植村記者問題2(ムード報道と義母の関係1)

植村記者の報道した慰安婦訴訟では、日韓条約で解決済みであるから、請求権がないと言うことで多分終わったでしょうから、名乗り出た慰安婦と称するもの達が本当に強制連行されたか、そもそも日本軍の慰安婦だったか米軍相手だったのをすり替えていたのかについては、判決で論じる余地がないとされて終わっている可能性があります。
悪く考えれば、裁判しても本当の慰安婦かどうか調べないで門前払いで終わるから(噓でも何でも)女性が名乗り出さえすれば、大ニュースになる・・本当にいたかどうかの「情報戦」としては、そこで「勝負あり」と言う戦略だったかも知れません。
強制連行された慰安婦が本当にいたのに、日本政府は不当に賠償を拒んでいると言う国際社会向けムード拡散には有効です。
これが基礎になって国連決議やアメリカ議会決議、あるいは韓国最高裁の違憲判決等に影響があった可能性があります。
ところで、仮に米軍相手の売春婦であって、でっち上げが含まれていたとしても、それ自体に植村記者には責任がないでしょう。
彼が上記のような謀略に加担したのではなく、1記者として彼女達の言い分を聞いてありのまま報道しただけならば・・。
そこで問題になっているのは、記者の韓国人妻の母親の存在らしいです。
植村記者の妻は韓国人で(帰化しているかどうかまでは知りません)その母親は韓国で日本政府相手に賠償請求する人を募集し訴訟を支援する団体を主宰している人物であるとネット報道されています。
その情報から、名乗り出た慰安婦が彼とその妻や義母中心になって、でっち上げた偽物であるかのような疑惑(憶測)が持ち上がっているようです。
(義母の団体と名乗り出た女性が関係があるとしても、義母がでっち上げまでしたと言えるかは関連性が遠いし、ちょっと憶測が過ぎるような印象ですが・・疑惑や憶測と言うものは元々飛躍のあるものです。)
委員会見解では、以下に原文を紹介するように、親族関係を利用して植村記者が情報を得たのではないと言うのですが、理由付けは観念的で説得力がないところが問題です。

「イ 名乗り出た従軍慰安婦記事(上記(2)イa及びb)について

1991年8月11日付記事(上記(2)イa)については、担当記者の植村が その取材経緯に関して個人的な縁戚関係を利用して特権的に情報にアクセスしたなどの疑義も指摘されるところであるが、そのような事実は認められない。取材経緯 に関して、植村は、当時のソウル支局長から紹介を受けて挺対協のテープにアクセ スしたと言う。そのソウル支局長も接触のあった挺対協の尹氏からの情報提供を受 け、自身は当時ソウル支局が南北関係の取材で多忙であったことから、前年にも慰安婦探しで韓国を取材していた大阪社会部の植村からちょうど連絡があったため、 取材させるのが適当と考え情報を提供したと言う。これらの供述は、ソウル支局と 大阪社会部(特に韓国留学経験者)とが連絡を取ることが常態であったことや植村 の韓国における取材経歴等を考えるとなんら不自然ではない。」

植村記者に対する疑念払拭のためにやるならば、もっと具体的に「見解」で踏み込んで調査して欲しかったところです。
訴訟の支援活動・・弁護士との打ち合わせや連絡等を誰がしていたかなど・・植村記者の義母の組織関連者との具体的関わりを調査した報告が欲しいところです。
とは言え、義母が関与していたことが分ってもそこから、でっち上げまで義母が関与していたと言う連想までは、普通に考えれば繋がりませんが、感情的な人はそう思いたがるものです。
こう言う背景下で調査した以上は「別組織の紹介であって関係ない」と言うだけでは、(1月10日のコラムで国際的影響について、引用証拠が少ないと言う見解に対する疑問を書いたように、義母の運動と関係があると言う証拠は関係者から聴取しただけでは出なかったでしょうが、(と言っても委員会が韓国まで出張して調べたとは思われません)・・・・「証拠がない」と言うだけで即、関係ないと宣言すれば(感情的になっている)国民が納得するかの問題です。
膨らんでしまった非合理な?憶測を払拭するには「証拠がないから、ない」と言う形式論ではなく、調査する以上はもっと踏み込んだ調査をした結果による必要があったように思われます。

オバマ来日と今後の日米中韓関係3

アメリカ流の日本批判を聞いていると一見忠告しているように見えて、何のための同盟国か意味が分かりません。
折角の忠告を聞かない人は孤立しても仕方がないでしょうという殺し文句です。
相手の理不尽な要求や行為を唯々諾々と受入れないと日本が悪いという忠告・・論法ばかり聞こえて来るので、(大手マスコミは日本が大変だ大変だという宣伝をしたがる傾向があって真実が不明・・マスコミ報道が偏っているのかも知れれませんが・・)日本人のアメリカ不信が嵩じて来ました。
この修復のために口先表明で済むならお安いことだし、アメリカにも利害があるので尖閣諸島に言及して恩を売ったつもりでしょう。
しかしオバマは日本の歴史認識には反対していることは、その日のうちに韓国で慰安婦問題を明言したことで明らかです。
要するに「中韓と主張意見は同じ(日本と意見は違うが)だが、米軍事基地の都合で尖閣諸島を当面守ります」と言いに来たことになります。
アメリカは戦後秩序・価値観に関係のない尖閣諸島の領有権についてさえ明言しないで(アメリカに軍事上の利害がある限度で)「防衛義務がある」というだけです。
アメリカは主張・意見に関することは、一切日本の味方をしないという立場を鮮明にしています。
安倍総理は価値観外交・共有と言いますが、日米では本音のところで戦後秩序に関する価値観が分裂しているのを国民が心配しているのです。
主義主張が違っているのに、同盟があるから仕方なしに「守る」とアメリカが渋々言わされている関係って・・何回言ってもらっても信用できないので国民が心配する所以です。
アメリカが何のために価値観の大きく違う日本と同盟を結んでいるのか?と言うところですが、単なる支配欲を満たしたい非合理な欲求が大きいでしょうが、客観的に言えば、価値観が180度違うからこそ軍事支配のくびきを手放せないということなります。
軍事基地を置き続け日本が反抗できるほどの軍事力を持たせないようにするための名目に、「防衛してやる」と言う条約を結んだのではないでしょうか。
戦後70年近くたって、イザ防衛が必要になって来るとアメリカのまやかし・・本当は日本永続的支配目的であった欺瞞性が明らかになって来ました。
中韓のようにはっきりと「日本は敗戦国だからどんな理不尽なことをされても言われてもじっと我慢で全て言うこと聞くしかないだろう・ざまあ見ろ!」と言うのと実質が変わりません。
理不尽な行為や行動があってもこれを日本が受入れろという忠告ばかりですから、アメリカが彼らの理不尽な行動・行為を陰で煽っている・・これこそが戦後秩序ですから・・かのように、感じてしまう人が多いのではないでしょうか。
中韓の方がアメリカが後ろで煽っているので安心して、(日本人よりも中韓の方がアメリカを信用して)何をしても良いような自信を持っている様子です。
イザというときに、アメリカは自国の利害にかかわる限度で制裁のそぶりをするでしょうが、日本だけの損害の場合でも応援し、制裁発動するでしょうか?
(軍事的には尖閣諸島が中国軍事基地になるのは、アメリカにとっても大きな損失ですから余程のこと・・台湾を見捨てて西太平洋を譲り渡す決断がないかぎり応援するでしょう・・)
制裁に戻りますと制裁すればアメリカ企業も同額の損害を受けます。
この辺が武力制裁との大きな違いです。
武力制裁のときは100対10のときは、大国の方が圧倒的兵力差で掃討作戦をするだけですから、この比率の損害を受けません。
日本敗色濃厚になってからの米軍空襲を見れば分りますが、たまに飛行機が不時着したり墜落する程度の被害しかありません。
湾岸戦争を見ても分るとおりイラクは単に空爆を受けるだけでした。

 オバマ来日と今後の日米中韓関係2

尖閣諸島が防衛範囲に入るかどうかの議論自体ナンセンスです。
隣国との戦争は99%領土紛争と言って良いのですから、領土紛争には双方に言い分があるのが普通です。
(日本から見れば中国の主張は言いがかりでしかないと思う人が多いでしょうが、「盗人にも5分の理」というように言いがかりでも何かあるものです)
双方主張のどちらが正しいか不明だから、関係しない・・中国の方が正しいかも?ということで防衛してくれないのでは、何のための条約か不明です。
相互防衛条約とは、どちらが正しいか別として同盟国が攻撃されたら自動的に応援するものでないと意味がありません。
イザとなって「どちらが正しいか分らないから中立です」というのでは、同盟をしている意味があるでしょうか?
積極的に相手の味方につかないだろうという保険程度の意味がありますが、紙切れだけではなく、戦後70年間も無償で広大な基地を利用させ、更には巨額の防衛分担金を払ってきました。
イザとなれば相手の言い分次第(そのときの自国の利害次第)というのでは、詐欺にあったように感じる人が多いのではないでしょうか?
韓国・中国が賠償代わりに巨額援助を受けて賠償請求権を放棄したのに、貰うだけ貰った後で、今になって個別の損害賠償の裁判をしているのと似ています。
尖閣諸島は沖縄占領当時米軍が軍事演習に使っていたし、日本に沖縄の一部として返還されたものなのに、今になってアメリカが中国の顔色を窺うのでは、安保条約って何のためにあるの?と言う疑問が起きて来ました。
日本訪問時間ですら間際まではっきりさせられないような政権では、イザというときにそのときの利害判断で、アメリカが日本より中国を選ぶとなる可能性を否定できません。
アメリカは日本では、上記のとおり尖閣諸島防衛にリップサービスしましたが、その日に飛んだ韓国では、直ぐに日本が慰安婦問題で韓国に謝罪する必要を発表しました。
この論法で言えば、南京虐殺を日本が認めて謝罪しないから日本が悪い・・中国に攻撃されても応援しないという口実が生まれそうです。
あるいは尖閣諸島が奇襲攻撃で占領されたときに日本に自制を求めたのに日本が騒ぐから戦争になったので「失望した」と言って応援しない方法もあり得ます。
アメリカは日本を発った(舌の根も乾かぬうちに)その日のうちに、慰安婦を認めろという発表をする国です。
こういう国が「何かあれば応援します」と言っても、応援しない口実は何とで
もなることをアメリカはその日のうちに証明しました。
アメリカから、尖閣諸島や沖縄は元々中国のものだった歴史を直視しろと言われれば、日本は(史実に反していても)口惜しくともこれを飲むしかないことになるでしょう。
アメリカの意見を認めないならば、歴史を無視している日本の方が悪いのだから、中国によって日本全土に対する核攻撃されても仕方がないでしょうとなり、日本全土が占領されても日本が悪いことをしているのだから仕方がないとなってしまう可能性すら否定できません。
不正を押し付けられた極東軍事裁判を受諾するしかなかったことの繰り返しです。
これが日本にとって最悪事態と思えますし、中国にとっては最善自体ですから、これ(太平洋2分論)をアメリカに求めて交渉し・アメリカ資本をドンドン受入れていると思われます。
アメリカは靖国参拝を直接に批判しないで、これをやると中国と険悪になるからやめた方が良いと折角忠告しているの安倍総理が参拝をしたことが良くない・・「失望した」と持って回った批判しています。
韓国が無茶なことを言っても、しても、これに文句を言うと日韓関係のために良くないと言っては、日本批判をしていますが、これが嵩じて来ると 以下のようになって行かないかと言う心配が杞憂ではなくなる可能性がありそうです。
中国がちょっとくらい日本領土をかすめても「我慢すべきだ」というのに忠告を聞かずに日本が反発・反撃するから余計中国を刺激して中国に攻められるようになったのだ・・日本の方が悪い・だから安保条約に従って日本を応援しないという論法すら成立しそうです。

オバマ来日と今後の日米中韓関係 1

2泊3日で国賓で来日して25日午前には韓国へ飛び立ったオバマ大統領は何をしに来たのでしょうか?
無駄なことだったと彼も失望しているかも知れません。
懸案のTPPでは「前進した」とは言うものの何も決まらず、共同声明では以下の通り発表されたいます。
① TPP前進の道筋を着けた ②日本の積極的平和主義の評価 ③ 米国は尖閣諸島の防衛義務を負う④ 米国は日本の施政権を損なおうとするいかなる一方的行動も反対 ⑤ 日本の集団的自衛権の検討を歓迎
と言うものらしいです。
条約でさえ簡単に踏みにじる国ばかりの世界ですから、共同声明で適当なことを言う程度では何の損もありません。
緊急事態になって本当に約束を守るかどうかが国の信用です。
土壇場でアメリカは日米安保を反古にする可能性はいつでもあると覚悟しておく必要があります。
アメリカにとって、その時々で日米安保を重視した方が自国にとって得か損かの基準で判断するのであって、日本のために条約を重視することはあり得ません。
23日からの国賓としての日本訪問程度のことでさえ、日本到着時間すらギリギリまで決められないような状態でしたが、その時々の利害によって行為を決めるという判断基準がこう言う行動パターンを生み出していると言えます。
10日前に約束できる人物は、その間に余程のことがない限りその約束を守る意思表示です。
出発ギリギリまで決められないような人物は、出発直前でもっと有利な要件があればそれに変更するチャンスを留保したいという意思表示をしていることになります。
ある事件が起きたその段階で、日本にどの程度まで肩入れすれば、中国がどう思うかなど見極めた上で、この辺までなら言えるという判断の結果で発言していることになります。
どこの国でも国のトップたるもの多角的な配慮が必要ですが、結局どのような条約があっても土壇場では、その時点での国際情勢を勘案して自国がどちらについた方がこの先得か、一方に着くにしてもどの程度にとどめるかという価値判断で行動するものです。
アメリカが日米安保条約を守るかどうかを、今から共同声明で発表してもあまり意味がありません。
むしろ共同で発表するかどうかが大問題になっていること自体が、安保条約の実効性を殆どの国民が信用していない現れです。
昨日約束しても将来緊急事態発生時点で日本の国力が減退していて、アメリカが日本の味方をするよりは、中国と仲良くやった方が良いと思えば日本切り捨てに動くでしょう。
アメリカという国で考えると信義を守るかどうか・・アメリカは信用できないという反米意識に傾き勝ちですが、アメリカ企業・資本の意向に政府が左右される実態を直視すれば、アメリカ企業等にとって日本よりも中国との関係が深くなっていれば、中国寄りの意見を政府に働きかけるようになるのは当然です。
これは賄賂とかロビー活動の熾烈さと言う次元で悲憤慷慨したりするべきものではなく経済実態によります。
韓国は既に対中貿易の方が比重が大きいしこれからも大きくなると見込んで
日本を切り捨てて中国と手を組む方向へ露骨に舵を切りました。
アメリカは、今日現在ではまだ口先・・うまいこと言う程度で済むならば、日本を抱き込むメリットがあると言う程度の態度表明したに過ぎないと理解すべきです。
マスコミは早速共同声明は単なる記者会見の発言などより重みがあるとか理屈を書いていますが、最高の重みのあるべき条約が当てにならないと思い始めたので、再確認を求めているのです。
言うならば、黒色がはげた場合どうするかと言うことでその上に記者会見発言よりも灰色のより濃い灰色を加えて安心しているようなものです。

健全財政論2(国民と政府の関係)

政府と国民が対立するあるいは別個の団体的関係であれば政府が国民から借金していたのでは立場が弱くなって困ります。
( 04/16/06「世界宗教の非合理化とその改革4(イベリア半島2)」のコラムで、スペイン王家フィリッペ2世が4回もの破産した例を紹介したことがあります)
国民国家時代においては理念上政府=国民総体・・国民を内側に取り込んでいるので、政府の国民に対する借金は国外からの借金とは意味内容が違います。
今では政府と国民を一体として対外・・よそからいくら借りているかの収支バランスこそが重要です・・だからこそ政府の負債を国民が自分のこととして心配しているのです。
政府の負債は国民の負債同様としてマスコミが国民の不安を煽っていながら、プラス財産に関しては政府の金銭収支だけを取り出して国民個人保有の金融資産を問題にしない議論は片手落ちの議論と言えるでしょう。
政府の負債は国民の負債同様・・・一種の連帯債務者的立場にあると言うならば、国民保有資産とのバランスを論じないと危機ラインかどうか分りません。
現在の日本国債の国民保有比率が約95%であるならば、国民の対外的に負担する債務は差引5%しかなくそれ以上に国民が金融資産をもっていれば何の問題もない議論になります。
その上国民は金融資産だけではなく自宅その他の保有資産が多いので、実際はもっと安全で今のところ議論すること自体ナンセンスと言う状態です。
江戸時代にはまだ領主と領民は支配・被支配の対立関係(政府=国民ではなかった)あるいは別個の関係にありましたから、領内商人から巨額借金していると大名・武士が被支配者である商人に頭が上がらないのでは身分秩序上困ったことになります。
今は国民主権国家ですから、国民に頭が上がらなくて(一々お金の使い道に債権者=国民の意向を気にしなくてはならないこと・・)何が悪いのか?となります。
官僚にとっては、国民主権国家以前の(国民の公僕というよりは君主に代わる総理等上司に仕える)意識が濃厚に残っているから、「国民からの借金が悪で増税が必須」と信仰している人が多いのではないでしょうか?
同じ政府の資金源でも税収による資金ならば、古代から権力者の天賦の権利みたいな歴史があって、どう使おうと君主の勝手・・道徳的サンクション(酒池肉林のような悪政があると政権が倒れること)があるだけでした。
民主国家になっても税を取る約束(増税法案可決)までが大変ですが、その後は国債と違って気楽です。
吉宗が享保13年(1728)に農民との話し合いで税率を変更したのは有名ですが、このように議会のない徳川政権時代でも税率を変えるのには民意を無視出来なかったことが分ります。
ちなみに吉宗は・・当時までの慣習法的税率であった4公6民から当時の5公5民で計算した固定収量税に変更して政府は当面の税収増を確保し、(以下に貨幣改鋳と財政の関係を書いて行きますが、当時政府財政は困窮していましたのでその緊急打開策)・・その代わりそれ以上収量が上がっても税を取らない約束したので、結果的に収穫増意欲・生産性が上がりました。
このように増税は江戸時代から簡単ではなかったのですが、今の民主国家でも増税する法律さえ出来れば刑罰で徴収を強制出来る点は市民革命前の昔と変わらず、徴収した後は自分(官僚のサジ加減)のものと言う意識は今でもそのまま続いています。
(支出に関するチェックとしては予算制度がありますが、実際には箇所付け等は事前に役人の振り付けで殆ど決まっていて、それをまとめて国会で承認するかどうかだけです。
増税法案は、これを選挙のテーマにしたときには、国民が直接意思表示出来ますが、毎年の予算案をテーマにした選挙はあり得ませんので、国民が予算(支出行為)に関して直接意思表示するチャンスすらありません)
官僚にとっては増税の法さえ通せば、あとは官僚のさじ加減・・事実上自由に使えるので増税の方が良いに決まっています。
民主党が消費税増税反対の公約で政権を取っていながら、増税強行の法案強行・公約違反行為をするのは、国民に残された最低限の判断権まで奪ってしまう重要な違反となります。
租税法律主義(国会の議決がなければ課税出来ない原理)は現行憲法でも明記されているように市民革命の主要な成果・・元々増税反対から革命が(アメリカの独立革命もボストン茶条例に対する反発が原因で)起きたものでした。
今回の消費税増税が、形式的に国会の議決を得たとしても、公約では反対を表明していた政党が増税に走ったのですから「民意による増税」という憲法の実質違反行為です。
もしもこの公約違反が官僚の示唆によるならば、西洋式民主主義・市民革命の成果を踏みにじる行為ですから、官僚主導による一種の反革命行為です。
ここまで露骨に革命前の権限(国民同意なく増税出来る時代)に戻そうとする行為は、歴史の反撃を受けずにはおかないでしょう。
憲法
 第七章 財政

第八十三条  国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第八十四条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第八十五条  国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC