米国の高家賃(収益還元法に頼る危険)1

住宅価格が家賃収益還元の範囲内なら安泰か(理論整合性だけで良いか?)というとそうではないでしょう。
私は日本のバブルの頃から、こんなに上がれば家賃やローンを払えなくなる・支払い能力を超えているからそのうち収まるはずだという信念があり、(その頃バブルという流行語が出回る前で知りませんでしたが)ローンや家賃支払い能力が不動産価格の限界値という考え方で生きてきました。
住宅価格急低下を防ぐために・・例えば金利を5%から2、5%に下げると2000万円しかローンを組めない人が4000万円まで借りても月額支払額が同じになるという面を利用した住宅価格維持政策です。
厳密には元金返済分増額になりますが、バブル崩壊後返済開始後5年間は利息のみ支払い可のローンが一般化していた記憶です。
固定資産評価では基本的スタンスは収益還元を基本に取引価格等を副次的に見るべきという個人的意見です。
この観点から言えば、バブル的取引事例による固定資産評価をするのは高過ぎないか?という基本的スタンスでしたが、もちろん実務はいろんな価値観や過去の経緯等総合的落ち着き等の総合ですので、結果的にいろんな要素の複合結果・・不動産鑑定理論に収束して行く運用になっています・・・ご安心ください。
日本では借地借家契約は契約期間満了しても原則更新して続いていく仕組み(正当自由がないと解約申し入れが無効)ですから、アメリカのように数年置きの契約期限がきたら「契約終了しました。住み続けたいならば5万円アップの新契約しなさい・応じないなら新契約に応じないなら出て行け」という追い出し策が不可能です。
日本では契約中の地代家賃値上げは一方的に出来ない・・・借家人等が応じなければ追い出せるのではなく、(借家人は自分が正しいと思う金額を供託すれば家賃を払ったことにしてくれるので未払いになりません)訴訟手続きが必要なので多くの場合家主の方が諦めます。

借地借家法
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

この手続きでは経済理論通りではなく過去の経緯や居住者の収入状況等を重視して土地価格が仮に2倍になっていても金利保証論だけで家賃や地代を2倍にするのではなくほんの微々たる値上げしか認めないのが原則的運用です。
こうした運用から一旦貸すと長期に渡って賃料が事実上固定される社会が出来上がっています。
地代家賃値上げに関する運用同様に、固定資産税の課税では激変緩和措置といって、評価が仮に2倍になってもすぐに税額も2倍にならない制度が用意されています。
雇用も事実上終身制になっている(よほどのことがないと解雇を認めない判例定着)のもこの一環です。
このように、日本社会は持続性を基本として運営されている・・その時々の経済成長などの勢いで全てやってしまわない・・支配者(権力)意見・理論や思想どおりに直ぐに決めつけていかない・・改革には時間のかかる社会ですが、その分手堅いしゴリ押しのない「納得」を前提として動く社会でやってきました。
社会制度を見ても律令制は日本社会に合わないと思っても直ぐに廃止するのではなく時間をかけて徐々になし崩しにして行ったし、武士の時代が来たからと言ってイキナリ貴族の荘園を取り上げるのではなく、なし崩し的に荘園管理に武士が浸透して行っただけで制度大変革をしてきませんでした。
神仏習合その他こういうやり方は、国内矛盾を温存する融通むげな社会です。
後白河院のよって立つ経済基盤であった八条院領が鎌倉時代が終わった建武の新政を始めた後醍醐天皇の経済基盤になっていたことを、皇室経費問題テーマで1月下旬頃紹介したばかりです。
日本人は懐が深いというか?幕府と朝廷の二重権力並存など矛盾関係でそのままやって行ける社会です。
この矛盾を主張したのが「隅々まで皇帝の威令を貫徹しないと気が済まない」・・専制支配を勉強した水戸学であり、明治維新の王政復古の号令であり廃仏毀釈でしょう。
そもそも専制支配は秦の始皇帝の始めたものですが、そのよって立つ支配原理は法家の思想でした。
法家の思想はいわゆる性悪説にたつ荀子等の思想を純化して行って、韓非子によって完成され秦の専制国家体制の支配理念を作ったものでした。
皇帝がうたた寝したので侍っていたものが、布団(漢文では御衣(おんぞ)と書いていますが・・私の日本語翻訳です)をかけたところ「役割外のことをした」という形式論で処罰されたという故事で有名です。
今の議論はこれに似ていないかの疑問です。
現在毎月勤労統計が(平均賃金データ)「不正問題」と銘打って政争テーマになっていますが、これは形式「論理を一貫しないと許せない」という偏狭な議論が基礎にあるように思われます。
報道によれば昔は五百人以上の大企業の全数調査が決まっていたのに、東京都は04年以来サンプル調査しかしていなかったという「不正」追求です。
「全数調査を続けるべきだったどうか」の本質的議論が全くなく、必要な変更手続きをしていなかったという「不正」追求です。
野党・メデイアと組んだ「不正」追求論は、法改正か規則改正で変更すべきだったという教条論のようですが、こういう形式論で国民の多く(庶民は知恵があるのです)が国会審議を止めて現在の内閣の政治責任を追求するべきと思っているかの疑問があります。

超格差社会・韓国4(個人債務膨張1)

ここまで素人判断で韓国家計債務の大きさを強調してきましたが、個人金融資産とのプラスマイナスで見るべきという意見もあるでしょう。
同じ人間が個人金融資産を持ち債務もある場合・・バランス次第ですが、この関係は非対称が原則でしょう。
アメリカの格差報道で上位何%が全体の何割を占めていると報道されますが、金融資産保有者の分布が必要です。
金融資産の大方が財閥系一族に集中していて、一般国民が例えば数%しか保有していないとすればバランスシート的に検討する意味がありません。
サラ金に限らず銀行ローンであれ、自己資金があるのに金利を払ってまで大金を借りる人は稀(アングラマネーを表に出せないど?)ですから、家計債務者の多くは日常的決済に必要以上の金融資産を保有していないと推定されるべきでしょう。
https://japanese.joins.com/article/948/245948.html

韓国家計負債保有者1903万人…1人当り平均8034万ウォン
2018年10月11日10時12分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
金融会社からお金を借りた家計負債保有者が1903万人に達することが明らかになった。負債の平均額は、1人当り平均8034万ウォン(約790万6000円)だった。
住宅担保貸出の総額は978兆ウォンで、全体の家計負債の63.9%を占めた。ここ1年間増加した家計負債(77兆ウォン)のうち、32兆ウォン(41.6%)が住宅担保貸出だった。
住宅担保貸出の借り主の5人の1人は、住宅担保貸出のみならず信用貸出やノンバンクからもお金を借りている多重債務者だった。

人口(赤ちゃんまで含めて)5000万人あまりの国で2000万人近くも債務者になっている異常さです。
少なくとも多重債務者は統計上一回も延滞がない優良債務者であっても金融資産など保有していないグループといえます。
https://ameblo.jp/hagure1945/entry-12394064451.html

2018/7/28 東亜日報
高まったローンの敷居に「雪だるま」のカードローンが経済時限爆弾になるか
カードローンの膨らみが尋常ではない。今年3月末現在のカードローンの融資残高は26兆3381億ウォンで、昨年末の24兆9562億ウォンより1兆4000億ウォン近くも膨らんだ。ローン残高基準としては史上最高だ。主に庶民と零細自営業者などの脆弱階層が利用する高金利ローンという点で、景気低迷期を迎えて、懸念が高まる。
カードローンの急増は、政府が家計負債や不動産市場の安定対策として取り出した「ローン締め付け」の影響のためだ。
銀行や相互金融、貯蓄銀行までが融資の敷居を引き上げたことで、融資をぎりぎりまで使ったり、格付けが低く、お金を借りるのが難しくなった庶民が、カードローンに殺到したのだ。家計負債の増加が落ち着きを見せ始めている状況の中、クレジットカード会社やキャピタル会社のローンだけが増えている。

これが4ヶ月後の11月になると7〜9月の統計が出たのを踏まえて以下のような意見が出ています。
https://www.recordchina.co.jp/b661868-s0-c20-d0127.html

2018年11月22日、韓国・国民日報は、韓国の家計負債が1500兆ウォン(約150兆円)を突破したと報じた。これは過去最大規模という。
韓国銀行(韓銀)が21日発表した暫定集計で、今年の第3四半期(7~9月)の家計負債(融資+クレジットカード使用額)は1514兆ウォンだった。第2四半期末と比べると22兆ウォン(1.5%)、1年前と比べると95兆ウォン(6.7%)増えたという。
記事は「問題は家計負債の質が悪化していること」と伝えている。金融当局によると、今年初めから先月末までの信用融資は16兆ウォンで昨年の14兆8000億ウォンを上回り、マイナス通帳などその他の融資も34兆ウォン増加。金融関係者は「政府の家計融資管理で低信用者が(信金や郵便貯金、保険・証券・投信会社などの)第2金融圏や貸付業者の高金利融資に移る副作用が懸念される」と指摘している。

当局の貸出抑制が始まって債務伸び率が下がったものの、絶対額が増え続けている現状をどう見るかです。
韓国はこの数年以上景気低迷→GDP低下を防ぐために内需盛り上げ・中国同様に不動産投資(誘導?)を続けてきたのですが、(その方法として国民を債務漬けにして国民に買わせていた)が、借金させる限界が世界的に指摘されていることから金融行政として抑制気味になってきたようです。
この結果8年の家計債務増加率が下がっているようですが、(絶対額が増えて18年9月頃には1500兆ウオンに到達)その変わり銀行が貸してくれなくなった人が高利金融に頼るしかない怨嗟の声が出ています。
https://ameblo.jp/hagure1945/entry-12394064451.htmlによれば韓国その他の資産構成は以下の通りらしいです。

https://stat.ameba.jp/user_images/20150515/21/nobody0728/db/21/j/o0500064213307924679.jpg?caw=800


上記比率は財閥系の一握りの資産家を含めたグラフでしょう・・債務者1900万人が25%も金融資産を持っているとは考えられません。 各人の資産構成が金融資産とのバランスが取れていれば、金利上げには金融資産面で(株価にはマイナスですが日本のように預金偏重社会では)有利に働くので悪影響が緩和されますが、非金融資産・不動産等に偏っているとインフレには強いですが、逆方向・・デフレに弱いばかりか金利アップには耐性が弱くなります。

超格差社会・韓国1

外資中心だと利益手取り・本国送金中心で、国家のために尽くす気持ちは義理で表現するだけで本音では「1円でも多く利が乗るか」ですから、(株が下がれば人より早く売り逃げたいでしょう)現地国民の幸福に関心がありません・韓国が経済植民地支配を受けていると言われる所以です。
私たち個人が外債や外国企業の株式を保有している場合の心理を考えればすぐにわかります。
通貨危機以来IMF体制の優等生?になった気分の韓国が日本を馬鹿にするようになったのは、明治維新の頃まで李氏朝鮮では華夷秩序にどっぷり浸かっていることが自慢で、これを一部しか採用しないで独自文化発展をしていた日本を野蛮・後進国扱いで根拠なく見下していたのと同じ思考形式(自信を取りもどした?)と思われます。
江戸時代に何回か来日した朝鮮通信使時代には、貴族層に列しない武士階層が支配している未開・野蛮の社会であるという帰国報告していたと何かで読んだことがあります。
こんなふうだから例えば、日本では鎌倉時代から進んでいた曲(まげ)物技術を学ぶことが出来ず、こっそり、見様見真似で作っていたものの水車や荷車一つ自国でまともに作れずにきたのです。
もともと朝鮮族は中国由来の専制.格差支配しか経験がないというか、格差で差をつけるしか支配層を地位を守れない社会ですから、将軍様一族や取り巻きと庶民との格差が大きけれ大きいほど政権が安定する構造であり意識の根付いている社会です。
経済制裁で北朝鮮が最貧国になっていると政権が倒れるかのような意見は幻想です。
こういう意識社会では、欧米系資本論理の二項対立・分離→格差社会実現が馴染みやすい面(受け入れると庶民までホッとするのではないでしょうか?)もあるでしょう。
韓国・南朝鮮族社会・・ヤンパンに代わって外資が大手企業の大半を支配している社会・・儲けを少しでも多く外国に持ち出すインセンチブ・・サムスン等限られた財閥企業の儲けに関与しておこぼれをもらえる人以外は最低生活を強いられる社会が受容されてきたのは、この意識社会の民主主義・資本主義的表現でしょう。
ちなみに韓国GDPの2割がサムスンと現代自動車の2財閥系で占められるというおどろくべき偏在社会です。
「平家にあらずば人にあらず」と言われた時期があったようですが、まさにサムスンに就職できないとまともな生活ができない社会になっていて、サムスンに就職するための浪人がいて、そのための予備校まである社会です。
https://careerconnection.jp/biz/studycom/content_1373.html

2014-04-23
サムスン入社試験に10万人殺到 専門予備校や対策本も
韓国大卒者の3割が受験
東洋経済日報によると、採用試験はソウルを中心に韓国国内85か所、海外ではニューヨークやロサンゼルス、トロントでも実施。試験の実施にあたり、サムスンの役職員1万人が動員された。
聯合ニュースは、この「サムスン職務適性検査(SSAT)」の受験者向けに専門予備校が増えているほか、一部の大学で特別授業や模擬試験を実施。関連書籍も約50種類出版されていると紹介している。

https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-11651652168.html

2013-10-30 04:49:07
韓国、「サムスン」就職希望は20万人「事大主義」が民族の特性
サムスン就職用の予備校も
学歴偏重が生むミスマッチ

 韓国を代表する世界企業は2社だけである。サムスン(電子機器)と現代(自動車)だ。大学生にとって憧れの的の就職先であることは当然である。
009年、韓国の大学進学者は74万人である。このうち、20万人がサムスンへの就職希望とすれば、大学生卒業生の3割弱にもなる。宝くじを買うにも等しい。この就活に殺到する韓国学生の心理状態は、「勝ち馬に乗る」というものであろう。もっとはっきり言えば、朝鮮民族特有とされる「事大主義」の表れとも読めるのである。強い力の元に身を寄せて、あたかも自分の力のごとく誇示する心理状態を指している。

私とは少し意見が違いますが、根っこでは似たような意見です。
ずっと読む進むと偶然か?私とそっくりの「平家にあらずば人にあらず」の故事を引いた意見を書いています。
(私の方は、だいぶ前に勝俣氏の意見を読んで上記故事が記憶の底に残っていてこの故事を思いついたのかも?)
2大財閥が支配している構図については、韓国経済に関する本日現在のウイキペデイアの記事です。

韓国の経済は、そのほとんどを三星財閥、LGグループ、SKグループおよび、分割された現代財閥、解体された大宇財閥の系列企業で占められており、その構造的な問題点を指摘する声もある。
2011年の財閥(チェボル、ko:재벌)10社の売上高は946兆1000億ウォン(約66兆円)で、韓国の国内総生産の76.5%に及び、その比率はサムスングループが21.9%、現代・起亜自動車グループが12.6%、SKグループが11.7%、LGグループが9.0%、GSグループが5.4%、現代重工業グループが5.0%、ロッテグループが4.5%、ハンファグループが2.8%、韓進グループが1.9%、斗山グループが1.7%となっている[4]。
サムスンへの依存の高さ
韓国のGDPにおいて三星財閥に依存する割合が高く、現在韓国のGDP(国内総生産)の18%、輸出の21%も占めている[5]。

https://president.jp/articles/-/23376

017.10.19  著作家 宇山 卓栄
韓国のGDP(国内総生産)の4分の3を占め、そこに就職できなければ人生の「負け組」が確定するとも言われる韓国の「10大財閥」
・・・韓国の受験競争が熾烈なことはよく知られています。受験で失敗し、自殺する若者もいます。一流大学に入学し、「10大財閥」と呼ばれる一流企業に就職し、いわゆる「勝ち組」に入ることが目標とされます。「勝ち組」に入れるかどうかで、年収などに大きな開きが生じ、人生の明暗が決定付けられます。
・・・それ以外の企業はダメなのです。なぜならば、韓国では「10大財閥」の売り上げがGDPの4分の3を占め、事実上、韓国経済を取り仕切っているからです。「10大財閥」以外の会社で、たとえ懸命に働いたとしても、報われることがほとんどない社会構造になってしまっています。

債務膨張と債務負担部門1・中韓

債務問題はどの部門で債務が大きいかはミクロの問題であって、マクロ的にはその民族全体で対外債務がどうなっているかが重要で、債務をつけまわす場所の違いでしかないというのが長年の私の持論です。
(日本の財政赤字問題は部門別問題に過ぎず、個人金融資産は巨額で、国家全体問題ではない・・江戸時代に幕府財政は火の車でも、農民や町人は豊かに各種文芸を楽しみ、爆亜mtに来日した西洋人が驚くほど社会が高度に発達していた歴史を見れば明らかです。)
国家全体の対外債務によっては、ベネズエラやアルゼンチンのようなハイパーインフレが襲います。
中国の場合、リーマンショック後の財政出動を地方政府にやらせた結果、地方政府が(土地バブルを煽って?)融資平台(シャドーバンキング)利用の債務膨張→不動産バブルが終わって苦しむようになると、この数年採算度外視の鉄道建設に象徴されるようにインフラ投資で国内景気維持に必死になっていた結果この赤字のつけまわし・・、国有企業にこの役割を押し付けて・いわゆる一帯一路政策もこの延長です・・不良債権の積み上げが行われています。
一帯一路計画の一環・スリランカの港湾設備工事の費用をスリランカ政府が払えない→代金支払いの代わりに中国政府が港湾経営権を99年間の運営権獲得したのは「新植民地支配」高利貸し商法」と評判が悪いですが、中国国内経済で言えば、インフラ投資経費を国有企業に押し付けてこの債務を株式化してごまかすやり方と同じ発想を外国政府相手にやっているのではないでしょうか。
中国は古代の原初から民族国家ではない・商業基地・城壁で囲まれた都市国家を未開の地に転々と飛び石状に展開してきたなりたちであることを、このコラムで連載してきました。
この性質上、政府と支配下民族の一体感が元々ない(夜襲されないように日暮れとともに城門を閉め鶏鳴によって朝城門を開く仕組み)ので、(城外の)被支配民族も好きなように国外逃避・・・いわゆる華僑として未知の世界に移住していくことに何のためらいもない民族性です。
こういう国では、国内でどの部門が資金を蓄え、どの部門が債務を負担するかは極めて重要です。
中国では中央政府と地方政府は一体感がない・中央は地方に債務負担を押しつけて中央政府の財政が健全であることが、中央政府の強みになっています。
チベットやウイグル族に対する残虐な弾圧を平然と実行できる所以です。
政府と国民の利害対立論理(中央地方の一体感の差)を日本に当てはめて「中央政府の赤字」を騒ぐのはナンセンスと言うのが私の持論です。
中国式支配構造の歴史に親しんできた韓国の債務負担構造がどうなっているかを見ておきましょう。
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=242355

昨年の韓国家計負債増加速度、世界3位
2018年06月18日09時58分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
収入よりも負債が急速に増加したことにより、昨年の韓国の家計負債は主要43カ国中3番目に大幅に増えた。家計負債増加速度は処分可能所得の増加速度の1.6倍であることも分かった。
17日、国際決済銀行(BIS)と韓国銀行経済統計システムによると、昨年末の韓国の家計信用(家計の借金)は家計処分可能所得(所得から税金・年金費用などを除いた金額)の159.8%を記録した。これは1年前に比べて5.2%ポイント高い水準だ。
政府の規制にもかかわらず家計負債が大きく増加した。昨年の家計信用は108兆3000余億ウォン(8.1%)、家計処分可能所得は39兆3000億ウォン(4.5%)増えた。処分可能所得に対する家計信用比率は過去3年間で23.4%ポイントも上昇した。
日本の個人金融資産を比較しておきます。
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010501004020111045/1
なぜかグラフのコピーができませんが、
https://www.nam.co.jp/market/column/trend/2018/180703_2.html記載の以下の数字は上記政府発表数字と同じで正確です。

2017年度末の家計の金融資産残高は、1,829兆円となり年度末の残高としては過去最高となる。

日本場合、政府財政赤字が進んでもそれ以上に個人金融資産が増えています。
https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2017/saimu2017-3-ho.pdfによると平成28年度末普通国債発行残高は8,305,733億円です。
この海外保有率をhttps://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2016/saimu2016-1-3.pdfで見ると約10%です。
メデイアしきりに「債務を次世代に残すのか!」といいますが、9割は国内保有ですから国民がその債権を相続するので世代的には差し引きほぼ同じです。
企業保有分は・たとえばトヨタの株主に外資も混じっていますが、結果的に個人金融資産合計が国債発行残高より多ければ、イザという時にはハイパーインフレでしょうから、政府に貸し込んでいた人が損をする・・だけです。
極端な話、99%を外資に買ってもらっていて国民がその何倍も外債を保有しているときにハイパーインフレで国債相場が額面100分の1に下がった?時に外債を売って日本国債を買えば国民が儲かります。
この辺の流れを以前書いたことがあります。
要は税金で国費を賄わないで「国民に借りたことにして」賄っているのですから、貸したつもりの債権がイザという時の帳消しになる・・税に変わるだけのことです。
国民個人金融資産は1829兆円ですから(外国人保有分を値下がりしない状態で次世代が買い戻しても)1000兆年円あまります。
日本は国民の立場が強い・・国民を大事にする国であることが、数字で現れています。
国民を借金まみれにして苦しめておいて、政府だけ黒字では意味がないでしょう。

米金融政策の影響1と中韓

米金融政策の影響1と中韓

米国金融政策の影響力に戻ります。
2日ほど前には、米連邦準備理事会議長の記者会見で、12月の記者会見で発表した19年中2回の利上げ既定路線が否定されバランスシート縮小の年内停止示唆したことを世界の市場は好感し、ひいては日本円高予想になっています。
https://www.smamjp.com/documents/www/market/ichikawa/irepo190131.pdf

2019年1月31日三井住友アセットマネジメントシニアストラテジスト
市川雅浩

米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月29日、30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年2.25%~2.50%で据え置くことを決定しました。利上げの見送りは織り込み済みでしたが、今回のFOMCは全体として市場の予想以上にハト派的な内容となりました。まず、FOMC声明について、重要な変更点が3つありました。

 
 
この結果から政策金利は年内据え置きの予想に変更、バランスシート縮小も年内停止の可能性1月30日の米国株は上昇、米国債の利回りは低下(価格は上昇)で、それぞれ反応しました(図表1)。
米ドルは、米国債の利回り低下や、FF金利先物市場の利上げ回数の織り込み低下(図表2)により、対主要通貨で下落し、ドル円は1月30日に一時108円81銭近くまでドル安・円高が進行しました。
今回はFOMC声明とは別に、バランスシートの正常化に関する声明も公表されました。この声明で、FF金利が金融政策の主要手段としながらも、バランスシートの正常化の完了に向けて詳細を調整する用意があることや、状況によってバランスシートの規模と構成内容を変更する用意があることが確認されました。
ただし、声明に具体的な手段は示されておらず、現時点では基本方針の表明のみなっています」

トランプ氏恫喝に動じたか市場反応によって動じたか不明ですが、議事録公開による説明トーンの変化について書いてきたように、すでに今年2回の利上げは遠のいていると年初から見られていたことの正式確認で扱いです。
これまで、米国金利上げに戦々恐々状態であった世界経済はこれで一先ず息をついて、年初から新興国や先進国低格つけ社債発行などが増えているようです。
中国ではGDP比の負債拡大が大問題になっていても企業救済をやめられないように、世界(日本の財政赤字も同根)は紙幣増刷→債務拡大問題をどうするかのテーマに取り組むべき時期が来ているようです。
産物・供給量同一で紙幣発行量が2倍になれば物価も二倍になる単純論理で結果的に債権債務が均衡(債務帳消し・借金していた人や企業が得する)する仕組みでしたが、閉鎖社会から解放経済になると物価が二倍になれば半値以下の近隣国からの輸入が増えるので、一国で紙幣増発しても物価が上がらないので(日本の場合、平成に入った頃から20〜10分の1以下の中国製品が流入しました)上記のような単純論理での解決できなくなりました。
結果的に債務の帳消し(物価を2〜3倍にすれば債務負担2〜3分の1になりますが)ができないので、債務が積み上がる一方になってきたのです。
財政赤字解消の即効薬として日本では物価上昇を目ざすリフレ政策を採ってきましたが、上記の通り物価をあげれば国内企業の国際競争力が落ちて、輸入が増えてしまうので無理がありました。
この辺の論理構造をだいぶ前からこのコラムで書いてきました。
日本の場合には、国民債務膨張でなく政府債務だけ膨張していく関係・国民は国債を買って債権者になっている関係、中韓では政府債務よりは、国民や地方政府や国有企業債務が膨張していく仕組みでした。
国家が強く国民が弱い国かの違いであって、トータル破綻すれば国民が困るのは同じですが、愛国心の強い民族の場合、いざとなれば(戦時中は鉄不足のために鍋釜お寺の鐘まで供出したし)私財どころか前線の兵士は生命を擲っても国(構成する民族)を守る・敗戦で祖国が食うや食わずになっても皆外国から引きあげて復興に尽くす国民ですので、政府がお金を持っていなくとも国民に資産を持たせておいても心配がないし、愛国心のない民族の場合、個人資金を海外に隠しておいてイザとなれば国外脱出するので、政府は国民を信用していないし、国民も政府を信用していない相互関係です。
中国の場合裸官で知られていますし、韓国の場合国外脱出熱の高さが知られています。
国内的には愛国心を訴え国民を煽る政治家が多く、大袈裟に叫ぶ国ほど(相互信頼がないから)こういう傾向があります。
日本の場合政府・学者が「国際人材が育たない」と心配するほど、多くの若者が海外に行きたがりません。

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