中国過大投資調整18と個人の弱さ3

マスコミは、中国政府の意向を受けて、中国政府は次々と金融緩和その他景気下支え政策を続けるから、まだ半年〜1年間クライは大丈夫だから日本企業にもっと投資しろと暗に誘導しているつもりだったのでしょう。
しかし日本人は22日に書いたように数百年単位の長期的視野でものを考える国民性ですから半年か1年間でうまく儲けて、逃げようと言う発想の人・・良く言えば器用な人は少ないので、対中投資が減る一方になっています。
エコノミストの一般的意見では、バブル退治の先送りは将来の傷が大きくなるだけ・・バブル崩壊がもっと巨大になるだけと言います。
実際に中国では不動産バブル破裂を防ぐために(マスコミの言うテコ入れ期待どおり)次々と過剰生産分野を拡大して行きましたが、国内投資では、遂に限界がきて一帯一路と言う中央アジアでの道路工事構想(AIIB)や国内では株投機の推奨を始めました。
これが従来の過剰生産拡大と違うところは、拡大構想は同じでも他人の懐を当てにするようになって来た・・中国自身の資金がなくなって来たことを内外に表し始めたことです。
これでは海外資金が、はいるどころか却って怖くなって逃げ出します。
中国ではバブル崩壊を先送りしている間に個人に不良在庫(上がり過ぎていて今後下がるしかない株も焦げ付き予定の債権も言わば不良在庫です)をおしつけてしまえば、不満分子が数十人規模で(数年前から既に年間20万件以上とも言われていますが・・)暴動を起こしても簡単に鎮圧出来る・・ソフトランデイングできると言う壮大な魂胆でやっているとすれば、欧米式(フランス革命以降の)民主国家の論理では理解できません。
中韓の経済政策は経世済民・・庶民をすくうための経済ではなく、政権維持や政権基盤に直結している国有企業や大企業維持のための経済政策と言われる所以です。
左翼運動家が日本国内で「搾取される人民・・」と宣伝しているとおりに、中韓では政府と国民は一体ではなく、支配と被支配・・搾取する者とされる者の対立・敵対構造ですから当然です。
彼ら左翼文化人は、中国社会構造を前提に日本もそうだと主張していることになるので、今や、誰も信用しなくなっています。
中国が軍事拡張主義だから、日本もそうなると言うのと同じです。
中国韓国では強制的な慰安婦や姓奴隷が普通だから、日本もやったろうと言う発想にこり固まっている・・自分で考えることの出来ない脳みそを持っているようです。
日本の価値観は諸外国とは違います。
占領地では、その土地の人のために一生懸命やりましたが欧米価値観でしか考えられない人は植民地で欧米以上に悪いことをした筈という発想しか出て来ないのでしょう。  日本では企業経営も政府と国民も究極の目的は構成員・国民の幸せですが、他所の国では経営者と従業員は、限られたパイを奪い合う最大の敵対関係です。
戦後アメリカは財閥解体によって、日本企業の人的結束を解体してアメリカ式企業経営を持ち込もうとしました。
解体によって企業民主化に成功しましたが日本は独自の従業員持株会その他で従業員のための企業であることをやめませんでした。
系列と言われる協力体もその一環です。
今ROE重視が言われて第二の開国でもありますが、多分これに適応したとしても内実は従業員のための会社であることを絶対にやめないと思います。
これは日本教とも言うべき宗教の大本ですから・・・。
中韓政府にとっては政権維持に必要な近衛兵・・側近とも言うべき大企業がバタバタ倒産することを思えば、政権に近い順に大企業〜中堅の多くを救済して政権にもっとも遠い庶民を救済しないで放置しておいた方が政権延命には有効です。
11月21日ころ金利引き下げ発表がありましたが、これは、中小企業救済・・住宅ローン金利引き下げが目的と解説されていました。

以下はブルームバーグの記事です。
中国人民銀行:政策金利引き下げ、2012年以来-成長てこ入れ
11月21日(ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は2012年7月以来の利下げに踏み切った。中国の指導者らは景気てこ入れ策を強化している。
中銀が21日ウェブサイトで発表したところによると、1年物預金金利は0.25ポイントの引き下げで2.75%となる。1年物貸出基準金利は0.4ポイント引き下げ5.6%。新金利は22日から適用される。
人民銀はこれまでのところ、対象を絞った金融緩和と市場への流動性注入によって、成長支援を図ってきた。今年通年の成長率 は1990年以来の低水準となる見通し。
人民銀は2013年7月に大半の金利を自由化したものの、銀行側にとって政策金利は住宅ローンを含めた融資金利の指針となっている。」

上記「対象を絞った金融緩和と市場への流動性注入によって」と言う意味は、政府に密接なコネのある関係先だけ個別救済して来たことを意味しているようです。
しかし国有企業や共産党幹部の企業だけしか救済されないのでは社会が持ちません。
そうは、うまく行かない・・それでは社会不満を抑え切れなくなって来たので、金融緩和によって幅広く救済して行くしかなくなったのでしょう。

  中国過大投資調整17と個人の弱さ2

1強万弱の専制君主制と全ての分野での世襲制否定とは一体化・整合していて、これが今の共産主義国家の私有財産禁止と基礎で繋がっていることが明らかです。
今の天文学的な私腹を肥やす・・それも一刻も早く海外に資産を隠し、子弟を海外に逃がす政府高官・裸官の存在と、甚だしい公害発生・・目先のゲンキン主義に繋がっています。
この点が子々孫々までの信用重視・・数百年後の子孫が困らないように植林し田畠の地味を肥やして行く努力をする我が国との違いであることを何回も書いてきました。
話を戻しますと、こつこつと技術を身につけることが好きと言うか、信用の基礎と考える我が国国民性とは違い、中国では何千年もの間目先一刻も早く儲けた方が勝ちと言うか、一刻も早く餌を喰わえて逃げなければならない社会構造でやってきました。
・・儲ければ・・出世すれば、その間に最大限賄賂で蓄財し、急いで・皇帝や権力の届かない外国へ資産を隠し、妻子を安全圏に逃すことが先最優先行動基準とする政府高官や資本家の動きを見れば、中韓両国民は長期的信用を築く習慣・価値観がないことが分ります。
刹那主義的DNAが今も脈々と受け継がれていて、外資系企業等に就職しても日本人と違い転職を繰り返すし、一定の資金が出来ると、個々の小金持が投機に走っている・・・自宅購入ではなく転売益目的購入が多い結果、マンション価格下落が始まると多くの庶民(主としてホワイトカラー層)が大損をする結果に終わると思われまていました。
中国では、シャドーバンキング関連を潰すと大手銀行・国有企業破綻に波及するので、政府が小出しに資金投入してこっそり救済している様子がここ1年以上(もう2年になるかな?)続いていますが、この政策ですと企業が売り抜けに成功してからのバブル崩壊になり、個人買い主だけがそのまま救済されないで放置されます。
このやり方でも、企業・地方政府救済が追いつかなくなって来たらしく、14年11月21日ころに、金利を少し下げると同時に預金金利の上限幅も広げたと報じられていました。
その少し前にはマンション2件目の購入にも貸し付けを許容する・一人っ子政策の見直しをするなどの緩和策を報じていました。
バブル崩壊を放置するだけならばまだマシですが、政府はシャドーバンキングと関連集団を延命させてその間に積極的に個人へ売り抜けるチャンス・機会を与えているように思われます。
昨年夏の原稿の書き足しですのでそのころのコピーなので引用が少し古いですが、勝又壽良氏の2014年8月20日のブログによれば

「住宅価格バブルに対する意図的な無視戦略」として「中国人民銀行は中国国家開発銀行(CDB)向けに、1兆元(約16兆6100億円)規模の3年物融資提供を継続している」
「韓国の昨年10~12月期の住宅売買価格は過去平均より39.7%低かった。これは所得水準を勘案した数値である。比較対象24カ国のうち最下位の日本(-40.6%)に次ぐものだ」という箇所にも注目しておきたい。韓国はすでに住宅バブルが崩壊したのである。それにも関わらず、韓国政府は住宅ローンの貸付条件の緩和化によって、「夢よもう一度」で住宅価格上昇への「点火」を期待している。」

と書かれています。
時々経済対策を打って、シャドーバンキングなど不動産関連業者・・ひいては地方政府を救済しては「中華民族の栄光復活」と宣伝しまくるので、バブル崩壊近しと知っている中国人でも、まだもう少しの期間上がるか?と疑心暗鬼になった慾の深い個人が期待して、(後半年〜10ヶ月持つならば、その間に売り逃げ出来ると言う計算で)また買わされてしまうことを期待している様子です。
5月13日に紹介した金融緩和すると株が上がると期待させて株式購入を煽っているのと同じ発想です。
中国に関しては悪い経済指標が出ると政府がテコ入れするから景気が良くなる筈と言う理由で、マスコミが逆に楽観論を振りまく変な報道パターンですが、中国国内では、これが本当に信じられているらしいのです。
日本のマスコミ人は中国で仕事した方が良いかも知れません。

中国資金枯渇25とAIIB5

中国の資金不足に戻ります。
中国共産党機関紙自体が、正面から庶民を煽ってまで、株投機に参加させて、資金を絞り出させているのは、事態が切迫している・・何とかして産業界の資金繰りを持ちこたえている状態ではないかと解釈されるので、5月ころから根シリーズを書いていました。ます。
日本が戦時中お寺の鐘まで供出させていたような極限状況と言えるでしょう。
政府挙げて煽っている庶民のカブシキ市場流入資金が尽きたらどうなるか?と言う大団円が見物(みもの?)です。
大恐慌・大失業が始まると、ナケナシの貯蓄を株に投じてしまい紙切れに変わってしまった庶民は悲惨な結果になります。
中国では資金繰りに窮して世界から資金を集めるために?AIIB設立を打ち上げたものの、資金出し手の中心になるべき中国自身が資金繰り悪化の断末魔状態・・株購入を政府が煽るなんて常軌を逸していますので、逆に中国が資金繰りに窮していることが、世界中に知られてしまい・・却って外資の逃げ足が強まりました。
3年前に鳴り物入りで設立したブリックス(中、ロ、インドブラジルの4カ国)銀行は未だに、マトモに機能していません。
うまく行かないから別の金融機関・・AIIBを作って更に資金を募ろうとするのは見え透いていて無理があります。
お金を貸して欲しい・利権にあやかりたい国ばかりが、一口乗っておこうかと集まったに過ぎないとすれば、AIIBがうまく動き出せる訳がありません。
このために、日本に資金を出してもらいたくて3月31日の締め切り日を変更してでも、日本参加を裏で必死に拝み倒している状況でした。
中国は反日暴動以来歴史認識に関するはっきりした謝罪がないと首脳会談に応じないと言い張っていたのに、昨年秋に安倍総理がバンドン会議の演説で何も謝罪しなかったのに、今度は何の条件も付けずに習近平氏がバンドン会議で安倍総理と笑顔で面談するしかなくなるところまで追いつめられています。
5月4日の日経新聞朝刊には駐日中国大使によるAIIB参加勧誘意見(これまで駐日大使の意見がそのまま大きく出たのを見たことがありません)が出ています。
日本等の「金がなくて資金をかき集める目的だろう」と言う批判の蔓延を打ち消すかのように5月20日ころから中国がAIIBの規模を拡大して、中国自身出資額を大きくするような構想がマスコミに(根拠ないムード的記事ですから、AIIB応援報道のたぐいです)出て来るようになりました。
如何にも中国自身は資金はあるかのように、日本マスコミがそれとなく中国を応援したい報道が続いていましたが、このような応援報道を吹き飛ばす安倍総理の大ホームランが出ました。
5月23日朝刊によると、安倍氏は、「第21回アジアの未来」の国際会議で、「アジアのインフラ整備に13兆円拠出用意がある」と表明したと言うことです。
続いて23日夕刊には、福島で開催された「島サミット」(アジアでの島嶼国全部)で上記13兆円とは別に?550億円の災害関連資金の拠出を表明しています。
AIIBの予定していた出資総額が(倍増しても)1000億ドルですから、円換算で約12兆でしかありません。
日本1国で「13兆円を出します」と言われるとまさに中国の「顔色をなからしめる」声明です。
日本が直接支援しますと言えば、日本の信用は絶大ですから、(従来の中国の支援先では、露骨な中国支配態度がアフリカやベトナム等で嫌悪されていますので・・)同じ技術支援を受けるならば中国に頼るよりは日本の技術に頼るのが普通の動きになります。
マスコミは焦ったらしく、5月24日日経朝刊21p「今を読み解く」には「日本はインフラ投資は卒業して中国に任せるべき」だと言う大見出し論文が出たことを5月27日ころに紹介しました。
中国は日本からの資金集めに必死で、日本マスコミ対策をしている・・マスコミや文化人籠絡には成功している印象を受けます。
しかし今の日本は、マスコミを握りエコノミストや文化人に中国の将来性を言わせれば、国民がそのとおり動く国ではありません。

中国の資金枯渇24とAII4

輸出基地として投資していた外資にとっては、輸出出来なくなったら資金を寝かせておけませんので、資金流出が激しくなるので資本収支的には二重苦が始まっています。
中国はアジア危機を勉強した結果、いわゆるホットマネー流入を制限しているので資金流出の心配がないと言う立場で反日暴動を仕掛けたのですが、直接投資マネーであっても暴動を仕掛けられるようなところに継続的投資は出来ません。
釣った魚に餌をやる必要がないと言う静的経済を基準に考えていたのが中国ですが、現在は絶えざる投資継続・最新技術による設備更新がないと企業経営が成り立たない時代です。
反日暴動後は後に続くべき(計画中の投資は続けるしかなかったのですが・・)日本の対中投資新規計画はぱたっと止まってしまいました。
反日暴動で酷い目にあったパナソニックは、あれだけ巨額投資した中国から損をしてでも引き上げる決意をしてしまったことが大分前に報道されていました。
日本から中国への投資額が反日暴動以降激減していることをMay 22, 2014「対外紛争の得失2」に、紹介したとおりです。
今朝の日経新聞朝刊7pには、昨年まで激減していた昨年に比べても今年1〜8月の日本の対中投資は前年同月比28、8%減と出ています。
米国からの投資は19、6%減ですが、欧州からは14、4%増となっていて、なお中国への投資を増やして日米の穴埋めに働いている構図ですが、昨日書いたようにドイツ車の売れ行きが急激に落ちて来たので、この先も投資が続くかは危うくなってきました。
ただ、投資額増減の%比較では絶対額が不明ですが、絶対額の大きい日米の穴埋めには、力不足でしょう。
まして、今後中国は、中間層の増加・・消費者向け身近な製品・サービス社会に移行して行くしかないことは否定出来ません。
・・これが訪日客の爆買いの基礎ですが、日常サービスのきめ細かさでは、ドイツ製品はゴツいばかりで、日本の足元にも及ばない状態です。
日本は江戸時代・・その以前から消費者主導社会の蓄積がありますし、今でもドイツでは、消費社会としてみればひどく低調です。
自国のサービス水準の低い国が、消費・・サービスの提供国になれる訳がありません。
今年でも昨年よりも減ったとは言え一定の対中投資が続いている理由・・この点に着目した日本のサービス関連の中国進出が今も続いている理由ですし、消費系に強い伊藤忠の中国進出判断基準であることをどこかに書いたことがあります。
中国は資金不足の実態を知られたくないために、数十年にわたって赫赫たる成長ばかり強調してきましたが、(企業で言えば株価維持のために粉飾決算しているような状態)アメリカ国債保有額減少をアメリカに発表されて馬脚を表した状態です。
日本マスコミは優しいので「最近中国は外貨準備を分散している」と中国に代わって?言い訳していますが・・。
続けてドイツ財務相によって、(6月1〜2日に紹介したように)借入金が27兆ドルも増えていると報道されてしまうなど、目も当てられない状態になってきました。
中国の外貨準備発表は当てにならないので、結局はアメリカ国債の増減率がほぼ正確と思うと以前から書いています。
国威にこだわり且つアメリカ国債を多く持つことがアメリカに対する発言力と考えている中国が外貨準備を取り崩す場合、アメリカ国債を手放すと目立つので出来るだけ最後にする傾向があるからです。
即ちアメリカ国債が2割減っていれば、その他の外貨はもっと減っていると見るべきでしょう。
日本のマスコミは何千万と餓死者が出ていても毛沢東の大躍進政策を大成功していると報道し、文化大革命や毛沢東語録を賞讃し続けて真に受けた若者が毛沢東語録を持ち歩くことが流行になっていましたが、中国を賞讃しないといられない性質・・裏でどう言うつながりがあるのか不明・・があるようです。
今朝の日経新聞29pには、8月11日以降の中国による為替切り下げはIMFの要求に応じた合理的なものである・・株式暴落に狼狽したものではないとする従来チラチラ出ていた中国擁護論を紙面1p殆ど全部使った専門家の論文として掲載しています。
専門家の論文形式をとろうともそんな噓っぽい主張を誰も信じないでしょう・・日本の場合昔から一般国民レベルが高いことを、まだ中国政府関係者は(自国民がそうですから当然ですが・・)もちろんのこと、日本人でも、日本マスコミ・文化人は「庶民はバカだから誘導すれば良い」と言う外国の意見そのまま受入れているので、いつまでたっても、気が付かないのです。

資金枯渇22とAIIB2

もしも中国自身の資金枯渇による危機が迫っていたので、これを隠して新興国のための国際機関だと銘打ってAIIB構想を打ち上げていた・・・日本等の資金豊富な国の資金を取り込んで自国内投資継続のために流用しようと計画していた場合には、言わば、投資勧誘詐欺の国際版っぽくなります。
本部を北京において諸外国の理事は常駐しない・・開発案件の決定は本部の総裁が専決処分または持ち回り決議で行なう?
北京政府の思うままに資金運用する仕組みにこだわったまま発足させました。
4〜5月ころにの多かった日本マスコミの意見は疑念があるならば参加して内部から改革意見を出して行けば良いと言う中国応援の意見でしたが、設立段階で参加をお願いしなければならない弱いときにさえ、相手の意見を1%も聞かない・聞けない(政権が弱いから逆にどんな意見も聞き入れる余裕が無い)中国が、実権を握ってから改革意見を聞くようになることを期待して先ず資金を出すべきだと言うのは矛盾しています。
日本マスコミや文化人は国内では透明性を主張するのに、対中国や韓国になると巨額の資金・税金をつぎ込めと主張する基準が何故こんなに甘いのか二重基準の激しさに驚きます。
AIIBの運営は上記のとおり不透明きわまりないものですが、これら制度設計に対する諸外国の懸念にも全く応えようともしないまま発足させてしまいました。
透明な組織・・合議体運営にするのでは、外国資金を思うままに使いたい中国にとって敢えて新設する意味がなくなるのは当然ですから、国際批判を無視したまま何の修正もしない見切り発車は、中国の露骨な態度表明と理解するしかないでしょう。
「いやなら参加するな、工事発注しないぞ!」「工事発注も(中国式賄賂やコネ次第で)好きなようにする憎まれたら後が怖いぞ!」と言う脅しで乗り切ろうとしているように見えます。
中国政府のご機嫌を損ねないように今から何も言わないで参加するかどうかで「その忠誠度を見るぞ!」と言う専制君主的態度表明です。
そうなると資金力のある国・・日米はそんな機関に金だけ出すようなことはしません。
この脅しにまんまと引っかかったのが事大主義・・中国に隷従して来た歴史の長い韓国政府です。
見切り発車した者の、ホンのちょっとの設立資金を出して工事参加のおこぼれをその何倍も得たい国ばかりが参加して設立して開発機関が動き出しても資金的に成り立ちません。
工事受注の何倍も資金を出せる日米の参加が不可欠なので、日本の参加表明を待つために参加閉め切りを伸ばしたりしてきましたが、日本が求める制度設計修正には頑として応じられません・・民主的運営に修正したら何のために中国主導で国際機関を作るか分らないと言うことでしょう。
そこに中国の設立目的の本音が透けて見えます。
この関心があるので、AIIB参加を熱心に主張する日本マスコミ報道が激しくなったことに関連して4〜5月ころから、中国の資金不足をテーマに書いて来ました。
その間にいろんなことが挟まってしまい、その間に私の心配していたとおり株の暴落になったので中国の資金不足が明らかになって来るとAIIBに参加しないとバスに乗り遅れると、日本人の不安を煽るマスコミ報道も今ではさすがに勢いがなくなりました。
AIIBI参加への煽り宣伝が下火になったとは言え、中国の資金不足→将来性をどう見るかの基礎理解としてその内実を知っておくことは重要ですので、もう少し見て行きます。
粗鉱製品・石化製品など作り過ぎた資材・製品のはけ口の外に鉄道や港湾工事その他のインフラ工事設備も作り過ぎたので・・出血輸出先を次々と探すしかないのが中国の現実です。
・・際限なく拡散して来たものの、国内では限界が来たし、資金的にも限界が来たので、・これを世界大に広げるつもり・・先送りするつもりでしょうが、対象をより大きく広げてもいつかは限界が来る・・世の中に際限のないことはありません。
過大投資の中止を先送りすれば、先送りした分に比例して過大投資した関連業界が増えて行き、破裂した場合の影響が幅広く大きくなって行くしかありません。
出血事業拡大繰り返しの咎めがその内に出そうだ・・出る筈と書いて来たのが5月ころの連載でしたが、国内ではこれ以上転嫁するべき産業がない・・そこで昨年暮れころからは、「庶民の懐まで(庶民に株投機を勧めるようになった人民日報報道を紹介しましたが)当てにし始めたと思われていました。
この動きに「庶民の懐まで当てにし始めたらおしまいだろう」と恐れをなした国際資本が逃げ始めた・・中国としては資金不足が現実化して、なりふり構っていられなくなって来たのが、昨年秋からの中国経済と想定されます。

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