サイレントマジョリティ5(弁護士会会内合意のあり方1)

単位弁護士会や日弁連の公式意思決定に対して、各種委員会で時間をかけて練り上げた結論は大きなウエート・・影響力を有しています。
会の意思決定に重要な影響力のある委員会運営が、非民主的に行なわれているとしたら、(注・・仮定です)由々しい事態です。
会全体意見の平均値で構成されていない・・特殊思想の純粋系だけで構成されている政治的委員会の意見を事実上会の意思としてしまうのでは(仮定です)、本来の意味での民主的運営に基本から違反しています。
委員会決定は、全会一致で民主的?だと言うのかも知れませんが、全会一致と言うことは異論を許さない運営の結果を表していることが多いのではないでしょうか?
ソ連共産党政権や現在の中共政権も全て会議は全会一致で強固な団結を誇示していますが・・政治学的には、言論の自由がないことを証明していると言われていたのではないでしょうか?
少数意見を尊重したから、結果的に全会一致になったのではなく少数意見を一切言えない雰囲気にしていることが問題です。
野党やマスコミの主張によれば、少数意見があって堂々審議の結果でも、最後に議決すると強行採決とか、多数の横暴と言う決まり文句ですが、もしかして少数意見を言えないようにしていた旧ソ連や中国の全会一致の運用を理想としているのでしょうか?
共産党1党独裁制は、選挙制度がなくとも、民意が下部組織から順に上がって行くから民意を十分に反映している・・立派な民主主義国家であると言う政治学者がいたように思いますが、ソ連崩壊以降こう言う政治学者は今、弁護士会の委員会制度を理想としているのでしょうか?
中国やソ連でh意見を言いたかったら共産党組織に入れば良いじゃないかと言うことだったのでしょうか?
共産党員としてはいったら共産党の党是に反対することが出来ないのは当然ですから、その範囲の意見しか言えません。
左翼政治学者がソ連を賞讃していたことのヤキ写しを、もしかして?ソ連崩壊後も今なお弁護士会が理想としてやっているとしたら滑稽です。
弁護士会の現状を調査していませんので、(弁護士会では、ネット等で会内意思の集約をしたことがないので)以下は、仮定の議論ですから誤解のないようにして下さい。
弁護士会の委員会は、前もって資本主義や安保法案反対と決めていないから、「委員会にはいって自分の意見を言えば良いだろう」「そこで多数意見で決まった以上は、民主的意見だ」と言うのが安保法案等の反対運動を弁護士会名義で行なっている人たちの意見でしょうか。
例えば、死刑廃止や憲法問題や秘密保護法対策委員会に「入る権利が全会員に平等に開かれていて、無作為にはいって来た人が100%集団自衛権反対・秘密保護法反対と言うのだからこれが、当会全員一致の意見と見て良い」と言うのでしょうか?
弁護士会委員会が革マル派などと同じだと言うのではありませんが、大学自治会もその大学の学生であれば、誰でも参加出来るのですが、今の中核派などに気楽にはいって行き、自治会を正常化するために自分の意見を言いに行く人がいるでしょうか?
現在極左集団の牛耳る学生自治会を日本人の100人に一人もその大学学生の代表だとは思っていないのではないでしょうか?
弁護士会には・学生自治会同様に選挙制度がありますから、ソ連とそっくりではありません。
実際には千葉県弁護士会では、過去30数年ほど前に1回選挙があっただけだと記憶しています・・それも有力者の談合で決まる候補に反発して個人的に立候補しただけあって、政治意見の違いと言うものではありませんでした・・その後30年以上も何となく年功での話し合いで・・立候補者が決まり対抗馬が出ない繰り返しですので、選挙で勝ち抜いた強い支持がある訳ではありません。
民事訴訟法や裁判員制度などの実務的委員会その他の場合、仮に意見対立しても論理中心なのでしこりが残らないのでどうってことはありませんが、政治的色彩の強い委員会との対立関係になると価値観の相違が根底にある結果、結論が価値観の影響を受け易いので、しこりが残り易い点が難点です。
ネットでの一般政治論に関する動きを見ても、「あいつは、◯◯の手先だ」とかハニートラップにかかっているなどの個人攻撃に転嫁し易いことを見ても分るように、政治論議は難しいものです。

代議制民主主義とワンイッシュー1

安保法案可決に対する「弁護士有志の会」名義での緊急抗議声明署名人をネットで募っていたようですが、呼びかけ人らしい人の報告によると200名を超える「趣旨への賛同者」が集まったと誇らしげに報告しているようです。
現在の弁護士数を日弁連のホームページで見ると、10月1日現在では36,373名となっていますが、その内200人あまりの賛同で、もしかしたら、「大多数の法律家の声」またはこれに類する表現になるとすれば、恐れ入った算数能力です。
デモ参加は仕事の都合等で行けなかった人があるので、その背後にもっと多い支持者がいた筈と言う意見もあり得ますが、ネット応募はワンクリックで簡単に出来ることですから、この数字が最大実数の可能性に近いでしょう。
ただし、緊急執行のために短期間で閉め切ったようですから、時間をかければ最大では1000名くらいになったかも知れません。
三万6千のうち1000名とすれば比率がかなり高いことが分りますが、それでも36分の1以下でしかありませんし、弁護士の政治意識が左寄りと一般に思われていることからすれば、世間が抱いているイメージからすればむしろ想定外に少ないと言うべきではないでしょうか?
国民大多数の意見を無視した強行採決は無効と言う意見がはびこっていますが、誰が大多数を判定するのか不思議な主張だと違和感を持つ人が多いでしょうが、慰安婦問題同様にマスコミが繰り返すと真実のように誤解する人が多い効果を狙っていると思われます。
国民の意思は選挙で表明され、これに従うのが、民主主義国家の基本であって、マスコミや護憲勢力?が勝手に決めるべきものではありません。
左翼系は、日本に現実にある民主制度が目に入らずに旧ソ連や中国など独裁権力が決める国家意思の思想を日本に当てはめて、自分たちが市民の声代表を気取っている・・僭称しているのですから滑稽です。
憲法
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し・・・

第四章 国会
第四十一条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条  国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条  両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
○2  両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

上記のとおり、選挙による民意代表こそが憲法が要求している政治決定システムですが、左翼・文化人は、自分の意見に合わない法案があると、(国民多数の意見に反した)憲法違反と主張して・・選挙を経ない自分らの意見がいつも市民や国民の声だと自己判定し、これに応じない国会決議を憲法違反と言うようです。
ちなみに代表と代理とは法的意味が違うことを「09/01/03(2003年の意味です)代表と代理、理事の違い」以降の連載コラムで説明したことがあります。
代理は一定の法的行為を委任者の意向に従って行なうこと(委任者の意思に反する行為をするのは違反)ですが、代表は人格的に委ねてしまうもので、選挙民の個別の指示や意思に従う制度設計・義務がありません。
個別法案ごとの受任・意思確認を前提にしていないのです。
ところが、左翼やマスコミは曰く「前回選挙はワンイッシューでなかったので、安保法制が国民多数の支持を受けたとは言えない」と言うのですが、そんなことを言い出したら道路交通法改正や予算、全ての国会決議による法律はワンイッシューで選挙していないので、全ての法律が国民意思に反した法律・・憲法違反となってしまいます。
憲法違反を主張する彼らの主張こそ、憲法の予定している民意の総括手段である国会制度否定になりませんか?
そもそも、日弁連執行部自体が、安保法制反対運動をするに関してワンイッシューで会員投票をしたのでしょうか?
国会通過直後であれだけ興奮し盛り上がっている最中に募集した「有志の会ネット抗議」に僅かの200名の賛同者しか集まらない状態では、(呼びかけ人はこんなに集まったと誇らしいようですが・・)もしもワンイッシューで賛否をとったら、弁護士全体の過半数の支持すらなかった可能性があるから怖くて出来ないのでしょうか?

 反日宣伝と対処法(自衛と反撃力)1 

棄民政策宣伝と相前後して、従軍慰安婦や日本軍の残虐行為発掘?のためにアジア諸国へ出向いて被害者探しをしては次々と日本非難が始まりました。
現実にあることで噓を言うのでは、時間の経過でバレることが分ったからでしょうか?
戦略を変えて過去のしかも外国での架空事実の主張に方向転換したかのように見えます。
この主張は目の前に現実が存在しないことですから、日本人の行動原理である「沈黙は金」・・黙っていればその内本当のことが分ってくれる・・と言う行動原理の裏をかいたことになります。
日本人はバカバカしくて「反論すること自体大人げない」と言う大人の態度で放置していましたが、目の前に現実世界のない過去のことですから、時間が経てば分るだろうと言う日本の価値観・方式は通用しないことに気が付かなかったのです。
中韓政府は自分が勝てばこの程度の酷いことを繰り返して来た歴史があるので、日本もこう言う酷いことをしただろうと言う想像をもとにでっち上げの映画を作り、それを使って、連日のように国民教育し、世界中に宣伝しまくっています。
子供はそのとおり信じて成人して行くし、世界中の人々も日常的にテレビ映画等を通して宣伝量の多い方が真実ではないか・・しょっ中垂れ流していれば、何となく世界中が中韓の宣伝していることが事実であるかのように錯覚してしまうことになります。
日本人は「そんなとんでもない噓を誰も相手にしない」と思って、放っておけば良いと誤解していたのですが、世界はそう思っていなかったのです。
世界中が誤解してしまっている事実に気が付くのが遅かったのです。
中韓では好き勝手に歴史を改ざんする国ですから、これにあわせれば簡単ですし、・・うっかり反論しようとすると戦後秩序否定論者と言うアメリカを巻き込んだ中韓による押さえ込み戦略が成功していたので、日本は言われっぱなしで何も言えなかったので、殆ど成功していたように見えました。
「沈黙は金」と言う日本の方式・・現実が証明してくれると言うやり方では、世界中が洗脳されて行くばかりですから、日本の名誉を守るためには、積極的反論と報復が必須であることに気が付いたのがこの数年のことです。
世界は汚い人の集まり・・と言う現実を知ると、日本のネットでの反撃が始まりましたが、積極的反論が始まると中韓をバックにした?組織からのヘイトスピーチ批判が起きてきました。
あまりにも酷い噓のつき放題に気が付けば、当面ある程度激高する人が出るのは仕方のないことですが、・・反論をスマートにやる必要があることは当然です。
日本人の民度が高いので、すぐにこの方面でもクリア−して淡々と世界に訴えて行く人材が増えて来るでしょう。
日本がやっていないと言う消極的否定だけでは、宣伝戦争には勝てませんから積極的に世界に訴えかけて行く人材養成が必要です。
全て戦いと言うものは反撃力の温存こそが、最高の自衛になるのが古来からの鉄則です。
何をされても反論・反撃しないと前もって宣言していると、相手は気楽に攻撃してきて負けそうになれば攻撃をやめれば良いだけ・・何のペナルティーもないのではあまりにも安易な攻撃を招いてしまいます。
日本は戦後悪口雑言を言われっぱなしで、アメリカに遠慮して反論すら出来なかったので、相手は身の危険がないので攻撃し放題になっていたのです。
日本は「そんなことしていない」と言う程度の消極的否定だけではなく、中国や韓国はこんな酷いことをして来たと言う積極的反撃が必要です。
今回の慰安婦騒動の当初には、安倍政権に対して「戦後秩序批判を許さない」と言う方向で、アメリカが日本押さえつけに動いていて、日本政府を強迫して黙らせる従来型でした。
(繰り返し書いているようにモトはと言えば、あらゆる分野でアメリカによる日本全否定政策が基本にあることは誰の目にも明らかですから、日本批判の本家であり震源地であるアメリカに対する反撃が必須であることが却って浮き彫りになってしまいました。)

独裁と結果責任主義1

中国では、底堅いと言われていた上海でもマンション価格が昨年秋頃には下がり始めたことに危機感を抱いていました。
マンション価格下落が全国的に進行している現状に打つ手がなくなってしまい、国有大手企業ばかりではなく中小企業も放置出来なくなって来たことと、ローン金利引き下げや2戸目購入に対する規制緩和するなどによって何とかマンション購入意欲を引き上げに誘導したい意図が見え見えです・・バブル破裂の先送りを策していると見られています。
この辺は昨年夏から秋に書いておいた原稿ですが、その後の経過はこのシリーズで書いているように、今年5月までの短期間に3回も次々と金利引き下げ・・6月以降の株価下落では、各種金融緩和をするしかないほど追いつめられています。
投資家・投機家?とすれば、困って来れば政府が次々と手を打ってくれるので、その間に儲けられると思って、再参入する人が増える・・景況感悪化が報道されると却って政府のテコ入れ期待でマンション購入が増えたり株が上がったりする国民性です。
採算割れで海外投げ売りによって企業業績悪化が鮮明になっているのに、景況感悪化の報道があると逆にこれを理由に政府テコ入れ期待で上海株が逆に急上昇する不思議な国です。
原発事故後に整理ポストに入った東電株式など、その段階から大儲けしようとハイエナのように群がるプロ投資家心理が知られていますが、中国では庶民までこれに競って参加する社会です。
欲深と言えばそれまでですが、これまで書いてきたように専制制度の下で2000年も生きて来たので、「権力は何でも出来る」・・権力の崩壊は何百年に一回で・・それは滅多にないので、権力者や君主の顔色を見て先を競って行動していれば自己保身や金儲け・・出世に繋がると言う生き方が骨の髄までしみ通っているからかも知れません。
政府が株式相場を上げようとしていると知れば我先に買いに走る・・大方損はない・・政府が手じまいしようとしているとなれば、我先に売り逃げる・・この辺で政府がテコ入れしそうだとなればまた買いに走る・・こう言う生き方です。
政府の煽りとおりにして来た以上は、結果が悪かったら政府に責任をとってもらいたいという意識が強くなるようですから、独裁政権・強力なリーダほど責任転嫁出来ないので、被支配者の不満に敏感にならざるを得ません。
我が国で言えば消費税増税による景況感悪化に関してはむしろ安倍政権に同情的世論でした・・その違いを見れば明らかです。
民主国家では思うように行かない分政権の責任も軽くなる・・安全弁になると言う実例です。
もちろん・・指導力がなくて何も決まらないとそれはそれで国民不満が生じてきますので、民主国家ではその塩梅が難しいところです。
自己責任の原理は・個人の主体的判断によって生まれて来るものですから、何事も強制による社会では、主体的判断が許されない・・訓練のないところに自己責任の思想は生まれないでしょう。
個人の主体的判断によって行動する社会では、行動の結果は自分で負うしかない・他人の責任に出来ないので政府責任もありませんが、その判断の前提たる情報が判断を左右することから、その加工や隠匿に対する責任追及社会になります。
民主主義・自由主義社会では、情報透明性が重視される所以です。
他方政府の言うとおりで良い社会では、情報の透明性需要がなく、むしろ政策の強制性に頼っている状態ですから、(統計がデタラメでも)何の不満にもなりません・・「言うとおりする代わりに結果責任とってね・・」と言うのですから・・。
スポーツその他強いリーダーシップが要請される分野では、民主国家においても結果責任主義です。
強いリーダーシップを求める社会では、庶民の方は何も考えずに将棋の駒のように動くだけですから気楽と言えば気楽ですし、言わば能力差や階級差の激しい民度の低い社会向きです。
サムスンなどでは、決断が早いと日本マスコミが賞讃しますが、合議する習慣のない社会ではそれで良いのです。
大量生産の1万人単位の大工場の誘致で成長する段階では、この種社会の方が効率が良かったでしょうが、一定以上の賃金になってこの種工場が低賃金国に負けて来ると、次の段階に進むには、個人の工夫能力等が重要になってきます。
日常的に主体的判断している社会かどうかでこの差が出て来ます。
中韓では大規模工場があっても、中小企業の存在感が少ない所以です。
大企業はサイバーテロや技術者招聘・引き抜きなどで、先端技術を導入出来ますが、中小企業の方はこんなコストをかけていては成り立ちません。
旧ソ連では、人工衛星を飛ばせたのに、日常的な製品であるクルマ1つマトモニ作れなかったのはこの原理によりますし、今の中国も同じです。
ただし中国地域では、古代から商業社会・・都市国家製で始まっているDNAがあるので、商業面での個人才能を侮れないことは大分前から書いています。
中国が商業国家から始まっていることについては、12/14/05「海路の発達と中央アジア交易の縮小」前後を参照して下さい

中国の過大投資調整16と個人の弱さ1

昨年末からの上海株急上昇は、(ただし6月中旬以来急落し今は相次ぐ売買規制によって小康状態ですが・・・その内たまったエネルギーが却ってダム結果のエネルギーになるでしょう)これまで書いているように政府が積極的に参加を奨励し煽っている結果でもありますが、国民性向も大きな影響がある・・両々相俟っていることによるでしょう。
我が国でのバブル退治のためには、不動産業への融資規制が始まりでした・・不動産投機過熱規制の手段として、不動産業界に絞ったトリガー融資規制・・金融引き締めするのが普通ですし、これが一番効き目があることを2015-5-18「中国バブルの本質(マンションバブル1)」に書きました。
中国では不動産過大投資だけではなく製鉄や石化製品、セメント等基礎資材に始まって鉄道に至るまであらゆる分野で過大投資の咎め出ているのですから、全般的に効き目のある金融規制こそが有効な社会です。
過大投資が始まったときこそ金融引き締めが有効ですが、過大投資の効果が現れてバタバタと倒産する状況になってからの金融引き締めは遅過ぎて逆効果です。
水に飛び込む人を飛び込む前に足を引っ張って止めるのは有効ですが、飛び込むのを放っておいて飛び込んでしまって溺れかけている人の足を引っ張ると本当に溺れてしまいます。
中国では、国威発揚が主目的ですから、バブル化して来てもこれが怖くて規制するどころか、過大投資の再拡大による基礎資材の需要拡大の後押ししてずるずるとやって来たことをこれまで書いてきました。
この先送りの終着点に個人参加を煽っていた異常さをここから書いていきます。
中国では企業規制よりは2戸目以上のマンション購入規制等をきつめにしたり緩めたりしているのは、個人の投機規制をすると企業が参ってしまうので、企業側の悲鳴にあわせて需要拡大のためにこれを緩めたりしているのですが、他方で投機活動の主役は個人であることを前提にしたものです。
末期症状を呈している経済状況を無視して、株式バブル相場に庶民に至るまで熱中している「株未亡人」様子を5月12日に紹介しましたが、中国人が地道な努力よりは投機傾向が高くなっているのは、2000年にわたって政府と国民の信頼関係が育っていないことによります。
・・むしろ政府不信を基礎にしている国・社会構造の経験しかないので、目先の金・・儲けられるときに目一杯儲けておきたくなるのは仕方のないことです。
大分前に律令制導入のコラムで、我が国では墾田奨励のために3世1身法その他で私有地の世襲を認める方向になったなど我が国の国民性に併せて制度が大幅に変容して来たこと・・科挙制は始めっから採用しなかったことなどを書いてきましたが、中国・朝鮮族の場合、こう言う変化がなく律令制のまま辛亥革命と日韓併合までやって来た・・やって来られた(程度の国民性)ことも精神構造に大きな影響を及ぼしていると思います。
科挙制の徹底は、高官の地位世襲がない点では今風の合理性がありましたが、どんなに出世しても1代限りで没落して行くのがこの制度です。
運良く出世出来たとしても、讒言や皇帝のご機嫌次第でいつイキナリ失脚するか分らない制度下では、(専制君主生徒は合理的基準がなく・・君主のご機嫌次第で失脚する制度です・・だからこそ正義や道理よりは讒言競争で勝てば良いという意識構造になります)蓄財出来るときに最大限の蓄財に励むこと(今の裸官の先祖)が最大の自己保身になります。
農地も官位も何もかも世襲出来ない制度下・・日本の班田収授法のように政府が農地を配給してくれる制度では、50年〜100年かけて耕地の地味を良くする努力や、50〜100年後に育つ植林事業や、自然の回復力を期待して環境を大事にする意欲が育たなかったのは当然です。
世襲してこそ同じ土地に住み着き動かない・・人間な関係を含めた環境重視にならざるを得ないのですが、農地の配給制ではどこへ行くかも分らない・・数百年後に子々孫々に恥をかかせる訳にいかないと言うような道徳意識も育ちません。
先祖伝来の農地に住みつかない農民は、風が吹けば飛び散る砂粒のように弱い存在ですし(このため王朝末期に政情不安になると簡単に流民化します)、官位を世襲出来ない高級官僚も風が吹けば飛ぶような存在です。
杜甫の祖父(杜審言)が皇帝の身近にいた高官でしたが、孫の杜甫の代になると食うや食わずになるのです。

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