昨日紹介したとおりトランプ政権としては、選挙では勇ましいことを主張していましたが国内諸勢力を政権内部に取り込んで利害調整して行こうとしていたし、被害を受ける業界も反発するだけはなく内部に食い込もうとしていたことは明らかですが、マスコミの反発が強くて彼らが相次いで辞任の方向になってしまいました。
マスコミは両極対立を煽る方が面白い?と言うことでしょうか?
元々トランプ氏が対立を煽ったのだから仕方がないと言えますが・・「やれたらやり返す」と言う論理でお互いにエスカレートしていくのでは、国内分裂が広がるばかりで大人の智恵・・成熟社会のあり方とは言えません。
日本でも政権内部食い込みを快く思わず政権の外から批判する方に回らないことを非難する民進党のような勢力がありますが、日本では、相手を非難するばかりではなく自分の意見を粘り強く訴えて意見を採用してもらう方に動くのが普通ですし、まして関係のない他所のクニの内政に口出ししてワザワザ喧嘩を売るる必要がないと思う国民が大多数でしょう。
その政権に反対でも先ずは懐に飛び込んで様子を見ようと言うのが、我が民族の知恵です ・・これがマッカーサーの占領軍をうまく手名付けられた智恵です。
「先ずは人道非難・・注文をつけないのはおかしい」と言う民進党の主張は、国益に反すると感じる人が増えて来て民進党が何か主張すればするほど支持率が下がる一方になっています。
天皇陛下の生前退位問題については国民大方は早く決める必要があると言う認識で一致していると思われますが、両院議長による各党に対する意見聴取に関する今朝の新聞を見ると、民進党は原理原則論で短期間に決められそうもないテーマにこだわり退位問題だけの議論に応じない印象です。
国民の多くは天皇家の問題についてまで意見対立を望まない文字どおり「総意」で決めたいと言う民族宗教的一致があると思いますが、こう言うことまで「何でも反対」で前に進めないのでは、共同体の仲間と言えるのか?の疑問を持つ人が増えてくるでしょう。
政権が理由もなく交代すれば民主主義と言うものではなく、政権が硬直して多様な利害を吸収できなくなったときに多様な利害を吸収してくれそうなカウンター勢力に支持が移り政権交代が起きるのが本来の民意反映の政治・民主主義と理解すれば、我が国はいつも時代適合の必要に合わせて政権が変わって来たこと・・摂関政治から平家~鎌倉幕府~建武の親政~室町幕府~応仁の乱→戦国時代~織豊政権~徳川幕府~明治維新~戦後民主主義時代の流れと符合します。
戦後自民党の長期政権は、党内に多様な派閥を抱え刻々と変わる国民のニーズを柔軟に汲み上げて来たことによりますから、国民は政権が変わってくれないと困ると言う意識・・必要を感じないから変わらないのです。
旧社会党以来の系譜を払拭出来ない民進党が現実政治に自己の主張を反映させて良い社会を作るのが目的ではなく、交代の必要もないのに政権交代を望む・・敵対を選ぶのでは結果的に何でも反対するしかなくなります。
上司の課長や部長、社長の足を引っ張ることばかり考えて陰口を吹聴し徒党を組む、スポーツ選手で言えば自分の技量が上がるように努力しないでライバルが転んで怪我するような仕掛けを作る・・こんな人が尊敬される筈がありません。
国民のためにどうすべきかが行動基準ではなく、政権を困らせ社会が困るように仕向けて失敗させるのが目的=日本が困る結果を期待するしかなくなる→どこの国のために主張しているのか?と言う批判を受けるのは必然と言えます。
野党の存在意義は政権の柔軟性・・利害調整能力がなくなったときに新たなニーズの受け皿になることであり、うまく回っているときに外敵と手を組んでまで現政権失敗を起こさせることではありません。
中国歴代王朝では後漢の党錮の禁が有名で唐末の牛僧孺(牛僧孺党派と李徳裕党派の政争が激しくなり、これは牛李の党争の争い)など徒党を組んで権力抗争を繰り返すばかりでしたから、何回王朝が倒れても社会の変化に寄与しなかった所以です。
その意味では日常的な政党林立の必要性がないのかも知れません・・アメリカの回転ドア形式・シンクタンクの存在は政敵を倒すのが目的ではなく政権が変わったときのブレーン供給源ですから、結構合理的です。
革新系野党は中国の党派争いを引き継いでいるからいつも反対しか出来ないのですが、エリート・前衛式の強烈さは西欧のエリ−ト意識の承継と国民に対する優越意識の強い儒教意識の流れの双方の影響があるのかも知れません。
国民意識を尊重するのを大衆迎合主義と決めつけるマスコミと意見が合い(エリート意識で)国民の期待と違った主張を心がけているからこうなるのではないでしょうか?
アメリカはマスコミによるトランプ政権大攻勢の結果、折角政権内で意見を言うつもりでいた業界が政権内から外に出るしかなくなり、回転ドアがうまく回らない・シンクタンクからの人材供給も思うように進んでいない様子です。
トランプ政策で被害を受ける筈のアメリカ国内業界が政権とのパイプを自ら閉じてしまったので、政治に必要な利害調整・妥協の道が閉ざされた印象です。
二項対立しかない韓国型政治に入って行くのかも知れませんが、政治の中二階形式をやめる・・トップが直截民衆に語りかける政治になると本来の民度にあった政治に戻るしかないのかも知れません。
この結果、国内では政敵ばかりで孤立している(回転ドアがうまく回らない)トランプ氏は国際政治ではNATOであれ対中国であれ、妥協の方向に入って来た印象です。
先ずは日米枢軸を大事にして壊さないことを基本にして、国際政治を決めて行くことになりそうな雰囲気の安倍氏との共同記者会見でした。
ところで、いくらワンマン・大統領制のアメリカでも、移民に限らずいろんな利害を政権内に取り込む仕組みを持たないと国内政治はうまく行きません。
移民問題も利害調整してから実施すれば良かったのですが、実施してから反対が強いのでレベルダウンするのでは、政治的影響力としては致命的?打撃を受けてしまいました。
これをどう切り抜けるかの智恵(先ずは回転ドアからプロをどれだけ取り込めるか)次第で、トランプ政権の命運が決まって来るでしょう。
自民党は矛盾したいろんな主張・利害をうまく取り込んで来たので、長期政権を維持出来ていたのですが、欧米流の一神教理論を信奉して政党である限り主張を純化するのが正しい(ドブ板選挙・・派閥連合体政治はおかしいと言う)かのような政治学者?やマスコミの主張が何十年も続いています。
自民党はいろんな利害を包摂しているので「近代」政党ではないから近代政党へ脱皮すべきだと言う議論を聞かされて育ちました。
この種のマスコミ運動の成果が一人しか当選出来ない小選挙区制への変更であり、「公約重視」「マニフェスト」の普及でしたが、→主張や人材の単純化によって自民党が人材の厚みを失い凋落→政権を失わせた一因です。
中〜大選挙区の場合、若手は最下位でも当選すると能力次第で次の選挙まで政治経験を積んで次には2位当選するなど順次の経験が得られますが、小選挙区制の場合ある政治家が仮に5〜10回当選を重ねる場合、その選挙区では2〜30年間競合・好敵手が育たないし次世代の育成・経験者が皆無になります。
熟達した政治家が育ち難い・・毎回「◯◯チルドレン」と揶揄される新人未熟政治家ばかり交代して行きます。
1年生議員は未熟なのは仕方がないですが、選挙民にすれば、役に立たないと不満を持って別の新人に投票するので、連続当選出来ず熟練する暇がありません。
韓国政界が不毛な争いを繰り返す原因は「長くて当選2〜3回の新人ばかりだから」と言われています。
ウイキペデイアの韓国2008年の総選挙記事からの引用です。
「今回の総選挙で、初当選を果たした候補は、137人で全体の45.8%に留まり、前回の17代総選挙の時の62.9%と比べて新人当選率は大幅に減少した。なお、第17代国会の現職議員で再選を果たした候補は、131人である。当選者の内、最多当選者は自由先進党の趙舜衝候補(比例代表)でこの選挙で7選を果たした。また、年齢構成では、50歳代が47.2%で最多となった。反対に386世代を中心とした40歳代以下の当選者は、前回総選挙においてウリ党で当選し、今回は統合民主党からy立候補した議員が、多数落選したこともあり31.7%(前回43.1%)と減少し、前回総選挙より当選者の平均年齢はやや上がった。」
上記のとおり新人当選率が前回が62・9%、2008年に新人当選が減ったと言っても45・8%が新人です。
この比率で入れ替わって行くと選挙2回で全部入れ替わる計算です。
韓国では歴大統領が政権末期に悲惨な目に遭うことが多い・・熱しやすく冷めやすい韓国人の気質が現れていますが、熟練政治家のいない韓国型政治を日本マスコミは何故真似したがるのでしょうか?
若い女性・・綺麗過ぎる市会議員などと頻りに囃し立てていましたが、未熟な政治家に委ねることが何故日本のためになるのでしょうか?