南シナ海封鎖リスク1

南沙諸島が中国支配に入って・・海上輸送ルートが中国に押さえられて日本が困ろうとも、中国がアメリカと友好関係を約束するならアメリカにとって死活的重要性がありません。
ロシアのウクライナ介入やクリミヤ占領に対しても同じこと・・アメリカ国防に何の関係もない地域紛争に血を流すほどの関与したくない・・日本からグアムへの後退作戦も日本の(対中)戦争にアメリカが巻き込まれたくない・・守る気持ちがない意思表示です。
・・沖縄にいながら防衛協力しないわけにはいかないでしょうが、沖縄にいなければ「その内応援に行きます」と言う程度で済みます。
アメリカの年間軍事予算が日本の約13年分=13倍であることを昨日引用で紹介しましたが、アメリカの経済力が日本の13倍もないのですから、その差額分だけ国内政治に無理(長年の蓄積は大変な額です)が来ています。
大統領選の争点はアメリカ自身が世界に展開している巨大な軍事費に耐えられなくなっているのでしょう。
日本駐留経費が全軍事予算1%以下しかないと言うのですから、日本の防衛分担金を1割上げても全予算から見れば0、1%の財政改善効果しかありませんから、アメリカ得意のスケープゴート的アッピールしているだけです。
軍事費削減がテーマならば、99%を占める欧州・中東方面の軍事費を削減する議論をする方が先であるべきでしょう。
全軍事予算の1%足らずしかない軍事費を槍玉に挙げて大統領選のテーマになるコト自体、アジア軽視を態度で示していることになります。
アジア軽視と言うより、太平洋が広過ぎる・グアム・・これも遠過ぎるならば、将来ハワイを外郭拠点として守れば充分でないかと言う戦略的要素も無視出来ません。
中国が古来から西域の広大な砂漠の先まで拠点を常設する必要を感じていなかったのと同じ発想です。
アメリカの経済力に見合った長期戦略を合理的に考えて行けば、太平洋二分論・・当面グアムでの線引きは(中国が言い出したと言うよりは、)かなり前からアメリカ自身が決めていた基本戦略であったとみるべきですし、これを中国が再確認しているだけ・・だから明白に否定出来ないのだと思われます。
「否定も肯定もしないなら、態度を見てやるからどうするの?」と南シナ海で埋め立て強行してアメリカの出方を見ているのですが、やはりアメリカの態度は煮え切りません。
それどころかアジアでの現地政府の負担率アップの主張=アメリカ自身の軍事費削減まで大統領選のテーマにのぼっているのです。
ここまで来れば、アメリカは太平洋二分論を事実上認めている・・言わなくとも分るでしょう「行動・態度で理解して下さい」と言う段階です。
次に日中紛争が起きた場合、・・自然に起きるのではなく、中国がアメリカが手を出さないと見極めて・・タイミングを見計らって仕掛けて来た場合のことです・・。
前回のレアア−ス禁輸のような緩いやり方とは違い、今度は中国が軍事基地を設けて実効支配してしまった南シナ海の有効利用が当面の焦点になります。
「南沙諸島海域が中国の領海であるから、日本向けの船舶を通さない」と来れば大事件ですが、すぐに航行禁止しないで「領海通過許可申請をしろ」と来るのが第一段階です。
日本はこれ(中国領海)を認めるとその後全面通行禁止されても、異議を言えなくなるので、応じられないと言う政府の立場になるでしょうが、そうすると中国進出企業・・伊藤忠の日本国内向け船舶が中国の許可を取らないで南シナ海を航行すると喩えば、伊藤忠商事が中国で不法入国した企業として処罰や賠償金をとられてしまいます。
かなりの企業が中国に進出しているので、中国の要求に従ってしまうのではないでしょうか?
この辺の対策研究がどうなっているのか知りませんが、重要なことです。
南シナ海での埋め立て軍事基地工事は、フィリッピンやベトナムを相手にした行動ではなく、日本攻撃を主目的にしていることが明らかですから、安倍総理が必死に非難しているし、中国は「関係ない外野は黙ってろ」と無礼な発言を日本の外相にする訳です。
フィリッピンなどは漁船が行けない程度ですから、バナナその他の禁輸との天秤に掛ける程度で、フィリッピン大統領があまり問題にしていませんが、日本も尖閣付近の漁業損害程度ならば大した問題ではありませんが、船舶が通れないとなると大被害になります・・中国は尖閣諸島を直接軍事占領するのは国際的に難しい上に日米に反撃されると勝てそうもないリスクがありますので攻め口を変えて、無人の南沙諸島で埋め立てを始めたのです。
南シナ海は日米の領海でもないところですから、中国が一方的埋め立てを始めても、直接被害当事国を応援することが出来ても、当事国の応援要請がない限り軍事反撃する名分がないので直接打つ手がなく、せいぜい「公海で違法なことスルな」と言う非難をする程度しかありません。
中国は国際ルールでは勝ち目がないので次期政権抱き込み作戦に集中していて、筋金入り親中のドウテルテ大統領が今春就任したのは大成果・・作戦勝ちでした。
新大統領はは折角前政権が勝ち取ったフィリッピン有利な国際司法裁判所判決を一顧だにしない方針変更は、(アメリカ・・オバマが人権その他余計なことを言って中国寄りに追い込んでしまった失敗です)日本にとって死活的マイナス環境になったし、中国にとっては大逆転勝利と言えるでしょう。
インドネシアでも日本の新幹線採用がほぼ本決まりとして進んでいたのに、新大統領になるとイキナリ中国の新幹線に変更してしまいました。
権謀術数の凄まじさと言うべきか?道理も何もない・・抱き込めば勝ちと言う・・古代からのやり方を世界中で実行しているのが中国政治です。
日本にとっては南シナ海での通行遮断リスクは死活問題ですから、実は南シナ海の中国軍基地建設を巡る攻防は日中紛争の最前線なのですが、自国領海が侵害されていないので、直截打つ手がないのが最大の弱点ですので、フィリッピンの応援と言う形をとっていたのですが、トップの交代があり・・アメリカが人権問題で非難したり刺激して中国寄りに追いやってしまったのが大誤算です。
個別の人権も重要ですが、国家の違法行為放置の方がより大きな・・質的に違う人権侵害ですから、主権のある外国の内政に口出しするよりは国家の力で外国に対して違法行為をしている場合、こちらを先に解決すべき・・優先順位が違います。
このためにフィリピンと協力すべきときに内政干渉して敵方に追いやってしまったのは愚策です。
大義のためには戦死者が出る・小義を犠牲にすることすら厭わない・・兵士の戦死も人権侵害ですが、個々の人権より大きな大義があるからです。
オバマはこの優先順序を間違ってドウテルテ大統領を非難してしまったことになります。

目的と手段の取り違え社会(社会矛盾激化→反日の誘惑)1 

現在中国の対日感情の紹介でテーマが逸れてしまいましたが、大躍進政策に戻ります。
大躍進政策そのものが、9月28日紹介したとおり非合理極まるものでしたが、翌29日に紹介したとおり今の統計のデタラメぶりと同じことが行なわれていたこと・・中央の命令どおりにやるとうまく行かないことが分っても・・地方政府が失敗を報告出来ず、過大な成功報告していたことが悲劇を加速したことも分ります。
現在中国の需要無視の生産競争もそうですが、虚偽報告によって大成果が積み上がって行く・・統計が意味をなさなくなっている現在の悪弊が既に大躍進時代に始まっている・・今に始まった事ではないコト・・専制支配下で必然的に生じる現象であることが分ります。
ソ連最後の大統領・ゴルバチョフでさえ、国内生産がどうなっているのかさっぱり分らなかったと回想しているとおりです。
権力者に都合の悪いことを言うと粛清される社会では、下部組織が迎合するしかないことが大もとの原因ですが、この4〜5日書いているように中国では約2000年間にわたる専制支配の結果、手段と目的の逆転があるから全ての分野でこういうことになります。
統計や報告が実態を知るためにあるのではなく下部の官僚にとっては自己保身と出世のためにあり、トップにとっては内政成功の誇示・国威発揚のためにあります。
正しい事実を知るためではありません。
中国がGDP統計にこだわっていて民生向上に頭を使わないのも同様で何のための生産力増強か分っていないのです。
生産力も需要に裏打ちされてこそ意味があるのですが、生産力と言う数値にこだわる結果おかしなことになります。
需要無視の生産力増強が仮にうまく行ったとしても在庫のヤマで、生活必需品の鍋釜や農機具を供出して売れない鉄鋼製品の山を築いた場合、食糧不足のマイナス効果は国民に帰せられます。
大躍進政策では作った鉄の多くが粗悪品でしたが、解放後は日本からの技術導入で一応世界標準の製鐵や石化製品を作れるようになっています・しかし世界需要無視の大増産計画であることは変わりませんので、これが世界に溢れ出して世界中が困っている状態です。
大躍進政策の悲惨さを1昨日紹介しましたが、下が虚偽報告をするしかない中国の社会習慣を見ると、歴史は繰り返すと言うよりは民族の生き方は百年や千年では変わらないと言うことではないでしょうか?
時々千年〜500年前のご先祖も私と同じような考えや生き方歩き方・・笑い方をしていたのかと思うと何となく不思議な気がすることがあります。
中国人は昔からこんな風に上が下の意見を聞かない風土ですから、下は虚偽報告するしかない・・この繰り返しによって、全ての分野で目的と手段が入れ替わる社会になってしまったのでしょう。
大躍進政策強制に対する不満による暴動発生リスク・・あるいは毛沢東に対する怨嗟の声が満ち満ちていたでしょうから、文化大革命運動はこれに対する先制攻撃・・反革命運動を先手必勝の目的でやった粛清の大型判と評価すべきではないでしょうか?
国民のための政治をする能力がないが、こう言うこすからく狡い戦術にたけているのが、共産党政権の本質と言えるかも知れません。
共産党は国共合作中・・孫文の組織内共産党員も委員も参加していましたし、蒋介石の作った士官学校にもソ連の援助があったかの理由で共産党員も参加していました)に国民党内に浸透して行くのに成功します。
権謀術数の得意な中国の中でも更にこの分野に特化し,組織内で着々と勢力を広げ政敵を失脚させて行く能力・・そのために生まれて来た政党と言えるかも知れません。
戦前コミンテルンのルーズベルト政権への浸透ぶりはよく知られていますし、今でも北朝鮮の韓国政府内への浸透ぶりはよく知られています。
政治・経済時その他で比較すれば、来たと南とでは、競争にすらならない程の格差があるのに権力確保では共産党の方が格段に上位になっている逆転現象です。
日本の全学連で言えば学生の多くの支持を受けている訳ではないのに、自治会執行部を全面的に牛耳ってる過激派と同じです。
その内日弁連もそう言う評価を受ける時代が来るでしょう。
日本でも共産党との共闘を他の野党が嫌がるのは主義が大きく違うと言うのが表向きの理由ですが、選挙協力を続けると内部浸透されてしまう恐れが中心的関心と言うべきでしょう。
中韓が何かと反日心情を煽る理由に戻りますと、日清戦争で敗北したことによって、地域大国のメンツを潰された中国の心情・・これは今でも有効な切り札・・これを煽るのは支配者にとっては格好の材料になります。
ところで改革開放後日本サマサマだった中国がイキナリ反日に転じたので、日本人にとっては寝耳に水・江沢民個人を反日的というイメージ報道が多いですが、反日転換は共産党首脳の一致した長期方針だったと思われます。
鄧小平の韜晦戦術同様で、イザとなればいつでも実行出来るように反日教育から始めたものと思われます。
天安門事件によって国際孤立・・危機感を持った幹部間協議で、将来再び同様の事件が起きたら同じことが出来ない・・危機感・・政権が最高度の危機に瀕したときの最後の切り札として反日暴動あるいは対日戦開始で凌ごうと言う重要決定がされていたとみるべきです。
改革開放後日本の優れた技術がドンドン導入され技術指導を受けていると対日親近感が増す一方だったことから、これ自体が共産党専制支配にとって脅威だったでしょうから、言わば一石二鳥の政策決定です。
韓国が長年日本文化流入を禁止して来たことからも分るように、中国にとって日本文化浸透は由々しい問題です。
イキナリの反日攻撃は無理があるので、先ずは国際環境を整えることと、騒乱時に国内敵対勢力の核になる組織が育たないように整備すること、反日感情を徐々に育成する必要・・反日教育から始める数十年先の長期方針が決まったと思われます。
国内敵対勢力の芽を積む戦略・・王朝崩壊時にいつも騒乱・庶民凝集力の核になって来たのは いつも宗教組織(日本の一向一揆もそうですが命を棄てても戦うには向いています)ですから、江沢民が法輪功弾圧を直ちに始めたのは、当然の政策です。

中韓の反日教育と反社会性1

現在中韓の対日感情の続きです。
日本の場合高度な社会ステム・安心安全社会が売り物です。
電車の正確な運行が知られていますが、これは象徴的事例に過ぎません。
約束事は1分も違わない・・部品も寸分の狂いもない犯罪が少ない→その前段階の社会悪行為が少ないのが日本の信用であり、高度社会に不可欠なインフラです。
今回の不動産王とその妻の中国一流の卓球選手のブログは、犯罪の前段階秩序を破壊を唆す目的で
「日本に行ったら、最低でも1回以上日本の相互信頼システム破壊を狙う社会悪行為をして来ましょう」
と勧める運動になります。
道路にゴミを散らして歩いたり、人が見ていなければ何をしてもよいと言う不道徳運動・・「こんないたずらしたらいいよ」と唆すのも一種のゲリラ・テロ行為推進論です。
テロとは対象社会の秩序破壊・・社会を混乱させることが目的であり、そのために多くの人の集まるところが狙われるだけである・・殺傷行為に限らないと2016/04/03「司法権の限界9(法と良心とは?1)」書いたことがあります。
こう言う新たなテロ推奨人物を、さしあたり日本へ入国させるべきかの疑問があります。
アメリカでビンラデイーンの思想に共鳴している・・「アラブの屈辱を晴らすためにアメリカに行って何かアメリカの困ること・・ゴミを散らしても,ノロノロ運転でも何でもいいから・・アメリカの困ることをしてきましょう」と言う運動をしている人物にビザが出るのでしょうか?
こんな教育を受けている人が日本に来て働いたり観光に来るのでは、人目のないところで何をしているか、されているか分ったものではありません。
「私はそんなことしません」と言い訳を聞くよりは「無理しなくていいから、日本へ来ないで!」と言う気持ちの日本人が多くなると思われます。
そんなこと言ってると国際交流が進まないと言う意見が多いですが、この意見は「相手が侵略すれば、抵抗しないで話し合いで→そのまま受入れるべき」と言う非武装平和論と同じです。
隣の人が失礼なコトを続ければ、こちらも相応の態度を取るのが普通です。
中韓が反日教育を続ける以上は日本とマトモな付き合いをしたくないと言う公式意思表示ですから、交流を縮小したいと言うのならば、こちらもこれに対応するのは国の安全を守るのに必要なことです。
相手がこちらの葬式や結婚式に出席しないなら、こちらも相手の行事に行かないのはふつうです。
慰安婦騒動以来、日韓断交論が唱えられるようになっていますが、日本社会に悪をなすことを目的にしている人が多くいる・そのような国民を育てるための教育を政府が公式にとやっている国と友好関係など結べるのでしょうか?
日本へ行ったら「警察に捕まらない程度の何か悪いことをして来たい」と言う考えの人が中国,韓国に一杯いると分かれば、そんな人が日本へ来て欲しくないと思うのが普通です。
反日精神が強固な人かどうか・・人の内心が分りませんので、中韓に限らず、「反日教育を受けて育った人とは怖くてうっかり付き合えない」と言う人が確実に増えて行くでしょう。
1回切りの採用試験では能力が分り難いので、学歴や大学の成績など重視するように、どう言う教育を受けて来た人かが先ず重要です。
マスコミ・文化人の決まり文句では、いろんな人がいる・・・良い人もいるから、特定国人に「偏見を持つな」と言いますが、1割の良い人がいるかどうかではなく、チャンスがあれば「何か日本人が困るようなことをしてやろう」と狙っているような人が1割も身近に住んでいるのでは、安心して生活出来ません。
5%でも不心得者がいると困るのが、社会であり企業組織です。
何千人働く工場で、たった一人でも生産現場で毒物混入したりデータ持ち出しされたら企業にとって死活問題です。
最近大騒ぎになっている身障者殺害や大口病院での点滴異物混入事件などを見ても分るように、多数従業員のうちに変な考えを持っている人が一人でもいると企業・病院がつぶれてしまうリスクがあります。
昨日紹介したネットに対して中国国内でも当然のことながら賛否両論があり得ますが、国を代表するような有名人がこういうことを進んで拡散する風土・・一定の支持者がいる実態が重要です(八割が反対で2割がもっとやれと言う場合を考えると、日本に来る中国人の2割もそんな考えの人がいるのでは怖いでしょう。
東北大震災では、台湾が圧倒的な心配をしてくれたのに対して中韓の人は職場放棄して急いで中国へ逃げ帰る姿が報道されていました。
国を挙げて日本叩きの大チャンス・・直ぐに輸入禁止をしたりと、(工業製品に放射能と関係があるの?と言う疑問を持った人が多かったでしょうが、中国韓国やEUの理屈では容器・段ボールなどに放射能付着リスクがあると言うこじつけがされていました。)意気込んだのとの大きな違いです。
日頃の教育の違い・・民族の本心がこう言うときに出て来ます。
左翼系に言わせれば「日本の謝罪が足りないからイザとなるとこう言うことになる」と言うことで、(中韓では謝罪が足りないと際限なく繰り返せば日本からいくらでもむしり取れると言う精神が刷り込まれています)実際に中韓の反日攻撃がそう言うことで広がりました。
ドイツに見習えと言う運動です。
ドイツが大使館を大阪へ引っ越すなどいろんな面で中韓同様に過剰反応したことが、日本社会に大きな対独不信感を植え付けました。
この辺は「EUと中国の関係」のシリーズで、もう一度書きます。
アメリカが「ともだち作戦」によって、アメリカに対する好イメージを植え付けるのに大成功したのとは対照的でした。
この頃には既にアメリカの反日政策が転換していたことが重要です。
中韓は国内の民族感情を煽ってしまった・・火をつけてしまったどころか、長年掛けて反日教育をしている・・虚偽映像をドンドン垂れ流しています・・ので、国民の心の髄まで反日感情がしみ込んでしまっています・・この状態になると、アメリカの方針転換が分ってもイキナリ方針変更が出来ません。
権力者自身が売国奴扱いされてしまうので自己保身のためには,反日行為は行くところまで行くしかない状態に陥っています。
民族感情に一旦火をつけると為政者がやめたくなっても直ぐにはやめられなくなるリスク・・・・民族感情に訴える政策採用は、亡国のリスクをいつも考えておく必要のある重大決断・・国家百年の大計であるべきです。
まして、一時的な民族感情に訴えるどころか、反日教育まで採用した以上は、恒久的に日本と友好関係を断っても良い決断をしていたことになります。
中韓がそう言うつもり・・百年の大計として決定しているならば、日本もそう言う相手だという意識で付き合って行く・・何をしてもダメ「中韓の民生向上に協力するのは却って危険なことだ」と言う意識で付き合って行くしかないでしょう。

中華(光復)思6(大躍進政策1)

共産党政権は資産家層の支持を得ていないので、政権獲得後思い切った土地取り上げ等の実行が出来た強みがある代わりに、経済や地域支配による政治運営経験がないので、どうして良いか分らない問題に直面します。
(ゲリラ戦や個別勧誘・・蒋介石・国民党の悪口を言って歩いたり、共産党軍への鞍替え勧誘する動きいわゆるオルグ活動は得意・・個別接触中心なので行く先々の相手に合わせて言えますが、・・支配が始まるとあちこちで言ったことの矛盾・・整合性が必要になります)
日本の鳩山民主党の「少なくとも県外へ」のスローガン同様で、アチコチの利害調整が必要な支配者になると困ってしまいます・・、その結果得意の内部粛正競争・虚偽発表に走るのが普通です。
日本で言えば、左翼全盛時にはやった労組管理の経営が成功した例がないのを見ても分るでしょう。
スターリンは、内政失費を隠して2000万人ほど餓死させながら穀物輸出をして共産主義の大成果などと国際的に自慢していました。
国内的には、粛清・シベリヤ送りの嵐で批判を封じ込めますが、裸の王様と同じでいつかは風邪を引き肺炎になります。
こんな無茶が出来たのは農地を個人から取り上げて国有・集団農場にしてしまう・・抵抗すればドシドシ、シベリア送りするやり方で農地を取り上げてしまったので、個々の飢えている農民から穀物を直接取り上げる必要がなかった・・配給を減らせば良いだけだから出来たのです。
スターリンの無理がどうにもならなくなって、彼の死後フルシチョフのスターリン批判になって行くのですが、中国の場合には大躍進政策の結果5000万人前後を餓死させただけではなく無茶な製鐵増産のために樹木と言う樹木を切り、裸山にしてしまったので、その後の洪水や水不足その他環境破壊の害を今に残しています。
以下https://ja.wikipedia.org/wiki大躍進からの要約です。
1 大製鉄・製鋼運動
概要
1958年10月から、鉄鋼の大増産を目指して原始的な溶鉱炉(土法炉)を用いた製鉄が全国の都市、農村で展開されたが、金属工学の専門家もそれに適した設備もなく、原材料も満足に確保できない中で、素人に良質な鋼鉄が作れるはずもなかった。
建設資材
土法炉を建設するための主な資材である耐火煉瓦の供給は皆無に等しく、一般住居用の煉瓦ですら供給不足の状態だった。このため、煉瓦製の塔・寺院・城壁など、中国全土で多数の歴史的建造物が、土法炉建設用の煉瓦採取の目的で解体・破壊された。
燃料の確保
農村部等、ほとんどの地方では木炭を燃料としていたため、必然的に土法炉の燃料にも木炭を使用することになった。この事は、木炭を生産する目的で、中国全土で樹木の大規模な伐採が開始されることを意味した。伐採の対象は事実上、無差別・無分別であり、果樹園の果樹・園芸用の灌木も例外ではなかった。
原料の確保
鉄鉱石は石炭同様産地が限られ、かつ供給不足の状態であり、多くの地方では砂鉄の入手すら困難な状況にあった。このため、都市部では鉄製の各種設備・構築物を解体し、農村部では鉄製の農機具・炊事用具を供出させ、それぞれ屑鉄にした上で土法炉に投入した。鉄製器具を消費して屑鉄を産みだすという、全くの本末転倒な行為といえる。
結果
1117万トン生産された鉄の内、60パーセントが全く使い物にならない粗悪品(銑鉄)だった。販売流通も全く考慮されていなかったために、工業生産から流通までに長期間にわたり悪影響を残した。
また、この時の製鉄事業により大量の木材が伐採された為、今でも中華人民共和国では毎年洪水が発生している。しかも農民が大量に駆り出されたため、管理が杜撰となった農地は荒れ果ててしまい、ノルマ達成のために農民の保有する鍋釜、農具まで供出されたために、地域の農業や生活の基盤が破壊されてしまった。」
今でも需要無視の鉄道建設や鬼城と言われるマンション群その他無茶な生産設備の増設の結果、鉄鋼製品その他の赤字輸出が世界経済の混乱要因になっていますが、大躍進政策では粗悪品しか作れなかった品質以前に、ソモソモ需要を予定していなかったのですから驚きです。
ちなみにGDPやクルマなどの生産台数が重要なのは、それだけの需要=売れるクルマを作れると言う前提で意味があるのであって、こけ脅しのために無駄なものを作れる量のことではありません。
中国では未だにその辺のところ目的と手段の関係が分っていない・・だから鉄道総キロ数ヤ国有企業を合併させて世界一の規模にこだわったりしているのです。
大増産政策失敗→増産成功出来ないだけで従来どおりなら、何故餓死したたのか不思議でしたが、これを読むとよく分ります・・農機具まで供出させて農民を駆り出して製鐵作業に従事させていたのでマトモな農業が出来なくなっていたからです。
2 四害駆除運動・・雀が穀物を食べるからとと言って何百万羽と捕獲させたら、このために害虫大発生して大凶作になったと言う漫画的結果の描写です。
3 密植・深耕運動・・稲苗を密集して植えたら多く取れると言う運動をしたら育たなかったと言うこれまた漫画的失敗です。
こう言う失敗を中央に報告したら、日和見主義者として粛清されるので「大増収」と言う虚偽報告をしていたのですから軌道修正が遅れ被害が拡大します。
毛沢東は、その後の文革でも大きな後遺症を残していますが、これだけの大迷惑を掛けているのに、今でも毛沢東批判が出来ないまま・・時々毛沢東万歳の声が起きるほど・・それほど個人崇拝教育の害が大きかった証拠とも言えます。
中国の場合、スターリンのようにシベリア送りする場所がなかったのですが、元々一旦政権を取ってしまえばどんな酷いことも出来る歴史が強み・・その分やり過ぎる度合いも半端ではありません。
チベットのパンチェン・ラマ10世の諌言書を明日紹介しますが、実に生々しい悲惨な状態が出ています・・彼を捉えて最後に自由にされて中国礼賛するための原稿が渡されますが、彼は演説で草稿を無視して「如何に中共政権がチベット族に酷いことをしたかを」世界に訴える大演説をぶってしまい、その数日後には病死名目で殺されてしまいます。
日本で言えば、長篠合戦で「援軍が近い」と篭城方に告げてその場で磔処刑された鳥居強右衛門同様の英雄です。
これが中国政府のやり方で、今も香港書店主や人権派弁護士がいつの間にか拉致されて行方不明になっていて大騒ぎすることがありますが、これが突然出て来て記者会見を開かされて自分の意志で本土へ行ったなどと言わされています。
たまに彼らのうち骨のある店主では、「強制的に連れて行かれた」と公言する人もいますが、こう言う中共政権のやり方を見ると大躍進当時とまるで変わりません。
毛沢東は、無茶苦茶な大躍進政策をやりますが、5000万人前後の餓死者を出す大失敗に終わってしまったこと・・5000万人も餓死する→餓死に至る寸前の者がその何倍もいたことになりますが、そこまで続けられた人民の弱さにこそ、注目すべきです。

中華(光復)思想4(地域大国の復活1)

中国人民の腐敗体質〜栄華復活論に戻します。
蒋介石の率いる軍はアメリカからは、「腐敗した国民党軍の崩壊を恐れ」られる状態になっていて、いくら物資をつぎ込んでも無理と分ったアメリカが遂に手を引くようになり、まだ腐敗するほど権力のなかった若き共産軍に圧倒されていく状態が昨日紹介したウイキペデイアに出ています。
共産党も政権を取ればすぐに腐敗が始まっている点は同じ・・今の賄賂体質は国際的に知られています。
この辺は中国贔屓の文化人も否定しないでしょう・・マスコミがなるべく不都合なことは、報道しないようにするていどです。
国民の腐敗体質は政府が号令すれば解決するものではない・・政府が樹立されて腐敗根絶を号令さえすればなくなるものではない・・、これを実行するべき役人や受入れる国民各層にしみ込んだ腐敗体質ですからどうなるものでもありません。
ただ共産党政権は、最後に政権を取った・・「あとだし」じゃんけん的有利さがあります。
国民党を追い出した後は、対抗勢力がないので、汚職のやり放題あるいは何千万人も餓死させた大躍進運動でも責任を全く取らなくとも済んでいます。
これは国民の支持があるからではなく、王朝末期の騒乱時の群雄並び立つ競争勢力が皆無になった後になると後はスキなようにしてよい状態・・国民には選択権がなくなっているからです。
中国の場合空間地域としては大きいものの実は蒸気機関発明前には、物流・人材交流も微々たるもので域外勢力が攻め込んだり大量の人民逃亡があり得ない閉鎖空間でしたので、この地域内で一旦支配が成立すると人民はとらわれの状態・何をされても抵抗出来ない・・もの凄い残虐な弾圧が待っているので、王朝末期の騒乱が始まるまでは黙って耐えて行くしかなかったことが前提です。
過去の歴史を見ると数百年単位の専制的縛りのガタが来て・・王朝末期の騒乱が起きると100年前後の騒乱〜小国乱立(五胡十国や五代十国など)を経過すると、たまっていた不満のエネルギーを使い果たしてしまうので、最後に天下を取った政権をもう一度騒乱で倒すほどのエネルギーが民衆には残っていません。
次にもう一度騒乱を起こすエネルギーが溜まるには、中国地域の場合専制支配体制が強固なために、強固さに比例して約300年周期・・エネルギーの蓄積を待つ必要があったようです。
中国地域動乱の最後を締めくくる政権が再び前王朝と同じ政体・・専制体制でやって来られたのは、長い騒乱で民が疲れ切ってしまい、最後の政権に異議を唱え続けるエネルギーがなくなったのを利用している・・だからいつも同じ政体の繰り返しで(前王朝と比べて何らの改善もないままで)もやってこられたのです。
9月22日以来、中韓社会の権謀術数重視社会を書いてきましたが、この基礎にはどんな悪どいことをしても相手を倒せば良いと言う思想・・今風に言えば国際受注態度・・受注さえしてしまえば後は契約違反(赤字なので契約金を上げてくれなど)でも何でもやり放題意識も、こうした王朝交代・・「政権さえとれば後はやり放題」の経験しかないからです。 
王朝末期の騒乱・競争社会を勝ち抜きさえすれば、後は何をしても良い「栄耀栄華が待っていた」王朝成立前後の経験・政敵を完全に葬ってしまえば後で何も言わせない経験・・が彼らの行動原理になっています。
経済ルールで言えば、競争力ある企業が無茶な競争を仕掛けて、同業者を全部をなぎ倒して独占企業になってから法外な高額でないと売ってやらないと言うような悪ドイことを中国歴代王朝がやって来たのを見ているからです。
最近で言えば、レアアース市場で法外な安値受注を仕掛けたので、世界中のレアアース産地が殆どつぶれた後で、イキナリ反日暴動に絡めて「日本に売ってやらない」と言い出して、国際相場が何倍にも急上昇したことがあります。
これが失敗したのは、今の世界は中国型型閉鎖空間でなくなっているコトを理解出来なかったこと・・中国が法外な値段を付けると世界中のレアアース埋蔵地域の生産がすぐに始まったからです。
これには一定期間のタイムラグがありますが、日本企業がこのタイムラグ・中国に頼るリスクを考えて在庫を大量に確保していたことから、日本企業が全然焦らなかったことが大きな保険になりました。
今朝の日経朝刊私の履歴書を見ると、牛丼の吉野家が、米国産牛肉だけに頼るリスク回避のために何年もかけて中南米等から分散輸入が出来ないか試行錯誤していたことが出ています。
政府に限らず、企業経営者と言うものはこうしたリスク回避をいつも考えて行動していることが分ります。
現在の中国による鉄鋼ダンピング輸出も国内不景気を表向きの理由にしていますが、中国人の内心では世界中の製鐵会社を潰してしまう時代遅れの策略が裏にあることは間違いないでしょう。
レアアースのように鉄鋼製品は何年分も在庫を持てませんが、ダンピング輸出では、資金が続かないので世界中の製鉄所を一時休止に追い込むのがやっと(中国はどうなるかと聞かれると資金がその内尽きるから終わるでしょうと答えています・・中国の外貨準備が実際にどうなっているかが重要と考えてこのコラムはその視点で書いています)で競争相手を皆無に出来ませんので、中国が大幅値上げに切り替えれば世界中ですぐに再稼働が始まるでしょう。
共産党政権の腐敗に戻しますと、最後に天下をとった共産党は過去の新成立王朝同様に、後は「煮て食おうと焼いて食おうと勝手」だと言わんばかりに民の意向など問題にしないで・・・・無茶苦茶し放題をして来た点は周知のとおりです。
このやり方が通用したのはいわゆる竹のカーテン効果によります。
近代以前の閉鎖社会に戻すことが中国の安定に繋がる智恵ですが、その代わり経済発展がもの凄く遅れてしまいましたが、民の幸福より政権維持が主目的ですから発展の遅れを気にしません・・自由主義国から交流制限されて来たのは、もっけの幸いだったでしょう。
・・北朝鮮が無茶出来ているのは経済制裁・・鎖国状態のおかげです。
この辺はSeptember 18, 2016前後で経済制裁は逆効果であると書いて来ました。
中国が民に対する圧迫力が尻抜けになるリスクがあってもついに解放せざるを得なくなったのは、中ソ対立が深刻化してソ連戦車群が押し寄せるリスクが切迫して来て、アメリカに身を寄せるしか政権維持が出来なくなったからです。
今直ぐソ連による侵攻が迫っていたのに比べれば、(当時ソ連圏であったモンゴルから戦車隊がなだれ込めばホンの何時間で北京に到達することが日本でも盛んに報道されていました)背に腹は代えられない・・国民の自由度が少しくらい増したとしてもそれらは締め付け強化で何とかなる・・時間稼ぎになると言う決断だったでしょう。
日米では中国社会が世界に開かれれば民主化が進むと期待していましたが、それは間違いであることが分ってきました・・この辺は逆効果である・・公式検閲出来ない・・マスコミによる垂れ流し的印象操作に頼る先進国の方が既存権威崩壊を早めるが、公式検閲・不利益処分・処罰出来る独裁政権の方が情報統制が簡単です。
スマホその他情報機器の発達が独裁国家・中国共産党政府の弱体化に繋がるというマスコミ意見は誤りで、逆に先進民主主義国で先に効果を現すだろうという意見を2012年12月20日「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」あたりから正月のコラムまで連載しました。

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