規模追及の限界1と民度3

米英やEUに比べてこの矛盾が極端に出ているのが韓国(良いとなれば極端に動くのでひずみもダイナミックに出る社会)ですから,今回韓国の反朴運動の原動力は低賃金化の流れに対する不満にあることを無視出来ないでしょう。
アメリカ式経営を極端に追求して来た韓国経済は今や危機状況ですが,危機状況下においてもいわゆる労働貴族は立ち位置を修正することはありません。
長年のヤンパン支配に無理が来ていたのに、明治初めに日本からの政体変革必要性の提案を無視して、頑迷に旧体制維持に固執していて結果的に民族の独立を失ってしまった轍をもう一度践もうとしているかのようです。
現在韓国の国際競争力はサムスンと現代の2枚看板で成り立っていますが,その2強がそろって躓き(昨年あたりだったかの燃費偽装と今夏のスマホ発火事件)、もしかしたら将来の大きな危機に発展する可能性に瀕しているのですが,こうした反省・危機感が従業員には乏しそうです。
この危機状況下で・・現代自動車労組の非常識な賃上げ運動が労組の勝利で終わったことから見ても分るように、そのコストは全て下請けや非正規賃金に転嫁する仕組みです・・この結果個人負債は増加の一途らしいです。
韓国では財閥社会ですから,財閥系に就職するのとその他ではまったく違う・・この結果財閥系に就職するための就職塾があって就職浪人が当たり前の社会と言われています。
失業率の取り方が国によって違うのでイチガイに言えませんが,実際には無職若者が一杯いる社会になっているようです。
ヤンパン支配に対する憧れが背景にありひとたび労働貴族なれば,庶民生活など気にする必要がないと言う風潮・これを許し憧れる庶民の気持ちがあるからでしょうか?
韓国では隠れ失業者が溢れているので,最低賃金が守られていない悲惨な状況が報道されています。
ネット情報なので,引用出典自体が正しいかどうか・・事実か否か不明ですが,一応以下のような情報が氾濫しています。
「また、1時間当たりの最低賃金は今年から5210ウォン(約490円)に引き上げられたが、ほとんど守られていない。先日、あるコンビニに面接に行くと『うちは時給3000ウォン(約280円)。働きたい奴はいくらでもいる』と言われた。働ける場所は限られているので従うしかない」(20代・男性) 出典NEWSポストセブン|韓国現役世代に貧困の波 113万人リストラされ再就職率43%│
最低賃金は東京の2分の1にも関わらず、スタバのコーヒーはほぼ同額。ビッグマックにいたっては韓国の方が高い。これはキツイ! 出典韓国のバイトが不憫すぎる! 5人に2人は最低賃金420円すらもらえない
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2014年5月2日、韓国紙・朝鮮日報によると、「消費期限を過ぎた食品は売ってはならない」という法律を悪用し、食品を故意に販売せず消費期限切れにして自分のものにするアルバイト店員が増えている。このため経営難に陥る店舗もあるという。
3日付でチャイナネットが伝えたhttp://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=87565
配信日時:2014年5月5日
上記はオーバー表現が含まれる..ネット情報の真偽は別としても海外へ韓国女性売春婦が大量進出している実態が何年も騒がれていることや移民願望の高さなどからも国内での困窮が窺われます。
日本のマスコミ文化人は欧米の真似をして低賃金移民を入れないから負けているのだと言い,これを失われた20年とバカにした論調が繰り返されて来ましたが,移民→低賃金競争に参加する間違いが白日の下に曝されてきたと言うべきです。
新興国参入=今後は低人件費時代だと言うことで,安易に低賃金移民を入れる競争(これをグロ−バル化と言うまやかし標語にしていますが本質はこれです)に参加していたのでは民族(アメリカはピープルしかいない・民族がないから気にしないと言うスタンスに対するピープルの不満が出て来たのです)の将来がありません。
移民を入れても元々の居住者と差別しない平等の人件費だから、低賃金化を狙ったものではないというのでしょうが,3k職場に大量に労働者を入れることによって,求職者が増えれば3k職場の改善が遅れ賃金抑制に働くのは当然です。
日本の場合,実習生と称して僅かに移民が入ってはいますがそれほど大量ではなかったので、業界が必要に迫られて3k職場の改善が進み女性の参入が進むなど・・やせ我慢した結果,改善が進んだ面があります。
諸外国並みに移民受け入れをを日本の政府や業界が望んでいたのですが、国民の強い(と言うよりは古代から国民や従業員のための政府であり企業です)日本では業界の思うように(産業革命時にイギリスがエンクロージャー・小作人と羊を入れ替えたのですが、日本では小作人が強くて出来なかったように、低賃金移民と国民を入れ替えることは出来ません)実現出来ないイラダチが,国内マスコミで氾濫していた失われた20年論の背景です。
アメリカの政策結果に戻りますと、移民をドンドン入れて来た結果、・・昨日人口変化を見たようにこの約20年でアメリカは6000万もの人口増・・働かないでいられる移民は滅多にいないので3kでも何でも必死に求職活動をしますので,・・大雑把に言えば移民の数だけ既存住民の職場が奪われ、結果的に失業者か非正規層へ転落したことになります。
下がり切った最低賃金階層には最早これ以上の損はない・・後はフードスタンプ受給条件緩和を期待したりセーフネット整備期待程度?でしょうから、最低賃金引き揚げや生活保護レベルの引き揚げ、保険その他社会保障基準アップなどを言ってれば良い政党・・アメリカの民主党には有利でした。
ヒラリー氏で分るように民主党は,貧困対策を宣伝するものの実際の政治資金はウオール街・富裕層経営層から得ているのが現実です。
結果から見ると資本家代弁による移民受入れ推進→低賃金化政策と転落した最低辺層代弁政党のマッチポンプ政治がこの数十年間(民主党は資本家と庶民層双方に良い顔が出来たので強くなり,共和党は資本家代弁だけしていたので支持が減ったと言う構図です)続き中間層代弁政党がなかったので,中間層は非正規階層にドンドン沈んで行きましたので、まだ生き残っている非正規に転落しそうな中所得労働者の怒りが爆発したことになります。
トランプ氏は共和党の弱点を補うためにヒラリー氏同様に移民排斥論で庶民を煽って当選し、当選後は工場海外移転阻止のパフォーマンスなどをしていますが,工場移転決断するには相応の理由・競争力低下が基礎にあるのですから,移転を阻止しただけではその工場の競争力が低下している方向性は変わりません。
工場移転阻止は,先送り強制の強制に過ぎず中間層が生き残る政策とは直接の関係がありませんから,どうやって中間層のための政治をするかの展望が見えません。
日本のような高レベル中堅層の努力工夫に頼る・・中間層の活躍できる社会に切り替えて行くには流れ作業向きレベルに満足していたのではピープルの人材レベルが低過ぎるのが難点です。
数日前に人材レベルを10点〜5点2〜3点と比喩的に分類し、アメリカの流れ作業方式は5点前後の人にも出来る職場提供であったと書きましたが,今では5点前後の人は2〜3点の人と同様の仕事しかない社会です。
中間層が中間層として生き残るには、比喩的に言えば8〜10点の能力の必要な時代です。
現場の工夫によるおいしい料理提供や高級みかんやトマトの果物,嗜好品,高級牛肉等の生産工夫能力次第となって来ると,奥の院の研究所にノーベル賞級の研究員が大勢いても・・現場人材が5〜2〜3点ではやって行けません。
日本では現場的研究からノーベル賞受賞者が出る社会です。

産業構造の変化3と民度1

小作人ではなくむしろ地元で大きな屋敷を構える地位のある人の話ですが,数日前に相談に来た人の例を紹介します。
数十年前にオヤがある事業者の保証していてその企業が倒産したために先祖代々の家屋敷が競売になり,已むなく長女の夫に落札して貰い屋敷を守ってもらったことがあります・・この親自体が私の依頼者で私がその整理に関与した件です・・。
平成の初め頃にその人が亡くなっていて、その長男が別件で数日前に相談に来たのですが,その人が相談のついでに現況を話すのを聞いていると(自分は長男なので)長女から「あなたは家を守る義務がある」と言われて今でも(両親が亡くなって)無人になっている実家に月に1〜2回帰って、庭の手入れをしたり、(日本は草むしりだけでも大変な手間です)土蔵の壁が壊れたと言っては補修したり長屋門が壊れたといえば何百万も掛けて治していると言う話でした。
今でも名義は長女の夫のママらしいですが,長女の夫も頼まれて買ってやっただけで本当は自分のものではない・・ということで家に勝手に入らない・一種の名義貸ししている意識らしいです。
子世代に変わったと言っても相談者は現に都会地に住む元校長先生(もう70になっているという話です)ですが、故郷・千葉県の「奥地」では今でもこう言う意識で生きています。
明治になって始まった小作地主関係も似たようなもので,オヤが買ったときの経緯・・暗黙の合意を知らない次世代が法律相談すると・西欧の所有権の「絶対性」しか知らない法律家は,登記を見て自分の物だから「売ろうと小作人を追い出そうと勝手じゃないの」となって・小作人無視の売買等の紛争が頻発し始めます。
税金を払えないと相談されて私が助けてやろうと言って買い取った後に「自分の名義になったから他人に売ろうと追い出そうと自由だ」と言うのでは,救済してやったことになりません・・。
実際の正義に反することから,政府も保護せざるを得なくなって小作人や借地人保護立法が制定されて来たのであって、(土地を買った人は借地人をそのまま引き継ぐのが法の原則です)元々の道義に反したことをしなければそう言う法律は不要です。
言わばシャイロックのように「胸の肉1ポンド寄越せ」と言うのと同じで,タマタマ正義に反した主張を臆面もなくする人が時々出て来る社会になったから,これを防ぐために小作人や借地人保護法が必要になったにすぎません・・何回も書きますが,人権擁護の憲法や法律制度が出来た社会が進んだ社会ではありません・・・道義を守らない人の多い社会とい言うことで逆です。
和牛や果物その他のトッピンが生まれたのは,農協(はアメリカ方式の後追いで協同→大規模仕入れ・大規模出荷、その他大規模化追及ばかりした)の指導によるのではなく自営農民が仕事の合間に工夫して来たことによります。
研究部門は別に作るから製造現場・下層労働者の工夫はいらない・・現場は何も考えずラインの仕事をロボットのようにしていれば良いと言うのが階層分化を基本とする欧米式ですが,この方式では小作人より羊の方が良いとなれば,簡単に小作人を追い出して羊に入れ変えたり、移民の方が人件費が安いとなれば,移民に入れ替えて行く・・今後は移民どころかロボットで良い社会になります。
日本でも欧米の真似をして後追いをすることが進歩的と言う学校教育に従った農協がその代表ですが,この種考え方は大方失敗しています。
アメリカの大規模粗放生産が良いとなれば,狭い農地の大規模化を図り真似をする・・何でも後追いしているのでは・・ダイブ前に書きましたが、日本の場合最大の関東平野でも河岸段丘平野ですから,ましてその他小規模平野では水平面の必要な水田の大規模化は限界があります。
その他全ての分野で小規模・細やかな対応こそが日本人の特性であり,末端の人まで生き甲斐を生み出す原動力ですから、これを活かして世界に打って出る工夫しかないのです。
野球の王選手の一本足打法のように何かに大成功した人はその個性を活かしていることが多いのですから,人真似では2〜3流にしかなりません。
粗放・大規模農業やベルトコンベアー式大量画一生産方式は、アメリカの大地と流入人材=未熟練労働者に頼る社会にマッチした製法に過ぎません。
狭い国土と細かな変化のある気候風土に対応して一人一人の工夫努力が生きる日本社会が,個々の工夫努力を度外視した粗放大量生産を真似しても意味がないどころか、その生産方式に最も適した国を先頭にした序列の最後尾に付くしかありません。
日本のように民度の高いクニが民度の低いクニの真似をしても意味がありません。
中国の改革解放以来低賃金競争が世界で始まったのですが,海外工場移転をして国内の生産方式まで低賃金対応をして来ませんでした。
この国内構造変化中の国内生産力が落ちますが,この間に必要な資金を海外進出工場で稼ぎ出しながら・・この間の海外債権増加及び所得収支黒字は巨大なモノがあります・・凌いで来たのは大正解と言うべきでしょう。
企業・デパートで言えば本店改造中の売上減を支店網の売上で補填していたようなものです。
海外展開で儲けが出ていれば,海外の儲けで本店や国内工場のコンセプトを新しい時代に合うように変えて行くことが可能ですが、これを本店や国内工場の赤字補填に使っているとその先の展望がありません。
国全体で言えば,海外の儲けを本国人の高額賃金の穴埋めに充てているとその内海外からの送金が減って行き・なくなると大変なことになります。
サウジや資源国は原油代金等で実力以上に高額賃金(または無税でインフラ整備)を払って来たので、資源優位性が縮小し始めると大変です。
アメリカもこれまでの成功体験・極上の有利な条件がオセロゲームのように全部裏返しになりつつあることが重要です。
大量・画一・粗放生産=従来比喩的にいえば、10点の能力以上しか生産に従事出来ないときにベルトコンベエアー方式導入によって5〜6点の人も働けるようになる・・この結果、職人と言えない程度の未熟連労働者の大量投入が可能になりました。
加えて豊富な資源・五大湖周辺に大規模な石炭、鉄鋼資源があったし、その後石油の時代が来るとテキサス等には大規模な油田が開発されましたので国内で効率よく大規模工場が立地出来たことがアメリカの強みでした。
ところが、生産方式の機械化がさらに進むとアメリカが勃興した当時には比喩的に言えば,5点以上の能力が必要・・これに対応出来たのがいわゆる先進国だけだったのが,更に機械化が進んだ結果、もっと低レベルの比喩的に言えば2〜3点の未熟練者でも生産に参加出来るようになった・・労働力供給上の優位性が新興国に移ってしまったのです。
資源大国の地位も運輸能力・コストの向上によって,資源に直結した工場立地の必要性が低下した・・戦後遠隔地のサウジ(原油ではその他中東・北アフリカやロシア、ベネズエラ等に拡大する一方)やオーストラリア(石炭鉄鉱石・食糧)に広がっていますし,アメリカのダントツの優位性縮小傾向が明らかです。
人口・・労働力数的にも中国の解放前には,ソ連を除けば先進国ではダントツの一位でした。
(私が中学生の頃(1955年過ぎ)に初めて習った社会科の知識・記憶ではアメリカが1億8000万前後で日本を除く西欧諸国の大国・・英国5000万あまり、仏4300万前後でした)

新旧日米安保条約と日本の防衛1

岸政権の60年安保改訂交渉は、米軍の意思次第でいつでも軍が日本人を鎮圧出動出来る権利を認めた第一条削除を筆頭に占領軍としての米軍を(今もアメリカの支配下にあると言う実質は別として)法形式上全面否定した・・形式的にも日本独立後約10年経過でようやく軍事的独立を果たした大成果でした。
占領軍の本質を前提とした旧条約では,法律上も駐留軍は肝腎の日本防衛義務を全く負わない仕組みでした。
アメリカとしては日本を占領支配するだけで何の義務も負わなかった占領軍の本質が、独立前の竹島占領や北方領土占領を黙認した基礎に繋がっているのです・・。
昨日紹介した旧条約の条文によると共同防衛義務が全く記載されませんが,元々米軍は占領軍でしかないからアメリカとしては日本の独立を認める代わりに占領軍が従来と何ら権限が変わることなく継続さえ出来れば良いのであって、日本を防衛する義務など想定すら出来なかったからでしょう。
アメリカ軍支配を侵す勢力があれば、アメリカ軍の支配地(縄張り)を守るために?撃退する関心があっただけです。
強盗が折角の略奪品を奪われそうになればこれを撃退するのと同じで,被害者を次の泥棒や強盗から守る義務などに関心がありません。
「占領支配の沽券にかかわるかどうか」だけの関心であったから、北方領土でも李承晩ライン・竹島(要は漁業権の争いですからアメリカの軍事関心「沽券」には関係がなかったのでしょう)もスキなようにさせていたことが今の日露,日韓のしこりになって残っている原因です。
最早占領軍ではないと言う意味を明らかにするために60年安保では防衛義務を新条約第5条で明記させたのですが,相手の防衛義務を明記する以上は日本も相互負担するのは当然です。
日本で大騒動になった60年安保のテーマを見ておきましょう。
11月30日現在のhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E9%97%98%E4%BA%89の記事からです。
「1951年(昭和26年)に締結された安保条約は、1958年(昭和33年)頃から自由民主党の岸信介内閣によって改定の交渉が行われ、1960年(昭和35年)1月に岸首相以下全権団が訪米、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領と会談し、新安保条約の調印と同大統領の訪日で合意。1月19日に新条約が調印された。
新安保条約は、
内乱に関する条項の削除
日米共同防衛の明文化(日本をアメリカ軍が守る代わりに、在日米軍への攻撃に対しても自衛隊と在日米軍が共同で防衛行動を行う)※アメリカ軍の防衛の明文化はされていないとの反論が多数されている。
在日米軍の配置・装備に対する両国政府の事前協議制度の設置
など、安保条約を単にアメリカ軍に基地を提供するための条約から、日米共同防衛を義務づけたより平等な条約に改正するものであった(※より平等でないとの意見もあり)。」
独立時の条約は独立を認める代わりの既得権として,(沖縄返還時の基地既得権自我条件だったのと同じです)基地無償使用権をそのまま維持するものでしたが,今度は日本に基地を置く以上は,日本の要請があれば日本防衛義務を分担する外、軍や設備の配置も米軍が勝手に出来ず日本との「事前協議」のタガを嵌めると言う当たり前の条約に改訂しようとするものでした。
「日本に基地を置きながら日本防衛に協力しないならば何のための条約だ!」となります・・まさに旧条約はアメリカが占領を続けたいだけの条約だったことが分ります。
昨日紹介した旧条約には、期限がない・・・破棄・・一方的なけんか腰の破棄をする以外には,やめらない条約でしたが,この改訂で10年間に限定されました。
もしも改訂が出来なければ、日本がアメリカと喧嘩するほどの関係にならない限り(今でもびくびくして付き合っていますが・・)アメリカは従来どおり植民地支配軍として「半永久的」に居座っていられる関係だったことが分ります。
ウイキペデイアの記事は当てにならないと言う批判がありますので,外務省の公式記録による60年安保条約そのものを見ておきましょう。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
第一条
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。
第三条
 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。
第四条
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。
 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
 千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
日本国のために
 岸信介
 藤山愛一郎
 石井光次郎
 足立正
 朝海浩一郎
アメリカ合衆国のために
 クリスチャン・A・ハーター
 ダグラス・マックアーサー二世
 J・グレイアム・パースンズ
上記を見ると,旧条約第一条の内乱条項がなくなり米軍が国内で勝手に軍事力行使出来ない・・当たり前の条約になっています。
代わりに第5条で日本施政権下の米軍に対する攻撃に対する共同防衛義務が明記されましたが,これは米軍日本防衛にあたることになった以上,日本防衛のために出動した多米軍と共同軍事行動するのは当然のことであって仮に明記されなくとも米軍と一体化して戦うベキは解釈上でも出て来ることです。
友人に引っ越しや大掃除をの手伝いを頼めば,頼んだ本人がテレビを見て遊んでいる訳には行きません・・喩えば、日本上陸作戦をしている侵略軍と戦ってくれているアメリカ軍に弾薬や食糧を届けたり見張り報告程度の協力をするのは当たり前のことです。
何故これが60年安保で大問題になったのか意味不明です。
以下に紹介するとおり,60年安保のときに極東の範囲を問題にしてソ連が,「歯舞色丹を返すのをやめた」と通告して来たこともありますが,旧条約で元々書いてあった上に,60年安保でも米軍の防衛義務は日本施政権範囲内だけですから,日本の施政権外での協同防衛義務はありませんから、何も変わっていないのです。
新安保条約でもソ連が日本の政権下の地域へ侵略しない限り共同軍事行動がないのですから,この条項をソ連敵視とソ連が怒るのは(ソ連を刺激すると反対する国内運動家も),日本侵略意図があると言う意思表示だったのでしょうか?
一方で極東の範囲が不明だと言うのも大きな反対理由になっていたようですが,この条文は元々旧条約に入っていたのですから,新安保で変わったことではないのに、何故国内で大反対理由になるのか?も不思議です(無期限条約でしたから,改訂しない限り旧条約のママです)し、ましてソ連が日ソ共同宣言を何故破棄出来る理由にするのか不明です。
日ソ不可侵条約破棄→満州から日本人大量に拉致したのと同様に、国際合意を守る気持ちが元々もない・・・相手が(国内デモストライキ等で)弱れば,何をしても言っても,しても良い・・力関係次第と言う信用出来ない体質が再び出ただけのことです。
こんな国相手に先行協力すると,(中国も韓国も日本の世話になるだけ世話になって今になると如何に日本をやっつけるかに智恵を絞るクニですが・・)取るものだけ取ってから「破棄する」と言うドンデン返しがいつあるか知れません。

2国間交渉社会に戻ることは可能か?1

日本の場合議院内閣制の結果、国政選挙だけではなく地方選挙による民意修正がひっきりなしにあるので、上記土井党首辞任のように民意反映・修正が早いのですが,大統領制の場合、任期が固定されているので票目当ての無責任煽動が起きると被害が大きくなります。
パク大統領の慰安婦騒動も同じで単純化して煽ってしまった挙げ句の日韓合意では、国民が収まらなくなって進退窮まった好事例でしょう。
現在のパク大統領に対する退陣要求高まりは、表向き批判は個人的関係者への便宜供与や機密漏洩ですが,反朴感情高まりの背景には国際政治関係が実際にうまく行っていないことや,財閥に対する切り込みを公約していたのに実現しない不満+経済不振→若者の就職難・格差拡大不満,昨年末の日韓慰安婦合意に対する不満等々・マグマ?がたまっていたことが明らかです。
民意自体をきめ細やかに積み上げて行かずにスローガンで感情的に決める社会では、その対としての政治体制も不満を柔軟に吸収して行けない・硬直しているので、不満がたまれば「デモ」と言う力技で社会を変えて行くしかないのでしょうか。
今回の大統領に対する退陣要求が暴動的争乱になっていない点は進歩と言えるようですが,正常なルート・落ち着いた話し合いでは民意を反映出来ない仕組みになっている点は同じです。 
トランプ氏の二国間交渉論に戻ります。
2国間だけでの貿易均衡だけ図る交渉は比較的単純です・「お前のところの対米黒字を◯◯まで減らさないと制裁を加えるぞ!」と言うスーパー301条方式延長で可能です。
世界全体で多角的な貿易収支均衡を図るのが変動為替制度ですが、トランプ氏が主張する・・TPPなどの多角交渉を全部やめて行く2国間主義・・2国間だけで均衡を図るとなると結果的に高度に発展した多角的貿易体制を破壊することになります。
貨幣利用の智恵は直截交易相手と交換するものがなくとも貨幣に転換すれば、別の人から欲しい物を買えるので、一対一の物々交換から3人集まっての3者交換〜4者〜5者〜10者交換と広まって行き,遂には市が立つ(今の広東交易会等の原理)ようになり、その内抽象的な貨幣制度→債権・手形や有価証券売買などが発展して来ました。
2国間協定はアメリカのpeople・民度向け・・昨日書いた弁護士向けの交渉術・単純思考でアメリカpeopleにも分りよいですが,言わば一対一の原始物々交換経済に原理的に戻るようになります。
現在社会では経済要素が100〜200の要素に留まらないほどの複雑な絡み合いで成り立っているので、一対一で決めたルール・・個人で言えばその日どこかへ行く約束すれば別の友人と同時間帯に別の場所へ行く約束を出来なくなるように,2国間協定(・・ある国だけ関税優遇すれば競合輸出国が割を食いますし、その逆もあります)は他国へ影響を及ぼさずにいられません。
これを強権的に多角・重層的判断経験のない政治の素人が決めることは不可能な時代に入っています。
ちなみに西欧から入って来た経済学も単線思考形式である点は基本的に同じように見えます。
何回も書いて来ましたが,彼ら「偉い」人の意見は「その他与件が一定であれば・・」と言う前提条件付きの議論ばかりです。
ところが,現実の動きにはその他与件が一定のことなどあり得ませんから,空理空論を述べているだけで,いつも現実の動きに全く合わないことばかりですが,彼らは全く予想に反した結果が生じてもその直後からまたマスコミで「今回の株価の動きは・・」などと平然としてあらたな御託を並べています。
そんな意見を聞いて商売していると何回倒産しても間に合わないので、事業に成功する人は学者に頼らずに総合的直感で新たな事業をやって成功しているのが普通です。
ソ連の計画経済体制が失敗した原因です。
国と国の関係では各種変数を織り込んだ為替相場変動(神の手)で修正し,個別修正は市場経済・・各種(原油や資源系の各種商品相場や海運市況)商品相場や株式・債券相場の動きによって修正して行く時代です。
これを腕力・権力だけで一方的に決めつければ(低レベルpeopleには)痛快でしょうが,無理をすれば必ず反動が起きます。
無理→暴動による修正も、微妙な民意吸収による小刻み修正繰り返しも、後から見れば結果は同じかも知れませんが、同じことならば社会をひっくり返すような騒乱によるよりは,徐々に社会が変化して行く方が国民にとって幸せです。
自由平等博愛などのスロ−ガンを並べたフランス革命のようなことをしなくても、何も言わずに徐々に発展して来た日本社会の方がずっと進んだ社会だと書いて来た理由です。
ところで、吉宗が米相場で苦労したのと同じで,権力者が「今度こうするぞ!」と言えば,一応関係者の短期的萎縮効果などがありますが,結果的に国内の米相場1つさえもうまく行かない・・まして外国相手においてオヤ!と言うところです。
ここでは、二国間交渉論は複雑な経済の動きを言わば「物々交換の時代」に戻ろうとしているのと同じである・・経済交流に例を借りて書いているだけで・・国際政治と言うものは国内政治以上に(相手側の民族特性が国内以上に理解困難の結果)更に複雑です。
経済交渉は複雑でも「利」を競う点で土俵が決まっていますが,政治は「利」だけでないばかりか,・・民族感情・過去の経緯など上部構造・・文化や歴史個人的好悪感情を織り交ぜて成り立っているその何層倍もの掛け算による複雑なものであり、(だからこそ政治と経済学とは一致していません)どんな強権を持った政権でも,これを権力者の一存で変えることが不可能である現実を書いています。
旧ソ連のスターリンによる強力な独裁制度下でも無理を通していた結果、最後は破綻したし,中国の独裁による経済運営の無理が今にも出て来そうな段階に入った原因です。
トランプ氏のスローガンを実行するには一見して経済原理無視・・既存国際秩序破壊の無謀な政策になりそうなので,プーチンや中国が「これまで出来上がって来た国際秩序を守れと言われなくなりそう」という期待で歓迎する方向性のように見えます。
トランプ氏の登場が,世界の自由貿易秩序に反する独裁体制下の不合理な経済体制を延命させる方に本当に向かうのでしょうか?
そうはいかないでしょう・・却って遠慮がなくなる・それぞれが自己抑制が利かなくなる結果、破滅を早くするだけではないでしょうか?
ところで高関税・高率消費税がかかると国内消費は大幅に減りますが、損をするのは消費者だけとは限りません。
高関税の結果輸入品が割高になってある程度国内生産回帰出来るでしょうが,国内回帰するアメリカの工場・生産者だけが世界相場よりも割高な人件費,部品や原料を使うしかなくなりますので結果的に国内生産コストも割高に変化します。
しかもアメリカに輸出していた業者にはアメリカ企業が海外進出して製造したものが多く含まれるでしょうし,(アップルなどはほぼ100%中国で製造?)コトは簡単に行きません。
ロシアなどがよその国と対立して輸入禁止しても,ロシアの企業が海外進出を殆どしていないのでロシア企業にそれほどの損がありませんが,先進国になればなるほど世界中に進出している・・しかも自国への輸入品関連から先に進出するのが普通ですので自国企業が真っ先に被害を受けます。
(最初に中国へ出た企業・・食品であれ,衣料であれあれ日本人向けの嗜好に合うように現地指導していました)
アメリカの場合、自国企業が中国やメキシコなどへ進出してしまって国内空洞化進展に腹を立てているのですが、その分そっくり自国企業が海外に工場を持っている関係ですから,制裁をするとアメリカに逆輸入している自国企業が真っ先に・最大の割を食います。
今回の北方領土交渉進展を誘導するためのロシアへの経済協力で見ても,日本への輸出目的の産業進出が中心です。
以上のとおりで,トランプ氏の対外選挙スローガンは無茶苦茶過ぎて政策とは言えない代物・・長期的には多分実効性がないと言うのが専門家の見方でしょう。
1つ二つは強引過ぎても折角権力者についたのだから・・とある程度廻りが既存秩序との亀裂修復に工夫して何とかするでしょうが,あちらでもこちらでも皆強引と言うのでは廻りが取り繕い切れない・・結果的に行き詰まってしまう可能性があります。

トランプ氏とスローガンの実効性1

ところで、世界の警察官をやめるのは軍事力負担が重いだけのように見えますが、それよりもアメリカ実業界にとってロシアその他に対する経済制裁が大きな損害・・負担になっている面を無視出来ません。
経済制裁というのは一方の立場を表現しただけであって,痛みは双方平等です。
10対1あるいは100対1の経済力差があるときに一方はその痛みに耐える力がその差に比例して持続出来るだけの違いです。
イラン禁輸・ロシア禁輸も同じで,アメリカ協力国総合と相手経済力の差に比例します。
ただ,北朝鮮の例で分るように,制裁直後は相手の民心に利きますが窮乏生活に慣れてしまうと相手国民心への影響力は漸減して行きます。
民主国家との体制相違も大きな影響差があります。
独裁政権では言論の自由がないので国民不満はただちに大きく出て来ませんが,アメリカの場合相手の10分の一の経済被害でもその業界に大きく騒がれる弱みがあります。
人命比較すると簡単ですが,IS等に日本人やアメリカ人が一人二人でも殺されても大騒ぎですが,その陰でイラク・アフガン・シリア人等が何万と殺されていても相手国の士気に何の影響もない・逆に反米士気が上がります。
長期的には封鎖されている方は国力が大幅に低下するので,最後の決戦力は弱まりますが最後の決戦に持ち込まない限り北朝鮮のように,世界の進歩に遅れたままでも元の19世紀よりも良くなったと喜んでいれば済みます・・元々圧迫を受けている敵愾心の強い民族には経済制裁だけでは実は効力が殆どありません。
禁輸している方の経済界では、(制裁前に相手国の輸入が大きかった場合・良い顧客だった場合には)逆に売り損なっている不満・経済的に見ればロシアに輸入禁止されているのと同じ経済効果が大きくなって来ています。
金融サービスであれ何であれ消費する方は別の業者、国から買うか消費を減らす・・外食や映画鑑賞を減らすのはどうってことがないなど柔軟対応可能ですが、供給側は1~2割でも売り上げが減れば固定経費の支払いがあって死活問題です。
買う方よりは売る方がダメージが大きいのが原則です。
ロシアやイランなどは元々原油程度しか売るものがないので、損をするのは国営系大型企業、国家財政だけで輸出に関係のない庶民零細企業には殆ど影響がありません。
要は西側のオシャレな商品、美味しい消費財が入ってこない不便さだけです。
消費財を売っていた企業は苦しくなるので連合体制の場合には何かと理由を付けて例外を求めるクニが現れますが,制裁を主導するアメリカ自身が率先してやるしかない以上,アメリカが一番損な役割になります。
ナポレオンの大陸封鎖・禁輸令が失敗に終わった原理です。
以上のようにアメリカが世界の警察官をやめると言い出したのは自分自身の制裁疲れが起きている面を無視できません。
世界の警察官をやめる=制裁解除は、国内企業の支持が多く一方的宣言で可能なので国内だけを考えれば意外に実現性が高い可能性があります。
ただしロシアその他への制裁は総合的国益を判断して行って来たはずですので、選挙のテーマにならない間接的ないろんな利益を損なう可能性が高いのですが、例えばちょっと考えてもサウジアラビアや欧州など関係国との協調をどうするかなど実は複雑です。
国際政治上アメリカに頼る関係で何かと譲歩して来た国々が一杯あります。
これを無頓着に行うと旧来の友好国との間で築き上げてきた膨大複雑な利害を無視することになり多方面の離反・アメリカの不利益を招くリスクがあります。
イラン制裁復活の主張もしていますが、解除で動き出したばかりでこれを一方的に覆すとアメリカの信用性が大きく揺らぐので実は簡単ではありません。
高関税、輸入規制の実現性を見ましょう。
アメリカ国内だけで見てもトランプ氏が仮に中国製品やメキシコ製品に45%も課徴金をかけると中国やメキシコ制裁のように見えますが,中国やメキシコがアメリカに対してのみ45%高くないと売らないと決めた輸出禁止(アメリカだけ高く買うしかない)を受けているのと経済効果は同じです。
イキナリ国内生産に切り替える暇がないから,国内は品不足で大混乱になるか,高くとも輸入して買うしかないので中国等からの輸入が45%減るのではなくもしかしたら一割程度しか減らないと思われます。
45%アップより10%高くてもいいからと中国以外から買うとすれば、結果的に国民が10%割高な買い物を強制されていることになります。
国内で作らなくなってしまった製品をイキナリ国内生産に切り替えるには人材も工場設備、サプライチェーンもないので,その間他所から買うとなれば結局割高なもの買うしかないのでアメリカ国民にとっても大幅な損失です。
それでも中国にとっては,時間の経過でアメリカ国内生産や他国からの輸入が増えて中国製販路が縮小するので大打撃です。
別の見方・・輸入品に45%の高関税を掛けて国内工場保護する場合,輸入品に一律45%の消費増税したのと同じ結果になります。
相手の立場で見るともっと無理があります。
自国産業保護のために高関税を掛けて相手国の報復関税を受ける連鎖が起きると,世界を鎖国状態に戻すことになります。
これが1929年頃の大恐慌に際して(いま同様に自国中心主義で)アメリカが先に関税を大幅に引き上げたので、これに欧州が報復関税をやった結果→報復合戦のエスカレートの末に植民地別のブロック経済・・国際物流縮小が始まった原因です。
日本の場合,後記のとおり原燃料等を買うしかない・・輸入禁止出来ない弱い立場なので,報復関税競争に参加していなかったのですがブロック化するべき植民地を持たない日独伊がトバッチリで真っ先に参りました。
当時の世界2大経済圏の流通が止まった結果、国際経済活動が窒息状態に陥ったのでこれを打開するため→ナチス・ファシズム台頭→日本は満州の囲い込みに走るなど世界戦争に入った原因です。
アメリカに高関税で狙い撃ちされれば中国は、ためらいなく報復に出るでしょう。
短期的には中国の代替としてその他の国の輸出は伸びるし,一方でアメリカの代替として中国への輸出も伸びて良いこと尽くめのようですが,米中2国間経済戦争の影響度・・戦前の2大経済圏であった欧米間の報復合戦同様にどのように波及して行くか,今は見通せませんが、世界経済は大変な状況になるリスクがあります。
アップルのようにアメリカ輸出用の製造工場が中国やメキシコに一パイありますが,(中国やメキシコの対米輸出が多くて怒っているのですから一杯あるのはあたり前です)その輸出が減ると日韓その他の対中輸出も減り→日本や韓国の輸出が減れば,日本韓国へ原材料輸出しているクニも困ります。
このような連鎖波及の切っ掛けが戦前の大恐慌であり→戦争になって行ったのです。
ところで貿易ストップの自国内反作用の大きさは相互往復貿易量(輸入輸出総量)に比例しますから,アメリカにとっても今や対中貿易量が大きくなり過ぎている結果(中国が違法行為をしてもアメリカが武力で脅せないのと経済面でも同じです)、対中貿易をストップしかねない35〜45%もの急激な課徴金を課することは実現不可能と思われます。
トタンプ氏はスローガンを掲げた以上は,結果などどうでもいいと言う無責任・蛮勇で踏み切れるのでしょうか?

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