同胞意識5と次世代(年金赤字)1

マスコミ界の凋落から分け隔てなく人や動物等を愛する日本と諸外国との大きな違いに話題を戻します。
日本以外の国では、自己が政権維持発展のために、領域内の人間を都合良く利用出来るかどうかが政策基準になります。
(世界中の政府が貧富の格差を問題にしているのも、政権維持を図るために格差を気にする必要があるために気にしているのであって、同胞意識によるものではありません)
領域内の人民を守るとか人民のための政治などのレトリックは、政権維持の方便として必要になっているに過ぎません。
中韓に限らずほぼ世界中の国(もしかしてドイツ農民は例外かも?)では、個々の農民・庶民は、ただ政治に翻弄されて生きて来た経験しかなく、国民自身が主体的にしたたかに生きてきた結果、同胞意識の強くなっている我が国と根本的に違います。
高校大学のクラブ活動でも文化祭の準備でもお祭り何でもそうですが、(弁護士会では各種委員会活動など)主体的に準備・参加すると、一体感が高まる傾向があります。
我が国では構成員である国民がいろんな場面で主体的人格として待遇されて来たことが同胞意識・国民や郷土一体感が強固になって来た所以でしょう。
強固な同胞一体感が、犯罪率を引き下げ、住み易い社会・・美しい日本列島を作る意欲の高さになっている下地です。
我が国の場合、非正規雇用の増加で若者が困っていることが現在社会の心配事ですが、諸外国とは違い、親世代が豊かで全体としては豊かなのですから、若者の問題というよりは所得分配や高齢者と若者の世代間ワークシェアーの問題を怠っていることに原因があります。
技術革新による国際競争力の回復は本来民間がやるべきことですが、世代間の所得再配分こそ政治の出番です。
年金赤字問題は「世代間扶養が前提」などと全く噴飯もののイデオロギーをマスコミが宣伝していますが、自分でかけている民間の年金保険でも何でもそうですが、誰でも自分の積立金の合計と支給額を天秤にかけて加入の是非を考えるものです。
払う段になって後の加入者が払う予定だったので、後の加入者が少なければあるいは支払が少なければそれだけしか払いませんなどと言ったら、民間年金保険は成り立ちません。
保険(生命保険/年金契約にかかわらず)に任意で加入する場合、その後の加入者の増減によって自分の受給額が増減するなどと考える人は100%いません。
年金の場合定期預金同様の発想で元金以上払ってくれる気持ちで加入している人が現実です。
生命保険等の満期が来てから、「あなたの掛け金は使ってしまいました、その後の
掛け金で払おうと思ったらその後掛け金する客が少なくて払えません」と言ったらどうでしょう?
言わば政府が掛け金を先食いして自転車操業をしていたことになります。
建設業で言えば今の仕事の代金は次の仕事が受注出来るかどうかによりますと言われたら職人や下請け業者・納品業者も受注・納品を拒否するでしょう。
公的年金も強制とは言え国民の気持ちを無視出来ない点は同様で、加入者は自分が何年間掛ければいくら貰えると大雑把な計算して支払って来たのが真実であって、3〜40年経って払う段になってイキナリ後の加入者数や納付額次第であなたの掛け金合計額とは関係ありませんと言われたのでは詐欺そのものです。
これに対する疑義を全く受け付けない・・何か言うと「あなたは何も知らない・・」前から決まっているのだとバカにしたような議論にしてしまったのは、責任逃れをしたい官僚の振り付けをそのまま宣伝しているマスコミや受け売り学者の責任です。
昨日書いたばかりですが、まさに裸の王様の寓話そのものでまやかしも良いところです。
殆どの人はマスコミや学者にこぞってこのように言われると、反論するとそんなことも知らないのか?と自分が馬鹿にされるのが怖くて誰もが黙ってしまう傾向があります。
あるいはおかしいと言うと「あなたは何も知らないがこう言う制度らしいよ」と自慢げに説明する人まで出てきます。
私のようにバカ扱いされても構わない人だけが「どこかおかしいぞ!」と言い出すのがやっとです。

 同胞意識4と統治対象1

マスメデイアだけではなくネット通信の発達によって、さすがの中国も言論弾圧が出来なくなるだろうという報道が5〜10年前から普通でした。
しかし、中国では膨大な人口と膨大な失業者・アリ族の存在を逆利用して彼らを低廉な(5毛?)報酬での検閲要員に取り込んで、徹底した人海戦術でこれをチェックして即時抹消して押さえ込み、他方で積極的に政府に都合の良い政策方向の宣伝や反日ブログ等の書き込みなどをさせて世論誘導にあらかた成功しています。
ネットの発達が言論の自由拡大に中国ではあまり効果がなく、逆にネットの発達が英米支配の先進国(特に日本では)のまやかしの言論の自由が告発される時代になって来ていることを、2012年12月20日「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」あたりから正月のコラムまで書きました。
日本の感覚ですと「政府がそこまでやらなければ政権維持出来ないならばもう終わりだ」と思うのが普通ですが、「そこまでやるか!」と言う野蛮なことを臆面もなくやり続けて来たのが古代から今に続く中国政府です。
王朝は毎回倒れているし、共産党政権と清朝には政権としても民族(満州族と漢民族)としても連続性がないのですが、目的達成のためには手段を選ばない点では、そこに住んでいる人・政府構成員のDNAが大きな意味を持っています。
歴代政権が政権維持のためには手段を選ばない価値観で来たので、上が上なら下も下ということで、そこにいる住民自身も金儲けその多目的達成のためには手段を選ばない価値観になるのは当然です。
人体に毒であることが分っていてもミルクに毒物を混ぜて安く仕上げようとするような事件が続出していますが、そこには商道徳などかけらもありません。
上から下まで目的(政権維持・金儲け)達成のためには手段を選ばない価値観で何千年も来たからです。
中国や韓国では、政府(これを構成する官僚や軍・国民を含めて)にとってわが国で言うところの「国民(同胞)」という意識がないのではないか?と言う意見をこの後で書いて行きます。
異民族支配が多かった中国地域の道徳観では、共同体・同胞としての国民一般という概念がなく、利益を守るべき共同体は飽くまで一族意識の範囲内だけです。
韓国や朝鮮でも古代から異民族の入れ替わりが続いたことから、一族・本貫重視である点は同じです。
今の中国では共青団出身とか太子党などと日本のマスコミが如何にも利害対立集団の如く囃立てていますが、共産党大幹部の家柄・太子党一族か、共産党組織の中堅下部組織からから這い上がって来たかの違いだけで、共産党内部の覇権争いに過ぎず、その他一般は統治の対象でしかありません。
王朝時代の王族と高級官僚(宦官)による争いの蒸し返しに過ぎないと言えるでしょう。
中国でのジニ係数が破滅的数字に達しているとタマに報道されていますが、この係数自体まるで当てなりません。
もともと中国の統計数字がいい加減であるだけではなく、天文学的蓄財をしている共産党幹部や政府高官の収入は表向き小さく、中国の巨額収入層は賄賂等不正蓄財によるものですから、統計に出る筈がありません。
これらを統計に含めないでも相対的貧困層の比率が危機的状態とすれば、実態はもっと深刻・大変な事態です。
統計数字だけでも政権維持出来なくなる程の格差であるという論評が一般的ですが、欧米や日本んマスコミの期待にかかわらず中国が天文学的格差下で政権維持出来ているのは、徹底的強圧政治が可能・・躊躇しないことによります。
チベット僧の焼身自殺などがいくらあっても、中国政府にとって諸外国からの批判(外国介入の一種です)さえなければ、「そんなことくらいしか抵抗出来ないの?」と却って安心材料になるくらいでしょう。
尖閣諸島問題で中国の侵略が始まった場合、これに抗議して日本国内でいくら焼身自殺が相次いでも中国は、日本軍が抵抗出来ないからそんなことしているのだと安心するだけです。
中国政府にとって、国民が焼身自殺しても騒乱を起こしても同胞としての痛みを感じるのでなく騒乱軍に政府軍が負けるか否か・・政権維持出来るか否かだけが基準になっていると考えられます。
モンゴル軍が中央アジアを次々と侵略をしているときに、被征服民の何十人〜何百人が絶望して自殺しても侵略軍は何にも感じない・・無駄な抵抗にすらならなかった筈と言えば分りよいでしょう。
中国政府にとっては国民はそのような対象でしょう。
商人も製品によって顧客が毒物で死亡したり病気になっても、一族でない限り痛みを感じるのではなく商売を続けられるかどうかだけ(取り締まりだけ)が基準になります。
日本の場合でも、何か重大自体があれば結果として政権維持・顧客維持に関係しますから結果だけ見れば似たようなものですが、先ず同胞として痛みの共有から入って行く点が大きな違いです。

独裁(特権階層)と自由競争の矛盾1

絶対王政・・王様一族だけが例外ならば、(我が国の場合法の下の平等に関し、天皇家だけが例外ですが、天皇家・皇族は全部でせいぜい数十人程度でしかいないし、これと言った世俗的特権を持っていないので)全体から見て大したことではありません。
中国共産党幹部・地方中堅まで含めた特権階層となると半端な数ではないので、社会全体で日常的に不公正・不平等を目の前にして生活していることになります。
たとえば、苦労して大学を出てもアリ族やネズミ族になるしかないかどうかは、地方幹部の子弟まで含めて社会の隅々にまで張り巡らされた共産党関係者の子弟かどうかがその決め手になるようです。
このように青少年は人生の出発点でイヤっと言うほど不公正を思い知らされるだけでなく・・日常業務に措いても共産党にコネがあるかどうか・・賄賂次第による不公正なことが横行している社会です。
西欧では、特権階層が少人数の絶対王政でも矛盾の激化に耐えられずに、自由平等博愛の革命になりました。
自由経済体制・・競争条件の平等が基礎にある価値観と独裁=特権的利益維持(不自由)の併存矛盾を縫合するのが、何十万人とも言われるネット検閲削除要員の雇用であり、これを物理的に押さえ込むために公安警察の膨張・軍の膨張になっています。
(失業者吸収にもなるので、政権としてはこれも1石2鳥を狙った策のつもりです)
独裁と自由と言う矛盾した価値観の状態におかれた経済界・国民の経済行動としては、価値観を棚上げ・価値に盲目になるしかない・・金儲けのためには手段を選ばない方向となります。
コストを安く上げるために毒物と分っているメラミンを混入していた事件が発覚したことがあります。
日本人なら(ミスならあるとしても安くするために故意に毒物を入れるなど)「分っててそこまでやるか!」と言う事件ですが、こうした商道徳どころではない事件が無数に起きているのが現在中国です。
(まして知財の剽窃・泥棒や強盗程度では当然気にしません)
手段を問わずに「金儲けすることが良いことだ」くらいの価値観しか身に付かなくなっているのが現状です。
タマタマ昨日の日経夕刊のニュースでは、毒物混入の粉ミルク製造事件(1〜2年以上前に発覚した事件だったと思いますが・・まだ収束していなかったのでしょうか)によって中国国内生産ミルクを信用出来ない消費者の需要に応じて香港やマカオからの粉ミルクの運び屋が増えたために、マカオでは品薄になって大騒ぎになっている記事が載っていました。
金儲けのためには手段を選ばない方向へ進んだのは鄧小平の「黒猫でも白猫でも獲物を得た猫が優秀な猫」というような標語が出回っていたのがその象徴です。
政権維持のためにはどんな非人道的なことでもするし、企業人は金儲けのためには、手段・・ルールを気にしないのが現在中国全般の価値観になっています。
こう言う価値観で生きている社会ですから、対外的にも同じ行動をとります。
尖閣諸島や南沙諸島問題では中国が欲しくなれば、国際的なルールなど問題にしないで強盗のように「これも欲しい」と主張すれば後は力づくで良いという態度です。
アメリカのクリントン長官に対してアメリカが日本の見方をするならば、「中国はハワイだって領土要求出来るのだ」と脅したことが以前報道されました。
相手が泣き寝入りすれば「弱いんだから仕方ないでしょう」という原始社会の道徳を主張していることになります。
中国の拝金主義とアメリカのビジネス主義は似てはいますが、アメリカのビジネスには(アメリカに都合良く作ったに過ぎないとしても一応)ルールがあるが、中国では金儲けのためにはルールを破っても良い社会であるとDecember 5, 2012「民主主義と正義12(政治資金3)」で書いたのはこの意味です。
英米法の基本原理は目的の正当性よりは、デュープロセス・適正手続きに重きを置く社会であることとアメリカのビジネス主義とは符節が合います。
中国の政府や国民の行動ルールを合理的に解釈すれば、「強い者は人殺しでも人の物を奪うのでも何をしても良い」「万人の万人に対する闘争状態」不法状態こそよって立つルールに帰するのでしょうか?

暴動と政権維持1(同胞意識2)

流民化・暴動が次々と起きても政権が崩壊するか否かは別問題です。
大躍進政策の大失敗で数千万人〜5000万人も餓死していた事実が改革解放後に分かってきましたが、(その何倍もの飢餓線上の人が出ていたことになります)この反省から改革開放に方針転換になった訳ですが、それでもソ連と違って政権が崩壊しませんでした。
近代兵器が出来るまでは正規軍の武器と言っても、弓矢や槍や刀しかない場合、庶民がある程度もっているなまくらの刀や竹槍等と大差ないので暴動・・大量・・数の力には叶いませんでした。
剣術の腕が優れていても、あるいは切れ味の良い刀を持っていても一人で斬り殺せる数は知れているので、(漫画のように一人で何十人も切れる訳ではありません)正規軍の何十〜何百倍もの数が参加する暴動になると手に負えなくなったので大量の流民が発生するとその都度王朝が崩壊して来ました。
ところが戦車や大砲、機関銃等の近代兵器で装備している近代軍隊になると、暴動参加者の数がいくら多くても、マトモに戦えば政府軍が負けることはありません。
最近の例で言えば、シリア政権が如何に国際批判があろうと(武器援助があるでしょうが・・・)外国軍の介入がない限りしぶとく反政府軍と戦えていることを想起しても良いでしょう。
政権崩壊があり得るのは、武器のない素手に近い自国民を皆殺しにするのをためらう軍の離反等があるかないか、外国の介入(武器援助を含めて)があるか否か次第にかかっています。
軍が国民に発砲するのにためらうのを心配したのがリビアのカダフィ政権で、外国人傭兵(それもアラブ人ではないブラックアフリカ諸国からの)に頼っていた・・彼らは異民族ですので国民に向かって容赦ない発砲を出来ますが、欧米軍の介入・軍事援助があったので負けてしまったのです。
もしも欧米の軍事援助がなければ、素手に近い民衆がいくらデモをしてもカダフィ政権が倒れなかったでしょうし、それを信じて中国は最後までカダフィ政権に肩入れしていたことになります。
中国の場合、異民族支配が多かったこともあって、戦いに勝ちさえすれば相手の数がいくら多くても人民を皆殺しをすることに何のためらいもない傾向があります。
秦の名将軍章邯の降伏時に項羽が降伏した将兵20万人の穴埋めを実行するなど、大量殺戮は中国の歴史には古代から枚挙にイトマがないほどです。
ただし、この20万人という数字は当時の人口数からして眉唾(中国政府の統計数字が今でも当てにならないのと同じこと)ですが、ここでは大量処刑に躊躇のない体質・民族のDMAを書いています。
「どうせ餓死するならば・・」ということで命知らずになって暴動参加した国民に対してでも、武器さえ優越していれば皆殺しにすることに何のためらいもないし・兵士もためらわない傾向があるのが歴代中国王朝時代でした。
この延長でマスメデイアの発達した国際社会白日監視の下でも、臆面もなく実行したのが、天安門事件の殺戮でした。
(オリンピック直前まで猫や犬を殺して普通に食べていたのが国際的批判されるようになって急いでやめたのと同じで・・大躍進時の弾圧に比べればどうってことのない小規模弾圧だったのに国際社会から批判されて中国政府は驚いたでしょう・・。)
餓死死者数(30000〜5000万人)の何倍もの餓死線上の人がいるのが当然ですが、死を目前にした人が多くなればこれに比例する抵抗運動が起きるのが普通ですが、それを押さえ込んで政権が維持出来ていたこと・・膨大な弾圧・殺戮があった筈・・に驚きを禁じ得ません。
南京虐殺問題は自分達が国内で政敵を倒すときにしょっ中していることを、当然日本もしていただろうという想像による産物です。
現在の北朝鮮でも同様に餓死者数が時々マスコミ報道されますが、それでも政権維持に問題が起きないのは収容所大国と言われる容赦ない弾圧組織が機能している外に、外国軍の介入がないからです。
唯一影響力行使出来る中国自身が、弾圧大国であるからこの面に関する注文・介入が皆無であることによります。

中間層の重要性4(テロ・暴動の基盤1)

資源収入に頼る国・・産油国では分配対象(一定金額の収入・生産に要する必要人員)が少なくて済む(労働分配率が殆どない)ので、貧富格差が飛躍的に拡大します。
これが資源輸出に頼る国・アラブや北アフリカ諸国では政治不満が起き易くテロ組織が勢いを増す構造です。
ちなみにテロ組織の隆盛・事件頻発は、アラブとかイスラム教に特有の関係ではなく、国家経済が資源収入に頼る割合が高い→利権種入を得る王族や支配者の外におこぼれに預かる関連従事者が少なく分配対象者が少ない→貧富格差の拡大進行によるものです。
アラブ諸国の中で、エジプトのみが(今回の騒乱まで)長年安定していたのは、資源輸出に頼る割合が殆どない(不労所得としては、スエズ運河収入くらいですが特権階層がいないこと)、もともと農業国で主として国民の労働に頼っていた・・所得分配が広く薄く出来ていたことによるでしょう。
また湾岸首長諸国やサウジ王国が安定を保っていられるのは、産油収入が多い割に人口が少ないので、王族だけが裕福ではなく一般国民にまで気前よくバラマキを出来るからです。
アメリカのシェールガスやオイルが出回ってアラブ・北アフリカ産油国の売上が減少して国民への分配が減ってしまうと、昨年のチュニジュア〜リビヤやエジプト、今回のマリ共和国内戦〜アルジェリア等と同様の騒乱が始まるリスクが高まります。
中国等近代工業化に離陸したアジア新興国では、産油国の王族同様に経営者や共産党幹部等、利権収入を得る特権階層がいる点は同じですが、工業化による場合は非正規雇用中心であっても多くのヒトを使うので産油国よりも多くの人に薄く広く所得分配出来ることが重要です。
一般人に殆ど仕事のない産油国・・砂漠の民等と違って、給与が安くても、身分が不安定でも日々の収入さえ継続していれば政権に対する不満がその分緩和され・・命がけで暴動する人が出ません。
昔から農民が如何に貧しくても、食えている限り農民が暴動を起こしませんし、流民化しません。
リビヤのカダフィ大佐の私兵同様に、中国の場合も共産党の私兵である人民解放軍や公安警察による強権による締め付けによって政権維持しているのですが、これは締め付けがうまく行っているからではなく、多くの工場労働者の存在・・一応分配出来ていたことによります。
ただ、これが大量に失業するようになると、リビヤ等と同じ問題・・軍や公安の力だけでは抑え切れなくなるでしょう。
従来中国沿海部と内陸の格差がマスコミで報道されていましたが、地域差ならば(目の前の人が皆同じく貧しいのですから)それほどの不満が起きません。
対策も単純で財政出動さえすれば(日本でも地方過疎地への公共工事で誤摩化してきました)何とかなりますが、都市に入り組んだ非正規雇用者の失業増大・生活困窮となると一筋縄では行きません。
日本でも地域差の問題ではなくなって来た結果、地方政府や企業補助等の間接的財政出動ではなく、個々人への直接バラマキが必要になった背景事情として「都市住民内格差1と選挙制度」January 21, 2011のコラムその他であちこちで書きました。
1月19日の日経新聞朝刊では蘭州市で、山を崩して巨大ニュータウンを作る工事写真が出ていました。
汎用品生産工場中心で離陸発展した中国では、人件費高騰のあおりで反日暴動以前から外資に逃げられつつあったのですが、住む人もいない新市街・鬼城(ゴーストタウン)を作る工事によって、当面の失業対策・GDPアップ効果になっているという記事です。
こんな無駄な工事(鉄道工事や幽霊マンションの大量建設もその例です)を繰り返して苦境に陥っている経済実態を糊塗しているのが現在の中国経済ですが、こんなバカなことがいつまでも続く訳がありません。
中国賛美記事の多い日経新聞では珍しい現象です・・・こんなことはずっと前から分っているのに国民を騙すために報道していなかっただけ(だからこそイザとなれば1日で現地写真を出せたのでしょう)ですが、これはこの後で書くように中国政府発表に驚いてマスコミも慌てて追随しているのでしょう。

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