民主主義の基礎10(産業構造の変化1)

金持ちも無茶に我欲を張る・・金持ちを自慢するのが恥ずかしいと思う社会・・日本で知られている有名高額所得者は、孫正義氏や日産のカルロスゴーン氏など外人系中心に留まります。
日本では成功者がトランプ氏のように王宮のような住まいに住む・・安倍総理との会談場所としてこんな豪華な映像が流れるコト自体恥ずかしいと思うのが普通です。
「メザシの土光と」言われたように財界の大物も,自宅ではメザシを食べていると言う神話?が本当かどうかは別として流布される社会です。
伊勢神宮も建物が豪華だから尊崇されているのではありません・・堅実に働く中間層が社会の宝として大事にされる社会です。
中間層が尊敬される社会になったのは、地に着いた仕事を自分でしている武士の勃興以来の堅実な武士が尊敬されるようになったことと関係があるしょう。
この下地があって,「驕る平家は久しからず」と言う格言?が人口に膾炙されているのです。
武士の台頭が始まってからの約1000年近くもの間、武士層は質素倹約に努めて自己鍛錬に努めて庶民の鑑・尊敬の対象となっていました。
幕末騒乱の原因でも普通は政争に勝った方が前政権を悪く言うものですが,徳川幕府支配層が腐敗していたと言う話を一切聞きません。
武士の時代が続いて「地位のあるものは経済慾を持っては行けない」と言う日本独特の?モラルが強固に形成されて来たように思われます。
こうした堅実な中間層が多い結果、いまだ中間層が厚くて質素倹約・自己鍛錬になれている下地能力が・・中国の低賃金競争にもいろんな工夫をすることによって,堪え切れている面があります。
欧米の中間層は,日本の武士のように自己鍛錬によって中間層になっていたのではなく,本来は庶民層の能力・・新興国庶民と能力差がないのにタマタマ産業革命に成功した先行者利益で世界中を支配して植民地支配体制を作り上げて搾取による巨万の不労収入を得て来ました。
この利権分配・・本来10万しか働く能力のない人が3〜40万の収入を得られるような嵩上げをして来たこと・これが本来庶民層まで中間層的収入を得て来られた構造です。
アメリカの場合には,広大な領地と巨大資源によって,これを活かすために大量生産方式を工夫発明したことによって,世界経済モデルを提示して世界支配権を手に入れました。
資源力や植民地支配等による旨味・不当利益によっていた分、欧米労働者の地位は脆弱で、この利得構造がなくなると一挙に本来の能力相応の地位に戻るしかありません。
アメリカの粗放・大量生産方式はクルマのベルトコンベアー・・フォード方式が有名ですが,農業・牧畜も皆粗放・大量生産方式モデルで世界を席巻したのです。
確かに良いものを手作業で作る・・味のある工芸品は良いのですが,少ししか作れないので,限定頒布しか出来ません・・。
良い物だけですと多くの人がその恩恵を受けられませんが、出来映えが伝統工芸品の6がけでもそこそこ使い物になるならば、100人しか買えなかった商品が100万人でも200万人でも需要のある限り工業的に安く作れる(例えば本皮でなくとも人工皮革・化学染料でもある程度綺麗な色柄など)となれば,世界の生活水準を底上げした歴史的意義が大きかったことは確かです。
味が粗雑でも,米麦トウモロコシその他各種食糧を大量に作る粗放農業生産品も食うに困る貧しいときには有り難いものです。
大量生産方式は,作業者の熟練度が低くて良いことから低レベル労働者も高額収入を得られるメリットがありました。
この方式の弱点はドンドン合理化して行けば行くほど,先進国に限定されない・・新興国・・どころか今では,バングラデシュあるいは最貧国でさえも同じものが作れる時代に入ったことです。
先行者利益を元手に高額賃金を払って来た先進国工場は軒並みやって行けなくなります・・工場を維持するには極端に言えば、バングラデシュの人と自国民労働者を入れ替えるくらいしないとやって行けません。
100%移民に入れ替えてもこれまでの不当利得?を利用して?先進国は贅沢なインフラを作ってしまっているので、この維持経費負担で負けてしまいます。
これがいまアメリカでインフラ維持に困るようになった原因です。
1〜2割または半分を低賃金移民に入れ替えても100%低賃金労働者の新興国の工場と競争出来ません。
仮に半分入れ替えて半分の失業者を出している場合、生活保護受給に転落しているか、移民にまけないように低賃金でも仕方ないと思って移民同様の低賃金で就職している元々の国民は、何のために移民と共同生活しなければならないか?と言う不満になります。
企業としては,自国内に移民をいれるより海外展開してバングラデシュの工場で現地人百%雇う方が気楽です。
欧米諸国の元々の住民・ピープルが移民を嫌がる以上は、自国では普及品製造から撤退して特殊品を作る工夫するしかない時代ですから、民度で差を付けるしかありません。
アメリカはピープルのレベルアップに関心がなく「低賃金競争には低賃金で」と言う政策で長年移民導入に頼って来た結果、今更の政策変更は不可能マテャ遅過ぎたとすれば,トランプ氏のし移民に頼らない政策は普及品の製造コストをいまよりもっと上げることに成り、結果的に米国製造業は益々衰退してしまいます。
結果的に・・大量失業が待っているでしょうから、これを貫徹するには排外意識を煽って対外強硬政策・・例えば3〜40%の法外な輸入課徴金を掛けるんど、腕力に任せた政策しかありません。
米国への輸出国は困りますが,それ以上に米国自身国内物価上昇で庶民が困る=生活水準が3〜40%下がる結果になります。
実は・・庶民だけではなく各種産業も原材料全て諸外国より3〜40%高いものを買わされることになると,全体的に米国だけが世界水準に比べて割高な製品になり米国製品を買うクニがなくなります。
世界から孤立して自給自足社会になって行くしかないでしょう・その内世界の進歩変化から置いてけぼりを食い・・今の北朝鮮やアフリカのようになって行くしかありません。
実際にはそこまで行く前に海外との格差に不満を抱く国民の支持を失うか、先手を打って排外意識を煽る方向・・豊かな国に戦争を仕掛けて略奪するなどの山賊国家に変質するしかないでしょう。
ロシアも中国も経済がうまく行かない国民の不満をそらすために、今はその方向に向かっています。
アメリかも,日本などと仲良くしていると喧嘩出来ないので難癖つけて喧嘩に持ち込んで戦利品をぶんどる方向へ行く方が「得だし溜飲が下がる」と言う変な方向・・中国、ロシアなどの仲間入りを目指しているのがトランプ選出だったことになり兼ねません。
プーチンや中国は19世紀型・・周辺弱小国を問答無用で踏みつぶすナチス的国益主張ですし,ドウテルテも自己中心的主張であり、トランプ氏の場合現在版の経済面での傍若無人の自己主張→行く行くは武力に訴える展開になる可能性が高いと言う点で共通性があって、気が合う印象です。
無茶苦茶言わないとどうして良いか分らない不満と言う点では共通です。
話を戻しますと上記のとおり,欧米の中間層は植民地支配の利権構造によって豊かな生活をしていた・・元々相応の能力があって中間層になったものではないことから,特殊品製造に移行する能力がないことから,新興国から追い上げられると能力に応じて地位低下して行くしかありません。

自治体の拒否権10(自衛隊出動要請1)

アメリカの大洪水被害などでは州兵が先ず出動しそれでも間に合わない場合、州知事の要請で連邦軍が出動する仕組みらしいですが、これはこれまで書いているように元々は独立主権国連合の本質・歴史を前提にしている制度です。
各州が自前の軍を保持している以上は当たり前のことで、県単位の軍隊などを有していない日本に当てはめて主張すること自体が非常識と言うか、牽強付会のそしりを免れないでしょう。
独立国同士では・・日米安保条約があっても目の前で攻撃されている緊急的応援を出来ても、大規模出動するには日本政府の応援依頼があってから出動する仕組みになっているのと同じです。
日本の都道府県は元々独立国が日本政府樹立に参加したのではなく、政府が統治の都合で各地を線引きしたものに過ぎませんから、これにアメリカの州の権限を当てはめるのは土台無理です。
学校で「廃藩置県」と習うので、藩がそのまま県になった印象を持っている人が多いと思いますが、例えば千葉県でも最初に小さな県がいくつも作られて、その後組わせを変えたりして、漸く今の県域が出来上がったことを明治の地方制度のテーマで紹介したことがあります。
アメリから日本独立回復後もアメリカ法の貫徹を目指す勢力が強かった結果、大災害が起きても県知事の要請がないと自衛隊が救援出動出来ない現行法が出来上がっているばかりか,法の運用においても出来るだけ自衛隊を出動させない思想が強固でした。
以下アメリカの州と県とが性質が違う矛盾が露呈した・・神戸大震災の経験を紹介して問題点を見て行きます。
神戸(阪神淡路)大震災では、兵庫県知事による自衛隊出動要請が遅過ぎた批判がありました。
自衛隊法では、以下のとおり知事要請が(原則として)必須要件になっています。
(要請による治安出動)
自衛隊法(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)
(災害派遣)
第八十三条  都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。
2 防衛大臣又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。
3  庁舎、営舎その他の防衛省の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合においては、部隊等の長は、部隊等を派遣することができる。
4  第一項の要請の手続は、政令で定める。
要請が遅かったか早いかの議論よりも、自治体の要請がないと自衛隊が自発的に動けないシステム・現行法制度や安易に?依頼すると政治責任追及を受ける雰囲気造りをして来たこと自体を問題にすべきです。
明日のコラムで当日の時系列(ネット引用ですので正確かどうか不明)を紹介しますが、これによると、「06:30 百里基地、偵察のためRF4発進検討するも断念。4ヶ月前北海道東方沖地震でRF4が墜落、社会党の追及で当時の指揮官が更迭されたため。」
上記は、特定立場の解説かも知れませんが、神戸震災当時の知事判断には、当時の社会党政権による自衛活用に対する抑制姿勢の影響があったように見えます。
ところで、自衛隊の自発的出動を認めるとどう言うマイナスがあるのかと言う点ですが、自衛隊が自発的に災害出動し、あるいは知事判断が過大過ぎて災害規模が想定よりも小さかったとしても、どのような社会的損害を心配して厳重な縛りを掛けているのかすら分りません。
火災事故で数台の消防車で足りそうな小さなボヤ・・路地周辺に10数台も集まっているような素人から見れば、無駄そうな事例が時おり見かけますが・・。
消防車が多過ぎてもコストの工夫論だけであって、政治責任まで起きそうもないように思えますが・・・。
民主的控制が必要としても、事後的検証システムを整えておく方が合理的です
災害救援のためでも他国軍が勝手に入って来るのは絶対に許されないのは分りますが、自国軍による救援活動まで何故厳重に縛り付ける必要があるのかの疑問ですが、・・自衛隊を敵視する基礎的思想が蔓延している中で法制度が出来上がってしまったのではないでしょうか?
政府や知事の危機管理能力をマスコミが批判する傾向がありますが、政治家は危機管理の専門家ではありませんし自治体職員も日常業務があって、危機管理のために常時情勢監視する仕組みではありません。
各企業の防災管理体制も同じで、支店長をトップに、(兼任)◯◯と言うシステムが普通で、専門職が常駐する仕組みではありません。
防災担当県職員も被災地域に居住している限り一般市民同様の被災者であって独自の情報源などありませんから、瞬時決断を要する危機発生時には彼らの登庁(登庁経路の多くが寸断されています)を待って,漸く一人二人登庁しても彼らが独自情報を持っていない(せいぜい登庁途上の被害目撃情報くらい)・緊急判断するコト自体無理があります。
緊急事態即応には、24時間態勢で寸秒の切れ目もなく危機管理情報を把握している危機管理の専門組織・・(即時に偵察機を飛ばすなどの即応体制のある)軍や警察の瞬発的決断に頼るしかないのではないでしょうか?
神戸の大震災では、地震発生後13時間以上も経過して漸く自衛隊出動依頼していますが、航空自衛隊出動依頼がさらに1時間以上遅れています。
家屋・電柱倒壊などで陸路からの救援が難しい状態が早くから報道動画等で判断出来た筈ですが、知事としては部局を経た報告を待っていたのかもしません。
(自衛隊が早くから偵察機を飛ばすなど情勢分析が進んでいたのに対して、(行政府・知事にはそう言う手段がないでしょう)
空からの救援としてどう言うことが出来るかなどの技術的判断まで、専門外の知事が何故判断する必要があるのかも疑問です。
他方自衛隊の緊急対応を見ると、神戸震災では、「06:35 第三十六普通科連隊(伊丹)、倒壊した阪急伊丹駅へ伊丹署の要請で先遣隊出動」とあるように「05:46 地震発生」発生後1時間以内に対応しています。
これは自衛隊法83条3項で駐屯地の近傍には自発的に出動出来る条項を利用したようです。
それ以上の大規模出動には知事の依頼がなくて出動が遅れてしまったと言う流れです。
上記のとおり、ソモソモ何のために自発的緊急出動が原則許されないのか?自民党との連立政権成立までの社会党が、自衛隊違憲論を強硬に主張していたことが原因になっていることが明らかです。
大震災連続の結果、この種ドグマは次第に勢いを失っています・・ドグマに固執する(確かな野党)社会党消滅→社民党支持層激減の背景です。
私たち世代にとっては戦後約50年間2大政党の1つであった社会党の党是は誰もが知っている常識ですが、次世代では最早歴史の一部になっていて知らない方もいると思いますので、念のため当時の社会党の憲法意識(非武装平和論・自衛隊は違憲存在と言うドグマ)を紹介しておきます。
以下によると連立参加まで社会党は安保廃止・自衛隊違憲論であったことが分るでしょう。
村山総理に関するウイキペデイアの記事の一部です。
日米安保の維持
1994年7月20日、第130回国会での所信表明演説にて「自衛隊合憲」、「日米安保堅持」と明言し、それまでの日本社会党の政策を転換し、日米安全保障条約体制を継続することを確認した。
この際、演説用原稿では「日米安全保障体制を維持」となっていたのを、所信表明演説では村山が「日米安全保障体制を堅持」[30][31][32]と読んだことが注目された。
これは村山の出身政党である社会党にとってはコペルニクス的転回であった。トップダウンで決定した背景から独断専行と批判も受けたが、党は追認している。」
政権参加のために社会党は村山総理の意見を仕方なく?追認しましたが、違憲論が党内でなお根強かったことから腫れ物に触るようにしていた最中・神戸地震発生は国会での所信表明後僅か半5ヶ月後のことですから、ためらいがあり出動決断が遅れた原因と見るべきでしょう。

西欧の中国接近10(貧すれば鈍する)

西欧の日米離れ・親中国の進行を政治的に見れば、この数十年間ソ連の西欧への脅威がなくなったこともあって、西欧には、軍事的リスクがなくなったことと、EU結成による自信回復によるところが大きかったでしょう。
米国離れを進めるには、対抗軸として新興の中国利用・中国カード利用を考えていたと想定されます。
現在のウクライナ紛争もロシアによる脅威と言うより、西欧によるロシア領域への無遠慮な蚕食が進み過ぎたことへのプーチンの反撃程度の意味でしかありません・・ウクライナ・キエフは元々ロシア発祥の地です。
里山から奥山に人間が侵蝕し過ぎると熊やイノシシその他が人間界に現れて農地を荒らすのと似ています。
プーチンの反撃は「まだロシアは噛み付く能力程度の力を持っているぞ!」と言う程度のことです。
この点は中国の膨張主義による自発的実力行使とは本質を異にしています。
中国の積極的秩序破壊行為に対して何も言えないままだと西欧はG7構成国の資格があるの?と言う疑問が生じるので、仕方なしに名指しこそなくとも中国非難満載の首脳宣言に同意せざるを得なかったのでしょうか?
ウクライナ問題・対ロシア制裁は地政学的に遠い日本やアメリカに直截利害がなく、地続きの西欧の利害のために始まった筈ですが、肝腎の西欧が内心では対ロシア制裁解除を望んでいる変な構図になっています。
日経新聞5月28日朝刊には、西欧のロシア融和策の背景をロシアによる「シリア関与を期待しているため」と書いていますが、ロシアはアサド政権支持のための空爆ですから、西欧の現政権打倒の方針と相容れませんから本音は対ロシア貿易縮小・金融規制による経済損失関心ではないでしょうか?
政治は多様な要素が絡まっていることを書いてきました・・喩えば、今の西欧にとっては人権よりは難民増加防止が緊急課題ですから、嫌忌するアサド政権でも何でもいいから、早く治安回復して欲しい意思?も絡まっていますが、いずれにせよロシアの空爆を内心望んでいるようになった以上は、西欧が従来主張して来た「道義」にこだわらない意思表示です。
難民問題は、元々シリア政治を引っ掻き回した西欧に責任があります・・、ビルの建て替えや再開発すれば、そこに住んでいる人がその間どこかへ避難するしかないのは当然です。
都市再開発の場合その間立ち退きしたオフイスビルテナントの需要が周辺に拡散して周辺貸ビルが潤うように、当初ある程度引っ掻き回して適当な数の難民受け入れならば、独仏等のの労働力不足対策になる・・低賃金競争出来るメリットの一石二鳥(人道主義の名目で難民・・多くは窮迫しているので安く使えます)の読みがあった筈です。
ドイツのメルケルが最初の内は、受入れ賛成していたのは本音だったのです。
ところが必要量を大幅に超えて流入する今になって、迷惑の方が気になって来て「秩序ある流入」をトルコに求めて責任逃れで騒いでいることになります。
西欧は対中国でも同じですが、倫理よりは経済利害優先・・余裕が無くなってきれいごとを言っていられなくなったと見るべきでしょう。
【貧すれば鈍する」と言われますが、貧して鈍するのは匹夫の生き方であり、貧しても鈍しないかどうかで本来の品性が決まります。
謡曲【鉢の木」は、貧しても鈍しない品格を表したもので日本人のあるべき姿を表しているものですが、西欧の行動はすぐにも「鈍する品格」を絵に描いたような行動です。
[落ちぶりたりといえどもこの源左衛門、 鎌倉殿の御家人として、もし幕府に 一大事がおこれば、千切れたりとも 具足を着け、錆びたりとも薙刀を持ち、 痩せたりともあの馬に乗り、一番に鎌倉に 馳せ参じ、一命を投げ打つ所存でござる]

結果的に西欧は、中国主導の専制的経済秩序形成の試み・AIIBに参加するだけではなくアジアでの中国の覇権主義的行動を批判しないなど・・これが最近の世界混乱が始まった(オバマの資質だけではない)構造的遠因です。
この後で西欧主導のIMFが、自ら設定した原理原則を曲げてまで人民元をSDRに採用した矛盾を紹介しますが、西欧諸国が中国に軸足を移していることを前提にすれば、西欧支配のIMFのSDR採用は、人権無視を気にしないようになったと同じ・・自ら設定した原理原則こだわらない1つの意思表示だったと言えます。
西欧諸国のAIIB参加は、汚職にまみれた中国の不透明運営・・参加国理事を常駐させないで中国人総裁・理事長が専決する仕組み・・中国が独裁運営する旨明白に意思表示しているのに、そこに参加して資金を出資してこの組織を大きく育てると言うのですから驚きです。
今後AIIBを世界経済運営の主要機関に育て上げて行く予定だったとするならば、今後世界中から集めた資金の国際的資金運営について中国の専制運営を認めその支配下に参加し自分も資本を出すが、運営には中国のスキなようにしてよいと言う宣言です。
経済運営については中国の専制支配下にはいる意思表示だったことになります。
ところで、国内政治も同じですが、税その他で集めた資金をどのように運用分配するかの経済政策が政治の9割9分みたいな面があります・・実際この後で書いて行くように西欧その他の中国離れの動きは、中国マネーの魅力が薄れたことによる・資金分配ほど気になるものはありません。
どこの国でも、経済政策の巧拙と結果が政権の命運を左右しています。
世界から集める資金を中国による専制運営を制度的に認めるのは、国際経済運営・資金配分は中国が専制支配・・スキなところに使って良い意思表示です。
民主国家を基本にしている国の運営を預かるものが、上位?機関として中国による専制運営機関を作りそこに自国が参加しその支配下に入る決定をするのは国民に対する裏切り行為ではないでしょうか?

西欧と中国接近の終焉1

マスコミは何故かEUの真似をするようにしきりに宣伝して・・これに反する主張・・移民流入反対論が出ると「極右政党」台頭などと紹介していますが、何を根拠にメデイアが「極右」のレッテル張りをしているのか不明です。
言論の自由を自己の存立基盤とするマスコミが、レッテル張り=気にいらない言論封殺に精出しているのが不思議です。
マスコミの中立性に鑑みるとマスコミ界一致でドイツやフランスの民族主義的政党を「極右」と一方的評価概念で紹介し宣伝すること自体が中立性違反です。
トランプ候補であれ、紹介するならばありのままの事実報道すべきです。
日本国民がマスコミの偏った宣伝に乗らないで新興国からの下層労働力や資本導入を拒んで平均値を上げる努力をしているのはむしろ良いことです。
高齢化現象には若い移民を入れて誤摩化すのではなく、高齢者や女性も働ける・社会参加出来るような補助的道具(ロボット技術)インフラ(各所のトイレ設置やバリヤーフリー化や高齢者の移動負担をなくすなど)の工夫など先進的対応こそが重要です。
昨日中国資本によるイタリアサッカー名門の買収事例を書きましたが、企業買収を受けるのでも自国企業より優れた企業から買収されれば、先端技術を訓練してくれるので自国企業・労働者のレベルアップになりますが、タイやインド中国資本による買収の場合・・自国企業の優れた技術を本国へ持ち帰るのが目的ですから、後進国から買収されても自国企業の技術が流出し駄目になるばかりです。
シャープで言えば潔く解体して、役に立つ技術者は国内企業で再雇用することこそが国益だったのではないでしょうか?
30日に紹介したタタ製鉄その他アジア諸国からの企業買収は正に野蛮国に侵略された国のような結果になります。
先進国に支配されると学ぶことがありますが、後進国の野蛮・暴力だけでで支配されると文化が停滞します。
中国は過去2000年間文化的に劣った五胡(西域)〜モンゴルや清など異民族支配を繰り返し受けて来たから文化。社会レベルが停滞したまま(異民族支配が続くと社会のために尽くす気持ちが失せる・・拝金主義・・目先利益に走る民族性)になったのではないでしょうか?
西欧は日本排斥してその代わりに日本の部品を利用した中韓の疑似技術品輸出で満足しているのは、言わば中国人が握っている寿司を日本のすしのつもりで喜んでいるようなもので、本物を知らない状態です。
中韓が頻りにドイツの反省?を引き合いに日本非難するのは、約30年にわたる排日姿勢で共通していたこととこの間の経済交流を通じて欧州との排日意識一体感形成の自信・・陰で西欧の支持があると読んでいるからです。
企業の発展と退歩の歴史を見ると、政商・・政治的配慮による優遇政策に頼るようになると却って自由競争下での品質向上能力が損なわれてしまうのが普通です・・EU諸国企業で言えば、域内外を隔てる防壁による優遇・政治利用による中国での優遇で正常な競争がないまま売上が伸びると、どうなるかの実験です。
15年の中国の国内クルマ販売数が世界の25%程度しかないのに、フォルクスワーゲンの中国での販売数が世界販売の4割も占めていることを19〜20日ころの新聞記事で紹介しましたが、中国市場だけで何故4割も売れるの?と言う疑問です。
ちなみに、https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2016によれば今年4月のアメリカにおけるワーゲンのシェアーは僅か1、8%です。
アメリカで特別嫌がらせを受けているのかどうか分りませんが、世界企業が特定国で突出しているのは政治的思惑で優遇してくれないよその国で競争力低下し始めたと評価すべきでしょう。
中国国内の日本企業の力を殺ぐためと国際政治で西欧が反中国の動きに同調しないように、韓国や西欧各企業は目に見えにくい優遇を受けて来たと想定されます。
中国による南シナ海での覇権主義的行動に対する日米の批判に韓国政府は一切同調しませんでした・・フィリッピンなどの「海洋秩序を守れ」と言う要求にASEANの中で中国から援助を受けているラオス・カンボジアが同調しない・・声明に反対するのと同じスタンスを守り切っています。
次期ASEAN会議の議長国として5月にサミットの拡大会合に招待されたラオスが「当事者による話し合いが重要」と言い張りつい日米の主張に同調しませんでしたが、西欧首脳にもこれを期待していたのです。
中国は、元々EUの反日姿勢に迎合し救済的資本投下に協力して来たうえに自国内で西欧系企業を優遇して来た中韓が、自分が反日を始めたときには当然EUが応援すべきと言う気持ちだったでしょうし、昨年夏の上海株価暴落あたりまではこの癒着関係が何とかなっていました。
そのうちに中国企業のレベルアップによって西欧系企業と競合するようになり、合わせて中国が経済合理性に反した面倒を見る資金余裕がなくなると西欧商品は用済みになるリスクがあります。

司法権の限界10(当たり外れの確率1)

法律界の異端説(支持者の少ない学説や経験則論)で判決を出しても、普通は控訴されてすぐには効力が出ませんが、仮処分の場合直ぐに効力が出てしかもすぐに控訴出来ない仕組みですから、いつかは上級審で是正されるとしてもそれまでの期間だけでも原発をストップさせられることを狙って仮処分申し立てをしするのは、合法的テロ行為の仕掛けと見るべきでしょう。
一般のテロでは目的地に向かう地下鉄などのは予定どおり運行する前提ですが、裁判闘争の場合憲法の命じている「良心や法に従う義務」に裁判官が違反しこの申し立てに同調する裁判官が担当するのを期待するしかない点では、あなた任せ的要素があります・・。
何かのテロを仕掛ける場合・赤穂浪士の討ち入りで言えば吉良邸の絵図面を入手したり、襲撃予定時に不在かどうかなどの動きを探る・・内通者確保するのが常道です。
高度に政治的な事件を提起するには、前もってこれから訴え提起する裁判所にどう言う政治傾向の裁判官がいるかを調べてから提起するようになればどうなるでしょうか?
裁判官は転勤があり訴え提起後の転勤もあり得るので、うまい具合に司法の限界を弁えないで個人的意見を判決や決定をする裁判官・・しかも野党系の意見に同調している裁判官にうまくあたるとは限りませんが、・これに期待を掛けて政治の負け(民意に反する意見を通すために)を挽回するために訴訟を仕掛けているとすれば、政治運動としてはあり得ることですが、法律家としては邪道です。
申立人側がそのつもりで意図的に仮処分を利用するのは民間ですので(役人が袖の下を受け取ってくれるかの期待で接待するのと同様で)ある程度気持ちが分りますが、担当裁判官がこれに呼応して「裁判官の良心」に反して自己の原発反対や選挙無効・自衛隊違憲などの政治意思・・主観的意見で判断をしたいことを隠して、(仮処分でやるべき緊急性がない・・本案判決手続で良いにもかかわらず、一定期間上訴させないために敢えて)仮処分手続を認める(一般的経験則で認定すれば根拠なく緊急性を認定する)となれば世も末・・裁判制度の破壊です。
個人の政治意見を通したいならば官を辞して自由な立場で運動するべきです。
3月23日ころ発生のベルギーのテロが大騒ぎですが、地下鉄の運行停止は数日のことで済みますが仮処分・・「合法テロ」の場合、もしかすると(途中裁判官交代がない限り)長期間原発停止の可能性がある点で社会被害的には爆弾テロよりも被害甚大です。
自衛隊に対する緊急出動命令が出たときに、憲法違反を理由にどこか僻地の裁判所で(憲法違反を理由とする)出動停止命令執行停止仮処分あるいは基地使用禁止命令が出た場合を考えれば分りますが、この仮処分の結果緊急事態にも関わらず、自衛隊が1〜2年出動出来ないとなれば国防が麻痺します。
テロリストが出動する自衛隊の1〜2台の車両に爆発物を仕掛けて出動妨害したり空港に爆発物を仕掛けて自衛隊機の発着妨害や携帯型対空砲で狙撃するよりも効果が大きいことが明らかです。
「テロ」とは何を目的にするものか?ですが、人命被害ばかりが大きく報道されますが殺傷行為がテロ本来の目的ではなく、その結果起きる交通秩序遮断・妨害→流通阻害・・国力低下が主要目的です。
戦争での爆撃目標を見れば分りますが、最優先目標は敵の反撃拠点たる軍事基地ですがこれがおわって、社会一般に対する攻撃目標段階で見ると第1に港湾や橋、駅など交通の結節点、次に道路や鉄道網そのもの、あるいは大勢の集まる大きな施設が目標になるのが普通です。
これらを見ると、有機的結合体としての社会が最初に困るのが流通が滞ることであることが分ります。
動物の闘争で言えば、血管損傷が致命傷になるのと同じです。
テロ組織が小さいときには流通網自体を破壊する能力がないので、多くの人が集まるところで人命損傷すれば怖がって人が集まらなくなる=直接的には数日間閉鎖される程度のささやかな目標です。
これが繰り返される恐怖・不安を抱かせることで、外出者が仮に1割減ればその地域の物流組織1割破壊したのと同じ効果・・産業活発化に大きな影響が出て来ます。
エジプトやパリの観光客が減ったのはその効果が現れたものです。
原発操業禁止命令・・国の枢要産業を仮処分制度を使って長期間麻痺させるのは社会秩序破壊する目的=テロ目的としてはもの凄い威力があります。
ただし、大津地裁の決定をそうだと書いているのではなくもしもそう言う意図であれば大変なことになると書いているだけです。

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