憲法論と具体論の重要性(韓独など憲法裁判所の観念性1)

理念の言い合いでは最後は罵り合い・解決になりませんが、私の地元自治会婦人部では「生を受けた以上全うせてやりたい」ということから、「公園に罠を仕掛けて捕獲すると避妊手術して放してやり、避妊手術済みの猫には責任を持って毎日一定の場所で餌やり」しています。
それでも「避妊手術すること自体許されない」という人がいますので、自治会でやるのではなく「有志」が寄付でやっているようです。
避妊手術費用や毎日の餌代等一定の費用がかかるので有志の寄付(私も寄付しています)によっていますが、動物愛護という掛け声だけで野良猫の繁殖放置でも困る矛盾解決努力の結果、避妊していない猫を無くしていく努力がある程度効果を奏しているようです。
近所の野良猫は毎日餌もくれるし目の敵のよう追い回されなくなったからか?入れ替わり立ち替わり来ては(みんな顔見知りばかりで知らない猫はいなくなりました)我が家の庭で安閑と昼寝をしています。
冬には、日の当たる場所に落ち葉をある程度掃き集めると、その上に座って私が残りの落ち葉を掃き集めるのを じっと見ている猫もいます。
佛教〜儒教〜実学(御定書の編集などによる判例重視)への流れについては、03/13/08「政策責任者の資格9(儒教道徳と市場経済4)」前後で連載しました。
この意見の延長で、儒学の深遠な哲理では、赤穂浪士を裁く基準にならず困ってしまった例を引いて「非理法権天と野党1」December 25, 2016でも書きました。
なお、そこでは最近盛んになっている近代立憲主義の萌芽について、「非理法権天」の法理主張が始まった流れ・公儀に対する政策批判道具として用いられた経緯も少し紹介しています。
18年1月27日日経新聞土曜夕刊10p(最終裏)には、「法廷劇が問う撃墜の是非」の題名で面白い記事が載っています。
以下は私の要約です。

満員のサッカー場に突入予定のテロ犯によるハイジャック機を、空軍少佐が独断で急発進してこれを撃墜し乗客等合計164人の命が奪われ、他方7万観衆の生命が救われた。
少佐は英雄なのか殺人罪で処罰すべきかの判断を観客が、芝居が終わるまでに一人一人回答する・一種の陪審劇です。
ドイツで実際に10年ほど前に起きた航空安全法の議論を下敷きにしたものだそうです。
この法案は連邦憲法裁判所によって違憲とされたらしいのですが、2015年の公演開始以来世界各地の「評決」では、無罪にすべき・合憲論が圧倒的多数で、ロンドンやウイーンでは全公演で無罪だったと出ています。
ちなみに作者のシーラッハは、違憲判断支持らしいですが、作者の思惑・意図とは逆の結果になっているようです。
ちなみに日本公演結果は、(現在も進行中らしいですが)上記新聞記事記載まで12回の公演では6対6で欧州と違いどっちつかずになっている・・・テロの脅威実感の低さがこの結果になっているとの記事の解説です。

ドイツや韓国では、具体的事件に関係なく観念論で成否を判定する憲法裁判所があるようですが、具体的事件に関係なく判定するのでは、裁判所というよりは学問所みたいな仕組みです。
慰安婦騒動や徴用工問題がこじれる原因になったのも、韓国の憲法裁判所が政府が日韓条約で権利放棄しても国民を拘束できないと観念論で判決したことが始まりです。
国政の重要事項を現実に即して考えるか、観念論で決めるのが良いかは国によって違いますが、わが国や英米法のように「争訟性」具体的事件の当事者が訴訟提起できる・・現実に即して考えるのが正しいと言えるでしょうか?
具体的事件が起きる前からある法律が憲法違反かどうかを決めるのでは、例えば現亜pつ訴訟やその他多くの裁判は政治効果の大きなものがありますが・特に憲法判断は政治効果に直結する高度な政治行為です。
このように政治に直結するので実務(商売人ほどその商売)に詳しくないとはいえ、裁判実務に精通した裁判官が判断するし、詳細事実認定をした上で判定するものです。
憲法裁判制度は、具体的事象が起きない内に判定するものですから、原則として抽象論で決着しがちです。
集団自衛権論でいえば、具体的事件が起きて政府の他国援助が自衛権の範囲を超えているかどうかで具体的に判定する必要がある・事案が発生しない段階で「こういう違憲の場合しかない」と前もって言えないはず」という意見を書いてきました。
憲法裁判所制度は、神様のようにあらゆる事象を前もって見通す能力を前提に「違憲」になるという断定するものですから、そもそも無理があります。
民族性として「一般人とエリートでは格段の能力差がある」→エリートの指導に従って行動すべきという思想を前提にした制度です。
我が国では憲法裁判所制度ではなく具体的事件があって初めて・前提となる法律が憲法に違反しているかどうかを判断する仕組みです。
これは、ボトムアップ社会に適合した議院内閣制などと共通した制度設計というべきでしょう。
以下に紹介するように、憲法81条では「最高裁判所は一切の・・終審裁判所」となっているので最高裁判所以外の憲法裁判所の設置は予定されていません。

憲法
第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

次に抽象的に憲法判断を求めらるか?というと、76条で「すべて司法権は・・」となっています。
司法権とは具体的事件を法に基づいて裁くものですから、争訟性がないと末端裁判所に訴え提起しても却下される仕組みです。

裁判所法(昭和22・4・16・法律 59号)
3条 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

いわゆる「板マンダラ事件」に関する最高裁判例です。
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/84-3.html

寄附金返還請求事件
最高裁判所 昭和51年(オ)49号
昭和56年4月7日 第3小法廷 判決
[1] 裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であつて、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和39年(行ツ)第61号同41年2月8日第3小法廷判決・民集20巻2号196頁参照)。したがつて、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であつても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。
[2] これを本件についてみるのに・・・以下略
・・・・本件訴訟の争点及び当事者の主張立証も右の判断に関するものがその核心となつていると認められることからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであつて、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。
[3] そうすると・・論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。・・被上告人らの本件訴は不適法として却下すべきである・・・」
※寺田治郎裁判官の補足意見は多数意見とは違い争訟性があるが、宗教教義に立ち入れないので、結局原告は錯誤内容を主張できない・許されない?ことを理由に棄却すべき・だが被告が控訴していないので高裁に差し戻しても棄却できないので、結局的に却下という結論を同じくするというもののようです。
(勉強不足の私にとっては、補足意見の処理の方がわかり良いように見えますが、ちょっと技巧的にすぎるということでしょうか?)
日弁連の事例では、ある単位弁護士会で懲戒処分したことに対して対象弁護士が弁明を聞く手続違反があるとして異議申し立てしていたところ、日弁連がこの手続き違背を理由に破棄して単位会に差し戻した事例があります。
ところが、その事件では対象弁護士が単位会の懲戒処分後他の弁護士会に移籍していたために原単位会に差し戻されても原単位会では(対象弁護士はもはやその単位会の会員ではないのですが・懲戒処分後日弁連に継続した後に事件が原単位会に戻った場合には、その手続きの範囲内でその間に移籍していてもなお原単位会で処分できるような規定が整備されていなかった・今も同様です)再審査できない状態だったので、日弁連で自判しないと事件が宙に浮いてしまう事例であったのに、日弁連が差し戻してしまったことがあります。
上記最判の運用を見れば、こういう場合差し戻さずに「自判」すべきだったことになります。

天皇制変遷の歴史3(連署1)

ところで、明智光秀謀反の黒幕に絡んで
「信長が(恐れ多くも?)安土城内に朝廷・ 御座所を取りこむ構想を持っていた」ことが前の関白を中心にしてクーデターの陰謀が成立したなどという着想が時々小説などに出てきますが、このような視点でこれを眺めると、幕末小御所会議のクーデター以降、事実上天皇・錦旗を擁した薩長勢力が、天皇の神輿を担いで(安土城への移転に代わって)そのまま江戸に移動した格好です。
連署については、10月26日に憲法を紹介して少し書きましたが、我が国では古くから重要文書には連署する習わしがあります。
北条泰時が始めたと言われますが、江戸時代には老中が幕府正式文書には連署する習慣になっていたようです。
http://www.city.sanda.lg.jp/gakushuu/sisi/documents/siryo2.pdf

「三田市史」の史料 その2
『三田市史』第4巻近世資料(166頁63号)
江戸幕府老中連署奉書
(年未詳)三田市所蔵九鬼文書
御状令披見候、公方様益御機嫌能被成御座恐悦旨得其意候、将又今度首尾好御暇日光山御宮御堂参詣有之而去五日在所到着難有被存之由
尤之事候、依之為御礼被差越使者御肴一種進上之候、
右之趣遂披露候処一段之仕合候、
恐々謹言
板倉内膳正重矩(花押)
六月十九日
土屋但馬守数直(花押)
久世大和守広之(花押)
稲葉美濃守正則(花押)
(隆昌)
九鬼長門守殿

幕府老中は月番制度と言われていますが、重要事項に関しては臨時に合議していた他に公文書発給には連署していたようです。
この習慣が各大名家に広まったからか、家老会議に加わるものの中で連署資格のあるものを加判の列に加わると表現されるようになります。
明治憲法下での国会召集詔書の写しは国立公文書館史料に出ています。

https://www.digital.archives.go.jp/das/image/F0000000000000014526には明治23年10月9日付け帝国議会招集の詔勅の写しが出ていますが、これには明治天皇の「睦仁」の署名の他に次ページに山縣有朋以下の閣僚の署名があります。

※ 1年ほど前に、この原稿を書いた控えには、その写しが残っているのですが、コラムに掲載しようとすると何故かコピペできませんので、関心のある方は公文書館に入って確認してください。

現在の議院内閣制でも天皇の名において国会を召集しますが、詔書には内閣総理大臣の副書が必要です。http://ryoichiinaba.jp/?p=110からの官報の写し引用です。 

日本国憲法第七条及び第五十二条並びに国会法第一条及び第二条によって、
平成二十五年一月二十八日に、国会の常会を東京に召集する。

  御 名  御璽

    平成二十五年一月十八日

                     内閣総理大臣臨時代理

                       国務大臣 麻生 太郎

法令を公布する場合には内閣総理大臣と担当大臣の連署が必要です。
連署を拒むことはありえないと思いますが、仮に内閣総理大臣や担当大臣の副署しない詔書が発行されても、公布の効力がないとされるでしょうか?
徳川時代でいえば、将軍家の同意がないということで無効(紫衣事件)でしょうし、現在でも天皇が独断で任命したら内閣の助言承認がないという点では同じです。
いわゆる天皇の大権と内閣の助言承認との違いですが、実際の実力関係・実質決定権は徳川時代も明治時代も現在も変わらないように思うのは私だけでしょうか。

キリスト教国の国際条約4(異教徒は守る気になれるか?1)

「人としてやって良いこと悪いこと」の内発的価値観がない・・仕返しを恐れるだけの場合、勝てばそのチャンスに相手が仕返し出来ないほどとどめを刺すしかない・・徹底的に痛めつける・・インデアンに対するように民族として生き残れないほど弱体化させてしまう・ジェノサイドが普通のやり方になって行きます。
こう言う価値観で欧米人が世界支配した近代〜20世紀は弱肉強食の世界になってしまったのは、仕方ないところです。
ここで16年8月以来中断している(17年1月16日にも若干触れています)ウエストファーリア条約の本質・キリスト教徒間だけで人道主義が語られて来たテーマに戻ります。
ギリシャ・ロ−マの民主制と言っても「市民」だけだったように、欧米の人道主義は「ブルジョア」の市民から始りキリスト教徒一般に枠を広げただけのことでした。
フランス革命もブルジョアジーだけの自由人権でした。
このきれいごとと言うか実質のない欧米の民主主義や人権思想に異議を唱え始めたのが最近のイスラム教徒の難民を含めた「乱」の本質と言えそうです。
異教徒除外の人権思想に最初に公式の会議で異を唱えたのが日本で、第一次世界大戦後国連でこれを主張したことが英米の怒りを買い・・「報復のための戦争」植民地支配にモンクを言った現地人を見せしめに「縛りクビ」にするのと同じ懲罰戦争に引きずり込まれたことを書いてきました。
条約の発展に戻りますと、その後名誉白人?日本も対等者としての戦時条約に参加をするようになり、今では世界中でいろんな国が参加する条約社会になっていますので、本来的にキリスト教徒オンリーの原則が見え難くなっているので、ここでその本質・・由来を書いておく必要があると思って書いています。
ただ戦争等の極限状態になると、欧米人はキリスト教徒オンリーの本音が表面化し易いから物事の理解には由来が重要です。
アメリカは戦時陸戦条約・・ハーグ条約に加盟していたのに対日戦争での残虐行為・・相手の武装解除を良いことに降伏条件を超えた無法な支配した・・臆面もなく実行して来たのは、この歴史・・異教徒にはどんな残虐なことでも背信行為をしても良いと言う意識が根深くのこっていたからではないかと言うのが私の憶測です。
キリスト教徒か否かで差を付ける考え方は、ドイツのユダヤに対する差別、アメリカで日系人が全財産没収されて荒野の収容所に収容されたのは、ドイツでのユダヤの処遇と共通です。
ただアメリカは食糧が豊富だったので飢え死にさせなかった違いだけを理由に、ナチスドイツ批判しているのですが、根本の発想は同じでしょう。
日米戦争が始まった時のヒットラーのルーズベルトに対する祝電(日独同盟よりも人種差別優先・露骨に表現した非白人をたたきのめせ!と言うような祝電でした)を紹介しましたが、英米独ソの戦いの次元は異教徒との戦いより低いものだったので、もしかしたらルーズベルトがナチスのユダヤ系収容開始に祝電を送っていた資料がその内出て来るかも知れません。共産主義対自由主義の戦いも異教徒日本との戦いよりは次元の低い争いです。
ルーズベルトにとっては、共産主義対自由主義の戦いも、異教徒日本との戦いの方が優先だったし、日独同盟よりはアジア人撃滅の方位が優先していたのです。
ヒットラーの祝電が今になると探せませんが、10月6日に紹介した以下の記事はかなり詳しい分析です。
http://bewithgods.com/hope/japan/14.html

「日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』から

という題名ですが、内容はフーバー回顧録の要約にとどまらず、ミアーズ論文の要約がかなりを占めていますが、そこには私の年来の主張とほぼ同旨の主張が網羅的に引用され主張されているのに驚きます。
私の意見といっても、多くはあちこちに発表されれている意見・主張を無意識のうちに飲み込んだ上で、自分の意見であるかのように思い込んでいることが多い(と時折書いていますが・・)ことの例証かもしれません。
戦時に関する条約に留まらず今や商取引・知財、犯罪人引き渡し条約その他いろんな種類の国際条約が締結されるようになっていることは周知のとおりですが、これら条約が発達するとこれをも守らせるための判定機関として国際司法裁判所,海事・商事裁判所などが設置されるようになっています。
こうした先例や条約・ルールを守れというというルールも先進国による後進国支配道具に使われている実態も上記に紹介されています。
徐々に国際的に「法の支配」が行き渡り始めたように見えましたが、14年にロシアによるクリミヤの武力編入+ウクライナ侵攻が行なわれ、西側世界が反発してもロシアは一歩も引かないでそのままですし、フィリッピンが南シナ海で領海問題で中国を訴えていた結果、フィリッピン完勝の裁定が出ましたが、中国はこんなの「認めない」と宣言しています。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071200762&g=int

「南シナ海をめぐる仲裁裁判の判決は、中国が習近平政権下で積極的に進めてきた同海への進出の法的な正当性を明確に否定した。中国外務省は、声明で「判決は無効で拘束力はなく、受け入れず、認めない」と判決を拒否。

他方で、(16年7月ころ原稿記載ですから今になるといつか不明です)フィリッピン大統領が「覚せい剤等の犯罪者をドンドン射殺しろ」と命じたか、選挙公約だったかの結果、短期間に射殺された公式発表だけで6000人以上に達している事態らしいですが、これに対する、国連の人権侵害批判に対して同大統領は、(モンクあるなら)「国連脱退して中国と新たな国際組織を作る」とまで公式発言して大騒ぎになっています・・直ぐに外務大臣が火消しに努めているようですが・・。
本来フィリッピンと中国の領海争いでフィリッピン完勝・・有利に出た裁決ですが、これを守らないと言い放つ中国の宣言はフィリッピンに不利な発言ですから対決すべき状況ですが、ドーテルテ大統領はせっかくの判決の成果を無視して就任後中国寄り姿勢を明確化しています。
国益と関係なく現行国際秩序無視の中国と連帯・あるいは利用した方が自己保身に有利と言う読みでしょうか。
トルコも歴史的な大宿敵ロシアに対抗するためにNATOに加入しその軍事力の大きな部分をになっているし、EU加盟を熱心に運動して来た経緯があります。
ところがいつまでもEU加盟を認められない・・(本質はキリスト教国ではないからです)のに業を煮やしたのか、シリア難民問題でドスをEUに突きつけた関係になり、更にはクーデター未遂事件以降、大規模国内弾圧を繰り返していわゆる西欧的価値観・・民主国家の仲間から離れて行く勢いです。
以上は16年夏〜秋ころの原稿意見でしたが、その後もトルコは欧米離れの方向性が激しくなる一方です。

軍国主義者?公職追放と左翼伸長5(フーバー回顧録)

多くの国の思想界を普通の状態でみれば、民族系と左翼系(グローバル系?)の両輪が併存しているのが健全?ですが、占領軍支配の約6年間で民族系学問思想が根こそぎ壊滅させられているし、アメリカからの独立後もアメリカに楯突くようなるとまたアメリカのイジメに遭うのが怖いのでアイデンテテイー重視論はタブー視されてきました。
民族系意見は公式発言出来ない状態・・少しでも民族意識が垣間見えるような発言をするとたちまち失言・妄言としてメデイアが袋叩きにして・(事実が正しいか否かの議論を一切させずに・この辺は戦前天皇機関説が正しいかを問題にせずに叩いてきたやり方と同じです)大臣辞任要求しては失脚させることが最近まで続いていました。
この辺はhttp://bewithgods.com/hope/japan/14.html「日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』から
に詳しく出ています。
日本では占領政策の遂行を円滑化する目的で文化人類学を装って発表された「菊と刀」に対して逆の視点でミアーズによって書かれた「アメリカの鏡・日本」(多分日本人の賞賛すべき道徳状態を書いたものでしょう)を入手した日本人が翻訳許可願いを出しても許可されなかった事実(そもそも米国内流通の出版物が日本で翻訳するのにいちいち許可が必須であったことと自体驚きです)書いています。
そして日本独立後もメデイアや学会でタブー視されていた結果か?(これは私の想像です)上記論考発表時点では「アメリカの鏡・日本」がまだ日本語訳が出版されてないという驚くべき現状「GHQ検閲に未だに呪縛されるマスコミ」として紹介されています。
GHQによるプレスコード・米図だけではなく、中ソ朝鮮批判を許さないという基本をいまだにメデイアカイアy学会が一糸乱れず守っているようです。
アメリカによる直截支配力が弱まって行くとマスコミや思想界では、アメリカ支配と同居して伸びていた左翼系思想だけが内部増殖して行ったように外部から見えます。
労働界・総評の左傾化進行については、このあとで紹介します。
左翼系はその後ソ連派と中共派に二分化して行きますが、政府批判には何かとアメリカの戦後秩序を利用する・・反戦平和論や人権や表現の自由・・最近では、防犯カメラの肖像権侵害反対や秘密保護法や共謀罪、マイナンバー法反対など全て欧米主導の「近代法原理に反する」と有効利用する・・良いとこ取りをして来たのが左翼系運動です。
一方で・・靖国参拝などには何故か慰安婦問題や過剰反応して中韓と連帯するなど・・あるいは表現の自由を極力主張しながら、中韓政府の人民弾圧あるいは公害垂れ流しには黙っているなど左翼の複雑な矛盾行為の基礎が占領政治下での左右(マルクス主義信奉と資本主義擁護派)同居のときに形作られたものと思われます。
革新系野党や文化人はソ連の主張そのままコピーしたように主張してきたことが、ソ連崩壊後やソ連元要人からバラされたことを紹介しましたが、その手段として西側諸国の人権思想を表向き利用して主張してきたことになります。
今の中国が自由貿易の恩恵だけ主張し、自分はやりたい放題・ルールを守らないのと同じやり方です。
戦後の社会は変化が激しいので、間断なく新たな制度設計が必要ですが、マスコミや左翼系は新しい制度には先ず人権公害、弱者保護などの名目で「何でも反対」して妨害してきた基本構造です。
本音は中韓の反日政策実現であっても表向きアメリカの圧力利用でしたが、ここ10年くらいでは、アメリカの要求による政策反対傾向がはっきりしてくると、アメリカのバックを期待できなくなったので、新しい法制度準備が進むと左翼・文化人が必ず持ち出す「近代法の原理に反する」と言う漠然とした主張や国連人権委員会等を利用した日本攻撃が目立つようになり、私のようなノンポリでも「おかしくないか?」と疑問に思う人が増えてきました。
もともと冷戦時代から日本よりひどい公害の出しっ放し・原水爆実験やり放題の中ソの批判をしない点で、不思議だと思っていたことを10年以上前からこのコラムで書いていましたが・・その関心で検索していると昨日紹介したように「ソ連からの資金手当とその指示」を先進国水準主張かのようにカモフラージュして日本国内で主張実践していただけとわかってきたところです。
ヒューマンライツナウは人権救済運動だと言いながら、主にユニクロなど日本のアジア進出企業の低賃金労働などを槍玉にあげてきましたが、日系工場より何倍も過酷な低賃金労働をさせている現地中国人経営の労働実態には知らん顔です。
要するに外資進出を要請しておきながら、事実上国内企業優遇したい中国政府の思惑に乗って、日本企業(に限らず外資)のハードルを高くする政策です。
賄賂で決まる社会・・「郷に入りては郷に従うしかない」のに、現地基準が、先進国基準に合わないと賄賂摘発その他人権侵害で叩かれる・中国企業はどんどん特別扱いで商売して行くのに外資が現地基準で行動すると摘発される仕組みです。
要するに中国は国際基準を有利に使っておきながら自分は守らない・・相手を自分で非難できないので人権団体に資金をつぎ込んで先進国国内撹乱を狙っているように見えます。
それを手助けしているのが彼ら人権団体と称する組織ではないでしょうか。
今回の中国のウイグル族に対する言語を絶する過酷な弾圧問題なども前から言われていたのに、国際社会が黙認していいたのですが、トランプ氏が対中批判の一環でこれに火をつけたのでようやく国際関心対象になってきました。
それでも人権問題のための組織と主張するヒューマンライトナウのホームページに入るとこの問題に全く触れていません。
日本企業のアジアでの低賃金問題摘発に特化しているのではないかというイメージです。
ソ連や中国の指示なのに、日本弱体化・政策反対のためには「先進国基準」や公害。騒音反対などという形で(歴史修正主義などの主張や先進国水準)利用ができなくなってきたこの10年ばかりでは、国連人権委員会等の悪用が目立つようになってきました。
革新政党や日弁連の共謀罪法反対論に対して、合理的説明がない・共謀罪のない国があるのか?スパイ取締法がある国はどこなのかの基礎データを出して議論すべきだと書き、共謀罪やスパイ防止法のある国は、人権侵害国家と言うのか?集団自衛権・・相互防衛条約のある国は軍国主義国家になるのか?と言う疑問を書いていますが、そう言う比較法の議論をしているのを未だに聞いたことがないと書いてきました。
18年3月16日に事務所に届いた日弁連委員会ニュースによると、(それまで私が気付かなかっただけかもしれませんが)初めて具体的な比較が出ていました。
共謀罪法対策本部ニュース14号(2018、3)では、「ドイツでは適用団体が限定され、イギリスでは配偶者や未成年者との共謀が対象外とされているが、日本の共謀罪は無限定であり、恣意的運用が可能である」という高山佳奈子京都大学院教授の講演が紹介されています。
ようやく具体論が出てきたところですが、それにしてはお粗末・「近代法の法理に反する」と言う理由で大反対してきた根拠としては違いが細かすぎませんか?という印象です。
イメージ的には、左翼系学者が総力をあげて?何かケチをつける材料を数年がかりで世界中で探したら、ようやくこの程度のものが見つかった?ので自慢げに報告しているのですが、この程度の成果を出すために(日本でも配偶者等々の共謀を例外扱いを求めるために)国会審議を拒否して「近代法の法理を破壊する」という大上段の大規模政治運動をしてきたのでしょうか?
例外扱いが合理的・・日本の共謀罪法には例外がないことが反対理由ならば、国会で堂々と提案して修正を求めればよかったことです。
そもそも多くの犯罪では明文がなくとも家族に悩みを打ち明けた程度で、家族が共犯になるような運用は滅多にありません。

対支21か条2(中国の反日運動激化)「コラム再開」

※8月29日から昨日までは約1ヶ月間コラムアップできなかったので、今日からアップできるようになりましたが、書く気力がなかなか復活しない・・8月30日以降昨日までの分は、時節の話題に関係なく半年〜数年前からの原稿先送り分そのままの掲載になっていますが、今日からのコラム同じく過去原稿のアップですが、掲載時現在で少し見直して手入れした内容復活です。
こうしてみると「高齢者が入院すると退院後歩いて良い」と言われても歩けなくなる状態がよくわかります。
時事問題をすぐに書く気力が復活しないのでまだ過去の先送り原稿の手直し程度ですが、今後おいおい、書く気力が復活していくと思います。

昨日引用の続きです。

日本の要求書を受けとった袁世凱は、即答を避け、ポール・ラインシュ米公使やヒンツェ独公使らと緊密な連絡をとり、相計って国内世論を沸騰させ、外国に対しては、日本の要求を誇大に吹聴して列国の対日反感を挑発した。
在中ドイツ系機関紙である北京ガゼットや独華日報は山東問題に関する袁世凱との直接交渉を攻撃しはじめ、20余紙はドイツの新任公使ヒンツェに買収されたなどと言われた[13]。排日派や宣教師らは日本軍の暴行を喧伝し日本軍の撤兵を要求した[14]とされる。
アメリカは第1号第2号第3号については抗議する意図なく、あるいは敢て反対しない態度を日本政府に提示したが[15]、第4号第5号に関しては明確に反対であり、とりわけウィルソンの関心は第5号に集中していた[16]。
大隈内閣は3月15日に日本側に提示されたこの対日覚書の意図を正しく理解することができず、第5号に関して米国は「左シテ重キを措カサルモノ」と判断し安易に対華強硬策に転じたことは、4月中旬以降のアメリカの極東政策に影響をあたえることになった

列強支持のもと21ケ条要求貫徹・成功・・これを不服とする中国人民の抵抗・条約の無効化による不服従抗争→宣戦布告なき戦争の泥沼に入って行った原因です。
野党系政治家の弱点・民意把握より観念論で押し通す習癖→唯我独尊傾向を繰り返し書いてきましたが、大隈内閣に対する戦後メデイアの偏った高評価が多いのですが、日本の命運を間違った方向へ導いた元凶であったことが上記引用でわかります。
(明治憲法制定前からの大隈重信の行動は今の革新系野党同様の現実無視の主張が多かったように・記憶だけですが・・)
大隈重信のアメリカ訪問時に大統領との会談記録に「こんな激しい主張をする人は見たことがない」(要は「話しにならない人物」という評価)と記録されている記事を引用紹介したことがありますが、なんのコラムで引用したか忘れましたので、以下の通り再引用します。もともと自由民権運動政治家で、今で言えば鳩山〜菅内閣で知られる民主党政権の先祖のような性格です。
要は政治能力がないのです。
第一次大隈内閣に関する本日現在のウイキペデイアの記事からです。

またアメリカのハワイ併合に対して、「これほど激烈で宣戦布告か最後通牒に等しいような外交文書は見たことがない」とマッキンリー大統領に言わしめるような強硬姿勢を示して外交危機を招いた。そして組閣後4ヶ月余りで総辞職を余儀なくされた。

対し21か条要求は、日本の協力を必要として指定た連合国の承諾で国際政治力学上で日本の主張が通ったとはいえ、要は日本が中国で火事場泥棒的に「やりすぎた」点について、政治家としての反省が足りなかったのです。
強い国や強いものからの不当な要求を跳ね返すために、訴訟や国際政治力学を利用するのは良いことですが、不当な要求を通すために国内であろうと国際であろうと政治力学.権力を利用して弱者をいじめると、時間の経過でその無理が跳ね返ってくるのは政治の常識です。
さらに話題が変わりますが、先の大戦ではたまたまドイツと同盟しましたが、日本を世界孤立に追い込んだ元凶は実はドイツの反日宣伝に始まるものでした。
日本が世界の思想変化(植民地支配に対する批判精神浸透)について行けなかったのが原因ですから、今更ドイツを恨むのは大人気ないですが・・事実は事実です。
7年ほど前の中国の反日暴動後日本に代わって着々と進出しているのがワーゲンを代表とするドイツ企業であったことからわかるように(慰安婦騒動でドイツを見習え論が韓国等で強いですが、)、もしかして?今も中国や韓国の反日運動にはその背後にドイツの陰・・「日本排撃しても高度部品の供給は引き受けるから」と言う後ろ盾示唆がある可能性があります。
21か条要求と現実支配が始まると中国人民を巻きこんだ不服従運動が高まるに連れて、現実に合わせて英米は日本離れを加速していきます。
日本はあくまで戦後講和会議を乗り切った以上譲る必要がないという立場で、強制→不服従行動の激化→弾圧強化→治安維持のための満州の切り離し(要は野党系の好きな観念論強行です)→欧米人権思想家の反発・運動→国内世論に影響を受ける米英政府の上申の徐々に変更・反日方向への転換へとなって行きます。
日清戦争後の三国干渉を範にとると法理上横車であれ、それを受け入れるしかないのが国際政治の現実でしたし、第一次世界大戦時の対支21か条要求は、国際的に日本は多くの支持を受けて決まったこととしても、敗戦国ドイツは中国在住メデイアを通じて(日本に奪われた権益回復のため?)反日感情を煽っていて、現地反日運動が激化してきた以上は妥協をするしかないのも政治の現実です。
日本はこの辺で世界情勢を読んだ上での謙抑的行動が必要だったのですが、これができなかったのは右翼メデイアや学者が世界情勢を読むことが(素人・半可通のメデイアが政治を左右する悪弊)できなかったことが第一の原因でしょう。
日露戦争時に半可通の知識人が、妥協を拒み国民を煽って日比谷焼き討ち騒動になったように、今朝の日経新聞を見ると安倍総理がプーチンの無条件平和条約締結先行提案にその場で明白に拒否すべきだった」という立憲民主の主張を引用し、数日前の日米首脳会談の日米円満合意を批判して日本が多国間協調主義に反して2国間協議に応じたのは許せないという観念論を宣伝?しています。
旧社会党の国会戦術・通りそうもない強硬意見を言い張りで妥協しない結果、最後は何の主張も通らない強行採決誘引しては、国民大多数の批判無視と声高に主張する・・「執行部は筋を通した」と虚勢を張ることの繰り返しでした。
彼らは国民や労組のためではなく、(自分はやるだけやったという)保身のためにのみ行動している勢力ではないでしょうか?
大隈内閣は、隈板内閣と言われたようにいまの立憲民主党のようないわゆる野党系の観念論の集団でしたがこれに似ています。
今回の日米会談で多国間協議以外受け入れないと頑張って決裂して帰る選択肢はあったでしょうか?
何かを受け入れない限り交渉は成立しないのですから、自動車の輸出数量制限を受け入れない代わりに何かの輸入を受け入れるしかないのが現実です。
何しろアメリカが、一方的に関税をかけた場合、日本は打つ手がないのが現実です。
国際ルール違反だと騒いでも、どうなる訳ではありません。
日本が報復関税をかけて相互貿易が滞れば日本にとってもっと大きな被害になります。
だから中国だって焦っているのです。
カナダもメキシコも「約束違反」といっても仕方ないので、結局なNAFTAの再協定に合意しているのです。
日本のメデイアや野党は、なんらの対案もなしに批判だけする・・安倍総理が円満解決したのが減点かのように騒ぐのは、日露講和条約時以来の無責任な煽り体質に終始している印象です。
元に戻しますと、日本の大陸進出政策への邁進に対する米国の警戒は日比谷焼き打ち事件の頃から、すなわち満州事変の約25年も前から始まっていたのであり、これが21カ条要求事件後、日本がアメリカの修正要求に応じないところから顕在化し、日本は逆に強硬論の拡大一方・・満州事変〜北支事変〜上海事変へと広がっていき、その都度欧米の反日姿勢が強まっていきます。
日米開戦はその延長上の結果でした。
野党系観念論者が政権を取るとこういう結果になる歴史です。

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