不満社会?11(韓国3)

韓国自営業の場合は大企業失業者の吸収装置であったことが、以下の論文でわかります。
https://www.surugadai.ac.jp/sogo/media/bulletin/Hougaku26-02/Hougaku.26-2.77.pdf
韓国の自営業労働市場に関する一考察朴昌明

・・・一方,自営業部門はリストラされた労働者の「雇用吸収弁」の役割を行った。1998 年の非賃金労働者の割合は38.3 %と1997年(36.8%)より1.5ポイント増加した(図表1)。図表1を見ると,1999 年から雇用員がいない自営業者数が,2000 年から雇用員がいる自営業者数が,それぞれ増加していることがわかる。
IMF経済危機以降,失職者,特に男性が生計維持を目的とする創業が大幅に増加した(イ・ビョンヒ,2012 ,p.1 93) 。従来韓国では自営業が農民やブルーカラーからの移動先であったが,IMF経済危機以降,中壮年ホワイトカラーが自営業に参入するようになった(李莎梨,2009)。経済危機直後に急上昇した失業率は急速に低下し2002 年には3.1 %にまで回復したが(韓国労働研究院,2012 ,p.1 6) ,その要因の一つとして自営業部門の高い雇用吸収力が考えられる(有田,2007 ,p.2 5 駿河台法学 第26巻第2号(2013)

解雇の受け皿・・生計維持のための開業が多い前提の場合、昨日紹介した通り自営業の危機が続く現況では、狭き門を突破してせっかく就職できたサラリーマンは肩叩きにあっても必死にしがみつくしかないでしょう。
メデイアでは自営業の苦境ばかり大々的に報道していますが、自営業へ雪崩込めないで大企業で肩叩きに耐えている人たちの鬱屈は半端でないはずです。
リーマンショック以降の韓国の成長率は急減ですし、少子化率の進行率も半端ではありません。
https://www.recordchina.co.jp/b681232-s0-c20-d0058.html

韓国の経済成長率がここ6年で最低に、原因は「投資の萎縮と輸出の不振」=韓国ネットから不安の声
2019年1月23日、韓国・ソウル新聞は、昨年の韓国の経済成長率が過去6年で最低となる2.7%を記録したことについて「内需を支える投資の急激な萎縮と、経済を支えていた輸出の不振が成長の足を引っ張った結果だ」と伝えた。
https://ecodb.net/country/KR/imf_growth.html

成長率だけ見れば日本より良いのですが、完全雇用状態の日本が成長率をこれ以上げられない・ゴムが伸びきっている状態と違い、韓国の場合、若者の25〜30%前後の失業・・公式統計と違い実際安定就職のない状態・大卒で就職できないでバイトしても失業にカウントとしない)では成長がない(日本のようにほぼ現状維持)・低成長に陥ると、職にあぶれたママの人がそのままジリジリと高齢化していく社会になります。
https://japanese.joins.com/article/580/248580.html

韓国の大卒3人に1人は未就業者…2011年以降最悪
2018年12月28日09時27分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国の大学・大学院卒業生3人に1人は未就業者であることが分かった。特に、しばらくの間上昇傾向にあった就職率が文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以降、再び減少傾向に転じた。若者が体験している最悪の雇用難が政府の公式統計で確認された。
教育部と韓国教育開発院は27日、このような内容が盛り込まれた「2017年高等教育機関卒業者の就職統計調査」の結果を発表した。この調査は2016年8月~2017年2月、全国の大学・大学院を卒業した57万4009人を対象に2017年12月31日現在の就職状況を把握した。国民健康保険公団や国税庁、雇用労働部など公共データベース(DB)を活用して全数調査した。
2011年以降就職率が67%以下に落ちたのは今回が初めてだ。特に、2014年(67%)から2015年67.5%など上昇傾向にあった就職率が今回再び減少傾向に転じた。就業者の中で健康保険の職場加入者の割合は前年(91.1%)より低い90.3%である一方、フリーランサーは前年(5.8%)より上がった6.4%となった。

3人に一人・・・33%が17年12月末で就職できていない・・卒業時(韓国では2月が卒業で3月が入学です)でなく、年末時点でもこんなに大量に未就職だとその後彼らはどうなるのか?
就業者のうち6、4%がフリーランサーになっている点も韓国の特徴でしょうか?

ヘイトスピーチ12(わが国憲法論議1)

この辺で感情応酬の現状紹介を離れて、以下わが国の憲法論を見ていきます。
立命館大学の市川教授の意見です。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/15-2/ichikawa.pdf
研究ノート ◇立命館法学 2015年2号(360号)

表現の自由とヘイトスピーチ
市川正人  立命館大学大学院法務研究科教授
1 日本国憲法における表現の自由の保障
2 ヘイトスピーチとその規制
3 ヘイトスピーチ規制と憲法

特定の民族や国籍を有する人々などに対する憎悪を表明し,憎悪を煽る表現であるヘイトスピーチ(hate speech)が深刻な社会問題となっている。
在特会(在日特権を許さない市民の会)などによる在日韓国・朝鮮人を口汚くののしる街宣活動が活発になされ,それが「ネット右翼」によって拡散されており,ヘイトスピーチが日本社会において跋扈している感がある。
「ヘイトスピーチ」が2013年の新語・流行語大賞のトップテンに選ばれたほどである。
こうした事態は国際的にも関心を呼び,昨年7月に自由権規約委員会が,8月には人種差別撤廃委員会が,それぞれヘイトスピーチに対する法的規制を求める勧告を行っている1)。
もっとも,京都朝鮮学校事件については,抗議活動に参加した者の刑事責任,民事責任が認定されている。
このことは,ヘイトピーチに対して現行法によって一定の規制がなされうることを示すものである。
しかし,現行法では不十分であるとして,また,ヘイトスピーチの禁止・処罰が国際的な人権条約の要請であり,既に100ケ国以上の国においてヘイトスピーチを禁止し処罰する法律が制定されているとして,わが国においてもヘイトスピーチを禁止し処罰する法律を制定すべきであるとする意見も強い。
そこで,以下では,ヘイトスピーチを禁止することには,日本国憲法による表現自由の保障との関係でどのような問題があるのか,あるいは,日本国憲法の下でヘイトスピーチの禁止がどこまで許されるのか,について論ずることとしたい。

以下論点ごとにまとまった論説・スッキリした論理展開と思われますが、引用するには長すぎますので、関心のある方は直接上記論文を参照してください。
私が読んだ印象では「思想自由市場に委ねるべきで性急な規制は禍根を残す懸念が強い」という論旨のようです。
以下、結論だけ引用しておきます。

終わりに

以上の私の立場からすれば,人種差別撤廃条約4条abが挙げているものをそのまま禁止・処罰するような法律は日本国憲法の下では認められないが,他方,ブランデンバー
グ判決の基準を満たすような人種集団に対する暴力行為の煽動や,侮辱を自己目的とするような特定の民族に対する特にひどい侮辱的表現を処罰するような,きわめて限定的なヘイトスピーチ処罰法ならば,規定の文言が明確であるかぎり,日本国憲法の下でも許容される可能性があることになる。
しかし,憲法上の許容性と立法することの政策的適否とはまた別の問題である。
後者についても,ヘイトスピーチ処罰法の差別解消にとっての効果23),表現の自由の保障に与える影響を考慮に入れて,慎重に検討すべきである。
こうした拙稿のような立場については,ヘイトスピーチがマイノリティの人々に対して与えている被害についての理解,想像力を欠いたものである,所詮,マジョリティの立場からの立論に過ぎないといった強い批判がある24)
確かに,ヘイトスピーチの問題を考えるにあたりマジョリティに属する者にはマイノリティの人々の被害についての想像力が求められる。
しかしまた,ヘイトスピーチを禁止し処罰する法律を制定した場合,それがわが国における表現の自由の保障に対してどのような影響を与える可能性があるかについての想像力も必要ではないだろうか。

[補足]
本稿は,日本司法書士会連合会(以下,連合会)の機関誌である「月報司法書士」201
5年5月号のために執筆したものであり,校正も終了していたが,ヘイトスピーチの実例が記述されているために不掲載となったものである。
以下中略
その結果,不掲載という結果となったわけである。
月報司法書士は連合会の機関誌であるから,依頼した論稿を掲載しないと連合会が判断したことは,表現の自由行使の結果であり,非難されるべきことではない。ただ,本稿をめぐるやりとりが,ヘイトスピーチの規制の可否を論ずることの難しさを示していることは確かである。

市川氏が「憲法上の許容性と立法することの政策的適否とはまた別の問題である。」と言うように仮に憲法論をクリアーしても規制が先行するとかえって民族間の亀裂を深くするマイナス面の考慮が必要でしょう。
この辺は同感です。
政治は国内分裂を広げるためにあるのではありません。
辛 淑玉氏のウィペディア記載の意見は以下の通りです。

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(いわゆる反ヘイトスピーチ法)について
「保護の対象が限定されるなど十分ではない。ヘイトの被害は米軍基地に反対する沖縄の人々にまで及ぶ。」[2]。
「反ヘイト法ができました。一歩前進するかな、と期待したんですが、全く変わらない。罰則がない。増えたのは、これを作ったことへの逆ギレですよね」

彼女は罰則などを厳しくしていないのが不満なようですが、逆に民族間憎悪の過激化を煽る言動の方こそ問題ではないでしょうか?
ウイキペデイアによれば、以下の通り在日からも批判があるようです。

前田日明(元在日韓国人、1984年に帰化)は、「名前を出して悪いんだけど、辛淑玉さんなんか見てると、情けなくなってくる。差別されたとか、日本は加害者だとか言うだけで、それだけ叫び続けて一生を送るのかなと思うと、とてもおれは共感できない。」と批判した[29]。
鄭大均(在日外国人、韓国系日本人)は、金嬉老事件における辛の発言を引き合いに出して「メディアに登場する在日のなかで、姜尚中と辛淑玉ほど違和感を覚える人間はいない。辛淑玉に関して言えばその歯に衣着せぬ語り口はいいのだが、思いつきやデタラメが多すぎるのではないか」「在日コリアンの被害者性という現実的であるかもしれないが非現実的であるかもしれない状況に、自己を憑依してものを語る傾向がある」「辛淑玉の一見奔放な語り口が、驚くほど古風な被害者的立場や対抗主義的立場との見事な整合性を維持している」と批判した[30]。

過激なことを言ったりやりすぎると「自民族のためにならない」と危惧するまともな意見というべきでしょう。
ヘイト問題も厳しくすれば解決するものではありません。

ロシアの脅威12(道義無用1)

ところで19世紀の西欧列強の外交を砲艦外交とは言うものの、ロシアのように裸の武力行使による侵略ではありませんでした。
ペリー来航時の交渉も砲艦は背後にあっとしても、現在のアメリカ軍背景の威力による国際交渉同様に一応西欧の作った価値観による法原理・道理による交渉が可能な相手でした。
※ただし、一方的情報しか知りませんが、これまで日本で教育・報道されている限りでは、アヘン戦争は密輸禁圧に対する攻撃によるものですから、文字どおり仁義なき戦いと言う教育を受けてきました。
密輸であったとすれば、密輸を取り締まるのは、清朝の専権事項ですから・・。
林則徐は密輸入した中国人を処罰するだけではなく、イギリス商人の保管するアヘンを没収処分したことが戦争のきっかけです。
当時の条約では国内取り締まり権の範囲をどう定めていたのかが重要です・・外国人保有資産まで没収する権利があったかどうか不明です。
国内でせっかくアヘンを禁止してもイギリス人が中国国内で持っているものを処罰没収できないのでは国内流通を防げません。
それを決めるのが、いわゆる治外法権制度の問題ですが、イギリスと中国がどのような条約をしていたかによって結論が変わってきます。
日本の江戸時代では、薩長の家臣が違法行為をしても町奉行が捜査検挙する権利はありませんでした。
この不満が嵩じて幕末庄内藩の薩摩屋敷の焼き討ちに発展したのです
坂本龍馬が薩摩屋敷に逃げ込む話があるのは、この権利によります。
米軍基地内の拳銃や武器類が横流しされると国内治安に大きな影響が出るのと同じですし、軍人の犯罪捜査権や裁判権がないのが不都合となっています。
でもそういう場合、外交ルートで解決していくのが国際政治の筋であって、(地位協定の見直しが進んで一定の犯罪について早期に捜査権や裁判権を日本に移すなど・・)国民が納得しないからといっていきなり実力で米軍基地に警察・軍事力行使で踏み込むのは、戦争開始と同じ扱いを受けます。
当時の英中間の条約・ルール関係がどうなっていたかについては、日本では教えられていません。
欧米の法治主義と言っても西欧が勝手に作ったものであっても(今も各種ルールは欧米が事実上主導しています)・・ロシアを除けば一応道義・ルールに基づく交渉可能な相手でした。
世界の覇者であった西欧の都合で国際間ルールをつくって来たとはいえ、作った以上は強者もそれを守らねばなりません・・支配者は支配貫徹のためにはルールが必須ですが今度は自分がそのルールを率先してままらないと示しがつきません。
平和が続き多角交渉時代に入ると、道理の通る割合が増えるので強国の割に思うように振る舞えないことにアメリカのトランプ氏は業を煮やしている・・1対1の取引外交に戻りたいのでしょう。
だいぶ前に書きましたが、アメリカも格好つけていられなくなって、ロシアや中国のように無茶をやりたいという地金が出て来たのです。
これに対して中国やロシアの文化(まだ文化までいかない未開社会?)・・支配のルールは、自分の方が強いか否かの基準しかありません。
強ければ賄賂でも非人道行為でも何をしても良いという実力剥きだしの社会です。
サイバーテロでも知財剽窃でも実際にやれるかどうかが基準で正義の基準・やっていいことかどうかの基準はありません。
サイバーテロが現実化していることについては、某国によるウクライナ攻撃が常態化していて電力施設まで麻痺する事態が起きていることを24日日経新聞朝刊第1面大きな紙面で出ています。
日本で言えば、原発施設その他がサイバーテロによって電源喪失になると大事故に発展します。
自分の方が強いとなれば問答無用で強盗同様の侵略・強奪をためらわないし、知財で言えば今や強い立場を利用してコソコソと剽窃する必要がないと開き直りになってきました。
情報統制に関しては、10年ほど前に情報協力だったかを要求されてグーグルは中国か潔く撤退しましたが、今度はフェイスブックが中国の言いなりの規制情報遮断に協力することで中国に進出したことがだいぶ前から問題になっています。
つい最近ではケンブリッジ大学の出版局が中国に都合の悪い出版しない・検閲協力をしていることが話題になっています。
この辺はケンブリッジ大学やフェイスブックが表現の自由侵害に手を貸しても中国内で協力するだけで世界中の表現を検閲するわけではないのであれば、中国人民が事実を知ることができず損をするだけのことですが、技術移転や知財提供の強制になると意味が違ってきます。
この10年程度では、技術移転・知財提供しないと中国市場参入させないという公然たる国家強制が始まっています。
自分が相手に強要できる力があるかどうかだけ?が基準ですから、違法かどうかどころか、侵略成功すればどんな暴虐行為を平然と行う歴史になっています。
もともと行動基準に道理・人道の基準がないのでどんな非道な行為・「非道」かどうかの基準概念さえも発達していないのでしょう。
ソ連の場合には、スターリン批判後はさすがに恥ずかしい?国際道義を気にするようになったのか?ロシアになってからの2014年のウクライナ侵攻では覆面した兵士の展開が報道されていました。
クリミア併合はウクライナ政府軍を追い出した後での住民投票によるものでしたが、その白々しさに驚きます。
ウクライナ東部侵攻も公式にはロシア軍ではないという鉄面皮な主張ですし、ウクライナに対する大規模なサイバーテロについてもロシアは知らんぷりです。
ロシアがどうしてそんなにまでして国際孤立を恐れずに領土拡張に熱意を燃やしているかの疑問ですが、ここ数年の原油価格下落に象徴される資源価格の全般的下落が、ロシア経済のボディにじわじわと効いてきたことによると思われます。
一般的には体力が弱ればおとなしくなるものですが、ロシアの場合には国力不相応の軍事力維持に執心しています。
北朝鮮や中国、ロシア(韓国も含めて)の場合には国力が劣ると大人しくなるのではなく、体面を保ち国民に対する締め付け強化(地位保全)のために対外要求がより一層激しくなる傾向があります。
こういう国相手では経済制裁は逆効果でしょう。
プーチン政権になってから、ロシア経済が好調になったので勢いが良かったのですが、その内実は生産性が上がったからではなく、資源価格高騰によるところが大きかったに過ぎません。
原油その他資源価格が下がるとロシア経済にとっては強力なダメージでプーチン政権にとっては必死でしょう。
日経新聞によるとロシアの原油依存度は以下のとおりです。
4〜5年前までは1バレル百ドル以上もしていたのですが、この数年で20ドル台に下がってしまいました。
ロシアの原油依存度は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO08485840Y6A011C1ENK001/
ロシアルーブル、下落傾向が一服 原油価格上昇を反映
2016/10/18 14:03
「ロシアは石油に輸出や歳入の半分程度を依存しており、油価は為替や株式相場に大きな影響を与えている。原油価格の国際指標である北海ブレント先物相場は年初に一時、1バレル20ドル台後半に下落したが、4月には同40ドル台に上昇。10月に入って50ドル台に戻した。」

産業構造の変化2

11月22日まで民度レベルの重要性をテーマに書いていたのですが、いつの間にかアメリカの民度・ピープルから次期大統領の政策・・異民族思想や意見を参考に持ち込むのは良いが,それを「そのまま国内で通用させるべき」との主張は異民族支配を求めるのと同じだと言う意見に流れてしまいました。
油絵と日本画の違いですが,幕末に入って来た・西欧の遠近法その他の技法を参考にすることで日本画の発展を図るのと油絵そのまま真似する(と言うと叱られそうですが・・素人意見ですが,何となく洋画家に傑作が出ないのはこの傾向があるからです)のとは意味が違います。
(文化人のよって立つ基盤が西欧価値観ですから,その基礎評価が崩れないように当然もてはやしますが,国民は支持していない・・・なれ合いと言うか文化人の評価が高くとも実際の市場評価・・高額で売れているのは日本画中心です。)
音楽分野も同じで,ドコソコで世界的な◯◯賞を取ったと言われるとそのピアニストやバイオリニストが世界で通用するのは素晴らしいとは思うものの自分の好みか?と言うとなかなかピンと来ません。
やはり武満徹のように日本人の魂を揺さぶるような音楽の方に軍配を上げたくなります。
こんな偉い人でなくとも明治に入って来た洋楽を取り入れて早速文部省唱歌のように換骨奪胎したものの方が、日本人の心のにしみ込みます。
年取ったせいか町内会の新年会では,最後の歌唱指導?では唱歌の合唱中心です。
キリスト教やイスラム教の精神にも取るべきところがあれば・・クリスマスを楽しんだり教会結婚式をやったり?バカリではなく取り入れるべきでしょうが,そのままキリスト教徒になる必要があるかは別問題だと言えば良いでしょうか?
11月22日「民主主義の基礎10(産業構造の変化1)」の続きに戻ります。
新興国の台頭→普及品国内生産が無理になると頼れるのは,民度のみです。
世界に伍して行くべき民度としては,独自性が重要で世界の流行を追いかけているだけでは後尾につくしかありません。
新興国の台頭に日本はどのように対処すべきかと言うと,日本武士層の系譜を引く中間層・・その予備軍の庶民も武士の生き方に憧れていることを22日に書きました・・は,もともと内容が充実して中間層になって約千年も政権担当して来ただけのことがあって,新興国と対等な競争に入ってもすぐに地位喪失することはなく,自発的な工夫が出来る労働者や農民層がいくらでも控えています。
戦後アメリカ式大量生産方式導入論が幅を利かして農地の拡大運動が盛んでしたが,一反歩単位の農地を仮に3〜5反歩に統合しても(土地改良法・耕地整理に付いては連載したことがあります)アメリカやオーストラリアの広大な農地との競争力強化には何の関係もありません。
(1万分の1の規模差が1万分の10になっても同じ発想・やり方では競争出来る訳がありません)
そんなことよりも少量でもおいしい米や野菜,牛肉を作る方に精力を傾けた方が良いと気が付いたのが,個々の農民であってマスコミや農学者ではありません。
衣類も同じで,岡山で作る高品質ジーンズが世界を引きつけていますが,量産で勝負していたのでは意味がないコトを現場の人が知っているのです。
欧米の後追いばかり強調し「世界に遅れる」と煽る学者・マスコミは、少しは反省すべきでしょう。
このように日本中間層の足腰はなおしっかりしているので、(幕末に下級武士が活躍したのと同じです)新興国の汎用品生産面の逆襲にそれほど恐れる必要はありませんが,欧米では大変なことになって来ました。
リーダーについて行く社会・・欧米では,少数のエリートを養成して行く方式ですが,これでは,アップルのジョブス氏の例で分るように,エリート1人の御陰でアップルは巨額利益を上げましたが,その殆どの製造は中国の工場で作られています・・・アメリカ国内の製造業従事者に恩恵がなかったのです。
日本やイタリアのように中小企業で特殊なうまいものを作りあるいは数十人のメンバーの手作業で高級品を造り出している民族では,大儲けする人はいませんが,みんなが幸せです。
極上の和牛はあるいはコクのある野菜類は多分粗放農業・大規模組織では作れません。
こうした工夫出来る人が現場に一杯いる・・民度レベルの違いの結果,我が国では生活保護受給者への転落危険度が低いのでトランプ旋風ほどの事態になっていません。
日本でも低賃金・・外国人をドンドン入れて企業自体が安易に低賃金に頼るようになると結果的に脱落中間層が増えて来てアメリカみたいな民族分裂的事態になりかねません。
中国より安い次の新興国の人を入れて競争するようになると,現場の工夫努力のインセンチブが低下し、従業員個々人の工夫チャンス・・も阻まれてしまいます。
企業が社内での工夫努力を求めない・・企業内で現場従業員がああでもないこうでもないと試行錯誤しているとその時間分、目先の生産能率が下がります・・。
そんなことよりも従業員の「時間あたり作業量を多くさせた方が良い」と言う精神でせわしなく経営者が追い立てるだけになると,従業員が工夫努力する余裕がなくなり結果的に従業員の能力低下が進みます。
日本と欧米一般人能力差の原因は、実はこのように「末端は何も考える必要がない・・ただ支持どおり働けば良い」と言うエリートと思考停止を要求されるその他を区別する方式が千年単位で続いて来た差によるのかも知れません。
(個々人の工夫意識を麻痺させるようにしておけば,支配に対する不満が起き難いのは確かで支配に便利でしょう)以前詳しく紹介したので繰り返しになりますが,日本の小作人らしいものの発生は,古代荘園成立時に名望貴族に名義借りしたときと明治維新の地租改正時の2回だけ?ですが,農産品の工夫を続けて来ました。
(明治の地租改正と幕府の伝統的政策であった農地売買禁止令廃止によって,急速に地主小作制度が発達したもの・・維新政府の近代工場労働者層輩出政策によるものであることを、04/10/04「イギリスの囲い込みと我が国の自作農崩壊との相違・農村の窮乏化政策」08/26/09「土地売買の自由化1(永代売買禁止令廃止)」その他で紹介して来ました。)
・・漫画にあるような「長者ドンと小作人」と言う設定は江戸時代には実際には存在しなかった制度・・地主層の発生を幕府は厳しく禁止していましたのでありえないことをあたかも昔からあるかのように・・勝手に歴史改悪して創作しているだけです。
古代荘園への寄進も明治の金納・窮乏化による小作人化もいずれも便宜上地元有力者に名目を「仮託」したに(気持ち)過ぎません・・その後も先祖代々の自分の土地として大事に耕して来ました。
小作人とは言え自分の先祖代々の農地ですから,必死に地味を肥やす努力(これは数世代かかります→長期視野・・環境保全士意識が育つ社会)やとなりの人やとなりの部落より良いものを作りたい意欲満々で千年単位でやって来ました。
地主になったからと言って勝手に小作地の変更など出来ませんし、小作地を取り上げるなどは思いもよりません。
これが日本でエンクロージャーが起きなかった「法理」です。
自分の子孫に残す農地であるからこそ、日夜工夫に励む習慣が身に付いて来たし,陰日なたなく働く習慣になった原因です。

司法権の限界12(合法テロ2)

テロ・・違法行為抑止力に戻ります。
テロ行為に失敗しても何の処罰・リスクもないのでは、野球の打撃練習のように成功するまで何回でも違法攻撃を繰り返せます。
旧来型犯罪は未遂・・予備段階、もっと先の準備段階でも物色中に近所の人の目につことが多いのに対して、サイバーテロは当たりを付けている程度では何にも関係ないし、成功するまで隠密裏に何百回でも攻撃を繰り返せることと、一旦侵入成功すると千両箱を担ぐ必要がない・一挙に無限大の巨大情報を窃取出来る・・被害甚大=成功利益が巨大なことが特徴です。
一人で孤独に頑張れば良いので協力者を募る必要がないことも事前発覚リスクを小さくしています。
事後にも一見しただけでは情報がコピーされたか分らないので発覚がもの凄く遅れます。
どんな厳重なカギでも道具や時間をかければ壊せないものはないのですが、その前に発覚するリスクがある(明るいところと暗闇の違い)からこれが抑止力になって実行され難いようにしているだけです。
仮処分による国策妨害運動・・外れて元々の気持ちで原発立地全事件で操業停止の仮処分を仕掛けて行く運動・・「裁判闘争」の場合、失敗リスクがない点が問題です。
裁判官採用では思想差別していませんから国論が3対1あるいは6対4で割れている場合、大方この比率で裁判官の思想信条が分布している筈ですから「裁判官の良心」による判断ではなく、個人の政治信条どおりの裁判をしても良いとすれば、国論に関する民意分布どおりの裁判結果になります。
夫婦別姓・相続のあり方、朝鮮人学校へ学校への補助金、各種儀式での国旗掲揚の可否、ソーラ発電補助金等特定産業に対する補助金の可否、マンション建て替え決議制度導入・飲酒運転処罰加重の是非その他いくらでも賛否の分かれるテーマがあります。
全て憲法違反と言えば言えます。
政治にはいろんな意見があるのが民主主義社会の基本ですが、いろんな意見を戦わせながらその主張を支持する多数を得た方の意見で決着・・国会で議決して国家の意思としては1つにする仕組みです。
折角政治の場で国家意思を1つに集約して一定方向へ動き出しているのに、(飲酒運転過重処罰改正法で言えば)納得しない勢力が司法を利用してあちこちで(仮に3分の1比率の場合3分の1の地域で)効力停止させてしまうと、上級審で統一されるまで,ある裁判所では執行停止、ある裁判所では執行して良いとなって、国家秩序が無茶苦茶になります。
個人だけ関係する事件・・例えば個人間で金を払えと言う裁判では場所ごとに判決がちがってもそんなに影響がないのですが、同じ安全基準で操業している原発に対して,この基準の合理性・危険性を争う裁判をあちこちで起こして、それを直ぐに効力の出る仮処分で決めて行くと、裁判所ごとに内容が矛盾する・あるところでは基準が不合理だから、操業停止しろと言い、ある裁判所では合理的だから守れと言うと、国民(企業)はどちらに従って良いか迷ってしまい国内産業が混乱します。
国民・市民一般に効力が及ぶ対世的効のある事件では、仮処分ではなく高裁→最高裁で統一見解が出るまで効力の出ない本訴で決着つけるべきです。
福岡高裁宮崎支部では今朝、川内原発では基準が合理的であるとして差し止め命令申し立てを棄却しています。
新基準に関しては福井地裁の操業停止命令が異議審で覆り(この間裁判長転勤)川内原発では地裁で却下されて異議も却下されて、今朝高裁で棄却されているのが現状です。
鹿児島地裁決定が昨年4月らしいですから、今朝の高裁決定まで約1年もかかっています。
鹿児島の決定は差し止めを認めなかったのですが、大津地裁は操業禁止してしまっているので高裁で決まるまで1年もかかって仮に高裁で操業を認められても、その間の停止は国家的大損害です。
自分の考えが異端で上級審で破棄されることを仮に知りながら、その間だけでも(数ヶ月でも1年でも意図的に引き延ばす場合?)国家意思を麻痺させる目的で仮処分制度を悪用しているとすれば一種の合法的テロです。
一般的不良品率・・何百人に5%程度は、司法界の正統派意見ではなく、どちらかと言えば誰も相手にしないような変わった意見・・はぐれた?人格破綻的裁判官もいるでしょう。
昔から人材に関してはどんな厳密なテストをしても5%前後の想定外人材が入るのを防げないと言われます。
部品等の場合歩留まり利率が何万分の1に高まっているかも知れませんが、人間の場合複雑なので(日航パイロットの逆噴射事件・・精神異常?がありましたが、採用時点で)数十年先の人格を予め判定しきれません。

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