英仏7年戦争が原因でフランス革命が起きたと書いてきましたが、中ロ等の後進国でもフランス革命時のフランスと同程度に国民経済が進化して来ていると、(原始的経済にとどまる北朝鮮とは違い・・)経済不振を誤摩化すために排外行動をすれば、より一層経済が損なわれてしまい、却って国民不満が高まる一方になるリスクがあります。
今のロシアや中国は、7年戦争当時のプロシヤオーストリヤレベルの自給自足経済ではありません。
2国間だけならば10対1の国力差の場合、双方同率のダメージを仮定すれば、大きい国にとって経済のダメージ率はそれほどではありませんが、道義に反することをして国際的経済制裁を受けると、相手とだけの関係では10対1の比率でも、逆に100対10の関係になることがあります。
まだ本格戦争・・本格経済制裁が始まってもいないのに、この可能性のリスクだけで昨日書いたようにロシアではこの1〜3月までの3ヶ月間で昨年1年間の合計資本流出よりも多くの資本流出が始まっていますが、逆にウクライナは西欧諸国からの支援が期待できる関係です。
ところで、現在社会では企業が損をするのを待って株価や債券相場が変動するのではありません。
例えば、来年または再来年の大幅損失が予想されれば、損をしてから株価が下がったり、債券価格が低下するのではなく、予想された時点で株価や債券(企業の社債)が大幅値下がりします。
儲けが出てから変動するのではなく、儲けが予想されるだけで相場が上がります。
現在のプーチン政権の苦境は新興国景気の停滞=資源価格下落/輸出停滞によるものですが、戦争になる→ロシアの資源輸出が更に停滞するのが必至・・さらに景気悪化する→株価値下がりが見込まれるとなれば、金融資本家は、一刻も早く株や債券を売って逃げ出したくなるのは自己保身のために当然の行動です。
ドイツ等の西欧諸国の企業やトヨタ、日産など既に進出した産業資本家は直ぐに逃げられないまでも、売れ行き不振を見越して生産を縮小したり新たな投資計画を中止したり抑制に動きます。
今回のウクライナ紛争が現実化すると日本がロシアからの輸入予定で進んでいた各種プロジェクトは西側の結束上、中止か先送りを余儀なくされるのは明白です。
この種の案件は、日本よりも関係の深い西欧諸国との関係ではかなりあると思われます。
この穴埋めを中国がになえるかどうかとなりますが、中国も従来必要な限度で買っていたものですから、イキナリ必要以上に大量に輸入を増やす=無駄な買い物を大量には出来ないので無理があるでしょう。
生産計画の見直しは実際に経済効果が出るのは半年単位先ですが、発注の見直し等は直ぐに関連産業・下請けに伝えられますので、金融資本に比べて即効性がないとしても、心理効果は直ぐに出ます。
この行動形態は外資に限らずロシアの民族資本家でも・・天然ガスの売れ行きが見込めなければ生産拡大や物流関連投資を停止して様子を見たり、生産縮小するしかしない点は同じです。
ソ連崩壊後のロシアは自給自足的社会から、西側諸国の経済原理を持ち込んで新興国の仲間入りした・・国際金融・産業資本を受入れている以上は、この経済原理から逃れられません。
計画経済のときには、在庫がふくれあがっても(国民に隠して)一定期間無理して生産を続けられたでしょうが、長期的無駄な生産継続が遂にソ連崩壊をもたらしたことが記憶に新しいところです。
比喩的に言えば、日米よりも多くの◯◯生産という統計のために需要がないのに生産継続していても(統計も誤摩化していたことが明らかになっていますが・・)いつかは無理が来ます。
如何に政府べったりの人材(プーチンの腹心)ばかりを送り込んでいるとは言え、ある程度民営化しているので、売れないものを営々と生産し続けることは不可能になっています。
逆に腹心である彼ら経済人の影響を受け易くなっているからこそ、プーチンは経済停滞を無視できず、必死になっているのです。