クリスマス・イヴとその関連コラムで観光立国批判・国境問題に話題が移って来たので、中断していた2012-12-23「 悪しき隣人との交際3」の続きに戻ります。
中国としては、甘く見ている日本だけを標的に攻撃してみて、失敗しても何とでもなると思ってやったつもりでしょう。
全世界の外国資本を攻撃したのでは世界を敵に回すことになるので、これを避けて一点集中攻撃から始めるのが合理的ですが、相手が日本なら戦前の仕返しだと言えばどうにでもなるし、アメリカや西欧も黙認・・背後で応援するという冷徹な読みが中国にはあると思われます。
これまで書いて来たように戦前の機会均等要求→世界大戦の要因になったように・・最近では中国市場で一人勝ち的な様相になっている日本の存在を欧米は苦々しく思っている筈です。
実は日本攻撃から始める準備は、江沢民が主席に就任して以来周到に準備して来たことです。
江沢民が就任後のアメリカ訪問時にアメリカの戦勝記念碑か何かに献花して対日戦争協力関係を忘れないという演説をしたことがあります。
このときに江沢民は日本の中国進出に対しては、今は必要だから投資させているがその内に投資した資産を投げ出して逃げざるを得ないように、叩き出してやるから・・とアメリカに約束していた可能性があります。
これまで中国と蜜月状態で協力して来た日本は、この突然の演説には非常に驚きましたが、そのとき以来中国では江沢民による日本非難の国内教育を着々と始めていて、今ではこの教育で育った世代が成人しています。
当時直ぐに日本を叩き出すには、中国の経済力がひ弱なために政治と経済は別と使い分けて日本に対して投資を呼びかけて深入りさせて来ました。
深入りすればするほど日本に対する攻撃の効果が高くなる・・レアアース供給の9割を中国に頼っていた日本を狙い撃ちに、レアアースの禁輸をイキナリ始めたのはその手始めでした。
江沢民の演説は、アメリカに対する戦時中と戦後の「密約を忘れるな」という意思表示であり、アメリカは多分今も忘れていないというエールの交換をしたことを公式に表明するための重要な転換点であり、セレモニーだったことになります。
中国が開放政策採用によって共産主義を事実上放棄したので、(名目上の共産主義温存とは政治的には独裁を維持するだけの意味でしかないでしょう)戦後共産主義封じ込め政策で米中が敵対していたことをやめて、戦前の協力関係に戻ることの確認でした。
・・裏返せば伸び過ぎた日本を叩くために戦前同様に再び対日共同戦線に戻ると言うアメリカのメッセージとして米中両国で演出をしたものでした。
日本はこれには驚いたものの、誠実に協力していれば悪いようにならないという日本流の解釈でその後もなおも経済協力を惜しまないで来ました。
中国としては日本の投資残高が大きくなればなるほど日本の撤退は巨額損失になる(自国にとっては技術移転になるメリットが大きい)ので、イザとなれば脅かし易くなる取引材料ですから、いくらでも奨励します。
江沢民→胡政権はこれ以来何十年もかけて反日教育に精出しているのに、日本はこれをやめてくれるように申し出を全くしないまま・・中止と引き換えに経済協力するという程度の要求もしないまま、無償で植林事業をするなど言われるままに資金や技術協力だけして来ました。
今回の尖閣諸島問題で紛争中にもかかわらず、何らの要求もなしに今年も中国向け円借款を中止しないで援助することに決めたと大分前に報道されていました。
こう言う政府の弱腰態度は韓国に対しても同じで、今回の竹島騒動でも仲直りするならば、「既成事実そのまま認めるのではない」(韓国側による何らかの譲歩・・構築した施設の撤去)「反日教育をやめさせることを条件にすべきだ」という以前からの私の主張になっています。
日本は中韓との仲直りをするならば、少なくとも「反日教育をやめろ」くらいの主張はすべきです。
反日教育をそのまま黙認していて表面だけ仲直りしても、反日教育で次世代〜更に次の世代までが育ってしまうのでは、両国の親善にとって取り返しがつきません。
その場だけ仲直りすれば良いとして来た歴代自民党政権の対応が、相手が悪過ぎて大失敗だったと思います。
今の中国人や韓国人の大半が反日教育で育っていますので、心から日本のありもしない残虐行為を刷り込まれた人ばかりになっています。
こんな教育をしている所でいくら日本人が現地で献身的無償協力をしても、その裏で反日教育に精出しているのでは何にもならない筈です。
ただし、12月22日に書いたように日本にとっては民族感情問題を中心に政治をして行くのは無駄です。
安倍自民党総裁が選挙前公約にかかわらず、大勝後に中韓を刺激しない政策を選択しているのは正しいことですが、これ以上深入りするための弱腰外交では国民感情が許せないでしょう。
悪しき隣人とは深入りすれば仲良くなるのではなく、むしろ関係悪化の禍根を拡大するだけですから、日本古来からの法に従って、(喧嘩で勝つよりも)悪しき隣人とはなるべく交際を減らして行く方が合理的です。
だからと言って右翼のようにいきり立つのでは子供の喧嘩レベルですから、投資の段階的縮小・・関係縮小のためには、主張はきちんとして行きながら「まあまあ・・」といって宥めておく大人の外交が必要です。