではなく、(社運や人生を賭ける勝負は常習化しようがないのですが)パチンコのように小銭を賭ける方法・・それが常習化しやすいパターンの場合、家計を破綻させ人間性まで破壊してしまう怖さです。
そこで、競輪競馬、その他公営に限定して一定の賭博行為を公認している所以ですが、この10年前後ではパチンコ中毒化が社会問題になってきました。
飲食施設や建物の有用性を認めるが一定の基準を守らせないと危険だから規制があって、これに違反すれば処罰されるのはいわゆる法定犯です。
賭博行為はそれ自体人命や資産を侵害するイコール的違法行為ではありません。
一定のルールを守りさえすれば殺人や強盗も許されることがないのと比べればわかるでしょう。
賭博の弊害が古くから知られていたので自然犯に組み込まれてきたに過ぎない面がありますから、こう言うのが時によって犯罪性が低くなっても自然犯と法定犯の境界が曖昧になった例にはならないでしょう。
昨今大麻の解禁が世界的話題になっていますが、覚醒剤等はそれ自体が誰かの権利侵害行為ではないのですが、常習化しやすいことから、幻覚等による自傷他害行為に結びつくほか、利用者の人格破壊にもなるので予め規制しているに過ぎない技術的なものです。
ですから、医師等の有資格者が治療に用いるのは自由ですが、自分勝手に用いるのを禁止しているに過ぎません。
車もそれ自体違法性がなく、むやみに走らせると危険であるから、運転のルールを定め、これを守れる人に運転免許を与え、免許を持たない人が運転するのが違法になるのと同じです。
賭博そのものが悪いのではなく、常習化が怖いと言えるでしょう。
人体損傷行為は原則違法であるが治療のための損傷・手術や注射等は正当業務行為として違法性阻却されるのですが、覚醒剤や車運転等はそれ自体の違法性がなく、運転免許がないのに道路を運転したという道路交通法の規制違反というだけのことです。
ですから、車を道路で運転するには免許がいるし、運転ルールに従う必要があるというだけですから、運動場や駐車場など道路以外で運転しても事故さえ起こさなければ、道路交通法の対象外・・処罰対象にはなりません。
覚醒剤等もそれ自体が本来的(自然犯的?)犯罪ではないので、各種取締法で「法定の除外事由」というのがあって「それ以外は所持し使用してはならない」という仕組みになっています。
除外事由に当たればそもそも、犯罪構成要件にすら当たらないのです。
この点が、医師の治療行為が傷害罪の構成要件にはあたるが、正当行為として次の段階で阻却されるのと次元・ランクが違っています。
以下に見るように覚醒剤は、乱用防止が目的です。

覚せい剤取締法
(この法律の目的)
第1条 この法律は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うことを目的とする。
(所持の禁止)
第14条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。
以下省略

銃刀法の場合は、もともと所持自由を前提に、法で禁止した刃物に限って初めて許可なしに所持すれば違法になることを明らかにしています。

銃砲刀剣類所持等取締法
第二条
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の・・・・をいう。
第三条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一 法令に基づき職務のため所持する場合
以下省略

自然犯とされる殺人、傷害、強盗窃盗等では、そもそも「人を殺してはいけない」「盗んではいけない」」などの禁止規定すらありません。
全部チェックしていませんが、刑法犯は全てそういう仕組みだと思います。
特別法の場合・例えば刃物所持や自動車運転のように全部違法ではなく、「こういう場合に限定禁止」としているだけで限定禁止以外は自由になります。

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