中韓両国の高学歴化4(社会不安1)

中韓共に極貧の庶民しかいないような状態で、イキナリ外資導入による世界先端技術が入って来て大規模工場の単純労働的製造工程に参加して所得急増した社会としては共通です。
近代工業化進展→工場労働者増→中間所得層の増加→次世代高学歴化の進展が普通の順序ですが、この上昇過程が急激過ぎて地に足がつく暇がなかったとも言えます。
自力で地場産業が徐々に大きくなった社会とは違い、日本の賠償に代わる巨額援助資金流入により政府に癒着した財閥が旧膨張したり、世界企業がイキナリ進出して来て大工場を建てて1工場で何千人と雇用するようになると、順次の中間的企業等が育っていませんし、大工場では労働者数の割に中間管理職の必要がない状態です。
この結果、工場労働者増加の比率に比べて管理職向けの職場がそれほど多く存在しないので、大卒の職場が準備されていませんが、工場労働者の次世代が階層アップのために今後続々と大卒になって輩出されます。
韓国では、十分な貯蓄(制度で言えば、公的年金制度が始まって期間が短いので、支給額が雀の涙です・・これと平行して個人での貯蓄も殆どありません・・以下に書くようにマイナス状態です)が出来ないうちに高齢化が進み始めて老人の生活苦(高齢者の自殺が多い)で大変なことになっています。
大卒の就職先もまだマトモニ用意できないのに、大卒大量輩出社会出現は(発展段階のひずみ)の年金制度や個人貯蓄充実前の「早老化」の社会階層分化版と言えます。
韓国では中国に比べて(日韓国交回復と日中回復の時間差に比例して)20年ほど近代化が早かったので、受け皿がないのに大量に進学させてしまったひずみが早くから出ています。
昨日紹介したように大卒就職率がかなり前から毎年低くなっていて、これが政権不安の基礎ですから、政権が何回変わっても社会不安の基礎が改善されない限り反日感情にすり替えるしかない基本的動機になっています。
昨日紹介した(韓国系人らしい人の)論文では就職率が漸く50%代半ば・・やっと半分が就職できてもサムスンなどの例が有名なように、大方が短期間(30代になるかならないかで)で追い出される仕組みです。
3〜40歳前後で失業すると非正規雇用で働くか、食べて行くために見通しもなく手っ取り早く経験もないのに飲食店や金貸しなど始めるしかないので、倒産の嵐となります。
日本では個人金融資産が1500兆円もあると言うのに、韓国では逆にマイナス87兆円という巨額ですが、中途退職の嵐→ヤミクモな借金をして起業するしかないことにも大きな原因(無理して進学させる借金もありますしいろんな要因があります)があるとも言われています。
(これまであちこちで読んでいますが、出典を探している時間がないので「とも、言われています」程度の表現です)
韓国の個人金融負債の巨額さについては、ちょっと検索すればあちこちに出ています・・以下は1つの参考です。

2013/08/23(金) 07:22:40.73 ID:???
【ソウル聯合ニュース】韓国の個人負債残高が過去最高を記録し、年末までに1000兆ウォン(約87兆3320億円)を突破する可能性も指摘される。

ところで、公式金融機関の借金は統計に出ているのですが、韓国の場合個人貸金(ヤミ金も含めて)業者が多いのですが、これが統計に出ているか否か不明です。
(日本の金貸し経営者の多くは在日系が多いことが知られていますが、元祖韓国では少しでも元手があれば誰もが直ぐに手を出す得意の商売・・高利で借りたい客がいてこそ成り立ちます)
ちなみに売春業も妓生(キーセン)観光で長年世界に勇名を轟かしていましたが、最近妓生目的の観光客誘致が下火になったので、客が来るのを待たないで国外出張販売・・世界中への売春婦進出になっていると言えるでしょうか?
(売春行為が韓国で禁止になったのかな?)

中韓両国の高学歴化3

社会の近代化進展度合い・経済規模の違う韓国では、本来日本よりも大卒の比率が低くて良い筈ですが、逆になっているのでは、ミスマッチが半端ではないことが分ります。
日本の大卒就職率が90何%である(中小企業への就職を何とも思ってません)のに対して、韓国では54%しかないのはこの結果によります。
上記論文では、
「2012年大卒者に対する就職率は前者(就職希望者)が93.6%であることに比べて後者は63.9%で・・同時点における韓国の大卒就職率は54.5%であり・・」
となっています。
今年の日本は好景気ですから、ほぼ100%近い就職率(どころか求人側で人不足)になっていると、どこかで報道されていました。
最近足の関節が痛いと言って事務所近くに数年前に出来た近代的な整形外科に行った人の話ですと、検査装置が新しい病院であることから画像が鮮明であったことの外に、理学療法士みたいないろんな技術者がいて、歩き方の癖で一方の軟骨がすり減っていること・・だからその歩き方を直すリハビリが必要ということで、足の中の特定のスジを鍛えるためのきめ細かなプログラムが設定されたということでした。
単に運動すれば良いのではなく、(やみくもに動き回れば却って悪化させてしまう)特定のスジだけをしかも一定方向へを鍛えるための運動が必要になっている時代です。
(余計なことですが一言・・私が普段から運動=スポーツは身体を痛めるから健康に良くないと書いていることが、現場では既に実証されているのです)
このように社会は儒教的高度?な理念だけ学んで威張ってれば良いのではなく、日本的に言えば高度な医学を修める人も必要ですが中間的なスジなど見てトレーニングしてくれる人材・・専門学校での各種技術訓練教育を経た人を多く必要としています。
韓国進学熱は既になくなった幻のヤンパン階層への階層アップが目的ですから、身体を動かす専門学校など見向きもしません。
(だから専門学校が殆ど存在出来ないのでしょう)
日本のエレクトニクスその他の凋落が言われますが、アップルやサムスン製品の中身の部品の殆どは日本製品と言われています。
世界経済で見れば、先進国でも金融等で誤摩化さずに製造業など足下で堅調なのは日本とドイツ(イタリアも工芸品では強いのは同じです)だけですが、ドイツではマイスター制度が有名なように日独共通項は現場技術者を尊重する社会と言うことではないでしょうか?
アメリカンドリームは、特殊才能のある人・・プレスリーなどが莫大な富を得られるというものであって、日本やドイツのように下積みでコツコツ努力する中堅技術者に価値を置かない社会である点は、中韓の儒教的価値観と基礎が同じです。
中韓両国はアメリカンドリームの一部・コツコツ努力しなくとも良いという一部を理解した上で、能力がなくとも「学歴等によって(韓国の場合ヤンパン)特権階層の仲間入りすれば、身体を動かさずに生活できる」と言う夢を抱いてしまったことになります。
儒教的価値観(立派な道徳としての価値観ではなく、教育のある人は遊んで暮らせるという間違った価値観)の強固な中国でも同様です。
近代化が進み庶民が少しでも豊かになると(中産階層になると)どこの国でも先ず進学率が上がりますが、中韓の場合文化の厚みがないところに一気に経済成長したことによって中間の技術層成長定着過程を飛び越してしまった・増加率が急激過ぎた弊害です。
後発国では外資による巨額資金導入や資源開発で急激に経済発展すると裏で政府に関係する特定事業者が利権を得られることになり易いので、(政権癒着)財閥系が発達し易くなって却って健全な中小企業が育たないで大企業だけが繁栄する弊害があります。
韓国やロシアでは中小企業が育たずに、先ず財閥系が発達して来たのはこの例です。
中国の場合も外資導入によって経済成長した点は同じですが、韓国の財閥に代わって国有企業という共産党幹部と癒着した巨大企業ががん細胞のようにのさばっています。
日本の場合、江戸時代から中間層が発達していた上に明治以来更に100年間に及ぶ着実な進歩の蓄積後の高度成長でした。
順次の発展の結果、中間技術者その他の人口構成が均衡がとれている社会ですし、国民も分際に応じてみんながみんな医師になるのではなく中間技術者になって、能力に応じた仕事で満足する社会です。

中韓両国の高学歴化2

中韓両国では今なお底辺層は大変な状態ですから、ココから脱却するための手っ取り早い方法として高学歴願望が肥大しています。
中韓の急速な高学歴化や留学生の急増は、いわゆるアメリカンドリームの中韓的(儒教的?)実現のための手段としての高学歴願望ですから、蓄積された経済力に裏打されて教養・文化を身につけたくなって自発的・内発的に高学歴化が進んだものではありません。
日本の女性で言えば、高度成長期に少しでもゆとりが出ると、仕事の帰りにお茶や生け花を習ったりしていましたが、これは自分自身の内発的文化水準を高めたいという向上意欲の現れです。
何も身に付けないで、玉の輿を夢見ていたのではありませんでした。
こうした内発的向上意欲による努力で地力をつけた結果の高学歴実現ですし、企業構成も江戸時代からの順次発展の結果ですから、富士山の裾野のように中小零細から大企業まで形よく存在していて、足が地に着いています。
中韓両国の場合、自前の中小企業が成長していない内に巨額外資導入や外資系大企業進出を受け入れたことによって、イキナリ発達した財閥系と、外資系企業勤務などと旧来型生活との大きな落差になってしまいました。
財閥系や外資系企業に就職することに引き換えて多くの国民にとって、おかれた境遇があまりに悲惨なために、先ずは地方から都市部の近代向上への就職ラッシュ・・農民工の大移動ですが、その次の世代では、農民工からの脱却願望として命がけの脱出・脱走のような意識で何にも増してしゃにむに実現すべく高学歴に挑戦して来たように見えます。
自己啓発目的の(出世にも金儲けにも関係のないリタイヤー後でも熱心にし生涯学習に励む人が多い)日本人と違い、階層アップは言わば漠然願望ですから、現実的場面で見れば就職チャンス・機会(即物的利益)を得ることが目的になります。
これが満たされないと大変な失望になります。
韓国では教育を受けられるのは李氏朝鮮成立以来ずっとヤンパン(両班)に限定されていたところ、日本統治によって義務教育制度実行の結果、出身に関係なく等しく勉強できるようになったのが大きな社会改革でした。
独立後日本批判をしながらも、一旦平等教育を知った国民を元に戻せないので、日本の始めた平等教育制度は維持されていましたが、それでも当初は高等教育を受けられるのは限られた人だけでした。
漢江の奇跡と言われる高度成長の結果、自己資金をある程度投じられる中間層の勃興とともに、大学進学さえすれば、エリート階層に簡単になれるという錯覚・・願望が膨らんでしまいました。
大卒=エリート・・昔のヤンパン身分(働かないで懐手で生活できる階層への昇格)の幻想が起きたのです。
ちなみに韓国の大学進学率は、以下の通り世界最高水準ですがこれは考えが進んでいるのではなく、前近代的身分秩序意識が払拭されないままで、少しばかりお金を得た庶民が夢の実現に暴走した結果です。
以下は日生基礎研究所からの15日現在ネットにでていた(韓国人らしい人の書いた)論文のコピーです。
http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2012/eye120813-2.html

「韓国の大学進学率(以下、進学率)は、OECD加盟国の中でも高い水準にあるが、最近に入って少しずつ低下している1。2008年に83.8%で頂点に達した韓国の進学率はそれ以降下がり続け、2010年には79,0%2まで低下しているが、まだOECD加盟国の平均(2008年、57%)を大きく上回っている」

学歴さえ得れば特定階層に変身できるという(アメリカンドリーム的韓国式)願望による進学率急上昇ですから・・社会のニーズに関係もなく・・あるいは自己レベルアップが目的でもありません。
中韓両国では、外資=世界企業導入による一足飛びの大企業成立ですから中小企業が育っていないので、大量に大卒が輩出されても大企業(財閥系)幹部以外の受け皿がありません。
上記論文では日本の専門学校生も含めると日本と韓国は進学率とほぼ同じらしいですから、専門学校がほとんどないことが分ります。
専門学校生は言わば現場技術者向けの進学コースですから、(働かないことが格好いいと言う儒教的価値観にこだわっている韓国では・・これは私の意見です)こう言う専門学校が殆どないのは、発展段階がいびつであることと、身体を動かして働くことに対する抵抗感の強い間違った儒教意識などが原因で中小企業が健全に育っていないからです。

中韓両国の高学歴化1

2014-6-14「留学目的と外資流入減1」から話題が留学目的にそれてしまいました。
「外資流入減少」に戻ります。
外資流入減と表現すると・・一見お金の投資・動きだけ減少のように見えるので、これが就職戦線にどう言う関係があるか疑問に思う方が多いでしょう。
中国の場合、外資流入=投資とは新規工場進出等に資金を投資するものであって、これを資本収支と言う資金移動の側面からエコノミストが表現したものに過ぎません。
中国の場合、短期資金流入を禁止している(ヤミでしか短期資金は入りません)ことをアジア危機の教訓としてMay 15, 2012「短期資金(投機?)と長期資金(企業進出)」等で紹介したことがあります。
中国では短期資金は規制されているので、原則ヤミでしか入りませんので、(これが貿易収支黒字の水増しになっていることを昨年書きました)中国の場合、公式発表の外資流入の減少とは、長期投資資金の流入減を意味しています。
長期投資資金とは、工場やデパート等進出のための設備投資資金などですから、外資の流入減とは規模拡大や新規投資(工場立地や新店舗展開)用の資金流入が減少していることを意味しています。
新規投資=工場新設・店舗新設等の拡大が減少すれば、当然そのための新規雇用創出が減りますので、・・新規就職先が急減していることになります。
特に留学生は外資系就職目的が大半ですから、外資流入減→外資系就職先減→外資系就職目的の留学熱低下という図式です。
中国の場合、農村からドンドン労働者が流入するので年率8%以上の雇用増加(=経済成長)がないと治安を保てないから、これが生命線であると長らく報道(ですから根拠が明らかではありません)されていました。
と言え、今は人口増大圧力が減少してむしろ人口オーナス期に入ったと言われていますが・・それでも一定の経済成長しないと大変だと言われるのは、何故でしょうか?
あるいは最早雇用政策上では成長の必要がなくなっても、別の経済要因でなお経済成長が必要な場合がある点については、この後で書いて行きます。
May 3, 2014「日中の制裁合戦4(バブル崩壊1)」で紹介したように、大卒就職率の低下が大問題になっていることは確かです。
農村からの流入が一段落して一般労働者の就職問題はある程度解決しているものの、大卒供給の方は年率8%どころかもっとすごい勢いで増えているので、受け皿がなくて大変なのです。
この辺は韓国の大卒就職事情が大変なのと傾向が同じです。
例えば農民工等底辺層の失業者1000万人減少して、学卒未就職者が500万人増えた場合、失業率としては減少したことになります。
苦しい農民が都会に出て働けなくとも従来どおりの苦しい生活していれば良いのですが、学卒未就職者の増加は政権維持にとっては大きなリスクになります。
中国で今でも天安門事件に神経質になっているのは、大卒知識人の不満を相手にしているからです。
韓国ではいつも反日を大きな声で訴えないと政権維持できないのも、大卒の就職率の低さ、失業率の高さにかなりの原因があるように思えます。
韓国では、懐手していてまるで働かないヤンパンでなければ人ではないような時代が歴史の殆どでしたので、大学進学の主目的はこのような階層にアップすることでした。
従ってエリート的就職先がないと、中小企業等現場系への就職は絶対に断ってしまうそうです。
断ると失業者にカウントしないので、大卒失業率は統計上出難くなっていることが知られています。
韓国女性売春婦が世界中に進出している原因は、中堅〜貧困層が次世代のレベルアップのために借金して大学を卒業させて見ると、就職先がなくて借金を返せないことに原因があるとも言われています。
こう言う社会では、現在の苦しみから離脱するための階層アップへの夢がついえてしまうので、却って現実社会への不満が鬱積して行く一方です。

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