EUの理念が仮に貿易自由化促進だけならば自由貿易連合で足りるのであって、EUを結成努力する必要がないし・・イギリスが出て行っても大騒ぎする必要がない筈です。
今回のイギリス離脱決定に対して「その恩恵がなくなるぞ!」と(EUの意向を受けている?)マスコミがしきりに脅していることからも、グローバル化よりも市場規模強調=域内外の差別化造りを優先して来たことが明らかです。
こうした発想によって、中国巨大人口→将来一人当たりGDP上昇→巨大市場参入の誘惑に目がくらんだEUがAIIBに尻尾を振って参入し、中国の解放以来中国寄り(中国の意を迎えるために反日に陰で協力する)政策を推進して来た原因です。
イギリスのEU離脱論は、金融市場運営で生きて行くのを棄てる訳ではないようですから、EUの外に出ても日本やアメリカがEUと貿易しているように自由貿易協定でEUを含めた世界と交流して行けば良いのじゃないかと言う意見とすれば、グローバリズムに対する反発ではありません。
むしろ、グローバル化進行意見とは関係なく・・貿易自由化・グローバル化推進することと、(出張で人が来るのは構わないが)多民族混在まで強制される必要がないじゃないか・・移民制限論に本質があると言うべきです。
EUを出て行くならば、元々外にいる米日、中韓などより不利に扱うかのような脅かし・・世界混乱を強調するマスコミ報道は、世界正義を標榜するEUにとってマイナスイメージ・・逆効果であることは確かです。
イギリス人にとっては、日米中韓など諸外国と同じ扱いで良いから、日常生活まで大陸諸国の多数決で強制されるよりもマシと考えるのは1つの合理的選択です。
大きな屋敷で肩身の狭い窮屈な生活するよりはアパートの小さな1k〜2DKでも自由な生活をしたい人の方が多いでしょう。
EUやマスコミの興奮を見ると家を出てアパート生活をしたいとオヤに言ったら、二度と実家の敷居をまたがせないとオヤが怒っているような印象です。
氏族共同体〜大家族でないと生きられない社会から、核家族+親戚の緩やかな連帯→少数で生きて行ける社会→単身(もっと弱い身障者も老人)でも不自由なく生きて行ける社会への変化こそが、人としての自由度の尺度ではないでしょうか?
企業も従業員数や売上高、生産力など大きければ良いのではなく、利益率・社会貢献度など内容が問われる時代です。
西欧諸国は2度の世界大戦で疲弊し尽した状況でしたが、このときに急速に力をつけて来た新興の大国・中国アメリカ,ソ連はいずれも従来基準の想定・・西欧近代に相争って来た国家基準を越えた巨大領土・人口の大きさを伴うものでした。
これからは規模の時代・・マンモス・大量生産大量なんとか・・・「大きいとは良いこと」だと言う思想が普遍化したことが分ります。
大きさで対抗しようとする発想に取り憑かれて始めた西欧同盟創設運動時の理念・・70年前の時代遅れの思想のママ、これを(「戦争の災禍をふせぐため」と事実に反した思想にすり替えて美化して)未だにやっているので、ガタが来たのでないでしょうか?
マスコミはきれいごとの理念・戦争の災禍を免れるためにと言うきれいごとを並べますが、第二次世界大戦後西欧内の国と国の戦い(例えばもう一度独仏間で戦ったとしても地域限定紛争でしかなく世界大戦を起こす力など最早ありません・・。
世界平和のために「米ソにやめろ!と脅されると相互の兵を引くしかない弱小国です・・英仏連合軍のスエズ侵攻時にソ連による核攻撃の脅しで英仏両軍は1も2もなく引き下がった例を想起すべきです。
EUの前身・・欧州同盟必要性の思想は、コミンテルン・・ソ連の世界革命戦略・・侵攻される恐怖に対抗するために欧州の団結が必要になったに過ぎません。
アメリカも対ソ戦略上西欧を応援するにしてもバラバラでは小さ過ぎるのでまとまって欲しいでしょうから西欧の希望と相俟ってNATOを結成していたのですkから、ソ連崩壊によって防衛の必要性がなくなった時点で本来お役御免になっても良かった筈です。
ところがソ連崩壊後もNATO軍は拡大の一途です。
これがウクライナ危機を増大させた元凶です。
今なお19世紀型軍事力による世界への影響力行使誘惑(リビア空爆や。シリア内紛激化の後押しなど)を棄て切れない西欧の意識の古さが分ります。
強い国が隣国を侵略したのを防止するために兵を出すならば分りますが、リビアの場合内政問題で一方勢力を支持するためにNATOが空爆するのにどう言う大義があったのか不思議です。
「大きさこそ力」という時代遅れの西欧の発想が今でも中国に対する畏敬の念・・基礎信条に繋がっています。
今では組織の大きい方が組織維持が難しく自己瓦解リスクが高いと思うのが普通です。
同じ素材で同じ太さの鉄骨等を使った2階建てと7階建ての建物があれば、2階建ての方が地震にも強いように、素材や組織管理能力が同じならば、能力比大きな組織や図体の方が脆弱です・・目一杯・最大限大きくした組織の方が変化に弱いのです。
マスコミによる、イギリスEU離脱国民投票結果に対する一致した脅し方を見ると、余程衝撃が大きいのかな?の印象で国民投票直後から書いてきましたが、7月1日あたりからイギリスの株価が急反発始めたことは、マスコミが一致して宣伝すれば何でも出来る訳ではないことが証明されたことになります。
経済分野の場合、市場原理に反した意見をマスコミを通じて垂れ流しても長続きしません。
この辺は、1昨年に安倍政権が消費税増税延期を決めたときに財務省やマスコミの意を受けた格付け会社が、すかさず日本国債を格下げしてもその逆に国債価格が上がって格付け会社の方が信用を落としたことがありましたが、同じ繰り返しです。