外資流入減5(虚偽データ1)

人件費が上がっても既存工場では生き残りのためにレベルアップを目指す努力をしますし、効果はいくらか生まれて来ることは確かでしょうが、レベルアップに成功するのはせいぜい全企業の何%単位に過ぎないことが多いでしょう。
レベルアップに成功した分野では最低レベル労働を前提とするマンモスと評される1工場何千〜万人単位の大規模労働者を必要としません。
そこで国民不満を緩和する意味からも、国際競争力低下による輸出用製造業縮小の穴埋めには内需拡大しかないので、リーマンショック直後に5〜60兆円に上る国内投資をしました。
いきなり内需向け生産と言っても,これまで(幹部の懐を肥やすばかりで使い切れない分は海外秘密預金)国民を豊かにして来なかったために、国民に購買力がないので新幹線網やゴーストタウン等無駄な建設投資に走ったのですが、これらも出来上がって来ると客がいなくて困っています。
そこで購買力を付ける必要→本来は年間1000億ドル・約10兆円も入って来る外資分を国民に配れば良いのですが、これが勿体ない(幹部は海外に隠し預金にしたい)ので最低賃金引き上げに走りました。
最低賃金引き揚げの結果収入が増えれば国民も喜んで不満が減るし、海外流出する雇用分を購買力が増えた内需向け製造業や販売業が雇用を増やして穴埋め出来れば理想的です。
例えば、近年の日系企業の進出内容は,中国で製造して輸出するような企業ばかりではなく、中国国内需要向け紙おむつ・生理用品等の製造や、国内サ−ビス部門(コンビニ・スーパー等)への投資が増えているのはこの結果です。
問題は輸出製品製造向けの大規模工場の縮小による雇用減少に、内需関連雇用増が見合うほどの規模になるか?です。
世界最低人件費に基礎を置く輸出用低レベル製造工場・工員が、ベトナム・バングラデッシュ等との競争に徐々に負けて行き雇用減少に転じていますが、・・この分野の労働者は桁違いに多いのですから、コンビニ等の出店程度ではカバー出来ませんので、大変な失業問題に発展します。
元々スーパーやコンビニが出店しなくとも中国国内には前近代的小規模店舗・サービス業従事者が無数にあったのですから、ス−パー等の進出はこれらが淘汰されるだけであって、サービス業全体で雇用が増えるどころか合理化の結果減る可能性すらあります。
とすれば内需用工場・・日本から輸入していた紙おむつやマスク製造等が現地生産として中国国内に新設されるくらいが希望になります。
これだって、ベトナム等で造った方が安いとなれば、早晩ベトナム等からの輸入品に取って代わられるでしょう。
結局人件費を引き上げても雇用が減らないようにするには、これに匹敵するようなレベルアップが必要・・ノーワークノーペイ・・働き以上の収入を求めるのは権力を持ってしても無理が出るということです。
中国では、レアアースの禁輸に際しても中国は第一次産業的な資源採掘だけではなく、一段レベル上の国内製造工場を誘致するためだと表向き主張していましたが、(その言=建前や良し・・)経済原理に反して強制した結果はどうなったでしょうか?
日本の大勢は中国に生産移管するのではなく、(一部企業では中国の要求どおりに中国へ生産移管を始めているようですが・・大勢ではありません)中国外での資源開発やレアアース代替品開発に次々と成功しています。
結果的に、レアアース買い手の減少→価格の暴落で中国のレアース大手企業がつぶれたり散々な結果に終わっています。
この辺で、対中国の外資流入額とその推移を見ておきましょう。
以下は、2009年までの外資流入額の推移です。
2010〜2012年までの推移は、この後に勝又氏の論文からの引用で紹介します。http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/5234.pdf記載のグラフの引用です。

腐敗政治と最低賃金引き上げ2(暴動の頻発1)

最低賃金引き上げに成功して中国で仮に月額数千円賃金を引き上げても、流入した巨額外資(約1000億ドル)を地方幹部やその上の大幹部が懐に入れたままでは、農地を取り上げられて流民化(農民が都市に追い出されて農民工になっても都市戸籍を貰えない差別があります)してしまっている国民の不満が収まらないでしょう。
ところが、共産党幹部の腐敗政治をやめさせられないので、(これを本気でやると政府首脳の命取りになるので保身のために手をつけられないのが実態です)外資に賃上げを無理に飲ませることにしたのですが、こうなると採算が取れない外資だけではなく国内資本までも国外に逃げ始めます。
その結果、工場閉鎖の続出→失業増大・・あるいは新卒学卒の就職難(・・大卒のネズミ族の発生)で不満が極限に達している・・国内政治がどうにもならなくなっているのが中国政治の現状です。
中国では2011年度には年間に発生した暴動(無許可デモ→一般的には暴力事件に発展して問答無用で収監されますが・・)が20万件(公表データですから実際にはもっと多いでしょう)という日本では想像を絶する数字が発表されています・・殆ど中国歴代王朝政権末期の状態になっています。
タマタマうろ覚えだった暴動件数をサーチしてみたら、以下の文章が見つかりました。
暴動件数だけではなく、最低賃金引き上げに関しても私同様の関心で書いていることが分ります。
(私一人の意見ではなさそうですので安心したと同時に、人が先に書いていたのには驚きました。
ただし私の意見は賃上げの結果、企業が海外に逃げて、失業が増え政府は余計困難な状態になりつつあると言う点に重点があります。)
以下は下記ネットからの引用です。

◆中国の暴動・デモ1日548件 公安費予算9.1兆で国防費上回る
http://news.ameba.jp/20120528-401/
中国政府が、賃金は市場経済で決まるという原則を無視してまで、賃金を上げようとしている理由は、民衆蜂起を恐れているからだ。
中国各地では、貧富の差の拡大や役人の腐敗・汚職に怒った民衆の暴動やデモ(…群体性事件)が頻発しており、昨年は約20万件に達したという情報もある。
なんと1日当たり548件。
収拾不能な数字である。
このため、それを取り締まる公安費(公共安全費)が2010年以降、膨張を続ける国防費をも上回るという異常事態になっている。
2012年予算では公安費が7018億元(約9兆1000億円)、国防費が6703億元(約8兆7000億円)。
もはや公安は公共の安全を守る組織ではなく“民衆蜂起から不正官僚を守る”ための組織に成り下がってしまった観がある。
ことほどさように民衆蜂起の危険性が高まっているため、政府は民衆の怒りを和らげようと、企業にシワ寄せをしているわけだ。
だが、暴動やデモが頻発している背景には、賃上げだけでは解決できない国民の鬱積した不満がある。」

以上のように現共産党政権は現地歴代王朝末期より酷い状態にあるのですが、May 2, 2013「中国共産党→中国政府→人民3(モラルなき社会)」で書いたように近代装備の政府軍・・中国の場合、軍+公安部隊は強大です。
上記コラムでも書きましたが、中国の場合外国から守るための国防軍は存在せず、共産党の私兵=人民解放軍が中国全土を占領したままですから、いずれも共産党を守り、強制するための組織・・対国内戦争用です。
(ここ数年海軍に力を入れていますが、陸軍中心で来た意味が分かるでしょう)
・・・・人民解放という内戦向きの軍・・国内で敵対する相手と戦う軍しか存在しない・・国府軍を台湾に追い払った後には敵は国民しかいないのにまだ軍があると言うギャグのような組織のママですから、上記ネット意見では軍より公安予算の方が大きいと書いていますが、そもそも公安部隊と人民解放軍との区別が論理的には存在しません。
元々国民対策用強制装置の内、公安の方が情報収集や民間を下部組織として使うようになっている違いに過ぎません。
江戸時代にもとは対外戦闘用であった武士が治安を担当するようになって「寄り騎」→与力制度が生まれたと書いたことがありましたが、中国ではこの逆の成長をして来たのです。

腐敗政治と最低賃金引き上げ1 

中国深圳あたりの労働者の平均賃金が月額2〜3万円で(こうした大企業に勤められるのは恵まれた方です)他方で共産党幹部の蓄財が数千億から兆単位というのでは、国民が怒り出すのは当然です。
格差拡大の酷さ・・裸官の実態がネットで暴露されるようになって、政権の正当性を揺るがす事態になって来たので、ここ数年共産党政府は労働者手取りの底上げのために強制的な最低賃金引き上げに動き出しています。
そうなると低賃金を当てにして成り立っている産業(外資に限らず国内資本も)はやって行けないのでベトナム等に逃げて行きます。
日本マスコミでは、低賃金では人が集まり難くなっていると如何にも自然現象のごとく最低賃金の強制引き揚げ政策を擁護していますが、膨大な失業者がいるし農村部にはその何分の1の収入もない人が億単位でいる・・・もっと低賃金でも働きたい予備軍が無限にいるのですから、そんな経済現象はまだまだ先の話し筈です。
元々最低賃金制は市場原理に委ねると最低生活も出来ない人が出て来るから、制度上最低賃金を強制する制度ですから市場の需給で決まるものではありません。
実際深圳周辺のどこかの市では中央で決められた最低賃金の方針を実施しない市(地方政府)もあるようですから、経済原理に反した強制は地域経済に深刻なダメージを与えているようです。
日本でも解雇規制が強過ぎたり、非正規雇用を法で規制すると却って失業者が増えるのと同じで、経済を権力で規制すると無理が出ます。
中国では失業率等の統計自体あてにならないですが、幹部の汚職に対する不満解消のために最低低賃金引き上げに動いた結果、国外移転の加速→工場閉鎖の頻発→大量失業発生によって、大変な事態に陥り始めている筈です。
深圳等で閉鎖された大規模工場の報道が以前には結構ありましたが、尖閣諸島問題で日中紛争が始まると、その後日本のマスコミでは中国に都合の悪いこの種の現場報道が何故か全くなくなりました。
大卒の就職率・失業率(ネズミ族等)その他、中韓の不利な情報・・社会の暗部に関するテーマの情報でも、(データが当てにならないまでも)以前一杯あったのに、最近では何故か大手マスコミから全く姿を消しています。
中国の暗部をテーマ化して報道しないまでも単発的報道・・例えばシャープへの出資交渉で有名になった受託製造大手の台湾の鴻海グループが中国で経営する受託製造工場を縮小・閉鎖する方向になっているなど、同社や個別企業動向として結果的にマスコミにパラパラと出て来ています。
中国の場合、人海戦術の国ですから1つの受託製造工場に5〜6000人もいるのはざらですから、これが1〜2つ閉鎖するだけでも日本では想像のつかないほどの大規模失業が発生します。
賃上げが経済現象として起きるならば、それだけの生産性が挙がっている証拠ですから無理がないのですが、生産性の上昇がないのに賄賂・腐敗政治に対する不満解消のために最低賃金を権力的に引き上げて誤摩化そうとすると、却って職場が減るなど経済的に無理が出るし国民の納得性も低いでしょう。
格差社会になっている点はアメリカと似ていますが、プレスリーやジョブスなどは、自力で稼いだものですが・・、激しい腐敗による超格差社会になっている中国とはその成り立ちが違います。
共産党幹部の腐敗に対する国内不満をなくすには、日本が近郊農民を土地成金として豊かにし、過疎地に何十年も国費を投入して来たように、地方政府や幹部の収賄・・・これこそ共産主義者の好きな「搾取」そのものです・・をやめて、外資が入れば地元民に恩恵がそのまま行き渡るようにするのが先ず第一の王道です。
外資が入って来て地元のただみたいな土地が高額で売れた場合、タマタマ地元で原油が沸いて採掘料金を取れるようになったのと同じで、外資による資金取得は一種の不労所得です。
中国の最低賃金引き上げ命令は、原油利権料をアラブ王族が独り占めしていることによって民衆の不満がたまってきたからと言う理由で、(石油掘削会社に勤める現地人は国民の一部でしかないのに)国際石油資本の現場労働者の賃金引き揚げを求めているようなものです。
共産党幹部の得ている利権料収入・・中国への外資流入は年間1000億ドル=約10兆円・・を国民に分配することこそが国民不満解消の王道です。

外資流入減1と中国経済

流入した外資を元手に無駄な国内投資を繰り返していた中国では、資本流入縮小〜引き揚げが始まると内需が縮小し、海外再投資資金が枯渇して致命的打撃になります。
外資の資金流出を防ぐために公的資本規制があるだけではなく、実際には工場投資・新規店舗投資などした資金を現金化して引き上げるのは容易ではなく・・殆どの場合二束三文で現地業者に売り渡すしかないのが中国投資資金回収の現実と言われています。
賃上げ要求その他が激しくて採算が取れなくなって日本企業が撤退しようとすると、従業員からの不当な補償要求が噴出して収拾がつかなくなり、結局は何十億も掛けた工場や店舗などを5円か10円・・ただ同様の値段で合弁相手に売り払うことで解決して行くしかないのが実態のようです。
何故日本の業者が頑張れないかと言うと、賃金未払いで訴えられるとこの決着までの間は出国が認められない法制度があるらしいのです。
一見尤もな規制のようですが、・・事実上捕虜みたいな扱いになるので多くの駐在員を人質に取られた企業は、参ってしまって無茶な取引(・・殆ど強盗にあったようなものですが・・・)にサインするしかなくなる仕組みらしいです。
投資した長期資本引き揚げは、公的規制があるだけではなく、実際には滅多にうまく行かない仕組みです。
(・・敗戦時に満州から引き揚げるときには家財全部棄てて逃げて来た経験が参考になるでしょう)
中国としては一旦現地工場・スーパー・百貨店などに投資させれば、いつでも自分の物に出来る・・自分の物になったのと同じ感覚になっているでしょう。
ヘンデルとグレーテルの寓話のように太らせてから食う・・中国は日本に投資させるだけさせて、これ以上の資金流入や技術移転が見込めないとなれば、後は反日運動で叩くだけ叩いて日本人・日系企業が命からがら引き上げるように仕向けて、ただ同然で奪い取ることが可能です。
執拗な反日教育は、イザとなれば国民の心に火をつければ直ぐに燃え広がるようにするための準備行為と見られないこともありません。
日本政府・企業としては中韓政府が幼児期からの反日教育をやめない限り、(やめてから一定期間経過しない限り)投資・技術協力出来ないというスタンスを取るべきでしょう。
上海株価指数推移表のグラフを見てきましたが、製造業その他の生産が上昇していなくとも毎年1000億ドルも資金が流入していれば、それだけで経済は豊かに回って行きます。
(この後に中国への流入資金量のグラフを紹介しますが、公式発表だけでも年間約1000億ドル前後の巨額です・・これに貿易決済を装った短期資金流入額を加えるともっと巨額になっています・・実際の貿易黒字額はもっと減ります。)
ソニー等が営業赤字でも保有する自社ビルを売れば、その期は特別利益何百億円も出るのと同じです。
年間千億ドル以上の継続的資金流入=その資金が中国の土地代金や施設建設代金に変換されて中国(地方政府〜回り回って中国企業)の収入になっているのは、上記ソニー等が毎年自社ビルや不動産を売って特別利益を出し続けてきたようなものです。
千億ドルと言えば、円にすれば毎年約10兆円以上もの大金が株式市場参加企業に継続的に配られて来たとも言えます。
これだけの特別収入が毎年あれば余程の赤字体質(中国企業全体で1000億ドル以下であれば)企業でも黒字家決算が可能です。
これまで、もしかしたら,(私の仮説ですが・・)巨額投資資金の中国流入があって漸く通貨取引が収支トントンあるいは少しだけプラス(人民元のじり高)を維持出来ていた可能性があるというスタンスで書いています。
(公表数字とは違い、実際には貿易収支が大赤字あるいは大したことがなく、これを資本収支の黒字=外資流入で補って来た可能性が高いのではないかという仮説です)
リーマンショック〜欧州危機〜反日暴動以来、外資流入が急激に細って来たことにより、今後どのくらいの期間経過で株式相場の下落や人民元相場が弱含みになって行くかの関心です。
4月28日の比喩ではこれまでの中国による宣伝を前提に実勢相場としては人民元が2〜3倍上がるべき前提で書きましたが、実はそんなに大幅に上がるべき状態(実態経済)ではない(車がエンジン停止後慣性によって少し走るように今後少しはまだ上がる)かも知れません。

上海総合株価指数1

5月8日夕刊によれば、韓国中央銀行は韓国経済のマイナス成長に(耐え切れずに)対策として遂に韓国は0、25%金利を切り下げたという報道がありました。
昨年からのマイナス成長ですから4月7日にも下がるという観測でしたが、4月にはウオン暴落が怖くて下げられなかったのです。
ウオン暴落の不安もあるが、あまりの急激な景気落ち込みに耐え切れずに目先景気下支えのために(先のことは心配しても仕方ない・・)踏み切ったということでしょう。
中国政府も四月下旬ころに、貿易統計に短期資本取引が紛れ込んで統計の信用性に疑問が生じるので、近いうちに短期資本取引自由化を李克強氏が言明・あるいは示唆したと報じられていました。
(ただし、ネットで再確認しようとすると出なくなっています・・政治家は匂わせるだけのことが多く、記者が前後の文脈で解釈して報道することがある・・思い込み記事だったのでしょうか。)
中国政府による貿易収支発表が香港等相手国地域との発表とあまりにも食い違い過ぎるので、この言い訳のために貿易決済名目で外資が流入して来るのを明らかにする必要が生じて来た・・資本規制自体が無理になって来たという程度の発言だったのかも知れません。
「短期資本自由化近し・・」と誤解して記事にしてもらえば、株式市場活性化に繋がる面もあるのでいろんな意味にとれるように政治家は発言します。
長期の投資・・工場用地取得や設備新設資金を日本等が持ち込んで人民元に換えている場合、その資金で土地を買って工場設備を立ち上げて稼働し始めると簡単に引き上げられませんが、短期資本自由化による資金流入の場合、数分・数時間で株や債券など売って海外に逃げられますので、急激な外資の引き上げリスクが生じます。
中国はアジア危機の教訓によって短期資金取引を規制していましたが、ここに来てイキナリ自由化に踏み切る予定の示唆発言(匂わせるだけで実行するかは分りませんが・・)するのは、もしもこの発言が本当にあったのなら余程外資不足に陥っていると見るべきでしょう。
・・将来危険があっても(そんな心配をしている余裕がない・・)目先の外資を喉から手が出るほど資金が欲しくなっている・あるいは株式市場への資金流入を期待させて相場底入れをしないと株式市場がずるずる下がって行き持たないリスクが生じて来たので相場誘導する必要に迫られているからではないでしょうか?
人民元相場は4月28日に書いたように為替が管理されている関係で実態経済の遅行指数ですので、中国の経済力が下降局面に入ってもなお相場上昇圧力が続きます。
まして今は政治的にも対日、対フィリッピン、対ベトナム等々周囲と緊張関係にあって、アメリカが中国を真正面から敵視し始めたことから、人民元の人為的安値に対するアメリカの不満を少しでも柔らげたいのが中国の立場です。
この結果ここ1ヶ月間ばかり人民元の管理相場上限をジリジリと上げているのですが、その結果もともとベトナム等後発国からの挑戦に困っているところへ人民元高の追い打ちがあると、国際競争力が余計落ち込む展開になっています。
実体経済を反映する株式相場がさえない展開なって来るので、口先だけでも外資流入→株式買い入れ資金流入を匂わせて相場底入れを計りたいところでしょう。
公式統計は何とでも操作可能でしょうが、株式相場の操作は難しいので短期資本取引自由化→資金流入増近しと言う口先だけの示唆で、株式相場の底入れを計ったのではないかと疑われます。
短期資本取引自由化発言に気を良くしたらしく、4月末ころからここ10日間くらい上海の株式相場が上がっています。
中国の成長期待をバックにした外資の投資意欲の強さをバックに中国政府は長期投資しか受け付けないという強気の政治をしていたものの、長期投資・・工場進出等の資金流入が急激に細って来て国内で資金が回って行かなくなるリスクが出てきました。
その穴埋めのために急遽短期資本取引解禁に舵を切ろうとしていると言う口先介入(匂わせ)をした可能性があります。
実際に解禁・・自由化しなくとも、李首相がこのように発言・匂わせれば、株式市場への短期資金資金流入を期待して相場が上がるのは当然です。
短期資本取引解禁示唆発言は、中国政府による経済運営の自信の現れというよりは、(苦しまぎれの)背に腹を替えられないという判断の可能性の方が高いように思われます。
李克強氏は匂わせただけとすれば、短期資本自由化を近い将来実行しなくとも政治責任がありません。

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